JPH0376889B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は動物の耳に取り付ける動物標識用耳札
に関する。

（従来の技術とその問題点） 共に弾性プラスチツク材料からなる雄部材と雌
部材とで構成した動物標識用耳札が知られてい
る。雄部材は、その自由端に頭部を備えたステム
を有する。この頭部は硬質材料素子を含有するか
又は硬質材料素子から形成される。雄部材のステ
ムはその内部に軸穴を有し、取付工具のピンが該
穴にはめ込まれて上記硬質材料素子と堅固に結合
する。雌部材はステムの径と等しい径の開口を有
する。好ましくは、中空かつ円筒状で上記開口と
同心のボス又は壁部が雌部材の一部として形成さ
れる。耳札を動物の耳に付けるため、上記硬質材
料素子は動物の耳及び雌部材の開口を通過して上
記円筒状ボス又は壁部で囲まれる部分内に位置す
るように、取付ピンによつて力を加えられる。雌
部材の開口を取り囲む材料部分によつて形成され
る肩部と、雄部材の頭部によつて形成される肩部
との結合により２つの部材が相互に固定される。

中空円筒状ボスにおける、雄部材の頭部が挿入
される上記開口と反対側の端部は閉塞されること
が好ましい。このようにボスを閉塞すれば、上記
開口を介して頭部を押し戻しうるように頭部が露
出することが防止される。しかしながら、上記ス
テムに引つ張り力を加えることにより、上記開口
を介して頭部を引き戻すことは防止できない。

又、通常耳札の構成材料として使用される弾性
プラスチツク材料の軟化温度は比較的低いので、
気温の上昇がしばしば雄部材と雌部材の肩部との
結合力を顕著に減少させるのに充分となる。その
結果、気温の高い時に耳札が偶発的に動物の耳か
ら外れたり、あるいは詐取者が雌部材の温度を上
昇させて結合力を減少させ、それによつて２つの
部材を無傷の状態で分離することにより、上記耳
札が取り外される。気温が通常に戻れば、プラス
チツク材料は元の形状及び保有特性を回復し、こ
のようにして耳札の各部材が詐取者によつて再び
使用されて他の動物に適用される危険性がある。

（解決しようとする問題点及びその解決手段） 本発明の目的は、耳札の雄部材の頭部が高温時
にも有効に保持され、そのような保持によつて耳
札の雌部材から頭部を分離しようとするいかなる
努力も耳札を損傷させる結果を生じるような構成
を提供することにある。従つて、より気温の高い
時にも耳札が動物の耳から偶発的に外れることは
なく、詐取者によつて耳札が取り外されることも
防止される。もし、耳札を取り外そうとするなら
ば、そのことは雄部材と雌部材の双方を損傷させ
て両部材の使用を不可能とする結果を生じる。

この目的を達成するため、第一の広い見地にし
たがつて、本発明に係る動物標識用耳札は、一端
に頭部を形成したステムを有するとともに該頭部
が該ステムの外方に延びる肩部を形成している雄
部材、上記ステムを挿通可能とした開口、該開口
を包囲するとともに上記頭部が該開口を挿通させ
られた際該頭部を収容する中空状の閉鎖ボス及び
該頭部を拘束するように上記開口の周囲に形成さ
れた肩部を有する雌部材、並びに上記雌部材の閉
鎖ボスを形成する材料よりも高い軟化温度を有す
る材料から形成され、上記雌部材の閉鎖ボス内に
配置されるとともに該雌部材の肩部と接触する内
部リムを有するカラーを備え、上記閉鎖ボス内に
上記カラーを配置し、上記頭部を上記雌部材の開
口に挿通せしめた際該カラーを半径方向に膨張さ
せながら上記頭部を嵌挿して該カラーの内部リム
とかみ合わせ、それにより該頭部を閉鎖ボス内に
拘束せしめるように構成される。

本発明の好適な具体例においては、上記カラー
のリムの内径はステムの外径より小さくされる。
又、カラーは閉鎖ボス内に配置されて該ボス内で
回転しうることが好ましい。上記の好ましい配置
によれば、雄部材と雌部材が結合された際に、そ
れらがお互いに対して自由に回転できることにな
る。このように回転が可能なこと及び耳札の各部
材が弾性を有することにより耳札の各部材は湾曲
しかつ移動することを保証されるので、耳札が有
刺鉄線や灌木等で破損するようなことはない。

（実施例） 以下添付図面を参照しながら、本発明に係る耳
札につきより詳細に記述する。

図面に示すように、本発明に係る耳札は雄部材
１及び雌部材１２の２つの部分からなる耳札であ
る。雄部材１はパネル部２からなり、該パネル部
からステム４が伸びている。ステム４の端部に頭
部６が形成され、この頭部は外方に突出する肩部
８をなしている。パネル部２、ステム４及び頭部
６の一部はポリウレタンのような弾性プラスチツ
ク材料により一体的に形成されていることが好ま
しい。好適な形態においては、プラスチツク又は
金属からなる硬質材料素子つまりチツプ１０が頭
部と一緒に形成され、それにより円錐形状の頭部
が形成される。ステム４は中空とされ、それによ
り該ステムに取付工具の硬質ピンが結合して硬質
チツプ１０により積極的に位置決めされるように
なつている。

雌部材１２は第１図又は第３図に示す形状又は
その他の適当な形状を有するパネル部１４ととも
に形成される。パネル部１４は開口１６を有し、
該開口の内径はステム４の外径より大きいことが
好ましい。本発明による好適な形態において、開
口１６とステム４の径は、開口とステム間のクリ
アランスが開口内でステムを回転させうるのに充
分となるような値とされる。開口１６の上部にボ
ス１８が位置しており、該ボスは実質的に円筒形
状とされる。ボス１８は該ボスの開口１６と反対
側に位置する端部カバー２０によつて閉塞されて
いる。ボス１８は実質的に円筒状の空間部２２を
画定し、該空間部は開口１６のみを介して外部に
開いている。

空間部２２の内径は開口１６より大きく、又実
際空間部２２の内径は雄部材の円錐状頭部６最大
横断面直径より顕著に大きくなつている。開口１
６の周囲の材料部分は、空間部２２内にカラー２
６を保持するための充分堅固な支持部分を形成し
うる環状肩部２４を形成している。

第２図に示すように、実質的に円筒状のカラー
２６は空間部２２内に配置され、頭部６がカラー
内に配置されている際にカラー２６の外径は空間
部２２の内径より小さくなることが好ましい。カ
ラー２６の下端部には内部リム３０が設けられ、
該内部リムは雄部材のステム４の外径より小さい
内径を有する穴３２を形成する。

円筒状空間部２２、カラー２６及び開口１６は
同軸とされる。好ましくはカラー２６は膨張可能
とされ、この目的のためカラー２６には長手方向
の切れ目が設けられる。カラー２６の弛緩状態つ
まり初期状態において、カラーの内径は頭部６の
最大横断面直径より小さくされる。従つて、雄部
材の頭部６が開口１６及びカラー２６の穴３２を
通過してカラー２６内に位置した際に、頭部６の
基部７はカラー２６を膨張させてカラーの内径を
初期内径より大きくする。それにより、雄部材の
頭部６はカラー２６内で堅固に支持される。又、
ステムと穴32間の干渉により、カラーのリムによ
つてステムが堅固に把持されることが保証される
のが好ましい。頭部６がカラー内に位置する際に
も、カラーの外径はなお空間部２２の内径より小
さく、従つてカラーは空間部内で回転することが
できる。頭部とステムがカラーによつて堅固に把
持されるので、カラー、頭部及びステムは１ユニ
ツトとして回転することができる。

このような配置の耳札によれば、雄部材の頭部
６はカラー２６内に支持され、該頭部はステムに
加えられるかなりの引つ張り力によつてのみ引き
抜かれうる。この引つ張り力は好ましくは35dN
より大きくされ、そのような引つ張り力は通常頭
部６をステム４から分離される結果を生じる。そ
れにより、頭部は空間部２２内に残ることになる
ので、雌部材と雄部材が損傷を受け、両部材とも
再使用できなくなるという結果を生じる。

カラー２６は硬質材料、例えばガラス繊維のよ
うな補強繊維を含んだ又は含まないポリアミドに
より形成される。又、カラー２６は良好な弾性を
有する金属で形成することもできる。このように
カラーはかなり高い温度、すなわち雌部材を形成
する弾性プラスチツク材料の軟化温度より明らか
に高い温度においてのみ軟化する材料により形成
される。このようなかなりの高温は通常大気中で
は到達しえないものである。

又、カラー２６は雌部材用に使用される材料の
応力下での変形係数より高い変形係数を有する。
従つて、ボス１８を軟化させうるような偶発的な
又は自然発生的な温度上昇によつてもカラー２６
の形状は変形しない。このようにカラーはボス１
８を補強し、その形状を保持する。カラー２６と
ボス１８間の連結を破壊するためには、ボスを完
全に損傷させることが必要となる。しかしなが
ら、そのような損傷は人目を引き、従つて耳札を
再び使用することが防止される。

ボス１８を完全に閉鎖しているので、工具を逆
方向に適用することにより雌部材から雄部材の結
合を解除することが閉鎖端部２０によつて確実に
防止される。その結果、本発明に係る耳札は損傷
を生じることなしに取り外すことができず、従つ
て実際的不正防止耳札を構成する。

好ましくはカラー２６の軸方向長さは空間部２
２の軸方向長さより短くされ、それによりカラー
は空間部内でスライドすることができる。カラー
２６のスリツト３４は、開口１６を通して空間部
２２内にカラーを挿入しうるのに充分にカラーの
外径の減少させうるようにカラーを圧縮できる程
度に充分広くされる。

このことは、まず雌部材が形成され、形成後に
カラーが挿入されることを意味する。カラーを形
成する材料は空間部内に位置するやいなや、その
初期形状を保持するのに充分な“弾性記憶”を有
する。このようにカラーは空間部内で外方へ開
き、それにより取り外されることが防止される。
又、このような弾性に基づき、より小径の穴３２
を通して頭部６の挿入が容易化されるとともに雌
部材の肩部２４によつて支持される内部リム３０
に対して頭部を強固に固定することが容易化され
る。

又、ボス内に硬質材料からなるカラーを存在さ
せることによつて、ボスの壁部を薄い厚さで成形
することができる。しかしながら、第２図に明瞭
に示すように、ボスの壁部の横断面厚さは下方へ
向かうにつれて次第に増加させることが好まし
い。開口１６部分におけるプラスチツク材料の厚
さを増すことによつて、閉鎖ボス１８内にカラー
２６を保持するために肩部２４によつて充分な支
持が与えられることが保証される。

第３図及び第４図には雌部材の特別な構成を示
している。雌部材のこの形態において、パネル部
１４の主要部３５は開口１６及びボス１８が形成
される取付部３６より顕著に小さい横断面厚さを
有する。取付部３６は次第に厚さが減少する横変
化部３７を介してパネル部１４の主要部３５に連
結されている。この横変化部３７は雌部材のネツ
ク部とでも呼ぶべき部分に位置しており、該横変
化部において取付部３６の側端３８はパネル部の
主要部３５とともに該横変化部側へ向けて滑らか
に湾曲している。この構成によれば、側端３８が
湾曲しているので、ネツク部における応力集中が
減少するようになる。一方、取付部３６の横断面
厚さをパネル主要部３５の横断面厚さより大きく
することができるので、取付部３６の強度を増す
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る耳札を一部を破断して示
す分解斜示図、第２図は第１図の耳札の２つの部
材を相互に結合した後の垂直断面図、第３図は耳
札の雌部材の他の実施例を示す正面図、第４図は
第３図に示す雌部材の側断面図である。 １……雄部材、４……ステム、６……頭部、７
……肩部、１２……雌部材、１６……開口、１８
……閉鎖ボス、２４……肩部、２６……カラー、
３０……内部リム。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 一端に頭部を形成したステムを有するととも
   に該頭部が該ステムの外方に延びる肩部を形成し
   ている雄部材、 上記ステムを挿通可能とした開口、該開口を包
   囲するとともに上記頭部が該開口を挿通させられ
   た際該頭部を収容する中空状の閉鎖ボス及び該頭
   部を拘束するように上記開口の周囲に形成された
   肩部を有する雌部材、並びに 上記雌部材の閉鎖ボスを形成する材料よりも高
   い軟化温度を有する材料から形成され、上記雌部
   材の閉鎖ボス内に配置されるとともに該雌部材の
   肩部と接触する内部リムを有するカラーを備え、 上記閉鎖ボス内に上記カラーを配置し、上記頭
   部を上記雌部材の開口に挿入せしめた際該カラー
   を半径方向に膨張させながら上記頭部を嵌挿して
   該カラーの内部リムとかみ合わせ、それにより該
   頭部をカラー内部に定位させて閉鎖ボス内に拘束
   せしめることを特徴とする、動物標識用耳札。 ２ カラーの内部リムの内径が雄部材のステムの
   外径より小さい、特許請求の範囲第１項に記載の
   耳札。 ３ カラーが閉鎖ボス内に回転可能に配置自在と
   される、特許請求の範囲第１項に記載の耳札。 ４ カラーに長手方向に延びるスリツトを形成し
   該カラーは雄部材の頭部が挿入される際半径方向
   に膨張可能とされる一方、半径方向に収縮して雌
   部材の開口を通過して閉鎖ボス内に挿入可能とさ
   れるとともに該閉鎖ボス内に配置された際初期形
   状に復元可能とされる、特許請求の範囲第１項に
   記載の耳札。 ５ 閉鎖ボスが内部にカラーを配置可能な円筒状
   空間部を画定した中空筒状体とされ、該空間部の
   長さが上記カラーの長さより大きい、特許請求範
   囲第１項に記載の耳札。 ６ 雄部材の頭部が実質的にカラーの内部長さと
   同等とされる、特許請求の範囲第５項に記載の耳
   札。 ７ ステムが閉鎖ボスの開口内で回転自在とさ
   れ、該閉鎖ボスの壁部厚が上記開口に向かつて漸
   増する、特許請求範囲第３項に記載の耳札。 ８ カラーが強化繊維を含む又は含まないポリア
   ミド等の硬質プラスチツク材料で形成された、特
   許請求範囲第４項に記載の耳札。 ９ カラーが高い弾性を有する金属で形成され
   た、特許請求の範囲第４項に記載の耳札。 １０ 雌部材が標識収納部と取付部とからなるパ
   ネル部を有し、上記取付部は開口及び環状ボスを
   一体的に形成しているとともに上記標識収納部よ
   り大きな横断面の壁厚を有し、上記取付部と標識
   収納部が該取付部側に向つて漸増する厚さを有す
   る横変化部を介して連結されている、特許請求の
   範囲第１項に記載の耳札。