JPH0424557B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は空気圧縮機、冷媒圧縮機等に用いら
れるスクロール圧縮機に関するものである。

第１図ａ〜ｄはスクロール圧縮機の基本的な構
成要素を示すもので、図において１は固定スクロ
ール、２は揺動スクロール、３は吐出口、４は圧
縮室、Ｏは固定スクロール上の定点、O′は揺動
スクロール上の定点である。固定スクロール１お
よび揺動スクロール２は同一形状の渦巻で構成さ
れており、その形体は従来から知られている如
く、インボリユート曲線等で形成されている。

次に動作について説明する。第１図ａ〜ｄにお
いて、固定スクロール１は空間に対して静止して
おり、揺動スクロール２は固定スクロール１と図
の如く組合わされて、その姿勢を空間に対して変
化させないで、回転運動、即ち揺動を行ない、第
１図ａ〜ｄに示す0゜、90゜、180゜、270゜のように運
動する。揺動スクロール２の揺動に伴つて固定ス
クロール１及び揺動スクロール２の間に形成され
る三日月状の圧縮室４は順次その容積を減じ、こ
の圧縮室４に取り込まれた気体は圧縮されて吐出
口３から吐出される。この間第１図ａ〜ｄに示す
Ｏ〜O′距離は一定に保持されており、渦巻の間
隙をｐ、厚みをｔで表わせば、OO′＝ｐ／２−ｔと なつている。ｐは渦巻のピツチに相当している。

この様な揺動スクロールおよび固定スクロール
等からなる圧縮機構を用いたスクロール圧縮機を
冷媒圧縮機に応用した従来例を第２図によつて説
明する。図中１は固定スクロール、２は揺動スク
ロール、３は吐出口、４は圧縮室、５は主軸、６
は主軸５に設けられた給油孔、７，８は密封シエ
ル内の上部に配置され、揺動スクロールおよび固
定スクロール等からなる圧縮機構を軸支する軸受
フレーム、９はモータ・ロータ、１０はモータ・
ステータであり、このモータ９，１０は主軸５を
介して圧縮機構を駆動する。１１は密封シエル、
１２はオルダム継手、１３はジヤマ板、１４は密
封シエル下部に設けた油溜め、１５は冷媒ガス吸
入管、１６は吐出管、１７は主軸５に偏心して設
けられた揺動スクロール軸２ａと嵌合する揺動軸
受、１８は主軸５上部と嵌合する主軸受、１９は
主軸５下部と嵌合するモータ側軸受、２０，２１
は油経路用の返油孔、２２，２３は吸入ガス経路
用の連通孔、２４は同じく吸入ガス経路用の吸入
孔である。固定スクロール１は軸受フレーム７に
ねじ止めなどにより固定され、揺動スクロール２
は固定スクロール１とかみ合わされた状態で主軸
５にその軸２ａが嵌合されている。主軸５はイン
ローなどで互いに結合された軸受フレーム７，８
によつて軸支されるようになつている。またモー
タ・ロータ９は主軸５に、モータ・ステータ１０
は軸受フレーム８に圧入、焼嵌めまたはねじ止め
などによつて固定されている。更にオルダム継手
１２は、揺動スクロール２と軸受フレーム７との
間に配設され、揺動スクロール２の自転を防止す
るようになつている。このようにして組立てられ
た機構部は密封シエル１１内に収容固定されてい
る。

次にスクロール圧縮機の動作について説明す
る。モータ・ロータ９が回転すると主軸５を介し
て揺動スクロール２が公転運動を始め、第１図ａ
〜ｄで説明した作動原理により圧縮が開始する。
この時冷媒ガスは冷媒ガス吸入管１５により外部
から密封シエル１１内に導入され、冷媒ガス吸入
経路として実線矢印に示すように連通孔２２、モ
ータ・エアギヤツプなどを通してモータを冷却し
た後、連通孔２３を通つて、固定スクロール１に
設けた吸入口２４より圧縮機構としての圧縮室へ
取り込まれ圧縮される。圧縮されたガスは吐出口
３を介して吐出管１６より圧縮機外へ排出され
る。また潤滑油は密封シエル１１内の底部の油溜
め１４より潤滑油経路として破線矢印で示すよう
に、主軸５に設けられた給油孔６を通つて遠心ポ
ンプ作用により上部各軸受１７，１８，１９の摺
動部へ給油される。潤滑に使用された油は、軸受
フレーム７，８に設けられた返油孔２０，２１を
通つて下部油溜め１４に戻される。前記軸受１
７，１８の摺動部から漏れ出た油が直接圧縮室４
へ吸引されないよう、ジヤマ板１３が設けられた
圧縮室と摺動機構部とを分離している。

このような従来のスクロール圧縮機において
は、返油孔２１より排出された油は連通孔２２な
どから流れる吸入ガスと合流するため、ミスト状
になりやすく、油の一部が連通孔２３を通つて吸
入ガスとともに圧縮室４に吸入されそのまま吐出
管１６より圧縮機外へ排出されやすかつた。また
起動時、油溜め１４の油に寝込んだ冷媒ガスがフ
オーミングを起こし、油ごと連通孔２３を通つて
圧縮室４に吸入され、そのまま圧縮機外へ排出さ
れて、瞬時に油が枯渇してしまうことが多かつ
た。その結果、給油不良を生じ、軸受の損傷ある
いは焼付き事故を起こす原因となつていた。

この発明は、軸受フレームの下部にモータ・カ
バーを取付けることにより潤滑油経路と冷媒ガス
吸入経路とを分離し、圧縮機運転中の油上りを最
小に抑制すると共に、運転起動時などのフオーミ
ングによる油上りも抑制して給油不良を解消し、
軸受のトラブルを防止するようにしたスクロール
圧縮機を提供しようとするものである。以下この
発明の一実施例を第３図乃至第５図について説明
する。図中第１図、第２図と同一符号は同一又は
相当部分を示し、２５はモータ・カバーで、この
モータ・カバー２５は薄板により上面が開口した
有底の筒状に形成され、上面開口部にはフランジ
２５ａが形成され、モータの下部を覆うようにこ
のフランジ２５ａを介して軸受フレーム８の下端
にねじ止めなどにより取付けられ、冷媒ガス吸入
経路と潤滑油経路とを分離している。モータ・カ
バー２５の内周面とモータ・ステータ１０の間に
は隙間２８が、又モータ・カバー２５の外周面と
密封シエル１１の内周面間には隙間２７が同心円
状に設けられている。また、モータ・カバー２５
の底部中心には主軸５の下端部が貫通する貫通孔
２５ｃが設けられていると共に、半径方向のほぼ
中央には同心円上に位置する複数個の穴２５ｂが
設けられ、この穴２５ｂを底面下方向から塞ぐよ
うにリング状のチエツク弁２９が止め金３０によ
り取付けられている。モータ・カバー２５の分解
した状態が第４図に示されている。モータ・カバ
ー２５はそのフランジ２５ａによつて上記軸受フ
レーム８に設けられた連通孔２３を閉塞するよう
に取付けられているが、第５図によく見られるよ
うに、フランジ２５ａには切欠部２５ｄが設けら
れており、この切欠部２５ｄによつて軸受フレー
ム８の返油孔２１と隙間２７を導通させ、返油が
油溜め１４に戻るように構成されている。なお第
３図乃至第５図に示す実施例の上述した以外の構
成は第１図、第２図に示す従来例のスクロール圧
縮機と同様であるから説明を省略する。

次に冷媒ガスの流れは冷媒ガス吸入経路として
実線で矢印で示すように、外部から冷媒ガス吸入
管１５を通つて密封シエル１１内に導入し、連通
口２２、モータエアギヤツプ隙間２８を通つてモ
ータを冷却した後、連通孔３１，２３を通つて固
定スクロール吸入口２４に吸入され、圧縮機構に
圧縮後、吐出口３を介して吐出管１６より排出さ
れる。一方油の流れは潤滑油経路として破線矢印
で示すように、密封シエル１１内の底部の油溜め
１４に溜められた油を遠心ポンプ作用により給油
孔６を通つて各軸受１７，１８，１９の摺動部へ
給油され潤滑に使用された後、返油孔２０，２１
を通つてモータカバー２５のフランジ２５ａの切
欠部２５ｄを通過後、隙間２７を通つて油溜め１
４に戻る。こように冷媒ガスの主経路と潤滑油の
主経路がモータカバー２５により完全に分離され
ているため、運転中の油上りを押えることができ
る。一方軸受１９から若干の油が漏出し、吸入ガ
スの流れに晒されているが、その大部分はモー
タ・ロータ９とモータステータ１０間のエアギヤ
ツプ等を通して、冷媒ガスとともに下方に流れ、
モータ下部で冷媒ガスが180゜向きを上方に流れを
変えた時、重量差でふり切られ、モータ・カバー
２５の下部に設けられた穴２５ｂより油溜め１４
へ回収され再循環に供される。また起動時等にフ
オーミングが生じてもチエツク弁２９が閉じてモ
ータ・カバー２５の穴２５ｂをふさぐため、フオ
ーミングした油は、吸入経路に流入しないため、
それによる油上りを防止することができる。この
実施例ではモータ・カバー２５の穴２５ｂに適用
されるチエツク弁２９はリング状のもので説明し
たが、これに限定されるのでないことは言うまで
もない。

以上のようにこの発明によれば、モータの下部
を覆うように軸受フレームに取付けられ、冷媒ガ
ス吸入経路と潤滑油経路とを分離するモータカバ
ーを設けたので、圧縮機運転中に油が冷媒ガスに
混入するということがなくなるため、冷媒ガスと
ともに油が圧縮機外に排出（油上り）されてしま
うという不具合を解消でき、また、モータカバー
の下部における所定の位置に設けられた穴を下方
向から塞ぐチエツク弁を設けたので、起動時など
にフオーミングが生じてもチエツク弁が閉じてモ
ータカバーの穴を塞ぐため、フオーミングした油
が冷媒ガス吸入経路に流入するということがなく
なり、その結果としてフオーミングによる油上り
を抑えられ、油枯渇による軸受等の損傷あるいは
焼付き事故を防止できるとともに、油上りを考慮
してあらかじめ油溜めの油量を多くしておく必要
がないためその分圧縮機を小形化できるなどの効
果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ〜ｄはスクロール圧縮機の作動原理
図、第２図は従来のスクロール圧縮機の断面図、
第３図はこの発明の一実施例を示すスクロール圧
縮機の断面図、第４図は同じく要部分解図、第５
図は同じく要部底面図である。 １…固定スクロール、２…揺動スクロール、５
…主軸、７，８…軸受フレーム、９…モータ・ロ
ータ、１０…モータ・ステータ、１１…シエル、
１４…油溜め、１５…吸入管、１６…吐出管、１
７，１８，１９…軸受、２５…モータ・カバー、
２９…チエツク弁、３０…止め金、２５ａ…フラ
ンジ、２５ｄ…切欠部、２０，２１…返油孔、２
２，２３，３１…連通孔。図中同一符号は同一又
は相当部分を示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 密封シエル内の上部に配置され、揺動スクロ
   ールおよび固定スクロール等からなる圧縮機構を
   軸支する軸受フレームと、上記軸受フレームの下
   部に配置され、主軸を介して上記圧縮機構を駆動
   するモータと、外部から上記密封シエル内に導入
   した冷媒ガスにより上記モータを冷却したのちそ
   の冷媒ガスを上記圧縮機構にて圧縮すべく、その
   冷媒ガスを案内する冷媒ガス吸入経路と、上記密
   封シエル内の底部の油溜めに溜められた油により
   上記軸受フレームの軸受摺動部を潤滑したのちそ
   の油をその油溜めに戻すべく、その油を案内する
   潤滑油経路と、上記モータの下部を覆うように上
   記軸受フレームに取付けられ、上記冷媒ガス吸入
   経路と上記潤滑油経路とを分離するモータカバー
   と、上記モータカバーの下部における所定の位置
   に設けられた穴を下方向から塞ぐチエツク弁とを
   備えたスクロール圧縮機。