JP5141167B2 - 電解液及び電気化学デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、直接型メタノール燃料電池(DMFC)などの電気化学デバイスに好適な、クロスオーバー阻止性能の高い電解液、及びその電解液を用いた電気化学デバイスに関するものである。
電池の特性を示す指標として、エネルギー密度と出力密度とがある。エネルギー密度とは電池の単位質量あたりのエネルギー蓄積量であり、出力密度とは電池の単位質量あたりの出力量である。リチウムイオン二次電池は、比較的高いエネルギー密度と非常に高い出力密度という2つの特徴を合わせもっており、完成度も高いことから、モバイル機器の電源として多く採用されている。しかし、近年、モバイル機器は高性能化にともなって消費電力が増加する傾向にあり、リチウムイオン二次電池にも更なるエネルギー密度と出力密度の向上が求められている。
その解決策として、正極および負極を構成する電極材料の変更、電極材料の塗布方法の改善、電極材料の封入方法の改善などが挙げられ、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度を向上させる研究が行われている。しかし、実用化に向けてのハードルはまだ高い。また、現在のリチウムイオン二次電池に使用されている構成材料が変わらない限り、大幅なエネルギー密度の向上を期待することはできない。
このため、リチウムイオン二次電池に代わる、よりエネルギー密度の高い電池の開発が急務とされており、燃料電池はその候補の一つとして有力視されている。
燃料電池は、燃料電極(アノード)と酸素電極(カソード)との間に電解質が配置された構成を有し、燃料電極側に燃料が供給され、酸素電極側に空気または酸素が供給される。この結果、燃料電極(アノード)およびカソード(酸素電極)において、燃料が酸素によって酸化される酸化還元反応が起こり、燃料がもつ化学エネルギーの一部が電気エネルギーに変換されて取り出される。
既に、様々な種類の燃料電池が提案または試作され、一部は実用化されている。これらの燃料電池は、用いられる電解質によって、アルカリ電解質型燃料電池(AFC)、リン酸型燃料電池(PAFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)、固体酸化物型燃料電池(SOFC)、および固体高分子型燃料電池(PEFC)などに分類される。このうち、固体高分子型燃料電池(PEFC)には、他の型式の燃料電池に比べて低い温度、例えば30℃〜130℃程度の温度で動作させることができる利点がある。
燃料電池の燃料としては、水素やメタノールなど、種々の可燃性物質を用いることができる。しかし、水素などの気体燃料は、貯蔵用のボンベなどが必要になるため、小型化には適していない。一方、メタノールなどの液体燃料は、貯蔵しやすいという利点がある。とりわけ、メタノールを直接燃料電極に供給して反応させる直接型メタノール燃料電池(DMFC)には、燃料から水素を取り出すための改質器を必要とせず、構成が簡素になり、小型化が容易であるという利点がある。従来、DMFCは、多くがPEFCと組み合わされて、PEFCの1種として研究されてきた。
DMFCでは、燃料のメタノールは、通常、低濃度または高濃度の水溶液として、もしくは純メタノールが気体の状態で燃料電極に供給され、燃料電極の触媒層で二酸化炭素に酸化される。このとき生じたプロトンは、燃料電極と酸素電極とを隔てる電解質膜を通って酸素電極側へ移動し、酸素電極で酸素と反応して水を生成する。燃料電極、酸素電極およびDMFC全体で起こる反応は、それぞれ、下記の反応式で表される。
燃料電極:CH3OH + H2O → CO2 + 6e-+ 6H+
酸素電極:(3/2)O2 + 6e-+ 6H+ → 3H2
DMFC全体:CH3OH + (3/2)O2 → CO2 + 2H2
DMFCの燃料であるメタノールのエネルギー密度は、理論的に4.8kW/Lであり、一般的なリチウムイオン二次電池のエネルギー密度の10倍以上である。すなわち、燃料としてメタノールを用いる燃料電池は、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度を凌ぐ可能性を大いにもっている。以上の点から、DMFCは、種々の燃料電池の中で最も、モバイル機器や電気自動車などのエネルギー源として使用される可能性が高い。
しかしながら、DMFCには、理論電圧は1.23Vであるにもかかわらず、実際に発電している時の出力電圧は約0.6V以下に低下してしまうという問題がある。出力電圧が低下する原因の一つは、DMFCの内部抵抗によって生じる電圧降下である。DMFC内部には、両電極で生じる反応にともなう抵抗、物質の移動にともなう抵抗、プロトンが電解質膜を移動する際に生じる抵抗、更に接触抵抗などの内部抵抗が存在している。メタノールの酸化から電気エネルギーとして実際に取り出すことができるエネルギーは、発電時の出力電圧と、回路を流れる電気量との積で表されるから、発電時の出力電圧が低下すると、実際に取り出すことができるエネルギーはその分だけ小さくなる。なお、メタノールの酸化によって回路に取り出せる電気量は、メタノールの全量が前述の反応式に従って燃料電極で酸化されるなら、DMFC内のメタノール量に比例する。
また、DMFCには、メタノールクロスオーバーの問題がある。クロスオーバーとは、一方の電極(例えば燃料電極)における反応物質が、電解質膜または電解液を通り抜けて他方の電極(例えば酸素電極)に到達してしまう現象である。メタノールクロスオーバーは、燃料電極側と酸素電極側でのメタノールの濃度差によってメタノールが拡散移動する現象と、プロトンの移動にともなって引き起こされる水の移動によって、水和したメタノールが運搬される電気浸透現象との2つの機構によって起こる。
メタノールクロスオーバーが生じると、透過したメタノールは酸素電極の触媒層で酸化される。酸素電極側でのメタノール酸化反応は、前述した燃料電極側での酸化反応と同じであるが、DMFCの出力電圧を低下させる原因になる(例えば、「解説 燃料電池システム」,オーム社,p.66参照。)。また、メタノールが燃料電極側で発電に使われず、酸素電極側で浪費されるので、回路に取り出せる電気量がその分だけ減少する。また、酸素電極側の触媒は、白金−ルテニウム(Pt−Ru)合金触媒ではなく、白金(Pt)触媒であることから、触媒表面に一酸化炭素(CO)が吸着されやすく、触媒の被毒が生じるなどの不都合がある。
以上のように、DMFCには、内部抵抗とメタノールクロスオーバーとによって生じる電圧低下、およびメタノールクロスオーバーによる燃料の浪費という2つの問題があり、これらはDMFCの発電効率を低下させる原因になっている。そこで、DMFCの発電効率を高めるために、DMFCを構成する材料の特性を向上させる研究・開発や、DMFCの運転条件を最適化する研究・開発が精力的に行われている。
DMFCを構成する材料の特性を向上させる研究では、電解質膜および燃料電極側の触媒などに関するものが挙げられる。現在、電解質膜としてポリパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂膜(例えば、デュポン社製Nafion(登録商標))が一般的に用いられているが、これよりも高いプロトン伝導率と高いメタノールロスオーバー阻止性能とを有するものとして、フッ素系高分子膜、炭化水素系高分子電解質膜またはハイドロゲルベース電解質膜などが検討されている。燃料電極側の触媒に関しては、現在一般的に用いられている白金−ルテニウム(Pt−Ru)合金触媒よりも高活性な触媒の研究開発が行われている。
このような燃料電池の構成材料の特性向上は、燃料電池の発電効率を向上させる手段として的確である。しかしながら、上述したDMFCの2つの問題点を解決できる最適な電解質膜や最適な触媒は見出されていないのが現状である。
そこで、非特許文献1および特許文献1では、電解質膜を用いないラミナーフロー(laminar flow;層流)燃料電池が提案されている。ラミナーフロー燃料電池では、酸素電極におけるフラッディング、水分管理、燃料のクロスオーバー等の問題が解決されるとされている。
ラミナーフロー燃料電池では、マイクロ流路の壁面に燃料電極および酸素電極が配置され、電解液がマイクロ流路内を流れるように構成されている。電解液としては、燃料電極に接する側には燃料および電解液からなる液体が用いられ、酸素電極に接する側には酸素を含む電解液からなる液体が用いられる。なお、酸素電極が多孔質であり、酸素電極の、マイクロ流路とは反対側の面から酸素電極を通じて酸素が供給される場合には、酸素電極に接して流れる電解液が酸素を含む必要はない。
上記の2種類の液体は層流を形成して流れ、2種類の液体の境界に界面が形成され、この結果、2種類の液体がマクロなスケールでの流体の運動によって急速に混ざり合うことがないように構成されている。ラミナーフロー燃料電池では、このような2種類(以上)の液体が層流を形成し、互いに混ざり合うことなく循環して流れることにより、連続発電が可能になる。2種類の液体の境界に界面が形成されるといっても、分子やイオンはミクロの拡散運動によって界面を自由に通過できるので、2種類の液体の電気化学的な接続は保たれている。
以上のように、ラミナーフロー燃料電池では電解質膜を用いないので、固体高分子型燃料電池(PEFC)が電解質膜を用いることによって抱えている問題点、例えば、経年変化による電解質膜の劣化や、温度上昇による電解質膜の乾燥(水分不足)によってプロトン伝導性が低下し、発電効率が低下するなどの問題点は存在しない。
なお、電解液の流れが層流になる条件として、レノルズ数が小さいこと挙げられる。レノルズ数は、慣性力と粘性力との比であり、下記の式(1)で定義される。一般的には、レノルズ数が2000未満であれば、流れは層流になるとされている。
式(1):
レノルズ数 =(慣性力/粘性力)= ρUL/μ = UL/ν
但し、式中、ρは流体の密度、Uは代表速度、Lは代表長さ、μは粘性係数、νは動粘度である。
米国特許出願公開第2004/0072047号明細書(第4及び5頁、図7) Journal of the American Chemical Society,2005年,第127巻,第48号,p.16758-16759(図1)
非特許文献1および特許文献1に示されているラミナーフロー燃料電池では、電解質膜を用いないため、電解質膜に起因する問題は生じない。また、酸素電極におけるフラッディングなどが解決されるとされている。
しかしながら、直接型メタノール燃料電池(DMFC)として構成されたラミナーフロー燃料電池では、2種類の液体の境界に界面が形成されるといっても、両者を仕切る壁があるということではないので、燃料電極側と酸素電極側とのメタノールの濃度差に起因して、メタノールの一部が燃料電極から酸素電極へ界面を通過して拡散移動し、メタノールクロスオーバーが生じる。メタノールクロスオーバーは燃料濃度の如何を問わず起こるが、特に燃料として高濃度のメタノール水溶液を用いると、大きな濃度差によってメタノールクロスオーバーの影響が著しく現れる。これは、セパレータによって2種類の液体の間を部分的に仕切った場合でも同様である。例えば、非特許文献1には、2種類の液体の流れが層流であり、電極間にセパレータを入れているにも関わらず、8モル濃度程度のメタノール濃度で確実にクロスオーバーの影響が現れ、発電特性が低下する例が報告されている。
また、後述する実施の形態3において図5を用いて説明するように、燃料および電解液からなる液体の流れと、電解液のみからなる液体の流れとを完全に分離することによって、非特許文献1に提案されているDMFCに比べ、メタノールクロスオーバー量を大幅に減少させることができる。しかし、燃料電極と酸素電極との間にメタノールが溶解できる電解液が配置されている限り、燃料供給速度や燃料濃度を制御したとしても、メタノールクロスオーバーを完全になくすことは不可能である。また、電解液を循環させて発電を行う燃料電池にとっては、単位時間当たりに発生するメタノールクロスオーバー量が微量であっても、クロスオーバーしたメタノールは蓄積され発電時間とともに増加するので、メタノールクロスオーバーが問題になるのは言うまでもない。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、直接型メタノール燃料電池(DMFC)などの電気化学デバイスに好適な、クロスオーバー阻止性能の高い電解液、及びその電解液を用いた電気化学デバイスを提供することにある。
即ち、本発明は、第1の電極と第2の電極とが互いに対向して配置され、前記第1の電極側に供給される第1の反応物質と、前記第2の電極側に供給される第2の反応物質とが、前記第1の電極及び前記第2の電極を介して酸化還元反応するように構成されている電気化学デバイスの、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置される電解液において、
触媒微粒子が分散した状態で含有され、
前記第1の電極上で反応せず、前記電解液中を拡散して前記第2の電極へ移動しよう とする第1の反応物質と、前記第2の電極上で反応せず、前記電解液中を拡散して前記 第1の電極へ移動しようとする第2の反応物質とが、酸化還元反応によって互いに相殺 し合う変化が、前記触媒微粒子によって促進される
ように構成されていることを特徴とする、電解液に係るものである。
また、互いに対向した第1の電極と第2の電極との間に、前記電解液が配置されている、電気化学デバイスに係るものである。
本発明の電解液は、第1の電極と第2の電極とが互いに対向して配置され、前記第1の電極側に供給される第1の反応物質と、前記第2の電極側に供給される第2の反応物質とが、前記第1の電極及び前記第2の電極を介して酸化還元反応するように構成されている電気化学デバイスに用いられる電解液である。この電気化学デバイスでは、前記第1の反応物質及び前記第2の反応物質は、それぞれ、全量が前記第1の電極上及び前記第2の電極上で反応する場合に、最良の性能が発揮される。逆に、前記第1の電極上で反応せず、前記電解液中を拡散して前記第2の電極に達する第1の反応物質のクロスオーバー量、及び/又は、前記第2の電極上で反応せず、前記電解液中を拡散して前記第1の電極に達する第2の反応物質のクロスオーバー量が多いほど、前記電気化学デバイスの性能は低下する。
本発明の電解液は、
触媒微粒子が分散した状態で含有され、
前記第1の電極上で反応せず、前記電解液中を拡散して前記第2の電極へ移動しよう とする第1の反応物質と、前記第2の電極上で反応せず、前記電解液中を拡散して前記 第1の電極へ移動しようとする第2の反応物質とが、酸化還元反応によって互いに相殺 し合う反応が、前記触媒微粒子によって促進される
ように構成されているので、前記第2の電極に達する第1の反応物質、及び/又は、前記第1の電極に達する第2の反応物質を減少させることができ、クロスオーバーによる前記電気化学デバイスの性能の低下を抑えることができる。
本発明の電気化学デバイスは、互いに対向した第1の電極と第2の電極との間に、前記した本発明の電解液が配置されているので、上記と同様の効果を得ることができる。
本発明の電解液において、前記触媒微粒子の粒径が100nm以下であるのがよい。粒径が100nmより大きいと、触媒としての効率が低下する。
また前記触媒微粒子は、前記第1の反応物質と前記第2の反応物質との酸化還元反応を促進する触媒であればよく、特に限定されるものではないが、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、及び金(Au)のうちの少なくとも1種を含む、例えば単体や合金であるのがよい。白金、ルテニウム、及びパラジウムは、優れた酸化還元触媒性能を有する金属であり、金は微粒子の特性がよく研究されている金属である。
また、前記第1の反応物質が水素又はアルコール類であり、前記第2の反応物質が酸素であるのがよい。これらは、燃料電池などを構成する反応物質である。
また、本発明の電解液は酸性電解液であるのがよい。この際、電解質が無機酸、有機酸、又は水素イオン解離性固体微粒子のうちの少なくとも1種であるのがよい。前記水素イオン解離性固体微粒子とは、水などの極性溶媒に分散した状態で電離し、溶媒中に水素イオンを生成させることのできる固体微粒子である。具体的には、前記無機酸が硫酸であり、前記有機酸がスルホン酸系有機化合物であり、前記水素イオン解離性固体微粒子がスルホン酸系陽イオン交換樹脂微粒子であるのがよい。
硫酸やスルホン酸系有機化合物は強酸であり、水素イオン濃度の大きな電解液を形成できるので、電解液の導電性を高め、電気特性の優れた前記電気化学デバイスを構成できる。スルホン酸系陽イオン交換樹脂微粒子も同様に強酸性のスルホン酸基を有するので、分散液でありながら電解液に高いイオン伝導度をもたせることができる。従来電解質として用いられている硫酸は、電解液が希硫酸であっても、漏出した場合には水分が蒸発して濃硫酸に変化し、周囲の部材を腐食させることがあるなど、安全性が十分であるとは言えない。それに対し、スルホン酸系陽イオン交換樹脂微粒子などの前記水素イオン解離性固体微粒子は、環境変化により分散媒が蒸発した場合であっても、前記水素イオン解離性固体微粒子が固体状に残るだけであり、周囲の部材を腐食させるおそれはなく、安全性を高めることができるので、燃料電池などの電気化学デバイスの電解質として好適である。
或いは、スルホン酸系有機化合物などの前記有機酸の少なくとも一部が、前記触媒微粒子の表面に吸着されているのがよい。このようであると、前記水素イオン解離性固体微粒子が分散している場合と同様、環境変化により分散媒が蒸発した場合であっても、前記有機酸が吸着された前記触媒微粒子が固体状に残るだけであり、周囲の部材を腐食させるおそれはなく、安全性を高めることができるので、燃料電池などの電気化学デバイスの電解質として好適である。
また、本発明の電解液は塩基性電解液であるのがよい。この際、電解質が無機塩基、有機塩基、又は水酸化物イオン解離性固体微粒子のうちの少なくとも1種であるのがよい。前記水酸化物イオン解離性固体微粒子とは、水などの極性溶媒に分散した状態で電離し、溶媒中に水酸化物イオンを生成させることのできる固体微粒子である。具体的には、電解質がアルカリ金属の水酸化物、第四級アンモニウム化合物、又は第四級アンモニウム化合物系陰イオン交換樹脂微粒子のうちの少なくとも1種であるのがよい。
アルカリ金属の水酸化物や第四級アンモニウム化合物は強塩基であり、水酸化物イオン濃度の大きな電解液を形成できるので、電解液の導電性を高め、電気特性の優れた前記電気化学デバイスを構成できる。第四級アンモニウム化合物系陰イオン交換樹脂微粒子も同様に強塩基性の第四級アンモニウム化合物であるので、分散液でありながら電解液に高いイオン伝導度をもたせることができる。第四級アンモニウム化合物系陰イオン交換樹脂微粒子などの前記水酸化物イオン解離性固体微粒子は、環境変化により分散媒が蒸発した場合であっても、前記水酸化物イオン解離性固体微粒子が固体状に残るだけであり、周囲の部材を腐食させるおそれはなく、安全性を高めることができるので、燃料電池などの電気化学デバイスの電解質として好適である。
或いは、第四級アンモニウム化合物などの前記有機塩基の少なくとも一部が、前記触媒微粒子の表面に吸着されているのがよい。このようであると、前記水酸化物イオン解離性固体微粒子が分散している場合と同様、環境変化により分散媒が蒸発した場合であっても、前記有機塩基が吸着された前記触媒微粒子が固体状に残るだけであり、周囲の部材を腐食させるおそれはなく、安全性を高めることができるので、燃料電池などの電気化学デバイスの電解質として好適である。
また、前記電気化学デバイスが燃料電池であるのがよく、とりわけ、メタノール又は水素を燃料とする燃料電池として構成されているのがよい。但し、これに限られるものではなく、例えば、可燃性物質を検知するセンサなどとして構成されていてもよい。
本発明の電気化学デバイスにおいて、前記第1の反応物質の供給路に面する、前記第1の電極の表面に、気液分離膜が設けられているのがよい。このようにすると、前記第1の反応物質を液体又は溶液の状態で前記供給路に供給し、且つ、前記第1の反応物質を前記気液分離膜中で気体状態に変化させ、前記第1の電極の表面には気体状態で供給することができる。
また、前記第1の電極と前記第2の電極との間を前記電解液が流れるように構成されているのがよい。この際、前記した前記電解液の流れが層流であるのがよい。このようにすると、前記第1の電極上で反応せず、前記電解液中を拡散して前記第2の電極へ移動しようとする第1の反応物質と、前記第2の電極上で反応せず、前記電解液中を拡散して前記第1の電極へ移動しようとする第2の反応物質とが、それぞれ、対向電極に到達する前に流し去ることができ、クロスオーバーによる前記電気化学デバイスの性能の低下を抑えることができる。
この際、前記第1の電極と前記第2の電極との間を流れ終わった電解液が再利用されるように構成されているのがよい。このように電解液が循環して再利用されることで、前記電気化学デバイスが低コストで長時間、連続動作することが可能になる。この際、前記再利用に先だって、前記の流れ終わった電解液から前記第1の反応物質及び/又は前記第2の反応物質を除去する手段が設けられているのがよい。前記の流れ終わった電解液には多かれ少なかれ前記第1の反応物質及び/又は前記第2の反応物質が含まれているので、これらの反応物質が蓄積され続けることがないように、これらの反応物質を分離除去する何らかの手段が設けられているのがよい。メタノールを分離する手段は、特に限定されるものではないが、分離膜によってメタノールを分離除去する手段、または、蒸発、吸着、溶媒抽出、もしくは酸化などの反応によってメタノールを除去する手段がよい。
また、燃料電池として構成されているのがよい。これに関しては上述した通りである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1
実施の形態1では請求項1〜8に記載した電解液の例、および、その電解液を用い、直接型メタノール燃料電池(DMFC)として構成された、請求項14および15に記載した電気化学デバイスの例について説明する。
<燃料電池1の構成>
図1は、本発明の実施の形態1に基づく燃料電池1の構造を示す断面図である。燃料電池1は、主として、対向配置された燃料電極(アノード)10と酸素電極(カソード)20、電解液30、電解液室40、および燃料流路60からなり、DMFCとして構成されている。
燃料電極10は、酸素電極20側から順に、触媒層11、拡散層12および集電体13が積層された構成を有し、外装部材14に収納されている。燃料電極10の外側、すなわち酸素電極20とは反対側には、前記第1の反応物質であるメタノールを含む燃料含有流体50を流通させる燃料流路60が設けられている。前記第1の反応物質としては、メタノールの代わりに、エタノールなどの他のアルコールや水素などを用いることもできる。
酸素電極20は、燃料電極10側から順に、触媒層21、拡散層22および集電体23が積層された構成を有し、外装部材24に収納されている。外装部材24には細孔24Cが形成されており、前記第2の反応物質である酸素が空気または酸素ガスとして細孔24Cを通じて酸素電極20に供給されるように構成されている。
触媒層11および21は、例えば、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、およびルテニウム(Ru)などの金属の単体または合金からなる触媒を含有する。また、触媒層11および21には、触媒に加えて、プロトン伝導体およびバインダーが含まれていてもよい。プロトン伝導体としては、ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂(例えば、デュポン社製Nafion(登録商標))などが挙げられるが、その他のプロトン伝導性樹脂であってもよい。バインダーは、触媒層11および21の強度や柔軟性を保つために添加されるものであり、その材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの樹脂が挙げられる。
拡散層12および22は、例えば、カーボンクロス、カーボンペーパー、またはカーボンシートにより構成されている。拡散層12および22は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などにより撥水化処理が行われていることが望ましい。
集電体13および23は、例えば、チタン(Ti)製の網により構成されている。
外装部材14および24は、例えば、厚さが2.0mmのチタン板など、容易に購入可能な材料により構成されているが、材料は特に限定されない。なお、外装部材14および24の厚さは、薄いほど望ましい。
電解液室40は、例えば、樹脂シートに加工が施され、電解液30を収容する空間が形成されたものであり、樹脂シートは燃料電極10に接着固定されている。また、燃料流路60は、例えば、同様の樹脂シートに加工が施され、微細な溝状の流路が形成されたものであり、樹脂シートは燃料電極10に接着固定されている。流路の本数は特に限定されるものではない。また、流路の幅、高さ、および長さは、特に限定されるものではないが、小さい方が望ましい。
燃料流路60は、外装部材14に設けられた燃料入口14Aおよび燃料出口14Bを介して(図示省略した)燃料供給部に接続されており、燃料供給部からメタノールを含む燃料含有流体50が連続的に供給されるようになっている。
本発明の実施の形態1に基づく電解液30には、触媒微粒子31が分散した状態で含有されている。電解液30は、酸性電解液であるのがよい。前記第1の反応物質が水素である場合には、電解液30は塩基性であってもよいが、前記第1の反応物質がメタノールなどの炭素含有物質である場合には、電極反応生成物である二酸化炭素と反応しないように、電解液30は酸性であることが必要である。
電解液30の溶媒は水などの極性溶媒であり、電解質は無機酸、有機酸、又は水素イオン解離性固体微粒子のうちの少なくとも1種である。具体的には、無機酸は硫酸などであり、有機酸はスルホン酸系有機化合物などであり、水素イオン解離性固体微粒子はスルホン酸系陽イオン交換樹脂微粒子などである。
硫酸やスルホン酸系有機化合物は強酸であり、水素イオン濃度の大きな電解液を形成できるので、電解液の導電性を高め、電気特性の優れた電気化学デバイスを構成できる。スルホン酸系陽イオン交換樹脂微粒子も同様に強酸性のスルホン酸基を有するので、分散液でありながら電解液に高いイオン伝導度をもたせることができる。
従来電解質として用いられている硫酸は、電解液が希硫酸であっても、漏出した場合には水分が蒸発して濃硫酸に変化し、周囲の部材を腐食させることがあるなど、安全性が十分であるとは言えない。それに対し、スルホン酸系陽イオン交換樹脂微粒子などの水素イオン解離性固体微粒子は、環境変化により分散媒が蒸発した場合であっても、水素イオン解離性固体微粒子が固体状に残るだけであり、周囲の部材を腐食させるおそれが小さく、安全性を高めることができるので、燃料電池などの電気化学デバイスの電解質として好適である。また、水素イオン解離性固体微粒子は、回収や再利用も容易である。
触媒微粒子31は、メタノールなどの燃料物質と酸素との酸化還元反応を促進する触媒であればよく、特に限定されるものではないが、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、および金(Au)のうちの少なくとも1種を含む単体や合金であるのがよい。白金、ルテニウム、およびパラジウムは、優れた酸化還元触媒性能を有する金属であり、金は微粒子の特性がよく研究されている金属である。例えば、白金系金属として、白金(Pt)、白金−ルテニウム(Pt−Ru)、白金−金(Pt−Au)、白金−コバルト(Pt−Co)、白金−ニッケル(Pt−Ni)、白金−モリブデン(Pt−Mo)、白金−イリジウム(Pt−Ir)、白金−パラジウム(Pt−Pd)、および白金−チタン(Pt−Ti)などが挙げられる。また、2元系のみならず、3元系や、4元系や、またはそれ以上であっても問題ない。
また、触媒微粒子31の粒径は、特に限定されるものではない。なぜなら、粒径が大きくなるにつれ活性が低下する系、増大する系、ある粒系で活性が極大になる系、あるいは、活性が粒径に依存しない系など、様々な系が存在するからである。しかし、一般的には、反応物質は触媒微粒子の表面上の反応サイトに吸着され、そこで反応が進行するので、触媒微粒子の表面積が大きいほど、燃料電池の触媒の活性が高くなる。また、単位質量当たりの表面積は、粒径が小さいほど大きくなる。従って、多くの場合、触媒の粒径が小さいほど、触媒の活性が高くなることが知られている。よって、触媒微粒子31の粒径はサブナノメートル以下であるのが好ましく、例えば、100nm以下であるのがよい。
<燃料電池1の動作>
燃料電池1では、例えば、メタノールを低濃度または高濃度で含む水溶液が燃料含有流体50として燃料流路60に連続的に供給される。この状態で燃料電極10と酸素電極20とが(図示省略した)外部回路を介して電気的に接続されると、発電が行われる。この際、メタノールは燃料電極10の触媒層11で二酸化炭素に酸化され、電子とプロトンとを生成する。このとき生じた電子は外部回路へ送り出され、プロトンは燃料電極10と酸素電極20とを隔てる電解液30中を拡散移動して酸素電極20側へ移動する。プロトンは、酸素電極20上で酸素、および外部回路から取り込んだ電子と反応し、水を生成する。燃料電極10、酸素電極20、および燃料電池1全体で起こる反応は、それぞれ、下記の反応式で表される。
燃料電極:CH3OH + H2O → CO2 + 6e-+ 6H+
酸素電極:(3/2)O2 + 6e-+ 6H+ → 3H2
DMFC全体:CH3OH + (3/2)O2 → CO2 + 2H2
以上のようにして、メタノールなどの燃料がもつ化学エネルギーの一部が電気エネルギーに変換され、燃料電池1から電流が生み出され、外部回路が駆動される。燃料電極10で発生する二酸化炭素は燃料含有流体50とともに流れて取り除かれ、酸素電極20で発生する水は空気または酸素ガスとともに流れて取り除かれる。
燃料流路60から燃料電極10中の細孔内に入り込んだメタノールなどの燃料は、燃料電極10を通過する間に大部分が上記の電極反応によって反応する。それでも燃料の一部が未反応のまま燃料電極10を通り抜け、電解液30中を拡散して酸素電極20へ移動しようとした場合、燃料電池1では電解液30中に触媒微粒子31が分散しているため、このメタノールと、酸素電極20から電解液30中を拡散して燃料電極10へ移動しようとする酸素との酸化還元反応を効率よく起こさせ、互いに相殺し合うようにすることができる。これにより、燃料電極10から電解液30中を拡散移動して酸素電極20に達するメタノールの量を減少させ、メタノールクロスオーバーによる燃料電池1の性能の低下を抑えることができる。この結果、高濃度のメタノール溶液を燃料含有流体50として利用することが可能となり、DMFC本来の特徴である高エネルギー密度特性が実現される。
燃料電池1には構成部材として電解質膜が含まれていないので、固体高分子型燃料電池(PEFC)が電解質膜を用いることによって抱えている問題点、例えば、経年変化による電解質膜の劣化や、温度上昇による電解質膜の乾燥(水分不足)によってプロトン伝導性が低下し、発電効率が低下するなどの問題点は存在しない。このため、温度や湿度にあまり影響されることなく、安定した発電が行われる。また、電解質膜ではプロトン伝導度の向上に限界があるが、電解液ではそれよりはるかに大きいプロトン伝導度を容易に実現できる。更に、酸素電極におけるフラッディングや水分管理などの問題も解消できる。
文献には、固体電解質膜中に白金触媒を含有させることで、メタノールクロスオーバーの阻止および自己加湿が可能になることが報告されている(Journal of Power Sources,2007年,第165巻,p.733-738、および、Journal of Power Sources,2007年,第165巻,p.786-792参照。)。しかし、これらの例では、固体電解質膜であることから、イオン伝導性(プロトン伝導性)を有する樹脂、および、白金ナノ粒子等を固定化するための担持体、また、場合によっては、膜の強度を保つためのバインダーを添加する必要がある。このため、自由度が少ない上に、バインダーフリーである電解液に比べるとイオン伝導性も低くなり、また、金属ナノ粒子等を含有して、高いイオン伝導度を保つことは、非常に困難であることから、含有量も制限される問題点がある。
<燃料電池1の作製>
燃料電池1は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、例えば、白金(Pt)とルテニウム(Ru)とを所定の比で含む合金微粒子触媒と、ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂(例えば、デュポン社製Nafion(登録商標))の分散液とを所定の比で混合し、この混合液をスプレー塗布やスピンコートなどの塗布法や、スクリーン印刷などの印刷法を用いて配置して、燃料電極10の触媒層11を形成する。この触媒層11をカーボンクロス、カーボンペーパー、またはカーボンシートなどによって構成されている拡散層12に熱圧着する。更に、ホットメルト系の接着剤または接着性のある樹脂シートを用いて、チタン(Ti)製の網などからなる集電体13を拡散層12に熱圧着し、燃料電極10を形成する。
一方、例えば、白金(Pt)をカーボンに担持させた触媒と、ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂(例えば、デュポン社製Nafion(登録商標))の分散溶液とを所定の比で混合し、この混合液を、上記と同様、塗布法や印刷法を用いて配置して、酸素電極20の触媒層21を形成する。この触媒層21をカーボンクロス、カーボンペーパー、またはカーボンシートなどによって構成されている拡散層12に熱圧着する。更に、ホットメルト系の接着剤または接着性のある樹脂シートを用いて、チタン(Ti)製の網などからなる集電体23を拡散層22に熱圧着し、酸素電極20を形成する。
次に、接着性のある樹脂シートを用意し、この樹脂シートに電解液室40となる空間を形成し、燃料電極10の片側に熱圧着する。また、同様の樹脂シートを用意し、この樹脂シートに流路を形成して燃料流路60を作製し、燃料電極10の反対側に熱圧着する。
次に、薄いチタン板などからなる外装部材14および24を作製し、外装部材14には、例えば樹脂製の継手よりなる燃料入口14Aおよび燃料出口14Bを設ける。
次に、燃料電極10と酸素電極20とを、燃料流路60が外側になり、電解液室40を挟持するように対向配置する。その後、これらの集合体を外装部材14および24内に収納する。これにより図1に示した燃料電池1が完成する。
変形例1
図2(a)は、実施の形態1の変形例1に基づく電解液中の触媒微粒子の状態を模式的に示す概略図である。変形例1は本発明の請求項8に対応しており、変形例1に基づく電解液30中の触媒微粒子31は、スルホン酸系有機化合物などの有機酸32Aの少なくとも一部を表面に吸着するように構成されている。
このようであると、水素イオン解離性固体微粒子と同様、環境変化により分散媒が蒸発した場合であっても、有機酸32Aが吸着された触媒微粒子31が固体状に残るだけである。この結果、変形例1による電解液は、周囲の部材を腐食させるおそれが小さく、安全性を高めることができるので、燃料電池などの電気化学デバイスの電解質として好適である。また、触媒微粒子31に吸着された有機酸32Aは、回収や再利用が容易である。
そして、スルホン酸系有機化合物など、強酸性の官能基を有する化合物を有機酸32Aとして用いると、電離度が大きいので、有機酸32Aの全部が触媒微粒子31の表面に吸着されるとしても、分散液でありながら水素イオン濃度の大きな電解液を形成することができ、電解液のプロトン伝導性を高め、内部抵抗の小さい燃料電池を形成することができる。
また、実施の形態1で述べたように、触媒微粒子31は、燃料電極10から電解液30中を拡散移動して酸素電極20に達するメタノールの量を減少させることができ、メタノールクロスオーバーによる燃料電池1の性能の低下を抑えることができる。この結果、高濃度のメタノール溶液を燃料含有流体50として利用することが可能となり、DMFC本来の特徴である高エネルギー密度特性が実現される。
様々な機能性分子を表面に吸着した触媒微粒子を作製することが可能であるから、材料等は限定されない。例えば、Langmuir,2004年,第20巻,第14号,p.6012-6018には、機能性分子を表面に吸着した、様々な白金ナノ粒子を作製する方法が記されている。このように、機能性分子を表面に吸着した、様々なナノ粒子の作製方法が提案されており、これらのナノ粒子を応用した種々のデバイスが作製可能であると考えられる。
変形例1で用いられる有機酸32Aは、特に限定されるものではないが、酸性基の他に、触媒微粒子31の表面に結合できる基を有していることが必要である。この触媒微粒子31の表面に結合できる基としては、例えば、イソシアノ基−NC、カルボキシル基−COOH、ホスホノ基−PO(OH)2、又はアミノ基−NH2などが挙げられる。
また、燃料が水素など、炭素を含有していない燃料である場合には、塩基性の電解液を用いることができる。この場合には、図2(b)に示すように、電解質として強塩基性の基−N(CH3)3 +OH-などを有する第四級アンモニウム化合物などの有機塩基32Bを用いることができる。有機塩基32Bは特に限定されるものではないが、塩基性基の他に、触媒微粒子31の表面に結合できる上述の基を有していることが必要である。
変形例1の電解液を作製するには、有機酸32Aが吸着した触媒微粒子31を水などの極性溶媒と混合する。この際、他の酸性電解質などをさらに添加してもよい。
変形例2
図3は、実施の形態1の変形例2に基づく燃料電池2の構造を示す断面図である。変形例2は請求項15に記載した電気化学デバイスに対応する。燃料電池2は、燃料電池1と同様、主として、対向配置された燃料電極(アノード)10と酸素電極(カソード)20、電解液30、電解液室40、および燃料流路60からなる。
燃料電池2が、燃料電池1と異なるのは、燃料流路60と燃料電極10との間に気液分離膜70が設けられていることである。燃料電池2では、燃料電池1と同様に、例えば、メタノールを低濃度または高濃度で含む水溶液が燃料含有流体50として燃料流路60に供給されるが、液体状の純メタノールを供給することも可能である。燃料電池2では燃料流路60と燃料電極10との間に気液分離膜70が設けられているので、液体または溶液の状態で供給されたメタノールは、燃料流路60を流れる間に蒸発し、気液分離膜70と接する面から気体の状態で気液分離膜70を通り抜け、燃料電極10に供給される。このため、メタノールが効率よく燃料電極10に供給され、反応が安定して行われる。また、燃料が気体の状態で燃料電極10に供給され、電極反応活性が高くなるので、高負荷の電子機器に対しても高い発電性能を発揮し、また、メタノールクロスオーバーも生じにくくなる。
その他は燃料電池1と同様であり、触媒微粒子31は、燃料電極10から電解液30中を拡散移動して酸素電極20に達するメタノールの量を減少させることができ、メタノールクロスオーバーによる燃料電池2の性能の低下を抑えることができる。また、燃料電池2は、燃料流路60と燃料電極10との間に気液分離膜70を設ける工程を有することを除いて、燃料電池1と同様にして製造することができる。
以上のように変形例2では、燃料流路60と燃料電極10との間に気液分離膜70を設けているので、燃料含有流体50としてほぼ純粋なメタノール(純度99.9%以上のメタノール)を用いることができ、DMFCの特徴である高エネルギー密度特性が更に有効に実現される。また、反応の安定性や電極反応活性を高め、メタノールクロスオーバーを抑えることができる。この結果、高負荷の電子機器に対しても高い発電性能を発揮することができる。更に、燃料供給部において、燃料含有流体50のメタノール濃度を調整する濃度調整部を省略することができ、燃料供給部を含めたシステムとしての燃料電池をより小型化することができる。
実施の形態2
実施の形態2では、直接型メタノール燃料電池(DMFC)として構成された、請求項14〜19に記載した電気化学デバイスの例について説明する。
<燃料電池110の構成>
図4は、本発明の実施の形態2に基づく燃料電池110の構造を示す断面図である。燃料電池110は、主として、対向配置された燃料電極(アノード)10と酸素電極(カソード)20、電解液30、電解液流路80、および燃料流路60からなり、直接型メタノールフロー型燃料電池(DMFFC;Direct Methanol Flow Based Fuel Cell)として構成されている。
燃料電池110が、燃料電池1と異なるのは、電解液室40の代わりに電解液流路80が設けられていることである。電解液流路80は、例えば、樹脂シートに加工が施され、微細な溝状の流路が形成されたものであり、樹脂シートは燃料電極10に接着固定されている。なお、流路の本数は限定されない。また、流路の幅,高さおよび長さは特に限定されないものの、小さい方が望ましい。電解液流路80は、外装部材24に設けられた電解液入口24Aおよび電解液出口24Bを介して(図4では図示省略した)電解液供給部140(図5参照。)に接続されている。燃料電池110は、電解液供給部140から電解液30が連続的に供給され、燃料電極10と酸素電極20との間を電解液30が層流を形成して流れるように構成されている。
また、燃料流路60は、外装部材14に設けられた燃料入口14Aおよび燃料出口14Bを介して(図4では図示省略した)燃料供給部150(図5参照。)に接続されており、燃料供給部150から燃料含有流体50が連続的に供給されるように構成されている。
図5は、実施の形態2に基づく燃料電池システム100の構成を示す概略説明図である。燃料電池システム100は、燃料電池110、燃料電池110の運転状態を測定する測定部120、測定部120による測定結果に基づいて燃料電池110の運転条件を決定する制御部130、電解液供給部140、および燃料供給部150を備えており、上述したように、電解液供給部140および燃料供給部150は、それぞれ、電解液流路80および燃料流路60に接続されている。
電解液供給部140は、電解液貯蔵部141と、電解液供給調整部142と、電解液供給ライン143と、分離室144とを備えている。電解液貯蔵部141は、電解液30を貯蔵する部材であり、例えば、タンクまたはカートリッジによって構成されている。電解液供給調整部142は、電解液30の供給流速を調整する部材である。電解液供給調整部142は、制御部130からの信号で駆動され得る部材であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、モーターや圧電素子で駆動されるバルブ、または電磁ポンプにより構成されていることが好ましい。
図5に示すように、燃料電極10と酸素電極20との間を流れ終わった電解液30が再利用されるように構成されているのがよい。このように電解液30が循環して再利用されることで、燃料電池110が低コストで長時間、連続動作することが可能になる。但し、電解液出口24Bから出てきた電解液30には少量のメタノールなどの燃料が混入している可能性がある。従って、メタノールなどの燃料が電解液30に蓄積され続けることがないように、電極間を流れ終わった電解液30から燃料を分離除去する何らかの手段が必要である。分離室144はこのためのものであり、電解液出口24B付近に設けられる。メタノールを分離除去する手段は、特に限定されるものではないが、分離膜(フィルター)によってメタノールを除去する手段、または、蒸発、吸着、溶媒抽出、もしくは酸化などの反応によってメタノールを除去する手段がよい。
燃料供給部150は、燃料貯蔵部151と、燃料供給調整部152と、燃料供給ライン153とを有している。燃料貯蔵部151は、燃料含有流体50を貯蔵する部材であり、例えばタンクまたはカートリッジにより構成されている。燃料供給調整部152は、燃料含有流体50の供給流速および供給量を調整する部材である。燃料供給調整部152は、制御部130からの信号で駆動されうる部材であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、モーターや圧電素子で駆動されるバルブ、または電磁ポンプにより構成されていることが好ましい。なお、燃料供給部150は、燃料含有流体50のメタノール濃度を調整する(図示省略した)濃度調整部を備えていてもよい。
<燃料電池110の動作>
燃料電池110では、例えば、メタノールを含む水溶液が燃料含有流体50として燃料流路60に連続的に供給され、また、触媒微粒子31を含有する電解液30が電解液流路80に連続的に供給される。この状態で燃料電極10と酸素電極20とが外部回路200を介して電気的に接続されると、発電が行われる。外部回路200は、例えば、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant;個人用携帯情報機器)などのモバイル機器、またはノート型PC(Personal Computer )であり、燃料電池システム100によって発電される電気エネルギーによって駆動される負荷である。
この際、燃料流路60から燃料電極10中の細孔内に入り込んだメタノールなどの燃料は、燃料電極10を通過する間に大部分が、実施の形態1で既述した電極反応によって反応する。それでも燃料の一部が未反応のまま燃料電極10を通り抜け、電解液30中を拡散して酸素電極20へ移動しようとした場合、燃料電池110では燃料電極10と酸素電極20との間に電解液30の流れが形成されているので、燃料電極10から電解液30中を拡散して酸素電極20へ移動しようとするメタノールを、酸素電極20に到達する前に電極間から流し去ることができ、メタノールクロスオーバーによる燃料電池110の性能の低下を著しく抑えることができる。
更に、燃料電池1と同様、燃料電池110では電解液30中に触媒微粒子31が分散しているため、上記のメタノールと、酸素電極20から電解液30中を拡散して燃料電極10へ移動しようとする酸素との酸化還元反応を効率よく起こさせ、互いに相殺し合うようにすることができる。これにより、燃料電極10から電解液30中を拡散移動して酸素電極20に達するメタノールの量を更に減少させることができ、メタノールクロスオーバーによる燃料電池1の性能の低下を更に抑えることができる。
以上の結果、高濃度のメタノール溶液や、ほぼ純粋なメタノール(純度99.9%以上のメタノール)を燃料含有流体50として利用することが可能となり、DMFC本来の特徴である高エネルギー密度特性が実現される。なお、燃料含有流体50としてほぼ純粋なメタノールを用いる場合には濃度調整部を省略することができ、燃料電池システム100をより小型化することができ、燃料電池システムとしても高エネルギー密度特性を向上させることができる。
燃料電池110には構成部材として電解質膜が含まれていないので、固体高分子型燃料電池(PEFC)が電解質膜を用いることによって抱えている問題点、例えば、経年変化による電解質膜の劣化や、温度上昇による電解質膜の乾燥(水分不足)によってプロトン伝導性が低下し、発電効率が低下するなどの問題点は存在しない。結果的に、温度や湿度にあまり影響されることなく、安定した発電が行われる。また、電解質膜ではプロトン伝導度の向上に限界があるが、電解液ではそれよりはるかに大きいプロトン伝導度を容易に実現できる。更に、酸素電極におけるフラッディングや水分管理などの問題も解消できる。
<燃料電池110の作製>
燃料電池110は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、燃料電池1と同様にして、燃料電極10および酸素電極20を形成する。次に、接着性のある樹脂シートを用意し、この樹脂シートに流路を形成して電解液流路80および燃料流路60を作製し、燃料電極10の両側に熱圧着する。
次に、燃料電池1と同様に、薄いチタン板などからなる外装部材14および24を作製し、外装部材14には、例えば樹脂製の継手よりなる燃料入口14Aおよび燃料出口14Bを設け、外装部材24には、例えば樹脂製の継手よりなる電解質入口24Aおよび電解質出口24Bを設ける。
次に、燃料電極10と酸素電極20とを、燃料流路60が外側になり、電解液流路80を挟持するように対向配置する。その後、これらの集合体を外装部材14および24内に収納する。これにより図4に示した燃料電池110が完成する。
この燃料電池110を、上述した構成を有する測定部120,制御部130,電解質供給部140および燃料供給部150を有する燃料電池システム100に組み込む。この際、燃料入口14Aと燃料出口14Bとを、例えばシリコーンチューブからなる燃料供給ライン153で燃料供給部150に接続し、電解質入口24Aと電解質出口24Bとを、例えばシリコーンチューブからなる電解液供給ライン143で電解液供給部140に接続する。
<燃料電池システム100の制御>
図5に示す燃料電池システム100では、燃料電池110の運転中に、測定部120により燃料電池110の動作電圧および動作電流が測定され、その測定結果に基づいて、制御部130により、燃料電池110の運転条件として電解液供給パラメータおよび燃料供給パラメータの制御が行われ、燃料電池110の運転が最適化される。
DMFCの内部特性は経時変化するため、細かい調節が可能な燃料供給システムならびに燃料供給手段なしでは、最適な発電特性で燃料電池110を運転することは非常に難しい。まず、高い発電特性でDMFCを運転するために必要な燃料供給制御システムの中心となる概念について説明する。
図6は、燃料電極におけるメタノール濃度がメタノールクロスオーバー量に及ぼす影響を示すグラフである。メタノール濃度とメタノール供給量とが比例する関係にある場合には、図6のグラフを、燃料電極におけるメタノール供給量がメタノールクロスオーバー量に及ぼす影響を示すグラフであるとみなすこともできる。図6に示されているように、燃料電極におけるメタノール濃度が高くなる(メタノール供給量が大きくなる)ほど、メタノールクロスオーバー量は増加する。従って、燃料電極におけるメタノール濃度が適切な濃度でなければ、クロスオーバーの増加による燃料の浪費、および出力電圧の低下によって発電特性が大いに低下してしまうことは確認されている(「携帯機器用燃料電池」,技術情報協会,p.110参照。)。
従って、高い発電特性でDMFCを運転するためには、燃料供給システムは、時々刻々変化するDMFCの内部特性に対応して、常に最適な燃料供給量を維持し、供給過剰によるメタノールクロスオーバーの発生を抑制できるシステムでなければならない。
図5に示した測定部120は、燃料電池110の動作状態を測定するものであり、例えば、燃料電池110の動作電圧を測定する電圧測定回路121と、動作電流を測定する電流測定回路122と、得られた測定結果を制御部130に送るための通信ライン123とを有している。
また、制御部130は、測定部120の測定結果に基づいて、燃料電池110の運転条件として電解液供給パラメータおよび燃料供給パラメータの制御を行うものであり、例えば、演算部131、記憶(メモリ)部132、通信部133および通信ライン134を有している。ここで、電解液供給パラメータは、例えば、電解液30の供給流速を含んでいる。燃料供給パラメータは、例えば、燃料含有流体50の供給流速および供給量を含み、必要に応じて供給濃度を含んでいてもよい。制御部130は、例えばマイクロコンピュータにより構成することができる。
演算部131は、測定部120で得られた測定結果から燃料電池110の出力を算出し、電解液供給パラメータおよび燃料供給パラメータを設定する機能を有している。具体的には、演算部131は、記憶部132に入力された各種測定結果から一定間隔でサンプリングした燃料電極電位、酸素電極電位、出力電圧および出力電流を平均して、平均燃料電極電位、平均酸素電極電位、平均出力電圧および平均出力電流を算出し、記憶部132に入力する。また、記憶部132に保存されている各種平均値を相互比較し、電解液供給パラメータおよび燃料供給パラメータを決定する。
記憶部132は、測定部120から送られてきた各種測定値や、演算部131により算出された各種平均値などを記憶する機能を有している。
通信部133は、通信ライン123を介して測定部120から測定結果を受け取り、記憶部132に入力する機能と、通信ライン134を介して電解質供給部140および燃料供給部150に電解液供給パラメータおよび燃料供給パラメータを設定する信号をそれぞれ出力する機能とを有している。
図5に示す燃料電池システム100では、燃料電池110の運転中に、測定部120により燃料電池110の動作電圧および動作電流が測定され、その測定結果に基づいて、制御部130により、燃料電池110の運転条件として上述した電解液供給パラメータおよび燃料供給パラメータの制御が行われる。測定部120による測定および制御部130によるパラメータ制御は頻繁に繰り返され、燃料電池110の特性変動に追従して電解液30および燃料含有流体50の供給状態が最適化される。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づき種々に変形することが可能である。
また、上記実施の形態では、燃料電極10、酸素電極20、燃料流路60、および電解液流路80の構成について具体的に説明したが、他の構造あるいは他の材料により構成するようにしてもよい。例えば、燃料流路60は、上記実施の形態で説明したような樹脂シートを加工して流路を形成したもののほか、多孔質などのシートにより構成してもよい。
また、上記実施の形態において説明した各構成要素の材料および厚みなどは限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよい。
また、上記実施の形態では、燃料電極10に燃料供給部150から燃料を供給するようにしたが、燃料電極10を密閉型とし、必要に応じて燃料を供給するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、酸素電極20への空気の供給を自然換気とするようにしたが、ポンプなどを利用して強制的に供給するようにしてもよい。その場合、空気に代えて酸素を含むガスを供給するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、単セル型の燃料電池について説明したが、本発明は、複数のセルを積層した積層型のものについても適用することができる。
また、上記実施の形態では、本発明のイオン伝導体を燃料電池に適用した場合について説明したが、本発明は、燃料電池以外にも、キャパシタ、可燃物質センサ、またはディスプレイなどの電気化学デバイスにも適用することができる。
本発明の実施の形態1基づく燃料電池の構造を示す断面図である。 同、変形例1に基づく電解液中の触媒微粒子の状態を模式的に示す概略図である。 同、変形例2に基づく燃料電池の構造を示す断面図である。 本発明の実施の形態2に基づく燃料電池の構造を示す断面図である。 同、燃料電池システム100の構成を示す概略説明図である。 燃料電極におけるメタノール濃度がメタノールクロスオーバー量に及ぼす影響を示すグラフである。
符号の説明
1、2…燃料電池、10…燃料電極(アノード)、11…触媒層、12…拡散層、
13…集電体、14…外装部材、14A…燃料入口、14B…燃料出口、
20…酸素電極(カソード)、21…触媒層、22…拡散層、23…集電体、
24…外装部材、24A…電解液入口、24B…電解液出口、24C…細孔、
30…電解液、31…触媒微粒子、
32A…変形例1で用いられる有機酸(例えば、スルホン酸系有機化合物)、
32B…変形例1で用いられる有機塩基(例えば、第四級アンモニウム化合物)、
40…電解液室、50…燃料含有流体、60…燃料流路、70…気液分離膜、
80…電解液流路、100…燃料電池システム、110…燃料電池、120…測定部、
121…電圧測定部、122…電流測定部、123…通信ライン、130…制御部、
131…演算部、132…記憶部、133…通信部、134…通信ライン、
140…電解液供給部、141…電解液貯蔵部、142…電解液供給調整部、
143…電解液供給ライン、144…分離室、150…燃料供給部、
151…燃料貯蔵部、152…燃料供給調整部、153…燃料供給ライン、
200…外部回路(負荷)

Claims (14)

  1. 第1の電極と第2の電極とが互いに対向して配置され、前記第1の電極側に供給される第1の反応物質と、前記第2の電極側に供給される第2の反応物質とが、前記第1の電極及び前記第2の電極を介して酸化還元反応するように構成されている電気化学デバイスの、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置され、
    触媒微粒子が分散した状態で含有され、
    前記第1の電極上で反応せず、電解液中を拡散して前記第2の電極へ移動しようとす る第1の反応物質と、前記第2の電極上で反応せず、電解液中を拡散して前記第1の電 極へ移動しようとする第2の反応物質とが、酸化還元反応によって互いに相殺し合う反 応が、前記触媒微粒子によって促進され、
    電解液の電解質を形成する有機酸又は有機塩基の少なくとも一部が前記触媒微粒子の 表面に吸着されている、
    電解液。
  2. 前記触媒微粒子の粒径が100nm以下である、請求項1に記載した電解液。
  3. 前記触媒微粒子が、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、及び金(Au)のうちの少なくとも1種を含む、請求項1に記載した電解液。
  4. 前記第1の反応物質がアルコール類又は水素であり、前記第2の反応物質が酸素である、請求項1に記載した電解液。
  5. 前記有機酸がスルホン酸系有機化合物からなる、請求項に記載した電解液。
  6. 前記有機塩基が第四級アンモニウム化合物からなる、請求項に記載した電解液。
  7. 前記電気化学デバイスが燃料電池である、請求項1に記載した電解液。
  8. 互いに対向した第1の電極と第2の電極との間に、請求項1〜のいずれか1項に記載した電解液が配置されている、電気化学デバイス。
  9. 前記第1の反応物質の供給路に面する、前記第1の電極の表面に、気液分離膜が設けられている、請求項に記載した電気化学デバイス。
  10. 前記第1の電極と前記第2の電極との間を前記電解液が流れるように構成されている、請求項に記載した電気化学デバイス。
  11. 前記した前記電解液の流れが層流である、請求項10に記載した電気化学デバイス。
  12. 前記第1の電極と前記第2の電極との間を流れ終わった電解液が再利用されるように構成されている、請求項に記載した電気化学デバイス。
  13. 前記再利用に先だって、前記の流れ終わった電解液から前記第1の反応物質及び/又は前記第2の反応物質を除去する手段が設けられている、請求項12に記載した電気化学デバイス。
  14. 燃料電池として構成されている、請求項に記載した電気化学デバイス。
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