JP5078284B2 - 燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池に関し、特に、メタノールなどの液体燃料をアノード電極に直接供給しながら発電する燃料電池に関する。
近年、液体燃料であるメタノールを直接用いて発電するダイレクトメタノール形燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)が、携帯電話の充電器などの電源として脚光を浴びている。ダイレクトメタノール形燃料電池では、通常、電解質膜を燃料極(アノード電極)と酸化剤極(カソード電極)で挟んでなる平面状の膜電極接合体(MEA:membrane Electrode Assembly)構造を備え、燃料極に液体燃料を供給し得るように燃料容器(燃料タンク)が、燃料極に隣接して設けられてなる。しかし、燃料電池において、ポンプやバルブを使用して、燃料極に供給する燃料濃度を制御し得るように構成すると非常に大きなシステムとなってしまう。そのため、通常、燃料電池は出力が一定となるように形成されており、機器側の入力変動に対応することができない状態にある。このような状況下、ポンプやバルブを使用せずかつ大容積を必要とせずに機器側の入力要求に対応できる燃料電池の開発が進められている。
しかしながら、従来技術においては、ポンプやバルブなどを使用せずに燃料電池の燃料極への燃料供給を調節する手段はなく、出力変動により燃料極の燃料濃度が大きく変化して燃料不足で出力がでない状態になったり、燃料濃度が高く、燃料のクロスオーバーで効率が大きく低下する傾向にあった(たとえば、特開2004−206885号公報(特許文献1)を参照)。また、従来の燃料電池では、燃料極側に二酸化炭素および水が逆流するため、燃料タンクにまで逆流した水、二酸化炭素を廃棄する必要が生じていた。
このため近年では、ポンプやバルブなどの補器を必要とすることなく燃料供給速度を制御することができ、かつ、燃料の入れ替え回数の少ない利便性のよい燃料電池の開発が期待されている。
特開2004−206885号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、液体燃料を用いる燃料電池において、供給する燃料の供給速度を制御することで出力変動に対応することができ、かつ、燃料の利用効率の高い利便性に優れた燃料電池を提供することである。
本発明の燃料電池は、電解質膜を介して燃料極と酸化剤極とが設けられてなり、燃料極側から順に設けられた、水分を含む燃料希釈部、撥水性部材、透過膜および燃料容器を備えることを特徴とする。
本発明の燃料電池は、前記透過膜にはヒータまたは熱交換機能を有する温度調節体が埋設または接触するようにして設けられていることが好ましい。ここにおいて、燃料電池の開回路電圧および電流量を積算し、得られた情報をもとにヒータまたは温度調節体を制御し得る制御手段をさらに備えることが、好ましい。
本発明の燃料電池において、燃料希釈部は、親水性を有する多孔体にて形成され、燃料極に隣接するともに、毛細管力が当該燃料希釈部を形成する多孔体より弱い多孔体を介して酸化剤極に接続されており、表面が親水性である水分蒸発体がさらに接続されてなることが、好ましい。
また本発明の燃料電池は、燃料極および/または酸化剤極を覆う筐体をさらに備え、当該筐体は、燃料極および/または酸化剤極と外部空間とを連通する開口の少なくとも一部に白金を含有する材料が固着されたものであることが、好ましい。
本発明によれば、液体燃料を用いる燃料電池において、供給する燃料の供給速度を制御することで出力変動に対応することができ、かつ、燃料の利用効率の高い利便性に優れた燃料電池を提供することができる。
図1は、本発明の第1の実施態様の燃料電池1を模式的に示す断面図である。本発明の燃料電池1は、電解質膜2を介して燃料極3と酸化剤極4とが設けられてなる膜電極接合体(MEA:membrane Electrode Assembly)の基本構造を備える。本発明の燃料電池1は、この基本構造に加え、燃料極3側から順に設けられた、水分を含む燃料希釈部5、撥水性部材6、透過膜7および燃料容器8を備えることを特徴とする。このような本発明の燃料電池は、供給する燃料の供給速度を制御することで出力変動に対応することができ、かつ、燃料の利用効率の高い利便性に優れたものである。
本発明の燃料電池1における電解質膜2としては、従来公知の適宜のものを特に制限なく用いることができ、たとえばナフィオン(デュポン社製)に代表されるパーフルオロアルキルスルホン酸や炭化水素系のプロトン伝導性を有する材料にて形成された電解質膜(固体高分子電解質膜)を好適に用いることができる。
本発明の燃料電池1における燃料極3は、たとえば、触媒金属を担持させた導電性材料が結着剤としてのプロトン伝導性高分子中に分散された層状物(負極触媒層)にて実現される。触媒金属としては、たとえば白金または白金系合金の微粒子が用いられる。白金系合金としては、たとえば白金−ルテニウム系合金などを挙げることができる。また、イリジウム−ルテニウム系合金も触媒金属として好適に用いることができる。触媒金属の微粒子は、その粒径は特に制限されるものではないが、粒径をあまり小さし過ぎると触媒活性が低下する虞があるため、粒径が2〜5nmの範囲内のものを用いることが好ましい。導電性材料としては、カーボンブラック、ケッチェンブラックなどが挙げられ、中でもカーボンブラックが好ましい。また、触媒金属を担持させた導電性材料を分散させるプロトン導電性高分子としては、特に制限されるものではないが、プロトン導電性と触媒粒子の結着剤とを兼ねるパーフルオロアルキルスルホン酸などを好適に用いることができる。
また、本発明の燃料電池1における酸化剤極4は、上述した燃料極3と同様、触媒金属を担持させた導電性材料が結着剤としてのプロトン伝導性高分子中に分散された層状物(正極触媒層)にて実現される。触媒金属としては、燃料極3と同様に、粒径が2〜5nmの範囲内の白金または白金系合金の微粒子が好ましく用いられ、また導電性高分子としてはカーボンブラック、ケッチェンブラックなどが好ましく用いられる。プロトン導電性高分子としても、燃料極3と同様に、パーフルオロアルキルスルホン酸などを好適に用いることができる。なお、酸化剤極4における酸化剤としては、たとえば空気、酸素、過酸化水素などが用いられ、中でも空気に接触させることで容易に実現可能であることから、酸化剤として空気を用いるものであることが好ましい(この場合、酸化剤極は空気極とも呼ばれる。)。
上述したような燃料極3および酸化剤極4が電解質膜2を介して設けられた膜電極接合体は、従来公知の適宜の方法にて形成することができ、その作製方法は特に制限されるものではない。たとえば、上述したように触媒金属の微粒子を担持させた導電性材料と、プロトン伝導性高分子とを、水−アルコール系混合溶媒中に分散・脱泡して、燃料極、酸化剤極用の電極ペーストをそれぞれ作製する。電極ペーストをPTFE製のシート基材上に塗布、乾燥させて触媒層(正極触媒層、負極触媒層)を形成し、これをそれぞれホットプレスなどによって電解質膜2の両面にそれぞれ転写することで、電解質膜2を介して燃料極3および酸化剤極4が設けられた膜電極接合体を作製することができる。このような膜電極接合体には、通常、集電極9,10、カーボンペーパーで形成された拡散層(図示せず)がそれぞれ燃料極3、酸化剤極4の電解質膜2とは反対側に設けられることで、発電部となる燃料電池セルが作製される。
本発明の燃料電池1は、液体燃料を用いるものである。この液体燃料としては、メタノール、エタノール、ジエチルエーテルなどが挙げられ、中でもエネルギー密度、反応性の観点から、メタノールが好ましい。液体燃料としてメタノールを用いる場合、その濃度は特に制限されるものではないが、10〜100%の範囲内の濃度のエタノールを好適に用いることができる。中でも、100%の濃度のメタノールを液体燃料として使用する場合、当該液体燃料を収容する燃料容器8を小型化でき、出力密度の高い燃料電池を実現できるという利点がある。本発明の燃料電池1では、燃料容器8にこの液体燃料が収容されており、この燃料容器8から、透過膜7、撥水性部材6および燃料希釈部5を介して、液体燃料が燃料極3に供給されるように構成されている。
燃料容器8は、燃料電池において液体燃料を一時的に収容し、供給するための容器であり、当分野において通常用いられている燃料容器を特に制限なく用いることができる。図1に示す例では、液体燃料を収容し得る空間を形成する凹部を有する板状体11を、透過膜7、撥水性部材6および燃料希釈部5を介して、膜電極接合体の燃料極3側に取り付けており、当該板状体11の凹部が燃料容器8として形成されてなる例を示している。この板状体11は、燃料電池1を覆う筐体のうち、燃料極3側を覆う筐体部分を構成する。
燃料容器8は、その形成材料については特に制限されるものではないが、液体燃料としてメタノールを用いる場合には、メタノールにより溶出するような成分を含まない材料を用いて形成されてなることが好ましく、耐アルコール性の材料にて形成されることがより好ましい。耐アルコール性の材料としては、たとえばアクリルニトリル、ポリプロピレンなどを挙げることができるが、これらに制限されるものではない。また、燃料容器8の内表面を上述したような耐アルコール性の材料にてコーティングを施したものも好適に用いることができる。
図1に示す例では、当該燃料容器8は、燃料供給口8aから当該燃料容器8内に液体燃料を供給し得るように構成されている。燃料供給口8aには、たとえば、図1に示すように液体燃料を供給後、燃料容器8を密閉するための蓋体8bが取り付けられてなる。また、これに換えて、燃料供給口8aがたとえばPTFE製の封止材にて封止されており、注射針などを用いて燃料供給口8aを介して燃料容器8に液体燃料を供給し得るように構成されていてもよい。また、図1に示す例では、燃料容器8には、燃料供給時に燃料容器8内の空気を抜くための気液分離膜12が取り付けられてなる。この気液分離膜12は、たとえば連続多孔質構造を有する材料にて形成された膜を用いることができ、中でも撥水性を有する材料は水をはじくため、連続多孔質ポリテトラフルオロエチレンにて形成された膜を気液分離膜として好ましく用いることができる。
図1に示す例の本発明の燃料電池1では、燃料容器8の側壁および板状体10の凹部の開口を覆うようにして、透過膜7が設けられている。透過膜7は、燃料容器8内に収容された液体燃料を、撥水性部材6、燃料希釈部5を介して少しずつ燃料極3に供給するための膜であり、図1に示す例では、たとえば接着シート27を介して、板状体11に接着固定されて設けられる。この透過膜7には、あらゆる樹脂材料を使用することができるが、発電に必要な液体燃料の量から、形成材料、厚み、透過面積を決定することができる。すなわち、透過量をQ1〔mol/hr〕、透過係数H〔mol・m/m2・hr・(mol/l)〕、面積A〔m2〕、厚みL〔m〕、濃度差ΔC〔mol/L〕とすると、それらの間には、
Q1=H×A×ΔC/L
の関係がある。
燃料透過量を変える方法は、面積、厚み、材料、濃度差と多くのパラメータがあり、燃料電池を組み立てる上で、使用し易いパラメータを選択し設計することができる。
このような透過膜7を備えることで、燃料容器8内の液体燃料を透過膜7内に溶解し、拡散して移動させて供給することができるため、液体燃料の一部が、液体の状態または気体(蒸気)の状態で透過膜7に接触しているだけで液体燃料を移動させることができる。このため、燃料容器8が図1に示す構成と上下逆となった状態でも液体燃料を供給することができる。また、図1に示すように、燃料容器8内の一部または全部に多孔体13(たとえば、3mm厚さで目付け量600g/m2のポリエステル繊維多孔体など)を入れ、当該多孔体が絶えず透過膜7に接するようにして、直接、液体燃料に透過膜を浸漬させないようにすることもできる。
本発明の燃料電池1における透過膜7としては、たとえば、炭化水素系固体高分子電解質膜、パーフルオロカーボンスルホン酸などのメタノール透過性を有する樹脂などで形成された膜を好適に用いることができるが、これらの樹脂材料に限定されるものではない。メタノール透過量の少ないAS(アクリルニトリル・スチレン)やLDPE(低密度ポリエチレン)なども材料厚みを薄くすることで使用することができる。
本発明の燃料電池1では、透過膜7にはヒータまたは熱交換機能を有する温度調節体が埋設または接触するようにして設けられていることが好ましい。ここで、図2は、透過膜7の形成材料に用いる樹脂の温度とメタノール透過量との関係の一例を示すグラフである。図2には、透過膜7の一例として、ナフィオン115膜(デュポン社製)を用いた場合を示している。図2に示すように、透過膜7を形成する樹脂の透過係数は温度依存性を有し、温度の上昇とともに透過量が増加する。そのため、発電によりメタノール濃度が低下した場合、透過膜7の温度を上昇させることによりメタノール透過速度を上昇することができ燃料供給部の濃度を電解質膜にとって望ましい領域に保持できる。すなわち、透過膜7の温度を上昇させると、透過係数H〔mol・m/m2・hr・(mol/l)〕が大きくなり、透過膜7の温度を下げると、透過係数H〔mol・m/m2・hr・(mol/l)〕が小さくなる。
図1に示す例では、透過膜7には、ヒータ14が埋め込まれてなる。透過膜の温度分布を均一化するため膜中のヒータ14は、格子状に設置すると効果が大きいため、好ましい。また、熱伝導率の高い金属粉末を樹脂中に練りこむことで、透過膜7の熱容量と熱伝導率が高くなり、温度を安定して制御することができ、また透過膜7中の温度分布を少なくすることもできる。ただし、この場合、温度変化の応答性は多少低下するため、当該金属粉末を透過膜7中に大量に練りこむことは難しい。また、透過膜7の冷却が難しい場合、1つ以上のバイパスを設けて高温領域で使用し、外気との温度差が大きくなることによる冷却を利用するようにしてもよい。制御による温度は用いる液体燃料に応じて選択され、たとえば沸点が64℃のメタノールを液体燃料として用いる場合には、64℃以下の温度で制御を行なうことが好ましい。なお、図2に示したように、高温になるにしたがって透過量の温度依存性が大きくなるため、一般に、供給量の制御は高温になると困難となる。
本発明の燃料電池1において、図1には、液体燃料の供給経路は、透過膜7を介した一経路にて実現された例を示しているが、少量の供給量を制御する必要がある場合、透過膜による流路を複数路も設けて、温度コントロール領域を変えて制御することができる。ここで、図3は、本発明の第2の実施態様の燃料電池の一部を拡大して模式的に示す断面図である。なお、図3に示す例の燃料電池は、一部を除いて図1に示した例の燃料電池1と同様の構造を有しており、同様の構成を備える部分については同一の参照符を付して説明を省略する。図3に示す例の燃料電池では、2つに区分けされた燃料容器31,32を有し、一方の燃料容器31には、ヒータ35が埋設された透過膜33を隣接させ、他方の燃料容器32には、ヒータを設けていない透過膜34を隣接させてなる。このような構成の場合、通常は、温度制御のない状態で使用しておき、燃料不足が生じた場合には、燃料容器31側の透過膜33に埋設されたヒータ35を温度上昇させ、燃料供給量を増加させるようにすることができる。
なお、図3に示すように、ヒータ35に温度センサ36を組み合わせて用いてもよい。温度センサ36としては、たとえは熱電対などの公知の温度センサを特に制限することなく用いることができる。温度センサの取り付けが難しい場合には、図1に示す例にようにヒータ14のみを設け、ヒータの抵抗変化から透過膜中の温度を読み取るようにしてもよい。このようなヒータ(および温度センサ)を設けた透過膜は、たとえば、透過膜材料として熱溶着可能なフィルムを用い、当該フィルム間にヒータ(および温度センサ)を組み込み、フィルム樹脂の溶融温度にてプレスすることで一体化して形成することが可能である。また、ヒータ(および温度センサ)をセット後、透過膜材料となる樹脂を流し込んで成型して形成するようにしてもよい。
また上述した例では、ヒータを用いて、電力を利用した温度制御の方法を採用しているが、高温または低温の流体を使用し、熱交換を利用した温度制御の方法を採用するようにしてもよい。ここで、図4は、本発明の第3の実施態様の燃料電池の一部を拡大して模式的に示す断面図である。なお、図4に示す例の燃料電池は、一部を除いて図1に示した例の燃料電池1と同様の構造を有しており、同様の構成を備える部分については同一の参照符を付して説明を省略する。図4に示す例では、図3に示したのと同様に、2つに区分けされた燃料容器41,42を有し、一方の燃料容器41には、熱交換機能を有する温度調節体45が埋設された透過膜43を隣接させ、他方の燃料容器42には、温度調節体を埋設していない透過膜44を隣接させてなる。このような温度調節体としては、その内部を流体が流れる熱交換チューブを用いることができ、熱交換チューブの形成材料としては、熱伝導率が高く、肉厚を薄くできる金属材料、安価なプラスチック材料などを好ましく用いることができる。ただし、材料が透過燃料に対する耐性を有する必要があり、耐性を有する被覆チューブを使用しても構わない。また、図4に示す例では、図3に示した例と同様に、温度調節体45が埋設された側の透過膜43には、温度センサ36も埋設されてなる。
なお、図1、図3および図4にそれぞれ示した例では、透過膜中にヒータまたは温度調節体を埋設してなる例を示したが、透過膜の温度を調整し得るならば、透過膜の表面に接触するように設けられていてもよい。また、上述した温度調節体は、透過膜中に、内部にメタノール燃焼触媒(たとえば白金など)を固定した流路を設け、温度制御用のメタノールの供給量を変えて、大気中の酸素による酸化反応熱を利用して透過膜の温度制御を行なうように構成されていてもよい。
本発明の燃料電池では、透過膜にヒータまたは熱交換機能を有する温度調節体が埋設または接触するようにして設けられていることによって、燃料容器と燃料希釈部との間で、温度依存性を有する透過膜の温度を制御することで、電解質膜において望ましい濃度となるように液体燃料を可変供給することができる。これによって、燃料極における液体燃料の濃度を必要以上に高濃度とする必要がなく、クロスオーバー量が低下して供給酸素量が減少するとともに、燃料容器中の燃料の利用効率が高く、また出力変動に対応できる出力可変な燃料電池を実現することができる。さらに上述したような効果を奏する本発明の好ましい燃料電池では、結果として小型化することも可能となる。
本発明の燃料電池1では、上述した透過膜7に隣接して、撥水性部材6が設けられる。この撥水性部材6は、後述する燃料希釈部5からの水の拡散を防止するため、撥水性を有するシート状物(燃料が通過するための穴が予め形成されてなる)や多孔体が用いられる。液体燃料としてメタノールを用いる場合、メタノールは水よりも低沸点の成分であるため、当該撥水性部材6はメタノールを透過しやすい反面、沸点の高い水は透過量が抑制される。このような撥水性部材6の形成材料としては、特に制限されるものではないが、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリテトラフルオロエチレンなどを用いることができ、中でも強い撥水性を示すことから、ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
本発明の燃料電池1では、このような撥水性部材6を透過膜7と燃料希釈部5との間に設けることで、燃料供給の際に、水の逆拡散による燃料容器8における液体燃料の濃度の低下が生じにくく、水の抜き取り頻度が低下し燃料の継ぎ足しにより連続動作が可能である。このため、長時間使用後の燃料の入れ替えを必要としない、従来に比べて利便性がよい燃料電池を提供することができる。また撥水性部材6を設けることで、廃棄物を減少できるという効果もある。
燃料希釈部5は、上述した撥水性部材6と燃料極3との間に設けられ、燃料容器8から透過膜7および撥水性部材6を介して供給された液体燃料を水と合流させて希釈する部分である。このような燃料希釈部5は、水分を含む、親水性の多孔体にて構成される。燃料希釈部5を構成する親水性の多孔体としては、たとえば、ポリエステル繊維、ポリウレタンスポンジ、ポリビニルホルマール樹脂などを用いることができ、中でも耐薬品性を有する観点から、ポリエステル繊維が好ましい。なお、小型の燃料電池を実現する場合には、燃料希釈部5に、親水性を有するシートや不織布を用いることもできる。
燃料希釈部5において用いられる、液体燃料を希釈するための水は、酸化剤極4にて発電により生成した水や、電解質膜2をクロスオーバーしたメタノールが酸化され生成された水(外部に設けた流路を通して回収)を用いることができる。また、燃料電池1の外部に水貯蔵容器を設け水を供給するようにしてもよい。なお、酸化剤極4で生成した水は、電解質膜2中に戻すようにしてもよい。
燃料容器8から透過膜7を介して撥水性部材6に供給された液体燃料は、当該撥水性部材6の両界面において、部材表面から燃料が気化し、部材中を移動して、燃料極3側の水分を含む燃料希釈部5に拡散していく。一方、燃料希釈部5に含まれる水分は、撥水性部材6が存在するため燃料容器8側への移動が抑制され、連続的に液体燃料が燃料希釈部5に供給され、燃料希釈部5において液体燃料の希釈が行なわれ、燃料極3への希釈された液体燃料の供給が可能となる。
燃料希釈部5において希釈された液体燃料、および水は、燃料極3側に設けられた拡散層中の拡散により、燃料極3中の触媒金属、集電体9および電解質膜2の三相界面にてプロトン、電子および二酸化炭素となり、プロトンは、電解質膜2中を酸化剤極4側に移動し、電子は集電体9および燃料極3を経て酸化剤極4側へ移動する。
燃料極:CH3OH+H2O→CO2+6H++6e- (1)
上記で発生した二酸化炭素は、拡散層中の空間を通って燃料容器8にまで移動し、気液分離膜(図示せず)を通って排気口15から燃料電池1の外部に排出される。その際、二酸化炭素には少量のメタノールガスが含有されているため、排気口15に設けたメタノール酸化触媒16により排出炭酸ガスを利用したベンチュリー効果を利用して、空気取入口17から空気を取り入れる。メタノール酸化触媒16としては、たとえば白金などを用いることができるが、これに限定されるものではない。なお、拡散層内での液体燃料および二酸化炭素の移動を良くするため、拡散層内部に親水性、撥水性の流路をそれぞれ設けて、メタノール水の供給路と二酸化炭素の排出路とを別々に設けるようにしてもよい。
一方、酸化剤極4では、酸素が、酸化剤極4側の拡散層中を拡散により移動し、酸化剤極4中の触媒金属、集電体10および電解質膜2の三相界面にて、プロトン、電子、酸素より、水を生成する。
酸化剤極:3/2O2+6H++6e-→3H2O (2)
燃料極3、酸化剤極4を含めた反応は、次のとおりである。
全反応:CH3OH+3/2O2→CO2+2H2O (3)
酸化剤極4にて生成した水の一部は、電解質膜2中に溶解し、当該電解質膜2中の水分濃度差による拡散により濃度の低い方へ移動する。一方、溶解できない水分は、酸化剤極4側の拡散層中から排出され、酸化剤極4に隣接するようにして設けられた多孔体18(後述)を介して燃料希釈部5へ移動する。また、一部の水は、酸化剤極4の排ガスとして燃料電池1の外部へ排出される。
本発明の燃料電池1における燃料希釈部5は、上述したように親水性を有する多孔体にて形成され、燃料極3に隣接して設けられている。図1に示す例では、この燃料希釈部5は、毛細管力が当該燃料希釈部5を形成する多孔体よりも弱い多孔体18を介して酸化剤極4に接続されている。このような多孔体18としては、たとえばポリエステル多孔体を用いることができ、特に制限されるものではないが、中でも電解質膜の近傍に位置するため、耐酸性を有する材料が好ましい。
酸化剤極4における発電反応にて生成した水や電解質膜2をクロスオーバーし酸化されて生成した水は、酸化剤極4側の拡散層の表面に排出され、水輸送のための多孔体18に前記拡散層から吸い上げられる。多孔体18は、図1に示すように、酸化剤極4で生成した水の吸い上げと、酸化剤極に空気を送るときの空気を確保するため、拡散層上に互いに間隔を設けて複数設置してなることが好ましい。ここで、各多孔体18間の間隔は、1〜10mmであることが好ましい。多孔体18の間隔が少なすぎると水分の汲み上げはよいが、酸化剤極への空気の供給の阻害となり、また多孔体18の間隔が多すぎると、水分の汲み上げの律速となる。
上述したように酸化剤極4に隣接する多孔体18は、当該多孔体18に隣接する燃料希釈部5を構成する多孔体よりも毛細管力が弱いものであるため、多孔体18に汲み上げられた水は、燃料希釈部5に移動する。ここで、燃料希釈部5には、表面が親水性である水分蒸発体19がさらに接続されてなることが好ましい。図1に示す例では、燃料希釈部5は、前記多孔体18に隣接する部分、燃料極3に隣接する部分、撥水性部材6に隣接する部分、ならびに、上記水分蒸発体19が接続された部分を除いては、フィルム20にて覆われてなる。当該フィルム20は、燃料希釈部5からの水分の揮発を抑制するために設けられてなるものであり、水分透過量の少ないフィルムが好ましい。このようなフィルムとしてはたとえば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリ四フッ化エチレン、ポリ塩化ビニリデンなどで形成されたフィルムが例示される。
図5は、図1に示した例の燃料電池1を一部拡大して示す図である。図5に示すように、燃料希釈部5は、バッファ部21を介して水分蒸発体19に接続されてなる。燃料希釈部5において、燃料極3に供給するための液体燃料の希釈に用いる水が必要量を超え、当該燃料希釈部5を構成する多孔体の最大吸水量を超えた場合には、余剰水分は、バッファ部21に最終的に集められ、水分蒸発体19により気化させて放出し得るように構成されている。バッファ部21は、メインの回路部からはみ出すような形状に形成されており、親水性でメインの回路を形成している多孔体と同材質であっても構わないが、空隙間距離がメイン回路の空隙間距離より大きく毛細管力が弱い構造である、たとえばポリエステル繊維などの材料を用いて好ましく形成されてなる。バッファ部21を介して燃料希釈部5に接続された水分蒸発体19は、外気に気化しやすいように表面が親水性で多孔質のフィン形状で広い表面積を有するように形成されていることが好ましい。水分蒸発体19の表面が親水性であると、水の広がりがよく、水分と外気との接触面積が増加し、余剰分の水分を気化させやすい。
また、本発明の燃料電池は、燃料極および/または酸化剤極を覆う筐体をさらに備え、当該筐体は、燃料極および/または酸化剤極と外部空間とを連通する開口の少なくとも一部に白金を含有する材料が固着されたものであることが、好ましい。図1に示す例では、上述したように燃料容器8を形成する凹部を有する板状体11によって燃料極3を覆う筐体が形成され、また、板状体22によって酸化剤極4を覆う筐体が形成されてなる。そして、膜電極接合体を電解質膜固定板23にて固定した状態で板状体11,22で挟み込み、ボルトおよびナットなどの固定部材24にてこれらを圧接固定してなる。酸化剤極4を覆う板状体22には、空気の入れ換えのための開口部25が複数設けられ、この開口部25の内表面に白金を含有する材料が設けられてなる。この材料26は、メタノール酸化触媒であり、このような材料が前記開口部25に設けられてなることで、カソード側の開口部に未反応の状態で筐体外に排出されるメタノールの量を低減できるという利点がある。なお、当該開口部および白金を含有する材料は、燃料極を覆う筐体(すなわち、図1に示す例では板状体11)に設けられていてもよく、両方の筐体に設けられていても勿論よい。
以上説明したように、本発明の燃料電池は、電解質膜の種類によらず、燃料極における液体燃料の濃度を制御することができ、液体燃料のクロスオーバーを抑制しつつ発電できる。また、本発明の燃料電池では、燃料希釈部からの水が燃料容器に移動することを抑制した構造であるため、液体燃料を用いた連続的な発電が可能である。これらのことから、本発明の燃料電池は、比較的簡単な構造であって、小型化および軽量化が容易であるとともに、上述のように液体燃料の注ぎ足しにより連続的に発電できるものであるため、携帯用電源として好適に利用することができる。
ここで、本発明の燃料電池は、上述したように、透過膜にはヒータまたは熱交換機能を有する温度調節体が埋設または接触するようにして設けられていることが好ましいが、この場合、燃料電池の開回路電圧および電流量を積算し、得られた情報をもとにヒータまたは温度調節体を制御し得る制御手段をさらに備えることが、さらに好ましい。図6は、本発明の第4の実施態様の燃料電池の制御方法の一例を示すブロック図であり、図7は、本発明の第4の実施態様の燃料電池の制御方法の一例を示すフローチャートである。
図6および図7に示す第4の実施態様の燃料電池では、上述してきた本発明の燃料電池と同様の基本構成を備えるとともに、たとえば3つに区分けされた燃料容器を有し、各燃料容器に透過膜A,B,Cがそれぞれ隣接してなる構成を備える例を示している。またこの例において、透過膜Aは通常の流路(第1の流路)としてヒータまたは温度調節体が設けられていない透過膜であり、透過膜Bはバイパス流路(第2の流路)として図3に示した例にようにたとえばヒータおよび温度センサが設けられた透過膜であり、透過膜Cは第1の流路、第2の流路とは別の第3の流路として、透過膜Bと同様にヒータおよび温度センサが設けられた透過膜である。そして、上述した各流路が合流した流路と燃料電池の燃料極との間に、開閉により液体燃料の流量を制御できる電磁弁が取り付けられ、また燃料電池と負荷との間には、電流計、電圧計、リレーが接続されている。さらに、透過膜B,Cにおけるヒータおよび温度センサ、電磁弁、電流計、電圧計、リレーは、燃料電池の開回路電圧および電流量を積算し、得られた情報をもとにヒータまたは温度調節体を制御し得る制御手段にそれぞれ接続されている。なお、制御手段をはじめとする上述した各構成要素は、従来より広く用いられている手段を適宜組み合わせることで、実現することができる。
図7に示すフローチャートでは、まず、燃料極における燃料供給状態を確認するため、電磁バルブを開き、負荷回路を遮断する(回路開)。次に、開回路電圧を測定し、この開回路電圧が予め定めた所定値以上であるか否かを判定する。開回路電圧が所定値未満である場合には、透過膜Bおよび透過膜Cを一定時間加温し、再度、開回路電圧を測定し、所定値以上となるまで繰り返す。この際、まず、開回路電圧が所定値未満であった場合、次に電圧差が所定値Xよりも大きいか否かを判定し、電圧差が所定値X以下となった場合に透過膜Bを加温し、透過膜Cの加温を停止するようにする。
開回路電圧が所定値以上になった場合、負荷回路を接続し(回路閉)、電流測定・電流積算を行なう。そして、電流値が所定値以下であれば電圧測定し、電圧が所定値より小さい場合、さらに電圧差を測定する。電圧差が値Yより大きい場合、一定時間、透過膜B、透過膜Cを加温して電流、電圧を測定し、電圧所定値を確認し燃料の供給状態を読み取る。反対に、測定された電圧が所定電圧値より大きい場合は、透過膜B、透過膜Cは加温せずに連続動作を繰り返す。取り出し電流の要求が所定値より減少した場合は、回路の遮断と燃料供給バルブを遮断する。
このような構成を備える本発明の第4の実施態様の燃料電池によれば、好適な濃度の液体燃料の供給を自動的に制御させることが可能となる。なお、上述したのは制御の一例であり、これに限定されるものではない。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
図1に示した例の燃料電池1を作製した。ナフィオン117膜(デュポン社製)の両面にそれぞれ触媒層を形成し、さらに集電極(70ミクロン径100メッシュの金メッシュ)および拡散層の役目をするカーボンペーパー(SGLカーボン製カーボンペーパーGDL31BC)を取り付けて、電解質膜2の両面に燃料極3および酸化剤極4が形成された構造の膜電極接合体を作製した。この膜電極接合体を、電解質膜固定板23で固定した。
燃料希釈部5としては、ポリエステル繊維からなり、繊維間の距離が、酸化剤極4側から燃料極3側に行くに従って狭くなり、毛細管力が酸化剤極4側から燃料極3側に向かって大きくなるように形成された多孔体を用いた。なお、燃料希釈部5は、燃料極3には直接隣接させ、酸化剤極4には、カーボンペーパーとの間に約3mmの空間を保持するような多孔体18をスペーサ材として介在させて設けた。
燃料極3側を覆う筐体を構成する板状体11としては、耐メタノール性を有するアクリル樹脂製のものを用い、燃料容器8を形成する凹部には、燃料注入口8aが形成されるとともに、メタノール透過性を有するナフィオン115膜(デュポン社製)を透過膜7として用いた。透過膜7は、燃料容器8内に多孔体13(ポリエステル繊維多孔体、3mm厚さで目付け量600g/m2)を収容後、耐メタノールを有する接着シート27にて燃料容器8に接着させた。また、透過膜7には、これを組み込む前にヒータ線を挟み込んでホットプレスすることにより、ヒータ14が埋め込まれたものを用いた。また、酸化材極4側を覆う筐体として、アクリル樹脂製であり、酸化剤極4の空気の取り換えを行なうための開口部25が形成された板状体22を用いた。板状体22の開口部25には、メタノール酸化触媒である白金を含有する材料26(白金を練り込んだハニカム構造触媒)を設けた。
板状体11を、透過膜7と燃料希釈部5との間に撥水性部材6が介在されるようにして、燃料極3側を覆うようにして設けるとともに、板状体22にて酸化剤極4側から覆うようにして筐体を構成し、ボルトおよびナットを固定部材24として用いてこれらで電解質固定部材24に固定された膜電極接合体を挟み込んで固定した。撥水性部材6としては、24μmの厚みのPETフィルムに直径1mm穴を設けたものを用いた。
このような構成を備える燃料電池1に、燃料注入口8aから液体燃料としてメタノールを燃料容器8内に注入し、透過膜7、撥水性部材6および燃料希釈部5を液体燃料に含浸させ、これらを介してメタノールが燃料極3に供給されるようにした。そして、ヒータ14に間欠的に電流を流し、透過膜7の温度を上昇させた場合と、ヒータ14に通電しない場合とで取り出し出力を比較した。結果、ヒータ14に通電しない場合には、約25℃で出力低下が短時間で生じたが、ヒータ14で約30℃まで加熱した場合には出力が高く出力低下するまでの時間が長くなった。
<実施例2>
透過膜7として炭化水素系の固体高分子電解質膜を用いたこと以外は実施例1と同様にして、図1に示した例の燃料電池1を作製した。実施例1と同様に、ヒータ14に間欠的に電流を流し、透過膜7の温度を上昇させた場合と、ヒータ14に通電しない場合とで取り出し出力を比較したところ、同様に、透過膜7の温度を上昇させた方が出力の低下までの時間が長くなる傾向にあるという結果が得られた。
以上の結果を比較すると、一定出力で負荷を加えると透過膜の温度を上げない場合、ある少ない量の燃料の供給に対して、負荷にて消費される燃料の量が多い場合、燃料不足になる出力が低下した。それに対して温度を上昇させると透過膜を透過する燃料の供給速度が増し燃料不足になるまでの時間が長くなった。
<比較例1>
撥水性部材6を設けなかったこと以外は、実施例1と同様にして燃料電池を作製した。この場合、実施例1の燃料電池と比較して、燃料容器内の水濃度の上昇が早く、長時間使用する場合には、燃料容器内の水を取り除く必要が早い時点で生じる結果となった。
以上の結果から、本発明の燃料電池では、燃料電池の出力変動を要求するシステムにおいて透過膜の温度を変えることで燃料の供給速度を変化させることが可能であり、燃料電池の発電により消費するメタノール量の変化に対しメタノールの供給量を変化させることができる。結果、電池からの取り出し電力を増加させた場合、温度制御しない場合は、電池の出力がすぐに低下したが、温度制御をかけることで安定して出力できる時間が延びた。また、撥水性部材を設けることで燃料容器への水の移動が減少し燃料容器からの燃料の抜き取る頻度が低下した。
今回開示された実施の形態、実施例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
本発明の第1の実施態様の燃料電池1を模式的に示す断面図である。 透過膜7の形成材料に用いる樹脂の温度とメタノール透過量との関係の一例を示すグラフである。 本発明の第2の実施態様の燃料電池の一部を拡大して模式的に示す断面図である。 本発明の第3の実施態様の燃料電池の一部を拡大して模式的に示す断面図である。 図1に示した例の燃料電池1を一部拡大して示す図である。 本発明の第4の実施態様の燃料電池の制御方法の一例を示すブロック図である。 本発明の第4の実施態様の燃料電池の制御方法の一例を示すフローチャートである。
符号の説明
1 燃料電池、2 電解質膜、3 燃料極、4 酸化剤極、5 燃料希釈部、6 多孔質構造体、7,33,34,43,44 透過膜、8,31,32,41,42 燃料容器、8a 燃料供給口、8b 蓋体、9,10 集電極、11 板状体、12 気液分離膜、13 多孔体、14,35 ヒータ、15 排気口、16 メタノール酸化触媒、17 空気取入口、18 多孔体、19 水分蒸発体、20 フィルム、21 バッファ部、22 板状体、23 電解質膜固定板、24 固定部材、25 開口部、26 白金を含有する材料、27 接着シート、36 温度センサ、45 温度調節体。

Claims (5)

  1. 電解質膜を介して燃料極と酸化剤極とが設けられてなり、前記燃料極側に透過膜を備え、前記透過膜には、ヒータまたは熱交換チューブを有する温度調節体が埋設または接触するように設けられており、液体燃料が前記透過膜を介して、前記燃料極に供給されることを特徴とする燃料電池。
  2. 前記燃料極側から順に燃料希釈部、撥水性部材、前記透過膜を備える、請求項1に記載の燃料電池。
  3. 前記透過膜は、樹脂中に金属粉末が練りこまれたものである、請求項1または2に記載の燃料電池。
  4. 前記温度調節体が、透過膜に格子状に設けられたものである、請求項1〜のいずれかに記載の燃料電池。
  5. 複数に区分けされた燃料容器を備える、請求項1〜のいずれかに記載の燃料電池。
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