JPH041327Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、内燃機関のシリンダヘツドカバー
と、内部に点火プラグが挿通されるプラグチユー
ブとの間のプラグチユーブガスケツトによるシー
ル構造に関する。

［従来の技術］ 内燃機関において、点火プラグ挿入用の円筒穴
を形成するためには、シリンダヘツド上にプラグ
チユーブが取付けられるが、シリンダヘツドカバ
ーがシリンダヘツド上部をほぼ全域にわたつて覆
う形状に形成される場合には、プラグチユーブを
シリンダヘツドカバー内に設けかつ外部に対して
開口させなければならない。このようなタイプの
機関にあつては、シリンダヘツドカバー内の飛散
オイルを外部に対してシールするために、プラグ
チユーブとシリンダヘツドカバーとの間には通常
プラグチユーブガスケツトが装着される。

従来、この部分のシール構造は、たとえば、第
５図に示すようになつている。図において、１は
シリンダヘツドカバー、２はプラグチユーブを示
しており、この間はプラグチユーブガスケツト３
によりシールされている。プラグチユーブガスケ
ツト３は、プラグチユーブ２の上端部に埋設金属
環４等により位置決めされて装着され、そのリツ
プ部５がシリンダヘツドカバー１の下面に押圧さ
れる。プラグチユーブガスケツト３は、通常ゴム
で構成され、プラグチユーブ２上端部に圧入され
るとともにリツプ部５がその弾性によりシリンダ
ヘツドカバー１に押圧され、シリンダヘツドカバ
ー１とプラグチユーブ２間がシールされる。この
シール性能を保つためには、プラグチユーブガス
ケツト３がシリンダヘツドカバー１とプラグチユ
ーブ２とに良好に密着されることが必要である
が、従来から、プラグチユーブ外周面側に鍔を形
成し、該鍔によつてプラグチユーブガスケツトを
下方から支え、プラグチユーブガスケツトを圧縮
して密着性を保つようにした構造が知られている
（実開昭60−58844号公報）。

［考案が解決しようとする問題点］ ところが、上記第５図に示すような構造におい
ては、プラグチユーブ２の上端部とシリンダヘツ
ドカバー１のガスケツト当り面間の寸法Ｌがばら
つくと、プラグチユーブガスケツト３のリツプ部
５の密着性が低下し、シリンダヘツドカバー１内
のオイルに対するシール性能が不十分になるおそ
れがあるという問題がある。この寸法Ｌのばらつ
きは、それぞれ個別に製作されるシリンダヘツド
カバー１、プラグチユーブ２の高さ方向の製造ば
らつきによつて生じることがある。また、シリン
ダヘツドカバー１の膜振動により、機関運転中に
もＬが変動する。さらに、シリンダヘツドカバー
１が樹脂製の場合、シリンダヘツドカバー１が熱
によりクリープし、寸法Ｌが変動することがあ
る。

また、プラグチユーブガスケツト３はゴム製で
あるので、長期間使用している内にはゴムが熱等
により劣化することも考えられ、該劣化によりシ
ール力が低下するおそれもある。

本考案は、上記のような問題点に着目し、シリ
ンダヘツドカバーとプラグチユーブ間の組付時に
おけるあらゆる方向の寸法誤差を吸収し、かつ組
付後の各種寸法変動に対しプラグチユーブガスケ
ツトの高い追従性を有し、しかもゴムが多少劣化
した場合にも高いシール用密着力の得られるシー
ル構造を提供し、シリンダヘツドカバーとプラグ
チユーブ間のシール性を向上することを目的とす
る。

［問題点を解決するための手段］ この目的を達成するために、本考案のシリンダ
ヘツドカバーとプラグチユーブ間のシール構造に
おいては、シリンダヘツドカバーに、プラグチユ
ーブ上端部の外周面と間隔をもつて該外周面と並
行に延びる円筒状壁が設けられ、該円筒状壁内周
面とプラグチユーブ上端部外周面との間にプラグ
チユーブガスケツトが介装される。そして、この
プラグチユーブガスケツトは、シリンダヘツドカ
バーの円筒状壁内周面に沿つて環状に延び該内周
面に押圧される主リツプと、該主リツプ部に設け
られ主リツプを円筒状壁内周面に向けて付勢する
環状のスプリングと、主リツプ部からプラグチユ
ーブの軸に沿う方向に延び主リツプ部をシリンダ
ヘツドカバーの円筒状壁内周面に向かう方向に揺
動可能に支持する主リツプ用腕部と、該主リツプ
用腕部のつけ根部にシリンダヘツドカバーの円筒
状壁内周面と一定の間隔をもつて設けられた剛性
の高い環状のバンパーリツプ部と、該バンパーリ
ツプ部からプラグチユーブ外周面に向かつて斜め
に延びシリンダヘツドカバーの円筒状壁内周面と
プラグチユーブ外周面間寸法の変動を吸収する方
向に作動可能なアクシヨン部と、該アクシヨン部
に接続されプラグチユーブ上端部に装着されるプ
ラグチユーブ装着部と、から構成されている。

バンパーリツプ部を剛性の高い環状構造に構成
するには、該バンパーリツプ部を肉厚構造にする
か、又はバンパーリツプ部に金属環が設けられ
る。

［作 用］ このようなシール構造においては、プラグチユ
ーブガスケツトの主リツプがスプリングにより、
プラグチユーブ外周面と並行に延びるシリンダヘ
ツドカバーの円筒状壁内周面に押しつけられるの
で、プラグチユーブの軸に沿う方向のシリンダヘ
ツドカバーとプラグチユーブ間寸法のばらつき
は、この間のシール性に影響を及ぼさない。ま
た、剛性の高い環状構造に形成されるバンパーリ
ツプ部は、シリンダヘツドカバー円筒状壁内周面
と一定の微小間隔をもつて設けられるので、円筒
状壁とプラグチユーブがプラグチユーブ径方向に
偏心していても、バンパーリツプ部のいずれかの
部位が円筒状壁内周面に当接規制されてバンパー
リツプ部の円筒状壁内周面に対する偏心が略修正
され、バンパーリツプ部に主リツプ用腕部を介し
て揺動可能に接続された主リツプは円筒状壁内周
面に良好に密着される。

また、シリンダヘツドカバーにクリープや振動
が生じると円筒状壁内周面とプラグチユーブ外周
面間寸法に変動が生じるが、該変動はアクシヨン
部によつて吸収されるので、主リツプ部およびバ
ンパーリツプ部はほぼ一体状態にて上記変動に追
従し、主リツプ円の筒状壁内周面に対する良好な
密着性が維持される。

さらに、プラグチユーブガスケツトのゴムの劣
化等が生じた場合にも、主リツプは環状のスプリ
ングによつて強制的に付勢されているので、主リ
ツプとシリンダヘツドカバー側との必要なシール
面圧は維持される。

［実施例］ 以下に本考案の望ましい実施例を図面を参照し
て説明する。

第１図ないし第３図は、本考案の第１実施例に
係るシリンダヘツドカバーとプラグチユーブ間の
シール構造を示している。図において、１１はシ
リンダヘツドカバー、１２はプラグチユーブを示
しており、この間にプラグチユーブガスケツト１
３が介装される。プラグチユーブ１２の上部に
は、レジステイブコード１４が挿入される。

シリンダヘツドカバー１１には、プラグチユー
ブ１２の上端部外周面１２ａと間隔をもつて該外
周面１２ａと並行に延びる円筒状壁１５が設けら
れ、円筒状壁１５はシリンダヘツドカバー１１の
上壁から下方に向けて垂下されている。円筒状壁
１５の内周面１５ａの下端は、テーパ状の面１５
ｂに形成されており、プラグチユーブガスケツト
１３の挿入組付性が考慮されている。この円筒状
壁内周面１５ａとプラグチユーブ１２の上端部外
周面１２ａとの間に、プラグチユーブガスケツト
１３が介装される。

プラグチユーブガスケツト１３は、円筒状壁内
周面１５ａに沿つて環状に延び該内周面１５ａに
押圧される主リツプ１６と、主リツプ１６部から
プラグチユーブ１２の軸に略沿う方向に向かつて
延び主リツプ１６部を円筒状壁内周面１５ａに向
かう方向に揺動可能に支持する主リツプ用腕部１
７と、主リツプ用腕部１７のつけ根部に円筒状壁
内周面１５ａと一定の微小間隔ａをもつて設けら
れ、剛性の高められた環状のバンパーリツプ部１
８と、バンパーリツプ部１８からプラグチユーブ
外周面１２ａに向かつて斜め下方に延び、円筒状
壁内周面１５ａとプラグチユーブ外周面１２ａ間
寸法の変動を吸収する方向に作動可能なアクシヨ
ン部１９と、アクシヨン部１９に接続されプラグ
チユーブ１２の上端部に装着されるプラグチユー
ブ装着部２０と、から成つており、これらはゴム
から構成されている。

主リツプ部１６には主リツプ１６を背面側から
円筒状壁内周面１５ａに向けて付勢する環状のス
プリング２１が設けられており、主リツプ１６は
スプリング２１によつて円筒状壁内周面に密着、
押圧されている。

バンパーリツプ部１８と円筒状壁内周面１５ａ
との隙間ａは、たとえば0.5mm以下の微小隙間に
設定される。この隙間ａは、円筒状壁内周面１５
ａとプラグチユーブ外周面１２ａ間の偏心度合に
より変動するが、バンパーリツプ部１８は、その
外周面が局部的に円筒状壁内周面１５ａに当接す
る場合にも元の環状構造を略維持できるだけの高
い剛性をもつている。本実施例では高剛性を確保
するために、バンパーリツプ部１８に金属環２２
が設けられている。金属環２２は、バンパーリツ
プ部１８を構成するゴムに対し、接着又は加硫接
着により接合又は埋設されている。

なお、バンパーリツプ部１８には、その上面側
にテーパ面１８ａが形成されており、組付時に円
筒状壁１５内に挿入しやすいようになつている。

アクシヨン部１９は、バンパーリツプ部１８に
対し剛性が弱められた構造に形成されており、プ
ラグチユーブ装着部２０に対しバンパーリツプ部
１８を図の矢印の方向に揺動させることが可能に
構成されている。

プラグチユーブ装着部２０には、別の金属環２
３が埋設されており、金属環２３は、その一端が
プラグチユーブ１２の上端面に当接してプラグチ
ユーブガスケツト１３のプラグチユーブ１２に対
する位置を決めるとともに、他端側は、アクシヨ
ン部１９の作動の支点をなしている。また、プラ
グチユーブ装着部２０の内周面には、第３図に示
すように適当数の突起２４が形成されており、フ
リー状態における突起２４がプラグチユーブガス
ケツト１３装着に伴ないプラグチユーブ外周面１
２ａによつて押しつぶされ、この間の圧着力、シ
ール性が確保されている。

なお、上記実施例ではバンパーリツプ部１８に
金属還２２を設けたが、第４図に第２実施例を示
すように、単にバンパーリツプ部３０を肉厚構造
に構成し、その剛性を高める構造としてもよい。

上記のように構成された実施例装置の作用につ
いて説明する。

プラグチユーブガスケツト１３は、プラグチユ
ーブ１２の上端部外周に圧入され、金属環２３が
プラグチユーブ１２の上端面に当接することによ
り位置決めされて、プラグチユーブ１２に装着さ
れる。この状態では、プラグチユーブガスケツト
１３の主リツプ部１６およびアクシヨン部１９は
フリー状態にあり、第２図の２点鎖線で示す状態
にある。シリンダヘツドカバー１１が上方から装
着されると、プラグチユーブガスケツト１３は円
筒状壁１５内に挿入され、主リツプ部１６が円筒
状壁内周面１５ａに押されて、図の実線のように
円筒状壁内周面１５ａに密着される。挿入は、円
筒状壁１５とバンパーリツプ部１８にそれぞれテ
ーパ面１５ｂ，１８ａが形成されているので、円
滑に行われる。

上記組付時においては、プラグチユーブ１２と
円筒状壁内周面１５ａとが偏心していることもあ
り得るが、その際にはバンパーリツプ部１８の外
周面のいずれかの部位が円筒状壁内周面１５ａに
当接し、挿入に従いバンパーリツプ部１８の心は
自動的に円筒状壁内周面１５ａの心に略合わされ
る。このときアクシヨン部１９はバンパーリツプ
部１８の調心方向に応じて撓む。バンパーリツプ
部１８は高剛性構造に構成されているので、上記
調心の際にもその環状構造が維持される。とくに
金属環２２を設けることにより、その剛性は確実
に保たれる。バンパーリツプ部１８の自動的な調
心により、主リツプ用腕部１７および主リツプ１
６も円筒状壁内周面１５ａに対して調心される。
そして、主リツプ１６は、背面側から環状のスプ
リング２１によつて径方向に付勢されているの
で、調心された状態では円筒状壁内周面１５ａに
対し全周にわたつて均一に押圧される。したがつ
て、組付時に円筒状壁内周面１５ａとプラグチユ
ーブ外周面１２ａ間に多少の偏心があつても、バ
ンパーリツプ部１８がその偏心を吸収する方向に
自動的に追従し、高剛性のバンパーリツプ部１８
に腕部１７を介して支持された主リツプ１６が、
円筒状壁内周面１５ａの全周にわたつて良好に密
着され、この間が十分にシールされる。

また、円筒状壁１５は下方に垂下されているの
で、主リツプ１６の円筒状壁内周面１５ａへの密
着位置が多少上下方向にずれたとしてもシール性
能には関係がない。したがつて、単にプラグチユ
ーブガスケツト１３を円筒状壁内周面１５内に挿
入するだけで、上記のシール性能が確保される。

また、シリンダヘツドカバー１１の膜振動やク
リープ等により、円筒状壁１５とプラグチユーブ
１２との相対位置が動的に変動する場合に、その
変動はアクシヨン部１９によつて吸収される。す
なわち、アクシヨン部１９は比較的低剛性に形成
され、かつプラグチユーブ１２側はプラグチユー
ブ装着部２０を介してプラグチユーブ１２に固定
されているのであるから、シリンダヘツドカバー
１１側から変動力を受けた場合、プラグチユーブ
１２側つけ根部を起点に第２図の矢印のように揺
動し、プラグチユーブ１２の径方向および上下方
向の相対変動が簡単に吸収される。この変動吸収
の過程では、バンパーリツプ部１８の高剛性によ
り、変動吸収のためのアクシヨン部１９の変形の
影響は主リツプ用腕部１７および主リツプ１６に
は及ばない。したがつて、バンパーリツプ部１８
から主リツプ部１６にかけては、ほぼ一体的にシ
リンダヘツドカバー１１の変動に追従するとにな
り、主リツプ１６と円筒状壁内周面１５ａ間の良
好なシール性が機関運転中にも維持される。

さらに、長期間の使用により、プラグチユーブ
ガスケツト１３のゴムが熱や内部からの飛散オイ
ルの影響で劣化してくることもあり得るが、その
場合にも、主リツプ１６はスプリング２１により
円筒状壁内周面１５ａに付勢されているので、こ
の間の面圧は十分に高く維持され、シール性能の
低下は防止される。

［考案の効果］ 以上説明したように、本考案のシリンダヘツド
ガバーとプラグチユーブ間のシール構造によると
きは、シリンダヘツドカバーに円筒状壁を設け、
円筒状壁とプラグチユーブ間を、スプリングによ
り押圧される主リツプ、主リツプ用腕部、バンパ
ーリツプ部、アクシヨン部、プラグチユーブ装着
部から成るプラグチユーブガスケツトによりシー
ルするようにしたので、組付時における偏心、上
下方向および径方向のあらゆる方向の寸法ばらつ
きを自動的に吸収して高いシール性能を得ること
ができるとともに、組付後のクリープや振動等に
よる動的な寸法変動に対しても追従性よく吸収し
て良好なシール性能をそのまま維持することがで
きるという効果が得られる。

また、プラグチユーブガスケツトのゴム劣化に
対しても、環状のスプリングにより主リツプの面
圧低下を防止することができ、長期間にわたつて
所定のシール性能を維持できるという効果も得ら
れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例に係るシリンダヘ
ツドカバーとプラグチユーブ間のシール構造の縦
断面図、第２図は第１図の装置の部分拡大縦断面
図、第３図は第２図の装置の部分縦断面図、第４
図は本考案の第２実施例に係るシリンダヘツドカ
バーとプラグチユーブ間のシール構造の縦断面
図、第５図は従来のシール構造の縦断面図、であ
る。 １１……シリンダヘツドカバー、１２……プラ
グチユーブ、１２ａ……プラグチユーブ外周面、
１３……プラグチユーブガスケツト、１５……円
筒状壁、１５ａ……円筒状壁内周面、１６……主
リツプ、１７……主リツプ用腕部、１８，３０…
…バンパーリツプ部、１９……アクシヨン部、２
０……プラグチユーブ装着部、２１……スプリン
グ、２２……金属環、２３……金属環、２４……
突起。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) シリンダヘツドカバーとプラグチユーブの間
   をプラグチユーブガスケツトでシールするシー
   ル構造において、シリンダヘツドカバーに、プ
   ラグチユーブ上端部外周面と間隔をもつて該外
   周面と並行に延びる円筒状壁を設け、該円筒状
   壁内周面とプラグチユーブ上端部外周面との間
   にプラグチユーブガスケツトを介装し、該プラ
   グチユーブガスケツトを、前記円筒状壁内周面
   に沿つて環状に延び該内周面に押圧される主リ
   ツプと、該主リツプ部に設けられ主リツプを円
   筒状壁内周面に向けて付勢する環状のスプリン
   グと、前記主リツプ部からプラグチユーブの軸
   に沿う方向に延び主リツプ部を前記円筒状壁内
   周面に向かう方向に揺動可能に支持する主リツ
   プ用腕部と、該主リツプ用腕部のつけ根部に前
   記円筒状壁内周面と一定の間隔をもつて設けら
   れた剛性の高い環状のバンパーリツプ部と、該
   バンパーリツプ部からプラグチユーブ外周面に
   向かつて斜めに延び前記円筒状壁内周面とプラ
   グチユーブ外周面間寸法の変動を吸収する方向
   に作動可能なアクシヨン部と、該アクシヨン部
   に接続されプラグチユーブ上端部に装着される
   プラグチユーブ装着部と、から構成したことを
   特徴とするシリンダヘツドカバーとプラグチユ
   ーブ間のシール構造。 (2) 前記バンパーリツプ部に金属環が設けられて
   いる実用新案登録請求の範囲第１項記載のシリ
   ンダヘツドカバーとプラグチユーブ間のシール
   構造。