JPH0413478Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案はシリンダヘツドカバーとプラグチユ
ーブとの間をシールするチユーブガスケツトに関
し、特に、一方のシール部がプラグチユーブに固
定され、かつ、他方のシール部がシリンダヘツド
カバーの内側上面をシールするようになつたゴム
状弾性材からなるチユーブガスケツトに関するも
のである。

〔従来技術〕

一般にチユーブガスケツトは、内燃機関におい
てシリンダヘツドカバー内の飛散オイルを外部に
対してシールするため、シリンダヘツドカバーと
プラグチユーブとの間に装着されるものである。

そのためチユーブガスケツトには、シリンダヘ
ツドカバーのプラグ孔の軸心とプラグチユーブの
軸心との間の偏心に対する追随性、およびシリン
ダヘツドカバーとプラグチユーブとの間の軸線方
向の間〓のばらつきに対する追随性、さらにはカ
ム室に生じる外気との差圧、エンジンの熱、オイ
ルの付着等の各種の使用条件に対する耐久性等の
性能が要求されるものである。

このような要求に応じる従来のものとしては、
第３図に示すように、環状の補強部材２５を具え
た一方のシール部２４がプラグチユーブ２３に装
着固定され、他方のシール部２６はシリンダヘツ
ドカバー２２の内側上面（すなわち、シリンダヘ
ツドカバーの軸線と直交する平面）２７に面接触
してシールするようになつたゴム状弾性材からな
るチユーブガスケツト２１がある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、このような従来のものにあつて
は、シリンダヘツドカバー２２のプラグ孔３０の
軸心Ｙとプラグチユーブ２３の軸心Y′との間の
偏心に対する追随性には問題がないが、シリンダ
ヘツドカバー２２とプラグチユーブ２３との間の
軸線方向の間〓Ｌのばらつきによつて重大な影響
を受ける。

すなわち、間〓Ｌはエンジンの小型化、軽量化
にともなつてきわめて狭く、しかも、組立上ばら
つきの生じることが避けられないものである。

そのため、このばらつきを吸収すべきチユーブ
ガスケツト２１のゴム状弾性材部分の軸線方向長
さは、間〓Ｌにほぼ等しくてきわめて短く、この
部分のゴム状弾性材の歪率と（ばらつきΔL）÷
（Ｌ）の値とが近似してしまつてゴム状弾性材部
分に大きな歪が生じてしまう。

その結果、第４図に示すように、シリンダヘツ
ドカバー２２の内側上面２７に接触するチユーブ
ガスケツト２１のシール部２６のシール幅が第３
図に示すＡに比べてはるかに狭いA′となつてし
まい、もともと傷や巣、穴等のある内側上面２７
のシール性は大幅に低下してしまう。

また、チユーブガスケツト２１の前記部分にお
けるゴム状弾性材の歪率が大きすぎる場合には、
ゴム状弾性材の弾性限界を越えてしまい、それに
よる永久変形によつてチユーブガスケツト２１の
シール部２６とシリンダヘツドカバー２２の内側
上面２７とのシール面圧が低下してシール機能が
劣化してしまうという問題点を有していた。

この考案は前記のような従来のもののもつ問題
点を解決して、シリンダヘツドカバーとプラグチ
ユーブとの間の軸線方向の間〓のばらつきによつ
てシール性に重大な影響を受けることのないチユ
ーブガスケツトを提供することを目的とするもの
である。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は前記のような目的を達成するため、
一方のシール部がプラグチユーブに固定され、か
つ他方のシール部がシリンダヘツドカバーの内側
上面をシールするようになつたゴム状弾性材から
なるチユーブガスケツトにおいて、前記一方のシ
ール部に、それを前記プラグチユーブに面状態で
押圧する筒状の補強部材を設けるとともに、前記
他方のシール部に、それを面状態で押圧する環状
の補強部材を埋設し、前記両シール部間のゴム状
弾性材の形状を下部で連なる内外二重環状に形成
したことを特徴とするチユーブガスケツトを構成
したものである。

〔作用〕

この考案は前記のような手段を採用したことに
より、シリンダヘツドカバーとプラグチユーブと
の間の軸線方向の間〓のばらつきは、両シール部
間に形成された下部で連なる内外二重環状のゴム
状弾性材が吸収し、そのためシリンダヘツドカバ
ーの内側上面をシールするシール部によるチユー
ブガスケツトのシール性は何ら損われることなく
維持され、しかもプラグチユーブに接する部分も
面状態で押圧されているので破損する恐れはない
とともに、補強部材５との間の剥離の問題も生じ
ないことになる。

〔実施例〕

以下、図面に示すこの考案の実施例について説
明する。

第１，２図にはこの考案によるチユーブガスケ
ツトの一実施例が示されており、このチユーブガ
スケツト１は、シリンダヘツドカバー２とプラグ
チユーブ３との間をシールするため、ゴム状弾性
材からなる一方のシール部４が金属または合成樹
脂等からなる筒状の補強部材５によつてプラグチ
ユーブ３の上端部の被嵌状態で固定されている。

ゴム状弾性材からなる他方のシール部６はシリ
ンダヘツドカバー２の内側上面（すなわちシリン
ダヘツドカバー２の軸線と直交する平面）７に面
接触してシールするようになつていて、このシー
ル部６には金属または合成樹脂等からなる環状の
補強部材８が埋設されている。

そして、両シール部４，６間のゴム状弾性材９
の形状は下部で連なる内外二重環状に形成され、
しかも第２図にＲで示すように滑らかに湾曲した
形状に形成されている。

なお、第１図中１０はシリンダヘツドカバー２
のプラグ孔、１１はプラグコードである。

次に前記のものの作用について説明する。

このチユーブガスケツト１は、シール部４が、
そこに被嵌状態となつている筒状の補強部材５に
よつて面状態でプラグチユーブ３に確実に取付け
られており、シリンダヘツドカバー２のプラグ孔
１０の軸心とプラグチユーブ３の軸心との間の偏
心に対しては、シール部６がシリンダヘツドカバ
ー２の内側上面７の任意の位置に面接触するた
め、シール性に問題が生じることはない。

また、シリンダヘツドカバー２とプラグチユー
ブ３との間の軸線方向の間〓Ｌのばらつきに対し
ては、内外二重環状に形成されたゴム状弾性材９
が変形することによつてそのばらつきを吸収し、
しかも、シール部６には環状の補強部材８が埋設
されて容易に変形しないようになつているため、
シール部６はつねに所定のシール幅Ａを維持し、
その結果もともと傷や巣、穴等のある内側上面７
を有効にシールすることとなる。

すなわち、間〓Ｌのばらつきを吸収するためゴ
ム状弾性材９が変形するが、この内外二重環状に
形成されたゴム状弾性材９の歪率は（ばらつき
ΔL）÷（Ｌ＋Ｍ）の値に近似するため第３，４図
に示す従来のものに比べて歪が非常に小さくな
り、しかも、この部分は第２図にＲで示すように
滑らかに湾曲していることから、ゴム状弾性材９
に加わる応力を分散して局部的な応力集中による
ゴム状弾性材９の座屈を抑止することができ、そ
の結果、ゴム状弾性材９は間〓Ｌのばらつきを吸
収するため変形して歪を生じても、弾性限界を越
えて永久変形することがなく、シール部６と内側
上面７とのシール面圧が低下することはないもの
である。

〔考案の効果〕

この考案は前記のように構成したことにより、
シリンダヘツドカバーとプラグチユーブとの間の
軸線方向の間〓のばらつきは、両シール部間に形
成された下部で連なる内外二重環状のゴム状弾性
材で吸収することができる。また、シリンダヘツ
ドカバーの内側上面のシールするシール部は補強
部材によつて面状態で押圧されていてシールが確
実であるとともに、一部に大きな力が作用する損
傷が生じる恐れがなく、一方、プラグチユーブに
対してはシール部が、それに被嵌状態となつてい
る筒状の補強部材によつて面状態で押圧固定され
ているのでシールが確実であるとともに、補強部
材との間の剥離も生じることがない。したがつ
て、長期間に渡つて損傷が生じる恐れがなく耐久
性にすぐれるという効果を有している。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図はこの考案によるチユーブ
ガスケツトの一実施例を示し、第１図はチユーブ
ガスケツトによるシール状態を示す断面図、第２
図はチユーブガスケツト自体の拡大断面図、第３
図および第４図は従来のチユーブガスケツトの一
例のそれぞれ異なつたシール状態を示す断面図で
ある。 １，２１……チユーブガスケツト、２，２２…
…シリンダヘツドカバー、３，２３……プラグチ
ユーブ、４，６，２４，２６……シール部、５，
８，２５……補強部材、７，２７……内側上面、
９……ゴム上弾性材、１０，３０……プラグ孔、
１１……プラグコード。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一方のシール部４がプラグチユーブ３に固定さ
   れ、かつ他方のシール部６がシリンダヘツドカバ
   ー２の内側上面をシールするようになつたゴム状
   弾性材９からなるチユーブガスケツト１におい
   て、前記一方のシール部４に、それを前記プラグ
   チユーブ３に面状態で押圧する筒状の補強部材５
   を被嵌状態で配設するとともに、前記他方のシー
   ル部６に、それを面状態で押圧する環状の補強部
   材８を埋設し、前記両シール部４，６間のゴム状
   弾性材９の形状を下部で連なる内外二重環状に形
   成したことを特徴とするチユーブガスケツト。