JPH04213403A - 可変波長光フィルタ及びセンサシステム - Google Patents

可変波長光フィルタ及びセンサシステム

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JPH04213403A
JPH04213403A JP3021095A JP2109591A JPH04213403A JP H04213403 A JPH04213403 A JP H04213403A JP 3021095 A JP3021095 A JP 3021095A JP 2109591 A JP2109591 A JP 2109591A JP H04213403 A JPH04213403 A JP H04213403A
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filter
light
optical
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、分光光度計、放射計、
測光器、及び、比色計や、入射光ビームの形で受ける光
の分散及びその波長の分析を行うための手段、及び、可
変波長通過帯域を備えた波長帯域フィルタに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】分光光度計を利用する場合、入射光ビー
ムの内容を十分に分析するため、通常、入射光ビームを
複数の異なる波長または波長間隔に分散することが必要
である。こうした分散手段の1つが、ロック(Rock
)他に対して発行された米国特許第4,678,332
号に開示されており、該特許においては、複数のファイ
バを備えたファイバオプティックスリフォーマッタ(f
iberoptics reformatter)が、
入射ビームをその成分波長に分散するために用いられる
【0003】波長分散のもう1つの手段が、パーキンス
(Perkins)に対して発行された米国特許第4,
681,445号に開示されており、この場合、それぞ
れ、波長スペクトルの異なる部分において機能する複数
のビーム分割器を利用して、入射光ビームの波長分散が
行われる。米国特許第4,743,114号において、
クレーン(Crane)は、干渉計に対する光ビームの
入射角が、回転の2つの垂直方向において周期的に変動
させられる、章動エタロンを用いるファブリーペロー干
渉計による走査の利用を開示している。
【0004】ブレーズ回折格子または同様の波長の分散
手段の利用が、シューマ(Schuma)に対して発行
された米国特許第4,785,090号、フィンク(F
ink)に対して発行された米国特許第4,718,7
64号、及び、ヘトリック(Hettrick)他に対
して発行された米国特許第4,776,696号に開示
されている。米国特許第4,731,881号において
、ゲラー(Geller)は、その波長対強さの内容が
分析される、狭い通過帯域の波長を除く全ての入射光ビ
ームを阻止する手段を開示している。
【0005】図1には、先行技術における狭帯域フィル
タとして用いられる単純なファブリーペローエタロン1
1が示されている。入射波12が部分的に反射し、部分
的に透過するエタロンの第1の表面13に到達する。光
ビームの透過部分14は、第1の反射表面13を通過し
、部分的に反射し、部分的に透過する第2の平行表面1
5にまで伝搬する。光ビーム12の透過部分14は、反
射表面13と15の間で反射して、多数回にわたって行
ったり、来たりし、この光の一部は、各通過時に、第2
の反射表面15を透過する。これによって、透過光ビー
ム16が生じ、その振幅は、エタロン11に関連し、2
つの反射面13及び15間における離隔距離h(一定)
に従って周知の干渉効果を示す。ファブリーペローエタ
ロンに対するこの最も単純なアプローチの場合、反射表
面13及び15の厚さは、無視されるので、この干渉効
果は、表面13及び15の離隔距離によってのみ生じる
ものである。離隔距離hは、通常、λsecθ/2nに
なるように選択されるが、ここで、nは、2つの反射表
面13及び15間における材料の屈折率、θは、第1の
反射表面において受ける光の入射角である。
【0006】先行技術において検討されたもう1つの狭
帯域フィルタは、所定の範囲の波長λ=λ0の遷移エッ
ジを備え、波長λ>λ0の場合には、ほぼ完全に透過性
で、波長λ<λ0の連続帯域の場合には、ほぼ反射性と
なる薄膜材料から成る薄膜エッジフィルタである。この
フィルタについては、参考までに本書に組み込んだ、1
986年マクミラン(MacMillan)社刊行のエ
イチ・エイ・マクレオード(H. A.Mcleod)
による「Thin−Film Optical Fil
ters」188〜233頁に記載があり、実施例の1
つ17が、図2に示されている。高屈折率nHの材料2
5からなる、四分の一波長の厚さλ/4nHを備えた第
1のシーケンスの同一薄膜19と、低屈折率nLの材料
からなる、四分の一波長の厚さλ/4nLを備えた第2
のシーケンスの同一薄膜が、互い違いになっている。複
数の波長を備えた入射光ビーム22が、エッジフィルタ
17に接近し、ビームが、フィルタの個々の界面で反射
し、透過した後、光ビーム23は、長い波長成分λ>λ
0が最小限に減衰し、λ1<λ<λ0の範囲の波長成分
が(反射、代わりに、透過によって)ほとんど完全に減
衰し、短い波長成分λ<λ1が適度に減衰するか、全く
減衰せずに、フィルタ17から出てくる。薄膜材料(そ
れぞれ13層)としてゲルマニウム(nH=4.0)及
び一酸化ケイ素(nL=1.70)を選択し、基準波長
λ0=4.0μmを選択する場合、計算による光の透過
率は、マクレオード(McLeod)の引用書の190
頁における図6.2に示すように、λ=3.3μmとλ
=5.4μmの間における帯域が完全に反射性であるこ
とを示す。図2の構成は、また、特定の波長帯域透過性
が高くなるか、あるいは、反射性が高くなるフィルタを
形成する多層薄膜として用いることも可能である。フィ
ルタ材料の他の適合する選択には、水晶(nl=1.4
5)、MgF2(nl=1.38)、Na3AlF6(
nl=1.35)、PbCl2(nH=2.20)及び
ZnS(nH=2.35)がある。
【0007】より複雑なアプローチの場合、反射表面3
5及び37の一方の厚さも考慮に入れるので、非ゼロの
厚さを備えた反射面の間隔のあいた2つの界面における
反射から、追加干渉効果が生じることになる。このため
、2組の反射表面を備え、通常、対をなす反射表面のそ
れぞれの間における離隔距離が異なる複合ファブリーペ
ローエタロンが検討されることになる。複合ファブリー
ペロー干渉計については、1967年にマグローヒル(
McGraw−Hill)社から刊行されたイー・ユー
・コンドン(E. U. Condon)及びエイチ・
オディショウ(H. Odishaw)による「Han
dbook of Physics」の6−100〜6
−102頁、及び1976年にマグローヒル(McGr
aw−Hill)社から刊行されたエイチ・イー・ホワ
イト(H. E. White)による「Fundam
entals of Optics」の301〜303
頁に簡単に記載されている。
【0008】同時に、分光光度計または比色計に連係し
た1つ以上の検出器で受けた光の強度分布を変更して、
他のプロセスを補償するのが望ましい場合もある。米国
特許第4,740,082号において、ユング(You
ng)は、感光検出器が、光ビームの一部が通過するア
パーチャの全領域について均一に照射される分光光度計
を開示している。米国特許第4,264,211号にお
いて、ビッグス(Biggs)は、受けた入射光線が、
放射線の導体が非ゼロの入射角で受ける放射線に適用さ
れる余弦の法則によって補正される光センサーを開示し
ている。
【0009】イルスレイ(Illsley)他による米
国特許第3,442,572号には、フィルタの厚さが
、円周上における位置の方位角θ(0<θ<2π)が増
すにつれて線形に増大する、大きい円の周囲に配置され
た波長フィルタを利用した可変色フィルタが開示されて
いる。本発明は、その厚さが、空間座標が増すにつれて
線形に増大することのないフィルタの製作には、おそら
く利用できない、2つの分割特許第3,530,824
号及び第3,617,331号に開示され、請求されて
いる製造方法及び装置によるものである。ローディン(
Rodine)による米国特許第2,960,015号
には、フィルタの透過率が円形パターンの中心からの半
径方向における距離と共に変動する、2次元で、半径方
向において対称的な構造をなす可変透過率の光フィルタ
を製造するもう1つの方法が示されている。
【0010】カトウ(Kato)他による米国特許第4
,253,765号には、それぞれが異なる積分時間に
わたって走査される副範囲に波長の可視範囲を分割する
ことによって、この可視範囲の下方端においてほとんど
の検出器の感度が低下するのを明らかに考慮した、多重
波長分光光度計が開示されている。カトウ(Kato)
他は、回折格子を利用して、入射角を波長の副範囲に分
割している。
【0011】カフカ(Kaffka)他による米国特許
第4,566,797号には、それぞれが、中心波長の
異なるほぼ単色の光を放射する、複数の狭帯域発光ダイ
オードの利用が開示されている。これによって、分光光
度計に用いられる有限の少数の離散的波長が得られるが
、これらの波長を変更し、あるいは、利用して、連続し
た波長範囲を形成することはできない。
【0012】ホプキンス(Hopkins)の米国特許
第4,746,793号には、光源の強いスペクトル帯
域によって生じる強い光を受けることによる光ダイオー
ドの過負荷を回避するため、望ましくない周波数の光か
ら複数の光ダイオードのうちの1つ以上を遮蔽するマス
クの利用が開示されている。光源によって生じるスペク
トルの強い部分に対応する光が遮断され、残りの波長成
分からの光は、分光光度計で用いられる通常のやり方で
受けとめられる。
【0013】ペース(Pace)他に対して発行された
米国特許第4,764,670号には、赤、緑、及び青
のフィルタを所定のパターンで用いた2次元の色フィル
タアレイが開示されている。フィルタの染料は、光セン
サ上に直接有効に塗布されており、各染料は、不可避的
に広い帯域になる。この構成は、可変組をなす狭い波長
帯域を得ることができないので、分光光度計には適さな
い。
【0014】クラウゼ(Krause)他に対して発行
された米国特許第4,795,256号には、第1の単
色の光ビームを発生する第1のビームの分割器と、光ビ
ームの残りの部分から中心波長の異なる第2の単色の光
ビームを発生する第2のビーム分割器の利用が開示され
ている。これを続けることによって、少数の異なる波長
の光ビームを発生することができるが、装置全体が複雑
で、大形のため、離散的組をなす固定波長しか発生せず
、連続的な可変組をなすこうした波長は発生しない。
【0015】クルティス(Curtis)に対して発行
された米国特許第4,797,000号には、2つの液
体サンプルの色濃度を比較することによって、2つのサ
ンプルの差の程度に関する測定を行う比色計が開示され
ている。この装置は、1対の光検出器において各サンプ
ルの透過光を受けることによって生じる電気信号を受信
する差動増幅回路を利用している。光検出器によって生
じる電流は、該装置のダイナミックレンジを増すため、
対数的に電圧信号に変換されるのが望ましい。この光検
出器によるセンサは、従来の離散的なフィルタとディフ
ューザの組み合わせを利用して、少数の波長の各副範囲
における透過光を分析しているように思われる。
【0016】いくつかの米国特許には、平行な2つの反
射表面の間隔を変えることによって、干渉計によって生
じる透過が最大になる波長を変えるため、2つの反射表
面の一方を制御可能な量だけ変位させることが可能な、
ファブリーペロー干渉計構成の利用が開示されている。 これらの特許には、ヘッセ(Hesse)に対して発行
された第3,387,531号、キャサリン(Cath
erin)に対して発行された第3,635,562号
、チャムラン(Chamran)他に対して発行された
第4,318,616号、ジェームズ(James)他
に対して発行された第4,572,669号、マクブラ
イアン(McBrien)に対して発行された第4,7
38,527号、及びマリンソン(Mallinson
)に対して発行された第4,825,262号がある。
【0017】フェイン(Fein)他は、米国特許第3
,498,693号において、光学式放射線並進装置を
開示している。フェイン(Fein)他による装置の実
施例の1つ(図3)では、互いに対して非ゼロの角度で
傾斜した、間隔をあけて配置された2つの光に対する平
面リフレクタが用いられており、リフレクタ間の空間は
、ウェッジ形の誘電材料によって占められている。光は
、このウェッジ形フィルタに通されるが、誘電材料を通
る光ビームの一方向の光路長が、単色光と仮定される光
の波長λ0の1/2の整数倍にあたる、該装置に沿った
位置に限って光波に対する構造的な干渉が必要とされる
。誘電スペーサ材料には、電界が加えられ、電圧変化の
大きさによって、光ビームの透過位置が、該装置の面を
横切って移動する。検討されている実施例は、全て、光
ビームが単色であり、フィルタに沿った離散的透過位置
は有限であって、誘電材料を通る光路長がmλ0/2(
m=1,2,3,)の場合、離散的位置の数に等しい。 該装置に関する光の透過については、該装置の面に沿っ
て均一な間隔をあけた光ビームのスパイクの1つ、また
は、一連の離散的スパイクの様相によって示されること
になる。
【0018】ハーネス(Hanes)他による米国特許
第3,552,826号には、厚さh(x)が、リフレ
クタ面の所定の方向において測定される空間座標xが増
すにつれて指数関数的に減少する、可変厚さの多層光リ
フレクタが開示されている。リフレクタの任意のポイン
トxにおける反射率Rは、単一の可変w=λ/h(x)
の関数であり、ここで、λは、リフレクタに対する入射
光の波長である。確実に、δ2R/δλδx=0及びδ
2R/δx2=0となるようにするには、座標xに従っ
て厚さh(x)が指数関数的に減少する必要がある。
【0019】ベーテス(Bates)による米国特許第
3,929,398号には、入射単色光の波長に従って
変動する特定の座標位置xに光のラインを形成するウェ
ッジ形の干渉フィルタの利用も開示されている。光のラ
インの位置xは、可変であり、オペレータによる波長の
選択によって制御される。一連のマスクを利用して、該
ラインの部分に選択的遮蔽を施し、その光の特性を明ら
かにする(例えば、その波長)、順序づけられた一連の
暗領域と明領域が、その照射ライン上に形成される。
【0020】ヒノダ(Hinoda)他による米国特許
第4,547,074号には、通過帯域の異なる一群の
隣接した非重複光フィルタを利用した色検知装置が開示
されている。各光フィルタは、複数の独立した波長の通
過帯域を備えた干渉フィルタに、干渉フィルタの通過帯
域の1つに含まれる急激なカットオフ帯域を備えた色フ
ィルタを加えたものから構成される。直列に組み合わせ
たこれら2つのフィルタによって、光を透過させる特定
の狭い波長の帯域が選択される。直列に組み合わせた干
渉フィルタと色フィルタの下に位置する光ダイオードが
、透過光を受けて、いくつかの波長の通過帯域のそれぞ
れにおける光の相対強度を測定する。光ダイオードの受
光面は、異なる波長領域における光ダイオードの光に対
する感度を反映した異なる領域を備えている。こうした
フィルタのサブグループは、組をなす隣接波長帯域のそ
れぞれにおける相対光量を検知し、それによって、CI
EXYZ比色システムによる色合わせ能力が得られるよ
うに構成することができる。入射光は、単色と想定され
るわけではないが、干渉フィルタ/色フィルタの各対を
慎重に整合させて、ある波長の通過帯域が得られるよう
にしなければならないのは明らかである。
【0021】ヨコタ(Yokota)他に対して発行さ
れた米国特許第4,822,998号には、それぞれが
、異なる波長範囲に感応して、光センサが応答する波長
帯域に対応した透過波長の通過帯域を備える光フィルタ
を透過した光を受ける光センサアレイの利用が開示され
ている。ヨコタ(Yokota)他による特許の図1に
示す実施例の1つでは、光フィルタアレイは、フィルタ
の厚さが、一定の厚さのプラトーの1つからより厚い一
定の厚さのもう1つのプラトーへと増大する二重階段構
造の構成が施されている。第1のフィルタ階段と第2の
フィルタ階段のフィルタの厚さは、それぞれ、ファブリ
ーペローエタロンについて周知の光学干渉関係に従って
、光学干渉次数m=1及びm=2に対応するように選択
されている。可視スペクトル(波長λ=0.4〜0.7
μm)を2つのより小さい波長範囲に分割することによ
って、所望の次数m=1またはm=2以外の各干渉次数
の側波帯が、可視スペクトルから十分に隔たった波長で
生じるようにし、単純な紫外線と赤外線の両方または一
方に対する固定帯域透過フィルタによって減衰させるこ
とができる。低次のファブリーペロー干渉帯域は、ほと
んどの分光光度計の用途によって、それ自体、十分に狭
くないのが普通である。ヨコタ(Yokota)他の特
許の図7に示すように、中心波長λc=400nmの低
次の干渉帯域に関する半値全幅(「FWHM」)は、表
面反射率R=0.23及び0.62について、それぞれ
、15nm及び9.6nmになる。FWHMは、波長が
増すにつれて増大する。これらのFWHM値は、比色計
及び放射計におけるこうしたテクノロジの多くの用途に
とってあまりにも広すぎる。ファブリーペローエタロン
表面の反射率Rが増すと、FWHMは適度な量だけ狭く
なるが、そのFWHMは、やはり、分光光度計の用途に
よっては大きすぎる場合があり、透過率T=1−Rが既
に低すぎて、光センサの信号のS/N比が問題になるこ
ともあり得る。FWHMの波長領域を超えて延びる波長
のスカートが、やはり、広すぎて、鋭敏な波長の弁別が
行えない場合もある。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】先行技術による装置の
多くは、大きくて、かさばり、入射光ビームの連続した
波長間隔における全ての波長について十分な利用または
分析が行えない。これらの装置のコストは、部分的には
、用いられる精巧な光学系のために、高くつくのが普通
である。さらに、波長の関数として、光検出素子の不均
一な感度を同時に補償し、あるいは、非標準的な照射光
源の利用を補償するための可制御手段が開示されていな
い。
【0023】必要とされるのは、(1)光ビームを連続
した波長間隔に効率よく分散して、この間隔を通る光ビ
ームの内容を分析し;(2)波長間隔のシフトまたは拡
大について分析可能にし;(3)複数の波長に感応する
光検出素子が受ける光ビームの強度分布を変更する融通
性が得られるようにし;(4)各光検出素子において、
波長の異なる、鮮鋭に形成された極めて狭い帯域の光が
得られるようにし;(5)単一チップ上に、コンパクト
かつ丈夫で、コストの低い装置を組み立てることができ
るようにする、コンパクトな装置である。
【0024】
【課題を解決するための手段】これらの要求は、フィル
タ上における空間位置の変位につれて連続的に変動する
帯域透過ピーク波長を備えた波長フィルタと、該フィル
タが通す選択された波長を検出するように配置された光
センサアレイとを組み合わせることによって満たされる
。位置に従って変動する距離だけ間隔をあけた1対の、
または、一連の対をなす反射表面が、可変長フィルタと
しての働きをする。1つの反射表面からもう1つの反射
表面までの光路長は、フィルタの受光面に沿って選択さ
れた空間方向における位置に応じて変動する。これによ
って、中心波長と周囲波長の透過帯域間隔のシフトが可
能になり、同時に、光検出素子におけるビームの強度分
布の変更が可能になる。フィルタが特定の中心波長λc
を備えた光の透過または反射を促進し、あるいは、強化
することになるフィルタ上の位置において、フィルタ層
の厚さは、構造に応じて(m−1/2)λc/2n又は
mλc/2n(m=1,2,3,…)となるのが望まし
く、ここで、nは、フィルタ材料の屈折率の実部である
。所定の波長λにおける光の反射を促進すべき場合、フ
ィルタの厚さは、(2m−1)λsecθ/4nとなる
のが望ましく、ここで、θは、光ビームの入射角である
【0025】実施例の1つにおいて、本発明には、少な
くとも部分的に透過し、厚さが選択された空間方向にお
いて単調に増大する材料の層が含まれており、この場合
、単一層のある位置における特定の厚さは、mλco/
2n(透過モード)または(m−1/2)λco/2n
(反射モード)に等しいが、ここで、mは正の整数、λ
coは選択された帯域の中心波長λcにおける特定の中
心波長、及び、nは材料の屈折率の実部である。この実
施例には、また、フィルタ層に隣接して配置されて、選
択方向のさまざまな位置においてフィルタ層を透過し、
あるいは、フィルタ層から反射する光を受ける光センサ
のアレイが含まれている。こうしたフィルタの例には、
互いにごく小さい角度をなす2つの反射平面によって部
分的に仕切られたウェッジ状の材料がある。任意選択に
より、この層の受光面の少なくとも1つは、該受光面に
、または、それに隣接して付着したフィルタ層を備えて
おり、出力信号に望ましくない側波帯が生じるのを抑制
するようになっている。本書で用いられる「側波帯」は
、所望の中心波長を含まない通過帯域である。
【0026】ウェッジ状の、または、ウェッジ状の層を
なすフィルタ材料は、反射表面間の厚さまたは距離が位
置に従って変化する、修正エタロンとして機能する。こ
のフィルタからの透過光または反射光を利用することが
可能である。これは、後述の他の実施例についてもあて
はまる。
【0027】第2の実施例の場合、本発明には、選択さ
れた空間方向において厚さが単調に増大する第1の狭帯
域フィルタと、第2の広帯域フィルタが含まれている。 2つのフィルタのそれぞれは、透過モードと反射モード
のいずれかにおいて、独立して動作することができ、こ
の結果、フィルタの一方によって送り出される光ビーム
は、もう一方のフィルタが受けることになる。広帯域フ
ィルタは、任意選択により、厚さが選択された空間方向
において単調に増大し、第1のフィルタの狭い通過帯域
及び第2のフィルタの広い通過帯域の中心波長が、選択
方向における位置に応じて変化する。第1のフィルタ層
のある位置における垂直方向の厚さは、mλc/2n(
透過モード)または(m−1/2)λc/2n(反射モ
ード)に等しく、ここで、mは、正の整数、nは、第1
の層材料の屈折率の実部、及びλcは、その位置におけ
る第1のフィルタの狭い通過帯域の中心波長である。 光センサのアレイは、第1のフィルタと第2のフィルタ
におけるそれぞれの選択位置を透過し、あるいは、そこ
から反射した光ビームの一部を受けるように任意選択で
配置することができる。
【0028】該実施例のそれぞれにおけるフィルタは、
光学通過帯域の中心波長が位置に応じて変動可能な、フ
ァブリーペローエタロンとして、エッジフィルタとして
、多層薄膜として、あるいは、同様の光学フィルタ装置
として形成することができる。
【0029】第3の実施例の場合、ほぼ一定の厚さを備
えた第1の反射表面と、それぞれ、ほぼ一定の厚さを有
し、第1の表面とほぼ平行な複数の2つ以上の平面階段
セグメントを備えた階段構造をなすように構成された第
2の反射表面が設けられ、第1の反射表面と第2の反射
表面との間の空間には、フィルタ材料の層が含まれてい
る。第1の表面と、第2の表面の階段セグメントのそれ
ぞれとの離隔距離は、選択された空間方向において単調
に増大する(または減少する)が、一定のインクリメン
トで増大する(または減少する)必要はない。
【0030】第4の実施例の場合、1つは高域フィルタ
で、もう1つは低域フィルタの、2つのエッジフィルタ
が、入射光ビームの光路内に直列に設けられ、その結果
、中心波長λcの周囲に狭い波長の帯域を備える光ビー
ムが生じるようになっており、λcは、組合わせフィル
タ上における選択された空間方向に沿って測定を受ける
空間座標xに応じて変動する。波長λcは、2つのエッ
ジフィルタのそれぞれを構成する、1つ以上の光学的屈
折材料の層の厚さを変えることによって、位置xに応じ
て変動させられる。
【0031】第5の実施例の場合、厚さが単調に増大す
る少なくとも1つの層を備え、狭い通過帯域の中心波長
λcが位置に従って変動する、多層薄膜が設けられる。
【0032】このフィルタ装置は、フィルタ、及び、選
択された方向に伸び、光ビームのうちフィルタを透過す
る部分を受けるように配置された光センサのアレイを含
む分光光度計装置に組み込むことができる。この光セン
サのアレイは、光ビームのうち入射光ビームにおける連
続した波長間隔に対応する部分を受ける。分光光度計装
置には、それぞれ、フィルタ装置のさまざまな位置を透
過した光を受ける、対応する光センサアレイまたは共通
アレイのセグメントを備えている。2つ以上の複数のこ
うしたフィルタに加え、異なる光センサアレイの波長範
囲にステッチングを施す電子回路要素も含めることがで
きる。こうして、複数の重複する、または、重複しない
波長間隔を分光光度計装置によって分析することが可能
になる。該装置には、また、入射光ビームを受けて、さ
もなければ、フィルタの第1の受光面で受けることにな
る光の強度の空間分布に変更を加える配光手段を含める
ことも可能である。
【0033】1つ以上のコンパクトなチップに分光光度
計のフィルタ及び連係する光センサ装置を組み込むこと
によって、該装置は、入射光の波長スペクトル分析を必
要とするさまざまな医学上の、環境上の、及び、その他
の状況において利用するのに十分なコンパクトさを備え
ることが可能になる。該装置は、例えば、比色計に利用
し、特定の色の特性またはもう1つの色に対する近似性
を確かめたり、カラープリンタ、コンピュータモニタ、
または、テレビジョンスクリーンに表示される色信号を
モニタしたり、あるいは、局部的な環境条件の変化によ
って表示される色の変化をモニタしたりすることができ
る。また、該装置を測光器に利用して、入射光の総量を
測定したり、あるいは、放射計に利用して、マイクロ波
領域のような制限された周波数範囲における入射光の総
量を測定したりすることができる。また、該装置は、複
数チャンネル通信の受信器として、カラースキャナとし
て、あるいは、モノクロメータとして利用することも可
能である。これらの用途のほとんどについて、該装置は
、可搬性にするのに、または、手で支える装置として用
いることができるようにするのに十分な小形化が可能で
ある。
【0034】
【実施例】本発明の実施例の1つ24を示す図3を参照
すると、光ビーム25は、変化させることが可能である
が、一定であることが望ましい厚さh1を備えた第1の
反射表面または層26に達する。本書における用語「光
」は、電磁スペクトルの任意の部分を表すものと考えら
れる。 本書における用語「層」は、むき出しの表面、またはフ
ィルタ層で被覆された表面とすることが可能な、少なく
とも1つの受光面を備えた材料を表すものである。第1
の反射表面26は、厚さがh3の第2の反射表面または
層27から間隔をあけて配置され、これと向かい合って
いる。反射表面26または27に独立した層が設けられ
ていない場合、h1=0またはh3=0になる。2つの
反射面または層26及び27は、スペーサ層28によっ
て分離されており、2つの反射表面または層26及び2
7の離隔距離h2(x)は、第1の反射表面または層2
6の受光面に沿った選択方向において測定を受ける空間
座標xに応じて変動する。スペーサ層28は、空気また
は真空とすることができ、反射層26及び27は、機械
的な自己支持形とすることができ、あるいは、層28は
、下記のようなもう1つの光学媒体とすることができる
【0035】実施例の1つでは、2つの反射表面または
層26及び27は、平面であり、図示のように、ごく小
さい角度ΔΦを形成するが、この角度は、一般に、ミソ
ラジアンのオーダである。これによって、ウェッジ状の
スペーサ層28が形成される。ウェッジ状の層28は、
層の厚さを所定の方向に沿って変化させる移動マスクを
利用し、基板上に被着させることによって形成すること
ができる。入射光ビーム25の一部は、第1の反射表面
26を透過し、スペーサ層28内における多重反射によ
って、複数の第1の透過ビーム29になる。第1の各透
過ビーム29の一部は、さらに、第2の反射表面27を
透過し、透過方向にフィルタ24から送り出される1つ
または複数の第2の透過ビーム30になる。
【0036】入射光ビーム25が、選択された連続的な
波長帯域内の波長λcを有する光ビーム成分を備えるも
のと仮定する。反射層26及び27が金属の場合、金属
層の厚さh1及びh3は、関係する波長帯域において所
定の反射係数が得られるように選択される。代替案とし
て、層26及び27の一方または両方を、屈折率の高い
ものと、屈折率の低いものからなる、少なくとも2つの
異なる材料による薄膜のスタックとすることが可能であ
り、高屈折率の材料と低屈折率の材料が、周知の方法で
互い違いに構成されることになる。比較に関する句「高
い屈折率」及び「低い屈折率」は、本書においては互い
に対して用いられている。可視波長領域及び近赤外線波
長領域において、低(高)屈折率の材料は、屈折率が、
n<1.7(n>1.7)である。赤外線波長領域の残
りの部分においては、低(高)屈折率の材料は、屈折率
が、n<2.5(n>2.5)である。
【0037】2つの反射表面または層26及び27の可
変離隔距離h2(x)は、空間座標xの増大につれて単
調に増大するか、あるいは、単調に減少し、h2(x0
)=m2λc/2n2となるポイントを少なくとも1つ
含んでいるが、ここで、m2は、正の整数であり、n2
は、スペーサ層28におけるスペーサ材料の屈折率の実
部である。従って、フィルタ25に沿った少なくとも1
つの位置x0に関して、層28を透過する全光路長は、
半波長λc/2の整数倍である。入射光は、第1の反射
層15に対して小さい入射角または適度な入射角をなし
て到達する。実際には、この入射角は、零度になるよう
に選択されるのが普通である。空間座標xは、カルテシ
アン座標のような直線変数の場合も、極座標または方位
座標のような角変数の場合も、あるいは、他の曲線空間
座標の場合もあり得る。
【0038】単一のウエッジ状のフィルタ材料による層
28を光ビームが通過することによって、該システムが
設計対象とした中心波長に相応の近接波長の縞を生じる
可能性がある。任意選択により、層28の受光表面26
及び27の一方に単一のフィルタ層を備えることもでき
るし;層28の受光表面26及び27の一方または両方
に、2つ以上のフィルタ層を設けることもできる。これ
らのフィルタ層は、比較的狭い波長の帯域透過領域の中
心が関係する中心波長λcまたはその近くにくるように
、また、吸光または反射によって、さもなければ、透過
ビーム30に生じる可能性のある縞の波長の入射光を除
去するように選択されている。x1<x2 の時には必
ず、(x1)<h(x2)になる場合、関数h(x)は
、座標xが単調に増大するものと定義される。本発明の
本書で検討の実施例の場合、2つの表面の可変離隔距離
h(x)が、空間座標xに従って単調に増大(または減
少)すれば十分であり、従って、一定の離隔距離h(x
)の間隔と間隔の間に、h(x)がxに応じて全く単調
に増大する(x1<x2の時は必ずh(x1)<h(x
2)になる)間隔を散在させることも可能である。完全
に単調ではないが、単調に増大する関数の一例として、
後述の、図14に示す反射表面63と一連の階段のステ
ップ状反射表面67−q(q=1,2,…)との間にお
ける距離h(x)がある。完全に単調に増大する関数の
例には、図3に示す反射表面26と27との間における
距離h(x)がある。
【0039】第1と第2の表面26及び27の材料は、
少なくとも部分的に透過性であって、材料の厚さ部分を
透過する波長λcの光のせいぜいわずかな部分しか吸収
しないのが望ましい。第1と第2の反射表面26及び2
7の材料及びスペーサ層の材料28は、ガラス、絶縁体
、シリコン及びゲルマニウムといった半導体材料、アル
ミニウムのような金属、あるいはフッ化マグネシウム、
硫化亜鉛、方解石、サファイア、さらに、アルミニウム
、シリコン、ゲルマニウム、カドミウム、チタン、セリ
ウム、及び、ジルコニウムの酸化物といった他の材料の
引抜き加工によって得られる。スペーサ層28のスペー
サ材料は、透過性であって、ここで利用されている波長
λcの光及び厚さ範囲h2(x)に関する吸収がわずか
、または、最小限になるのが望ましい。
【0040】薄膜の光学フィルタは、当該技術において
周知のところである。それらは、ガラスのような所定の
基板上に屈折率の高い光学層と低い光学層を交互に真空
蒸着させて形成されるのが普通である。光学的透過層の
スタックに入射する光は、各層の境界で部分的に反射し
、反射率の大きさは境界の両側における屈折率の比によ
って決まる。ビームが屈折率の低い媒体内から屈折率の
高い媒体に接近する際に生じる反射には、180度の移
相が含まれる。ビームが屈折率の高い媒体内から屈折率
の低い媒体に接近する際に生じる反射は、境界において
移相を生じない。反射ビームは、位相関係に従って、構
成的に、または、破壊的に再結合する。それぞれ、光学
厚さが入射光の四分の一波長またはその適当な倍数に等
しい、複数の薄層で光学フィルタを構成することによっ
て、フィルタの透過率または反射率は、高い屈折率と低
い屈折率の比、及び、層の数によって、中心波長あたり
の制限されさた範囲にわたって、この波長の所定の分数
倍となるように高めることができる。
【0041】これらのスペクトルゾーン外においては、
多層の組み合わせの反射率が、急激に変化して低い値に
なる。反射される波長の範囲は、異なる四分の一波長の
厚さを備えた層を追加し、層の厚さを変更し、スタック
に用いられる連続層の屈折率の比を最大にすることによ
って拡張することができる。ほぼ非吸収性の光学材料で
フィルタを作ると、反射によって排除されない波長の光
が、フィルタを透過するし、またその逆にもなる。この
作用のため、制限するわけではないが、短波及び長波透
過エッジフィルタ、狭帯域透過フィルタ、広帯域透過フ
ィルタ、及び、反射と透過の両方に用いられるノッチフ
ィルタを含む、広い波長範囲にわたり所望の特性を備え
た薄膜の光学フィルタを形成することが可能になる。
【0042】薄膜の狭帯域透過フィルタは、2つのアプ
ローチの一方を利用することによって作製される。第1
のアプローチでは、透過範囲または反射範囲が、関係す
る極めて狭い波長帯域にわたってスペクトル的に重複す
る2つのエッジフィルタを組み合わせる。鋭いエッジの
短波及び長波を通す四分の一波長板フィルタのスタック
が、狭い透過帯域の形成によく適合する。この場合、「
四分の一波長板」という句は、厚さhと屈折率n(λ)
との掛け算による積が、hn(λ)=λ/4、3λ/4
、5λ/4等を満たす光学的に透明な材料(関係する波
長λにおける吸収率が低い)であることを表している。
【0043】第2のアプローチでは、それぞれ、2つの
反射率の高い(一般的に80%を超える)多層スタック
の間にはさまれた、2つ以上の二分の一波長板のスペー
サ層を組み合わせて、ファブリーペロー干渉計に似た干
渉計を形成する。スペーサ層内で反射する光は、多重ビ
ーム干渉を受けることになる。フィルタに入射する光の
透過(または反射)率は、スペーサ層の光学的厚さが関
係する波長の半分の整数信にあたることになる波長周辺
の狭い波長帯域についてのみ、狭めて高くなる。場合に
よっては、反射性の金属層、または、薄膜の反射性コー
ティング及び金属リフレクタの組み合わせが、上述の純
粋な薄膜による高反射率のコーティングの代わりに用い
られる。
【0044】上記通過帯域の狭いフィルタによる各アプ
ローチの場合、所望の波長の帯域透過には、高次または
低次の縞及び側波帯が伴うことになる。これらの望まし
くない帯域は、通常、薄膜の広帯域透過フィルタ、吸収
性フィルタ、または、所望の狭帯域透過ゾーンに限って
スペクトル的に重なるように設計された、次数の異なる
ファブリーペロータイプのフィルタの組み合わせを利用
した追加フィルタリングによって抑制することができる
。普通、狭帯域及び広帯域の減衰フィルタを組み合わせ
るには、1つ以上の基板の片側または両側にコーティン
グを施す必要がある。
【0045】多数の材料が、透光層の薄膜被着に適して
おり、特定のスペクトル領域内における吸収性が低い。 可視スペクトル及び近赤外線スペクトルの場合、最も一
般的な高屈折率のコーティング材料としては、ゲルマニ
ウム(屈折率n=4.0)、シリコン(n=3.2)、
硫化亜鉛(n=2.35)、二酸化チタン(n=2.2
〜2.4)、二酸化ジルコニウム(n=2.2)、酸化
セリウム(n=2.2)、硫化亜鉛(n=2.12)、
及び、酸化カドミウム(n=2.06)などがある。可
視スペクトル及び近赤外線スペクトルに関して最も一般
的な屈折率の低いコーティング材料には、フッ化マグネ
シウム(n=1.38)、石英(n=1.45)、二酸
化シリコン(n=1.5)、及び、酸化アルミニウム(
n=1.62)がある。一般に、三酸化アンチモン及び
氷晶石が、300〜400nmの紫外領域に適したコー
ティング材料として用いられる。中間の赤外線領域及び
遠赤外線領域の場合、ゲルマニウム(n=4.0)また
はテルル化鉛(n=5.5)が、良好な高屈折率材料で
あり、硫化亜鉛(n=2.35)が、良好な低屈折率材
料である。
【0046】前掲のエイチ・エイ・マクレオード(H.
 A. McLeod)による「Thin−Film 
Optical Filters」にような論文中に既
述の各種フィルタを作製するための四分の一波長板の層
と二分の一波長板の層との組み合わせ、及び、光学材料
の数は、無制限である。この参考文献には、当該技術に
おいて利用可能な設計のタイプ及び数が説明されている
【0047】フィルタスタックの平面における所定の方
向に沿って、フィルタスタックの1つ以上のコーティン
グ層の厚さを変えることによって、本発明に利用される
タイプの連続可変狭帯域透過干渉フィルタを作ることが
できる。実施例の1つでは、フィルタは、2つの平面層
によって形成されるウェッジであり、狭帯域透過フィル
タの中心波長λcは、フィルタの全長に沿って、または
、フィルタの選択された他の方向に沿ってほぼ線形に変
動することになる。基板に対するフィルタ層の真空蒸着
時に、基板を横切ってマスクを移動させることによって
、ウェッジ状の、または、別様の可変厚さの層を形成す
ることが可能である。移動マスクは、該マスクで遮蔽さ
れた領域の蒸着を阻止する。従って、蒸着速度とマスク
の並進速度との比に制御を加えることによって、所望の
コーティング厚さの勾配を形成することが可能になる。
【0048】本発明の働きについては、単純な金属リフ
レクタのファブリーペローの狭帯域エタロンで実証する
ことができる。この場合、二分の一波長板の光学スペー
サ層は、2つの部分的に透過性の金属リフレクタ層の間
に配置されている。所定の波長λのフィルタによる透過
率は、
【0049】
【数1】
【0050】によって求められるが、ここで、Rは、金
属層の反射係数であり、n(λ)及びhは、それぞれ、
屈折率及びスペーサ層の厚さである。所定の厚さhの場
合、フィルタは、帯域幅が金属層の透過率(α1−R)
に比例した一連の透過縞を発生する。特定の次数の(m
=1,2,3,)透過に関する通過帯域の場合、n(λ
)がほぼ一定と仮定すると、h/λの比が一定のままで
あれば、透過率が一定のままになることが分かる。 換言すれば、二分の一波長の光学層の厚さhが、フィル
タの所定の平面方向に沿って変化する場合、各次数の透
過に関する通過帯域の中心波長λcが、正比例して変化
する。
【0051】図4には、本発明により、ダブルキャビテ
ィを利用し、3つの異なるフィルタ、または、単一の可
変波長フィルタにおける3つの異なる位置で生じる波長
λc=425nm(x=x1)、549nm(x=x2
)、及び、669nm(x=x3)に中心がくる、帯域
透過領域が重なり合うことによる結果が示されている。 これらの3つの帯域の半値全幅(FWHM)は、それぞ
れ、7.1nm、9.2nm、及び、11.2nmであ
り、代表的な中心波長λcが増大するにつれて、干渉フ
ィルタに生じる自然な幅の広がりを示している。
【0052】図5には、85%の反射率の金属層と、物
理的厚さがその全長に沿って約h=400nmから約h
=1000nmに線形に変動するガラスのスペーサ層(
n=1.52)を備える。2つのキャビティを持つファ
ブリーペローフィルタの2次縞の理論的透過率が示され
ている。3次、4次、及び、5次の通過帯域の透過率は
、二分の一波長の物理的厚さが、それぞれ、h=812
nm、609nm、及び、487nmになるフィルタ位
置においてλ=733nm、λ=550nm、及び、λ
=440nmの波長でピークに達する。実線の透過率曲
線と破線の透過率曲線は、それぞれ、観測ポイントにお
ける座標の値x=x1=0.5L及びx=x2=0.7
Lに対応しており、ここで、Lは、フィルタの長さであ
る。中間のピークは、フィルタの両端間における中間の
波長位置に生じる。
【0053】前述のように、スペクトル的に広い、反射
率の高い薄膜スタックを上述の金属層の代わりに用いる
ことが可能である。この技法は、広帯域透過フィルタ、
短波透過エッジフィルタ、長波透過エッジフィルタ、及
び、狭帯域透過フィルタを含む、上記薄膜フィルタタイ
プのうち任意のものによる1つまたは複数の層に対して
、透過モードまたは反射モードで適用することができる
。通常、フィルタタイプの組み合わせには、単一の狭帯
域透過の側波帯または縞を阻止する必要がある。側波帯
の阻止層においても、狭帯域透過層においても、可変厚
さの層であることが望ましく、帯域内のフィルタリング
と帯域外のフィルタリングが、フィルタの可変波長方向
に沿って、互いに相補する。全てのフィルタ層を収容す
るのに、2つ以上の基板が必要になる場合がよくあり、
基板のアライメントを適正にとる必要がある。
【0054】xに応じて変動する離隔距離h2(x)を
無視して、図3において上方からスペーサ層28に入射
する光ビームを集中的に取り上げると、スペーサ層28
だけに関する正規化強度反射係数Ir及び正規化強度透
過係数Itは、それぞれ、
【0055】
【数2】
【0056】となり、ここで、n2(λ)は、スペーサ
層28の屈折率であり、θは、光ビームの入射角であり
、Rは、層28と周囲媒体との界面に対する反射係数で
ある。スペーサ層28における吸収は、無視されている
。この構成によって、Rと縞の次数mによって決まる波
長の自由スペクトル範囲Δλ=2nh2(x)cosθ
/m(m=1,2,3,…)だけ隔てられた一連の帯域
透過領域が形成される。これらの結果については、参考
までに本書に組み込まれた、1975年にペルガモン・
プレス(Pergamon Press)から出版され
たエム・ボーン(M. Born)及びイー・ヴォルフ
(E. Wolf)による「Principles o
f Optics」に記載がある。これらの式に吸収の
効果を組み込むと、この結果にわずかな量的変化が生じ
ることになる。R<1及びθ=0の場合、強度透過係数
Itは、波長λ=λcの光についてsinβ/2=0ま
たは、    h2(x)=m(λc/2n2)  (
m=1,2,3,…)         (5)を選択
することによって最大になる。強度反射係数Irは、s
inβ/2=±1または    h2(x)=(m−1
/2)(λc/n2)  (m=1,2,)     
 (6)を選択することによって最大になる。一定の波
長及び厚さh2(x)の場合、透過状況及び反射状況に
関して、異なる波長が強調される。これらの関係は、単
一層の場合に限ってあてはまる。多層の薄膜の場合には
、他の考慮が加えられる。
【0057】図3に示す装置24は、反射平面または層
26及び27が完全に平行ではないので、厳密に言えば
、ファブリーペローエタロンではない。入射光ビームか
らの間隔の密なグループをなす光線が、スペーサ層28
のほぼ同一の厚さ部分h2を通過し、反射表面26及び
27の平面間における小さい角度ΔΦのため、急速にエ
タロンから「立ち去る(walkoff)」ことになる
【0058】選択された方向において約10μm以上の
距離Δxだけ離れた2つの間隔の密なグループをなす光
線が、スペーサ28のかなり異なる厚さ部分h2(x)
を通過し、その結果、異なる干渉効果を示すことになる
可能性がある。従って、図3におけるフィルタ24の2
つの位置x=x1(図5における連続したライン)及び
x=x2(図5におけるドットライン)を透過した光ビ
ーム25の一部30は、図5に示すように、異なる組を
なす波長において透過強度I(λ;x)のピークを示す
可能性がある。
【0059】代替案として、入射光ビームの波長λを固
定し、フィルタに沿った位置xの関数として透過強度I
(λ;x)を観測する場合、この強度のグラフには、一
連の十分に離れたピークと、介在する低点が示されるこ
とになる。透過強度I(λ;x)の最大値が生じる一組
の波長が、ほぼ連続的にシフトン、図3に示すビームの
透過部分の観測位置xが変動するにつれて、これらの最
大値の大きさが、ほぼ連続的に変化する。従って、分光
光度計、比色計及び、他の用途に用いることができる、
ピーク波長を制御可能に、連続してシフトさせる技法が
、意のままになる。
【0060】図3に示す光フィルタの実施例24のよう
な光学系は、次数m=1の選択された基本波長、λ=λ
0、及び他の縞波長、λ=λ0/m(mは、整数≧2)
で生じる光を促進し、あるいは強化する。より高次の縞
が中心波長に用いられる場合(m≧2とした場合のλc
=λ0/m)、その縞信号の波長に関する増減は、基本
波長(m=1)に関する対応する増減に比べて急激にな
るが、隣接する望ましくない縞の中心間波長差Δλが減
少する。代表的な中心波長が、1次または2次(mbb
=1または2)に関して、λbb,c=λ0/mbbと
なる、広帯域光フィルタが設けられている場合も、波長
に関する減衰は、穏やかになるが、縞または側波帯の波
長、λ=λ0/mbb(mbb≧2)は、間隔がかなり
広がるので、この場合、その存在を無視することが可能
になる。従って、中心波長、λc=λ0/m(m≧2)
で働く狭帯域透過光フィルタと、mbb=1または2と
した場合の中心波長λbb,c=λ0/mbbで働く広
帯域透過光フィルタを直列に組み合わせると、上述のア
プローチによって、制御波長または中心波長λcを変化
させることが可能な、単一の急激に減衰する狭帯域フィ
ルタが形成されることになる。
【0061】本発明による光フィルタには、狭帯域フィ
ルタと広帯域フィルタの両方を設けるのが望ましい。広
帯域透過フィルタは、一定の広い通過帯域を備えること
もできるし、あるいは、中心波長が狭帯域透過フィルタ
の中心波長λcと同じで、それと共に変化する可変の広
い通過帯域を備えることもできる。
【0062】本発明は、第1の反射表面の振幅反射係数
Rが低い(R≧0.2)場合、反射表面間にスペースを
あける四分の一波長板を備えた単純なエタロンに関して
、図6に示すような反射モードで機能させることもでき
る。入射光ビーム32は、入射角θ1で、修正エタロン
31の第1の反射表面33に接近する。エタロン31は
、受光面33におけるある方向に沿って測定される座標
xに従って変動する、装置の2つの反射表面33と34
の間で測定される厚さh2(x)を備えている。入射光
ビーム32は、表面33において部分的に反射し、反射
光線35の1つがこうした光線のアレイ35の形で発生
するが、周知のように、屈折角θ2で部分的に透過し、
エタロンスペーサ材料36に入り込む。屈折した光ビー
ム37は、エタロン31の第2の反射表面34で部分的
に反射し、第1の反射表面33に向かって戻って行く反
射光ビーム38が生じる。屈折光ビーム37の残りの部
分が透過し、この場合、排除される光ビームとして扱わ
れることになる、もう1つの光ビーム39として送り出
される。表面33及び34における強い反射は、狭く、
ピークが急激に生じる波長の通過帯域を除き、表面に適
当な反射防止コーティングを施すことによって抑制する
ことができる。こうしたコーティングについては、前掲
のエイチ・エイ・マクレオード(H. A. McLe
od)による「Thin−Film Optical 
Filters」の71〜136頁に記載がある。
【0063】反射される光ビーム成分38は、第1の表
面33に向かって戻り、周知のように、反射光ビームの
アレイ35を生じるもう1つの原因となる。ほぼ平行な
反射光ビームのアレイ35が、修正光源として働き、後
続の用途または分析に備えて、所定の波長が強められ、
あるいは、助長される。反射モードの場合、上記の式(
2)が有効であり、強められる波長λcは、   sin(β/2)=sin(2πn2h2(x)s
ecθ2cosθ1/λc)=±1      (7)
  h2(x)=(m−1/2)λccosθ2sec
θ1/n2  (m=1,2,…)      (8) によって決まる。位置xにおけるエタロンの厚さh2(
x)が、例えば、xの増加につれて単調に増す場合、位
置xで強められる中心波長λcは、式(8)に従ってx
と共に変動し、波長の分散が、該装置から得られること
になる。
【0064】図7に示す反射モードに関するもう1つの
実施例40の場合、入射光ビーム41−1は、第1の反
射表面及び光フィルタ42から1度反射したビーム41
−2として反射される。1度反射したビーム41−2は
、第2の反射表面及び光フィルタ43から2度反射した
ビーム41−3として反射され、2度反射したビーム4
1−3は、アレイ44に隣接して配置されたもう1つの
光フィルタ(任意選択)を備える光センサアレイ44(
任意選択)によって遮断される。1つ以上の光フィルタ
を、反射表面42及び43のそれぞれに、及び、光セン
サアレイ44に配置することができる。こうした光フィ
ルタが1つだけしか必要でない場合、光路内の第2の光
の反射表面43を除去することができる。こうした各表
面に波長に合わせたフィルタを設けることによって、こ
うした反射表面を3つ以上利用することも可能である。
【0065】図8には、反射モードしか利用しないもう
1つの構成が示されている。3つ以上の複数の平面を備
え、多面形として形成された光学プリズム45が、光の
大部分を透過して、プリズム内に送り込むため、反射コ
ーティングを施すのが望ましい第1の面46−1で入射
光ビームを受ける。面46−1は、本発明に従って作ら
れ、その表面に配置される、狭帯域または広帯域の第1
の波長フィルタ47−1を備えることも可能である。光
ビームは、プリズム45内で屈折し、第2の狭い帯域ま
たは広帯域の波長フィルタ47−2が配置された第2の
プリズム面46−2における内部反射によって反射され
る。次に、反射光ビームは、プリズムの第3の面46−
3にまで進行し、そこに配置された光センサアレイ48
(任意選択)に達することになる。代替案として、第3
のプリズム面46−3に、第3の波長フィルタ(図8に
は示されていない)を配置することもできるし;あるい
は、面46−3に、反射防止コーティングを施して、光
ビームのエネルギーの大部分または全てがプリズム45
を透過するようにすることも可能である。できれば、光
ビームが、ほぼ垂直入射でぶつかるプリズムの最後の面
46−3に接近するのが望ましい。
【0066】精度F=πR1/2/(1−R)>>1の
高精度なシステムについては、強度反射係数Ir=0で
、スペーサの厚さh2(x)及び光の波長λcが式(5
)によって関係づけられる場合、Irは、sinβ/2
=0となる波長に隣接した場合を除けば、1に近くなる
のが普通である。 反射モードを利用する場合には、高域エッジフィルタと
低域エッジフィルタとの組み合わせを利用して、図9、
図10、図11、及び、図12に関連して解説のように
、一連の波長(スペーサ層の厚さが一定の場合)、また
は、一連のスペーサ層の厚さ(一定の波長の場合)にお
いて急激にピークに達する強度反射係数Irが得られる
ようにするのが望ましい。
【0067】図3、図6、及び、図7に示す修正エタロ
ンの代わりに複合エッジフィルタを利用して、図9及び
図11に示すような狭帯域の反射(または透過)波長、
あるいは、図10及び図11に示すような狭帯域の反射
(または透過)波長が得られるようにすることもできる
。図9には、高域エッジフィルタに対する光波の透過T
HP(λ)及び低域エッジフィルタに対する光波の透過
TLP(λ)の変動が、それぞれ、波長λの関数として
示されている。低域透過フィルタは、「ニー(knee
)」波長λ=λe1を備えており、このため、λ≦λ1
の場合、TLP(λ)がその最大値に近くなることが保
証され;λ>λe1になると、増大を続けるTLP(λ
)が、急速にほぼゼロの状態になる。高域透過フィルタ
は、ニー波長λ=λe2を備えており、このため、λ≧
λe2の場合、THP(λ)がその最大値に近くなるこ
とが保証され;λ<λe2になると、減少を続けるTH
P(λ)が、図9に示されるように、急速にほぼゼロの
状態になる。
【0068】
【数3】
【0069】となるように低域及び高域透過フィルタを
選択する場合、これら2つのフィルタを直列に組み合わ
せると、図11に示すように、中心波長λc=λe1=
λe2において急激にピークに達する狭い通過帯域を備
えた、放出I(λ)(この場合、放出は透過に関係する
)を伴う複合透過フィルタが得られる。
【0070】図10には、ローエンドの帯域透過エッジ
フィルタからの光波反射率RL(λ)とハイエンドの帯
域透過エッジフィルタからの反射率RH(λ)の変動が
、それぞれ、λの関数として示されている。ローエンド
の反射フィルタは、ニー波長λ=λe3を備えており、
このため、λ≦λe3の場合、RL(λ)がその最大値
に近くなることが保証され、λ>λe3になると、増大
を続けるRL(λ)が、図10に示すように、急速に、
ほぼゼロの状態になる。ハイエンドの反射フィルタは、
ニー波長λ=λe4を備えており、このため、λ≧λe
4の場合、RH(λ)がその最大値に近くなることが保
証され;λ<λe4になると、減少を続けるRH(λ)
が、図10に示すように、急速に、ほぼゼロの状態にな
る。
【0071】
【数4】
【0072】となるようにローエンド及びハイエンド反
射フィルタを選択する場合、これら2つのフィルタを直
列に組み合わせると、図11に示すように、中心波長

0073】
【数5】
【0074】において急激にピークに達する狭い通過帯
域を備えた、放出I(λ)(この場合、放出は反射率に
関係する)を伴う複合反射フィルが得られる。
【0075】図12では、図9からの2つのニー波長λ
e1及びλe2は、間隔が広くなっており、その結果、
図示のように広い帯域透過フィルタが得られる。
【0076】後述の他の実施例のそれぞれにおいて、透
過モードの動作が説明されているが、本発明は、図6,
出7、及び、図9、図10、図11及びその上記解説か
ら類推して、反射モードで動作させることも可能である
【0077】図13を参照すると、光ビーム53が、実
施例51において、どちらの順序でも、両方とも可変波
長の、高域エッジフィルタ55及び低域エッジフィルタ
57に順次通される場合、また、2つのエッジフィルタ
のニー波長が、図9及び図10に関して既述のように、
関連している場合、エッジフィルタの組み合わせから出
てくる所望の光ビーム59T(透過モード)または59
R(反射モード)は、波長帯域の中心が、座標xに応じ
て単調に変動する波長λ(x)にくることになる。固定
位置xの場合、図13に示す2つのエッジフィルタの組
み合わせから送り出されるビーム59Rの反射強度(ま
たは、ビーム59Tの透過強度)は、図5に示す強度に
類似している。
【0078】もう1つの実施例の場合、入射光ビームは
、図3、図6、図7、または、図13の任意の1つに従
って可変中心波長λcを備えるように、または、一定の
広い通過帯域を備えるように作られた広帯域透過フィル
タに向けることが可能であり、結果として透過する、あ
るいは、反射する光ビームは、次に、やはり、上記の図
の1つに従って作られた、可変中心波長λcを備える狭
帯域波長フィルタに向けることができる。広帯域透過フ
ィルタと狭バント透過フィルタの直列構成は、どちらの
順になろうと、図13に示す2つのエッジフィルタの直
列構成と同様である。広帯域透過波長フィルタは、入射
光ビームから、所望の中心帯域波長を除く全ての近接通
過帯域の波長を除去し、組み合わせフィルタから送り出
される光ビームに縞が生じないようにする。
【0079】図14には、スペーサ層63、階段構造を
なすように構成された、一連の平面状階段セグメント表
面65−1、65−2、65−3、65−4、及び、6
5−5から成る反射表面、及び階段状スペーサ層64を
備えた、本発明のもう1つの実施例61が示されている
。各階段セグメントの表面65−qは、平面であって、
層63の第1の反射表面62の平面から間隔をあけて配
置され、それに対してほぼ平行になっており、層63の
最も近い反射表面と階段表面65−qとの離隔距離h(
x)は狭い範囲の座標xについて一定であり、層63の
受光面の選択方向において測定される空間座標xに応じ
て単調に増大する。各階段セグメント65−qは、任意
選択により、その階段セグメントと前方反射表面または
後方反射表面に、または、それに隣接してフィルタ層6
7−q(q=1,2,3,4,5)が被着されている。 スペーサ層64は、スペーサ層の厚さh(x)が可変の
、狭帯域透過光フィルタとして機能する。 層63は、厚さが一定の場合もあれば、xに応じて単調
に増大する場合もある広帯域透過フィルタとしての働き
をする。もう1つの実施例の場合、層63は、狭い帯域
透過フィルタとして働くことができ、スペーサ層64は
、各階段セグメント65−qが装置72に関する異なる
広通過帯域を形成する、広い帯域透過フィルタとして働
くことができる。
【0080】入射光ビーム69は、部分的に、層63、
及び、階段状スペーサ層64を透過し、図3及び図5に
関連して上述のものと同様の干渉効果を示す透過光ビー
ム71−q(図14には、q=2、4、及び、5が示さ
れている)として出てくる。干渉効果は、1つの階段セ
グメントから次の階段セグメントにわずかなインクリメ
ントで変動するが;所定の階段セグメント内において、
該システムは、図3のものと同様の可変波長フィルタと
して働く。層63及び64は、連続させることもできる
し、互いに間隔をあけて配置することもできる。
【0081】図15に示す代替実施例72の場合、第1
のスペーサ層73は、ほぼ平面の第1の反射表面74を
備えており、また、階段形状をなす第2の反射表面75
を備えていて、表面74と75との離隔距離h1(x)
が単調に増大するようになっている。第2のスペーサ層
76は、第1の反射表面として第2の階段形状の表面7
7を備え、また、第2の反射表面として第3の階段形状
の表面78を備えていて、2つの表面77と78との離
隔距離h2(x)が、xにおいて単調に増大するように
なっている。2つのスペーサ層73及び76の一方は、
狭帯域透過フィルタとして働き、もう一方の層は、広帯
域透過フィルタとして働く。入射光ビーム78は、スペ
ーサ層73及び76の両方を通過し、それぞれ、波長範
囲の狭い、一連の光ビームレット79として実施例72
から送り出される。スペーサ層73及び76は、連続さ
せることもできるし、互いに間隔をあけて配置すること
もできる。
【0082】本書で用いられる「階段形状」は、図14
に示すものと同様の形状を表しており、2つ以上の一連
の平面反射セグメントが、それぞれ、所定の平面(例え
ば、図14における層63の平面)に対しほぼ平行をな
し、一連の階段セグメントの所定の平面からの離隔距離
が、1つのセグメントから次のセグメントに連続して進
むにつれて、単調に増大するように構成されている。図
15のスペーサ層76は、2つの反射表面77及び78
を備えており、それぞれ、階段形状をなすように形成さ
れている。
【0083】通常、波長の通過帯域の狭さと透過との間
でトレードオフを行う必要がある。マクレオード(Mc
Leod)による「Thin−Film Optica
l Filters」と題する前掲の論文の270〜2
76頁には、極めて狭い、ほぼ方形の光学透過帯域を形
成して、十分な透過が得られるようにする多層の薄膜光
フィルタの利用について記載がある。図16には、こう
した帯域をもたらす二倍半波長(「DHW」)薄膜フィ
ルタの実施例の1つに関する構成が示されている。固定
波長λfの場合、図示のように、高(H)屈折率nHと
低(L)屈折率nLの光学的に透明な複数の層が、それ
ぞれ、交互に配置される。高屈折率の層(H)101、
103、105、107、109、111、113、及
び、115は、それぞれ、高屈折率nHに関する四分の
一波長板である。低屈折率の層(L)102、106、
108、110、及び、114は、それぞれ、低屈折率
nLに関する四分の一波長板である。低屈折率の層10
4及び112は、それぞれ二分の一波長板であり、従っ
て、ファブリーペローエタロンとして機能する。これら
の2つのエタロン104及び112のそれぞれは、中心
波長λ=λfにおいて、ほぼ反射率が0パーセントで、
透過率が100パーセントである。ただし、反射率は、
波長λ=λfの低点の両側において急速に100パーセ
ントに向かって上昇する。本発明の多層の薄膜実施例の
場合、104及び112のような2つの二分の一波長板
は、それぞれ、薄膜の平面における選択された方向に沿
って単調に変動する厚さを備えている。屈折率nH=2
.40(TiO2)及びnL=1.45(石英)の選択
に関して図18に示す薄膜構造の計算上の透過率は、波
長比g=λf/λ(λは可変)の関数として(前掲のマ
クレオード(Mcleod)の論文の図7.14と同様
の)図22に示されている。 計算上の透過率は、適度な幅のピークを有しており、

0084】
【数6】
【0085】において急峻に上昇し、あるいは、急峻に
降下する曲線が生じ、λ>2λfの場合、ある側波帯構
造が形成される。図19には、図16及び図17に似た
計算上の透過率の構造が示されており、2つの二分の一
波長板層は、本発明のもう1つの適合する実施例である
、低屈折率材料ではなくて、高屈折率材料によるもので
ある。
【0086】本発明の実施例の1つは、関係する波長帯
域にわたって反射率がほぼ一定の、第1の多層薄膜フィ
ルタスタックと、反射率が狭波長帯域における極めて低
い値(中心波長λcに位置する)からこの狭波長帯域を
ちょうど超えたかなり高い反射率値が急速に上昇する第
2の多層薄膜フィルタスタックを利用している。波長λ
cは、第2の薄膜フィルタスタックにおける層の厚さh
2によって決まり、この厚さh2は、該フィルタの受光
面における空間座標xの選択方向での増大につれて単調
に増大する。第1と第2の薄膜フィルタスタックを直列
に組み合わせることによって、選択方向における位置x
に応じて単調に変動する波長λcに中心がくる極めて狭
い帯域フィルタが得られる。これら2つのフィルタスタ
ックは、望ましくない側波帯構造を除去し、フィルタ受
光面における選択方向での位置変化につれて単調に増大
する中心波長を備えた、単一の狭帯域透過フィルタを形
成するため、波長λ=λcにおいて透過する広帯域透過
フィルタ(図16及び図17には示されていない)と直
列に組み合わせられている。
【0087】図16及び図17を参照すると、四分の一
波長板101、102、103は、第1のリフレクタ1
21として働き;四分の一波長板105、106、及び
、107は、第2のリフレクタ123として働き;四分
の一波長板109、110、及び、111は、第3のリ
フレクタ125として働き;四分の一波長板113、1
14、及び、115は、第4のリフレクタとして働き;
二倍の厚さの波長板104及び112は、二分の一波長
板として働き;波長板108は、図17に示す実施例1
20における光学カプラとして働く。この光学カップラ
は、任意選択であり、ここでは、排除することもできる
。図17に示すリフレクタ121及び123と二分の一
波長板122とを組み合わせることによって、図20に
波長λの関数としての光の反射率Rが示された特殊なリ
フレクタが形成される。この反射率は、急激に低い値R
0にまで低下することになる。λ=λfに中心がくる狭
波長間隔を除くと、波長λの範囲の大部分にわたってほ
ぼ1.0の高い値を示す。図17における素子121、
122、及び、123から成る特殊なリフレクタは、単
独で用いることもできるし、あるいは、光学カップラが
介在するか、しないかは別として、選択波長λ=λfに
おいて狭く、急激にピークに達する透過率
【0088】
【数7】
【0089】を示す他の同様の特殊リフレクタと連結す
ることも可能である。
【0090】反射率または透過率において所望の狭く、
急激なピークを示す多層薄膜フィルタは、図16に示す
構造に限定されるものではない。二分の一波長板104
及び112は、高屈折率の材料から構成することもでき
るし、あるいは、高屈折率の材料と低屈折率の材料の位
置を交換することもできるし、あるいは、これらの変更
を両方とも行うことも可能である。さらに、図16に示
す四分の一波長板の4つのグループ(101,102,
103)、(105,106,107)、(109,1
10,111)、及び、(113,114,115)の
それぞれは、それぞれ、互い違いになった屈折率(高/
低)材料による奇数番号(1,3,5,7,9…)の四
分の一波長板に取り替えることも可能である。 図21には、低屈折率の4つの四分の一波長板131、
133、135、及び、137は、リフレクタとして働
き、高屈折率の二倍の厚さの2つの波長板132及び1
36が、二分の一波長板として働き、高屈折率の四分の
一波長板134が、図17に示す装置に類似した光学カ
プラとして働く、本発明の一例が示されている。
【0091】その最低限度にまで縮小すると、透過率ま
たは反射率において狭く、急激にピークに達する、図1
6、図17、または、図21に示すタイプの多層薄膜フ
ィルタは、N1(≧4)の高(または低)屈折率の四分
の一波長板と、N1−1(またはN1−2)の低(また
は高)屈折率の波長板が互い違いになる必要があり、こ
の場合、後者のN1−1の波長板のうちN1−3は、四
分の一波長板であり、これらの波長板の残りの2つは、
二分の一波長板である。図21における波長板131、
132、及び、133によっで表されたもう1つの実施
例の場合、適合する多層薄膜フィルタは、高(または低
)屈折率のN2(≧2)の四分の一波長板とN2−1の
低(または高)屈折率の波長板が互い違いになる必要が
あり、この場合、これらN2−1の低(または高)屈折
率の波長板の1つは、二分の一波長板であり、こうした
波長板のうち残りのN2−2は、四分の一波長板である
。これらの構造は、いずれの場合も、各二分の一波長板
の厚さが可変である。
【0092】薄膜光学層は、真空蒸着によって形成され
るのが最も一般的である。このプロセスにおいて、各薄
膜は、真空室内で、気相から凝縮によって基板に被着す
る。基板は、薄膜の凝固温より少し低い温度に保持され
る。薄膜材料を気化するため、各種技法が利用される。 これらには、イオンボンバード(スパッタリング)、熱
蒸着、電子ビームボンバード、及び、他の技法が含まれ
ている。
【0093】2つの基板の不定離隔距離h(x)、単一
基板の2つの表面、または、単一のフィルタ層の2つの
表面、図14及び図15に示す階段形状を除くと、連続
して変動するのが望ましい。形状関数h(x)は、xに
応じて、線形に変動することができ、あるいは、図22
において、それぞれ、曲線141、143、及び、14
5によって示されるように、xに応じて非線形に、例え
ば、k<1、k=1、または、k>1として、a+bx
kに従って変動することもできる。
【0094】k=1の場合、一連の均一な幅の波長間隔
は、可変波長フィルタにおける均一な幅に対応する。k
>1の場合、これらの波長間隔は、フィルタの高波長端
においてよりも低波長端において広くなる。この構成は
、高波長端と比較して、低波長端において光の分散が広
くなり、また、低波長端において、フィルタの透過する
単位長当たりの光量が少なくなる場合には有効である。 k<1の場合、この条件は逆になり、フィルタの分散す
る光は、低波長端において狭くなる。この構成は、通常
生じるように、用いられる光センサの感度が低い波長の
【0095】
【数8】
【0096】に対して弱くなり、低波長端における各光
センサが、さらに多くの受光を必要とする場合に有効で
ある。代替案として、光センサは、高波長端に比べて低
波長端における幅が増すといった、不均一な幅を備える
ようにすることも可能である。離隔距離h(x)は、a
+bxkの形をとる関数に限定されるものではない。指
数関数、三角関数、対数、及び、その他の同様の形状の
関数h(x)を利用することも可能である。
【0097】図23には、所望の場合、単一の半導体チ
ップに納めることが可能な波長フィルタの分光光度計装
置151における利用が示されている。本書で解説の実
施例の任意の1つに従って作られた分光光度計フィルタ
153は、選択方向に延びる線形アレイ155をなす光
センサ素子と重なり、それと隣接するように配置される
。各光センサ素子は、ほぼ50μm以下程度の有限幅w
を備えており、光センサ素子の線形アレイ155に含ま
れるこうした素子の数は有限である。これらの光センサ
素子のそれぞれは、x0がxの中心値となる空間座標x
の狭い間隔、x0−w/2≦x≦x0+w/2、 について、フィルタ153から送り出される入射光ビー
ム157の透過(または反射)部分を受ける。光センサ
素子当たりの波長インクリメントは、Δλc=1nm(
ナノメートル)ほど、または、本発明の実施例の1つに
おいて所望の大きさになる。従って、干渉効果の結果は
、1つの光センサ素子と隣接する光センサ素子との間で
相違し、透過強度のピークに対応する波長も、1つの光
センサ素子と隣接する光センサ素子との間で異なること
になる。 こうして用いられると、光センサ素子の線形アレイ15
5は、各光センサ素子が受ける光ビームの狭い波長間隔
または部分に生じる異なるピーク波長に基づいて、波長
の弁別を行う。
【0098】本発明に適した光センサについては当該技
術において周知のところであり、市場で簡単に入手する
ことができる。該装置は、さまざまな感光素子のアパー
チャサイズ、スペクトル感度範囲、信号伝達技法、及び
、パッケージ構造により、一次元アレイ及び2次元アレ
イの形で得られる。カリフォルニア州サニーベール(S
unnyvale)にある EG&G Reticon
 Corp.製の線形、面、及び、円形シリコン光ダイ
オードアレイが、近赤外線から近赤外線の範囲で働く用
途にとって代表的な装置である。これらの装置は、例え
ば、50ミクロン×100〜2500ミクロンの比較的
広い感光素子面積を備えている。 典型的な市販のアレイサイズは、線形アレイの場合、1
28〜2048の素子、面アレイの場合、256×25
6の素子〜64×2048の素子、円形アレイの場合、
64〜720の素子である。感光素子は、セラミック基
板上において処理され、集積回路ソケットとピンで適合
する標準的なデュアルインラインパッケージに収容され
る。異なる材料からなる感光素子を利用して、光電感度
を他のスペクトル範囲にまで拡張したり、あるいは、他
のスペクトル範囲における光電感度を変更することがで
きる。例えば、HgCdTe 及び InSb は、赤
外線センサーに用いられることがよくある。異なるスペ
クトル範囲に適した光センサ材料は、周知のところであ
り、1981年に Texas Instrument
s Learning Centerから刊行されたエ
ル・アール・マステン(L. R. Masten)に
よる「Understanding Optronic
s」の第3、4、及び、7章に記載がある。
【0099】分光光度計の単純な構成の場合、感光素子
パッケージの表面に、フィルタ基板または一組のフィル
タ基板が取りつけられる。感光素子アレイとフィルタと
の間隔を最小限に抑えるため、フィルタ及びセンサは、
ファイバー面板を介して光学的に結合することが可能で
ある。ファイバー面板を用いて事前加工されたセンサは
、前掲の EG&G Reticon によって市販さ
れている。 ファイバ面板及び最小限に抑えられた間隔によって、開
口数の大きい光の入射によって帯域透過が拡大する可能
性が低下する。
【0100】光センサの面に対する投光は、1つまたは
複数のフィルタ基板の物体側またはイメージ側に設けら
れた1つまたは複数のレンズを用いることによって容易
化することができる。例えば、映写レンズをフィルタと
センサに取りつけて、後述のように、フィルタとセンサ
が、図31に示すある距離だけ隔てられるようにするこ
とができる。この構成において、フィルタの有効寸法は
、レンズの倍率を通じて、センサの有効寸法と関連づけ
られることになる。こうして、比較的小さい寸法のフィ
ルタを比較的大きい寸法のセンサに投影して、解像度を
高めることができる。代替案として、大きい寸法のフィ
ルタを小さい寸法のセンサに投影して、感光性または経
済性を高めることができる。
【0101】図24には、それぞれ、光ビーム157の
一部を受けて、透過させる、それぞれ、有効となる波長
間隔が重ならないものもあれば、部分的に重なるものも
ある2つ以上のフィルタ154A及び154Bと、1つ
以上の光センサアレイ155を含む実施例159が示さ
れている。これによって、単一の計器を利用して、所望
の場合、可視領域と、紫外線領域及び赤外線領域の一部
とを含む、妥当なサイズの拡大された波長範囲を単一の
分光光度計でカバーすることが可能になる。図25には
、図24における隣接する2つのフィルタ154A及び
154Bに関するΔλ154A及びΔλ154Bで表示
の2つの波長間隔の部分的重複が示されているが、x1
<x2<x3<x4とした場合、第1のフィルタは、座
標範囲、x1≦x≦x2、に関して有効であり、第2の
フィルタは、座標範囲、x3≦x≦x4、に関して有効
である。
【0102】図24には、縦列構造159をなす2つ以
上の光フィルタと光センサによるアレイの利用が示され
ている。光フィルタのアレイ93と光センサのアレイ1
65は、並列構造をなすように組み合わせることもでき
るし、あるいは、図26に示す実施例161のように、
2次元アレイをなすように組み合わせることも可能であ
る。 図26に示す2次元アレイの場合、中心波長λc(x,
y)は、座標xに従って、連続して、単調に変動させる
こともできるし、x方向と垂直な方向に測定される座標
yに従って、連続して、または、離散的量ずつ、単調に
変動させることができる。
【0103】図27、図28、及び図29には、フィル
タ166、及びセンサ167を共通の基板168に配置
可能にする3つの実施例が示されている。いくつかのセ
ンサのプロセスによって、感光材料及び駆動回路のガラ
ス基板に対する被着が可能になる。こうしたプロセスの
1つが、Extended Abstracts of
 the 16th(1984 Internatio
nal)Conference on Solid S
tate Devices and Material
s(1984年神戸で開催)の559〜562頁に掲載
のシンジ・モロズミ(Shinji Morozumi
)他による「Completely Integrat
ed a−Si:H Linear Image Se
nsor with Poly Si T.F.T D
rivers」と題する論文において説明されている。 このセンサは、ポリシリコンの薄膜トランジスタスイッ
チとアモルファスシリコンダイオードをガラスに被着さ
せることによって作られている。ガラス基板上の光ダイ
オードアレイによるセンサは、ミシガン州トロイ(Tr
oy)の Ovonic Imaging Syste
ms、日本のスワセイコー社他から市販されている。二
酸化ケイ素(石英またはガラス)上にフィルタとセンサ
の両方を被着させる能力によって、さらには、フィルタ
の多成分層の1つを二酸化ケイ素とすることができるた
め、フィルタとセンサは、共通の基板の両側を共用する
か、あるいは、該基板の共通の側に重ねて被着させられ
ることによって、共通の基板の共用が可能になる。
【0104】図29の実施例において、広帯域透過フィ
ルタ169は、基板168のもう1つの受光面に配置さ
れている。代替案として、基板168に帯域透過フィル
タ材料を組み込み、図27及び図28に示すように、追
加層を不要にすることも可能である。この例の場合、基
板は、適度な幅の通過帯域内の光の波長に限って透過す
る「着色ガラス」とすることもできる。例えば、Sch
ott ガラスタイプ UG1及び UG11の着色ガ
ラスは、Melles Griot から入手可能であ
り、275nm<λ<405nmとλ>680nmの波
長帯域(UG1の場合)、及び、240nm<λ<39
5nmと660nm<λ<800nmの波長帯域(UG
11の場合)内に限って透過する。
【0105】図3、図6〜図15、図16及び図17、
図22、図23、及び図26の任意の1つに示すフィル
タには:(1)中心波長λ=λcを含む急峻に形成され
る通過帯域外に位置する波長の光を減衰させる広帯域透
過フィルタと、(2)狭い通過帯域内に中心波長λ=λ
cを有し、狭い通過帯域フィルタが透過させるこの波長
の他の倍数または側波帯が、広帯域透過フィルタによっ
て大幅に減衰することになる狭帯域透過フィルタを含め
ることが、望ましい。狭帯域透過フィルタ及び任意選択
により広帯域透過フィルタは、フィルタに沿った位置x
に応じて変化する中心波長λ=λcを備えている。
【0106】図30には、本発明を実施する光源と光学
装置の適正な構成の1つが示されている。光源161か
ら光ビームが送り出され、レンズ163または他の焦点
合わせ光学装置を通過して、本発明に基づいて作られた
可変波長フィルタシステム165に向けて送られる。フ
ィルタシステム165には、本書に解説のように、狭帯
域フィルタ、または、狭帯域フィルタと広帯域フィルタ
の組み合わせを含むことができる。入射光ビームは、次
に、可変波長フィルタ165によってフィルタリングを
施され、1次元または2次元とすることが可能な光セン
サアレイ167が受ける。任意選択により、フィルタ1
65で受ける光が、(1)フィルタの全域でより均一に
なり、(2)低波長通過端のようなフィルタの1つの領
域内により集中し、あるいは、(3)他の適合するやり
方で再構成されるようにするため、レンズまたは焦点合
わせ光学装置163に隣接して、光ディフューザ、また
は、コンセントレータ、または、再構成装置164を設
けることができる。図31には、光源と、レンズ163
が可変波長フィルタシステム165と光センサアレイ1
67の間に配置されている光学装置とから成る代替構成
が示されている。図30の実施例において、フィルタシ
ステム165及び光センサ167は、互いに連続させる
こともできるし、互いに間隔をあけて配置することもで
きる。
【0107】図23及び図24に示す一次元光センサア
レイは、線形アレイである。光センサアレイは、図32
に示すように、円形または他の曲線アレイとして構成す
ることもできる。図32において、円形または他の曲線
形状に構成された狭帯域透過可変波長フィルタ170A
、及び任意選択により、広帯域透過フィルタ170Bが
、入射光ビームを受けて、これにフィルタリングを施し
、次に、波長のフィルタリングを施されたビームが、光
センサアレイ171によって受けとめられ、やはり、円
形または他の曲線形状に構成される。この場合、図26
に示す矩形アレイに類似した2次元の円形または曲線光
センサアレイを利用することも、可能である。この場合
、面次元または線形次元の光センサのそれぞれを、不均
一にすることができる。
【0108】可変波長フィルタと光センサアレイの両方
または一方が曲線形状の場合には、各光センサ毎に、ほ
ぼ等しい幅の波長間隔が得られるようにするには、光セ
ンサの幅を不均一にしなければならないこともあり得る
【0109】フィルタアレイ及び光センサアレイの組み
合わせを、丈夫で、信頼性のある単一チップに設け、比
較的低コストにすることができる。光センサアレイをな
す、2つの隣接した光センサ素子に、1ナノメートルほ
どだけ異なる中心波長λcを備えた光ビームを当てるこ
ともできる。
【0110】それぞれ、一対の平行な反射表面が、入射
光ビームを順次受けたり、透過したりするように配置さ
れている、図1のエタロンと同様の2つのファブリーペ
ローエタロンについて考察する。前掲の Mcleod
 による Thin−Film Optical Fi
lters の158〜160頁には、これらのエタロ
ンのそれぞれに関する透過率Tiが、
【0111】
【数9】
【0112】によって求められることが示されているが
、ここで、Fi、ni、hi、及びθiは、第i番(i
=1, 2)のエタロンに関する精度、屈折率、リフレ
クタの間隔、及び、入射角である。i番のエタロンは、
δi=Miπの場合、最大の透過率になるが、ここでM
iは正の整数である。2つのエタロンのそれぞれが、特
定の同じ波長λMについて透過率が最大となる場合、こ
れは、
【0113】
【数10】
【0114】となることを必要とする。これら2つのエ
タロンが、複合狭通過帯域フィルタ及び広い帯域透過フ
ィルタを表している場合、理想的には、2つのフィルタ
は、単一の波長λ=λMについてのみ、最大値が一致す
る。実際には、2つのエタロンは、一連の一致波長を有
しており、このため、両方のエタロンとも、透過率が最
大になる、すなわち、
【0115】
【数11】
【0116】となるが、ここで、(M1,M2)は、整
数M1及びM2の最大公約数である。例えば、(2,3
)=1及び(30,42)=6。式(12)から明らか
なように、Ti及びT2が両方とも最大となるλMに最
も近くなるように、λMからできるだけ遠くなるように
一致波長λK(≠λM)を位置決めするには、整数M1
及びM2が、互いに素の関係をなし、(M1,M2)=
1となるように選択するのが望ましい。例えば、M1(
またはM2)=1の場合、あるいは、M1が少なくとも
2に等しい素数で、M2がpで割ることのできない整数
の場合には、(M1,M2)=1になる。(M1,M2
)=1となる整数M1及びM2を選択する場合、透過率
T1及びT2が両方とも最大になる一致波長λKは、λ
K=λM/K、及びλ1=λM、λ2=λ/2となり、
所望の値から距離λM/2だけ変位したλ2よりも所望
の波長λMに近い他の一致波長λKは、存在せず、波長
λK>λMでは、一致が生じない。しかし、(M1,M
2)=q≧2、の場合には、K<qに対して、一致波長
λK=qλM/Kが、所望の波長λMを超える一致波長
となり、λq+1=qλM/(q+1)は、λM未満で
、所望の波長λMから、λM/(q+1)≦λM/3、
だけ離れることになる。従って、2つの整数M1及びM
2が互いに対して素の関係をなし、(M1,M2)=1
となる場合に、最も近い近接一致波長(λKの1つ)か
らのλMの間隔が最大になる。
【0117】この一例として、図33、図34、図35
、及び、図36には、それぞれ、フィルタの厚さh=1
80.67nm、722.70nm、361.35nm
、及び、549.25nmの、4つの単一の光学キャビ
ティフィルタまたはエタロンに対する、波長と、近似の
最大透過率の関数としての透過率が示されている。4つ
のキャビティのそれぞれについて、精度がF=19.3
0、屈折率がn=1.52、及び、入射角がθ=0であ
る。図33及び図34を比較して注目されるのは、これ
ら2つのフィルタは、一致波長が、それぞれの次数m=
1(図33)及びm=4(図34)に対しλ=λM=5
49.25nmになり、第2の(最も近い近接)一致波
長がそれぞれの次数m=2、及びm=8に対しλ=λM
/2=274.6nmになるということである。図33
におけるm=1及びm=2に対する2つの透過ピークは
、それぞれ、図34におけるm=4及びm=8に対する
対応する透過ピークに比べてはるかに広い。図35及び
図36を比較して注目されるのは、これらの2つのフィ
ルタは、一致波長が、それぞれの次数m=2及びm=3
に対してλ=λM=549.25nmとなり、第2の(
最も近い近接)一致波長が、それぞれの次数m=4及び
m=6に対してλ=λM/2=274.6nmになると
いう点である。選択波長λM=549.24nmに対す
るこれら2対の次数のそれぞれは、(M1,M2)=(
1,4)=1及び(M1,M2)=(2,3)=1であ
って、最も近い近接一致波長がλ2=λM/2=274
.2で生じることになるという意味において、互いに素
の関係にある。
【0118】一方、図34及び図35の最大値を比較す
ると、波長λ=λM=549.25nmにおけるそれぞ
れの次数は、m=4及びm=2になる。これら2つのフ
ィルタに関する最も近い近接一致波長は、λ=(2/3
)λM=366.33nmにおいて生じ、第2のフィル
タ(図34)に対する最大次数m=6は、第3のフィル
タ(図35)に対する最大次数m=3に一致する。この
結果、一致波長λ=λM/2=274.6nmよりも、
所望の波長λM=549.25nmに対してより近い、
最も近い近接一致波長が得られることになる。これは、
望ましいことではなく、所望の波長に対する次数m=4
(図34)及びm=2(図35)が、互いに対して素の
関係にない:(4,2)=2という事実によって生じる
ものである。
【0119】第1の帯域透過フィルタと第2の帯域透過
フィルタとの複合式の場合、最大の透過率になる所望の
共通波長λMについて次数を選択する際には、従って、
整数M1及びM2が互いに素の関係をなすように選択す
るのが望ましい。これは確保する選択の1つは、M1=
1またはM2=1とするか、あるいは、両方とも1とす
ることである。M1=M2=1の選択によって、2つの
ほぼ同じフィルタを直列に配置した、透過率低下という
犠牲を払うことにはなるが、いずれのフィルタ単独の場
合に比べて、狭い、または、中心の通過帯域を形成する
ことになるダブルキャビティが得られる。通過帯域フィ
ルタの最大透過率が、例えば、0.8の場合、N個の同
じフィルタを直列に配置すると、最大透過率は、(0.
8)Nになる。もう1つの適正な選択は、M1=1及び
M2=2,3,4またはそれ以上である。この後者の選
択は、第1のフィルタが広帯域フィルタで、第2のフィ
ルタが狭帯域フィルタの場合に行われる。広通過帯域フ
ィルタは、狭通過帯域フィルタの中心波長λcと一致す
る中心波長を備えているのが望ましい。広帯域透過フィ
ルタは、狭帯域透過フィルタに関連した側波帯または縞
を抑制し、これによって、狭通過帯域フィルタは、直列
に組み合わせたこれら2つのフィルタに対する、λ=λ
cにおいて、狭く、急峻に形成された単一の波長ピーク
が得られるようにする。
【0120】狭帯域透過フィルタと広帯域透過フィルタ
が、公称では一定の厚さの基板に配置される場合、2つ
のフィルタは、別個の、間隔をあけて向かい合った表面
に配置されることもあり得る。しかしながら、できれば
、これら2つのフィルタは、こうした基板の同じ表面に
配置するか、あるいは、十分な間隔をあけて異なる基板
上に配置し、介在する基板内における非ゼロの入射角で
の内部反射によって生じる望ましくない通過帯域におい
て光が「漏れる」のを妨げるようにするのが望ましい。
【0121】上述の光フィルタ/光センサに関する多様
な実施例は、分析分光学、比色法、測光学、及び、放射
測定を含むさまざまな用途において用いることが可能で
ある。分析分光光度計及び比色計の一部は、光源の照射
を受けるサンプルの正確な読取りを可能にするため、出
力信号におけるその影響を除去または補償しなければな
らない、組込み式照射光源を利用している。正確な波長
測定には、光源の周波数を較正する必要がある。これは
、分光光度計の出力信号を利用して、光源のスペクトル
応答を測定し、較正参照用テーブル(LUT)にデジタ
ル方式で測定値を記憶することによって、最も簡単に行
われる。後続のサンプルに対するスペクトル測定時には
、各光センサ素子毎に、分光光度計の信号と光源較正値
の両方を利用して、光センサの出力信号を補正すること
が可能である。各光センサ素子は、1未満、1に等しい
、及び1を超える独立した利得係数Gを光センサの電気
出力信号に掛けて、該光センサが受信する狭い波長帯域
の中心波長λcに従い、出力信号を変動させることがで
きる。これによって、図23のフィルタ153に到達す
る光源について波長毎の補正が可能になり、さらに、波
長選択分光器の実施が可能になる。本発明の実施例に基
づいて作られる分光光度計または比色計によって、フィ
ルタに沿った選択方向においてピーク波長の変動を生じ
、各光センサ素子は、照射光源の影響を除去し、あるい
は、補償するため、別個に補償することが可能になって
いる。
【0122】比色計及び測光器の一部は、比色計に用い
られるCIE X/Y/Z色整合フィルタのような追加
フィルタリングの利用を必要とする。これらのフィルタ
関数はメモリに記憶され、アレイをなす光センサ素子の
波長または位置の関数としての光学フィルタ関数に対応
する値を備えた電気出力信号を生じるために適用される
。本発明が比色計に用いられる場合、信号ストリームが
、3つのフィルタのそれぞれに別個に加えられ、当該技
術において周知の方法で、異なる波長領域に最大値を有
する3つの出力信号が発生することになる。
【0123】本発明を組み込んだ完全な集積パッケージ
のサイズがコンパクトであるため、その大幅な小形化が
可能になり、また、可搬式計測装置の作製が可能になる
。分光光度計に特有の用途の1つには、コンピュータ及
びテレビジョン受信器用のカラープリント及び表示スク
リーンについてモニタを行う搭載比色計に関するものが
ある。本発明のサイズの小ささを有効に利用する他の用
途には、化学的及び医学的プロセスを遠隔測定するため
の、手で支える分光光度計、比色計、及び、放射計の作
製、及び、コンピュータモニタ上の表示に対する色測定
、または、制御及び分析を行うための、手で支えるコン
ピュータ周辺装置の作製がある。化学的または医学的プ
ロセスは、小形化された分光光度計または本発明を組み
込んだ同様の装置を利用し、そのまま、リアルタイムで
モニタすることができる。
【0124】本発明のもう1つの用途には、選択された
色の記述のために組み込まれる任意に指定の電子フィル
タを備えた比色計の作製がある。この色の記述は、R/
G/BまたはC/Y/MまたはX/Y/Zによって指定
することもできるし、光信号の純色量に関する他の適当
な多くのパラメータによる記述で行うこともできる。
【0125】図37には、比色計の性能分析に用いられ
るモデルの1つが示されている。既知の光源173で照
射されて、目175が受けることになる物体172に対
する目の反応を測定するために用いられる三刺激値X/
Y/Zが、CIE1931色合わせ関数を利用して計算
される。不輝物体の場合、比色計は、周囲光とは異なる
分光分布を有する付属のランプ177によって照射され
る各物体172を測定する。目175の三刺激反応を整
合させるため、光センサ179によって測定を受ける分
光分布は、周囲光源177の分光分布を組み込み、ラン
プ177によって生じる照射を除去または補償する較正
を通じて、補正しなければならない。この補正がすむと
、その結果生じる信号は、CIE1931  x,y,
z色合わせ関数(または現在におけるそれらの同等物)
にたたみ込まれて、測定物体のX,Y,Z三刺激値が生
じることになる。目175の反応と光センサ179を含
む比色計の反応との色差は、1976CIE LUV色
差式または他の適当な比色差アルゴリズムを用いて計算
することができる。
【0126】本発明のもう1つの用途は、所望の視感度
曲線にプリセットされる電子波長フィルタを含む、測光
器または輝度計の作製である。
【0127】本発明のもう1つの用途は、光センサアレ
イに対して所定の電子フィルタリングを加えない反射率
分光光度計に対するものである。この装置は、赤外線、
可視光、及び、紫外線の任意の組み合わせによる装置ま
たは任意の自己発光装置の走査に利用することが可能で
ある。本発明は、光ビームの光路内に、サンプルを収容
したセルが挿入される透過分光光度計の一部として用い
ることも可能である。
【0128】本発明のもう1つの用途は、図38に示す
ように、本発明に従って構成される分光光度計によって
スペクトルの分離が行われる光学マルチプレクサを利用
した、複数チャネル通信受信器181としてのものであ
る。2つ以上の通信信号182及び183が、本発明に
従って作られた光フィルタ及びセンサシステム184で
、時間的に順次または同時に受信される。システム18
4には、本発明に従って作られた光フィルタ185に加
え、光フィルタ185が透過または反射するフィルタリ
ングを施された光を受ける光センサアレイ186が含ま
れている。信号182及び183は、それぞれ、代表的
な、ほぼ単色の波長λ1及びλ2を備えた電磁信号であ
り、λ1及びλ2は、十分な間隔をあけているので、こ
れらの信号のそれぞれは、アレイ186における異なる
光センサまたは異なるる光センサグループによって受信
される。アレイ186における光センサのそれぞれによ
って生じる電気信号は、マルチプレクサ(「MUX」)
187(任意選択)によって周期的に受け取られ、2つ
の通信信号182及び183を受信する光センサからの
信号は、重複しない時間期間にMUXの出力信号として
送り出されることになる。所望の場合、一次的に重複し
ないMUX187からの出力信号は、さらに、別個に処
理することが可能である。理論的には、200のセンサ
を備えた光センサアレイ186は、200までの独立し
た通信チャネルを形成することができる。実際には、隣
接する光センサのグループを独立した各チャネル毎に利
用することによって、実施例181では、20〜40の
異なる通信チャネルを形成することが可能になる。通信
信号自体は、紫外波長、可視波長、または、赤外波長、
あるいは、これらの波長範囲の組み合わせを利用するこ
とができる。2つ以上のチャネルに対応する波長を備え
た光は、対応する光センサで同時に受けることができる
ので、マルチプレクサ187がなくても、やはり、通信
受信器の動作が可能である。従って、2つ以上の波長チ
ャネルの情報を同時に受信し、分離することができる。
【0129】本発明のもう1つの用途は、図39に示す
ように、カラースキャナとしてのものである。複数の異
なる波長λを有する光ビーム191が、本発明に従って
作られた分光光度計または比色計193に到達する。光
ビーム191は、本発明に基づいて作られた細長い光フ
ィルタ195によって受けられ、光フィルタによって、
それぞれ、異なる中心波長に対応する一連の光センサの
行にスペクトル的に分解される。スペクトル的に分解さ
れた光は、それぞれ、異なる中心波長λ1、λ2、及び
、λ3に中心がくる波長範囲の分析を行う光センサ素子
の3つ以上の行197−1、197−2、及び、197
−3を含む光センサアレイによって受けられる。これら
の波長範囲は、部分的に重なる場合もあれば、完全に分
離している場合もある。光フィルタ195は、全ての光
センサ行を同時に照射することもできるし、あるいは、
こうした各行の光フィルタからの光で順次掃引すること
によって、光フィルタから出る光で光センサ行を1つず
つ照射することもできる。各行197−1、197−2
、及び、197−3における光センサによって生じる電
気信号は、入射光ビーム191に含まれる紫外波長領域
、可視波長領域、または、赤外波長領域の選択部分に存
在する波長を表す。各行197−1、197−2、及び
、197−3からの電気信号は、それぞれ、独立した出
力信号ライン179−1、179−2、及び、179−
3で送り出すこともできるし、あるいは、図38に示す
MUX装置と同様のマルチプレクサを利用し、これらの
信号を多重化して、単一のラインで送り出すことも可能
である。
【0130】光フィルタ自体は、図23及び図24に示
す光センサアレイ155を除去することにより、光モノ
クロメータとして用いることができる。光フィルタは、
入射光ビーム157をスペクトル的に分解し、光フィル
タから送り出される光の小セクタは、ほぼ単色になる。
【0131】図40には、波長λ=409、436、5
46、及び、578nmにおいて特有のピーク放出を生
じるHg気体ランプ214からの光が、アイリスすなわ
ちスリット215を通り、レンズ217を経て、ミラー
219で反射され、本発明によって作られた波長フィル
タ221に向かうことになる。本発明の実施例の1つ2
11に関する作業プロトタイプの概略が示されている。 この場合、特定のフィルタ221は、それぞれ、可変厚
さフィルタの一部として2つの平面状反射面を持つウエ
ッジを利用して作られた、狭帯域透過フィルタ及び広帯
域透過フィルタを備えている。 フィルタ221に沿った各空間位置xを透過する光は、
実施例の1つにおいてそのFWHMが6〜14nmの範
囲になる、狭い波長帯域内にあり、この透過した光は、
電子モジュール225の処理を受ける光センサの線形ア
レイ223が受ける。任意選択によって縦方向の並進ね
じ224を設け、フィルタ221と光センサアレイ22
3の相対位置の調整を行うことも可能である。線形アレ
イ223の各光センサで受ける光の強度I(λ;x)は
、図41に示すように、線形アレイをなす光センサのそ
れぞれについて、中心波長λc(または可変位置x)の
関数としてCRTまたは他の表示モジュール227に表
示することができる。
【0132】光センサのアレイを制御し、その出力信号
をデジタル化するための電子装置は、周知のところであ
り、市販されている。該回路は、露光時間及び速度を制
御し、それぞれが、それぞれの感光素子によって発生す
る電荷を集めて、順次シフトアウトし、次に、信号スト
リームを増幅し、そのデジタル化を行う。
【0133】電子測定と信号処理によって、可変波長フ
ィルタと光センサアレイのアライメントに制御を加える
ことができる。分光光度計を既知の波長の単色光源にさ
らすと、図42に示すように、光センサ231からの出
力信号が、その波長に対するフィルタとアライメントの
とれた、該アレイに沿った特定の感光素子を表示する。 未知の場合、異なる波長における追加測定を利用して、
正確なフィルタの勾配を識別し、所定のスペクトル範囲
をカバーする能動素子の数を求めることができる。この
プロセスは、追加の、従って、未使用の感光素子をアレ
イに沿って設けることによって、容易化することができ
る。追加素子によって、光センサ及びフィルタの製造及
びアセンブリ公差に裕度が得られる。図42の場合、特
定のスペクトル帯域または波長を備えた各感光素子の見
出しが、帯域透過割当て参照テーブル(LUT)235
として、デジタルメモリに記憶することができる。未使
用の、従って、割当てが施されていない、アレイ両端の
感光素子によって生じる信号は、サンプルチョッパ23
7によって信号ストリームから「チョップ」される(廃
棄される)。
【0134】センサからのデジタル化信号は、一般に、
アレイに沿った光応答の不均一性によるエラーを含んで
いる。不均一性は、素子の光応答の変動、波長に依存す
る応答性、帯域透過形状、フィルタに沿った透過率の変
動、光学装置の不均一性によって生じる。これらの装置
に依存するエラーは、較正によって補償することができ
る。測定を通じて、各感光素子に対する較正係数を計算
し、既知の光源、例えば、黒体放射体に対する分光光度
計の応答に補正が加えられる。この係数は、較正LUT
239にデジタル方式で記憶され、後続の全ての読取り
時に、乗算器モジュール241によって順次分光光度計
の出力に加えられる。順序づけには、サンプルチョッパ
237と協調して制御が加えられ、各較正係数が、確実
に、適合する感光素子の信号に加えられることになる。 暗電流レジスタ243は、アレイ231における能動光
センサのそれぞれについて、デジタル化暗電流信号を受
信して、記憶し、減算器モジュール245を用いて、セ
ンサ毎に、サンプルチョッパ237による電気出力信号
からこれらの値を引く。色補償または色比較のため、任
意選択により、もう1つの乗算器モジュール249を用
いて、フィルタテーブル247が設けられる。
【0135】以上の論考では、いくつかの構成を扱って
きたが、各構成に関連した問題点及び利点を指摘するの
は無駄ではない。本書で解説の全ての光学キャビティは
、別段の指示がない限り、位置に応じて変動する中心波
長λcをもたらすものと仮定される(「可変波長フィル
タ」)。単一キャビティの狭帯域フィルタは、発生する
望ましくない縞を抑制する手段をもたらすものではない
。このため、これらの縞を基本の、または、所望の通過
帯域からできるだけ離しておくため、透過に関して、低
いエタロン次数(m=1または2)を用いる必要がある
。低エタロン次数を用いると、いわゆる狭帯域が広くな
る:中心波長は、次数の増大に応じて減少するので、こ
うした帯域のFWHMは、狭くなる。
【0136】光ビームを順次受けるように配置された、
2つのファブリーペローエタロンまたはエッジフィルタ
の組み合わせのような、ダブルキャビティまたは複合狭
帯域フィルタを利用すると、単一キャビティ構成に比べ
て、帯域は狭くなるが、総透過量が減少する。これらの
特徴は、単一キャビティの狭帯域フィルタに、単一キャ
ビティの広帯域フィルタを加えたものから成る複合フィ
ルタにも存在するものであり、各キャビティの可変中心
波長λcのアライメントに注意を払う必要がある。
【0137】ダブルキャビティの狭帯域フィルタと広帯
域フィルタとの組み合わせによって、可変中心波長λc
のアライメントをとる公差が増し、任意の位置で狭帯域
出力信号が得られることになる。
【0138】ファブリーペローリフレクタと共に、狭い
帯域エッジフィルタ、または、スペーサを備えたファブ
リーペローエタロンを用いると、両方とも狭帯域の場合
、狭く、ほぼ矩形の通過帯域が得られ、透過率は比較的
高くなる。この構成に広帯域フィルタを追加すると、同
様の結果が得られるが、この場合、中心波長のアライメ
ントの問題が生じる。この広い帯域フィルタの代わりに
可変波長の広帯域フィルタを用いると、狭く、ほぼ矩形
の通過帯域が、高透過率で得られ、より高次のエタロン
次数を用いることによって、通過帯域の上昇及び降下が
一層急峻にすることができる。
【0139】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、(1)
光ビームを連続した波長間隔に効率よく分散して、この
間隔を通る光ビームの内容を分析し;(2)波長間隔の
シフトまたは拡大について分析可能にし;(3)複数の
波長に感応する光検出素子が受ける光ビームの強度分布
を変更する融通性が得られるようにし;(4)各光検出
素子において、波長の異なる、鮮鋭に形成された極めて
狭い帯域の光が得られるようにし;(5)単一チップ上
に、コンパクトかつ丈夫で、コストの低い装置を組み立
てることができるようにする、コンパクトな装置が提供
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】入射光ビームを受容する標準ファブリーペロー
エタロンの動作を示す側面図である。
【図2】入射光ビームを受容する従来の多重層エッジフ
ィルタの側面図である。
【図3】2つの反射平面の間隔が空間座標Xに沿って単
調に増加する、本発明の第1実施例(透過モード)の側
面図である。
【図4】3つの狭帯域領域の重なりをプロットした図で
あり、波長の増加に従い自然な広がりが生じている。
【図5】図3に示す実施例に関して、2つの位置、x=
x1、x=x2 における透過強さのスペクトル対光波
長の関係をプロットした図である。
【図6】反射モードで動作する本発明の第1の実施例の
側面図である。
【図7】反射モードで動作する本発明の第2の実施例の
側面図である。
【図8】反射モードで動作する本発明の第3の実施例の
側面図である。
【図9】本発明に基づき、高域通過エッジフィルタを通
過した光を示す図である。
【図10】本発明に基づき、低域透過エッジフィルタを
通過した光を示す図である。
【図11】本発明に基づき、高域及び低域透過エッジフ
ィルタの組合わせを通過した光を示す図である。
【図12】本発明に基づき、高域及び低域透過エッジフ
ィルタの組合わせを通過した光を示す図である。
【図13】高域透過エッジフィルタと低域透過エッジフ
ィルタを直列に組み合わせた実施例の側面図である。
【図14】平面反射層の1つが階段状構造の反射層に置
換された場合の本発明の別の実施例の側面図である。
【図15】平面反射層の1つが階段状構造の反射層に置
換された場合の本発明の別の実施例の側面図である。
【図16】本発明の実施例を実行するために好適な多層
薄膜フィルムフィルタの別の構造の断面図である。
【図17】本発明の実施例を実行するために好適な多層
薄膜フィルムフィルタのある構造の断面図である。
【図18】本発明に基づいて実行される2つの薄膜フィ
ルムフィルタに関する、透過率と波長との関係をプロッ
トした図である。
【図19】本発明に基づいて実行される2つの薄膜フィ
ルムフィルタに関する、透過率と波長との関係をプロッ
トした図である。
【図20】図17に示された実施例に関する波長の関数
としての光ビームの反射をプロットした図である。
【図21】本発明に基づいて構成された、別の多層薄膜
フィルムフィルタの断面図である。
【図22】選択された方向にあるフィルタ内の2つの隣
接する反射面の間隔h(x)の距離xに関するいくつか
の可能な変数をプロットした図である。
【図23】光センサ素子のアレイと共に、本発明に基づ
いて、1つのフィルタを用いた実施例の見取図である。
【図24】光センサ素子のアレイと共に、本発明に基づ
いて、両端を突き合わせに配列された2つのフィルタを
用いた実施例の見取図である。
【図25】本発明に基づいて構成された2つのフィルタ
の空間的変位と部分的に重なり合う選択された波長帯域
の関係をプロットした図である。
【図26】2次元的に配列されたフィルタ及び光センサ
を用いた実施例の見取図である。
【図27】本発明に基づいて、相互に隣接して配置され
た波長フィルタ及び光センサアレイの第1の実施例の側
面図である。
【図28】本発明に基づいて、相互に隣接して配置され
た波長フィルタ及び光センサアレイの第2の実施例の側
面図である。
【図29】本発明に基づいて、相互に隣接して配置され
た波長フィルタ及び光センサアレイの第3の実施例の側
面図である。
【図30】本発明を実施するために使用可能な光源及び
光学装置の第1の構成の概略図である。
【図31】本発明を実施するために使用可能な光源及び
光学装置の第2の構成の概略図である。
【図32】環状又は曲線状に本発明に基づいて構成され
た光フィルタ及びセンサシステムの平面図である。
【図33】フィルタの厚さh=180.67nmのエタ
ロン形フィルタに対する、波長と近似の最大透過率の関
数として透過率の関係をプロットした図である。
【図34】フィルタの厚さh=722.70nmのエタ
ロン形フィルタに対する、波長と近似の最大透過率の関
数として透過率の関係をプロットした図である。
【図35】フィルタの厚さh=361.35nmのエタ
ロン形フィルタに対する、波長と近似の最大透過率の関
数として透過率の関係をプロットした図である。
【図36】フィルタの厚さh=549.25nmのエタ
ロン形フィルタに対する、波長と近似の最大透過率の関
数として透過率の関係をプロットした図である。
【図37】対象から肉眼により認識された色彩パターン
と任意の光源により照射された対象から光センサにより
認識された色彩パターンに適合するための好適な方法を
概略的に示している。
【図38】多重チャネル通信受信機に本発明を適用した
場合の概略図である。
【図39】カラースキャナに本発明を適用した場合の概
略図である。
【図40】本発明の構成及び作業プロトタイプの概略図
である。
【図41】図40のプロトタイプにより発生された、光
センサの各線形配列の中央波長の関数としての透過率を
プロットした図である。
【図42】光センサアレイからの出力信号を処理するた
めに好適な電子回路の概略図である。
【符号の説明】
24…光フィルタアセンブリ 25…光ビーム 26,27…反射面 28…スペーサ 29,30…透過ビーム

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フィルタの受光面の選択された空間方向の
    位置の変化につれて変動する光の中央波長で通過幅を有
    する光フィルタであって:フィルタ材料の第1の層は相
    互に空間を開けて対向する2つの受光面を備え;前記第
    1の層は、1つの受光面で受容された光であって、波長
    のうち選択された通過幅の波長を備えた光を部分的に透
    過しかつ部分的に反射し;2つの受光面の間隔が、選択
    された方向の位置の変化に応じて単調に増加し;少なく
    ともある位置において、2つの受光面の間隔がmλc/
    2nに等しく;ここで、mは正の整数であり、nは選択
    された通過幅の選択された波長λcの光に関する材料の
    屈折率の実部であり;フィルタ材料の第2の層は相互に
    空間を開けて対向する2つの受光面を備え;2つの受光
    面の間隔は、選択された方向の変動に応じて変化し;前
    記第2の層は、波長λcの光を部分的に透過し;前記第
    2の層は、第1のフィルタ材料の第1の層の側部帯域の
    波長にほぼ等しい第2の波長の光はほぼ全てを吸収又は
    反射し;前記第2の層は、第1のフィルタ層及び第2の
    フィルタ層の一方を通過した光が他方のフィルタ層によ
    り受容されるように配置されていることを特徴とする、
    光フィルタ。
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