JPH0730948Y2 - 横型スクロ−ル圧縮機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （イ）産業上の利用分野 この考案は密閉容器内に流入してスクロール圧縮機部に
導かれる冷媒流によってこの密閉容器に溜っているオイ
ルがスクロール圧縮機部に吸込まれないようにする横型
スクロール圧縮機の改良に関する。

（ロ）従来の技術 従来の横型スクロール圧縮機は例えば特開昭61−53488
号公報に示されているように構成されている。ここで、
この公報を参考に従来例を説明する。第３図において、
50は密閉容器で、この容器内にはうず巻き状のラップを
有する旋回スクロール51及び固定スクロール52を組み合
わせた圧縮機部53と、旋回スクロール51を支持するフレ
ーム54と、旋回スクロール51に連結する回転軸55を駆動
する電動機部56とが収納されている。また、密閉容器50
の電動機部56側に吸込管57が、圧縮機部53側に吐出管58
がそれぞれ取付けられて、電動機部56周囲が低圧力の吸
入ガス雰囲気に、固定スクロール52の背面側が高圧力の
吐出ガス雰囲気になっている。固定スクロール52及びフ
レーム54には吸込管57より密閉容器50内に流入する吸入
ガスを圧縮機部53の吸入室59へ導くガス通路60が設けら
れている。このガス通路のガス導入口61は回転軸55の軸
心よりも上方に位置している。

この構造の横型スクロール圧縮機ではガス通路60のガス
導入口61を回転軸55の軸心よりも上方に位置させ、吸込
管57より密閉容器50内に流入した冷媒によってこの密閉
容器内の底部に溜っているオイルがスクロール圧縮機53
に流入されにくくしている。

（ハ）考案が解決しようとする問題点 しかしながら、ガス通路60のガス導入口61は密閉容器50
内の底部に溜ったオイルの上方で開口しており、電動機
部56を通る冷媒流で貯溜されたオイルが巻き上げられ、
この巻き上げられたオイルが電動機部56の回転でさらに
掻き上げられてガス導入口61に流入する冷媒流によりス
クロール圧縮機部53に流入させられ、この圧縮機部で液
圧縮が生じたり、底部に貯溜されるオイル量が少なくな
って潤滑不良が起こったりする等の問題があった。

この考案は上記の問題を解決するもので、電動機部を通
ってフレームの吸込通路に流れる冷媒がこの電動機部の
通過後に密閉容器内の底部に流れないようにして底部に
溜っているオイルがスクロール圧縮機部に流入しないよ
うにすることを目的としたものである。

（ニ）問題点を解決するための手段 この考案はフレームにスクロール圧縮機部と電動機部と
の間の低圧室を上下に仕切る仕切壁を設け、かつ、スク
ロール圧縮機部の圧縮空間に冷媒を導く吸込通路を仕切
壁の上方で低圧室に開口させたものである。

（ホ）作用 この考案は上記のように構成したことにより、吸込管か
ら電動機部を通って、この電動機部とスクロール圧縮機
部との間の低圧室に流入する冷媒を仕切壁で、この仕切
壁の上方の吸込通路に流れるようにして密閉容器内の底
部に流れにくくし、冷媒流によってこの密閉容器内の底
部に溜ったオイルが巻き込まれてスクロール圧縮機部に
流出しないようにしたものである。

（ヘ）実施例 以下この考案を第１図及び第２図に示す実施例に基いて
説明する。

１は密閉容器で、この容器内には電動機部２と、この電
動機部の水平な回転軸３によって駆動されるスクロール
圧縮機部４とが収納されている。

電動機部２は巻線５を有する固定子６と、この固定子の
内部でエアギャップ７を介して回転軸３に取付けられた
回転子８とで構成されている。

スクロール圧縮機部４は固定スクロール９、旋回スクロ
ール10及びフレーム11で構成されている。

固定スクロール９は密閉容器１内を高圧室12と低圧室13
とに仕切る円板状の鏡板14と、この鏡板の一方の面周縁
に突出して設けられた環状壁15と、この環状壁で囲まれ
て鏡板14に突出して設けられたインボリュート状または
これに近似の曲線からなる渦巻き状のラップ16とで構成
されている。固定スクロール９の鏡板14には中央に高圧
室12に連通する吐出孔17が設けられている。

旋回スクロール10は鏡板18と、この鏡板の一方の面に突
出して設けられたインボリュート状またはこれに近似の
曲線からなる渦巻き状のラップ19と、鏡板18の他方の面
の中央に突出して設けたピン部20とで構成されている。

フレーム11は中央に回転軸３を軸支する軸受部21と、周
縁に固定スクロール９の環状壁15にボルト22で固定され
る第１の取付足23と、固定子６の巻線５を囲む第２の取
付足24とで構成されている。

固定スクロール９と旋回スクロール10とはラップ16,19
を互に向い合わせてかみ合わせ、内部に複数の圧縮空間
25を形成するようにしている。

26は回転軸３の先端に設けられて旋回スクロール10のピ
ン部20を挿入するボス穴で、このボス穴の中心は回転軸
３の軸心と偏心して設けられている。ボス穴26のまわり
の回転軸３にはバランスウェイト27が設けられている。
このバランスウェイトはフレーム11で形成された空間28
内を回転している。29は固定スクロール９に対して旋回
スクロール10を見かけ上自転しないように円軌道上を公
転させるオルダムリングである。

30はフレーム11の外周に設けてスクロール圧縮機部４と
電動機部２との間の中空部31を上下に仕切る仕切壁で、
この仕切壁は回転軸３と略同し高さで水平に設けられて
いる。32はフレーム11に設けられた吸込通路で、この吸
込通路は仕切壁30の上方に開口している。

33は底部にオイルの貯溜されたオイル溜34を有する低圧
室13に開口する吸込管で、この吸込管は電動機部２のエ
アギャップ７を介して吸込通路32に連通している。35は
高圧室12に開口した吐出管である。

このように構成された横型スクロール圧縮機において、
電動機部２を回転させると、その回転力が回転軸３を介
して旋回スクロール10に伝えられる。すなわち、旋回ス
クロール10は回転軸３のボス穴26にこの回転軸の軸心に
対して偏心して挿入されたピン部20で駆動され、オルダ
ムリング29で固定スクロール９に対して見かけ上自転し
ないように円軌道上を公転させられる。そして、固定ス
クロール９と旋回スクロール10とはこれらのスクロール
で形成された圧縮空間25を外方から内方に向って次第に
小さくさせ、吸込管33から密閉容器１内の低圧室13に流
入して電動機部２のエアギャップ７を通りフレーム11の
吸込通路32を流れる冷媒を圧縮している。この圧縮され
た冷媒は固定スクロール９の鏡板14の吐出孔17から高圧
室12に吐出され、吐出管35を介して密閉容器１外に吐出
される。

吸込通路32は中空部31を上下に仕切る仕切壁30の上方に
開口させることにより、吸込管33から低圧室13に流入し
て電動機部２のエアギャップ７を流れる冷媒を仕切壁30
の上方の中空部31に導き、エアギャップ７を通って中空
部31に流出した冷媒でオイル溜34のオイルが巻き上げら
れないようにしている。

この考案は電動機部２のエアギャップ７を通った冷媒を
仕切壁30で中空部31の上方に導くようにするとともに、
この中空部の下方に流れないようにすることにより、中
空部31の下方のオイル溜34のオイルが冷媒流で巻き上げ
られて圧縮空間25内に流入しないようにし、液圧縮によ
る異常振動や騒音、あるいは低圧室13のオイル溜34に貯
溜されているオイル量が不足して潤滑不良が生じないよ
うにしたものである。

（ト）考案の効果 この考案の横型スクロール圧縮機はフレームにスクロー
ル圧縮機部と電動機部との間の低圧室を上下に仕切る仕
切壁を設け、かつ、スクロール圧縮機部の圧縮空間に冷
媒を導く吸込通路を仕切壁の上方で低圧室に開口させた
のであるから、吸込管から低圧室へ流入した冷媒を仕切
壁で、この仕切壁の上方に開口した吸込通路に導かれる
ようにすることによって、低圧室の底部に溜っているオ
イルが冷媒流で吸込通路に吐出されないようにでき、液
圧縮による振動や騒音、あるいはオイル溜のオイル量の
不足による潤滑不良を防止できるようにしたものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図はこの考案を示し、第１図は横型スク
ロール圧縮機の断面図、第２図は第１図のII−II線断面
図、第３図は従来例を示す横型スクロール圧縮機の断面
図である。 １…密閉容器、２…電動機部、３…回転軸、４…スクロ
ール圧縮機部、９…固定スクロール、11…フレーム、12
…高圧室、13…低圧室、21…軸受部、25…圧縮空間、30
…仕切壁、31…中空部、32…吸込通路、33…吸込管、35
…吐出管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】底部にオイル溜を有する密閉容器と、この
   容器内に収納された電動機部と、この電動機部の水平な
   回転軸で駆動されるスクロール圧縮機部とを備え、この
   スクロール圧縮機部の固定スクロールで密閉容器内を高
   圧室と低圧室とに区画し、前記密閉容器に高圧室に連通
   する吐出管と、低圧室に連通する吸込管とを設け、固定
   スクロールに取付けられて回転軸を軸支する軸受を有す
   るフレームに吸込管に連通してスクロール圧縮機部に冷
   媒を導く吸込通路を設けたスクロール圧縮機において、
   前記フレームには吸込通路の下方に密閉容器内の低圧室
   を分割する仕切壁が設けられていることを特徴とする横
   型スクロール圧縮機。