JPH0442553B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は冷凍機、空気調和機用の冷媒圧縮機
などに用いられるスクロール圧縮機に関するもの
である。

この発明の説明に入る前にスクロール圧縮機の
作動原理について簡単に述べる。

スクロール圧縮機の基本的な構成要素は第１図
に示すとおりであり、第１図ａ，ｂ，ｃ，ｄ中、
１は固定スクロール、２は揺動スクロール、１９
は吐出孔、２６は固定スクロール１と揺動スクロ
ール２との間〓に形成された圧縮室、０は固定ス
クロール１上の定点、０′は揺動スクロール２上
の定点である。

固定スクロール１および揺動スクロール２は、
同一形状で巻方向が互に反対の渦巻を有し、その
渦巻の形体は、従来から知られている如くインボ
リユートあるいは円弧等を組合せたものである。

次に動作について説明する。第１図において、
固定スクロール１は空間に対して静止しており、
揺動スクロール２は固定スクロール１と図のよう
に組合され、その姿勢を変化させないで、すなわ
ち自転運動をせずに固定スクロール１の定点０の
回りを回転運動すなわち揺動運動を行い、第１図
ａ，ｂ，ｃ，ｄに示す0゜、90゜、180゜、270゜の作動
位置のように順次運動する。このような揺動スク
ロール２運動に伴つて、固定スクロール１と揺動
スクロール２の渦巻間に形成される三日月状の圧
縮室２６は順次その容積を減じ、外周部より圧縮
室２６に取込まれた気体は固定スクロール１の中
心部付近まで圧縮されて吐出孔１９から吐出され
る。この間に、第１図の点Ｏ〜O′の距離は一定
に保持されており、渦巻の間隔をａ、厚さをｔで
表わすと、OO′＝ａ／２−ｔとなつている。なお、 ａは渦巻のピツチに相当している。スクロール圧
縮機の名前で知られる装置の概略は以上のようで
ある。

次に、従来例のスクロール圧縮機の具体的な構
成を第２図により説明する。

第２図において、１は固定スクロールであり、
固定スクロール１は揺動スクロール２に嵌合さ
れ、かつボルト締めなどで軸受支え３に固定され
ている。揺動スクロール２はクランク軸４に連結
され、かつ揺動スクロール２と軸受支え３との間
に位置したオルダム継手などの自転防止装置５に
連結されて軸受支え３に支持されている。上記ク
ランク軸４には電動機ロータ６が圧入などの手段
で結合され、このロータ６にはバランサ７，８が
かしめなどにより固定されている。上記ロータ６
が回転自在に嵌合した電動機ステータ９および軸
受支え３は圧入などにより圧力容器すなわちシエ
ル１０の内周面に固定されている。そして、軸受
支え３はシエル１０内を吐出空間１４と吸入空間
１５とに隔絶している。また、上記ステータ９の
上方側コイルエンド付近の高さに相当するシエル
１０の側面に端子台１１がろう付などで固定さ
れ、この端子台１１には外部電源につながるリー
ド線（図示しない）と電動機リード線１２を接続
させる端子１３が固定されている。上記固定スク
ロール１、軸受支え３およびクランク軸４には、
シエル１０の内壁と固定スクロール１０の渦巻側
に対し反対側の面で作られる油溜め１６と各軸摺
動部とを導通させる油孔１７，１８が設けられて
いる。また、固定スクロール１には、吐出口１９
の吐出空間１４への開口位置を油溜め１６内の油
面の高さより高くなるようにするために、台座２
０が設けられている。固定スクロール１上には油
分離要素２１が設けられている。さらに、シエル
１０には、上記ステータ９の下方のコイルエンド
付近に開口した吸入配管２２と、油溜め１６の油
面よりも高い部位に配置した吐出配管２３がろう
付などで取付けられている。なお、第２図中、２
４は電動機ロータ６とステータ９との間のギヤツ
プ、２５は吸入口、２６は圧縮室である。

次に、上述のように構成されたスクロール圧縮
機の動作について説明する。

電源からシエル１０の側面に設けられた端子１
３およびリード線１２を介して電動機ステータ９
に通電すると、電動機ロータ６に回転トルクが発
生し、クランク軸４を回転させる。クランク軸４
の回転によつて揺動スクロール２は旋回し始める
が、自転防止装置５により自転が妨げられるの
で、固定スクロール１と揺動スクロール２とで、
第１図ａ，ｂ，ｃ，ｄに示し上述した圧縮原理に
よつて、ガスを圧縮する。ここで、揺動スクロー
ル２は偏心公転運動をするが、その静的および動
的釣り合せをバランサ７，８で行う。このように
して、スクロール圧縮機が運転されると、作動流
体のガスは、第２図に実線矢印で示すように、吸
入配管２２から吸入されて吸入空間１５に入る。
この吸入ガスは電動機ロータ６とステータ９との
間のギヤツプ２４を経て吸入口２５を通り圧縮室
２６に至る。この圧縮室２６で高圧にされたガス
は吐出口１９を通り油分離要素２１を通過した後
に吐出空間１４に放出され、吐出配管２３から排
出される。この動作中に電動機ローラ６とステー
タ９は吸入ガスによつて冷却される。また、油
は、第２図の波線矢印に示すように、高圧の吐出
空間１４と低圧の吸入口２５および吸入空間１５
の差圧より油溜め１６から固定スクロール１、軸
受支え３およびクランク軸４に設けられた油孔１
７，１８を通り、各軸受摺部へ圧送されてこれら
の摺動部を潤滑する。潤滑に使われた油は吸入口
２５および吸入空間１５に排出されて吸入ガスに
より運ばれる。そして、この油は吸入ガスが圧縮
室２６で圧縮される際に圧縮室２６の〓間をシー
ルするためにも用いられる。このようにして、吐
出口１９から吐出ガスと共に油が排出され、この
油は油分離要素２１により吐出ガスと分離されて
油溜め１６へ戻る。

上述したような従来の高低圧混合シエルタイプ
の密閉形スクロール圧縮機では、シエル１０内の
上方に圧縮部を配設し、その下方に電動機部を配
設していたので、次のような欠点があつた。

端子台１１のシエル１０への取付位置が電動
機ステータ９と軸受支え３との間に限られるた
め、上記ステータ９をシエル１０に圧入などで
嵌合固定する際に電動機のリード線１２と端子
１３との接続がむずかしく、作業性が悪い。な
お、端子台の他の取付位置として、固定スクロ
ールの上方のシエル上部と、ステータの下方の
シエル下部とが考えられるが、前者は確実なシ
ールを必要とする軸受支えとシエルとの間に電
動機リード線を通さなければならず、また後者
は取付スペースを確保するのにシエルの高さを
高くしければならないなどの不具合が生じるこ
とにより、上述のようにステータと軸受支えと
の間に端子台の取付位置が限られる。

また、軸受摺動部から漏れてくる潤滑後の油
はすべてを吸入ガスによつて回収するができ
ず、一部がシエル１０の底部に溜まり、軸受給
油にも圧縮室の〓間シールにも関与しないむだ
な油が存在する。

この発明は、固定スクロールを下部に固定した
軸受支えにより、シエル内を電動機部を収容した
上方の低圧部と、圧縮部を収容した下方の高圧部
とに仕切り、シエルの底部に油溜めを形成し、シ
エル上部に吸入配管を設け、シエル下部の吐出し
空間位置に吐出配管を設け、さらに、固定スクロ
ールと軸受支えとに上方への油孔を設け、油溜め
と油孔との間に給油管を設けたものである。

これにより、油溜めの加圧された油が給油管か
ら油孔に上昇され、軸受部を潤滑し、さらに、圧
縮室に入りシール作用をし、下降し油溜めに戻さ
れる。こうして、油ポンプ手段を要せず、簡単な
構成で確実な給油がされるスクロール圧縮機を得
ることを目的としている。

さらに、電動機の端子部をシエル上部に配設す
ることにより、組立が作業性よく行えるスクロー
ル圧縮機を得ることを目的としている。

以下、この発明の一実施例を第３図によつて説
明する。

この実施例のスクロール圧縮機は、シエル１０
内の上方に電動機ロータ６およびステータ９など
からなる電動機部が配設され、その下方に固定ス
クロール１、揺動スクロール２を含む圧縮部が配
設されている。また、電動機上方のシエル１０頭
部に端子台１１が取付けられ、電動機ステータ６
上側のコイルエンドから出ている電動機リード線
１２が端子台１１に設けられた端子１３に接続さ
れている。さらに、固定スクロール１下方のシエ
ル１０底部が油溜め１６となつている。この油溜
め１６の油中に一端が開口した給油管２７の他端
部が固定スクロール１に設けた油孔１７に圧入な
どで嵌合固定されている。この油孔１７は各軸受
摺動部へ導通している。吐出配管２３は油溜め１
６の油面高さよりも高い位置で吐出空間１４に開
口するように配設され、かつ吸入配管２２は電動
機上方の吸入空間１５に開口するように配置され
て、それぞれシエル１０にろう付けするなどで固
定されている。なお、この実施例の上述した以外
の構成は、第２図に示すものと実質的に同様であ
るから、第３図中の第２図と相当する部分に同一
符号をつけて、説明を省略する。

上述のように構成された実施例のスクロール圧
縮機は、第２図に示すものと同様な作動原理で、
吸入管２２から吸入されたガスが圧縮されて吐出
口１９から高圧となつて排出される。そして、吐
出空間１４が高圧になると、油溜め１６の油が加
圧され、油は吸入空間１５と吐出空間１４との差
圧によつて給油配管２７から油孔１７，１８を通
り、各軸受摺動部へ圧送される。これらの摺動部
へ給油されて潤滑した後の油は、吸入空間１５に
漏出し、自重による落下て吸入ガスの流れの作用
とですべて吸入口２５に送り込まれ、吸入ガスと
共に圧縮室２６に入り、この油が高圧側と低圧側
の油シールに用いられる。その後、油はガスとの
混合状態になつて吐出口１９から吐出され、油分
離要素２１によりほとんどすべての油が分離さ
れ、重力によつて油溜め１６に戻される。このよ
うにして、圧縮機内の油はほとんどすべて油溜め
１６に回収されるので、ほぼ全部の油を軸受摺動
部の潤滑および圧縮室の〓間のシールに有効に使
うことができる。

また、シエル１０内に電動機部を上方に、その
下方に圧縮部を配設し、端子台１１を電動機ステ
ータ９上方に位置するシエル１０頭部に設置した
ので、上記ステータ９をシエル１０内に圧入など
で嵌合固定した後に、ステータ９のコイルエンド
から延びている電動機リード線１２を端子台１１
に固定されている端子１３に接続できるようにな
り、組立が容易にできる。

以上のように、この発明によれば、シエル内に
電動機部を上方に、圧縮部を下方に収容し、固定
スクロールを下部に固定した軸受支えによりシエ
ル内を上方の低圧部と下方の高圧部とに仕切り、
底部に油溜りを形成し、吸入配管をシエル上方位
置に設け、吐出配管をシエル下部の吐出空間位置
に設け、さらに、固定スクロールおよび軸受支え
に設けた油孔と油溜めとの間に給油管を設けたの
で、油溜めの油が加圧され、上方の低圧部に吸引
され、軸受部の潤滑および圧縮室のすき間シール
が効果的になされ、給油手段が簡単になる。さら
に、電動機の端子部をシエル上部に配設すること
により、組立の作業性が向上するなどの効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂ，ｃ，ｄはスクロール圧縮機の互
に異なつた作動位置を示す作動原理説明図、第２
図は従来のスクロール圧縮機の実施例を示す縦縦
断面図、第３図はこの発明によるスクロール圧縮
機の一実施例を示す断面図である。 １……固定スクロール、２……揺動スクロー
ル、３……軸受支え、４……クランク軸、６……
電動機ロータ、９……電動機ステータ、１０……
シエル（密閉容器）、１１……端子台、１２……
電動機リード線、１３……端子、１４……吐出空
間、１５……吸入空間、１６……油溜め、１９…
…吐出口、２１……油分離要素、２５……吸入
口、２６……圧縮室、２７……給油配管。なお、
図中同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 巻方向が互に反対の渦巻を有しこれらの渦巻
   どおしを互に組合わせて圧縮室を形成する固定ス
   クロールおよび揺動スクロールと、揺動スクロー
   ルにクランク軸を介して連結された電動機と、上
   記電動機を回転させる軸受部を有し、上記固定ス
   クロールが固定されている軸受支えと揺動スクロ
   ールの間に設けられ揺動スクロールに自転をしな
   い揺動運動を行わせるための自転防止装置と、こ
   れらの構成要素を収容したシエルとを備えたスク
   ロール圧縮機において、上記シエルの低部に油溜
   めを形成し、上記固定スクロールを下部に固定し
   た上記軸受支えにより上部の低圧部と下部の高圧
   部とに仕切り、上部に電動機部を配置し、下部に
   上記両スクロールを含む圧縮部を配置し、上記シ
   エルの上方に吸入配管を設け、シエルの下方の吐
   出空間位置に吐出配管を設け、固定スクロールと
   軸受支えとに設けた上方への油穴に、油溜めの油
   を上昇させ上記軸受部に給油する給油管を接続し
   たことを特徴とするスクロール圧縮機。 ２ 電動機のリード線を密閉容器の上部に集め、
   上記リード線と外部電線との接続部となる端子お
   よびこれらを固定する端子台を電動機上方のシエ
   ル頭部に設けた特許請求の範囲第１項に記載のス
   クロール圧縮機。