JPH0420817B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は不使用時車体側部に沿わせて折畳む操
作も併せ遠隔操作により行えるようにした、ミラ
ー面を任意の向きに調節設定できる電動式の遠隔
操作型後視鏡に関する。

従来技術： 自動車用サイドミラーについては、運転者が運
転席から直視できない視界を間接的に視認して、
運転走行時車体の周囲の状況を適確に把握しやす
いよう、ミラー面を最適の条件に設定する必要が
ある。そのため、このミラー面を手動で調節する
不便さを解消するために、運転席から遠隔操作で
もつて、自在に調節設定できるようにした電動機
内設駆動式のものが研究開発され、既に種種の構
造のものが提案され、実用に供されている。これ
らの先行技術の多くは、その一例として特公昭52
−31618号、実開昭55−102122号公報などによつ
て開示されているように、ミラーケーシング本体
が車体に直接取付けられて、その本体内部に組込
まれた駆動装置によりミラーをピボツト部を基準
にして所要の向きに傾動させる構造となつてい
る。更にそのミラーの角度調節装置においても、
前記刊行物以外にあつても、特開昭51−102735
号、特開昭56−1901号などに記載されているよう
に、ケーシング本体内に組込んだ駆動装置によつ
てミラーとその背板とを傾動させるようにしてい
る。したがつて、減速電動機で複雑な駆動機構を
介してミラーを作動させることになり、構造が一
見小型になつていることから合理的にみられる
も、かえつて複雑な構造のものが要求されて高価
につく。また故障も生じ易くなる。

さらに乗用自動車用のように小型の後視鏡には
適用できても、貨物自動車や乗合自動車など大型
の後視鏡を用いる場合、大型の後視鏡では抵抗が
大となるので、前記したような構造のものをその
ままこれに適用すれば、不安定になつて使用困難
である。特に大型車の場合、後視鏡は車体の横方
向に突き出して取付け、使用することが多いの
で、その取付け手段としてアームを使用する必要
がある。また、このように車体の横方向に突き出
して後視鏡を配置した場合、車輌の走行時以外不
用になつたときには当然このアームを折畳んで車
体側部に後視鏡を沿わせ、嵩低くして故障が発生
しないようする必要性が認められる。

このような比較的大きな後視鏡で不使用時折畳
むことができる遠隔操作型の後視鏡としては、特
公昭46−24415号公報に示されたものが既に知ら
れている。しかし、このものはミラー面が左右の
方向にのみ回動変位できるだけで、上下方向に調
節ができないから不具合であり、また折畳みや展
開操作は手でもつて行わねばならないので不便で
ある。

発明の目的： 本発明は斯かる問題点を解決して、簡単な駆動
機構をミラー取付け本体内に組込んで、ミラーと
その取付け本体とが一体となつて任意の角度に変
位させることができるようにし、駆動部の歯車の
噛み合いを切換えると、遠隔操作でアームを取付
け基部に設けた支持ピンを基準として、車体側へ
回動させて折畳むことができる遠隔操作型の後視
鏡を目的とする。

発明の構成： 本発明は、適宜寸法の内懐を有して前面に鏡板
を取付けてなるミラー支持ケーシングと、 前記ミラー支持ケーシング内で、該ミラー支持
ケーシングと相対的に前記鏡板に対し傾動可能に
基端部を枢支される基板上に付設されて、遠隔操
作で作動する二台の駆動機と、 前記ミラー支持ケーシングの外部で、前記基板
の基端部が管軸を介して先端部に固着連結される
車体への支持アーム、 を備えて、前記一方の駆動機は前記基板に定着さ
れ、該駆動機の出力軸付設の操作アーム端に、先
端の球状部を前記ミラー支持ケーシングの球面座
部と係合するロツドが連結され、前記他方の駆動
機はソレノイドによつて前記基板上を横移動可能
に取付けられて、該駆動機の出力軸上の歯車が常
時前記支持アーム先端に連結されて前記管軸と繋
がる内歯歯車に噛合され、前記ソレノイドによる
軸心方向への移動操作で前記管軸内を貫通して前
記内歯歯車と同心上で回転自在に支持される軸端
固着の旋回用小歯車と噛み合うようにされ、かつ
前記他方の駆動機に関連させて該旋回用小歯車駆
動時固定支持される前記基板の固定手段を備え、
前記支持アームは、車体に定着されるブラケツト
に基部を支持されて、前記旋回用小歯車取付軸の
下端に付される歯車と前記ブラケツトに固設の歯
車とに、該支持アームに沿わせて無端伝動帯が巻
掛けられたことを特徴とする折畳式遠隔操作型後
視鏡である。

本発明においては、支持アームに対してミラー
支持ケーシングが、該支持アーム先端に起立固着
の管軸を基準にして回動可能に、かつ管軸挿通部
を基点として前後に揺動可能に支持されている。
また二台の駆動機取付け基板は、前記管軸に回動
可能に支持されて、一方の駆動機出力軸と操作ア
ーム及びロツドを介して、そのロツド端の球状部
と球面座部との係合で、可動的にミラー支持ケー
シングと接続されている。

また、本発明における支持アームは、基部から
先端までの内側に空間が形成され、車体への取付
け基部では車体に定着のブラケツトの頭部におい
て固着される歯車とこの支持アーム先端部に配さ
れた軸下端固着の歯車とに、歯付きベルトもしく
はチエンなど巻掛伝動帯を巻掛け緊張して、横移
動可能な駆動機の移動切換えによつてアームを回
動して折畳み得るように構成してある。

実施例： 以下本発明を一実施例について図面により詳述
すれば、次の通りである。

第１図乃至第３図に示すのは、比較的大型車の
サイドミラーとして使用するものであつて、後視
鏡１の鏡板２は凸面鏡で、適宜内容積を有するボ
ツクス形のミラー支持ケーシング３に、その周縁
内壁３′の斜面部と受支突起部４とによつて周縁
を受支され、可撓性材料で支持ケーシング３の周
縁部３″に被嵌係合する取付け枠５により、外脱
しないよう外周縁を押えて一体に固定してある。
このミラー支持ケーシング３の下部周面適所に
は、長円形孔６が穿設してある。

ミラー支持ケーシング３の内部には、遠隔操作
用駆動機１０、１０′が基板７上に取付けられて
内設されている。その基板７は所要の寸法にして
基部にボス７′を一体に設けて、左右回動用の内
歯歯車２０と直結される管軸２１を嵌挿し、外管
軸２１によつて前記内歯歯車２０（この内歯歯車
２０は歯部が軸心を通る対称部分に所要幅のみ設
けられていて、それ以外は第３図で明らかなよう
に切除されたものである）が基板７前側に支持さ
れている。

基板７上には二台の駆動機１０，１０′が付設
され、その一方の駆動機１０は基板７に固定され
ていて、遠隔操作されるモーター１２と高減速比
の減速機１１とが一体に直結された構成で、該減
速機の出力軸にフリクシヨン型のクラツチ１３を
介して操作アーム１４が取付けてある。該操作ア
ーム１４端には球状接手１５を介して下端に球状
部１６′を備えたロツド１６を接続し、このロツ
ド１６の球状部１６′はミラー支持ケーシング３
の内底面に設けた球面座１７に係合して連結され
ている。基板７上の他方の駆動機１０′は、スラ
イド座部８で横方向に摺動自在に取付けてあり、
遠隔操作されるモーター１２と高減速比の減速機
１１とが一体に直結されたものにして、該減速機
１１の出力軸にはフリクシヨン型のクラツチ１３
を介して歯車１８が取付けてある。そしてこの駆
動機１０′はソレノイドによつて横方向に移動操
作される。なお、後視鏡折畳み時の基板の固定手
段として、駆動機１０′には回転止めストツパー
２８を第２図示のように取付けておき、該ストツ
パー２８の歯部２８′が支持アーム３０の折畳み
操作時、駆動動機１０′の移動に対応して内歯歯
車２０と噛み合い、基板７が回動しないように仮
固定する機構を備えている。この回転止めについ
ては、内歯歯車２０の外周に係止歯を設けてお
き、駆動機１０′側に回転止めストツパーを取付
けて、支持アーム折畳み時両者が係合するように
してもよい。

前記内歯歯車２０と一体の管軸２１は、ミラー
支持ケーシング３の長円形孔６を貫通して外部に
突き出している外形が角形の基板ボス７′内を、
回動自在に嵌挿貫通し、下端を支持アーム３０の
先端ボス３２の上側に設けた段付き孔３３に嵌合
定着されて、この管軸２１を介して支持アーム３
０先端上に後視鏡１が支持されている。したがつ
て、管軸２１を介して内歯歯車２０は固定状態に
なつている。

斯かる内歯歯車２０の管軸２１を基準として、
これに被嵌状態にある基板ボス７′の中間部にピ
ン穴２２，２２を対称に設け、ミラー支持ケーシ
ング３内で長円形孔６縁に沿つて突出した一対の
突片９，９に取付くピン９′，９′を、前記基板ボ
ス７′のピン穴２２，２２に係合し、ミラー支持
ケーシング３がピン９′，９′を基点として上下に
傾動可能なように連結支持する。もちろん、内歯
歯車２０と基板７側の歯車１８との噛合駆動で、
ミラー支持ケーシング３は左右方向に回動でき
る。

後視鏡１を車体Ａに取付けるための支持アーム
３０は、車体に取付くブラケツト３５に基部３１
を被嵌してアーム枢支ピン３８と押え金３９とに
よつて回動可能に取付けられて支持され、所要長
さを有して先端ボス３２と前記基部３１との間は
断面下向きコの字形にし（これに限定されるもの
ではない）、所要の強度を有する構造にしてある。

管軸２１内を貫通する軸２５は、その上端に前
記内歯歯車２０と同心で同じ歯形の旋回用小歯車
２６を固着し、また該軸２５下端にも歯車２７を
取付ける。支持アーム３０の基部３１を回動可能
に支持するブラケツト３５の頭部３５′は円柱形
になつていて、固定の歯車３６が形成してあり、
この歯車３６と前記歯車２７とに無端の歯付きベ
ルト３７を緊張して巻掛けてある。なお支持アー
ム３０基部の周縁部３１′と前記固定歯車３６と
は接触しないよう適当な間隔をとつて外周を囲う
ようにしてある。この支持アーム３０とブラケツ
ト３５との取付け手段についてはこの実施例に限
定されるものではなく、回動可能な取付け方式で
あれば他の方式でもよい。また、前記各駆動機の
モーター１２，１２のリード線は、ミラー支持ケ
ーシング３の適所に設けたコネクター（図示省
略）を介して、遠隔操作回路のリード線と接続さ
れるようにしてある。

このように構成した本発明によれば、運転席に
設けたコントロールスイツチにより後視鏡１を調
節操作するには、支持アーム３０が所定位置に突
き出した状態で、駆動機１０′がソレノイドによ
る操作でもつて出力軸上の歯車１８を内歯歯車２
０に噛合状態にしておき、該駆動機１０′のモー
ター１２を起動して、出力軸を正転（時計方向の
回転を正とする）すれば、内歯歯車２０が固定さ
れているので、駆動した歯車１８の方が、該内歯
歯車２０に沿つて転動することになる。したがつ
てこの状態では基板７がボス７′部で管軸２１を
基準として回動し、ミラー支持ケーシング３を介
しミラー面を図上左方向に変位させる。また、駆
動機１０′のモーター１２を逆転させれば、前記
とは逆の方向にミラー面が回動変位する。

また、他方の駆動機１０のモーター１２を起動
して出力軸を正転（時計方向の回転）させれば、
操作アーム１４がケーシング底面３ａに対して反
対側へ回動することになり、連結するロツド１６
が引張られるので、該ロツド先端球状部と結合し
ている球面座１７を介してミラー支持ケーシング
３は、基板ボス７′のピン穴２２に係合する枢支
ピン９′を基準にしてミラー面を前傾させ、即ち
ミラー面が下方向に傾動する。したがつて該駆動
機１０のモーター１２を逆転させれば、前記と逆
の作動で、ロツド１６がミラー支持ケーシング底
面３ａに対して突張ることになり、その結果ミラ
ー面は上向きに傾動する。

それ故に二台の駆動機１０，１０′を所要時間、
所望の組合せで駆動することにより、ミラー支持
ケーシングを回動と傾動との複合運動で、左右の
斜上下方向に任意変位させることができる。

なお、ミラーの向きを設定した後において、外
部から不測の外力を受けた場合には、各駆動機１
０，１０′の出力軸部に、それぞれフリクシヨン
クラツチ１３，１３が組込まれているので、この
部分でスリツプして駆動機等に傷害が生じること
はない。以後の角度修正は前記要領で行えばよ
い。

而して後視鏡１を収納する必要が生じた場合に
は、ソレノイドを作動させて駆動機１０′を図上
左方向に移動する（第５図参照）。すると歯車１
８が内歯歯車２０との噛合から離れて、旋回用の
小歯車２６と噛み合う。これに同調して回転止め
ストツパー２８の歯部２８′が歯車２０に噛み合
う。そこで駆動機１０′のモーター１２を逆転さ
せれば、歯車１８の回転で小歯車２６を介し軸２
５下端に取付く歯車２７が正転するから、ブラケ
ツト頭部３５′の固定歯車３６とに巻掛けた歯付
きベルト３７との噛み合い関係で（該ベルトは固
定の状態にあるので）、該歯車２７が歯付きベル
ト３７の歯部に沿つて転動する状態となり、この
際ミラー支持ケーシング３は、枢支ピン９′，
９′を介して連結している基板７上の駆動機１
０′付設回転止めストツパー２８が、固定した内
歯歯車２０と係合しているので、自動回動するこ
となく固定され、その結果支持アーム３０が枢支
ピン３８を中心として回動し、車体側に折畳まれ
る（第６図参照）。したがつて後視鏡１は車体Ａ
側部に収まることになる。後視鏡を使用するとき
は上記と逆に操作するので、問題はない。なお、
支持アーム３０の基部もしくは旋回用小歯車２６
に対向する適所などにリミツトスイツチを併設し
て、旋回範囲を電気的に制限し、自動的に支持ア
ーム３０の旋回停止位置を設定されるようにして
おけば、過度な旋回運動をせず効果的である。

以上は後視鏡のミラー面が縦長になつたもので
説明したが、本発明の趣旨に則すれば、ミラー面
が横長のものであつても同様にして構成すること
ができる。

また、ミラー支持ケーシングと支持アームとの
連結関係機構については、上記実施例に限定する
ものではなく、支持縦軸を中心として左右の方向
には回動でき、上下の方向には傾動できるような
機能を備えて連結できればよい。そして組立の関
係上管軸相当部は支持アーム側から突出し、内歯
歯車はこれに取付けるように構成してもよい。

更に支持アームの回転駆動用の巻掛け伝動体と
してはチエーンを使用し、これを巻掛ける歯車と
して鎖車を用いるようにすることも任意なし得
る。

発明の効果： 本発明によれば、ミラー支持ケーシング内に組
込んだ駆動機によつて、該ケーシングを変位させ
ることによりミラー面の調節ができ、更にこの駆
動機の出力軸の動力を機械的に切換えることで、
支持アームを回動させて車体側に沿わせて折畳み
収納したり、所定位置に後視鏡を突き出したりす
ることができ、サイドミラーとしての機能を全自
動的に遠隔操作して制御できる、簡単構造で有用
なものであるといえる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明後視鏡の一実施例における鏡板
を一部取除いた状態での一部縦断正面図、第２図
は駆動部の拡大正面図、第３図は第２図の駆動機
部を切断しない側断面図、第４図は第２図の−
視図、第５図は支持アーム折畳み操作時を示す
要部正面図、第６図は折畳みの態様を示す平面図
である。 １……後視鏡、３……ミラー支持ケーシング、
６……長円形孔、７……基板、７′……基板ボス、
８……スライド座部、９……突片、９′……枢着
ピン、１０，１０′……駆動機、１３……フリク
シヨンクラツチ、１４……操作アーム、１６……
ロツド、１６′……球状部、１７……球面座、１
８……出力軸上の歯車、２０……内歯歯車、２１
……管軸、２２……ケーシング枢着ピン穴、２５
……軸、２６……旋回用小歯車、２７……歯車、
２８……回転止めストツパー、３１……基部、３
０……支持アーム、３３……段付き孔、３２……
先端ボス、３６……固定歯車、３５……ブラケツ
ト、３８……アーム枢支ピン、３７……歯付きベ
ルト、Ａ……車体。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 適宜寸法の内懐を有して前面に鏡板を取付け
   てなるミラー支持ケーシングと、 前記ミラー支持ケーシング内で、該ミラー支持
   ケーシングと相対的に前記鏡板に対し傾動可能に
   基端部を枢支される基板上に付設されて、遠隔操
   作で作動する二台の駆動機と、 前記ミラー支持ケーシングの外部で、前記基板
   の基端部が管軸を介して先端部に固着連結される
   車体への支持アーム、 を備えて、前記一方の駆動機は前記基板に定着さ
   れ、該駆動機の出力軸付設の操作アーム端に、先
   端の球状部を前記ミラー支持ケーシングの球面座
   部と係合するロツドが連結され、前記他方の駆動
   機はソレノイドによつて前記基板上を横移動可能
   に取付けられて、該駆動機の出力軸上の歯車が常
   時前記支持アーム先端に連結されて前記管軸と繋
   がる内歯歯車に噛合され、前記ソレノイドによる
   軸心方向への移動操作で前記管軸内を貫通して前
   記内歯歯車と同心上で回転自在に支持される軸端
   固着の旋回用小歯車と噛み合うようにされ、かつ
   前記他方の駆動機に関連させて該旋回用小歯車駆
   動時固定支持される前記基板の固定手段を備え、
   前記支持アームは、車体に定着されるブラケツト
   に基部を支持されて、前記旋回用小歯車取付軸の
   下端に付される歯車と前記ブラケツトに固設の歯
   車とに、該支持アームに沿わせて無端伝動帯が巻
   掛けられたことを特徴とする折畳式遠隔操作型後
   視鏡。