JPH041326Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、内燃機関のシリンダヘツドカバー
と、内部に点火プラグが挿通されるプラグチユー
ブとの間のプラグチユーブガスケツトによるシー
ル構造に関する。

［従来の技術］ 内燃機関において、点火プラグ挿入用の円筒穴
を形成するためには、シリンダヘツド上にプラグ
チユーブが取付けられるが、シリンダヘツドカバ
ーがシリンダヘツド上部をほぼ全域にわたつて覆
う形状に形成される場合には、プラグチユーブを
シリンダヘツドカバー内に設けかつ外部に対して
開口させなければならない。このようなタイプの
機関にあつては、シリンダヘツドカバー内の飛散
オイルを外部に対してシールするために、プラグ
チユーブとシリンダヘツドカバーとの間には通常
プラグチユーブガスケツトが装着される。

従来、この部分のシール構造は、たとえば、第
５図に示すようになつている。図において、１は
シリンダヘツドカバー、２はプラグチユーブを示
しており、この間はプラグチユーブガスケツト３
によりシールされている。プラグチユーブガスケ
ツト３は、プラグチユール２の上端部に埋設金属
環４等により位置決めされて装着され、そのリツ
プ部５がシリンダヘツドカバー１の下面まで延び
て該下面に押圧される。プラグチユーブガスケツ
ト３は、通常ゴムで構成され、プラグチユーブ２
上端部に圧入されるとともにリツプ部５がその弾
性によりシリンダヘツドカバー１に押圧され、シ
リンダヘツドカバー１とプラグチユーブ２間がシ
ールされる。このシール性能を保つためには、プ
ラグチユーブガスケツト３がシリンダヘツドカバ
ー１とプラグチユーブ２とに良好に密着されるこ
とが必要であるが、従来から、プラグチユーブ外
周面側に鍔を形成し、該鍔によつてプラグチユー
ブガスケツトを下方から支え、プラグチユーブガ
スケツトを圧縮して密着性を保つようにした構造
が知られている（実開昭60−58844号公報）。

［考案が解決しようとする問題点］ ところが、上記第５図に示すような構造におい
ては、プラグチユーブ２の上端部とシリンダヘツ
ドカバー１のガスケツト当り面間の寸法Ｌがばら
つくと、プラグチユーブガスケツト３のリツプ部
５の密着性が低下し、シリンダヘツドカバー１内
のオイルに対するシール性能が不十分になるおそ
れがあるという問題がある。この寸法Ｌのばらつ
きは、それぞれ個別に製作されるシリンダヘツド
カバー１、プラグチユウーブ２の高さ方向の製造
ばらつきによつて生じることがある。また、シリ
ンダヘツドカバー１の膜振動により、機関運転中
にもＬが変動する。さらに、シリンダヘツドカバ
ー１が樹脂製の場合、シリンダヘツドカバー１が
熱によりクリープし、寸法Ｌが変動することがあ
る。

また、プラグチユーブガスケツト３はゴム製で
あるので、長期間使用している内にはゴムが熱等
により劣化することも考えられ、該劣化によりシ
ール力が低下するおそれもある。

本考案は、上記のような問題点に着目し、シリ
ンダヘツドカバーとプラグチユーブ間の各種寸法
変動に対するプラグチユーブガスケツトリツプ部
の追従性を向上した、かつゴムが多少劣化した場
合にも高いシール用密着力の得られるシール構造
を提供し、シリンダヘツドカバーとプラグチユー
ブ間のシール性を向上することを目的とする。

［問題点を解決するための手段］ この目的に沿う本考案のシリンダヘツドカバー
とプラグチユーブ間のシール構造は、シリンダヘ
ツドカバーとプラグチユーブの間に、プラグチユ
ーブ上端部外周に装着され、シリンダヘツドガバ
ーの上壁下面に当接するまで延びるリツプ部を有
するプラグチユーブガスケツトを介装したシール
構造において、リツプ部のシリンダヘツドカバー
上壁下面への当接面と反対側に、すなわちリツプ
部の背面側に、リツプ部をシリンダヘツドカバー
上壁下面に向けて付勢するばね手段を設けたもの
から成つている。

ばね手段は、プラグチユーブガスケツトの外周
に装着される環状装着部と、該環状装着部からリ
ツプ部の背面に放射状に延びる複数の板ばね部と
からなる環状板ばね、又はリツプ部背面側にて環
状に延びるスプリング等から構成される。

［作 用］ このようなシール構造においては、リツプ部は
ばね手段によつて常に強制的にシリンダヘツドカ
バーの上壁下面に押圧されるので、プラグチユー
ブ上端とシリンダヘツドカバーのガスケツト当り
面との間の隙間寸法がばらついたとしても、ある
いはシリンダヘツドカバーのクリープや振動によ
り該寸法が変動したとしてのも、リツプ部は該寸
法変動に高い追従性をもつて追従する。したがつ
て、リツプ部の必要なシール面圧は維持され、こ
の間が良好にシールされる。また、リツプ部はば
ね手段により強制的に付勢されるので、プラグチ
ユーブガスケツトのゴムが多少劣化傾向になつて
も、リツプ部はシリンダヘツドガバー上壁下面に
密着され、シール力は維持される。

［実施例］ 以下に本考案の望ましい実施例を図面を参照し
て説明する。

第１図ないし第３図は、本考案の第１実施例に
係るシリンダヘツドカバーとプラグチユーブ間の
シール構造を示している。図において、１１はシ
リンダヘツドカバー、１２はプラグチユーブを示
しており、この間にプラグチユーブガスケツト１
３が介装される。プラグチユーブ１２の上部に
は、レジステイブコード１４が挿入される。

プラグチユーブガスケツト１３は、プラグチユ
ーブ１２の上端部外周に装着されるプラグチユー
ブ装着部１５と、シリンダヘツドカバー１１の上
壁下面１１ａまで延び該下面１１ａに押しつけら
れるリツプ部１６とから成つており、これらはゴ
ムで構成されている。プラグチユーブ装着部１５
には、断面逆Ｌ字状の金属環１７が埋設されてお
り、プラグチユーブ１２の上端部外周に圧入され
る際、金属環１７の上端部下面がプラグチユーブ
１２の上端面に当接することによりプラグチユー
ブガスケツト１３の位置が決められている。

リツプ部１６のシリンダヘツドガバー上壁下面
１１ａへの当接面と反対側、つまりリツプ部１６
の背面側には、ばね手段としての環状板ばね１８
が装着されている。環状板ばね１８は、プラグチ
ユーブ１２の外周面と略並行に延びるプラグチユ
ーブガスケツト１３の外周面に装着される環状装
着部１９と、該環状装着部１９からリツプ部１６
の背面に放射状に延びる複数の板ばね部２０と、
から構成されており、プラグチユーブガスケツト
１３外周面に形成した切欠き部２１により位置決
めされて装着されている。板ばね部２０は、その
弾性によつて、常時リツプ部１６を背面側からシ
リンダヘツドカバー上壁下面１１ａに向けて付勢
している。

上記のように構成された実施例装置において
は、プラグチユーブガスケツト１３のプラグチユ
ーブ装着部１５はプラグチユーブ１２の上端部に
固定され、リツプ部１６はシリンダヘツドガバー
上端下面１１ａに押圧されてこの間がシールされ
る。環状板ばね１８は、その環状装着部１９がプ
ラグチユーブ装着部１５側に固定され、その板ば
ね部２０は、リツプ部１６を常時背面側からシリ
ンダヘツドガバー上壁下面１１ａに向けて強制的
に付勢する。この強制的な付勢により、リツプ部
１６の上端面は、シリンダヘツドカバー上壁下面
に強力に密着され、この部分の十分なシール力が
得られる。そして、組付時あるいは組付後に、プ
ラグチユーブ１２の上端面とシリンダヘツドカバ
ー上壁下面１１ａとの寸法にばらつき、変動が生
じたとしても、板ばね部２０による下方からの付
勢により、リツプ部１６は上記変動に良好に追従
することになり、リツプ部１６の必要なシール面
圧は維持される。

またプラグチユーブガスケツト１３を構成する
ゴムに多少の劣化が生じたとしても、リツプ部１
６は板ばね部２０により強制的に付勢されてお
り、かつ環状板ばね１８自身には劣化は生じない
ので、リツプ部１６によるシール性能は略そのま
ま維持される。

つぎに、第４図に本考案の第２実施例を示す。
本実施例においては、プラグチユーブガスケツト
３０のリツプ部３１の背面側に、ばね手段として
環状のスプリング３２が設けられている。スプリ
ング３２は、リツプ部３１の背面のゴムに対し、
たとえば接着、加硫接着等により位置が固定さ
れ、その収縮力により、リツプ部３１をシリンダ
ヘツドカバー上壁下面１１ａに向けて常時付勢し
ている。

このように、環状のスプリング３２によつて
も、リツプ部３１のシリンダヘツドカバー上壁下
面１１ａへの強制的な押圧力、およびリツプ部３
１の各種寸法変動に対する吸収追従性が得られ
る。その他の構成、作用は第１実施例に準じる。

［考案の効果］ 以上説明したように、本考案のシリンダヘツド
ガバーとプラグチユーブ間のシール構造によると
きは、ばね手段によりプラグチユーブガスケツト
リツプ部を常時強制的にシリンダヘツドカバー下
面に向け付勢するようにしたので、プラグチユー
ブ上端とシリンダヘツドカバーのガスケツト当り
面との隙間のばらつき、変動に対し、組付時にも
組付後にもリツプ部の高い追従性が得られ、この
間のシール性を向上することができるという効果
が得られる。

また、リツプ部はばね手段により強制的にシリ
ンダヘツドガバー下面に密着されるので、ゴムが
多少劣化しても十分なシール力を確保でき、長期
間にわたる安定したシール性能が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例に係るシリンダヘ
ツドカバーとプラグチユーブ間のシール構造の縦
断面図、第２図は第１図の装置の部分拡大縦断面
図、第３図は第２図の装置のばね手段の斜視図、
第４図は本考案の第２実施例に係るシリンダヘツ
ドカバーとプラグチユーブ間のシール構造の縦断
面図、第５図は従来のシール構造の縦断面図、で
ある。 １１……シリンダヘツドカバー、１１ａ……シ
リンダヘツドカバー上壁下面、１２……プラグチ
ユーブ、１３，３０……プラグチユーブガスケツ
ト、１５……プラグチユーブ装着部、１６，３１
……リツプ部、１７……金属環、１８……ばね手
段としての環状板ばね、１９……環状装着部、２
０……板ばね部、３２……ばね手段としてのスプ
リング。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) シリンダヘツドカバーとプラグチユーブの間
   に、プラグチユーブ上端部外周に装着され、シ
   リンダヘツドカバーの上壁下面に当接するまで
   延びるリツプ部を有するプラグチユーブガスケ
   ツトを介装したシリンダヘツドカバーとプラグ
   チユーブ間のシール構造において、前記リツプ
   部のシリンダヘツドカバー上壁下面への当接面
   と反対側に、リツプ部をシリンダヘツドカバー
   上壁下面に向けて付勢するばね手段を設けたこ
   とを特徴とするシリンダヘツドガバーとプラグ
   チユーブ間のシール構造。 (2) 前記ばね手段を、プラグチユーブガスケツト
   の外周に装着される環状装着部と、該環状装着
   部から前記リツプ部の背面に放射状に延びる複
   数の板ばね部とからなる環状板ばねから構成し
   た実用新案登録請求の範囲第１項記載のシリン
   ダヘツドカバーとプラグチユーブ間のシール構
   造。 (3) 前記ばね手段を、前記リツプ部背面側にて環
   状に延びるスプリングから構成した実用新案登
   録請求の範囲第１項記載のシリンダヘツドカバ
   ーとプラグチユーブ間のシール構造。