JPH04104184U - オイルポンプ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 インナロータ外歯とアウタロータ内歯との干
渉による騒音を低減する。 【構成】 クランクシャフト５の外周に３つの平面部５
Ａを、インナロータ２の嵌合孔にこれに対応する平坦部
２Ａを形成する。クランクシャフト５からインナロータ
２にトルクが伝達されるとき、少なくとも一つの平面部
５Ａからインナロータ２の平坦部２Ａに伝達される力の
方向が、インナロータ２に吐出室８側から吸入室６側に
向けられる力の方向と対向し、インナロータ２の移動が
防止される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、オイルポンプ、特に自動車用エンジンの潤滑油供給用として用いら れるオイルポンプに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、かかるオイルポンプとしては、例えば、実開平１−７６５８２号公報お よび実開昭６３−１２６５０６号公報に記載されたものが知られている。

【０００３】 これらのうち前者にあっては、駆動軸の一端部に嵌合孔を介して連結されたイ ンナロータと、該インナロータの外歯と噛み合う内歯を有するアウタロータとを ポンプケーシング内に回転可能に収納している。そして、駆動軸の一端部外周に は互いに平行な平面部、いわゆる二面幅を形成し、嵌合孔には、この平面部に対 応して互いに平行な平坦部を形成している。かくて、この二面幅の平面部でもっ て駆動軸からのトルクをインナロータに伝達している。

【０００４】 なお、前述のうち、後者にあっては、上述の二面幅を駆動軸にキーでもって回 り止めされたドライブスペーサに形成するようにしている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、かかる従来のオイルポンプにあっては、いずれも二面幅を形成 してインナロータの駆動を行うようにしているので、ポンプの回転に伴い吐出室 側に上記二面幅の間の円弧部分が位置した場合には、吐出圧でもって押されてイ ンナロータが吸入室側に移動してしまう。

【０００６】 この結果、アウタロータの内歯とインナロータの外歯とが互いに干渉し、騒音 が発生するという問題があった。

【０００７】 本考案の目的は、かかる従来の問題を解消し、騒音の低減をはかることのでき るオイルポンプを提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案は、駆動軸の一端部に嵌合孔を介して連結 されたインナロータと、該インナロータの外歯と噛み合う内歯を有するアウタロ ータとをポンプケーシング内に回転可能に収納してなるオイルポンプにおいて、 前記駆動軸の一端部外周に直接または間接的に形成される平面部および該平面部 に対応して形成される前記嵌合孔の平坦部を、平面部および平坦部同士が相互に 平行でない３個以上の面として形成したことを特徴とする。

【０００９】

【作用】

本考案によれば、駆動軸によるインナロータの駆動中に吐出圧によりインナロ ータが押されても、平面部と平坦部とで構成される駆動面のうちの少なくとも一 つは、この押圧方向に対向する方向の駆動力を伝達しており、インナロータの吸 入室側への移動が防止される。

【００１０】

【実施例】

以下、本考案の実施例を添附図面を参照しつつ説明する。

【００１１】 図１および図２に本考案の一実施例を示す。

【００１２】 図において、１はポンプケーシングであり、その収容部１Ａに外歯を有するイ ンナロータと、このインナロータ２に噛み合う内歯を有するアウタロータ３とが 回転自在に収容されている。４はポンプケーシング１の一側にボルト等で締結さ れるカバーである。５は駆動軸としてのクランクシャフトであり、ポンプケーシ ング１およびカバー４を貫通している。そして、クランクシャフト５の一端部で あって、ポンプケーシング１の収容部１Ａに位置する部位の外周には、等角度間 隔に３つの平面部５Ａ１，５Ａ２，５Ａ３が形成されている。

【００１３】 一方、インナロータ２の嵌合孔にも等角度間隔に平面部５Ａ１，５Ａ２，５Ａ ３に対応して平坦部２Ａ１，２Ａ２，２Ａ３が形成されている。

【００１４】 そして、このクランクシャフト５とインナロータ２とは、僅かな隙間をもって 軸方向の相対移動が許容される形態で嵌合している。

【００１５】 なお、６は吸入室、７は吸入口および８は吐出室、９は吐出口であり、それぞ れ吸入口７，吸入室６から吸入されたオイルは、インナロータ２とアウタロータ ３との歯先間に形成されるボリューム室１０内に閉じ込められ、吐出室８，吐出 口７を経て不図示のエンジン内に供給される。

【００１６】 このポンプ作用を行っているとき、通常オイルポンプの内部では、吐出室８が 高圧で吸入室６が負圧となるために、インナロータ２およびアウタロータ３には 常に吐出室８側から吸入室６側に向かって力が作用している。

【００１７】 ところが、本実施例においては、図１からも明らかなように、クランクシャフ ト５が矢印方向に回転しているとすれば、クランクシャフト５の平面部５Ａ１か らインナロータ２の平坦部２Ａ１に（実際には、クランクシャフト５とインナロ ータ２嵌合孔との間には隙間があるため面ではなく線で）トルクが伝達されてい る。これはクランクシャフト５の１回転中において、平面部５Ａ１，５Ａ２，５ Ａ３のうち少なくとも一つの平面部によるトルクの伝達方向が、前述の圧力差に よる力の方向に対向することを意味し、インナロータ２が圧力差によって吸入室 ６側に移動するのを防止している。

【００１８】 従来の二面幅では、この対向する力が生じない瞬間がクランクシャフト５の１ 回転中に２度発生していたのである。

【００１９】 本実施例においては、３つの平面部５Ａおよび平坦部２Ａを形成するようにし たが、上述の観点からすると、５，７，９…の如く、これ等平面部５Ａおよび平 坦部２Ａ同士が相互に平行でない関係の下に個数を増やしていってもよいことは いうまでもない。

【００２０】 なお、図３および図４は本考案の他の実施例を示すものであり、前実施例と主 に異なる点は、ドライブスペーサ１５を設けたことにある。

【００２１】 以下に、前実施例と異なる点につき説明し、前実施例と同一部位には同一符号 を付し、重複説明を避ける。

【００２２】 すなわち、クランクシャフト５にはドライブスペーサ１５がキー１６を介して 相対回転不能に固設されている。そして、このドライブスペーサ１５の外周に、 前実施例と同様に等角度間隔に３つの平面部１５Ａ１，１５Ａ２，１５Ａ３が形 成され、平坦部２Ａ１，２Ａ２，２Ａ３が形成されたインナロータ２の嵌合孔に 嵌合されている。

【００２３】 本実施例も、前実施例と同様な作用効果を奏する。

【００２４】 また、上述した実施例においては、インナロータ２の軸に直交する方向の移動 を防止することができるので、インナロータ２に設けられ通常ポンプケーシング １の中心孔に嵌挿される、いわゆるインロー部を廃止することが可能となり、そ こで発生している損失馬力をなくすことができる。従って、消費馬力を低減する ことが可能となる。

【００２５】

【考案の効果】

以上の説明から明らかなように、本考案によれば、インナロータの軸に直交す る方向の移動を防止して、ポンプケーシング内での挙動を安定させることができ るので、騒音を低減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す正面図である。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ線断面図である。

【図３】本考案の他の実施例を示す正面図である。

【図４】図３のＩＶ−ＩＶ線断面図である。

【符号の説明】

１ ポンプケーシング ２ インナロータ ２Ａ 平坦部 ３ アウタロータ ４ カバー ５ クランクシャフト ５Ａ 平面部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 駆動軸の一端部に嵌合孔を介して連結さ
   れたインナロータと、該インナロータの外歯と噛み合う
   内歯を有するアウタロータとをポンプケーシング内に回
   転可能に収納してなるオイルポンプにおいて、前記駆動
   軸の一端部外周に直接または間接的に形成される平面部
   および該平面部に対応して形成される前記嵌合孔の平坦
   部を、平面部および平坦部同士が相互に平行でない３個
   以上の面として形成したことを特徴とするオイルポン
   プ。