JPH039842B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は使用中に表面が摩耗しても装飾意匠が
消失し難い装飾タイルの製造法に関するものであ
る。

（従来の技術） 従来の装飾タイルは上絵付け又は下絵付けで絵
付けした絵付タイルを普通とするため、これを床
面に貼つた場合摩耗により絵柄の消失が激しい。
このためタイル表面に凹凸模様を施したタイルも
あるが、装飾効果に乏しい欠陥がある。そこで、
本出願人は先にタイル表面に凹模様部を穿設した
うえこの凹模様部に陶磁器質彩料を埋込んで焼成
した特公昭52−12728号公報に示されたクリンカ
ータイルの製造法を先に提案したが、凹模様部に
陶磁器質彩料を埋込む場合、凹模様部を除くタイ
ル素地表面を遮蔽しないと凹模様部を除く表面に
も陶磁器質彩料が付着してしまつて装飾意匠が汚
れるという問題点があり、この素地表面の遮蔽は
丁寧に行う必要があつて高速量産には不向きであ
るという難点がある。

（発明が解決しようとする課題） 本発明は上記のような欠陥や難点を除いて印刷
とプレスという簡単な方法で装飾タイルの表面に
精密な装飾意匠を形成し、タイル表面の摩耗によ
つてもその装飾意匠が消失し難く、しかも、品質
管理がし易くて量産性のある装飾タイルの製造法
を目的とするものである。

（課題を解決するための手段） 前記のような課題を解決しようとする本発明の
装飾タイルの製造法は、所定形状に成形された湿
式のタイル生素地の表面に帯電された陶磁器質彩
料粉末をもつて所定の模様を肉盛り状に形成後プ
レス加工して帯電により所定の肉盛り状の模様を
保持している前記陶磁器質彩料粉末を形崩れする
ことなくタイル生素地の表層に没入させた模様付
タイル生素地とし、次いで、この模様付タイル生
素地を乾燥、焼成することを特徴とするものであ
る。

本発明において使用される湿式のタイル生素地
は長石、珪石、粘土等からなる通常のタイル用の
陶磁器質坏土を水分を管理調節して真空土練機等
の土練機から押出してこれを切断機により所定形
状に切断したり湿式プレス成形法により製作すれ
ばよい。また、このタイル生素地の表面に帯電さ
れた陶磁器質彩料粉末をもつて所定の模様を肉盛
り状に形成するにはいわゆる電子印刷法によるの
が多色印刷も容易で好ましい。すなわち、装飾意
匠が印刷される部分は目があいており、印刷され
ない部分は目止めされている金網等の導電性ステ
ンシルスクリーンを使用し、この導電性ステンシ
ルスクリーンとこれに対向させた反対極性の電極
とに直流高圧電圧をかけて電場を形成し、この間
にタイル生素地を挿入通過させつつ上方より陶磁
器質彩料粉末を前記網目を通じて落下させると、
電場によつてタイル生素地上に帯電した陶磁器質
彩料粉末が肉盛り状に付着して模様がタイル生素
地上に形成される。次いで、その表面に平板状或
いは凹凸型面を有するプレス型をもつてプレスを
行えば、帯電により所定の肉盛り状の模様を保持
している陶磁器質彩料粉末はプレス型が平板状で
ある場合は勿論凹凸型面を有するプレス型によつ
ても飛散したり形崩れすることがなく、タイル生
素地に埋込まれる。なお、導電性ステンシルスク
リーンに陶磁器質彩料粉末を落下させる篩い落し
装置としてはブラシローラまたはステンシルスク
リーン上を往復するブラシなどが用いられる。な
お、陶磁器質彩料粉末としては陶磁器質釉薬粉末
やタイル生素地と同じ組成のものに顔料を加えた
もの、タイル生素地と同じ組成のものに低融点陶
磁器原料を配合して顔料を加えたものなどを用い
ることができ、これらは乾燥粉末の状態で使用す
る。また、陶磁器質彩料粉末を厚く印刷すればす
る程タイル生素地中に没入する深さが深くなり、
タイル表面が激しく摩耗してもなお装飾意匠が残
存することとなるから長期間にわたり優れた装飾
効果を発揮する。

（実施例） 次に、本発明の実施例を図示の工程説明図につ
いて説明する。

真空土練機１より連続的に押出されてコンベア
により送られてくる通常のクリンカータイル用の
素地土よりなる湿式タイル用の帯状生素地２をカ
ツター３により切断して厚さ1.5cmで30×30cmの
表面が平滑な湿式のタイル生素地４とし、このタ
イル生素地４を所要の模様が網目状に残されてい
る導電性ステンシルスクリーン５と下部電極６と
の間に送り込み、該導電性ステンシルスクリーン
５と下部電極６とに高電圧発生器１１によつて直
流高圧電圧をかけて電場を形成する。次いで、上
方の粉体供給器７より前記素地土に適量の顔料そ
の他を加えた前記素地土とは異色の陶磁器質彩料
粉末を篩い落しローラ１２等をもつて均一に篩い
落とし、導電性ステンシルスクリーン５の網目状
の模様部分を通過する陶磁器質彩料粉末に電荷を
与えて帯電させ、タイル生素地４の平滑な表面に
この帯電された陶磁器質彩料粉末よりなる1.5mm
程度の厚さの所定の形状をした模様８を肉盛り状
に印刷形成する。次いで、多色模様としたい場合
にはこの模様付工程を異色の陶磁器質彩料粉末に
より再度行つて異色の模様９を形成し、この模様
印刷を行つた直後にこのタイル生素地４をプレス
型１０の直下に移送してこのプレス型１０により
プレスしたところ、陶磁器質彩料粉末よりなる肉
盛り状の模様８，９は陶磁器質彩料粉末が帯電さ
れていることにより飛散したり形崩れすることな
くそのままタイル生素地４の表層に所要の厚みと
形状を保持したまま部分的に没入し、模様表面が
タイル生素地４の表面と面位置にある模様付タイ
ル生素地１３が得られる。そこで、この模様付タ
イル生素地１３を常法により乾燥、焼成して製品
とする。

このようにして得られた製品１３ａは主体４ａ
の表層に該主体４ａとは異色の陶磁器質彩料粉末
が埋込まれて主体４ａとともに焼結された模様８
ａ，９ａが該主体４ａの表面と略同一面をとつた
ものとして埋込み一体化されているから、主体４
ａはその表面に主体４ａとは色調を異にする模様
８ａ，９ａが顕著にあらわれて極めて美観に富む
ものであり、しかも、模様８ａ，９ａの表面が主
体４ａの表面と面位置にあることによつて模様８
ａ，９ａの剥離がないうえ汚れた場合にもほうき
を使用して軽く掃くか水洗することによつて極め
て容易に取り除くことができるもので、清掃に手
数を要することなく長期間に亘り装飾効果を発揮
する利点があり、また、長期使用によつて主体４
ａと模様８ａ，９ａの表面が摩耗しても模様が順
次表面に表われるので容易に模様が消えることが
ない。また、プレス加工を凹凸型面を有するプレ
ス型によつて行つた場合には主体４ａの表面は凹
凸面となり、しかも、通常の絵付法でば絵付困難
な凹部１４ａ内にも模様８ａが形成されることと
なつて立体感に富んだものとなる。

（発明の効果） 本発明は前記説明から明らかなように、所定形
状の湿式のタイル生素地に帯電された陶磁器質彩
料粉末をもつて所定の模様を肉盛り状に形成後プ
レスすると、帯電により陶磁器質彩料粉末はプレ
ス圧が加えられても飛散して形崩れすることがな
いという点に着目し、所定の肉盛り状の模様が表
層に没入されている模様付タイル生素地を印刷と
プレスだけで容易に得られるようにしたもので、
後は常法により乾燥、焼成するという簡単な工程
によつて主体と同様の陶磁器質の模様が表層に埋
込み焼結された装飾効果に優れた陶磁器製の装飾
タイルを極めて容易に量産でき、従来のこの種タ
イルの製造法の欠陥や難点を解消した装飾タイル
の製造法として業界の発展に寄与するところ大で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の工程説明図、第２図は本発明
によつて得られた装飾タイルの一部切欠斜視図で
ある。 ４：湿式のタイル生素地、８，９：帯電された
陶磁器質彩料粉末よりなる模様、１０：プレス
型。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 所定形状に成形された湿式のタイル生素地の
   表面に帯電された陶磁器質彩料粉末をもつて所定
   の模様を肉盛り状に形成後プレス加工して帯電に
   より所定の肉盛り状の模様を保持している前記陶
   磁器質彩料粉末を形崩れすることなくタイル生素
   地の表層に没入させた模様付タイル生素地とし、
   次いで、この模様付タイル生素地を乾燥、焼成す
   ることを特徴とする装飾タイルの製造法。