JP4753569B2 - 燃料カートリッジ及び燃料電池 - Google Patents
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Description
これらの中でも、液体燃料の供給に毛管力を利用した各液体燃料電池等が知られている(例えば、特許文献3〜8参照)。
これらの各特許文献に記載される液体燃料電池は、燃料タンクから液体燃料を毛管力で燃料極に供給するため、液体燃料を圧送するためのポンプを必要としないなど小型化に際してメリットがある。
この中継芯を介する燃料電池Xは、図7及び図8に示すように、平板状の燃料極、電解質膜、空気極より構成される平板状の燃料電池セル1,1…を内部に有すると共に、側面部にメッシュ構造の空気取り入れ口部2aを有する燃料電池本体2と、該燃料電池本体2の着脱部3に取り付け自在となる燃料カートリッジ4とを備えたものである。
この方式の燃料供給方法は、カートリッジ4内の燃料吸蔵体4aの端面に、中継芯5を挿入し、中継芯5及び燃料誘導部材6を介して燃料電池本体2内に備わる燃料電池セル1,1…の各燃料極に液体燃料を供給するものである。また、図9(a)〜(c)は、中継芯を介して燃料電池本体の燃料極に燃料を供給する他の形式の燃料供給方法を示す説明図であり、(a)は中継芯5a及び燃料誘導部材6aを介して燃料電池本体2内に備わる一の燃料電池セル1aの燃料極に液体燃料を供給するものであり、(b)は、燃料カートリッジ4bが燃料電池本体2の上部に取り付けられて、中継芯5bを介して燃料電池本体2内に備わる一の燃料電池セル1aの燃料極に液体燃料を供給するものであり、(c)は、燃料カートリッジ4cが燃料電池本体2の下部側面に取り付けられて、中継芯5cを介して燃料電池本体2内に備わる一の燃料電池セル1aの燃料極に液体燃料を供給するものである。
しかしながら、中継芯の流動抵抗を下げるためには、中継芯の気孔率を上げることにより行うことができるが、それと同時に中継芯の毛管力が低下するため、燃料を排出することができなる課題が生じる。
更に、中継芯を太くするものでは、物理的な限界がり、挿入される中綿よりも大きく設定することできないものである。
(1) 平板状の燃料極を有する燃料電池本体に取り付け自在となり、液体燃料を平板状の燃料極に供給して発電する燃料電池に用いられる燃料カートリッジであって、該燃料カートリッジは、液体燃料を吸蔵する毛管力を付与した繊維束体の側面部をシート状多孔体で被覆した液体燃料吸蔵体からなり、かつ、該液体燃料吸蔵体はその側面部から前記シート状多孔体を介して液体燃料を排出できる構成となることを特徴とする燃料カートリッジ。
(2) 燃料カートリッジは、液体燃料吸蔵体の側面部を露出できる容器本体と、該容器本体を密閉する取り付け自在となる蓋部とを備えた貯蔵容器に収容される上記(1)記載の燃料カートリッジ。
(3) 貯蔵容器は、酸素バリア性の樹脂層を少なくとも1層以上有する上記(2)記載の燃料カートリッジ。
(4) 酸素バリア性の樹脂層は、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂、ポリアクリロニトリル、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニルの単独若しくは2種以上の樹脂からなる上記(3)記載の燃料カートリッジ。
(5) 液体燃料がメタノール液、ジメチルエーテル(DME)、ギ酸、ヒドラジン、アンモニア液、エチレングリコール、水素化ホウ素ナトリウム水溶液から選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(4)の何れか一つに記載の燃料カートリッジ。
(6) 平板状の燃料極を有する燃料電池本体と、該燃料電池本体に取り付け自在となる燃料カートリッジとを有する燃料電池であって、上記燃料カートリッジは、液体燃料を吸蔵する毛管力を付与した繊維束体の側面部をシート状多孔体で被覆した液体燃料吸蔵体からなり、かつ、該液体燃料吸蔵体はその側面部から前記シート状多孔体を介して液体燃料を排出できる構成とし、該液体燃料吸蔵体の側面部を平板状の燃料極に接触させて液体燃料を平板状の燃料極に供給して発電せしめることを特徴とする燃料電池。
(7) 平板状の燃料極の毛管力をP1、液体燃料吸蔵体の毛管力P2とした場合、その毛管力はP1>P2に設定されている上記(6)記載の燃料電池。
(8) 液体燃料は、液体燃料吸蔵体の側面部から液体燃料誘導部材を介して平板状の燃料極に供給せしめる上記(6)記載の燃料電池。
(9) 液体燃料誘導部材の毛管力をP3とした場合、平板状の燃料極の毛管力P1、液体燃料吸蔵体の毛管力P2との関係は、次式、P1>P2>P3を充足する上記(8)記載の燃料電池。
図1〜図4は、本発明の実施形態の一例を示す燃料カートリッジA及び燃料電池30を示すものである。
本実施形態の燃料カートリッジAは、図1〜図3に示すように、平板状の燃料極を有する燃料電池本体31の収納部32に取り付け自在となり、液体燃料を平板状の燃料極に供給して発電する燃料電池30に用いられるものであり、液体燃料を吸蔵する毛管力を付与した繊維束体10をシート状多孔体11で被覆した液体燃料吸蔵体12からなり、かつ、該液体燃料吸蔵体12はその側面部から液体燃料を排出できる構成となっている。
この燃料カートリッジAは、保管時には、図3に示すように、貯蔵容器20に収容されるものである。貯蔵容器20は、液体燃料吸蔵体12の側面部を露出できる容器本体21
と、該容器本体21を密閉する取り付け自在となる蓋部22とを備えたものであり、使用時には、蓋部22を取り外して燃料電池本体31の収納部32に取り付けて使用に供される。
これらの繊維を用いた繊維束体10は、気孔率が70〜95%、より好ましくは、80〜90%とすることが望ましく、また、厚さは5〜30mmに設定することが好ましい。この気孔率が70%未満であると、充填できる燃料の量が少なくなってしまため好ましくなく、一方、95%を越えると、燃料の保持力が十分でなはなく、また、形状・寸法の維持も困難となり、好ましくない。
用いることができるシート状多孔体11としては、例えば、フェルト、スポンジ、または、樹脂粒子焼結体、樹脂繊維焼結体などの焼結体等から構成される毛管力を有する多孔体や、天然繊維、獣毛繊維、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂などの1種又は2種以上の組合せからなる繊維を織ったものや、前記繊維の不織布から構成されるものが挙げられる。
これらのシート状多孔体11の気孔率としては、60%以上、好ましくは、70%〜90%、厚さは0.1〜1mm、更に好ましくは0.2〜0.5mmに設定されるものである。
この場合の排出孔の大きさや個数としては、燃料極の構造等の点から変動するものであるが、適正な液体燃料の排出速度を得るために、好ましくは、直径100〜1000μm、この大きさの排出孔がシート状多孔体11の面積中に30〜70%とすることが望ましい。)
液体燃料吸蔵体12における液体燃料の吸蔵量は、繊維束の種類、燃料電池の構造、燃料極の構造、発電時間等により変動するが、好ましくは、0.5〜20mlとすることが望ましい。
また、液体燃料吸蔵体12の形状は、特に限定されるものではなく、図1〜図2に示すように、断面円形状の繊維束体10の周囲をシート状多孔体11でロール状に被覆したものや、図4(a)に示すように、断面四角形状の繊維束体10の周囲をシート状多孔体11で四角状に被覆したものや、図4(b)に示すように、断面円形状の繊維束体10の周囲をシート状多孔体11で四角状に被覆したものや、図4(c)に示すように、断面円形状の繊維束体10の周囲をポリエチレンテレフタレート製の排出孔11a,11a……を形成した樹脂フィルムで保持したものや、図4(d)に示すように、断面四角形状の繊維束体10の周囲をオレフィン系樹脂からなる溶融樹脂で被覆し、この被覆樹脂に排出孔11b,11b……を形成したものなどが挙げられる。
また、液体燃料の漏洩及び蒸発防止については、ガス不透過性の材質から構成されることが好ましく、更に好ましくは、酸素ガス透過度(酸素ガス不透過性)が100cc・25μm/m2・24hr・atm(25℃、65%RH)以下であれば実使用上問題はない。
特に好ましくは、上記特性の酸素ガス不透過度を有するエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂、ポリアクリルニトリル、ポリ塩化ビニリデンが望ましい。
また、これらの成形により設けられる少なくとも1層のガス不透過層の代わりに、前記した樹脂群から選ばれる樹脂の溶液などを塗布してガス不透過層を設けることもできる。この塗布方法では、上記押出し成形、射出成形などの成形による製造よりも特殊な製造設備を必要とせず、逐次製造することが可能である。
また、前記した樹脂による成形又は塗布によるガス不透過層の代わりに、ガス不透過性のフィルムなどのガス不透過薄膜部材によって被覆することができる。被覆するガス不透過薄膜部材としては、好ましくは、アルミ箔などの金属箔、アルミナ、シリカなどの金属酸化物蒸着物、ダイアモンドライクカーボンコーティング物から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、これらの不透過薄膜部材で貯蔵容器20の外表面部を被覆することにより、上述のとおりのガス不透過性を発揮させることができる。なお、この不透過薄膜部材の厚みは、上記と同様に10〜2000μmとすることが望ましい。また、上記ガス不透過薄膜部材が視認性を有しない部材、例えば、アルミ金箔などの場合は、ガス不透過性を損なわない程度に一部施さず、格子状、ストライプ状等に被覆して、覗き窓部を設けこの覗き窓部に光線透過性を有するガス不透過性フィルムを被覆してガス不透過性と視認性を確保することもできる。
また、これらの液体燃料の濃度は、燃料電池の構造、特性等により種々の濃度の液体燃料を用いることができ、例えば、1〜100%濃度の液体燃料を用いることができる。
すなわち、本実施形態の燃料電池30は、図1及び図2に示すように、メッシュ構造の空気取り入れ口部31aを有する燃料電池本体を構成するユニット本体31bを備え、該ユニット本体31b内のセル収納部31cに、燃料極、電解質膜、空気極が順次積層した単位セル33,33…を連結してパッシブ方式の燃料電池を構成したものである。
なお、上記燃料極33a、電解質膜33b、空気極33cより構成される一つの平板状の燃料電池セル33は、理論上約0.5Vの起電力を生じる。また、各電池セルは、並列接続で接続されている。
また、この燃料極33aの外表面部には、白金−ルテニウム(Pt−Ru)触媒、イリジウム−ルテニウム(Ir−Ru)触媒、白金−スズ(Pt−Sn)触媒などが当該金属イオンや金属錯体などの金属微粒子前駆体を含んだ溶液を含浸や浸漬処理後還元処理する方法や金属微粒子の電析法などにより形成されている。
また、空気電極33cとしては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等を上述の金属微粒子前駆体を含んだ溶液等を用いた方法で担持させた多孔質構造からなる炭素多孔体が挙げられる。
用いる液体燃料誘導部材34としては、例えば、フェルト、スポンジ、または、樹脂粒子焼結体、樹脂繊維焼結体などの焼結体等から構成される毛管力を有する多孔体や、天然繊維、獣毛繊維、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂などの1種又は2種以上の組合せからなる繊維を織ったものや、前記繊維の不織布から構成されるシート状ものなどが挙げられる。
これらの液体燃料誘導部材39の気孔率としては、30〜70%、厚さとしては、0.2〜2mmに設定されるものである。
また、この構成の燃料電池では、ポンプやブロワ等の補器を特に用いることなく、液体燃料を気化せずそのまま円滑に供給することができる構造となるため、燃料電池の小型化を図ることが可能となる。
従って、この形態の燃料電池では、燃料電池全体のカートリッジ化が可能となり、携帯電話やノート型パソコンなどの携帯用電子機器の電源として用いられることができる小型の燃料電池に好適なものとなる。
例えば、上記燃料極33a、電解質膜33b、空気極33cより構成される平板状の燃料電池セル33は、5ユニットとしたが、更に1ユニット〜4ユニット、または、6ユニット以上としても良く、また、これらの燃料電池セル33,33同士を直列接続、並列接続してもよいものである。
また、上記実施形態では、直接メタノール型の燃料電池として説明したが、改質型を含む高分子改質膜型の燃料電池にも好適に適用することができるものである。
図5(a)及び(b)に示す実施形態の燃料電池40は、液体燃料誘導部材34を介することなく、液体燃料吸蔵体12の側面部12aから直接平板状の燃料極33aに供給せしめる構造とした点、燃料極33a、電解質膜33b、空気極33cより構成される平板状の燃料電池セル33を1ユニットとした点で、図1〜図3に示す上記実施形態の燃料電池と異なるものであり、上記実施形態と同様に使用に供される。
この実施形態では、燃料カートリッジAから平板状燃料極へ効率良く十分な液体燃料を供給するため、平板状燃料極33aの毛管力(P1)は、燃料カートリッジAの燃料吸蔵体12の毛管力(P2)よりも高く、すなわち、P1>P2に設定されている。
図5(a)に準拠する燃料カートリッジA及び燃料電池30を使用した。
使用した液体燃料F、液体燃料吸蔵体(繊維束体、シート状多孔体)、貯蔵容器、燃料極、電解質膜、空気極は、下記の構成のものを用いた。
液体燃料:
10wt%濃度メタノール液、充填量0.7ml
液体燃料吸蔵体(繊維束体、シート状多孔体):
繊維束:ポリエチレンテレフタレート製繊維束
シート状多孔体:ポリエチレンテレフタレート製シート状繊維束
液体燃料吸蔵体:大きさφ6×30mm、毛管力60mm、気孔率90%
貯蔵容器: 酸素ガス透過度(酸素ガス不透過性)が100cc・25μm/m2・24hr・atm(25℃、65%RH)以下であり、かつ、光線透過率が80%以上となるポリエチレンテレフタレート樹脂から構成、大きさ40×50×15mm
燃料極:炭素複合成形体 Pt−Ru、大きさ30×20×1mm、毛管力150mm
電解質膜:ナフィオン(デュポン社製)、大きさ30×20×0.1mm
空気極:炭素多孔体 Pt、大きさ30×20×1mm
10 繊維束
11 シート状多孔体
12 液体燃料吸蔵体
20 貯蔵容器
30 燃料電池
33a 平板状の燃料極
Claims (9)
- 平板状の燃料極を有する燃料電池本体に取り付け自在となり、液体燃料を平板状の燃料極に供給して発電する燃料電池に用いられる燃料カートリッジであって、該燃料カートリッジは、液体燃料を吸蔵する毛管力を付与した繊維束体の側面部をシート状多孔体で被覆した液体燃料吸蔵体からなり、かつ、該液体燃料吸蔵体はその側面部から前記シート状多孔体を介して液体燃料を排出できる構成となることを特徴とする燃料カートリッジ。
- 燃料カートリッジは、液体燃料吸蔵体の側面部を露出できる容器本体と、該容器本体を密閉する取り付け自在となる蓋部とを備えた貯蔵容器に収容される請求項1記載の燃料カートリッジ。
- 貯蔵容器は、酸素バリア性の樹脂層を少なくとも1層以上有する請求項2記載の燃料カートリッジ。
- 酸素バリア性の樹脂層は、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂、ポリアクリロニトリル、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニルの単独若しくは2種以上の樹脂からなる請求項3記載の燃料カートリッジ。
- 液体燃料がメタノール液、ジメチルエーテル(DME)、ギ酸、ヒドラジン、アンモニア液、エチレングリコール、水素化ホウ素ナトリウム水溶液から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4の何れか一つに記載の燃料カートリッジ。
- 平板状の燃料極を有する燃料電池本体と、該燃料電池本体に取り付け自在となる燃料カートリッジとを有する燃料電池であって、上記燃料カートリッジは、液体燃料を吸蔵する毛管力を付与した繊維束体の側面部をシート状多孔体で被覆した液体燃料吸蔵体からなり、かつ、該液体燃料吸蔵体はその側面部から前記シート状多孔体を介して液体燃料を排出できる構成とし、該液体燃料吸蔵体の側面部を平板状の燃料極に接触させて液体燃料を平板状の燃料極に供給して発電せしめることを特徴とする燃料電池。
- 平板状の燃料極の毛管力をP1、液体燃料吸蔵体の毛管力P2とした場合、その毛管力はP1>P2に設定されている請求項6記載の燃料電池。
- 液体燃料は、液体燃料吸蔵体の側面部から液体燃料誘導部材を介して平板状の燃料極に供給せしめる請求項6記載の燃料電池。
- 液体燃料誘導部材の毛管力をP3とした場合、平板状の燃料極の毛管力P1、液体燃料吸蔵体の毛管力P2との関係は、次式、P1>P2>P3を充足する請求項8記載の燃料電池。
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