JPH0410147B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術的分野〕 この発明は、磁気テープを巻付けるテープハブ
用のクランプピースに関する。

〔発明の技術的背景とその問題点〕

周知の如く磁気テープは、音の録音用から映像
の録画、或はコンピユーターのソフトやデータ記
録用まで幅広く利用されている。この種の磁気テ
ープはケース内の左右に回動自在に内装され、テ
ープハブにテープ端部（通常はリーダーテープ部
分）を係止し、一方のハブから他方のハブにテー
プを巻付けたり巻戻したりするものである。

テープハブは第７図の如く中心部に駆動軸挿入
穴２を形成し、ハブ外周面１ａより内部に食い込
む嵌合穴３を設け、略リング状を成すもので、嵌
合穴３は第９図の如く両側中間部に突出部４，４
を相対設し、突出部４，４の間に嵌合穴最狭間Ｓ
を形成すると共に、最狭間Ｓより外周側に、最狭
間Ｓより幅広い嵌合穴入口部３１を形成し、最狭
間Ｓより内周側に、最狭間Ｓより幅広い嵌合穴奥
部３２を形成してる。そして嵌合穴３に嵌挿する
クランプピース５は、第１０図の如く嵌合穴入口
部３１に嵌挿する外板６と、嵌合穴奥部３２に嵌
挿する内板７の間に、ハブ１の中心に向かう放射
方向の支持脚８，８を連続し、両支持脚８，８の
内周端より外板先部１６，１６に向けて折返す係
合爪９，９を一体に設け、嵌合穴３に磁気テープ
の端部を入れ、その外周よりクランプピース５を
圧入し、テープを止めるものである。

以後、左右対称に形成するテープハブ１の突出
部４，４とクランプピース５の支持脚８，８、係
合爪９，９、及び外板先部１６，１６の一方を、
説明の便宜上省略する。

上記クランプ手段にあつては、係合爪のみの弾
性変形によつて磁気テープを挾持固定するもので
あるから、係合爪の弾性変形に無理が生じ、係合
爪が損傷したり、係合爪に弾性変形の歪が残り、
この歪が経年変形や温度変化による破損の原因と
なつていた。

〔発明の目的〕 そこでこの発明は、テープ用ハブに嵌合するク
ランプピースを、少なくとも２箇所以上で弾力を
発揮する構造に改良し、クランプピースの嵌合を
無理なく軽く、しかも磁気テープを確実強固に挾
着保持できるようにしたものである。

〔発明の概要〕

本発明の磁気テープ用ハブにおけるクランプピ
ースは、外板と内板の間に連続する支持脚を、内
板に向けて開脚すると共に、支持脚の最大開脚間
隔をハブ嵌合穴の最狭間より少し小さく開脚し、
両支持脚の内周端部外側に係合爪を一体に設け、
且つ内板の中間部を厚肉部に、その左右を薄肉部
に形成し、支持脚と内板の弾性変形を容易にした
ものである。

〔発明の実施例〕

次に本発明によるクランプピースの構造を実施
例の図面に基づき説明すると、ピース５は外板６
と内板７の間に連続する支持脚８を、内板７に向
けて開脚するように設けると共に、支持脚８の最
大開脚間隔Ｌを嵌合穴最狭間Ｓより少し小さく開
脚し、且つ両支持脚８の内周端部外側に係合爪９
を一体に設ける一方、内板７の中間部を厚肉部７
ａに、その左右より支持脚８までを薄肉部７ｂ，
７ｃに形成するものである。

係合爪９は支持脚８の自由状態において、最大
係合爪間隔Ｈが嵌合穴最狭間Ｓより僅かに大きく
なるように形成され、嵌合穴３の最狭間Ｓを通過
する際、係合爪９を設けた支持脚８と、支持脚８
の間に連続する内板７が、第５図の鎖線より実線
の如く弾性変形しながら通過し、即ち支持脚８が
外板６との連続部を中心にして閉脚変形し、その
支持脚８の閉脚変形に伴い、内板７の薄肉部７
ｂ，７ｃが支持脚８に向けて閉脚変形すると共
に、内板７の厚肉部７ａが外板６に向けて接近す
る。

変形した支持脚８と内板７は、係合爪９が最狭
間Ｓを通過し、嵌合穴奥部３２に達すると同時に
弾力で元の状態に復帰する。

ハブ嵌合穴３に嵌挿したピース５の内板７は、
嵌合穴奥部３２の底面３４に圧接するまで嵌挿
し、係合爪９は奥部３２の内奥部３３まで嵌挿し
て突出部４に係止する一方、外板６がハブ嵌合穴
３の入口部３１に嵌挿し、外板６の外周面６ａが
ハブ外周面１ａの一部を形成する。その結果、ハ
ブ嵌合穴３と、該嵌合穴３に嵌着したピース５に
よつて、磁気テープＴが数箇所で局部的に挾着さ
れる。

本発明のクランプピースは従来と同様に、ハブ
嵌合穴３に磁気テープＴの端部を入れ、その外側
より嵌込むものであり、その嵌挿時に本発明独自
の特徴を発揮するものである。

即ち、ピース係合爪９の最大係合爪間隔Ｈが、
嵌合穴３の最狭間Ｓより大きいため、係合爪９が
嵌合穴３の最狭間Ｓ、即ち突出部４の間を通過す
る際、支持脚８は閉脚変形しながら通過し、該支
持脚８の変形に従い、内板７の薄肉部７ｂ，７ｃ
も支持脚８に向けて閉脚変形し、厚肉部７ａが外
板６に向けて接近し、少なくとも２箇所以上で弾
性変形しながら通過する。

係合爪９が最狭間Ｓを通過すると同時に、弾性
変形していた所が弾力によつて復帰し、内板７が
嵌合穴３の奥部３２まで挿入し、係合爪９が内奥
部３３に圧接係止する。

特に本発明ピース５は、支持脚８を内板７に向
けて開脚することにより、最大開脚間隔Ｌを従来
ハブより大きくし、その分、内板７を長大化する
と共に、内板７の左右に薄肉部７ｂ，７ｃを設
け、それにより支持脚８と内板７の彎曲変形を一
段と容易にすることに成功したものである。しか
も内板薄肉部７ｂ，７ｃの範囲を長くするか、薄
肉部７ｂ，７ｃの肉厚を薄くする程、支持脚８と
内板７の弾性変形が容易となり、ハブ嵌合穴３に
対するピース５の嵌着も軽くなるものである。

ハブ嵌合穴３に対するピース５の嵌着は、通
常、嵌合穴入口部３１の一隅に外板先部１６の一
方を係止し、該係止部をテコにして他方の外板先
部１６を入口部３１の他隅に向けて押圧して嵌着
するものであるから、外板６と支持脚８の連続部
より外板先部１６側に、係合爪９に向けて開口す
る凹欠部２６を設ければ、外板先部１６も凹欠部
２６によつて弾性変形が容易となるため、入口部
３１に対するピース外板６の嵌着が一段と軽くな
る。この凹欠部２６の食い込み深さと食い込み幅
を大きくする程、外板先部１６の弾性変形は容易
になる。

尚、本発明のクランプピースは上記実施例に限
定されるものではなく、内板厚肉部７ａの内周中
央部に凹部１７を設ければ、更に内板７の弾性変
形が容易になるし、第８図の如くハブ１の片側、
又は両側に大径の側板１１を設けた映像録画用ビ
デオテープハブのクランプピースとしても利用し
得る。又ピース５の内板７と外板６、支持脚８及
び係合爪９の形状構造等は、本発明の要旨に反し
ない限り適宜変更可能である。

〔発明の効果〕

従つて本発明の磁気テープ用クランプピース
は、支持脚の内周端部外側に係合爪を一体に設
け、係合爪の弾性変形を不能にする代りに、支持
脚を内板に向けて開脚し、内板を長大化すると共
に、内板の支持脚側に薄肉部を設けることによ
り、クランプピースを少なくとも２箇所以上で弾
性変形可能にしたため、係合爪が弾性変形不能で
あつても、ハブ嵌合穴に対するピースの嵌着が従
来より著しく軽く、且つ容易になる。その結果、
ピースの嵌着能率が飛躍的に向上するし、磁気テ
ープにも無理が加わらず、テープに損傷を与える
こともない。

しかも本発明によるピースは、内板と支持脚を
弾性変形して嵌着するものであるため、係合爪に
無理が加わらず、係合爪９が損傷することもない
ばかりか、係合爪に弾性変形による歪も残らな
い。その結果、嵌合穴内奥部に対する係合爪の圧
接も従来より強くなるし、テープの挾持も一段と
確実強固になる。

又ピースの外板先部に設けた凹欠部は、ピース
の嵌着を更に容易にすると共に、テープの嵌着
後、テープに急激な引張力が作用した際、テープ
の引張によつて外板先部が外周方向に弾性変形し
て、テープ切れをも防止するばかりか、外板先部
に弾性変形が及びにくくし、外板外周面とハブ外
周面の連続を均一にする。

本発明のクランプピースは、従来ハブにそのま
ま利用し得る大きな特徴を有すると共に、録音用
テープハブは勿論、録画用テープハブやコンピユ
ーターのソフト、データの記録用テープハブにも
利用し得る等、実用面に有益な効果を奏するもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図と第２図は本発明によるクランプピース
の構造を示す平面図、第３図と第４図はその使用
例を示す要部平面図、第５図と第６図はクランプ
ピースの弾性変形例を示す平面図、第７図と第８
図はテープハブの平面図、第９図はハブ嵌合穴の
構造例を示す要部平面図、第１０図は従来ピース
の平面図である。 １……テープハブ、１ａ……外周面、２……駆
動軸挿入穴、３……嵌合穴、４……突出部、５…
…クランプピース、６……外板、６ａ……外周
面、７……内板、７ａ……厚肉部、７ｂ，７ｃ…
…薄肉部、８……支持脚、９……係合爪、１６…
…外板先部、１７……凹部、２６……凹欠部、３
１……入口部、３２……奥部、３３……内奥部、
３４……底面、Ｔ……磁気テープ、Ｌ……最大開
脚間隔、Ｈ……最大係合爪間隔、Ｓ……嵌合穴の
最狭間。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 合成樹脂製テープハブ１の外周面１ａより内
   部に向けて凹設するピース嵌合穴３に、外部より
   嵌着する合成樹脂製クランプピース５において、
   嵌合穴３の入口部３１に挿入するピース外板６
   と、嵌合穴３の奥部３２に挿入するピース内板７
   との間に連続している支持脚８，８を、内板７に
   向けて開脚するように設けると共に、最大開脚間
   隔Ｌを嵌合穴３の最狭間Ｓより僅かに小さく開脚
   し、支持脚８，８の先部外側に嵌合穴３の内奥部
   ３３，３３に圧接係止する係合爪９，９を一体に
   設け、且つ内板７の中間部を厚肉部７ａに、その
   左右を中間部より薄肉の薄肉部７ｂ，７ｃに形成
   し、支持脚８，８と内板７の弾性変形を容易にし
   たことを特徴とする磁気テープ用ハブのクランプ
   ピース。