JPH042619B2

JPH042619B2 -

Info

Publication number: JPH042619B2
Application number: JP61175525A
Authority: JP
Priority date: 1986-07-28
Filing date: 1986-07-28
Publication date: 1992-01-20
Also published as: JPS6333455A

Description

【発明の詳細な説明】

（産業上の利用分野）本発明は成形材料に関するものであり、特に高
速射出成形に適したスチレン系樹脂組成物に関す
るものである。スチレン系樹脂はその容易な成形加工性と好ま
しい物性から家庭電気製品の部品、容器、自転車
部品などの分野に広く用いられている。これらの分野の成型品は射出成形にて成形され
ることが多く、特に最近は成形品の生産性を向上
させる為に、短い成形サイクルで射出成形を行う
高速射出成形にて成形品を得ることが広く行われ
ている。本発明のスチレン系樹脂組成物は、射出成形に
供されたとき成形時に良好な離型性を与えると共
に、金型への付着物がなく、金型を腐蝕させるこ
ともないものであり、その産業上の利用価値は大
である。（従来の技術及びその問題点）高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸
のビスアミドなどがスチレン系樹脂の為の離型剤
として使用されることは公知であり、前記のよう
な離型剤を含有したスチレン系樹脂組成物は広く
使用されている。しかし、射出成形における高速成形化などの進
歩にともなつて、高級脂肪酸又は高級脂肪酸の金
属塩などの離型剤を含有したスチレン系樹脂組成
物では、成形時に添加した離型剤が金型付着物と
なり生産性を低下させたり、金型を腐蝕させたり
する欠点が大きな問題となつてきている。良好な離型性を与えると共に、上記の金型付着
物及び金型腐蝕の問題点のない高速射出成形に適
したスチレン系樹脂組成物を得ることが本発明の
目的である。（問題点を解決するための手段）すなわち、本発明は、スチレン系樹脂100重量
部に対しａ，ｂ，ｂ族高級脂肪酸の金属
塩、およびａ，ｂ，ｂ族金属酸化物を0.01
〜3.0重量部含有していることを特徴とするスチ
レン系樹脂組成物である。本発明のスチレン系樹脂組成物は、スチレン系
樹脂と高級脂肪酸のａ，ｂ，ｂ族金属塩、
およびａ，ｂ，ｂ族金属酸化物を含有して
なり、良好な離型性を与えると共に、金型への付
着物がなく、金型を腐蝕させることもない特に射
出成形用に好ましい成形材料である。本発明の射出成形用スチレン系樹脂組成物に用
いる高級脂肪酸のａ，ｂ，ｂ族金属塩と
ａ，ｂ，ｂ族金属酸化物（以下本発明の添加
物と記す）は、通常の高級脂肪酸のａ，ｂ，
ｂ族金属塩とａ，ｂ，ｂ族金属酸化物な
どを混合することによつてつくることもできる
し、また高級脂肪酸とａ，ｂ，ｂ族金属酸
化物とを反応させて高級脂肪酸のａ，ｂ，
ｂ族金属塩を合成する際に上記金属酸化物を過剰
に加えて製造することもできる。分散性その他の
効果を与えると後者で得たものが好ましい。また
本発明の添加物は高級脂肪酸のａ，ｂ，ｂ
族金属塩とａ，ｂ，ｂ族金属酸化物を含有
しており、その程度は高級脂肪酸のａ，ｂ，
ｂ族金属塩に対しａ，ｂ，ｂ族金属酸化
物の量が10％以上、好ましくは20％以上、最も好
ましくは30％以上含有している。本発明の高級脂肪酸の金属塩において、高級脂
肪酸成分の種類としてはステアリン酸、ベヘニン
酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、モ
ンタン酸などが用いられ、金属成分の種類として
はマグネシウム、亜鉛、カルシウム、バリウム、
アルミニウムなどを用いることができる。本発明に用いるスチレン系樹脂としては、ポリ
スチレン、ゴム補強ポリスチレン、AS樹脂、
ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、MBS樹脂、
MS樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合樹脂
などスチレンを含有する熱可塑性樹脂であれば広
く用いることができる。本発明のスチレン系樹脂組成物において、スチ
レン系樹脂と本発明の添加物との比率はスチレン
系樹脂100重量部に対して本発明の添加物が0.01
〜3.0重量部含有していることが必要で、好まし
くは0.1〜1.0重量部である。また、本発明のスチレン系樹脂組成物は、上記
の成分の他に、本発明の効果を阻害しない範囲
で、通常の高級脂肪酸の金属塩などの滑剤、可塑
剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、無
機充填剤、着色剤などを含むことができる。本発明のスチレン系樹脂組成物は、スチレン系
樹脂と本発明の添加物を押出機、ニーダー、バン
バリーミキサー、ロールなどで溶融混練を行うこ
とによつて得ることができる。（効果）本発明のスチレン系樹脂組成物は成形品として
家電製品の部品、容器、自動車部品などに用いら
れ、成形時特に高速射出成形において良好な離型
性を与えるとともに、金型への付着物もなく、金
型腐蝕もない好ましい成形材料となる。このような効果を得ることで、ポリスチレン、
ABS樹脂のようなスチレン系樹脂の射出成形に
おいて生産性の大巾な向上をはかることが可能と
なりその経済的効果は大である。（実施例）以下、実施例により本発明を説明する。実施例１〜５及び比較例１〜５スチレン系樹脂と本発明の添加剤とをブレンダ
ーにて混合した後、２軸押出機にて溶融混練を行
いペレツト状の樹脂組成物を得た。添加剤として
は高級脂肪酸のａ，ｂ，ｂ金属塩に対し、
30％、又は50％の量のカルシウム及び亜鉛の金属
酸化物を含むものを用い、また比較として通常の
ステアリン酸金属塩、ステアリン酸を用いた。ス
チレン系樹脂としてゴム補強ポリスチレンと
ABS樹脂を用いた。樹脂と添加剤との比率は表
−１に示す。上記のようにして得た種々の樹脂組成物の射出
成形を行うことによつて下記の点を評価した。離型性：ゴム補強ポリスチレン組成物の場合
220℃の成形温度、ABS樹脂組成物の場合240℃
の成形温度にて、リブ及びボス部分などの多くつ
いた複雑な成形品を射出成形し、成形品の離型が
不可能な場合には×印を、成形品の離型時に白化
が生ずる場合には△印を、良好な離型性を示す場
合には◎印を示す。金型への付着物：上記の樹脂組成物を250℃の
成形温度で、ガス抜きのない金型を用いて盆状の
成形品を300シヨツト成形した後に金型に付着物
がどの程度付着しているかを目視で観察する。付
着物がほとんどない場合○印、付着物が多い場合
×印で示す。金型腐蝕性：上記の樹脂組成物と金型用の鋼材
（S55C）を270℃の温度雰囲気下におき、取り出
した鋼材の腐蝕の程度を目視にて観察する。腐蝕
がみられない場合○印、腐蝕がみられる場合×
印、腐蝕が著しい場合××印で示す。評価結果を表−１に示す。金属成分が過剰な高
級脂肪酸の金属塩を用いた樹脂組成物の場合には
良好な離型性を与えかつ金型への付着物もなく、
金型を腐蝕させることもない良好な成形材料が得
られることがわかる。

【表】＊○ ステアリン酸金属塩合成時に金属酸化物を過剰
に使用

Claims

【特許請求の範囲】

１スチレン系樹脂100重量部に対し高級脂肪酸
のａ，ｂ，ｂ族金属塩、およびａ，
ｂ，ｂ族金属酸化物を0.01〜3.0重量部含有し
ていることを特徴とするスチレン系樹脂組成物。