JP2773969B2 - インクジェット記録装置および該装置用吐出回復装置 - Google Patents

インクジェット記録装置および該装置用吐出回復装置

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JP2773969B2 JP25504590A JP25504590A JP2773969B2 JP 2773969 B2 JP2773969 B2 JP 2773969B2 JP 25504590 A JP25504590 A JP 25504590A JP 25504590 A JP25504590 A JP 25504590A JP 2773969 B2 JP2773969 B2 JP 2773969B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、インクジェット記録装置および該装置用吐
出回復装置に関するものである。
[従来の技術] インクジェット記録装置において、記録データによっ
てはある吐出口で長時間吐出が行われない場合や、装置
自体が長期間使用されない場合には、吐出口や吐出口に
連通する液路内のインクが水分蒸発によって増粘するこ
とがある。このような増粘インクが充填される等によっ
て液路内が吐出に適さない状態にあると、液路に配置さ
れる吐出エネルギ発生素子を所定の条件で駆動しても吐
出されるインク量が一定しなくなり、記録される画像品
位が低下するおそれがある。また、このようなインクの
増粘によって吐出不良が生じたり、さらには固化が生じ
て不吐出が発生するおそれもある。
記録剤に液体であるインクを用いることに起因したこ
れら不都合を解消すべく、インクジェット記録装置にお
いては他の記録装置に見られない固有の構成、すなわち
液路内をリフレッシュする手段、所謂記録ヘッドの吐出
回復系が設けられている。
この吐出回復系として、インクの吐出口に吸引力を作
用させてインクを吐出口より強制的に排出させるように
したものがある。その吸引力を作用させる手段としては
ポンプが用いられるが、例えば本出願人により特願平1
−122878号〜同1−122880号において開示された吐出口
周辺を覆うことが可能なキャップ部材に連通した弾性体
でなるチューブと、そのチューブを押圧しつつ移動する
加圧部材とを設けた構成によるポンプ(チューブポン
プ)は、吸引系の構成を簡単かつ廉価にすることができ
るという利点を有している。
第13図はかかるチューブポンプの概略構成を示す。こ
こで、86は108Aの範囲に複数個のインク吐出口を配列し
てなる記録ヘッド、300はその吐出口周辺を覆うことが
可能なキャップ、304はキャップ300と不図示の廃インク
タンクとを連通するチューブであり、弾性体でなるもの
である。501は半円状のチューブ規制面502を有する支持
台、510は規制面502に沿ってチューブ304を加圧するた
めの加圧コロ、520はコロ510を保持して軸504のまわり
に回転するガイドローラであり、図中の矢印方向の回転
に伴って吐出口に吸引力が作用し、インクが吸出されて
液路がリフレッシュされる。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、かかるチューブポンプでは、発生させ
る吸引圧力ないしは吸引量を大きくすることが困難なこ
とがあった。すなわち、単一のコロ510の回転によりチ
ューブ304を押しつぶしつつ吸引圧力を発生する構成で
は、チューブをつぶす範囲が限られているためである。
そこで、本発明は、十分な吸引圧力ないし吸引量を確
保して吐出回復処理の確実化を図ることを目的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明のインクジェット記録装置は、記録媒体に対し
てインクを吐出する記録ヘッドを用いて記録を行うイン
クジェット記録装置において、インクを排出するための
排出路を備え、前記記録ヘッドのインクを吐出する吐出
部を覆うためのキャップと、該キャップの前記排出路に
連通してインクを排出方向に案内するチューブ部材であ
って、少なくともその一部が弾性体で形成された当該チ
ューブ部材と、前記一部を加圧して前記弾性体の弾性変
形を生じさせることが可能な複数の加圧部材と、1また
は2以上の前記加圧部材による加圧を行わせつつこれを
移動させることにより前記記録ヘッドの前記吐出部から
インクを強制的に排出させる吸引力を発生する吐出回復
手段と、を具備し、2以上の前記加圧部材による加圧を
行わせつつこれを移動させるモードを有することを特徴
とする。
本発明のインクジェット記録装置用吐出回復装置は、
記録媒体に対してインクを吐出する記録ヘッドを用いて
記録を行うインクジェット記録装置用吐出回復装置にお
いて、前記記録ヘッドのインク吐出口から強制的にイン
クを排出させるための圧力を伝えるチューブ部材であっ
て、少なくともその一部が弾性体で形成された当該チュ
ーブ部材と、前記一部を加圧して前記弾性体の弾性変形
を生じさせることが可能な複数の加圧部材と、1または
2以上の前記加圧部材による加圧を行わせつつこれを移
動させることにより前記圧力を発生させる吐出回復手段
と、を具備し、2以上の前記加圧部材による加圧を行わ
せつつこれを移動させるモードを有することを特徴とす
る。
[作 用] 本発明によれば、少なくとも一部が弾性体により構成
されたチューブを加圧部材により押しつぶしつつ移動さ
せることで圧力を発生させる構成において、チューブを
加圧する部材が複数あり、または2つ以上の加圧部材に
よって同時にチューブを押しつぶす(加圧する)ことの
できる構成を持つことで、大きな圧力を発生させること
ができるようにした。
すなわち、例えば第1の加圧部材により高められた
(キャップ内の)圧力を、第1の加圧部材が、チューブ
を圧接している状態から開放する前記に第2の加圧部材
によりチューブを圧接することで第1の加圧部材により
高められたキャップ内の圧力をそのまま保持し、さらに
第2の加圧部材のチューブを圧接しながらの移動に伴な
うポンプ作用により、さらにキャップ内の圧力を高める
ことができる。
[実施例] 以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
(1)カートリッジ まず、第1図は本実施例に係るインクジェット記録装
置のキャリッジ(第3図につき後述する)に搭載可能な
カートリッジCの一構成例を示す。本例に係るカートリ
ッジCは、上方にインクタンク部、下方に記録ヘッド86
を有しており、さらに記録ヘッド86を駆動するための信
号等を受容するとともにインク残量検知の出力を行うた
めのヘッド側コネクタ85を、インクタンク部80に並ぶ位
置に設けてある。従って、このカートリッジCを後述の
キャリッジに装填した際に、その高さHを低く押えるこ
とができる。また、カートリッジの走査方向の厚みWを
薄形化することで、カートリッジCを並べて配置すると
きにキャリッジを小さく構成することが可能である。
83はタンク外壁と一体に形成したコネクタカバーであ
り、コネクタ85への不用意な接触を防止している。また
81は位置決め部であり、2方向の突き当て面81a・81bが
形成されている。これらの位置決め面と、記録ヘッド86
上に設けられる位置決め用突き当て面と十分な距離をと
ることにより、後述の押しピンによる斜面84部への加圧
で確実な記録ヘッドの位置決め固定が可能となる。さら
に、82はつまみであり、カートリッジCを装填部に対し
て着脱する際等に用いる。また、82aは前につまみ82に
設けられ、インクタンク部80内部を大気と連通させるた
めの大気連通孔である。さらに83aは切り欠き部、83bは
ガイドであって、ともにカートリッジCを装填部に装填
する際のガイドとなる。
本例に係る記録ヘッド86は、図中底面側に開口した複
数の吐出口を有し、その吐出口に連通した液路部分にイ
ンク吐出に利用されるエネルギを発生する吐出エネルギ
発生素子が配置される。この吐出エネルギ発生素子とし
ては、吐出口ないし液路の高集積化が可能なことから、
熱エネルギ発生素子を用いるのが好適である。
第2図(A)および(B)は、それぞれ、記録ヘッド
86の吐出方向前方より見た正面図および側断面図を示
す。
第2図(A)および(B)において、101は記録ヘッ
ド86のベース板であり、Alにより形成されている。基板
101上にはSi等で形成される基板(ヒータボード)102が
接着されている。ヒータボード102にはその表面には熱
エネルギ発生素子としての電気熱変換体(不図示)やこ
の電気熱変換体を駆動するための機能素子としてのダイ
オード等が形成されている。103はオリフィスプレート
(吐出口形成部材)であり、ここでは、インク液室を形
成するための溝を設けた天板103Aと一体成形されてい
る、 このオリフィスプレート103における吐出口の形成
は、例えばエキシマレーザ光の照射やフォトエッチング
工程によって精度よく行うことができ、これにより複数
の吐出口全体にわたって精度の高い形状を得ることがで
きる。また、このオリフィスプレート103は、吐出口形
成面に複数の異種材料が露出する場合には、これら材料
間の濡れ性の違いによって生じる吐出方向の偏向を防止
する意味でも用いられるものである。
104はフィルタであり、チップタンク105から共通液室
106に至るインク供給口に設けられる。フィルタ104は図
中矢印のごとく流れてくるインクの不純物や塵埃などを
取り除く。フィルタ104を通過したインクは共通液室106
に流れ込み、この液室に連通する複数のインク液路107
の各々にその吐出に応じて供給される。109はオリフィ
スプレート103をその弾性力等で押え、開口面(ここで
は特にヒータボード102の端面)に対して密着させる押
え部材である。本例では押え部材109としてSUSを用いて
いる。
以上の構成において、記録ヘッド86に一体化されてい
るインクタンク部80からチップタンク105にインクを供
給し、その後図示した矢印のごとくインクが流れる。ま
ず、フィルタ104を通過することでインク中の塵埃や不
純物が除去され、共通液室106に至りそこから液路107に
導かれる。そして液路107内に配設された電気熱変換体
を駆動することによりインク中に気密を発生させ、この
気泡の状態変化によって吐出口108を介してインクを吐
出する。
(2)キャリッジ 第3図および第4図は、それぞれ、第1図示のカート
リッジCを装着可能なインクジェット記録装置のキャリ
ッジ周辺の構成例を示す斜視図および平面図である。こ
れら図は、キャリッジ2上に4個のカートリッジC1・C2
・C3・C4(それぞれ異なった色のインクを収容してお
り、例えばイエロー,マゼンタ,シアン,ブラック等)
を位置決めして装填する例を示している。
保持部材としてのコネクタホルダ40上には、4個の押
しピン10(押しピンA〜D)が係合しており、バネ10a
(バネA〜D)によって第4図中左方向に付勢されてい
る。ここで、保持部材としてのコネクタホルダ40は、軸
(軸I・軸II)を介してリンク21(リンクI・リンクI
I)と係合し、更にこのリンク21に係合する操作レバー
7の回転動作(時計方向・反時計方向)に従って第4図
中左右方向に移動可能であって、右方向に移動して加圧
を解除してカートリッジの交換を可能とし、一方左方向
に移動してカートリッジの装填を受容する構成になって
いる。
そこでカートリッジCを装填部2fに装填する際には、
まずカートリッジCの記録ヘッド部86を装填部2fの先端
凹部2f1に上方から落し込む。この際にカートリッジC
のガイド83b間にキャリッジ2側の矩形部2hが係合して
大略位置決めされる。そして、操作レバー7を軸9を中
心に時計方向へ回動させれば、ホルダ40が進んできてカ
ートリッジCの切り欠き部83aにキャリッジ2側のガイ
ド54に侵入するとももに、ピン10がカートリッジCと係
合してカートリッジCは装填部2fに装填される。59はバ
ネであってキャリッジ2側に設けられており、装填部2f
に装填されたカートリッジCを後方に押圧して位置決め
をより精度良く行うための付勢力を発生する。そして押
しピン10の先端部10bはそれぞれ4個のカートリッジC
の突き当て面1dに当接し、カートリッジを押圧する。ま
た、押しピン10の外周面10cはキャリッジ2の突き当て
面2Sに当接し、発生する押しピン軸と直角方向のスラス
ト力をそれぞれ独立に受ける構造になっている。従っ
て、保持部材40はバネ10a(バネA〜D)の反力のみを
受けるだけであって、スラスト力が作用しないために、
複数のカートリッジを同時に解除するときも解除レバー
7を小さな操作力で操作して着脱動作が可能となる。
(3)回復系ユニットの概要 次に本例に係る回復系ユニットについて説明する。
第5図はその回復系ユニットの配設部位および概略構
成を説明するための模式図であり、本例においては回復
系ユニットを第3図の左側にあるホームポジション側に
配設してある。
回復系ユニットにおいて、300は記録ヘッド86を有す
る複数のカートリッジCにそれぞれ対応して設けたキャ
ップユニットであり、キャリッジ2の移動に伴って図中
左右方向にスライド可能であるとともに、上下方向に昇
降可能である。そしてキャリッジ2がホームポジション
にあるときには、記録ヘッド部86と接合してこれをキャ
ッピングする。
また、回復系ユニットにおいて、401および402は、そ
れぞれワイピング部材としての第1および第2ブレー
ド、403は第1ブレード401をクリーニングするために、
例えば吸収体でなるブレードクリーナである。本例にお
いては、キャリッジ2の移動によって駆動されるブレー
ド昇降機構により第1ブレード401を保持させ、これに
より第1ブレード401を記録ヘッド86の吐出口形成面の
うち露出したオリフィスプレート103の表面をワイピン
グすべく突出(上昇)した位置と、これと干渉しないよ
うに後退(下降)した位置とに設定可能とする。そして
本例では、記録ヘッド86は第2図(A)における幅bを
有する部分が第5図中左側にあるように取付けられてい
るものとし、キャリッジ2が図中左側より右側に移動す
るときに第1ブレード401によるワイピングがなされる
ようにする。これにより、露出しているオリフィスプレ
ート103の面は、第2図(A)に示した吐出口の配設位
置によって区画される狭い部分側(幅aの部分)から広
い部分側(幅bの部分)に向けてのみワイピングがなさ
れる。なお、第2ブレード402については、第1ブレー
ド401によってワイピングされない記録ヘッド86の吐出
口形成面、すなわち第2図(A)における露出したオリ
フィスプレート表面の両側部分にある押え部材109の表
面をワイピングする位置に固定してある。
さらに、回復系ユニットにおいて、500はキャップユ
ニット300に連通したポンプユニットであり、キャップ
ユニット300を記録ヘッド86を接合させて行う吸引処理
等に際してそのための負圧を生じさせるのに用いる。こ
のポンプユニット500の構成,動作等については第7図
につき後述する。
(3.1)キャップユニット 第6図(A)および(B)は、回復系ユニットの詳細
な構成例を示すそれぞれ正面図および側面図である。
まずキャップユニット300は、記録ヘッド86の吐出口
のまわりに密着するキャップ302と、これを支持するホ
ルダ303と、空吐出処理および吸引処理に際してインク
を受容する吸収体306と、この受容されたインクを吸引
するための吸引チューブ304と、さらに第7図につき後
述するポンプユニット500に連通した接続チューブ305等
を有している。このキャップユニット300はカートリッ
ジCのそれぞれに対応した位置に同個数(本例では4
個)だけ設けられ、キャップホルダ330により支持され
ている。
332および334はキャップホルダ330から突設したピン
であり、固定の回復系ベース350に設けられてキャップ
ホルダ330を第6図(A)中左右方向かつ上下方向に案
内するためのカム溝352および354にそれぞれ係合してい
る。キャップホルダ330の一方のピン334と回復系ベース
350の立ち上げ部364との間にはばね360を張架し、これ
によりキャップホルダ330に同図示の位置、すなわちキ
ャップホルダが右端位置かつ下降位置に保持されるよう
に付勢力を与えている。なお、この位置にあるキャップ
ホルダ330ないしキャップユニット300に対して、キャリ
ッジ2上に搭載されたカートリッジCの記録ヘッド86が
対向した位置が、1スキャンの記録処理時におけるキャ
リッジ2のスタートポジション(SP)である。
342はキャップホルダ330から立ち上げられ、スタート
ポジションより左方の位置においてキャリッジ2と係合
する係合部である。キャリッジ2がスタートポジション
より第8図(A)中さらに左方に移動すると、これに伴
って係合部342によりキャップホルダ303はばね360の付
勢力に抗して移動する。このときキャップホルダ330は
ピン332および334を介してカム溝352および354に沿って
案内され、左方かつ上方に変位する。従ってキャップ30
2が記録ヘッド86の吐出口の周囲と密着し、キャッピン
グが施される。なお、このキャッピングがなされるとき
のキャリッジ2の位置をホームポジションとする。
(3.2)ブレード昇降機構等 次に第1ブレード401の昇降機構について説明する。
第6図(A),(B)を参照するに、410は昇降可能
なブレードホルダであり、その上部に取付け具411によ
り第1ブレード401を取付けてある。412はブレードホル
ダ410を下降位置に向けて付勢するためのホルダ復帰ば
ねである。
430はブレードホルダ410に突設したピン414のまわり
に回動可能で、ストッパ432の上面部と係合することに
よりブレードホルダ410をその上昇位置においてロック
するためのロックレバーであり、ばね434により第8図
(A)中反時計方向に付勢されている。また、同図示の
状態ではブレードホルダ410に突設した部分416に係合
し、図示の位置に保持される。
440はブレードホルダ410から突設したピン418のまわ
りに回動可能で、ブレードホルダ410の上昇位置におけ
るロックレバー430のロック状態を解除するための解除
レバーであり、ピン418のまわりに第6図(A)中反時
計方向に回動することによって当該ロックの解除を行
う。すなわち、解除レバー440にはロックレバー430と係
合するピン442を立設してあり、解除レバー440がピン41
8のまわりに同図中反時計方向に回動すると、ピン442は
ロックレバー430をピン414のまわりに回動させ、ロック
レバー430とストッパ432の上面部との係合を解除させ
る。
450はキャリッジ2の移動に伴ってブレードホルダ410
を上昇させるための駆動力を伝達するカム部材であり、
回復系ベース350に突設したピン370のまわりに回動可能
に保持されている。
(4)回復動作 (4.1)ポンプユニットの動作 第7図(A)〜(D)を参照してポンプユニット500
について説明する。
これら図において、502は半円筒面状に設けた回復系
ベースの規制面であり、ここに少なくともその規制面上
では可撓性を有する部材として構成したチューブであっ
て、不図示の廃インクタンク等に連通したチューブ304
を這い回す。510A,510Bはチューブ304を規制面50に対し
て押付けながらポンプ軸504のまわりに回転する第1,第
2加圧コロであり、図中矢印方向にチューブ304を押潰
しつつ回転することによりキャップユニット300に至る
空間に負圧を生じさせ、吐出口からのインク吸引等を行
う。520は第1,第2加圧コロ510A,510Bを回転させるため
のガイドローラであり、ポンプ軸504に軸支されてい
る。
第7図(A)は吸引回復処理を行う直前の状態を示
し、この状態ではチューブ304に連結されたキャップ部
材300が記録ヘッド86の吐出口形成面をキャッピングし
ている。また、この状態ではローラ520上の第1および
第2加圧コロ510A,510Bは共に、弾性体で形成されたチ
ューブ304を圧接していない。このように、チューブ304
が加圧コロ510A,510Bにより押し潰されいない状態であ
れば、たとえ長期間位置された場合でもチューブ304が
変形するという問題が生じない。また、吸引回復に先立
って行うキャッピング動作の際にも、吐出口付近に形成
されているインクメニスカスを加圧して後退させること
もない。
この状態から図中矢印で示す方向にローラ520が回転
すると、まず第1加圧コロ510Aが支持台501の規制面502
に沿って固定されているチューブ304を押し潰しつつ回
転して行き、これに伴ってキャップ内空間に負圧が生じ
て吐出口よりインクが吸出される。通常の吸引回復モー
ド(以下通常吸引モードという)では、ローラ520が回
転し第1加圧コロ510Aが第7図(B)の状態まで進むこ
とでキャップ内の負圧がある程度の大きさとなるので、
この状態を所定時間保持すればヘッド内のインクがある
程度の量吸引される。
吸引動作を終了するにあたっては、キャップ内の負圧
が“0"となってからキャップ300をヘッド86から外して
もよいが、完全に“0"とならなくても強制的にキャップ
300をヘッド86から外して吸引動作を終了してもよい。
そうすればインク消費量を低減することができる。しか
しこのとき、キャップ内負圧がインクメニスカス保持力
よりも大きい状態でキャップ300を外すと、吐出口内包
へ空気が逆流して入り込んでしまうおそれがあるため、
キャップ内負圧がインクメニスカス保持力よりも小とな
ってからキャップ300を外すのが強く望ましい。
次に、吸引圧力を通常の吸引に対して大きくした吸引
回復モード(以下大吸引モードという)について説明す
る。
このモードでも第7図(A)の状態から矢印方向にロ
ーラ520を回転させるが、同図(B)の状態で停止させ
ず、さらに矢印方向へと回転させる。このとき、一時的
に第7図(C)の状態、すなわち第1および第2の加圧
コロ510A,510Bが共にチューブ304を規制面502に圧接し
た状態となる。さらにそのまま矢印方向にローラ520を
回転させると、第2加圧コロ510Bで圧接された部分から
キャップ300までの空間が小回復モードに比して大きな
負圧を発生させることになる。そして、第7図(D)の
状態、すなわち第2加圧コロ510Bがチューブ304を圧接
した状態でローラ520を停止させれば、ヘッド内のイン
クを通常吸引モードより多量に吸引することが可能とな
る。
以上のように、本例においては、インク吸引による回
復処理の形態は2通りある。大吸引モードは装置の比較
的長期間にわたる休止後や、空吐出,ワイピングその他
による他の回復処理によってもインク吐出状態が良好と
ならないとき等に、スイッチ等適宜の操作手段の操作に
より、もしくは自動的に行われるものである。このとき
はインクが増粘その他によって排出されにくい状態とな
っているので、キャップ内の吐出口に大きな吸引力を作
用せしめ、すなわち流速を高めて急激にインク排出を行
わせる。また、吐出口内方や共通液室内部にインクがな
くなった状態や、本例のようにインクタンク一体型記録
ヘッドを用いた場合にインク残量が少なくなることで回
復に大きな吸引圧を必要とする状態において、この大回
復は有効である。他方、通常吸引モードは所定量の記録
動作直後においてリフレッシュないし冷却等により吐出
状態を良好にするべく行うものである。特に吐出エネル
ギに熱エネルギを用いる本例のような装置では、このと
きはインク温度がある程度高く、従って粘性が小となっ
ており、インクが比較的排出され易い状態となっている
ので、大吸引モードより小さい吸引力を作用せしめてイ
ンク排出を行わせる(以下これを小回復という)。
第8図は吸引回復時におけるキャップ内圧力波形を示
し、図中(1)が大吸引モード時において、(2)が通
常吸引時においてインクが吐出口より流出した場合の波
形である。このように、本例では2つの加圧コロ510A,5
10Bを用いることにより、吸引圧力を2段階に切替える
ことができるわけである。なお、それぞれに対応する実
線はインクが流出しなかった場合の波形である。
(4.2)キャリッジの位置設定 第9図を用いてキャリッジ2の位置設定態様等につい
て説明する。なお、図中の〜は最も記録領域側に位
置するヘッドを基準とした位置である。
まず、同図(A)はワイピング時の反転ポジションを
示す。さらに本例ではこの位置をキャッピングを施す場
合またはブレード401を上昇させる場合に設定される位
置とする。本例ではこれらキャッピグやブレード突出の
ための動作がキャリッジ2の移動に伴って行われるため
に、キャリッジ2からはある程度以上大きな力の伝達が
必要である。そこで、キャリッジ2の適切な位置に設
定し、この位置から移動を行わせることによりその慣性
を利用すれば、キャリッジ2の駆動源たるモータの大型
化や駆動電力の増大をもたらすことなく、上記機構を駆
動するに必要十分な量の駆動力が得られることになる。
次に、同図(B)の位置は記録動作の開始ポジショ
ンおよび記録動作中の反転ポジションであるスタートポ
ジションを示す。このときには各ヘッド86と各キャップ
300とがそれぞれ対向するが、キャップホルダ330および
ブレードホルダ410は駆動されておらず、従ってキャッ
プ300はヘッド86と離隔した位置にあり、かつブレード4
01も上昇していない。空吐出はこの位置で行われる。
次に、同図(C)に示す位置はブレードホルダ410
の上昇が起動される位置である。キャッピングを行う場
合あるいはワイピングを行う場合にはこの位置を通過
し、あるいはこの位置に設定される。また、同図(D)
の位置はキャップホルダ330が上昇してキャッピング
が施される位置であり、この位置で大吸引や通常吸引が
行われたり、記録休止時の待機等が行われる。
(4.3)制御系の構成 第10図は本実施例の制御系の構成例を示す。
ここで、800は主制御部をなすコントローラであり、
第11図示の手順を実行する例えばマイクロコンピュータ
形態のCPU801、その手順に対応したプログラムやその他
の固定データを格納したROM803、および画像データを展
開する領域や作業用の領域等を設けたRAM805等を有す
る。810は画像データの供給源をなすホスト位置(イメ
ージリーダ部等であってもよい)であり、画像データそ
の他コマンド,ステータス信号等はインターフェース
(I/F)812を介してコントローラと送受信される。
820は電源スイッチ822、記録開始を指令するための記
録開始スイッチ824および大回復の起動を指示するため
の大回復スイッチ826等、操作者により指令入力を受容
するスイッチ群である。830はホームポジションやスタ
ートポジション等キャリッジ2の位置を検出するための
センサ832、およびリーフスイッチ530を含みポンプ位置
検出のために用いるセンサ834等、装置状態を検出する
ためのセンサ群である。
840は記録データ等に応じて記録ヘッド86の吐出エネ
ルギ発生素子(本例では電気熱変換体)を駆動するため
のヘッドドライバである。850はキャリッジ2を主走査
方向(第5図の左右方向)に移動させるための主走査モ
ータ、852はそのドライバである。860は副走査モータで
あり、記録媒体を搬送(副走査)するために用いられる
とともに、本例ではローラ520を介して加圧コロ510A,51
0Bの駆動を行う。862はそのドライバである。
(4.4)制御手順 第11図(A)および(B)は、それぞれ、本実施例に
係る通常吸引処理および大吸引処理の手順の例を示すフ
ローチャートである。
通常吸引処理は、例えば1頁の記録が終了してその記
録媒体が排出されたとき等に行うことができ、本手順が
起動されると、まずステップSA1にて加圧コロ510A,510B
を第7図(A)の位置に設定する。
次に、ステップSA3にてキャリッジ2のホームポジシ
ョン(第9図の位置)への設定を行う。キャリッジ2
のホームポジションへの設定にあたっては、その移動を
利用してキャップホルダ330およびブレードホルダ510を
駆動するものであるために、適切な慣性力を得るべくキ
ャリッジ2を回復系ユニットと重畳しない適宜の位置
(例えば第9図(A)の位置)に設定し、助走が行わ
れるようにする。そしてホームポジションへの設定によ
って記録ヘッド86がキャッピングされ、かつキャップ内
空間が密閉された状態となる。また、このときにはブレ
ード401が突出し、ロックされるための位置(第9図の
位置を通過しているので、ブレード401は上昇位置に
ある(この動作は以下でも同様である)。なお、キャリ
ッジ2が既にホームポジションにあれば、本ステップを
スキップしてもよい。
次に、ステップSA5にて通常吸引動作を行う。ここで
はローラ520を第7図(A)から同図(B)に示す状態
に回動させ、この位置で所定時間t2(第8図参照)保持
してインク吸引を行う。
次に、ステップSA7にてキャリッジ2を位置に向け
て移動させることにより、吐出口形成面のワイピングが
行われる。キャリッジ2のホームポジションへの設定に
よって既にブレード401が突出しているからである。こ
のときの移動は、通常の記録走査時等よりも低い速度と
すれば、吐出口形成面に段差のある記録ヘッドであって
も、その段差にブレード401が追従して確実なワイピン
グがなされる。
次に、ステップSA9にてローラ520を第7図(A)の状
態にまで回動させ、ステップSA11にてキャリッジ2をス
タートポジション(第14図のの位置)に設定しこの位
置で空吐出を行う。すなわち、ワイピング後には空吐出
を行うわけである。なお、スタートポジションへの移動
に伴ってキャリッジ2が解除レバーに係合し、これを動
作させるために、前述のようにブレード401は下降す
る。
ここで、その空吐出は、1つのブレードで複数の記録
ヘッドをワイピングすることによって生じ得る混色等の
防止のために行われるものであり、本例ではこれをより
有効に行うべく、後にワイピングされた記録ヘッドほ
ど、または明度の高いインク(イエロー等)に対応した
記録ヘッドほど、混色が目立ち易いためにそのような記
録ヘッドに対しては念入りに空吐出を行うようにする。
すなわち、混色が生じ易い記録ヘッドほど空吐出処理を
行う時間を長く、ないしは吐出回数を多くする等であ
る。
次に、ステップSA13にて、記録ヘッドにキャッピング
を施して処理を終了する。
すなわち、装置は記録ヘッドにキャッピングを施した
状態で次の記録開始指令を保持することになる。
大回復スイッチ826が操作されると、第11図(B)に
示す処理が起動される。本手順では、ステップSB1,SB3
にて上記ステップSA1,SA3と同様の処理を行った後、ス
テップSB5にて大吸引を行う。すなわち、第7図(A)
の状態からローラ520を回転させて第7図(D)の状態
に設定し、この位置で所定時間t1(第8図参照)を保持
してインク吸引を行う。そしてその後ステップSB7〜SB1
3にて、それぞれ、第11図(A)のステップSA7,SA13と
同様の処理を行い、本手順を終了する。
(5)実施例2 第12図(A)および(B)は本発明の第2の実施例を
示す。
ここでは3個の加圧コロ501A,510B,510Cがローラ520
に支持されている。これらの3個の加圧コロはほぼ120
゜毎にローラ520に取りつけられており、隣り同士の加
圧コロが同時にチューブを圧接する状態が必ずあるよう
にしている。本例による吸引動作について説明する。
まず、通常吸引モードでは、第12図(A)の状態でヘ
ッド86をキャッピングし、ローラ520が矢印の方向に回
転する。その回転に伴い、第1の加圧コロ510Aがチュー
ブ304を規制面502に対して圧接し、ローラの回転に伴い
キャップ内に負圧が生じる。このとき、チューブ304を
圧接していない第2加圧コロ510Bがチューブを圧接する
直前の所(第12図(B))まで回転したらローラ520の
回転を停止し、この状態で所定時間保持し、ヘッド内の
インクを吸引する。
一方、大吸引モードでは、回復のモードに応じて、回
転ローラの回転角を変化させることで吸引圧を可変とす
る。
すなわち、加圧コロが第12図(B)の状態で停止せ
ず、連続的に回転していくと、吸引圧を高めていく段階
で複数の加圧コロ(ここでは2個)がチューブを圧接す
る状態となるため、吸引圧をさらに段階状に上げること
が可能となるのである。そして、所定の回転角だけ動か
した所で停止することで、所望の吸引圧、および吸引量
等を得ることができる。
(6)その他 上述では、複数の記録ヘッドに対応して、複数のポン
プが一体となっている実施例、すなわちC,M,Y,Kのフル
カラーインクジェット記録ヘッドに対して、4つのキャ
ップとそれに対応した4本のチューブと、ローラ,支持
台等を一体にしたポンプユニットとを具備した実施例に
ついて述べた。これによると、ユニット部分の構成が簡
単となり、ポンプが占める容積やコストの低減化を図る
上で有効である。しかし、1記録ヘッドに対応して1つ
のポンプユニットが配設されたものであってもよい。
(その他) なお、本発明は、特にインクジェット記録方式の中で
もキヤノン株式会社が提唱しているバブルジェット方式
の記録ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらす
ものである。かかる方式によれば記録の高密度化,高精
細化が達成できるからである。
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特
許第4723129号明細書,同第4740796号明細書に開示され
ている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この
方式は所謂オンデマンド形,コンティニュアンス形のい
ずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド形の場
合には、液体(インク)が保持されているシートや液路
に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に
対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少
なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気
熱変換体に熱エネルギを発生せしめ、記録ヘッドの熱作
用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一
対一で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるの
で有効である。この気泡の成長,収縮により吐出用開口
を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つ
の滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、
即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性
に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好まし
い。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第44
63359号明細書,同第4345262号明細書に記載されている
ようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上
昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載
されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行う
ことができる。
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示さ
れているような吐出口,液路,電気熱変換体の組合せ構
成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用部が
屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許
第4558333号明細書,米国特許第4459600号明細書を用い
た構成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の
電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換
体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公
報や熱エネルギの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応
させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基いた
構成としても本発明の効果は有効である。すなわち、記
録ヘッドの形態がどのようなものであっても、本発明に
よれば記録を確実に効率よく行うことができるようにな
るからである。
さらに、記録装置が記録できる記録媒体の最大幅に対
応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドに対
しても本発明は有効に適用できる。そのような記録ヘッ
ドとしては、複数記録ヘッドの組合せによってその長さ
を満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッド
としての構成のいずれでもよい。
加えて、上例のようなシリアルタイプのものでも、装
置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装置本体に装
着されることで装置本体との電気的な接続や装置本体か
らのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプ
の記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一体的にイン
クタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッド
を用いた場合にも本発明は有効である。
また、本発明に記録装置の構成として設けられる、記
録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付
加することは本発明の効果を一層安定できるので、好ま
しいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッ
ドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加
圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素
子或はこれらの組み合わせによる予備加熱手段、記録と
は別の吐出を行なう予備吐出モードを行なうことも安定
した記録を行なうために有効である。
また、搭載される記録ヘッドの種類ないし個数につい
ても、例えば単色のインクに対応して1個のみが設けら
れたものの他、記録色や濃度を異にする複数のインクに
対応して複数個数設けられるものであってもよい。すな
わち、例えば記録装置の記録モードとしては黒色等の主
流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体
的に構成するか複数個の組み合わせによるかいずれでも
よいが、異なる色の複色カラー、または混色によるフル
カラーの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極め
て有効である。
さらに加えて、以上説明した本発明実施例において
は、インクを液体として説明しているが、室温やそれ以
下で固化するインクであって、室温で軟化もしくは液化
するもの、あるいはインクジェット方式ではインク自体
を30℃以上70℃以下の範囲内で温度調整を行ってインク
の粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが
一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状
をなすものであればよい。加えて、積極的に熱エネルギ
による昇温をインクの固形状態から液体状態への状態変
化のエネルギとして使用せしめることで防止するか、ま
たはインクの蒸発防止を目的として放置状態で固化する
インクを用いるかして、いずれにしても熱エネルギの記
録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状イン
クが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点ではす
でに固化し始めるもの等のような、熱エネルギによって
初めて液化する性質のインクを使用する場合も本発明は
適用可能である。このような場合のインクは、特開昭54
−56847号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載さ
れるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状又は
固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して
対向するような形態としてもよい。本発明においては、
上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した
膜沸騰方式を実行するものである。
さらに加えて、本発明インクジェット記録装置の形態
としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端
末として用いられるものの他、リーダ等と組合せた複写
装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の
形態を採るもの等であってもよい。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明によれば、弾性体により
構成されたチューブを加圧部材により押し潰しつつ移動
させることで吸引圧力を発生させるようにしたインクジ
ェット記録ヘッドの吸引回復装置において、チューブを
加圧する部材が複数あり、2以上の加圧部材によってチ
ューブを加圧しつつ、それらの加圧部材を移動させるこ
とにより、高い吸引圧力を発生することができ、通常の
回復モードでは回復しないヘッドも回復させ、正常状態
に復帰させることができる。また、少なくとも吸引圧力
を2段階以上に可変とできるため、単一の吸引圧力に設
定した場合に比べ、各種の状態に対応した吸引圧力で回
復動作を行うことができ、インク消費量の低減も可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例で用いた記録ヘッド・インク
タンク一体型カートリッジの斜視図、 第2図(A)および(B)は、それぞれ、その記録ヘッ
ドの構成例を示す正面図および側断面図、 第3図および第4図は、それぞれ、第1図示のカートリ
ッジが装着される本実施例装置のキャリッジ周辺を示す
斜視図および平面図、 第5図は本実施例に係る装置の主要部である回路系ユニ
ットの概略を示すための当該装置の模式的斜視図、 第6図(A)および(B)は、それぞれ、その回復系ユ
ニットの詳細な構成例を示す正面図および側面図、 第7図(A)〜(D)は本発明の一実施例に係るインク
吸引機構の動作を説明するための説明図、 第8図は本例に係る2種の吸引回復時におけるキャップ
内圧力波形の例を示す説明図、 第9図(A)〜(D)は本実施例における回復処理時の
キャリッジ位置を説明するための説明図、 第10図は本実施例に係る制御系の一構成例を示すブロッ
ク図、 第11図(A)および(B)はそれぞれ、第10図示の制御
系による通常吸引処理および大吸引処理の詳細な手順の
例を示すフローチャート、 第12図(A)および(B)は本発明の他の実施例に係る
吸引機構の動作を説明するための説明図、 第13図は本発明の背景となるインク吸引機構の概略構成
図である。 C……カートリッジ、 2……キャリッジ、 80……インクタンク部、 86……記録ヘッド、 103……オリフィスプレート、 108……吐出口、 300……キャップユニット、 302……キャップ、 303……ホルダ、 304,305……チューブ、 330……キャップホルダ、 332,334……ピン、 401,402……ブレード、 500……ポンプユニット、 502……規制面、 504……ポンプ軸、 510,510A,510B,510C……加圧コロ、 520……ガイドローラ、 800……コントローラ、 810……ホスト装置、 820……スイッチ群、 830……センサ群、 850……主走査モータ、 860……副走査モータ。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】記録媒体に対してインクを吐出する記録ヘ
    ッドを用いて記録を行うインクジェット記録装置におい
    て、 インクを排出するための排出路を備え、前記記録ヘッド
    のインクを吐出する吐出部を覆うためのキャップと、 該キャップの前記排出路に連通してインクを排出方向に
    案内するチューブ部材であって、少なくともその一部が
    弾性体で形成された当該チューブ部材と、 前記一部を加圧して前記弾性体の弾性変形を生じさせる
    ことが可能な複数の加圧部材と、 1または2以上の前記加圧部材による加圧を行わせつつ
    これを移動させることにより前記記録ヘッドの前記吐出
    部からインクを強制的に排出させる吸引力を発生する吐
    出回復手段と、 を具備し、 2以上の前記加圧部材による加圧を行わせつつこれを移
    動させるモードを有することを特徴とするインクジェッ
    ト記録装置。
  2. 【請求項2】1の前記加圧部材による加圧を行わせつつ
    これを移動させるモードを更に有することを特徴とする
    請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 【請求項3】前記加圧部材のいずれもが前記チューブ部
    材の前記一部を加圧しない状態をとり得ることを特徴と
    する請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  4. 【請求項4】前記記録ヘッドはインク吐出のために利用
    されるエネルギとして、インクに膜沸騰を生じさせる熱
    エネルギを発生する素子を有することを特徴とする請求
    項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録装
    置。
  5. 【請求項5】記録媒体に対してインクを吐出する記録ヘ
    ッドを用いて記録を行うインクジェット記録装置用吐出
    回復装置において、 前記記録ヘッドのインク吐出口から強制的にインクを排
    出させるための圧力を伝えるチューブ部材であって、少
    なくともその一部が弾性体で形成された当該チューブ部
    材と、 前記一部を加圧して前記弾性体の弾性変形を生じさせる
    ことが可能な複数の加圧部材と、 1または2以上の前記加圧部材による加圧を行わせつつ
    これを移動させることにより前記圧力を発生させる吐出
    回復手段と、 を具備し、 2以上の前記加圧部材による加圧を行わせつつこれを移
    動させるモードを有することを特徴とするインクジェッ
    ト記録装置用吐出回復装置。
  6. 【請求項6】インクを排出するための排出路を備え、前
    記記録ヘッドのインク吐出口周辺を覆うためのキャップ
    を具備し、前記チューブ部材は該キャップの前記排出路
    に連通してインクを排出方向に案内するための部材であ
    り、前記圧力は吸引力であることを特徴とする請求項5
    に記載のインクジェット記録装置用吐出回復装置。
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