JPH04219254A - インクジェット記録装置の回復処理方法およびインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置の回復処理方法およびインクジェット記録装置

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JPH04219254A
JPH04219254A JP3079271A JP7927191A JPH04219254A JP H04219254 A JPH04219254 A JP H04219254A JP 3079271 A JP3079271 A JP 3079271A JP 7927191 A JP7927191 A JP 7927191A JP H04219254 A JPH04219254 A JP H04219254A
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ink
ejection
recovery
recording head
period
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Norifumi Koitabashi
規文 小板橋
Hitoshi Sugimoto
仁 杉本
Hiroshi Tajika
博司 田鹿
Miyuki Matsubara
松原 美由紀
Atsushi Arai
篤 新井
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット記録ヘ
ッド、並びに事務機器一般に用いられるプリンタ,複写
機,ファクシミリ,インクジェット記録装置等に適用可
能な記録ヘッド又はインクタンク一体型の記録ヘッドの
回復方法、さらには、装置本体に対して着脱可能な記録
ヘッドを用いる記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のインクジェット記録ヘッドや装置
において、膜沸騰を利用した熱エネルギ記録方式は、圧
電素子を利用したものに比べて格別に記録特性や記録品
位が良く、光エネルギ等を用いた他の熱エネルギ記録に
比較しても優れたものとして実用化されている。
【0003】しかしかかる記録ヘッドや記録装置では、
記録剤に液体であるインクを用いているため、インク増
粘や固化が生じることがあり、これに起因して生じる不
都合を解消すべく、インクジェット記録装置においては
他の記録装置に見られない固有の構成、すなわち液路内
をリフレッシュしたり、吐出口形成面を良好な状態にす
る手段、所謂記録ヘッドの吐出回復系が設けられている
【0004】これら吐出回復系には種々の構成のものが
あり、まず液路内をリフレッシュするものとして、記録
時以外に吐出エネルギ発生素子を駆動して所定のインク
受容媒体にインク吐出を行わせるもの(予備吐出または
空吐出とも呼ばれる)がある。
【0005】これを開示する特許としては、英国特許第
2,169,855 号明細書を挙げることができる。 この特許は、上記内容以外にインクを予備的に加熱して
から後に予備吐出を行うことも開示している。
【0006】また、インク供給系を加圧したり、あるい
はインクの吐出口より吸引を行う等、液路に所定の圧力
を作用させてインクを吐出口より強制的に排出させるよ
うにしたものもある。
【0007】これを開示する代表的な特許は、米国特許
第4,600,931号明細書である。この吸引回復は
常に行うものではなく、記録不良が生じるような状況に
至る直前或いは不吐状態において行われるものである。 吸引回復の発明は多くの出願があり、中でも吸引条件を
大にする大回復と通常吸引を行う通常回復とを切換える
発明も知られている。
【0008】また、吐出口形成面をリフレッシュして吐
出方向の偏向を予防するものとしては、吐出口形成面と
接触するワイピング部材を設け、両者を相対移動させる
ことにより吐出口近傍に付着したインク滴,塵埃等を拭
う(ワイピング)するものもある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明らは、従来の回
復手段について検討したところ、記録時の環境変化(ヘ
ッド温度や周囲温度やシーケンス中の工程等を含む)に
おいて予備吐出条件を変化させることは有効であり、吸
引や加圧ポンプによる強制排出も通常は有効であるが、
以下の問題を見い出すに至った。
【0010】すなわち、より多量にインクを消費し、か
つ長時間をかけても、高水準の回復ができない場合がみ
られたのである。これは、吸引や加圧による強制排出時
に特に問題であり、複数吐出口全体に対して均等な吸引
力や加圧力が作用せずにインクを無駄にしてしまうこと
に起因したものであった。特に、この回復力を強めよう
とポンプの大型化を行ってもそれ程有効でなく、かえっ
てインクの損失量を多大にしていたことが判明した、ま
た、予備吐出による各吐出口からのインク吐出量を増や
すことは回復処理に費やされる時間が長くなり記録のス
ループットが下がってしまう問題がある。これらは低温
環境下での回復処理において顕著である。
【0011】本発明の目的は、与えられた強制回復手段
の回復能力を効率良く向上でき、装置の大型化を招くこ
となく、確実な回復を達成できるインクジェット記録ヘ
ッドの回復方法及びそれを実施する装置の提供にある。
【0012】本発明の他の目的は、記録ヘッドへ供給さ
れるインク収納部内の負圧発生源である吸収体の影響が
あっても確実な回復処理を実行できる回復方法及び記録
装置の提供にある。
【0013】本発明の別の目的は、回復程度が従来に比
べて優れており、その処理時間を短縮でき、最適にはイ
ンク損失量も減じることが可能な回復方法及び記録装置
の提供にある。
【0014】より具体的な本発明のさらに別の目的は、
チューブポンプなどの機構の大型化を招くことなく、効
率のよい吸引を回復処理開始時から得ることのできる回
復方法及び記録装置の提供にある。
【0015】
【課題を解決するための手段】そのために、本発明は、
複数の吐出口にそれぞれ対応した吐出エネルギ発生素子
を備えたインクジェット記録ヘッドの回復処理方法にお
いて、前記吐出エネルギ発生素子を駆動して前記複数の
吐出口からインクを吐出させる素子駆動工程とインクを
ヘッド内部から前記吐出口を介して強制排出する工程と
を同時に行う回復モードを具えたことを特徴とする。
【0016】ここで、前記吐出エネルギ発生素子は発熱
素子であって、前記素子駆動工程は、当該発熱素子にイ
ンクに気泡を形成する駆動信号を供給する工程であり、
さらに前記素子駆動工程は、上記発熱素子に上記駆動信
号の複数を供給して複数回のインク吐出を行う工程とす
ることができる。また、前記強制排出工程は、前記複数
吐出口を覆うキャップを介して吸引する工程とすること
ができる。
【0017】また、本発明は、複数の吐出口にそれぞれ
対応した吐出エネルギ発生素子を備えたインクジェット
記録ヘッドの回復処理方法において、回復処理開始に応
じて前記記録ヘッド内のインクを加熱する加熱工程と、
当該加熱工程後、前記吐出エネルギ発生素子を駆動して
上記複数の吐出口からインクを吐出させる素子駆動工程
とヘッド内部からインクを上記吐出口を介して強制排出
する工程とを同時に行う回復モードを具えたことを特徴
とする。
【0018】ここで、前記吐出エネルギ発生素子は発熱
素子であって、前記素子駆動工程は、当該発熱素子にイ
ンクに気泡を形成する駆動信号を供給する工程であり、
前記素子駆動工程は、前記発熱素子に上記駆動信号の複
数を供給して複数回のインク吐出を行う工程とすること
ができる。
【0019】さらに、本発明は、インク吸収体を内部に
具備したインク収納部を一体化して記録を行うインクジ
ェット記録ヘッドを搭載して記録を行う記録装置におい
て、前記記録ヘッドが備える複数の吐出エネルギ発生素
子を記録信号に応じて駆動して記録媒体に記録を行う記
録モードを実行する記録モード実行手段と、前記記録ヘ
ッドが備える複数の吐出エネルギ発生素子を駆動すると
略同時に、前記記録ヘッドの吐出口から吸引を行う回復
モードを実行する回復手段と、前記記録モードと前記回
復モードとを選択するモード選択手段とを具えたことを
特徴とする。
【0020】ここで、前記回復モードは、前記吐出口を
覆うキャップを介し、吸引ポンプを駆動して前記吸引を
行うと共に前記複数の吐出エネルギ発生素子を駆動する
モードとすることができる。また、前記吐出エネルギ発
生素子は発熱素子であって、前記素子駆動は当該発熱素
子にインクに気泡を形成する駆動信号を供給する駆動で
あることができる。さらに、前記回復モードでは、前記
気泡の成長中に前記吸引を開始し、前記吸引時の最大吸
引力を前記気泡の消泡時に作用させるタイミング駆動が
行われるようにすることができる。また、前記回復モー
ドは、前記気泡の成長によるインク吐出時に前記吸引力
を作用させるモードとすることができる。
【0021】加えて、本発明は、インクを吐出する吐出
口と当該インクの吐出のために利用されるエネルギを発
生する吐出エネルギ発生素子とを有する記録ヘッドと、
該記録ヘッドに対して圧力を作用することによりインク
を排出させる排出手段と、前記吐出口内方の異物を除去
して前記記録ヘッドにインク吐出状態を良好にする吐出
回復処理にあたり、前記排出手段を駆動すると同時に前
記吐出エネルギ発生素子を駆動する手段とを具えたこと
を特徴とする。
【0022】ここで、前記吐出エネルギ発生素子はイン
クに膜沸騰を生じさせる熱エネルギを発生するための電
気熱変換素子の形態を有するものとすることができる。 また、前記吐出回復処理に先立ってインクを加熱するよ
うにすることができる。さらに、前記吐出回復処理にお
ける前記吐出エネルギ発生素子の駆動周波数を、インク
の限界リフィルより高く設定することができる。
【0023】さらに加えて、本発明は、複数の吐出口に
それぞれ対応した吐出エネルギ発生素子を備えたインク
ジェット記録ヘッドの回復処理方法において、前記吐出
エネルギ発生素子を駆動して前記複数の吐出口からイン
クを吐出させる素子駆動期間とインクをヘッド内部から
前記吐出口を介して強制排出する強制排出期間とを併用
して回復を行う回復併用期間を有する回復モードを具え
たことを特徴とする。
【0024】ここで、前記吐出エネルギ発生素子は発熱
素子であって、前記素子駆動期間は少なくともインクに
気泡を形成する駆動信号を前記発熱素子に供給してイン
ク中に少なくとも気泡を形成する期間であり、前記強制
排出期間は、前記強制排出を司る回復ポンプを使用し、
該回復ポンプが所定の吸引力を発揮している期間とする
ことができ、さらに、前記強制排出期間は、前記複数吐
出口を覆うキャップを介して吸引する工程中の期間とす
ることができる。また、前記インクジェット記録ヘッド
は、インク吸収体を内部に具備したインク収納部からの
インク供給を受けて記録を行うインクジェット記録ヘッ
ドであり、前記吐出エネルギ発生素子は発熱素子とする
ことができ、前記回復併用期間を有する回復モードは、
静圧での前記インク吸収体の負圧が初期状態から増加し
た所定値以上で実行されるようにすることができる。ま
た、前記素子駆動期間の終了時は、前記強制排出期間の
終了時よりも前とすることができる。
【0025】または、前記素子駆動期間の開始時は、前
記強制排出期間の開始時よりも前とし、前記素子駆動期
間の終了時は、前記強制排出期間の終了時よりも前とす
ることもできる。さらに、前記素子駆動期間は、前記強
制排出期間の強制排出のための最大圧力の30%以上の
期間に実行されるようにすることもできる。
【0026】
【作用】本発明は、ヘッド吐出口から、吐出エネルギ発
生素子を駆動させてインクを吐出させる条件と、吸引ま
たは加圧ポンプによる強制的なインクの吐出を行う条件
と、を同時に行う工程或いは手段を有するものである。 本発明によれば、吐出口内方に適切な負圧を作用させて
効果的に気泡等の異物を除去できるので、ポンプ自体を
小型化できる他、複数吐出口全体の回復処理を確実でし
かも短時間で行える効果がある。
【0027】
【実施例】以下、図面を参照して本発明を詳細に説明す
る。
【0028】(1) カートリッジ まず、図1は本実施例に係るインクジェット記録装置の
キャリッジ(第3図につき後述する)に搭載可能なカー
トリッジCの一構成例を示す。本例に係るカートリッジ
Cは、上方にインク吸収体(スポンジ等)を内部に有す
るインクタンク部80、下方に記録ヘッド86を有して
おり、さらに記録ヘッド86を駆動するための信号等を
受容するとともにインク残量検知の出力を行うためのヘ
ッド側コネクタ85を、インクタンク部80に並ぶ位置
に設けてある。従って、このカートリッジCを後述のキ
ャリッジに装填した際に、その高さHを低く押えること
ができる。また、カートリッジの走査方向の厚みWを薄
形化することで、第2図につき後述するようにカートリ
ッジCを並べて配置するときにキャリッジを小さく構成
することが可能である。
【0029】83はタンク外壁と一体に形成したコネク
タカバーであり、コネクタ85への不用意な接触を防止
している。また81は位置決め部であり、2方向の突き
当て面81a・81b が形成されている。これらの位
置決め面と、記録ヘッド86上に設けられる位置決め用
突き当て面と十分な距離をとることにより、後述の押し
ピンによる斜面84部への加圧で確実な記録ヘッドの位
置決め固定が可能となる。さらに、82はつまみであり
、カートリッジCを装填部に対して着脱する際等に用い
る。また、82a は前につまみ82に設けられ、イン
クタンク部80内部を大気と連通させるための大気連通
孔である。さらに82a は切り欠き部、83b はガ
イドであって、ともにカートリッジCを装填部に装填す
る際のガイドとなる。
【0030】本例に係る記録ヘッド86は、図中底面側
に開口した複数の吐出口を有し、その吐出口に連通した
液路部分にインク吐出に利用されるエネルギを発生する
吐出エネルギ発生素子が配置される。この吐出エネルギ
発生素子としては、吐出口ないし液路の高集積化が可能
なことから、熱エネルギ発生素子を用いるのが好適であ
る。
【0031】図2(a) および(b) は、それぞれ
、記録ヘッド86の吐出方向前方より見た正面図および
側断面図を示す。
【0032】図2(a) および(b) において、1
01 は記録ヘッド86のベース板であり、 Alによ
り形成されている。基板101 上にはSi等で形成さ
れる基板(ヒータボード)102 が接着されている。 ヒータボード102 にはその表面には熱エネルギ発生
素子としての電気熱変換体(不図示)やこの電気熱変換
体を駆動するための機能素子としてのダイオード等が形
成されている。103 はオリフィスプレート(吐出口
形成部材)であり、ここでは、インク液室を形成するた
めの溝を設けた天板103Aと一体成形されている。
【0033】このオリフィスプレート103 における
吐出口の形成は、例えばエキシマレーザ光の照射やフォ
トエッチング工程によって精度よく行うことができ、こ
れにより複数の吐出口全体にわたって精度の高い形状を
得ることができる。また、このオリフィスプレート10
3 は、吐出口形成面に複数の異種材料が露出する場合
には、これら材料間の濡れ性の違いによって生じる吐出
方向の偏向を防止する意味でも用いられるものである。
【0034】104 はフィルタであり、チップタンク
105 から共通液室106 に至るインク供給口に設
けられる。フィルタ104 は図中矢印のごとく流れて
くるインクの不純物や塵埃などを取り除く。フィルタ1
04 を通過したインクは共通液室106 に流れ込み
、この液室に連通する複数のインク液路107 の各々
にその吐出に応じて供給される。109 はオリフィス
プレート103 をその弾性力等で押え、開口面(ここ
では特にヒータボード102 の端面)に対して密着さ
せる押え部材である。本例では押え部材109 として
SUS (ステンレス)を用いている。
【0035】以上の構成において、記録ヘッド86に一
体化されているインクタンク部80からチップタンク1
05 にインクを供給し、その後図示した矢印のごとく
インクが流れる。まず、フィルタ104 を通過するこ
とでインク中の塵埃や不純物が除去され、共通液室10
6 に至りそこから液路107 に導かれる。そして液
路107 内に配設された電気熱変換体を駆動すること
によりインク中に気泡を発生させ、この気泡の状態変化
によって吐出口108 を介してインクを吐出する。
【0036】(2) キャリッジ 図3は、図1に示したカートリッジCを装着可能なイン
クジェット記録装置のキャリッジ周辺の構成例を示す平
面図である。図では、キャリッジ2上に4個のカートリ
ッジC1・C2・C3・C4(それぞれ異なった色のイ
ンクを収容しており、例えばイエロー,マゼンタ,シア
ン,ブラック等)を位置決めして装填する例を示してい
る。
【0037】保持部材としてのコネクタホルダ40上に
は、4個の押しピン10(押しピンA〜D)が係合して
おり、バネ10a(バネA〜D)によって図3中左方向
に付勢されている。ここで、保持部材としてのコネクタ
ホルダ40は、軸20( 軸I・ 軸II) を介して
リンク21( リンクI・ リンクII) と係合し、
更にこのリンク21に係合する操作レバー7の回転動作
(時計方向・反時計方向)に従って図3中左右方向に移
動可能であって、右方向に移動して加圧を解除してカー
トリッジの交換を可能とし、一方左方向に移動してカー
トリッジの装填を受容する構成になっている。
【0038】操作レバー7を軸9を中心に時計方向へ回
動させれば、ホルダ40が進んできて、ピン10がカー
トリッジCと係合してカートリッジCは装填部に装填さ
れる。そして押しピン10の先端部10b はそれぞれ
4個のカートリッジCの突き当て面1dに当接し、カー
トリッジを押圧する。また、押しピン10の外周面10
c はキャリッジ2の突き当て面2Sに当接し、発生す
る押しピン軸と直角方向のスラスト力をそれぞれ独立に
受ける構造になっている。従って、保持部材40はバネ
10a(バネA〜D)の反力のみを受けるだけであって
、スラスト力が作用しないために、複数のカートリッジ
を同時に解除するときも解除レバー7を小さな操作力で
操作して着脱動作が可能となる。
【0039】次にカートリッジC側のヘッドコネクタ8
5と、これに係合させるべく本体側に設けたコネクタ(
本体コネクタ)6との嵌合および離脱のための機構ない
し動作について説明する。
【0040】本体コネクタ6がヘッドコネクタ85に挿
入されるとき(尚、本体コネクタ6と一体の係合軸6a
が引張りバネ41(図4参照) の弾性力によってコネ
クタホルダ40のスリット状の係合穴嵌合部に嵌合した
状態にある)、レバー7を操作すると、本体コネクタ6
とコネクタホルダ40とが一体となって移動する。する
と、ヘッドコネクタ85と、本体コネクタ6とが出会い
、本体コネクタ6の斜面(図示せず)に案内されて本体
コネクタ6がヘッドコネクタ85と嵌合(結合)する。 この後、コネクタホルダ40は操作レール11側に所定
距離右方に移動する(この移動はレバー7の回転によっ
て行われる)。ここで、この所定距離とは、本体コネク
タ6を位置決め状態から可動な可動(解放)状態にする
ためのコネクタホルダ40の移動距離である。
【0041】そして本体コネクタ6は、ヘッドコネクタ
85と上記引張りバネ41よりも強い力で結合している
ので、本体コネクタ6はコネクタホルダ40から解放さ
れる。即ち係合が離れる。従って、本体コネクタ6とヘ
ッドコネクタ85の嵌合(結合) 時は、本体コネクタ
6はコネクタホルダ40に対し遊離状態になるので、カ
ートリッCはキャリッジ2に対し、押しピン10による
押圧力のみで位置決めされる事となり、記録ヘッド86
のキャリッジ2に対する正確な位置決めが確保されるわ
けである。
【0042】次に、カートリッジCを取り外す(解放す
る)ときには、レバー7を立てた位置から横にした位置
へ反時計方向へ回動させる。すると、係合軸6aはヘッ
ドコネクタ85と強い力で結合しているが、コネクタホ
ルダ40が右方に移動するにつれて、係合穴40a の
大径部側面が係合軸6aに突き当たり、第3図中奥方向
に係合軸6aを押しながら、本体コネクタ6をヘッドコ
ネクタ8から離脱(解放)させる。同時に押しピン10
もコネクタホルダ40と一体となって移動し、記録ヘッ
ド86より離れることになる。
【0043】(3) 記録装置の概略 図3ないし図5において、11はキャリッジ2の主走査
方向に延在し、キャリッジ2を摺動自在に支持する走査
レール、11a は軸受、51はコネクタを介しカート
リッジCとの間で種々の信号を授受するためのフレキシ
ブルケーブル、52はキャリッジ2を往復動させるため
の駆動力を伝達するベルトである。また、17,18 
および15,16 は、記録ヘッド86による記録位置
の前後に配置されて記録媒体の挟持搬送を行うためのロ
ーラ対、50は記録媒体の被記録面を平坦に規制するプ
ラテンである。
【0044】図4は以上の構成を適用したプリンタまた
は複写機,ファクシミリ等の記録装置の概略図を示して
いる。
【0045】記録装置本体1000は、操作側手前が開
閉可能なカバー1101を有している。このカバー11
01が回転中心軸を中心として開状態にされると、本体
内部を開放する。この開放によって、前述したレバー7
の回転動作が可能となり、カートリッジC1〜C4の装
置本体に対する着脱操作を可能とする。図中の実線表示
のレバー7は第1図示のカートリッジを装着可能とする
位置を示し、この位置では、カバー1101の閉状態へ
の移動を阻止する。なお、図中の破線表示のカートリッ
ジは装着動作中のものを示し、実線表示のカートリッジ
は装置本体に位置決めされて記録可能な所定位置にある
。このときカートリッジの記録ヘッド86の吐出口形成
面は、プラテン50の案内面に平行に対向し、突出した
記録ヘッド部はキャリッジから下方へ突出して、記録媒
体搬送用ローラ16,18 間に位置している。110
2は電気配線部のフレキシブルシートを示し、12は前
述したレール11とともにキャリッジ2を支持して案内
するためのレールである。
【0046】コネクタホルダ40は、カートリッジが装
着された後に、レバー7を破線の状態にしてカートリッ
ジのキャリッジに対する固定を完了した後の状態として
図示されている。20,202は、前述したコネクタホ
ルダ40のキャリッジに対する相対移動方向に関して両
側面側に設けられている軸であり、互いに位置レベルが
同一の位置に並置されている。この軸は、キャリッジの
両側側面の一直線上にその中心長軸を有する2つの長穴
の内部内で移動可能な円柱形状である。図中、軸20,
202は、実線で示す位置で実線図示のレバー7に対応
している。これらの軸20,202はコネクタホルダの
平行移動を一層確実なものにしている。本例では、軸2
0,202をコネクタ本体以外に設け、記録ヘッド位置
決め用押しピン10の上方近傍に配置しているので、記
録ヘッド位置決め用押しピン10の位置精度が向上する
。なお、軸20,202と同様な軸をコネクタ本体に設
けて、コネクタ本体の平行移動を安定化し、しかもコネ
クタ接続後は前後方向、側板との間隙分の左右方向の自
由度を与えるように構成することもできる。本実施例で
は、軸202 用の長穴を、コネクタ本体がコネクタ接
続をした後には軸202 を前後方向には固定せずに位
置決め用押しピン10の位置決めは軸20にのみ支配的
になるようにすることが好ましい。
【0047】(4) 回復系ユニットの概要次に本例に
係る回復系ユニットについて説明する。
【0048】図5はその回復系ユニットの配設部位およ
び概略構成を説明するための模式図であり、本例におい
ては回復系ユニットをホームポジション側に配設してあ
る。
【0049】回復系ユニットにおいて、300 は記録
ヘッド86を有する複数のカートリッジCにそれぞれ対
応して設けたキャップユニットであり、キャリッジ2の
移動に伴って、図12に示すように図中左右方向にスラ
イド可能であるとともに、下上方向に昇降可能である。 そしてキャリッジ2がホームポジションにあるときには
、記録ヘッド部86と接合してこれをキャッピングする
【0050】また、回復系ユニットにおいて、401 
および402 は、それぞれワイピング部材としての第
1および第2ブレード、403 は第1ブレード401
 をクリーニングするために、例えば吸収体でなるブレ
ードクリーナである。本例においては、キャリッジ2の
移動によって駆動されるブレード昇降機構により第1ブ
レード401 を保持させ、これにより第1ブレード4
01 を記録ヘッド86の吐出口形成面のうち露出した
オリフィスプレート103 の表面をワイピングすべく
突出(上昇)した位置と、これと干渉しないように後退
(下降)した位置とに設定可能とする。そして本例では
、記録ヘッド86は図2(a) における幅bを有する
部分が第7図中左側にあるように取付けられているもの
とし、キャリッジ2が図中左側より右側に移動するとき
に第1ブレード401 によるワイピングがなされるよ
うにする。これにより、露出しているオリフィスプレー
ト103 の面は、図2(a) に示した吐出口の配設
位置によって区画される狭い部分側(幅aの部分)から
広い部分側(幅bの部分)に向けてのみワイピングがな
される。なお、第2ブレード402 については、第1
ブレード401 によってワイピングされない記録ヘッ
ド86の吐出口形成面、すなわち図2(a) における
露出したオリフィスプレート表面の両側部分にある押え
部材109 の表面をワイピングする位置に固定してあ
る。
【0051】さらに、回復系ユニットにおいて、500
 はキャップユニット300 に連通したポンプユニッ
トであり、キャップユニット300 を記録ヘッド86
を接合させて行う吸引処理等に際してそのための負圧を
生じさせるのに用いる。
【0052】(4.1) キャップユニット図6および
図7は、それぞれ回復系ユニットの詳細な構成例を示す
平面図および側面図である。
【0053】まずキャップユニット300 は、記録ヘ
ッド86の吐出口のまわりに密着するキャップ302 
と、これを支持するホルダ303と、空吐出処理および
吸引処理に際してインクを受容する吸収体306 と、
この受容されたインクを吸引するための吸引チューブ3
04 と、さらにポンプユニット500 に連通した接
続チューブ305 等を有している。このキャップユニ
ット300 はカートリッジCのそれぞれに対応した位
置に同個数(本例では4個)だけ設けられ、キャップホ
ルダ330 により支持されている。
【0054】332 および334 はキャップホルダ
330 から突設したピンであり、固定の回復系ベース
350 に設けられてキャップホルダ330 を上下方
向に案内するためのカム溝(不図示)にそれぞれ係合す
るものである。ばね360 は、キャップホルダを右端
位置かつ下降位置に保持されるように付勢力を与えてい
る。
【0055】図12に示すように、図6中の342 は
キャップホルダ330 から立ち上げられ、スタートポ
ジションより左方の位置においてキャリッジ2と係合す
る係合部である。キャリッジ2がスタートポジションよ
り左方に移動すると、これに伴って係合部342 によ
りキャップホルダ330 はばね360 の付勢力に抗
して移動する。このときキャップホルダ330 は案内
され、左方かつ上方に変位する。従ってキャップ302
 が記録ヘッド86の吐出口の周囲と密着し、キャッピ
ングが施される。なお、このキャッピングがなされると
きのキャリッジ2の位置をホームポジションとする。
【0056】次に、図8を用いて本例に係るキャップユ
ニット300 の構成および動作を説明する。なお、図
では吸収体306 を省略してある。
【0057】キャップ302 は弾性体からなり、ホル
ダ303 への接合固定部302aと、この固定部30
2aに管状構造302bを張設するための縁部302c
とからなり、これらが一体成型されている。
【0058】キャップ302 は、例えばシリコンゴム
,ブチルゴム等の弾性体から形成することができる。
【0059】図に示したtの部分(縁部302c) の
厚さをできるだけ薄くすることにより、記録ヘッドの吐
出口配列面に対するキャップ302 の追従性を向上さ
せることができる。縁部302cの厚さtは、好ましく
は0.4mm 以上、1mm 以下とされるのが望まし
い。
【0060】このような構造によって、キャップ302
 の管状構造302bは、該吐出口密閉手段の吐出口配
置面への当接方向において弾性を有し、該弾性を利用し
て該キャップの吐出口配置面へのエコライズが達成され
る。なお、キャップユニット300 の吐出口形成面へ
の当接は、キャップホルダ330 の回復系ベース35
0 に対する移動により行われる。このとき接続チュー
ブ304 の後端側を大気に開放して当接を行えば、キ
ャップ内空間が減少してもキャップ内は大気圧に保持さ
れ、吐出口内部のインクメニスカスが後退することはな
い。
【0061】次にキャップを離脱させるときには、キャ
ップ内の空間は、キャップ302 が記録ヘッド86に
当接させている際に大幅に減少しているので、離脱動作
に伴うキャップの復元によるポンプ作用(負圧作用)が
生じ、従ってキャップ内へのインクの保持がより容易と
なる。 すなわち、キャップが記録ヘッドから離脱する際に、収
縮したキャップが元の状態にもどるからである。さらに
キャップが離脱すると、キャップ内が負圧条件から大気
圧状態に向って変化するので、キャップ内からインクが
こぼれることが防止され、インクを引続きキャップ内に
保持できる。この作用は、ホルダ303 のキャップ直
下のキャップ内径よりも広い空間の設定でより効果的に
得られる。
【0062】(4.2) ブレード昇降機構等次に第1
ブレード401 の昇降機構について説明する。
【0063】再び図7を参照するに、410 は昇降可
能なブレードホルダであり、その上部に取付け具411
 により第1ブレード401 を取付けてある。412
 はブレードホルダ410 を下降位置に向けて付勢す
るためのホルダ復帰ばねである。
【0064】430 はブレードホルダ410 に突設
したピン414 のまわりに回動可能で、ストッパ43
2 の上面部と係合することによりブレードホルダ41
0 をその上昇位置においてロックするためのロックレ
バーであり、ばねにより図7において上方に向かって付
勢されている。また、同図示の状態ではブレードホルダ
410 に突設した部分416 に係合し、図示の位置
に保持される。
【0065】440 はブレードホルダ410 から突
設したピン418 のまわりに回動可能で、ブレードホ
ルダ410 の上昇位置におけるロックレバー430 
のロック状態を解除するための解除レバーであり、ピン
418 上方へ向かうことによって当該ロックの解除を
行う。すなわち、解除レバー440 にはロックレバー
430 と係合するピン442 を立設してあり、解除
レバー440 がピン418 のまわりに回動すると、
ピン442 はロックレバー430 をピン414 の
まわりに回動させ、ロックレバー430 と不図示のス
トッパの上面部との係合を解除させる。
【0066】これらの機構は、キャリッジ2の移動に伴
って作動するカム(不図示)からの駆動力ブレードホル
ダ410 を上昇させるためのもので本発明を限定する
構成ではない。
【0067】図9はブレード401 がワイピングを行
うときの詳細を示す側断面図であり、同図に示すように
、本例においては吐出口から段差部までの幅が狭い方か
ら広い方にのみワイピングされる。すなわち、吐出口配
列がオリフィスプレート103 において偏倚した方向
にワイピングがなされる。こうすることで、吐出口近傍
が濡れたり、塵埃等が付着しても、ワイピングによって
きれいな吐出口面が再現して良好な吐出状態を保つこと
が可能となる。
【0068】逆に、吐出口から段差部までの距離が広い
方から狭い方にワイピングした場合、狭い方の段差部に
、除去し切れず残ったインクや塵埃が溜り、この結果距
離が近いためオリフィスを塞いでしまう可能性があるた
め好ましくない。
【0069】本実施例では第1ブレードを上述の如く適
切に昇降させることによって段差部までの距離が狭い方
から広い方にワイピングされ、最悪の場合でもインクや
塵埃が吐出口8の位置には至らない状態となるため、吐
出口に影響を与えることなく、安定した吐出状態を維持
することが可能となる。
【0070】ところで、本例にあっては図9のようにワ
イピング方向が規定されるために、当該ワイピングの速
度すなわちキャリッジ2の移動速度に何ら考慮を払わな
いとすると、ブレード401 の材質や形状等によって
定まる諸因子(弾性係数等)により、吐出口形成面の凹
凸への追従性に問題が生じる場合がある。すなわち、第
1ブレード401 が段差部に追従できず、これが復元
したときには既に吐出口108 を飛越してしまってい
るような不都合が生じるからである。そこで本例では、
それら諸因子を考慮し、ワイピング時には通常走査時よ
りキャリッジ2を緩速で移動するようになして、吐出口
付近が確実にワイピングされるようにする。
【0071】図10(a) および(b) はブレード
401 のクリーニングの態様を説明するための図であ
る。上述のようにキャップユニット300 のスライド
に伴いブレード401 が上昇し(同図(a))、その
後キャリッジ2の右方への移動に伴ってワイピングが行
われる。このとき本例ではワイピングされてブレード4
01 に受容されたインクはブレード401 の表面を
伝ってのみ流れ、装置内に滴下することはない。
【0072】そして、同図(b) に示すようにキャリ
ッジ2が右方から移動してくるときにブレード401 
は下降する。ブレードクリーナ403は、これがキャッ
プユニット300に取付けられたものであっても、既に
キャップユニット300 が元の位置に復帰しているた
めブレード401に接触している。従って、ブレード4
01 の下降に伴い、その表面に付着しているインク等
はすべて吸収体形態のクリーナ403 に受容され、ブ
レード401 が確実に拭われることになる。
【0073】(4.3) ポンプユニット図6および図
7を参照してポンプユニット500 について説明する
【0074】ここで、502 は半円筒面状に設けた回
復系ベースの規制面であり、ここに少なくともその規制
面上では可撓性を有する部材として構成したチューブ3
04 を這い回す。510 はチューブ304 を規制
面50に対して押付けながらポンプ軸504 のまわり
に回転する加圧コロであり、図中矢印方向にチューブ3
04 を押潰しつつ回転することによりキャップユニッ
ト300 に至る空間に負圧を生じさせ、吐出口からの
インク吸引等を行う。
【0075】520 は加圧コロ510 を回転させる
ためのガイドローラであり、ポンプ軸504 に軸支さ
れている。522 は加圧コロ510 の軸512 を
ガイドローラ520 に取付けるための保持具である。 524 はガイドローラ520 に一体に設けられ、チ
ューブ304 群のおとりを抑制して各別に分離させて
おくためのガイド用隔壁である。526 はガイドロー
ラ520 に一体化され、これを回転させるための駆動
力の伝達を受けるポジションカムである。528 はポ
ンプ駆動ギアであり記録媒体搬送(副走査)用ローラ1
5の軸に設けられたギヤ15A と、ポジションカム5
26 に一体に設けたギアとに噛合するギアを有する。 すなわち、本例ではポンプ駆動( 加圧コロの回転)の
ための駆動力はローラ15より受けるものである。
【0076】530 はコロ位置を認識するために設け
た検知手段としてのリーフスイッチであり、ポンプ軸5
04 のまわりにガイドローラ520と一体に回転する
カム532 によりスイッチングされる。
【0077】(5) 記録装置のシーケンス(5.1)
 加圧コロの位置設定 まず記録ヘッド86よりインクを強制排出させるべく吸
引力を作用させるたのポンプユニット500 の加圧コ
ロの位置の設定について説明する。
【0078】図11はその説明図であり、(K) 〜(
M) が加圧コロ510 の設定位置である。また、図
において反時計方向(吸引を行う方向)を「+」とし、
時計方向を「−」とする。
【0079】まず位置(K) は加圧コロ510 がチ
ューブ304を潰していない状態であり、この状態では
キャッピング時であってもキャップ内ないしインク吸引
系が大気と連通している。位置(L) , (M) は
加圧コロ510 が規制面502 に沿ってチューブ3
04 を押し潰しつつ+回転した後に停止される位置で
あり、これらの設定位置ではチューブ304 が押し潰
されているためにキャッピング時にはキャップ内なし吸
引系が大気と密閉されている。
【0080】本例においては、インク吸引による回復処
理の形態は2通りある。1つは装置の比較的長期間にわ
たる休止後や、単なる空吐出,ワイピングその他による
他の回復処理によってもインク吐出状態が良好とならな
いとき等に、スイッチ等適宜の操作手段の操作により、
もしくは自動的に行われるものである。このときはイン
クが増粘その他によって排出されにくい状態となってい
るので、キャップ内の吐出口に大きな吸引力を作用せし
め、すなわち流速を高めて急激にインク排出を行わせる
。なお、これと同時に空吐出動作を実行する(以下これ
を大回復または回復併用期間という)。
【0081】他方は所定量の記録動作直後においてリフ
レッシュないし冷却等により吐出状態を良好にするべく
行うものである。特に吐出エネルギに熱エネルギを用い
る本例のような装置では、このときはインク温度がある
程度高く、従って粘性が小となっており、インクが比較
的排出され易い状態となっているので、大回復時より小
さい吸引力を作用せしめてインク排出を行わせる(以下
これを小回復という)。
【0082】これら大回復時および小回復時に、本例で
は、+回転させた加圧コロ510  を、それぞれ位置
(L) およびM に設定して所定時間保持する。作用
する吸引力および吸引量は、インク吸引系の内容積の増
加、すなわち+回転した加圧コロ510 がチューブ3
04 を押潰し始める位置から停止位置までの長さに対
応した内容積によって定まるために、位置(M) に停
止させたときには位置(L) の場合よりも吸引力が小
となる。これによると、小回復時には大回復時よりイン
クが吐出口から緩やかに引かれることになる。従って流
れの状態が安定し、吐出口内方に存在しうる微細気泡等
、すなわち吸引力が大であって流れの状態が安定しない
場合には乱流や渦の発生によって除去できないような微
細気泡等も確実に排除できることになる。また、このと
き吸引されるインク量も少くなるために、インクが必要
以上に消費されることもない。
【0083】なお、主としてインク消費量の低減化を図
るのであれば、小回復時にも位置(L) に設定し、こ
こに停止させておく時間を大回復時より小とすればよい
。また、主として微細気泡等の除去を確実化するのであ
れば、小回復時には加圧コロ510の回転速度を落とし
、緩かにインク吸引が行われるようにしてもよい。さら
にこの場合停止位置を適切に定めれば、インク消費量の
低減化も達成できる。
【0084】インクを強制排出するための手段としては
、吸引ポンプに他の形態のものを用いたり、あるいは吐
出口に至るインク供給系を加圧して行うものでもよいが
、本例のようなポンプユニット500 を用いれば上記
ような制御ないし調整が容易となる。
【0085】(5.2) キャリッジの位置設定図12
を用いてキャリッジ2の位置設定態様等について説明す
る。なお、図中の(A) 〜(D) は最も記録領域側
に位置するヘッドを基準とした位置である。
【0086】まず、同図(a) はワイピング時の反転
ポジションを示す。さらに本例ではこの位置をキャッピ
ングを施す場合またはブレード401 を上昇させる場
合に設定される位置とする。本例ではこれらキャッピン
グやブレード突出のための動作がキャリッジ2の移動に
伴って行われるために、キャリッジ2からはある程度以
上大きな力の伝達が必要である。そこで、キャリッジ2
を適切な位置(A) に設定し、この位置から移動を行
わせることによりその慣性を利用すれば、キャリッジ2
の駆動源たるモータの大型化や駆動電力の増大をもたら
すことなく、上記機構を駆動するに必要十分な量の駆動
力が得られることになる。
【0087】次に、同図(b) の位置(B) は記録
動作の開始ポジションおよび記録動作中の反転ポジショ
ンであるスタートポジョンを示す。このときには各ヘッ
ド86と各キャップ300 とがそれぞれ対向するが、
キャップホルダ330 およびブレードホルダ410 
は駆動されておらず、従ってキャップ300 はヘッド
86と離隔した位置にあり、かつブレード401 も上
昇していない。空吐出はこの位置で行われる。
【0088】次に、同図(c) に示す位置(C) は
ブレードホルダ410 の上昇が起動される位置である
。キャッピングを行う場合あるいはワイピングを行う場
合にはこの位置を通過し、あるいはこの位置に設定され
る。また、同図(d) の位置(D) はキャップホル
ダ330 が上昇してキャッピングが施される位置であ
り、この位置で大回復や小回復が行われたり、記録休止
時の待機等が行われる。
【0089】(5.3) 動作シーケンスのまとめ図1
3(a) 〜(e) は本例の動作シーケンスをまとめ
たものである。これらにおいて、“1”は加圧コロ51
0 の位置を示す欄、“2”はキャリッジ2の位置を示
す欄である。また、(K) 〜(M) は図11に示し
たコロ位置、(A) 〜(D) は図12(a) 〜(
d) に示したキャリッジ位置と同一である。
【0090】同図(a) は電源投入後の初期処理時を
示すもので、加圧コロやキャリッジの位置のイニシャラ
イズが行われる。同図(b) はコピーボタンの押下等
により記録開始の指令が与えられときの状態を示すもの
で、この後にカセット給紙または手差し給紙による記録
媒体の送給が行われる。同図 (c)は記録処理時にお
いて適宜のタイミング(例えば5〜10ラインの記録走
査毎) で行われるワイピングないし空吐出時の処理で
ある。同図(d) は所定量(本例では1ページ分の記
録媒体への記録)終了直後に行うようにした小回復処理
を含む記録終了処理を示すものである。また、同図(e
) は大回復時の処理である。
【0091】これらの詳細については図15〜図20と
ともに説明する。
【0092】(5.4) 制御系の構成図14は本実施
例の制御系の構成例を示す。
【0093】ここで、800 は主制御部をなすコント
ローラであり、図15および図20に示す手順を実行す
る例えばマイクロコンピュータ形態のCPU801、そ
の手順に対応したプログラムやその他の固定データを格
納したROM803、および画像データを展開する領域
や作業用の領域等を設けたRAM805等を有する。8
10 は画像データの供給源をなすホスト装置(リーダ
部等であってもよい)であり、画像データその他コマン
ド,ステータス信号等はインターフェースを(I/F)
812を介してコントローラと送受信される。
【0094】820 は電源スイッチ822 、記録(
コピー)開始を指令するためのコピースイッチ824 
および大回復の起動を指示するための大回復スイッチ8
26 等、操作者による指令入力を受容するスイッチ群
である。830 はホームポジションやスタートポジシ
ョン等キャリッジ2の位置を検出するためのセンサ83
2 、およびリーフスイッチ530 を含みポンプ位置
検出のために用いるセンサ834 等、装置状態を検出
するためのセンサ群である。
【0095】840 は記録データ等に応じて記録ヘッ
ド86の吐出エネルギ発生素子(本例では電気熱変換体
) を駆動するためのヘッドドライバである。850 
はキャリッジ2を主走査方向(第7図の左右方向)に移
動させるための主走査モータ、852 はそのドライバ
である。860 は副走査モータであり、記録媒体を搬
送(副走査) するために用いられるとともに、本例で
はローラ15を介して加圧コロ510 の駆動を行う。 854 はそのドライバである。870 は前述のチー
ブポンプ等の吸引ポンプで、その駆動はモータドライバ
853 によって司どられる。
【0096】(5.5) 制御手順 図15は本例による記録処理手順の概略フローチャート
である。
【0097】電源スイッチ822 が操作されて電源投
入がされると本手順が起動し、まずステップSAにて初
期処理(図16の処理)を行う。次にステップS1にて
コピースイッチ824 の操作、またはホスト装置81
0 からの指令、あるいは所謂手差し給紙時における給
紙信号等、記録開始の指令信号を待機する。ホスト装置
810 からの画像データの入力に伴ってこれが指示さ
れると、ステップS13 にて記録準備処理(図17の
処理)を行う。
【0098】その後ステップS3にて所定ライン数(本
例では5〜10の複数ライン)の記録を行い、ステップ
S5にて1頁分の記録が終了したか否かを判定する。こ
こで否定判定であればステップSCの記録時回復処理(
図18の処理)を行い、すなわち所定ライン数の記録終
了毎に1回の回復処理を行い、一方肯定判定であればス
テップSDにて記録終了処理(図19の処理)を行った
後にステップS1に移行する。
【0099】次に上記ステップSA〜SDの詳細および
大回復処理の詳細を図16〜図19および図20を参照
して説明する。なお、これら図16〜図20におけるシ
ーケンスは、図13(a) 〜(e) にそれぞれ対応
する。
【0100】まず、図16に示すように、初期処理時に
はステップSA1にてキャリッジ2のホームポジション
( 位置(D))への設定を行う。また、このとき加圧
コロ510 を位置(L) に設定する(以下この位置
をコロのホームポジションともいう)。キャリッジ2の
ホームポジションへの設定にあたっては、その移動を利
用してキャップホルダ330 およびブレードホルダ5
10 を駆動するものであるために、適切な慣性力を得
るべくキャリッジ2を回復系ユニットと重畳しない適宜
の位置(例えば図12(a) の位置(A))に設定し
、助走が行われるようにする。そしてホームポジション
への設定によって記録ヘッド86がキャッピングされ、
かつキャップ内空間が密閉された状態となる。また、こ
のときにはブレード401が突出し、ロックされるため
の位置(図12の位置(C) を通過しているので、ブ
レード401 は上昇位置にある(この動作は以下でも
同様である)。なお、キャリッジ2およびコロ510 
が既にホームポジションにあれば、本ステップをスキッ
プしてもよい。
【0101】次に、ステップSA3 キャリッジ2を位
置(A) に向けて移動させることにより、吐出口形成
面のワイピングが行われる。キャリッジ2のホームポジ
ションへの設定によって既にブレード401 が突出し
ているからである。このときの移動は、前述のように、
通常の記録走査時等よりも低い速度、すなわち段差にブ
レード401が追従して確実なワイピングがなされる速
度で行う。
【0102】次に、ステップSA5 にて加圧コロ51
0 を位置(K) に回動させ、ステップSA7 にて
キャリッジ2をスタートポジション(図12の(B) 
の位置)に設定しこの位置で空吐出を行う。すなわち、
ワイピング後には空吐出を行うわけである。これは以下
の処理でも同様であり、本例ではワイピング後に必ず空
吐出を行うようにする。 なお、スタートポジションへの移動に伴ってキャリッジ
2が解除レバーに係合し、これを動作させるために、前
述のようにブレード401 は下降する。
【0103】ここで、その空吐出は、1つのブレードで
複数の記録ヘッドをワイピングすることによって生じ得
る混色等の防止のために行われるものであり、本例では
これをより有効に行うべく、後にワイピングされた記録
ヘッドほど、または明度の高いインク(イエロー等)に
対応した記録ヘッドほど、混色が目立ち易いためにその
ような記録ヘッドに対しては念入りに空吐出を行うよう
にする。すなわち、混色が生じ易い記録ヘッドほど空吐
出処理を行う時間を長く、ないしは吐出回数を多くする
等である。
【0104】また、本例では空吐出時には通常記録時よ
り電気熱変換体の駆動周波数を低くする(例えば1/4
)。駆動周波数が低いと吐出口形成面のインクによる濡
れが少ないことが確認されているからである。さらに、
空吐出にあたっては吐出口群を所定個数(例えば8個)
毎にブロック分けし、ブロック毎に順次に電気熱変換体
を駆動するようにする。これによっても濡れが生じにく
くなることが確認されている。これら態様については、
以下で行われる空吐出においても同様である。
【0105】なお、濡れを生じにくくするためには、駆
動周波数を変更することに代えて、あるいはこれととも
に駆動パルスの幅,電圧,形状等を変更するようにして
もよく、また駆動態様も適宜定めうるものである。
【0106】このような空吐出後には、ステップSA9
 にてキャリッジ2, コロ510 をホームポジショ
ンに設定する。ここでは、まずキャリッジ2をホームポ
ジョンに設定することにより、キャッヒングするが、こ
のとき、ステップSA5 にてコロ510 が位置K 
に設定されて大気連通がなされているために、キャッピ
ング時のキャップ内体積変化によってもキャップ内には
正圧が作用せず、従って吐出口内方に空気が混入するこ
とがない。その後コロ510 を図11中−回転させ(
+回転ではインクを吸収してしまい、消費量の低減化の
観点からも好ましくない) 、位置(L)に設定する。 これによりチューブ304 ないしキャップ内は若干加
圧された状態となり、かつ先の空吐出によって受容した
インクが吸引されずに残留してキャップ内が湿潤な雰囲
気に保たれるので、吐出口からのインク溶剤成分の蒸発
も生じにくくなる。
【0107】記録開始が指令された場合(ステップS1
) には、記録動作(ステップS3) に移行する前に
、図17に示すように準備処理を行う。ここではまずス
テップSB1 にて上記ステップSA3 と同様のワイ
ピングを行う(本手順はステップSA9 のホームポジ
ション設定後に行われるためにブレード401 は既に
上昇位置にあり、従ってキャリッジの位置(A) への
移動によりワイピングが行われる。次に上記ステップS
A7 と同様にしてキャリッジ2をスタートポジション
に設定し、空吐出を行う。続く記録動作はこの位置(B
) から常に行われる。
【0108】所定の数ラインの記録毎に行われる記録時
回復処理にあたっては、図18に示すように、まずステ
ップSC1 にてキャリッジ2を位置(C) に移動さ
せ、ブレードホルダ410 を駆動してブレード401
 を突出させる。そしてこの後上記ステップSB1およ
びSB3 と同様に、ワイピング(ステップSC3)お
よびスタートポジションへの設定・空吐出(ステップS
C5 )を実行する。なお、本手順を記録媒体の搬送処
理を行う間に実行するようにすれば、記録のスループッ
トが大きく低下することはない。
【0109】1頁の記録が終了してその記録媒体が排出
されると、引続き図19に示すように加圧コロ510 
を位置(K) に設定する(ステップSD1)。そして
この状態でステップSD3 にてキャリッジ2をホーム
ポジションに設定し、キャッピングを施す。
【0110】次にステップSD5 において小回復動作
を行う。ここではまず加圧コロを位置(M)に設定し、
この位置で所定時間(例えば0.1 秒)保持してイン
ク吸引を行う。その後ステップSD7,SD9,SD1
1およびSD13にて、それぞれ上記ステップSA3,
SA5,SA7 およびSA9 と同様の処理を行い、
装置は記録ヘッドにキャッピングを施した状態で次の記
録開始指令を保持することになる。
【0111】大回復スイッチ826 が操作されると、
図20に示す処理が起動される。本手順では、ステップ
SE1 にてキャリッジ2のホームポジション(位置(
D))への設定および加圧コロ510 のホームポジシ
ョン(位置(L))への設定を行った後、ステップSE
3 の大回復を行う。ここでは加圧コロ510 を+回
転させて位置(L) に再設定し、この位置で所定時間
(例えば2〜3秒)保持してインク吸引を行う。また、
これと同時に所定の空吐出動作を行う。そしてその後ス
テップSE5,SE7,SE9 およびSE11にて、
それぞれ、図16のステップSA3,SA5,SA7 
およびSA9 と同様の処理を行い、本手順を終了する
。なお、吸引と空吐出とを同時に行うためには、例えば
大回復に先立って所定の空吐出用駆動データをドライバ
840 にセットしておき、適宜のタイミングで起動す
るようにすればよい。
【0112】本例にように、大回復処理時にインク吸引
とともに空吐出を行う目的およびその効果は次の通りで
ある。
【0113】図21はヘッドチップ内部において、放置
等によりインク内に溶存ガスが析出したり、吐出時の残
留気泡等が集合して多くの泡が存在した状態を示してい
る。
【0114】この状態で電気熱変換素子112 等の吐
出エネルギ発生素子を駆動し、記録のための吐出動作を
行うと、吐出が行われた液路107 には液室106 
からインクが供給されるため、共通液室106 内にお
いてインクの流動が生ずる。その結果、負圧が発生する
ためその液路に気泡が集まり、液路へのインクの供給を
阻害することになる。従って吐出が不安定なものとなり
、ヨレや不吐出が生じる。甚だしい場合には、気泡が液
路後端に貼り付き、完全に液路内へのインクの供給をし
ゃ断して不吐出が生じることもある。
【0115】このように気泡が多数存在すると、吐出が
不安定なものとなるため、通常は吸引や加圧等により気
泡から除去する。しかしながら、高粘度のインクが用い
られる場合や、低温環境下でインクが高粘度になってし
まっている場合には、吸引等で回復を行っても泡をほと
んど除去することができない。それどころか、インクを
徒らに浪費してしまうばかりである。
【0116】図22は泡の大きさと吸引を行っても除去
できずに残留してしまった泡の率とを示している。
【0117】このときの記録ヘッドの液路径は40μm
 であり、64個の吐出口を有するマルチノズルヘッド
を用いた。吸引ポンプの最大発生負圧は−0.5atm
である。
【0118】この図から分かることは、液路径よりも大
きい気泡は除去しずらいが、ある程度の大きさ以上にな
ると、除去しやすいということである。すなわち、液路
径以下の気泡は当然除去できるが、液路径より大きい気
泡でもある程度の大きさ以上になれば気泡が変形して液
路内に入り込み、液路を通して気泡と外気とが連通する
ことで、インクが再び液路内を満たすためと考えられる
【0119】図示のように、ポンプの負圧を大きくする
ことで(−0.5atm→−0.6atm)、気泡の残
り率を減らすことができるが、大きな効果は期待できず
、ポンプ構成の小型化の観点からも望ましいことではな
い。
【0120】また、以上のことは特に、高濃度を実現す
るためインクの染料濃度を上げたり、高解像にするため
吐出口の大きさを小さくしたときに顕著である。染料濃
度が高いということは粘性が高いということであり、小
さい吐出口では大きい吐出口に対して、同じ大きさの気
泡を除去する場合、気泡をかなり変形させ、吐出口より
も小さくしなければならない。
【0121】そして、吸引する際にはかなりの負圧を発
生するポンプを用いないと気泡をとることは困難であり
、場合によっては吸引の際気泡によりふさがれていない
液路のみからインクが排出され、その部分のインクの流
れが速くなり、気泡によりふさがれた液路部のインクの
流れが遅くなることから、インクの流れが速い方が相対
的に負圧が大きくなるので、一層気泡を除去しにくいも
のとなる。
【0122】そこで本例においては、ステップSE3 
の大回復時に吸引と同時にインクの吐出を行っている。
【0123】すなわち、液路内のインクが吐出されるこ
とで、瞬間的に吐出後の液路内の負圧が大きいものとな
るため、吸引の負圧と相まってポンプ単独の場合に比べ
かなり強い負圧が発生し、しかもその負圧は各液路に対
して同等に作用するため、気泡の除去が容易なものとな
るのである。さらに、本例の場合吐出の際の気泡を発生
させる手段(吐出エネルギ発生素子)としての電気熱変
換体112 が駆動されるため、各液路部のインクの温
度が上昇し、粘度を低下させ、かつ表面張力を低下させ
るために、一層液路内の流路抵抗力が小さいものとなり
、気泡の除去がさらに容易なものとなる。特に、長い時
間ヘッドを放置した場合の増粘はかなり進んでいるため
効果的である。
【0124】すなわち、図23(a) に示すように、
吐出口形成面全体にキャップを密着させ、ポンプにより
吸引を行うと同時に吐出口からインクを吐出させるよう
にすると、吸引だけでは液路後端に引きよせられるだけ
で外へ吸い出されなかった泡が、吐出を同時に行うこと
によって液路内にインクの流れが生じ液路内の負圧が増
大するので、後端に引きよせられていた気泡が液路内に
入り込み、外に排出されることになる。
【0125】これにより、図22の一点鎖線で示すよう
に、吐出口内方の気泡が除去され、安定した吐出を行う
ことが可能となる。
【0126】(6) 他の実施例 本発明の第2の実施例では、吸引と同時に吐出を行うに
際して、ヘッドの吐出特性の限界のインクリフィル周波
数以上の駆動条件にする。すると、吸引により液路内の
気泡は後方に引きよせられ、さらに吐出による液路内の
負圧増大により気泡が液路内に侵入する。一方、液路先
端部分においては、リフィル周波数の限界以上の周波数
で吐出が行われるため、メニスカスが振動している。周
波数、いいかえれば発泡の間隔をメニスカスの後退が最
大となる時間とすると、電気熱変換素子(吐出用ヒータ
)から発泡された泡とメニスカスとが合体し、メニスカ
スの後端が急激になる。
【0127】よって液路後端から侵入した液室内気泡と
先端から増大したメニスカスの後端部分とが合体する。
【0128】ヘッド全体にわたってこの状態を発生させ
ると、液路内には外部から一気に空気が流れ込むため、
液室の内部にインクがなくなった状態(「インク落ち」
と称する)となる。そしてインクがなくなるため、気泡
も吸収されてなくなることになる。
【0129】本例のようなカートリッジCにおいて、イ
ンクタンク80内に吸収体等を入れてヘッドを大気に対
して負圧にしている構成では、上記のインク落ちは促進
される。しかしこのようなカートリッジではインク落ち
が発生してもヘッドチップの吐出口内方のインクがなく
なるだけで、その分のインクのほとんどはタンク内に戻
るものである。よってインクはヘッド外部にほとんど出
ず、インクを浪費するものではない。
【0130】そして、図23(b) に示すように、吐
出口内方のインクがほぼなくなってから次に吸引を行う
。このときは、ポンプの吸引能力としてヘッドチップ内
をインクで満たし、さらに余分量の吸引が行えるように
設定する。
【0131】これによって、回復に要する廃インクの量
を極力減らすことができ、カートリッジひいては記録装
置のランニングコストを低減することが可能となる。
【0132】本発明の第3の実施例では、上記第1また
は第2の実施例による処理を行う前に、外部ヒータを駆
動し、あるいは吐出ヒータに吐出が生じない程度の発熱
が生じるように駆動する等により液路内のインク温度を
上昇させ、インクの粘度、表面張力を低下させるように
する。これにより、気泡同志が合体して大きな気泡とな
り易くなり、さらにはインクの流動性も上がるため、第
20図中実線で示すように、上記第1または第2の実施
例効果を一層向上するものとなる。第2実施例のように
インク落ちさせる方法に適用する場合には、インクの表
面張力が低下しているため液路先端でのメニスカス力が
弱まり、さらには表面張力の低下によるリフィル周波数
の低下が起こるため、吐出の間隔をその本体の最短の吐
出間隔(いわゆるベタ印字を行う場合に相当)以下にす
ることなく、効果的にインク落ちを発生させることがで
きるようになる。
【0133】本発明の第4の実施例では、吸引時に駆動
する液路を特定のもの(例えば複数液路の両端側の液路
を駆動して逆に中央域を駆動しない)に限定する。すな
わち、全液路から吐出させると、1つの気泡に対して複
数の液路から力を受けるため気泡が変形しずらくなるこ
とがあるのに対し、所定部分の液路から集中して負圧を
作用させることで気泡の変形度を高めることができる。
【0134】本発明の第5の実施例では、図23(c)
 に示すように、吸引と吐出との開始タイミングを完全
に同時とするのではなく多少ずらすようにする。すなわ
ち、吸引時の最大の発生圧と吐出等の最大負圧とが同時
になるようにする。吐出時の最大負圧は発泡した泡が消
泡するときであり、吐出とほぼ同時であるが、ポンプの
最大発生圧はポンプのコロ等が移動する時間だけ遅れる
ためである。すなわち多少吸引動作を吐出に比べ早く行
う方が良いのである。これによって気泡の除去率を飛躍
的に高めることができる。
【0135】本発明は、以下述べた実施例に限られるこ
となく、本発明の趣旨を変更しない範囲で任意所望の変
形を加えることができるのは勿論である。そにような変
形例としては随所に述べたものの他に、例えば次のよう
なものが挙げられる。
【0136】例えば、小回復処理に際しても必要であれ
ば吸引と同時に空吸引を行うようにしてもよく、また大
回復処理を適宜2種に分け、吸引のみを行うものと空吐
出を併用するものとを設けてもよい。
【0137】また、吸引力を作用するためのポンプとし
ても上例のようにチューブとコロを用いる形態のものの
みならず、シリンダとピストンとから成るものでもよい
。さらに、吐出口よりインクを吸引して強制排出を行う
もののみならず、インク供給系を加圧するものでもよい
【0138】図24は、上述した装置構成のそれぞれの
好ましい型にはとらわれずに、本発明の好ましい他の実
施例のフローチャートを回復モードとして説明するもの
である。
【0139】本発明の回復状態は、単位時間当りにヘッ
ドの各吐出口から均一且つ多量のインク排出を行えるほ
ど好ましいことになる。
【0140】本例では、回復モード工程ST1がフロー
チャートとして又は選択キーからの信号によって又は通
常の主たる吸引回復として採用された場合のものである
【0141】回復モード指令に伴って、ヘッド内インク
の加熱処理工程ST2が行われる。この工程ST2は共
通液室内部温度を上昇させるものが良いがヘッドの液路
内部のみでも良い。好ましくは、これらの両方が良い。 共通液室加熱としては外部ヒータや液室内ヒータ等周知
の手段が採用できる。液路加熱は、吐出エネルギ発生素
子が気泡を形成する発熱体であれば前述した予備加熱を
行うように電気信号を供給するだけで得られる。逆に電
気・機械変換体を素子とする場合は、液路それぞれ又は
全体加熱可能なヒータ,光エネルギ等を利用して加熱す
れば良い。この工程ST2によってインクとヘッド内壁
との流体抵抗による慣性力は減少してインクの初期移動
時の負荷を軽減できる利点がある。
【0142】次に、インク吐出用素子の駆動工程ST3
が吸引手段(および/または加圧手段)を駆動する工程
ST4と略同時に行われる。これは吸引手段のインク吸
引開始に伴ってインク自体の移動開始を即時に行う、或
いは早める作用をもたらす。インク吸引時の複数液路,
吐出口それぞれへのインク吸引作用力の均一化を達成で
きると共に回復効率も向上できたことは前述の通りであ
る。 本発明において、工程ST3,ST4を略同時に行うと
は、従来の吸引回復を回復ポンプ装置の大型化を招くこ
となく、相対的に短時間で、全体に均一な吸引作用と、
全体として優れた回復効果を得られるものすべても含む
ものである。なお、ステップST3およびST4を同時
に行うためには、プロセッサを複数具えるようにしても
よいが、一方(例えば素子駆動)に関しては、当該駆動
用データをセットしておく手段を具え、指令に応じて該
手段により駆動が行われるようにすれば、単一のプロセ
ッサでも処理できる。
【0143】上述各実施例のいずれにおいても、インク
の慣性力を低下させて、初期インク排出状態を改善して
いるので、従来の問題を解決できた。
【0144】次に、図25および図26を用いて、吐出
エネルギ発生素子の駆動期間と吸引或いは加圧用のポン
プ等を利用する強制排出期間とを併用して共に実行する
回復併用期間を有する本発明に係る回復モードの他の例
を説明する。以下の説明中には実質的に同一の課題を解
決しようとする複数個の発明が含まれている。
【0145】図25は、横軸に時間Tを取り、これを共
通として上方に強制排出期間の圧力変化を示す縦軸の圧
力P(静圧)と、下方に素子駆動期間の縦軸のパルス電
圧Vとを示している。PMAXは強制排出期間中の最大
圧力で時間T4において発生されている。これは、例え
ばポンプの1ストローク中の最大圧力発生時として挙げ
ることができる。P2は、最大圧力PMAXの50%の
圧力値を、P1は最大圧力PMAXの30%の圧力値を
それぞれ本例では示すものとしている。これらの圧力P
1,P2 を示す時間は順にT2,T3 である。圧力
P1,P2 は圧力上昇中と、圧力下降中とに生じ、後
者の圧力P1発生時が時間T5である。時間T1は圧力
発生時、時間T6は圧力消滅時である。T0は、回復モ
ードの開始信号を受けた時間である。
【0146】回復用の電圧VPのパルスPUL は、本
例では、時間T3から時間T4までの間に複数個入力さ
れている。この複数パルスPUL のそれぞれは記録ヘ
ッドのすべての吐出エネルギ素子に実質的に同時に入力
されるものである。本例は静圧での最大圧力PMAXの
50%の時点から最大圧力PMAXになるまでの強制イ
ンク排出期間中に、少なくとも1つ以上の素子駆動パル
スが供給されるものである。従って、本例によれば圧力
上昇中の前半の回復力を大幅にしかも途中から急激化し
ているので、初期回復力がインクの慣性力を消すために
相殺されてしまう圧力増加分の損失を防止できる。この
趣旨からすると、時間T2以上、即ち、PMAXの30
%以上で素子駆動パルスを与えることが好ましい条件と
なる。無論、増加圧力は発熱素子による気泡の形成によ
るものの方が圧電素子に比べて急激なので好ましい。
【0147】図25について、さらなる例を説明する。 上記例は、圧力Pの増加中に素子駆動パルスPUL を
入力しているが、総圧力の増加という回復力の増大化は
、圧力Pの下降中に素子駆動パルスを付加することで達
成できる。この観点からすると、圧力P1になる時間T
5までの間、好ましくは時間T6までの圧力Pの存在期
間に該パルスを付加することは好ましいものである。次
に強制排出期間の終了時と素子駆動期間の終了時とを検
討すると、強制排出の圧力Pは減少していくので、微量
圧力によりインクが吐出口近傍にわずかに出たものが吐
出口表面に残る場合も考えられ、圧力Pが消滅したT6
以降の所定期間、即ち時間T7までの間も素子駆動パル
スPUL を供給し続けて、急激な排出力で各インク路
の状態をより改善しておくことが好ましい。
【0148】ところで、前述した図20のフローチャー
トで、大回復すなわち上記併用回復期間を有する回復モ
ードを実行した後、吐出口表面をクリーニングし、さら
にこの後、空吐出を行うシーケンスは以下の理由で好ま
しいものである。すなわち、大回復では、ヘッド内気泡
溜まりを除去する目的や、目詰まりの原因を吐出口外部
へ排出する目的のいずれでも使用される。この時、吐出
口外部に出たゴミや固形物等の不要物が吐出口周辺に残
存している場合がある。これを効果的に除去するために
クリーニング工程は重要である。このクリーニングによ
ってわずかに吐出口側へ戻されるような微小不要物があ
ったとしても、大回復で除去するまでもなく、空吐出の
吐出力で確実にしかも吐出口面から離脱せしめることが
できるからである。
【0149】さらに、強制排出期間の開始時と、素子駆
動期間の開始時とについて検討する。回復処理の初期に
は、インクとインク路壁あるいはインク室壁との密着状
態による慣性力が存在しており、回復圧力を強制排出の
ポンプ力に頼る場合はエネルギ損失が大きい。これを解
決する例としては、素子駆動期間の開始を圧力Pの発生
時T1時に作用させることが挙げられる。これによれば
、ポンプ力の有効利用になるので好ましい。さらに時間
T1から時間T2に至る間にも素子駆動を行うことはさ
らに好ましいものである。加えて、時間T1以前で回復
信号が出る時間T0の間に、素子駆動期間の開始を行う
ことは、強制排出前に全吐出口のインク流動状態を形成
できるので好ましいものとなる。このように先行した素
子駆動期間の開始から、上述の併用回復期間中までに供
給される素子駆動パルスは、周期が一定のものであるこ
とが好ましい。さらに、最大回復力を得るため、時間T
4の時点で素子駆動パルスが印加されること、具体的に
は発熱素子の形成する気泡の最大成長時を一致させるこ
とが好ましい実施例となる。
【0150】本発明において上述した図25に係わる各
構成説明は、それぞれを任意に組合せたものすべてが含
まれることはいうまでもないことである。
【0151】次に、図26を用いて本発明の特別な実施
例を説明する。本例は、回復モードとして通常回復モー
ドと前述の回復併用モードとを具備し、これらを切換え
て実行する実施例のうち特殊なものである。すなわち、
インク収納部内に吸収体を有する場合、通常負圧変動範
囲が−30mmHgないし−120mmHg となるも
のが多い。この場合、負圧が小さい場合例えば−50m
mHgより小さい負圧では、通常回復のみで充分なもの
が得られたとすると、上述の大回復は−50mmHgな
いし−120mmHg の負圧の範囲のみで行えば良く
なる。又、インク使用量が所定値以上になると大回復を
必要とすることがある。
【0152】このような場合にとって常に大回復を行う
ことはインク損失になるので以下のように切換えを行う
ことが好ましい実施例となる。図26のフローチャート
は、上述したように、基準となる所定値が積算カウント
あるいは残検等の検知機構で判別される(SM1 )と
、基準値より大では(負圧の場合は絶対値をとる)、空
吐出のみまたは吸引のみ等の通常回復SM3 を行い、
基準値以上では、上述の回復併用モードSM2 を選択
するように設定するサブルーチンを示している。この基
準値としては先に説明した|−50mmHg|を挙げる
ことができるが、これに限定されるものではない。いず
れにしても、回復併用モードを必要に応じて選択される
ような方式は本発明に含まれるものである。また、本発
明は上述した各種の実施例を回復併用モード中の複数の
実行プロセスとして有し、これらを任意に選択使用する
ことも含むものである。中でも前述した第2実施例は好
ましいもので、回復力を最大にするものである。
【0153】本発明は、大きな圧力を発生するには大型
化してしまうチューブポンプや、カラー複数ヘッドの回
復機構等に対して絶大な効果を発揮できるものである。
【0154】(7) その他 なお、本発明は、特にインクジェット記録方式の中でも
キャノン(株)が提唱するバブルジェット方式の記録ヘ
ッド、記録装置において優れた効果をもたらすものであ
る。かかる方式によれば記録の高密度化,高精細化が達
成できるからである。
【0155】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129 号明細書,同第474
0796 号明細書に開示されている基本的な原理を用
いて行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド
型,コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが
、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が
保持されているシートや液路に対応して配置されている
電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越え
る急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を
印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発
生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて
、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(イン
ク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の
成長,収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を
吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動
信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮
が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の
吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動
信号としては、米国特許第4463359 号明細書,
同第4345262 号明細書に記載されているような
ものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に
関する発明の米国特許第4313124 号明細書に記
載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行
うことができる。
【0156】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口,液路,電気熱変換体
の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に
熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示す
る米国特許第4558333 号明細書,米国特許第4
459600 号明細書を用いた構成も本発明に含まれ
るものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、
共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を
開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギ
の圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開
示する特開昭59−138461号公報に基いた構成と
しても本発明の効果は有効である。 すなわち、記録ヘッドの形態がどのようなものであって
も、記録を確実に効率よく行いうるからである。
【0157】さらに、記録装置が記録できる記録媒体の
最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのよう
な記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによっ
てその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の
記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0158】加えて、上例のようなシリアルタイプのも
のでも、装置本体に固定された記録ヘッド、または装置
本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や装
置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチッ
プタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効で
ある。
【0159】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば単色のインクに対応して1個の
みが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数
のインクに対応して複数個数設けられるものであっても
よい。
【0160】さらに加えて、本発明インクジェット記録
装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の
画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組
合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシ
ミリ装置の形態を採るものであってもよい。
【0161】以上説明したように、本発明によれば、吸
引または加圧による強制排出動作と吐出エネルギ発生素
子の駆動による吐出動作とを略同時に行うようタイミン
グ駆動を実施することで、吐出口内方の気泡を簡単に除
去することが可能となった。また、吸引または加圧を行
うためのポンプ等の強制回復手段の能力を大きなものと
する必要がなくなるので、記録装置本体の小型化、低コ
スト化も可能となる。
【0162】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
吸引または加圧による強制排出動作と吐出エネルギ発生
素子の駆動による吐出動作とを同時に行うようにしたこ
とにより、吐出口内方の気泡を簡単に除去することが可
能となった。また、吸引または加圧を行うためのポンプ
等の手段の能力を大きなものとする必要がなくなるので
、記録装置本体の小型化、低コスト化も可能となる。
【0163】また、与えられた強制回復手段の回復能力
を効率良く向上でき、装置の大型化を招くことなく、確
実な回復を達成できた。
【0164】さらに、記録ヘッドへ供給されるインク収
納部内の負圧発生源である吸収体の影響があっても確実
な回復処理を実行できるようになった。
【0165】加えて、回復程度が従来に比べて優れてお
り、その処理時間を短縮でき、最適にはインク損失量も
減じることが可能となった。
【0166】さらにくわえて、チューブポンプなどの機
構の大型化を招くことなく、効率のよい吸引を回復処理
開始から得ることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例で用いた記録ヘッド・インク
タンク一体型カートリッジの斜視図である。
【図2】図2(a) および(b) は、それぞれ、そ
の記録ヘッドの構成例を示す正面図および側断面図であ
る。
【図3】図1に示したカートリッジが装着される本実施
例装置のキャリッジ周辺を示す平面図である。
【図4】本実施例装置を利用して構成した記録装置を説
明するための側断面図である。
【図5】本実施例に係る装置の主要部である回復系ユニ
ットの概略を示すための当該装置の模式的斜視図である
【図6】その回復系ユニットの詳細な構成例を示す平面
図である。
【図7】同じくその側面図である。
【図8】その回復系ユニットに配設したキャップユニッ
トの詳細な構成および動作を説明するための正面図であ
る。
【図9】ブレード昇降機構によって昇降されるブレード
によるワイピングの態様を説明するため説明図である。
【図10】図10(a) および(b) は、同じくそ
のブレードに対するクリーニングの態様を説明するため
の説明図である。
【図11】本実施例で採用したインク吸引機構の動作を
説明するための説明図である。
【図12】図12(a) 〜(d) は本実施例におけ
る回復処理時のキャリッジ位置を説明するための説明図
である。
【図13】図13(a) 〜(e) は本実施例のシー
ケンス実行時における図11に示したインク吸引機構お
よび図12に示したキャリッジの動作位置の関係を説明
するための説明図である。
【図14】本実施例に係る制御系の一構成例を示すブロ
ック図である。
【図15】図14に示した制御系による概略の記録動作
手順の一例を示すフローチャートである。
【図16】制御系による初期処理手段の一例を示すフロ
ーチャートである。
【図17】同じく記録準備処理手段の一例を示すフロー
チャートである。
【図18】同じく記録時回復処理手段の一例を示すフロ
ーチャートである。
【図19】同じく記録終了処理手段の一例を示すフロー
チャートである。
【図20】同じく大回復処理手順の一例を示すフローチ
ャートである。
【図21】ヘッドチップ内に存在する気泡の状態を説明
するための説明図である。
【図22】本発明実施例の効果を説明するための説明図
である。
【図23】図23(a),(b) および(c) は本
発明の各実施例における大回復処理時の駆動状態を示す
タイミングチャートである。
【図24】本発明の好ましい他の実施例を示すフローチ
ャートである。
【図25】本発明の好ましいさらに他の実施例を説明す
るための説明図である。
【図26】本発明の別の実施例を示すフローチャートで
ある。
【符号の説明】
C  カートリッジ 2  キャリッジ 80  インクタンク部 86  記録ヘッド 103   オリフィスプレート 108   吐出口 109   押え部材 300   キャップユニット 302   キャップ 303   ホルダ 304,305   チューブ 330   キャップホルダ 332,334   ピン 342   係合部 350   回復系ベース 401,402   ブレード 403   ブレードクリーナ 410   ブレードホルダ 430   ロックレバー 440   解除レバー 450   カム部材 500   ポンプユニット 502   規制面 504   ポンプ軸 510   加圧コロ 520   ガイドローラ 528   ポンプ駆動ギア 530   リーフスイッチ 532   カム 800   コントローラ 810   ホスト装置 820   スイッチ群 830   センサ群 850   主走査モータ 860   副走査モータ

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  複数の吐出口にそれぞれ対応した吐出
    エネルギ発生素子を備えたインクジェット記録ヘッドの
    回復処理方法において、前記吐出エネルギ発生素子を駆
    動して前記複数の吐出口からインクを吐出させる素子駆
    動工程とインクをヘッド内部から前記吐出口を介して強
    制排出する工程とを同時に行う回復モードを具えたこと
    を特徴とする記録ヘッドの回復処理方法。
  2. 【請求項2】  前記吐出エネルギ発生素子は発熱素子
    であって、前記素子駆動工程は、当該発熱素子にインク
    に気泡を形成する駆動信号を供給する工程であることを
    特徴とする請求項1に記載の記録ヘッドの回復処理方法
  3. 【請求項3】  前記素子駆動工程は、前記発熱素子に
    前記駆動信号の複数を供給して複数回のインク吐出を行
    う工程であることを特徴とする請求項2に記載の記録ヘ
    ッドの回復処理方法。
  4. 【請求項4】  前記強制排出工程は、前記複数の吐出
    口を覆うキャップを介して吸引する工程であることを特
    徴とする請求項1に記載の記録ヘッドの回復処理方法。
  5. 【請求項5】  複数の吐出口にそれぞれ対応した吐出
    エネルギ発生素子を備えたインクジェット記録ヘッドの
    回復処理方法において、回復処理開始に応じて前記記録
    ヘッド内のインクを加熱する加熱工程と、当該加熱工程
    後、前記吐出エネルギ発生素子を駆動して前記複数の吐
    出口からインクを吐出させる素子駆動工程とヘッド内部
    からインクを前記吐出口を介して強制排出する工程とを
    同時に行う回復モードを具えたことを特徴とする記録ヘ
    ッドの回復処理方法。
  6. 【請求項6】  前記吐出エネルギ発生素子は発熱素子
    であって、前記素子駆動工程は、当該発熱素子にインク
    に気泡を形成する駆動信号を供給する工程であることを
    特徴とする請求項5に記載の記録ヘッドの回復処理方法
  7. 【請求項7】  前記素子駆動工程は、前記発熱素子に
    前記駆動信号の複数を供給して複数回のインク吐出を行
    う工程であることを特徴とする請求項6に記載の記録ヘ
    ッドの回復処理方法。
  8. 【請求項8】  インク吸収体を内部に具備したインク
    収納部を一体化して記録を行うインクジェット記録ヘッ
    ドを搭載して記録を行う記録装置において、前記記録ヘ
    ッドが備える複数の吐出エネルギ発生素子を記録信号に
    応じて駆動して記録媒体に記録を行う記録モードを実行
    する記録モード実行手段と、前記記録ヘッドが備える複
    数の吐出エネルギ発生素子を駆動すると略同時に、前記
    記録ヘッドの吐出口から吸引を行う回復モードを実行す
    る回復手段と、前記記録モードと前記回復モードとを選
    択するモード選択手段とを具えたことを特徴とする記録
    装置。
  9. 【請求項9】  前記回復モードは、前記吐出口を覆う
    キャップを介し、吸引ポンプを駆動して前記吸引を行う
    と共に前記複数の吐出エネルギ発生素子を駆動するモー
    ドであることを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
  10. 【請求項10】  前記吐出エネルギ発生素子は発熱素
    子であって、前記素子駆動は当該発熱素子にインクに気
    泡を形成する駆動信号を供給する駆動であることを特徴
    とする請求項8に記載の記録装置。
  11. 【請求項11】  前記回復モードでは、前記気泡の成
    長中に前記吸引を開始し、前記吸引時の最大吸引力を前
    記気泡の消泡時に作用させるタイミング駆動が行われる
    ことを特徴とする請求項9に記載の記録装置。
  12. 【請求項12】  前記回復モードは、前記気泡の成長
    によるインク吐出時に前記吸引力を作用させるモードで
    あることを特徴とする請求項9に記載の記録装置。
  13. 【請求項13】  インクを吐出する吐出口と当該イン
    クの吐出のために利用されるエネルギを発生する吐出エ
    ネルギ発生素子とを有する記録ヘッドと、該記録ヘッド
    に対して圧力を作用することによりインクを排出させる
    排出手段と、前記吐出口内方の異物を除去して前記記録
    ヘッドにインク吐出状態を良好にする吐出回復処理にあ
    たり、前記排出手段を駆動すると同時に前記吐出エネル
    ギ発生素子を駆動する手段とを具えたことを特徴とする
    インクジェット記録装置。
  14. 【請求項14】  前記吐出エネルギ発生素子はインク
    に膜沸騰を生じさせる熱エネルギを発生するための電気
    熱変換素子の形態を有することを特徴とする請求項13
    に記載のインクジェット記録装置。
  15. 【請求項15】  前記吐出回復処理に先立ってインク
    を加熱するようにしたことを特徴とする請求項13に記
    載のインクジェット記録装置。
  16. 【請求項16】  前記吐出回復処理における前記吐出
    エネルギ発生素子の駆動周波数を、インクの限界リフィ
    ル周波数より高く設定したことを特徴とする請求項13
    に記載のインクジェット記録装置。
  17. 【請求項17】  複数の吐出口にそれぞれ対応した吐
    出エネルギ発生素子を備えたインクジェット記録ヘッド
    の回復処理方法において、前記吐出エネルギ発生素子を
    駆動して前記複数の吐出口からインクを吐出させる素子
    駆動期間とインクをヘッド内部から前記吐出口を介して
    強制排出する強制排出期間とを併用して回復を行う回復
    併用期間を有する回復モードを具えたことを特徴とする
    インクジェット記録ヘッドの回復処理方法。
  18. 【請求項18】  前記吐出エネルギ発生素子は発熱素
    子であって、前記素子駆動期間は少なくともインクに気
    泡を形成する駆動信号を前記発熱素子に供給してインク
    中に少なくとも気泡を形成する期間であることを特徴と
    する請求項17に記載のインクジェット記録ヘッドの回
    復処理方法。
  19. 【請求項19】  前記強制排出期間は、前記強制排出
    を司る回復ポンプを使用し、該回復ポンプが所定の吸引
    力を発揮している期間であることを特徴とする請求項1
    8に記載のインクジェット記録ヘッドの回復処理方法。
  20. 【請求項20】  前記強制排出期間は、前記複数の吐
    出口を覆うキャップを介して吸引する工程中の期間であ
    ることを特徴とする請求項19に記載のインクジェット
    記録ヘッドの回復処理方法。
  21. 【請求項21】  前記インクジェット記録ヘッドは、
    インク吸収体を内部に具備したインク収納部からのイン
    ク供給を受けて記録を行うインクジェット記録ヘッドで
    あり、前記吐出エネルギ発生素子は発熱素子であること
    を特徴とする請求項17に記載のインクジェット記録ヘ
    ッドの回復処理方法。
  22. 【請求項22】  前記回復併用期間を有する回復モー
    ドは、静圧での前記インク吸収体の負圧が初期状態から
    増加した所定値以上で実行されることを特徴とする請求
    項21に記載のインクジェット記録ヘッドの回復処理方
    法。
  23. 【請求項23】前記素子駆動期間の終了時は、前記強制
    排出期間の終了時よりも前であることを特徴とする請求
    項17に記載のインクジェット記録ヘッドの回復処理方
    法。
  24. 【請求項24】  前記素子駆動期間の開始時は、前記
    強制排出期間の開始時よりも前であることを特徴とする
    請求項17に記載のインクジェット記録ヘッドの回復処
    理方法。
  25. 【請求項25】  前記素子駆動期間の終了時は、前記
    強制排出期間の終了時よりも前であることを特徴とする
    請求項24に記載のインクジェット記録ヘッドの回復処
    理方法。
  26. 【請求項26】  前記素子駆動期間は、前記強制排出
    期間の強制排出のための最大圧力の30%以上の期間に
    実行されることを特徴とする請求項17に記載のインク
    ジェット記録ヘッドの回復処理方法。
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