JPH0414473B2 - - Google Patents

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JPH0414473B2
JPH0414473B2 JP58168204A JP16820483A JPH0414473B2 JP H0414473 B2 JPH0414473 B2 JP H0414473B2 JP 58168204 A JP58168204 A JP 58168204A JP 16820483 A JP16820483 A JP 16820483A JP H0414473 B2 JPH0414473 B2 JP H0414473B2
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gas
liquid
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electrode
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Toshio Shimizu
Takanori Sato
Tsutomu Tsukui
Ryota Doi
Motoo Yamaguchi
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Hitachi Ltd
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は、液体燃料を用いた燃料電池に係り、
特に単セルを直列に複数個積層した積層構造の液
体燃料電池に関する。
本発明は、メタノール、ヒドラジンなどの液体
燃料を使用し、酸素、空気などのガス状酸化剤又
は過酸化水素などの液体酸化剤を使用した燃料電
池に適用するのに適している。
〔発明の背景〕
燃料電池は、燃料と酸化剤とを電気化学的に反
応させて生じるエネルギーを直接電気エネルギー
として取り出すもので、電力用発電設備、航空宇
宙機器の電源、海上又は海岸における無人施設の
電源、固定又は移動無線の電源、自動車用電源、
家庭電気器具の電源或はレジヤー用電気器具の電
源などとして熱心に検討されている。
燃料電池を大別すれば、高温(約500〜700℃)
で運転される溶融炭酸塩電解質型燃料電池、200
℃近辺で運転されるりん酸電解質型燃料電池、常
温ないし約100℃以下で運転されるアルカリ電解
液型燃料電池又は酸性電解液型燃料電池が代表的
なものである。
高温燃料電池及びリン酸燃料電池においては、
燃料として水素などのガス状燃料を用いることが
多い。
一方100℃以下で使用されるアルカリ性電解液
型燃料電池又は酸性電解液型燃料電池において
は、燃料としてメタノール、ヒドラジンなどの液
体燃料を用いることが多い。なお、100℃以下で
使用される燃料電池の電解質には、苛性カリ、水
酸化リチウムの水溶液あるいは希硫酸などを用い
ることが多い。
メタノール、ヒドラジンなどの液体燃料を用い
た所謂、液体燃料電池においては電気化学的反応
により燃料極においてガスが発生する。メタノー
ルを用いた場合には炭酸ガスが発生し、ヒドラジ
ンを用いた場合には窒素ガスが発生する。
従つて、燃料極で生成したガスを処理する必要
がある。この対策として特開昭56−97972号公報
に記載の発明においては、燃料と電解液の混合物
からなるアノライトを電池の外部を経て燃料室に
供給し且つ循環させ、燃料極で生成したガスをア
ノライトとともに電池の外部へ導き、そこでガス
のみを分離して大気中へ排出するようにしてい
る。
特開昭58−35875号公報に記載の発明において
は、燃料室内に生成ガスのみを通す気液分離層を
設け、生成ガスをこの気液分離層を介して電池外
部へ排出するようにしている。
このような対策は、液体燃料電池が常に所定の
姿勢で用いられているときには有効である。しか
し、電池の姿勢を変えて用いたり或は使つている
途中で転倒したりして姿勢が変わつたりするもの
に対しては、根本的な対策にならない。
液体燃料電池を電気掃除機や芝刈機の電源とし
て用いたりする場合には、電池が転倒したりする
ことが十分考えられる。
前者の場合には、アノライトを循環させる配管
およびポンプが必要になるので、燃料電池が転倒
したときにはこれらの接続個所から破損してアノ
ライトが洩れたり或はポンプが作動しなくなるお
それがある。
後者の場合にも、実際に電池を作動させるとき
には燃料供給口に別途燃料タンクを連結しておく
ことが必要になるので、やはり転倒によつて接続
個所が破損して燃料が洩れたり或は燃料が供給で
きなくなるおそれがある。更に後者においては燃
料室内に気液分離層をいくつも設けることにより
燃料極と燃料との接触面積が減少し、燃料極に電
気化学的反応に関与しない部分がかなりできると
いう問題もある。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、電池運転時における姿勢の制
限を少なくした液体燃料電池を提供することにあ
る。
本発明の他の目的は、燃料極の燃料室側全面が
液体燃料に接触し、従つて燃料極全体が電気化学
的反応に関与するようにした液体燃料電池を提供
することである。
本発明の更に他の目的は、酸化剤室に酸化剤を
供給することにより直ちに発電が開始するように
したクイツクスタート可能な液体燃料電池を提供
することにある。
〔発明の概要〕
本発明は、燃料室又は燃料タンクの上と下(燃
料電池の使用状態あるいは据付状態における)の
少なくとも2箇所の位置、より好ましくは上と下
部分で中心よりずれた位置(ここでは上下の対角
線をなす位置と表現する)にガスのみを透過し液
体を透過しない機能を有するガス排出口を設けて
おけば、燃料電池が転倒したりして姿勢が変わつ
ても常に上部にはガス排出口があり生成ガスを排
出できるという着想に基づいている。
本発明は、燃料極で発生したガスを電池外部へ
導く手段と、電池外部へ導かれたガスを排気する
手段及びそれらの手段の間に形成されたガス溜め
手段を有する。前記ガス排気手段は気液分離機能
を備えたガス排出口を有し、該ガス排出口は燃料
電池が45度以上傾いたとき、すなわち燃料電池を
構成する単位電池(単位セル)の積層方向を前後
に見て燃料電池の姿勢が横方向に垂直から45度上
傾いたときに別の排出口からガスが排出されるよ
うに異なつた位置に2個以上有する。
このように、燃料電池の姿勢の変化に対応して
別のガス排出口から生成ガスを排気させることに
より、燃料電池を全姿勢で運転することができ
る。
更に燃料タンクと燃料室とを結ぶ通路を2つ以
上設けて燃料電池の姿勢が45度以上変化したとき
に別の通路から燃料室へ燃料が供されるようにし
ておけば、どのような姿勢でも燃料室に常に燃料
を供給しておくことができる。これにより酸化剤
室に酸化剤を供給すれば直ちに発電が開始するよ
うになり、クイツクスタートが可能になる。
イ 燃料電池の構成 一般の燃料電池は、燃料室−燃料極−電解質層
−酸化剤極−酸化剤室からなる組合せを単セル
(単電池)とし、これを直列に接続して所望の電
圧を得るように構成される。単セルの起電力が
0.6ボルトであれば、20個の単セルを直列に接続
して起電力12ボルトの燃料電池が構成される。従
つて、各構成部材はなるべく薄い板状に構成すべ
きである。
本発明の燃料電池においては、直列に接続した
セルの一方又は両方の端部に燃料タンクを設け
る。この燃料タンクはセルに固定してもよいし或
はカセツト式にして取り外しできるようにしても
よい。
燃料タンクには、燃料を燃料室に供給するため
の孔を2つ以上設け、燃料電池が45度以上傾いた
ときに別の孔から燃料を供給できるようにする。
本発明の燃料電池は作業者の肩にかけて用いる
ことができるし、このような状態で用いられるこ
とが多いと予想される。
この場合、燃料電池は45度前後或はそれ以上傾
く場合が多い。従つて、45度以上傾いても運転で
きるようにしておく必要がある。前記孔は上下で
且つ対角線をなす位置に設けることがより好まし
い。この孔は、燃料極で生成したガスを燃料タン
ク内に導くガス排出路を兼ねる。従つて、上方に
位置する孔が燃料によつて塞がれてしまわないよ
うに、燃料タンク内の燃料のレベルを常に上方に
設けた孔の上面の位置よりも低くおさえることが
望ましい。
燃料タンクに設けた孔の近傍に位置する燃料室
にも燃料供給口及びガス排出路を兼ねる孔を設け
る必要がある。そして、燃料タンク及び燃料室近
傍に設けた孔を通つて燃料室に燃料が供給され或
は生成ガスが排出されるようにする。燃料室は一
般にカーボン製セパレータに凹みを形成すること
によつて作られるので、このセパレータに孔を設
けることが望ましい。
このようにすることにより、燃料は燃料タンク
内の下部側に位置する孔を通つて燃料室に達する
ようになり、燃料室は常に燃料タンク内の液面の
高さと同じところまで燃料で満たされるようにな
る。
燃料極で生成したガスを電池外部へ排出する排
出口は、燃料室又は燃料タンク又は燃料室と燃料
室を結ぶ通路の途中のいずれか又は複数の個所に
設けることができる。但し、積層型燃料電池にお
いては既に述べたように単セルの各構成部材をな
るべく薄い板状にすることが望まれるので、燃料
タンク又は燃料室と燃料タンクを結ぶ通路の途中
にガス排出口を設けることが望ましい。
ガス排出口は、ガスのみを透過し液体を透過し
ないように構成する必要がある。このための手段
として特開昭56−97972号公報に記載されている
ようにふつ素系樹脂、シリコーン系樹脂、防水処
理した布或は水をはじく性質をもつプラスチツク
繊維の不織布などからなる選択透過膜を用いるこ
とができる。又、特開昭58−35875号公報に記載
の発明において気液分離層に用いられている材料
を使用することもできる。但し、本発明において
は、ガス排出口にも燃料の液圧がかかつたりする
ので、気液分離手段の構成はより一層慎重に行
う。望ましい気液分離手段は燃料充填部に置かれ
た状態で長時間液圧がかかつても液もれのないこ
と、燃料未充填部に置かれた状態でガス圧力の損
失を大きくすることなく生成ガスを容易に排出で
きる機能をもつていることである。そのためには
撥水性からなる材質の繊維をからませて熱圧着し
たようなシートが好ましい。細い糸をからませた
繊維の織物や毛ばだちのある不織布は気液分離手
段に用いる材料としては適当でない。前記材料は
後者のものと平均孔径は同じでもガス透過抵抗が
小さいという大きな特長をもつ。
上述した機能を有する気液分離手段を、燃料タ
ンク或は燃料室或は両者を結ぶ燃料通路兼ガス排
出路に設け、そこから生成ガスを排出させる構造
をとることにより、燃料電池の運転時の姿勢に対
する制限を少なくすることができる。
燃料タンクをセルの両側に1個ずつ合計2個有
する場合には、1個の燃料タンクに設けるガス排
出口の数は1つでもよい。この場合には、対向す
る2つの燃料タンクのうち一方は上部、他方は下
方の位置にガス排出口を設ける。2つの燃料タン
クの対角線をなす位置にガス排出口を設けるよう
にするとなおよい。
なお、燃料タンクを2つ設ける場合には、容積
の異なる燃料タンクを組合せることが望ましい。
それも大きい方の燃料タンクの容積を小さい方の
燃料タンクの容積の2倍以上にすることが望まし
い。2つの燃料タンクの容積が同じであると、積
層型液体燃料電池の積層方向を上下方向にして運
転するときに燃料の大部分が下部側の燃料タンク
に戻つてしまい電池が作動しなくなるか或はセル
の積層数に比べて得られる出力が低くなり且つ電
池寿命も短くなる。燃料タンクの容積を違えてお
けば、容積の小さい方の燃料タンクを下部側に位
置させれば燃料室の上部側にも燃料を供給できる
ようになり高い出力を得ることができる。
燃料タンクを2つ設けることにより、燃料極に
おいて生成するガスを燃料タンクが1つの場合よ
りも燃料室から排出させやすくできるという効果
も得られる。更に燃料室内の燃料の液面が電池の
作動に伴つて下がるのを遅くできるという効果も
得られる。このような効果を十分発揮させるため
に、容積の小さい方の燃料タンクの容積は、大き
い方のタンクの容積の1/5の大きさよりも小さ
くしないことが望ましい。
電解質には液体燃料非透過性の有機高分子電解
質を用いて燃料室内の燃料が燃料極以外へ行かな
いようにし、且つ燃料室には運転休止時にも常に
燃料が供給されておくようにすることが望まし
い。このようにすれば酸化剤室に酸化剤を供給す
ると直ちに発電が開始されクイツクスタートでき
る。
本発明においては、燃料としてメタノールを使
用することができるが、この場合にはメタノール
が燃料極を透過して電解質室に侵入し、かつこれ
が酸化剤極に到達して酸化又は燃焼してしまう。
これを防止するために、メタノールの透過を抑
制するための隔離壁を燃料極と電解質室との間に
設けるのが好ましい。この隔離壁として、例えば
イオン交換膜がある。
ロ 電解質 本発明の燃料電池においては、酸性或は塩基性
の電解質を用いることができる。また液体又は固
体の電解質を用いることができる。
但し、液体電解質を用いた場合には、電解液室
内に留まるべき電解質が、液体燃料との間の濃度
勾配に基づく希釈現象により多孔質の燃料極を通
つて、燃料室に流出する現象が起る。
上記の対策として、燃料室に電解液で希釈した
燃料混合物(これを通常アノライトと称してい
る)を供給するのがよい。こうすれば、電解質の
濃度差が小さくなり、電解液室から燃料室への電
解質の流出が少なくなる。しかし電解液で燃料を
希釈するということは電池本来の機能としては不
必要な対策であり、燃料の濃度もそれだけ小さく
なつて、燃料よりも電解液を循環するために動力
が消費され、エネルギー効率が低くなる。また強
い腐食性の電解質を燃料と一緒に供給又は循環す
るということは、構成材料の制約の他に使用者に
とつて不都合である。
固体電解質を使用すれば、液体の電解質を用い
た場合における前述の問題点をすべて解消するこ
とができる。
固体電解質としては、本件出願人が先に出願し
た特願昭57−132237号明細書に記載したポリスチ
レンスルホン酸などの有機高分子電解質を用いる
ことが望ましい。
有機高分子電解質の形成方法としては、たとえ
ば電解質保持枠にイオン交換膜を固定し、その片
面又は両面に前記電解質組成物を担持させる。こ
のようにすれば、電解質構造体の厚さが非常に小
さくなり、かつ電池の組立ても容易になる。
電解質保持枠は、絶縁物が適し、例えば各種プ
ラスチツク板又はシート、フイルムがある。前述
の増稠剤又はスペーサ材を混入した電解質組成物
を用いれば、電極間の短絡を防止できる。
別の方法として、0.1〜5mm特に0.3〜2mmの枠
体に前述の有機高分子電解質組成物を乾燥状態で
又はペースト状で担持させれば、薄型の電解質構
造体となる。酸化剤極及び/又は燃料極の対向面
に、有機高分子電解質組成物を塗布することも有
効である。
固体電解質であれば、液体電解質を用いるとき
のように高い組立て精度は要求されないし、気液
分離手段に使用する材料についての制限も少なく
なる。液体電解質を用いたときには、燃料電池の
取扱い上の失敗たとえば落下或は障害物への衝突
により電池枠が破損したときに電解質が容易に洩
れたりするが、固体電解質であれば電池外部へ洩
れにくい。
なお、本発明でいう固体電解質とは液体成分を
含まない意味ではなく高分子電解質を水に溶解
し、必要に応じ増稠剤を添加してペースト状にし
たものも含む意味で使つている。
ハ 燃料室 燃料電池における電気化学的反応は、メタノー
ル燃料電池を例にとれば、次の通りである。
燃料極(負極) CH3OH+H2O→CO2+6H++6e- 酸化剤極(正極) 3/2O2+6H++6e-→3H2O 燃料極における前記反応を有効に行なわせるた
めには、燃料を常に燃料極の最上端まで接触させ
ておき、燃料極の全面を反応に利用できるように
することが望ましい。
しかし、燃料室内の高さは燃料タンク内の液面
の高さと同じであり、燃料タンクを完全に満たす
ように燃料が入つているわけではないので、燃料
極の上部には燃料に接触しない部分が生じる。
又、、電池の作動中における燃料の消耗もあつて、
燃料極が燃料と接触する面積は徐々に減る。
このような状態でも燃料が燃料極に充填される
ようにするために、燃料室に毛細管作用で燃料を
吸い上げることができる繊維質の吸い上げ材を設
けることが有効である。
吸い上げ材としては、例えば紙、木綿、アスベ
ストガラスなどの有機あるいは無機繊維基材、ア
クリル繊維、芳香族ポリアミド繊維、ナイロン繊
維、ポリアミドイミド繊維、ポリエステル繊維、
ポリプロピレン繊維などの合成繊維基材などを用
いることができる。材質的に特に好ましいのは耐
酸性あるいは耐アルカリ性のものである。天然有
機質繊維基材を用いる場合は樹脂ワニスで処理し
たものが有効である。勿論、樹脂処理量は毛細管
現象を失なわない程度に抑える必要がある。ま
た、繊維質基材の他に、例えばアルミナあるいは
シリカなどの無機粉末の焼結体のような多孔質板
を用いることもできる。この場合、材質としては
親水性のものがより好ましい。しかし、本発明者
らの実験によれば、メタノールの如く、カーボン
に対して親和性を有する燃料を含む場合は、疎水
性材料でも使用可能であることを確認した。毛細
管材料の厚さは、材質や空隙密度の違いによつて
一義的には決められないが、強度や耐膨潤性の点
から10μm以上が適当である。
この吸い上げ材による燃料供給法は、固体電解
質を用いた場合に採用するとより効果が大きい。
何故ならば、液体電解質を用いたメタノール燃料
電池では燃料室にアノライトを供給することが必
要になり、燃料室の希硫酸の量は通常の燃料電池
の場合で50−70体積%を占めることになる。この
ようにメタノールの濃度が低いので、吸い上げ方
式にすると燃料極の上端にまで十分な量の燃料を
供給することが難しい。
これに対し、固体電解質を用いた場合には、燃
料室にメタノールを単独或は反応に必要な少量の
水を添加したメタノールを供給できるので、吸い
上げ方式によつて燃料極の上端まで十分に燃料を
供給することができる。
以上のことから、本発明の燃料電池においては
電解質に固体電解質を用い且つ燃料吸い上げ方式
を採用することが最も望ましい。
以下図面により説明する。
第1図は、本発明の一実施例によるメタノール
−空気燃料電池の単セルの構成を示す斜視図であ
る。
単セルは、空気室を形成しかつ集電体を兼ねる
グラフアイト製のセパレータ20、セパレータ2
0に隣接して空気極21、次いでイオン交換膜2
2、メタノール極23に隣接する有機高分子電解
質板24、及び燃料室を構成しかつ集電体を兼ね
るグラフアイト製のセパレータ25を順次重ねて
構成される。セパレータ20に溝30を形成して
空気通路とする。メタノール極23及び空気極2
1は、カーボンブラツク或はアセチレンブラツク
などの導電性粒子に白金の如き貴金属粒子からな
る触媒活性成分を担持させ、これをカーボンペー
パー、或は酸或はアルカリに対して耐食性を有す
る金網等の導電性基材に塗布するなどして添着し
たものである。触媒活性成分はメタノール極或は
空気極の少なくとも電解質側に形成される。
この実施例では、メタノールタンク27内のメ
タノールを燃料室25に吸い上げるための吸い上
げ材26が設けられている。更にセパレータ25
のメタノール極側と反対側の面に接するようにメ
タノールタンク27が設けられている。メタノー
ルタンク27の燃料室25側には上下の対角線を
なす位置にそれぞれ孔28a,28bが設けてあ
る。そしてセパレータ25のそれらの孔と対応す
る位置にもそれぞれ孔29a,29bが設けてあ
る。これらの孔は、メタノールの供給路とメタノ
ール極で生成したガスの排出路とを兼ねる。メタ
ノールタンク27内のメタノールは、第1図に示
す状態において孔28bの上面の高さよりも低い
位置まで入つている。この第1図に示す状態にお
いて、メタノールタンク27内のメタノールは孔
28aから孔29aを通り燃料室に入つて吸い上
げ材26によつて燃料室の上部にまで充填され
る。電気化学的反応によつてメタノール極で生成
したガスは孔29bから孔28bを経てメタノー
ルタンク27内に入り、気液分離手段を有するガ
ス排出口31から電池外部へ排出される。なお、
ガス排出口は図示したメタノールタンク27の上
面に設けたほかに、底面の前記上面側ガス排出口
31と対角線をなす位置にも設けられている。
第1図に示す状態から燃料電池の姿勢が180度
転換した場合にも、電池の構成は第1図に示すと
きと何ら変わらない。今度は、メタノールが孔2
8bから孔29bを通つて燃料室に入り、生成ガ
スが孔29aから孔28aを経てメタノールタン
クに入つて第1図における図示しない底面側のガ
ス排出口より電池外部へ排出されることになる。
第1図に示す状態から燃料電池の姿勢が90度変
わつたときでも、メタノールタンク及び燃料室の
上部にはガス排出路となる孔が存在し、下部には
メタノール供給路となる孔が存在することにな
る。従つて、燃料電池の運転を行うことができ且
つ生成ガスの電池外部への排出も行えることにな
る。
この実施例では、従来のメタノール燃料電池の
ようにアノライト供給、循環のためのポンプなど
の補機が不要である。このためポンプを駆動する
ための動力が要らない。
第2図は、メタノールタンク27内にメタノー
ル1が入つている状態を模擬的に示したものであ
る。メタノール1の液面の高さは孔28bの上面
よりも低くすることが必要である。タンク内のメ
タノールが充填されていない区域を生成ガスの貯
蔵に利用し、ガス排出口31より電池外部へ排出
する。
第3図は、本発明の他の実施例に係るものであ
る。この実施例では、メタノールタンク27の一
方の側の上下に孔28a,28bを設けてある。
これらの孔は、縦に長い1つの孔にしてもよい。
この実施例に係るメタノールタンクを備えた燃
料電池においては、燃料室にメタノールが供給さ
れる側と生成ガスが排出される側とが同じであ
る。
このため、メタノールタンク27が第3図に示
す姿勢或はこれを180度転換した姿勢で運転され
るときにはよいが、90度変えた姿勢で運転される
ときには適さない。従つて、燃料電池を使用する
ときの姿勢が第1図に示す構造のメタノールタン
クを備えたものに較べて制限される。
但し、この構造の燃料電池は、メタノール供給
系及び排出系をメタノールタンクの一方の側にだ
け設ければよいので、燃料電池を全体として小型
化できるという特長を有する。
なお、第3図の実施例においては、ガス排出口
を必ずしも対角線をなす位置に設けなくてもよ
い。図示するように上面及び底面の対向する位置
にガス排出口を設けることができる。或はタンク
の側面のうち燃料室に接する面を除くいずれかの
面の上下にガス排出口を設けるようにしてもよ
い。
第4図は、複数個の単セルを直列に接続して両
端にメタノールタンクを設けた実施例を示してい
る。この実施例では、メタノール極と電解質とイ
オン交換膜と空気極を便宜上1枚の板で示してあ
る。燃料室及び空気室は、1つの共通のグラフア
イト製のセパレータ40を用いてその表面に形成
してある。すなわちグラフアイト製セパレータ4
0の一方の面に溝30を形成して空気通路を形成
し、他方の面に凹みを設けてそこへ燃料吸い上げ
材26を設けてある。
単セルを複数個積層することによつて各々のセ
パレータ40に設けた孔29a,29bが連通
し、メタノールタンクから燃料室へメタノールを
供給する通路及びガス排出路を形成する。
この通路も含めて単セルの部品を形成するか或
はこの通路を含む枠たとえばプラスチツクを加工
して作つた枠を別途作り、この枠の中へ単セルの
各構成部材を挿入することにより、構造的にもコ
ンパクトな燃料電池を組み立てることができる。
単セルを複数個積層したならば両側に当て板を
当ててボルト等の締付け部材によつて締め付け、
積層による単セル間の接触抵抗が高くならないよ
うにすることは好ましい。このようにせずに単セ
ルの各構成部材を接着剤によつて接着して固定す
ることも可能である。
第4図では、メタノールタンクがセルを挾むよ
うにして両側に設けてあり、ガス排出口は一方の
タンク27の上面と他方のタンク270の下面と
にそれぞれ1つずつ設けてある。ガス排出口31
と310は対角線をなす位置にある。これらのガ
ス排出口31或は310のどちらか一方又は両方
を取り外しできるように構成しておけば、そこか
ら燃料を補給することができる。
このようにメタノールタンクを2個設けること
は、燃料電池を長時間運転する必要があり燃料タ
ンクに大容量のものを使用しなければならない場
合に、大容量のタンクを用いなくても済ませるこ
とができるので有利である。又、燃料タンクを2
つ設け、その一方又は両方をカートリツジタイプ
にしておけばタンク内の燃料が減つてきたときに
タンクを新しいものと取り換えて燃料の液面高さ
を高めることもできる。
第4図に示す燃料電池においてはメタノールタ
ンク27に設けた孔28aおよびメタノールタン
ク270に設けた孔280aを通つて燃料室にメ
タノールが供給される。一方、生成ガスは孔29
bから孔28bを通つてメタノールタンク27内
の燃料が充填されていない空間に溜り、ガス排出
口31より電池外部へ排出されることになる。
第4図に示す構造の燃料電池においては、燃料
電池の姿勢が変わり、メタノールタンク27が上
でタンク270が下側になつた場合或はその反対
になつた場合でも、燃料電池は作動し且つ生成ガ
スの電池外部への排出を行うことができる。
更に燃料はセパレータに設けた孔を通つて燃料
室へのみ供給されるようになつており、且つ燃料
室には運転休止時にも常に燃料が充填されるよう
に構成されている。従つて、酸化剤室に酸化剤を
供給すれば直ちに発電が行われ、クイツクスター
トできる。
第5図は、単セルを直列に複数個積層し両側に
燃料タンクを設けた燃料電池の他の実施例を示し
たものである。この実施例ではガス排出口98,
99をメタノールタンクに設けずにグラフアイト
製のセパレータに設け、タンク内のメタノールを
燃料室に送る通路の途中において生成ガスを電池
外部へ排出させるようにしている。このガス排出
口は反対側の面の下方にも設けてある。
このようにガス排出口を燃料供給通路に形成し
ても生成ガスの電池外部への排出を支障なく行う
ことができる。なお、第5図において符号111
及び112は、いずれも端子を示している。
第6図は、ガス排出口の構造の一例を示したも
のである。この実施例ではメタノールタンクの上
面にガス排出口を設けた場合が示してあるが、下
面に設ける場合でも同じであり、セパレータに設
ける場合でもこの考えを適用することができる。
ガス排出口は、燃料電池の姿勢が第1図或は第
4図に示す状態から180度転換したり或は90度転
換したりしても液もれを生ずることがなく、しか
も液圧がかかつたあとでも生成ガスを電池外部へ
排出できることが必要である。
このためにはガス排出口に気液分離手段を設け
る必要があり、フツ素系樹脂、ポリスチレン、ポ
リエチレンなどの撥水性を有する繊維をからませ
て熱圧着して多孔質のシート状にするか或は
50μm以下の極薄のフイルム状にしてガス排出口
に設けることが好ましい。
しかし、これを単独で用いたのでは強度的に弱
く液圧がかかつたときに破損してしまう。そこで
第6図のように構成することが望ましい。
第6図では液圧がかかつても強度的に耐える材
料からなる栓6によつて撥水性多孔質膜5を補強
するようにしている。栓6にはガスを透過させる
ための孔6a,6b,6cが設けてある。栓の材
料はたとえばタンクと同じ材質からなる。この実
施例では栓6をタンク27にねじ込みによつて固
着しているが、これはタンク内への燃料入口を兼
ねさせたためである。
栓6と撥水性多孔質膜5の間に他の多孔質の補
強材7を介在させることは、撥水性多孔質膜の破
壊を少なくするうえでより好ましい。
第7図は、燃料通路兼ガス排出路をメタノール
極或は空気極の中央に設けたものである。
このようにすることによつて、燃料室内での燃
料供給と生成ガス排出のための経路を短くするこ
とができる。
第8図は、燃料室の構造の一例を示したもので
ある。燃料室は液不浸透性のカーボン板に燃料を
充填する凹みを形成しただけのものでもよい。し
かしこの実施例のように液不浸透性のカーボン板
に燃料を充填する凹みを形成してそこへ吸い上げ
材26を設けることが望ましい。このように吸い
上げ材を用いることにより燃料極全面に燃料を接
触させることができる。
以上、図面に基づいて説明してきたが、本発明
はここに記載したものに限られるものではない。
特許請求の範囲に記載された範囲内で種々の変更
が可能である。
たとえばメタノール燃料電池以外の液体燃料電
池にも適用することができるし、第4図に示す構
造の燃料電池において、燃料室の側面にメタノー
ルタンクを設けるようにすることもできる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明によれば燃料電池
の姿勢が変わつても発電を行うことができ、且つ
燃料を洩らすことなく生成ガスのみを電池外部へ
排出することができる。
更に酸化剤室に酸化剤を供給することにより燃
料電池をクイツクスタートさせることもできる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の燃料電池の単セルの構成を示
す斜視図、第2図はメタノールタンクに燃料が入
つた状態を模擬的に示した斜視図、第3図はメタ
ノールタンクの他の実施例を示す斜視図、第4図
は単セルを複数個積層した燃料電池の斜視図、第
5図は積層型燃料電池における別の実施例を示す
斜視図、第6図はガス排出口の構造の一例を示す
断面図、第7図は本発明の他の実施例による燃料
供給及びガス排出方法を説明するための斜視図、
第8図は燃料室の構成を示す斜視図である。 5…撥水性多孔質膜、20…セパレータ、21
…空気極、22…イオン交換膜、23…メタノー
ル極、24…有機高分子電解質板、25…セパレ
ータ、26…吸い上げ材、27…メタノールタン
ク、28a…孔、28b…孔、29a…孔、29
b…孔、31…ガス排出口、40…セパレータ、
270…メタノールタンク、310…ガス排出
口、98…ガス排出口、99…ガス排出口。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 電解質を挟んで対向する燃料極と酸化剤極、
    前記燃料極に隣接する燃料室、前記酸化剤極に隣
    接する酸化剤室、及び前記燃料室に隣接して配置
    され、燃料室に液体燃料を供給する燃料タンクを
    有するものにおいて、 前記燃料極で発生したガスを前記燃料タンクへ
    導く手段と、 前記燃料タンクに設けられ、前記燃料タンクへ
    導かれたガスを大気中へ排出するガス排出口を有
    するガス排出手段と、を有し、 前記ガス排出手段のガス排出口を、 燃料電池の姿勢が傾いた時でも燃料タンク内の
    液体燃料に接しないガス排出口が少なくとも1個
    確保出きるように前記燃料タンクの上と下、若し
    くは対角線上に複数個設けるとともに、 該ガス排出口の各々に、気液分離手段を設ける
    ようにしたことを特徴とする液体燃料電池。 2 特許請求の範囲第1項において、前記気液分
    離手段が撥水性材料の多孔質体によつて形成され
    ていることを特徴とする液体燃料電池。 3 電解質を挟んで対向する燃料極と酸化剤極、
    前記燃料極に隣接する燃料室、前記酸化剤極に隣
    接する酸化剤室、及び前記燃料室に隣接して配置
    され、燃料室に液体燃料を供給する燃料タンクを
    有るするものにおいて、 前記燃料極で発生したガスを前記燃料タンクへ
    導く手段と、 前記燃料タンクに設けられ、前記燃料タンクへ
    導かれたガスを大気中へ排出するガス排出口を有
    するガス排出手段と、を有し、 前記ガス排出手段のガス排出口を、 燃料電池の姿勢が傾いた時でも燃料タンク内の
    液体燃料に接しないガス排出口が少なくとも1個
    確保出きるように前記燃料タンクの上と下、若し
    くは対角線上に複数個設けるとともに、 該ガス排出口の各々に、気液分離手段を設け、
    かつ 前記燃料室内に燃料吸い上げ手段を設けるよう
    にしたことを特徴とする液体燃料電池。 4 特許請求の範囲第3項において、前記燃料吸
    い上げ手段が毛細管作用を有する材料によつて形
    成されていることを特徴とする液体燃料電池。 5 特許請求の範囲第3項において、前記電解質
    が固体電解質からなることを特徴とする液体燃料
    電池。 6 特許請求の範囲第3項において、前記液体燃
    料がメタノールからなることを特徴とする液体燃
    料電池。 7 特許請求の範囲第3項において、前記電解質
    が固体電解質からなることを特徴とする液体燃料
    電池。 8 電解質を挟んで対向する燃料極と酸化剤極、
    前記燃料極に隣接する燃料室、前記酸化剤極に隣
    接する燃料室を有して単セルを形成し、該単セル
    を直列に複数個接続するとともに、前記燃料室に
    液体燃料を供給するタンクを備えているものにお
    いて、 前記燃料タンクを前記単セルが直列に接続され
    たその両端に設けるとともに、 該両燃料タンクへ前記燃料極で発生したガスを
    導く手段と、 前記両燃料タンクに設けられ、夫々燃料タンク
    へ導かれたガスを大気中へ排出するガス排出口を
    有するガス排出手段と、を有し、 前記夫々のガス排出手段のガス排出口を、 燃料電池の姿勢が傾いた時でも燃料タンク内の
    液体燃料に接しないガス排出口が少なくとも1個
    確保出きるように前記燃料タンクの上と下、若し
    くは対角線上に複数個設けるとともに、 該ガス排出口の各々に、気液分離手段を設ける
    ようにしたことを特徴とする液体燃料電池。 9 特許請求の範囲第8項において、前記電解質
    が固体電解質からなることを特徴とする液体燃料
    電池。 10 特許請求の範囲第8項において、前記単セ
    ルの燃料室がカーボン製のセパレータに凹みを形
    成することによつて形成されていることを特徴と
    する液体燃料電池。
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