JP2009032490A - 燃料電池システムおよび電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料クロスオーバーの影響を抑え、長時間発電を可能とすることができる燃料電池システムおよびこれを用いた電子機器を提供する。
【解決手段】燃料がクロスオーバーして電解液中に蓄積し、出力電圧が低下するなどの影響が現れた場合には、制御部130により、燃料供給部150による燃料供給が停止される。これにより、燃料のクロスオーバー量の上昇が阻止されると共に、電解液中に蓄積した燃料は、燃料電極または酸素電極において酸化されて除去される。そののち、制御部130により、燃料供給部150による燃料供給を再開すれば、高い出力電圧が回復する。制御部130は、発電部110の発電電流,発電電圧および発電電力のうち少なくとも一つに基づいて、または、電解液の濃度の測定結果に基づいて電解液に含まれる燃料の量を検出し、検出された値に基づいて電解液クリーニングを行うタイミングを決める。
【選択図】図1

Description

本発明は、メタノールを直接燃料電極に供給して反応させる直接型メタノール燃料電池(DMFC;Direct Methanol Fuel Cell )などの燃料電池システムおよびこれを用いた電子機器に関する。
電池の特性を示す指標として、エネルギー密度と出力密度とがある。エネルギー密度とは電池の単位質量あたりのエネルギー蓄積量であり、出力密度とは電池の単位質量あたりの出力量である。リチウムイオン二次電池は、比較的高いエネルギー密度と極めて高い出力密度という二つの特徴を併せもっており、完成度も高いことから、モバイル機器の電源として広く採用されている。しかし、近年、モバイル機器は高性能化にともなって消費電力が増加する傾向にあり、リチウムイオン二次電池にも更なるエネルギー密度および出力密度の向上が求められている。
その解決策として、正極および負極を構成する電極材料の変更、電極材料の塗布方法の改善、電極材料の封入方法の改善などが挙げられ、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度を向上させる研究が行われている。しかし、実用化に向けてのハードルはまだ高い。また、現在のリチウムイオン二次電池に使用されている構成材料が変わらない限り、大幅なエネルギー密度の向上を期待することは難しい。
このため、リチウムイオン二次電池に代わる、よりエネルギー密度の高い電池の開発が急務とされており、燃料電池はその候補の一つとして有力視されている。
燃料電池は、アノード(燃料電極)とカソード(酸素電極)との間に電解質が配置された構成を有し、燃料電極には燃料、酸素電極には空気または酸素がそれぞれ供給される。この結果、燃料電極および酸素電極において燃料が酸素によって酸化される酸化還元反応が起こり、燃料がもつ化学エネルギーの一部が電気エネルギーに変換されて取り出される。
既に、さまざまな種類の燃料電池が提案または試作され、一部は実用化されている。これらの燃料電池は、用いられる電解質によって、アルカリ電解質型燃料電池(AFC;Alkaline Fuel Cell)、リン酸型燃料電池(PAFC;Phosphoric Acid Fuel Cell )、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC;Molten Carbonate Fuel Cell)、固体酸化物型燃料電池(SOFC;Solid Electrolyte Fuel Cell )および固体高分子型燃料電池(PEFC;Polymer Electrolyte Fuel Cell )などに分類される。このうち、PEFCは、他の型式のものと比較して低い温度、例えば30℃〜130℃程度の温度で動作させることができる。
燃料電池の燃料としては、水素やメタノールなど、種々の可燃性物質を用いることができる。しかし、水素などの気体燃料は、貯蔵用のボンベなどが必要になるため、小型化には適していない。一方、メタノールなどの液体燃料は、貯蔵しやすい点で有利である。とりわけ、DMFCには、燃料から水素を取り出すための改質器を必要とせず、構成が簡素になり、小型化が容易であるという利点がある。
DMFCでは、燃料のメタノールは、通常、低濃度または高濃度の水溶液として、もしくは純メタノールの気体の状態で燃料電極に供給され、燃料電極の触媒層で二酸化炭素に酸化される。このとき生じたプロトンは、燃料電極と酸素電極とを隔てる電解質膜を通って酸素電極へ移動し、酸素電極で酸素と反応して水を生成する。燃料電極、酸素電極およびDMFC全体で起こる反応は、化1で表される。
(化1)
燃料電極:CH3 OH+H2 O→CO2 +6e- +6H+
酸素電極:(3/2)O2 +6e- +6H+ →3H2
DMFC全体:CH3 OH+(3/2)O2 →CO2 +2H2
DMFCの燃料であるメタノールのエネルギー密度は、理論的に4.8kW/Lであり、一般的なリチウムイオン二次電池のエネルギー密度の10倍以上である。すなわち、燃料としてメタノールを用いる燃料電池は、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度を凌ぐ可能性を多いに持っている。以上のことから、DMFCは、種々の燃料電池のなかで最も、モバイル機器や電気自動車などのエネルギー源として使用される可能性が高い。
しかしながら、DMFCには、理論電圧は1.23Vであるにもかかわらず、実際に発電しているときの出力電圧は約0.6V以下に低下してしまうという問題がある。出力電圧が低下する原因は、DMFCの内部抵抗によって生じる電圧降下であって、DMFCには、両電極で生じる反応に伴う抵抗、物質の移動に伴う抵抗、プロトンが電解質膜を移動する際に生じる抵抗、更に接触抵抗などの内部抵抗が存在している。メタノールの酸化から電気エネルギーとして実際に取り出すことのできるエネルギーは、発電時の出力電圧と、回路を流れる電気量との積で表されるから、発電時の出力電圧が低下すると、実際に取り出すことのできるエネルギーはその分小さくなってしまう。なお、メタノールの酸化によって回路に取り出せる電気量は、メタノールの全量が化1に従って燃料電極で酸化されるなら、DMFC内のメタノール量に比例する。
また、DMFCには、メタノールクロスオーバーの問題がある。メタノールクロスオーバーとは、燃料電極側と酸素電極側とのメタノールの濃度差によってメタノールが拡散移動する現象と、プロトンの移動にともなって引き起こされる水の移動によって、水和したメタノールが運搬される電気浸透現象との二つの機構によって、メタノールが燃料電極側から電解質膜を透過して酸素電極側に到達してしまう現象である。
メタノールクロスオーバーが生じると、透過したメタノールは酸素電極の触媒層で酸化される。酸素電極側でのメタノール酸化反応は、上述した燃料電極側での酸化反応と同じであるが、DMFCの出力電圧を低下させる原因になる。また、メタノールが燃料電極側で発電に使われず、酸素電極側で浪費されるので、回路に取り出せる電気量がその分減少してしまう。更に、酸素電極の触媒層は白金(Pt)−ルテニウム(Ru)合金触媒ではなく白金(Pt)触媒であることから、触媒表面に一酸化炭素(CO)が吸着されやすく、触媒の被毒が生じるなどの不都合もある。
このようにDMFCには、内部抵抗とメタノールクロスオーバーとによって生じる電圧低下、およびメタノールクロスオーバーによる燃料の浪費という二つの問題があり、これらはDMFCの発電効率を低下させる原因になっている。そこで、DMFCの発電効率を高めるために、DMFCを構成する材料の特性を向上させる研究・開発や、DMFCの運転条件を最適化する研究・開発が精力的に行われている。
DMFCを構成する材料の特性を向上させる研究では、電解質膜および燃料電極側の触媒などに関するものが挙げられる。電解質膜については、現在ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂膜(デュポン社製「Nafion(登録商標)」)が一般的に用いられているが、これよりも高いプロトン伝導率と高いメタノール透過阻止性能とを有するものとして、フッ素系高分子膜、炭化水素系高分子電解質膜またはハイドロゲルベース電解質膜などが検討されている。燃料電極側の触媒に関しては、現在一般的に用いられている白金(Pt)−ルテニウム(Ru)合金触媒よりも高活性な触媒の研究開発が行われている。
このような燃料電池の構成材料の特性向上は、燃料電池の発電効率を向上させる手段として的確である。しかしながら、上述した二つの問題を打破するような最適な触媒が見つからないと同様、最適な電解質膜も見つかっていないのが現状である。
一方、特許文献1では、電解質膜に代えて、液状の電解質(電解液)を用いることが記載されている。電解液は、酸素電極と燃料電極との間に静止している場合もあるが、酸素電極と燃料電極との間に設けられた流路を流れ、外部に出たのち再び流路内に戻され、循環するようになっている場合もある。
特開昭59−191265号公報
しかしながら、電解液を用いる燃料電池でも、上述したメタノールの拡散移動現象によりメタノールクロスオーバーが生じ、出力電圧を低下させる原因となってしまっていた。また、二酸化炭素の泡が電解液に混入し、電解液の伝導度を低下させてしまうという問題もあった。電解液を循環させた場合は、出力電圧の低下をある程度遅延させることができるものの、出力電圧の低下そのものを避けることはできなかった。一方、電解液を循環させず、絶えず新しい電解液を入れ替えることも考えられるが、このようにすると多量の電解液が必要になってしまうことは言うまでもない。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、燃料クロスオーバーの影響を抑え、長時間発電を可能とすることができる燃料電池システムおよびこれを用いた電子機器を提供することにある。
本発明による燃料電池システムは、以下の(A)〜(C)の構成要件を備えたものである。
(A)燃料電極と酸素電極との間に電解液を有する発電部
(B)燃料電極に燃料を供給する燃料供給部
(C)燃料供給部による燃料電極への燃料供給を停止させることにより、電解液に含まれる燃料を除去する電解液クリーニングを行う制御部
本発明の燃料電池システムでは、燃料がクロスオーバーして電解液中に蓄積し、出力電圧が低下するなどの影響が現れた場合には、制御部により、燃料供給部による燃料電極への燃料供給が停止される。これにより、燃料のクロスオーバー量の上昇が阻止されると共に、電解液中に蓄積した燃料は、燃料電極または酸素電極において酸化されて除去される。そののち、制御部により、燃料供給部による燃料電極への燃料供給を再開すれば、高い出力電圧が回復する。よって、長時間発電が可能となる。
本発明の電子機器は、燃料電池システムを備えたものであって、この燃料電池システムが、上記本発明の燃料電池システムにより構成されているものである。
本発明の電子機器では、上記本発明による長時間発電可能な燃料電池システムを備えているので、消費電力の増大を伴う多機能化・高性能化にも対応可能となる。
本発明の燃料電池システムによれば、燃料供給部による燃料電極への燃料供給を停止させることにより、電解液に含まれる燃料を除去する電解液クリーニングを行う制御部を備えるようにしたので、複雑な分離機構を用いることなく、燃料クロスオーバーの影響を抑え、長時間発電を可能とすることができ、消費電力の大きな多機能・高性能の電子機器にも好適である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る燃料電池システムを有する電子機器の概略構成を表すものである。この電子機器は、例えば、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant;個人用携帯情報機器)などのモバイル機器、またはノート型PC(Personal Computer )であり、燃料電池システム1と、この燃料電池システム1で発電される電気エネルギーにより駆動される外部回路(負荷)2とを備えている。
燃料電池システム1は、例えば、燃料電池により構成された発電部110と、この発電部110の運転状態を測定する測定部120と、測定部120による測定結果に基づいて発電部110の運転条件を決定する制御部130とを備えている。この燃料電池システム1は、また、発電部110に電解液F1として、例えば硫酸を供給する電解液供給部140と、燃料F2として、例えばメタノールを供給する燃料供給部150とを備えている。このように電解質を流動体として供給することにより、電解質膜が不要となり、温度や湿度に影響されることなく発電を行うことができると共に、電解質膜を用いる通常の燃料電池に比べてイオン伝導度(プロトン伝導度)を高めることができる。また、電解質膜の劣化や、電解質膜の乾燥によるプロトン伝導性の低下のおそれがなくなり、酸素電極におけるフラッディングや水分管理などの問題も解消できる。
図2は、図1に示した発電部110の構成を表したものである。発電部110は、いわゆる直接型メタノールフロー型燃料電池(DMFFC;Direct Methanol Flow Based Fuel Cell)であり、燃料電極(アノード)10と酸素電極(カソード)20とが対向配置された構成を有している。燃料電極10と酸素電極20との間には、電解液F1を流通させる電解液流路30が設けられている。燃料電極10の外側、すなわち酸素電極20とは反対側には、燃料F2を流通させる燃料流路40が設けられている。
燃料電極10は、酸素電極20側から順に、触媒層11、拡散層12および集電体13を積層した構成を有し、外装部材14に収納されている。また、燃料電極10は、電解液F1と燃料F2とを隔てる分離膜としての機能も有しており、クロスオーバーを抑制し高エネルギー密度を得ることができるようになっている。酸素電極20は、燃料電極側から順に、触媒層21、拡散層22および集電体23を積層した構成を有し、外装部材24に収納されている。なお、酸素電極20には、この外装部材24を介して空気すなわち酸素が供給されるようになっている。
触媒層11,21は、触媒として、例えば、パラジウム(Pd),白金(Pt),イリジウム(Ir),ロジウム(Rh)およびルテニウム(Ru)などの金属の単体または合金により構成されている。また、触媒層11,21には、触媒に加えて、プロトン伝導体およびバインダーが含まれていてもよい。プロトン伝導体としては、上述したポリパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂(デュポン社製「Nafion(登録商標)」)またはその他のプロトン伝導性を有する樹脂が挙げられる。バインダーは、触媒層11,21の強度や柔軟性を保つために添加されるものであり、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やポリフッ化ビニリデン(PVDF)などの樹脂が挙げられる。
拡散層12,22は、例えば、カーボンクロス,カーボンペーパーまたはカーボンシートにより構成されている。拡散層12,22は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などにより撥水化処理が行われていることが望ましい。
集電体13,23は、例えばチタン(Ti)メッシュにより構成されている。
外装部材14,24は、例えば、厚みが2.0mmであり、チタン(Ti)板などの一般的に購入可能な材料により構成されているが、材料は特に限定されない。なお、外装部材14,24の厚みは薄ければ薄いほうが望ましい。
電解液流路30および燃料流路40は、例えば、樹脂シートを加工することにより微細な流路を形成したものであり、燃料電極10に接着されている。なお、流路の本数は限定されない。また、流路の幅,高さおよび長さは特に限定されないものの、小さい方が望ましい。
電解液流路30は、外装部材24に設けられた電解液入口24Aおよび電解液出口24Bを介して電解液供給部140(図2には図示せず、図1参照。)に連結されており、電解液供給部140から電解液F1が供給されるようになっている。燃料流路40は、外装部材14に設けられた燃料入口14Aおよび燃料出口14Bを介して燃料供給部150(図2には図示せず、図1参照。)に連結されており、燃料供給部150から燃料F2が供給されるようになっている。
図1に示した測定部120は、発電部110の動作電圧および動作電流を測定するものであり、例えば、発電部110の動作電圧を測定する電圧測定回路121と、動作電流を測定する電流測定回路122と、得られた測定結果を制御部130に送るための通信ライン123とを有している。
図1に示した制御部130は、測定部120の測定結果に基づいて、発電部110の運転条件として電解液供給パラメータおよび燃料供給パラメータの制御を行うものであり、例えば、演算部131、記憶(メモリ)部132、通信部133および通信ライン134を有している。ここで、電解液供給パラメータは、例えば、電解液F1の供給流速を含んでいる。燃料供給パラメータは、例えば、燃料F2の供給流速および供給量を含み、必要に応じて供給濃度を含んでいてもよい。制御部130は、例えばマイクロコンピュータにより構成することができる。
演算部131は、測定部120で得られた測定結果から発電部110の出力を算出し、電解液供給パラメータおよび燃料供給パラメータを設定するものである。具体的には、演算部131は、記憶部132に入力された各種測定結果から一定間隔でサンプリングしたアノード電位、カソード電位、出力電圧および出力電流を平均して、平均アノード電位、平均カソード電位、平均出力電圧および平均出力電流を算出し、記憶部132に入力すると共に、記憶部132に保存されている各種平均値を相互比較し、電解液供給パラメータおよび燃料供給パラメータを判定するようになっている。
記憶部132は、測定部120から送られてきた各種測定値や、演算部131により算出された各種平均値などを記憶するものである。
通信部133は、通信ライン123を介して測定部120から測定結果を受け取り、記憶部132に入力する機能と、通信ライン134を介して電解液供給部140および燃料供給部150に電解液供給パラメータおよび燃料供給パラメータを設定する信号をそれぞれ出力する機能とを有している。
図1に示した電解液供給部140は、電解液貯蔵部141と、電解液供給調整部142と、電解液供給ライン143とを備え、発電部110との間で電解液F1を循環させるようになっている。電解液貯蔵部141は、電解液F1を貯蔵するものであり、例えばタンクまたはカートリッジにより構成されている。電解液供給調整部142は、電解液F1の供給流速を調整するものである。電解液供給調整部142は、制御部130からの信号で駆動されうるものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、モータや圧電素子で駆動されるバルブ、または電磁ポンプにより構成されていることが好ましい。
図1に示した燃料供給部150は、燃料貯蔵部151と、燃料供給調整部152と、燃料供給ライン153とを有している。燃料貯蔵部151は、燃料F2を貯蔵するものであり、例えばタンクまたはカートリッジにより構成されている。燃料供給調整部152は、燃料F2の供給流速および供給量を調整するものである。燃料供給調整部152は、制御部130からの信号で駆動されうるものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、モータや圧電素子で駆動されるバルブ、または電磁ポンプにより構成されていることが好ましい。なお、燃料供給部150は、燃料F2の供給濃度を調整する濃度調整部(図示せず)を備えていてもよい。濃度調整部は、燃料F2として純(99.9%)メタノールを用いる場合には省略することができ、より小型化することができる。
また、制御部130は、燃料供給部150による燃料電極10への燃料F1の供給を停止させることにより、電解液F2に含まれる燃料F1を除去する電解液クリーニングを行うものである。これにより、この燃料電池システム1では、燃料クロスオーバーの影響を抑え、長時間発電を可能とすることができるようになっている。
この燃料電池システム1は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、触媒として例えば白金(Pt)とルテニウム(Ru)とを所定の比で含む合金と、ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂(デュポン社製「Nafion(登録商標)」)の分散溶液とを所定の比で混合し、燃料電極10の触媒層11を形成する。この触媒層11を、上述した材料よりなる拡散層12に熱圧着する。更に、上述した材料よりなる集電体13を、ホットメルト系の接着剤または接着性のある樹脂シートを用いて熱圧着し、燃料電極10を形成する。
また、触媒として白金(Pt)をカーボンに担持させたものと、ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂(デュポン社製「Nafion(登録商標)」)の分散溶液とを所定の比で混合し、酸素電極20の触媒層21を形成する。この触媒層21を、上述した材料よりなる拡散層22に熱圧着する。更に、上述した材料よりなる集電体23を、ホットメルト系の接着剤または接着性のある樹脂シートを用いて熱圧着し、酸素電極20を形成する。
次いで、接着性のある樹脂シートを用意し、この樹脂シートに流路を形成して電解液流路30および燃料流路40を作製し、燃料電極10の両側に熱圧着する。
続いて、上述した材料よりなる外装部材14,24を作製し、外装部材14には、例えば樹脂製の継手よりなる燃料入口14Aおよび燃料出口14Bを設け、外装部材24には、例えば樹脂製の継手よりなる電解液入口24Aおよび電解液出口24Bを設ける。
そののち、燃料電極10と酸素電極20とを、電解液流路30を両者の間に、燃料流路30を外側にして対向配置し、外装部材14,24に収納する。これにより図2に示した発電部110が完成する。
この発電部110を、上述した構成を有する測定部120,制御部130,電解液供給部140および燃料供給部150を有するシステムに組み込み、燃料入口14Aおよび燃料出口14Bと燃料供給部150とを例えばシリコーンチューブよりなる燃料供給ライン153で接続すると共に、電解液入口24Aおよび電解液出口24Bと電解液供給部140とを例えばシリコーンチューブよりなる電解液供給ライン143で接続する。以上により図1に示した燃料電池システム1が完成する。
この燃料電池システム1では、燃料電極10に燃料F2が供給され、反応によりプロトンと電子とを生成する。プロトンは電解液F1を通って酸素電極20に移動し、電子および酸素と反応して水を生成する。燃料電極10、酸素電極20および発電部110全体で起こる反応は、化2で表される。これにより、燃料であるメタノールの化学エネルギーの一部が電気エネルギーに変換されて、発電部110から電流が取り出され、外部回路2が駆動される。燃料電極10で発生する二酸化炭素および酸素電極20で発生する水は、電解液F1と共に流れて取り除かれる。
(化2)
燃料電極10:CH3 OH+H2 O→CO2 +6e- +6H+
酸素電極20:(3/2)O2 +6e- +6H+ →3H2
発電部110全体:CH3 OH+(3/2)O2 →CO2 +2H2
発電部110の運転中には、測定部120により発電部110の動作電圧および動作電流が測定され、その測定結果に基づいて、制御部130により、発電部110の運転条件として上述した電解液供給パラメータおよび燃料供給パラメータの制御が行われる。測定部120による測定および制御部130によるパラメータ制御は頻繁に繰り返され、発電部110の特性変動に追従して電解液F1および燃料F2の供給状態が最適化される。
ここで、図3に示したように、発電期間OP1が長くなるにつれて、燃料F2がクロスオーバーして電解液F1中に蓄積し、電解液F1に含まれる燃料F2の量が徐々に増加し、出力電圧が低下するなど、発電部110の特性低下の影響が現れてくる。そのような場合には、制御部130により、電解液クリーニングが行われる。
図4は、制御部130による発電部110の運転方法の一例を表したものであり、発電部110の発電電力の変化を検出して電解液クリーニングを行うようにした場合である。なお、制御アルゴリズムは発電部110の運転方法に依存するが、制御アルゴリズムによって最終的に実行される電解液クリーニング方法は、運転方法を問わず共通である。
まず、燃料電池システム1の最低電力Wminを決定する(ステップS1001)。最低電力Wminは、この値より下回れば電解液クリーニングが必要であると判断される基準値である。最低電力Wminは、デバイスに応じて最低必要電力、電流、電圧があるので、仕様に応じて値をあらかじめ設定する。
制御部130は、発電部110の運転直後から、測定部120の電圧測定回路121および電流測定回路122により、運転中の発電部110の発電電流および発電電圧の測定を開始させる(ステップS1002)。測定部120は、制御部130からの指令により、発電部110の発電電流および発電電圧を測定し(ステップS1003)、そのデータを通信ライン123を介して記憶部132に保存する。サンプリングレートおよびサンプリング数を特に限定するものではないが、例えば、サンプリングレートは1/10秒とし、サンプリング数は50個を1セットとしてデータを収集することができる。サンプリングレートは、速すぎるとSN比が悪化し、遅すぎると制御システムの応答速度が低下するので、例えば上述したように1/10秒程度に設定することが好ましい。
次いで、制御部130は、記憶部132に保存したデータを演算部131により処理し、平均電力W1を算出し(ステップS1004)、算出した平均電力W1を記憶部132に保存する。
続いて、測定部120は、再び、制御部130からの指令により、サンプリングレートを例えば1/10秒、サンプリング数を例えば50個として、発電部110の発電電流および発電電圧を測定し(ステップS1005)、そのデータを通信ライン123を介して記憶部132に保存する。
そののち、制御部130は、記憶部132に保存したデータを演算部131により処理し、平均電力W2を算出し(ステップS1006)、算出した平均電力W2を記憶部132に保存する。
平均電力W2を算出したのち、制御部130は、記憶部132に保存されている平均電力W1および平均電力W2を演算部131内の比較演算部に入力し、相互比較処理を行う(ステップS1007)。
平均電力W2の値が平均電力W1の値より大きいか、または同等である場合(W1=W2またはW1<W2)には、発電部110の性能が低下していないことを意味すると判断し、平均電力W1および平均電力W2の値を消去し、ステップS1002に戻り、新たに発電電流および発電電圧の測定を開始する。
一方、平均電力W2の値が平均電力W1の値より小さい場合(W1>W2)には、制御部130は、発電部110の性能が低下していることを意味すると判断し、平均電力W2と最低電力Wminとを比較する(ステップS1008)。
平均電力W2の値が最低電力Wminよりも大きいか、または同等である場合(W2=WminまたはW2>Wmin)には、ステップS1005に戻り、再び発電電流および発電電圧の測定を行い、平均電力W2の算出を行う。
一方、平均電力W2の値が最低電力Wminよりも小さい場合(W2<Wmin)には、制御部130は、燃料供給部150による燃料電極10への燃料F2の供給を停止させることにより、電解液クリーニングを行う(ステップS1009;図3のクリーニング期間CP)。燃料F2の供給停止により、燃料F2のクロスオーバー量の上昇が阻止されると共に、電解液F1中に蓄積した燃料F2は、燃料電極10または酸素電極20において酸化されて除去される。なお、電解液クリーニング期間CPの長さは、電解液F1に含まれる燃料F2の量に依存するので、特に限定されるものではない。
制御部130は、電解液クリーニング期間CPにおいて発電部110による発電を停止させてもよいし、停止させなくてもよい。電解液F2に含まれる燃料F1の量が微小であれば、電解液クリーニングは短時間で終了することから、発電部110による発電を停止させることなく、燃料供給部150による燃料電極10への燃料F1の供給を停止させるだけで電解液クリーニングが可能である。しかし、電解液F2に含まれる燃料F1の量が多ければ、いったん発電部110による発電を停止させ、燃料供給部150による燃料電極10への燃料F1の供給も停止させて、電解液クリーニングを実行する必要がある。なお、図3は、クリーニング期間CPにおいて発電部110による発電を停止させた場合を表している。
そののち、制御部130により、燃料供給部150による燃料電極10への燃料F2の供給が再開され、高い出力電圧が回復する(図3の発電期間OP2)。よって、長時間発電が可能となる。
このように本実施の形態では、制御部130により、燃料供給部150による燃料電極10への燃料F2の供給を停止させることにより、電解液F1に含まれる燃料F2を除去する電解液クリーニングを行うようにしたので、複雑な分離機構を用いることなく、燃料クロスオーバーの影響を抑え、長時間発電を可能とすることができ、消費電力の大きな多機能・高性能の電子機器にも好適である。
なお、上記実施の形態では、制御部130が、発電部110の発電電力の変化を検出して電解液クリーニングを行うようにした場合について説明したが、制御部130は、発電部110の発電電流,発電電圧および発電電力のうち少なくとも一つに基づいて電解液クリーニングを行うタイミングを決めるようにしてもよい。
(第2の実施の形態)
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る燃料電池システムを有する電子機器の概略構成を表したものである。この燃料電池システムは、測定部120が、電解液F1の濃度を測定する濃度測定機構124を備えたことを除いては、第1の実施の形態の燃料電池システム1と同一の構成を有している。よって、対応する構成要素には同一の符号を付して説明する。
発電部110,制御部130,電解液供給部140および燃料供給部150については、第1の実施の形態と同様に構成されている。
濃度測定機構124は、例えばメタノールセンサにより構成され、電解液供給ライン143の電解液出口24B近傍に設けられている。このことを除いては、測定部120は、第1の実施の形態と同様に構成されている。
図6は、制御部130による発電部110の運転方法の一例を表したものであり、濃度測定機構124の測定結果に基づいて電解液F1に含まれる燃料F2の量を検出し、検出された値に基づいて、電解液クリーニングを行うようにした場合である。
まず、電解液F1に含まれる燃料F2の限界濃度(以下、「メタノール限界濃度」という。)Mmaxを決定する(ステップS2001)。メタノール限界濃度Mmaxは、この値を上回れば電解液クリーニングが必要であると判断される基準値である。メタノール限界濃度Mmaxは、デバイスに応じて最低必要電力、電流、電圧があるので、仕様に応じて値をあらかじめ設定する。具体的には、メタノール限界濃度Mmaxは、例えば、2M程度とすることができる。
制御部130は、発電部110の運転直後から、測定部120の濃度測定機構124により、電解液F1に含まれる燃料F2の濃度(以下、「メタノール濃度」という。)の測定を開始させる(ステップS2002)。測定部120は、制御部130からの指令により、電解液F1のメタノール濃度M1を測定し(ステップS2003)、そのデータを通信ライン123を介して記憶部132に保存する。
次いで、制御部130は、記憶部132に保存されているメタノール濃度M1とメタノール限界濃度Mmaxとを比較する(ステップS2004)。
メタノール濃度M1の値がメタノール限界濃度Mmaxよりも小さい場合(M1<Mmax)には、メタノール濃度M1の値を消去し、ステップS2002に戻り、再びメタノール濃度M1の測定を行う。
一方、メタノール濃度M1の値がメタノール限界濃度Mmaxよりも大きいか、または同等である場合(M1=MmaxまたはM1>Mmax)には、制御部130は、燃料供給部150による燃料電極10への燃料F2の供給を停止させることにより、電解液クリーニングを行う(ステップS2005;図3のクリーニング期間CP)。なお、電解液クリーニングは、第1の実施の形態と同様にして実行することができる。
そののち、制御部130により、燃料供給部150による燃料電極10への燃料F2の供給が再開され、高い出力電圧が回復する(図3の発電期間OP2)。よって、長時間発電が可能となる。
このように本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、制御部130により、燃料供給部150による燃料電極10への燃料F2の供給を停止させることにより、電解液F1に含まれる燃料F2を除去する電解液クリーニングを行うようにしたので、複雑な分離機構を用いることなく、燃料クロスオーバーの影響を抑え、長時間発電を可能とすることができ、消費電力の大きな多機能・高性能の電子機器にも好適である。
(変形例)
図7は、第1の実施の形態および第2の実施の形態で説明した発電部110の変形例を表したものである。この発電部110は、燃料流路40と燃料電極10との間に気液分離膜50を設けたものであり、このことを除いては、第1の実施の形態または第2の実施の形態と同様に構成されている。よって、対応する構成要素には同一の符号を付して説明する。
気液分離膜50は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリフッ化ビニリデン(PVDF)またはポリプロピレン(PP)などアルコールを液体の状態で透過させない膜により構成することができる。
本変形例では、燃料流路40と燃料電極10との間に気液分離膜50が設けられているので、燃料である純メタノールは液体の状態で燃料流路40を流れる際に自然揮発し、気液分離膜50と接する面から気体Gの状態で気液分離膜50を通りぬけ、燃料電極10に供給される。よって、燃料が効率よく燃料電極10に供給され、反応が安定して行われる。また、燃料が気体の状態で燃料電極10に供給されるので、電極反応活性が高くなり、クロスオーバーも生じにくく、高負荷の外部回路2を有する電子機器においても高い性能が得られる。更に、燃料流動体F2として純(99.9%)メタノールを用いることができ、燃料電池の特徴である高エネルギー密度特性を更に活かすことができると共に、燃料供給部150において、燃料F2の供給濃度を調整する濃度調整部を省略することができ、より小型化することができる。
更に、本発明の具体的な実施例について説明する。なお、以下の実施例では、図7に示したような気液分離膜50を有する発電部110を作製し、特性を評価した。よって、以下の実施例においても、図1および図7を参照し、同一の符号を用いて説明する。
図7と同様の構成を有する発電部110を作製した。まず、触媒として白金(Pt)とルテニウム(Ru)とを所定の比で含む合金と、ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂(デュポン社製「Nafion(登録商標)」)の分散溶液とを所定の比で混合し、燃料電極10の触媒層11を形成した。この触媒層11を、上述した材料よりなる拡散層12(E−TEK社製;HT−2500)に対して、温度150℃、圧力249kPaの条件下で10分間熱圧着した。更に、上述した材料よりなる集電体13を、ホットメルト系の接着剤または接着性のある樹脂シートを用いて熱圧着し、燃料電極10を形成した。
また、触媒として白金(Pt)をカーボンに担持させたものと、ポリパーフルオロアルキルスルホン酸系樹脂(デュポン社製「Nafion(登録商標)」)の分散溶液とを所定の比で混合し、酸素電極20の触媒層21を形成した。この触媒層21を、上述した材料よりなる拡散層22(E−TEK社製;HT−2500)に対して、燃料電極10の触媒層11と同様にして熱圧着した。更に、上述した材料よりなる集電体23を、燃料電極10の集電体13と同様にして熱圧着し、酸素電極20を形成した。
次いで、接着性のある樹脂シートを用意し、この樹脂シートに流路を形成して電解液流路30および燃料流路40を作製し、燃料電極10の両側に熱圧着した。
続いて、上述した材料よりなる外装部材14,24を作製し、外装部材14には、例えば樹脂製の継手よりなる燃料入口14Aおよび燃料出口14Bを設け、外装部材24には、例えば樹脂製の継手よりなる電解液入口24Aおよび電解液出口24Bを設けた。
そののち、燃料電極10と酸素電極20とを、電解液流路30を両者の間に、燃料流路40を外側にして対向配置し、外装部材14,24に収納した。その際、燃料流路40と燃料電極10との間に気液分離膜50(Millipore社製)を設けた。これにより、図7に示した発電部110が完成した。
この発電部110を、上述した構成を有する測定部120,制御部130,電解液供給部140および燃料供給部150を有するシステムに組み込み、図1に示した燃料電池システム1を構成した。その際、電解液供給調整部142および燃料供給調整部152をダイアフラム式定量ポンプ(株式会社KNF社製)により構成し、それぞれのポンプからシリコーンチューブよりなる電解液供給ライン143および燃料供給ライン153で燃料入口14Aおよび電解液入口24Aに直接接続し、任意の流速で電解液F1および燃料F2が電解液流路30および燃料流路40にそれぞれ供給されるようにした。電解液F1としては0.5M硫酸を用い、流速は1.0ml/minとした。燃料F2としては純(99.9%)メタノールを用い、流速は0.080ml/minとした。
(評価)
得られた燃料電池システム1について、電気化学測定装置(ソーラートロン社製、マルチスタット1480)に接続し、電流密度200mA/cm2 で長時間発電を行い、電解液F1の循環によるメタノールクロスオーバーの影響および電解液クリーニングの影響を調べた。その結果を図8および図9に示す。
図8は、電解液F1の循環によるメタノールクロスオーバーの影響を表したものである。ポイントAまでは、電解液F1の循環は行わず、電解液入口24Aから電解液流路30に入った電解液F1は、電解液出口24Bから排出され、廃液タンク(図示せず)に溜まるようにし、常に新しい電解液F1が電解液流路30内を流れるようにした。ポイントA以降は、発電部110と電解液供給部140との間で電解液F1を循環させるようにした。ポイントBで燃料F2の供給を停止して電解液クリーニングを開始したが、その際、発電部110による発電は停止せず、発電を継続しながら電解液クリーニングを行った。ポイントCで燃料F2の供給を再開した。
図8から分かるように、ポイントA以降は、電解液F1を循環させるようにしたので、電解液F1内に蓄積したメタノールの影響により、特性が著しく低下していた。
図9は、図8のポイントC近傍(点線で囲まれた部分)を拡大したものである。C0は、電解液クリーニング前を表す。C1は、燃料F2の供給を停止した直後であり、電解液F1のみが循環している状態である。C2は、燃料F2の供給を再開した直後である。
図9から分かるように、C1で燃料F2の供給を停止させると、特性は良くなるが(図9の矢印C11)、その後、低下する(図9の矢印C12)。特性が一時的に若干良くなるのは、メタノールクロスオーバーの増加が阻止され、電解液クリーニングが行われるからである。また、特性が良くなったのちに低下するのは、燃料F2の供給が停止されているので、燃料F2となるメタノールが不足し、発電部110を電流密度200mA/cm2 で発電させることができなくなってきているからである。
C2で燃料F2の供給を再開すると、特性は急激に上昇したのち(図9の矢印C21)、ある値に落ち着く(図9の矢印C22)。特性が急激に上昇するのは、溜まっていた燃料F2が過剰に供給されるからである。また、落ち着いた値は、電解液クリーニング前のC0の特性よりも良くなっており(図9のΔV)、電解液クリーニングの効果を示している。
すなわち、制御部130により、燃料供給部150による燃料電極10への燃料F2の供給を停止させることにより、電解液F1に含まれる燃料F2を除去する電解液クリーニングを行うようにすれば、燃料クロスオーバーの影響を抑え、高い特性を維持し、長時間発電を可能とすることができることが分かった。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は、上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形することができる。例えば、上記実施の形態および実施例では、発電部110と電解液供給部140との間で電解液F1を循環させるようにした場合について説明したが、電解液F1を循環させず、燃料電極10と酸素電極20との間に静止させておくようにしてもよい。
また、例えば、上記実施の形態および実施例では、燃料電極10,酸素電極20,燃料流路30および電解液流路40の構成について具体的に説明したが、他の構造あるいは他の材料により構成するようにしてもよい。例えば、燃料流路30は、上記実施の形態および実施例で説明したような樹脂シートを加工して流路を形成したもののほか、多孔質などのシートにより構成してもよい。
更に、例えば、上記実施の形態および実施例では、一つの燃料電池セルを有する発電部110を例として説明したが、本発明は、複数の燃料電池セルを縦方向(積層方向)または横方向(積層面内方向)に積層して発電部110を構成する場合にも適用することができる。
加えて、例えば、上記実施の形態および実施例において説明した各構成要素の材料および厚み、または発電部110の発電条件などは限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の発電条件としてもよい。
更にまた、上記実施の形態では、燃料電極12に燃料供給部150から燃料F2を供給する場合について説明したが、燃料電極12を密閉型とし、必要に応じて燃料F2を供給するようにしてもよい。
加えてまた、例えば、燃料F2は、メタノールのほか、エタノールやジメチルエーテルなどの他の液体燃料でもよい。電解液F1は、プロトン(H+ )伝導性を有するものであれば特に限定されず、例えば、硫酸のほか、リン酸またはイオン性液体が挙げられる。
更にまた、本発明は、液体燃料を用いる燃料電池に限らず、水素など液体燃料以外の物質を燃料として用いる燃料電池についても適用可能である。
加えてまた、上記実施の形態および実施例では、酸素電極20への空気の供給を自然換気とするようにしたが、ポンプなどを利用して強制的に供給するようにしてもよい。その場合、空気に代えて酸素または酸素を含むガスを供給するようにしてもよい。
更にまた、上記実施の形態および実施例では、発電部110において、燃料電極10と酸素電極20とを、電解液流路30を両者の間に、燃料流路40を外側にして対向配置した場合について説明したが、本発明は、他の構成の発電部を有する燃料電池システムにも適用可能である。
本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池システムを備えた電子機器の概略構成を表す図である。 図1に示した発電部の構成を表す断面図である。 図1に示した燃料電池システムの作用を説明するための図である。 図1に示した燃料電池システムの運転方法を表す流れ図である。 本発明の第2の実施の形態に係る燃料電池システムを備えた電子機器の概略構成を表す図である。 図5に示した燃料電池システムの運転方法を表す流れ図である。 本発明の変形例に係る発電部の構成を表す断面図である。 本発明の実施例の結果を表す図である。 本発明の実施例の結果を表す図である。
符号の説明
1…燃料電池システム、2…外部回路(負荷)、10…燃料電極、20…酸素電極、30…電解液流路、40…燃料流路、50…気液分離膜、110…発電部、120…測定部、130…制御部、140…電解液供給部、150…燃料供給部

Claims (6)

  1. 燃料電極と酸素電極との間に電解液を有する発電部と、
    前記燃料電極に燃料を供給する燃料供給部と、
    前記燃料供給部による前記燃料電極への燃料供給を停止させることにより、前記電解液に含まれる燃料を除去する電解液クリーニングを行う制御部と
    を備えたことを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記制御部は、前記発電部の発電電流,発電電圧および発電電力のうち少なくとも一つに基づいて、前記電解液クリーニングを行うタイミングを決める
    ことを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  3. 前記電解液の濃度を測定する濃度測定機構を備え、
    前記制御部は、前記濃度測定機構の測定結果に基づいて前記電解液に含まれる燃料の量を検出し、検出された値に基づいて前記電解液クリーニングを行うタイミングを決める
    ことを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  4. 前記制御部は、前記電解液クリーニング期間中において前記発電部による発電を停止させる
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  5. 前記発電部との間で前記電解液を循環させる電解液供給部を備えた
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  6. 燃料電池システムを備えた電子機器であって、
    前記燃料電池システムは、
    燃料電極と酸素電極との間に電解液を有する発電部と、
    前記燃料電極に燃料を供給する燃料供給部と、
    前記燃料供給部による前記燃料電極への燃料供給を停止させることにより、前記電解液に含まれる燃料を除去する電解液クリーニングを行う制御部と
    を備えたことを特徴とする電子機器。
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