JPH035720Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、２輪駆動と４輪駆動の切換等に使用
されるシフトフオークの待ち機構に関する。

（従来技術） 従来、４輪駆動車用のトランスフアで２輪駆動
と４輪駆動をシフトフオークで切換るため、例え
ば第３図に示すようなシフトフオークの待ち機構
が用いられている（特開昭59−108123号等）。

第３図において、１はシフトロツドでシフトレ
バーの操作により軸方向に移動される。シフトロ
ツド１には所謂待ち機構を介してシフトフオーク
２が装着され、先端のフオーク爪３がスプライン
嵌合を行なうカツプリングスリーブのフオーク溝
に嵌着しており、シフトロツド１の移動で2WD
と4WDの切換を行なう。

このシフトフオーク２の待ち機構としては、シ
フトフオークの軸装着穴４の中に間にスプリング
５を介して一対の段付カラー６，７が組込まれ、
この段付カラー６，７を間に介在してシフトフオ
ーク２の軸装着穴４にシフトロツド１を嵌め入れ
るようにしている。

段付カラー６，７のシフトロツド１に対する位
置規制は、シフトロツド１にストツパリング８，
９を嵌着して段付カラー６，７の小径部位６ａ，
７ａに当接させている。また段付カラー６，７と
シフトフオーク２側との位置規制は、軸装着穴４
の開口側に位置する段付カラー６，７の大径部位
６ｂ，７ｂに当接するように軸装着穴４側に他の
ストツパリング１１，１２を装着している。

このような待ち機構によるシフト操作は、例え
ばシフトロツド１をシフトレバーの操作で左方向
へ移動させたとすると、ストツパリング８により
段付カラー６がシフトフオーク２の軸装着穴４の
中でスプリング５を圧縮しながら移動し、シフト
フオーク２を残したままシフトロツド１のみが移
動する。続いてスプラインの噛み込み位置が合う
と、シフトロツド１の左方向の移動で圧縮されて
いるスプリング５の力が段付カラー７を介してシ
フトフオーク２を右方向に押しているため、この
スプリング５の力を受けてシフトフオーク１が左
方向に移動し、例えば2WDから4WDへの切換が
行なわれる。勿論、シフトロツド１の右方向への
移動についても同様にスプリング５を圧縮した待
ち状態を経てシフトフオーク２の移動が行なわれ
る。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、このような従来の待ち機構にあ
つては、段付カラー６，７のそれぞれとシフトロ
ツド１およびシフトフオーク軸装着穴４との間に
は、両者を摺動させる隙間があることから、多少
のガタ付きをもつて組込まれており、第４図に拡
大して示すように、あいだに介装したスプリング
５の力を受けて段付カラー６，７はガタ付きによ
り傾いた状態に置かれている。

このためシフトロツド１を例えば左方向へシフ
ト移動させたとすると、右側の段付カラー６は圧
縮により増加するスプリング５の力を受けながら
摺動し、スプリング力が増加するために段付カラ
ー６の傾きによるこじりで摺動抵抗が大きく、シ
フトロツド１の動きが悪くなる。

またシフトロツド１により段付カラー６を６′
に移動した待ち状態にあつても、左側の段付カラ
ー７は圧縮されたスプリング５による強い力を受
けて傾いており、この待ち状態からシフトフオー
ク１をスプリング５の力で左側へ移動させるとき
にも段付カラー７の傾きによるこじりで摺動抵抗
が大きくなる。その結果、スプリングの力が段付
カラーの摺動抵抗で食われてシフトフオーク２に
はスプリング力の50〜60％しか伝達できないとい
う問題があつた。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、このような従来の問題点に鑑みてな
されたもので、カラーにガタ付きがあつてもシフ
ト時の摺動抵抗を軽減して滑かなシフト操作がで
きるようにしたシフトフオークの待ち機構を提供
することを目的とする。

この目的を達成するため本考案にあつては、カ
ラーの内周側となるシフトロツドとの摺接面に環
状溝を形成して軸方向の２ケ所で摺接させ、摺接
面積を減らすことで摺動抵抗を低減させるように
したものである。

（実施例） 第１図は本考案の一実施例を示した断面説明図
である。

まず構成を説明すると、１はシフトロツドであ
り、シフトレバーの操作により軸方向にシフト移
動される。シフトロツド１には、間にスプリング
５を介装した一対のカラー１８，２０を介してシ
フトフオーク２が軸装着穴４をもつて取り付けら
れる。

カラー１８，２０は、シフトロツド１の軸挿で
内周面を摺接する小径部位１８ａ，２０ａと、シ
フトフオーク２の軸装着穴４に摺接する外周面を
備えた大径部位１８ｂ，２０ｂで成る段付構造を
持ち、シフトロツド１に嵌着したストツパリング
８，９を小径部位１８ａ，２０ａの外側の端面に
当接してシフトロツド１に対し位置規制すると共
に、大径部位１８ｂ，２０ｂの外側にシフトフオ
ーク２の軸装着穴４に嵌着したストツパリング１
１，１２を当接してシフトフオーク２側に位置規
制している。

更にカラー１８，２０のそれぞれは、シフトロ
ツド１に摺接する小径部位１８ａ，２０ａの内周
面に環状溝２４，２５を形成し、環状溝２４，２
５の形成でカラー１８，２０のシフトロツド１に
対する摺接面積を減らし、カラー１８，２０のそ
れぞれは環状溝２４，２５の両側となる軸方向の
２箇所でシフトロツド１に摺接されている。

次に第１図の実施例の作用を説明すると、カラ
ー１８，２０のそれぞれは小径部位１８ａ，２０
ａ側となるシフトロツド１との摺接面に環状溝２
４，２５をそれぞれ形成していることから、環状
溝２４，２５を形成した分だけシフトロツド１に
対するカラー１８，２０の摺接面積が少なくな
り、この環状溝２４，２５の形成による摺接面積
の低減でカラー１８，２０の摺動抵抗を低減する
ようにしている。

この摺動抵抗の低減をシフト操作を例にとつて
説明すると、例えばシフトレバーの操作でシフト
ロツド１を矢印で示す左方向にシフト移動したと
すると、シフトロツド１に嵌着したストツパリン
グ８に押されてシフトフオーク２の軸装着穴４の
中でカラー１８がスプリング５を圧縮して左方向
に移動する。

このときのカラー１８，２０に於ける摺動部分
は、カラー１８の大径部位１８ｂ側の外周部に於
ける軸装着穴４との摺接部分Ａと、カラー２０に
於ける小径部位２０ａ側の環状溝２５の両側とな
るＢ，Ｃの部分の３箇所となり、カラー２０に設
けた環状溝２５の面積分だけ摺接面積が減つてシ
フトロツド１の動きが滑らかとなる。

次にシフトロツド１の移動でスプリング５を圧
縮した待ち状態に於いて、シフトフオーク２が噛
み込んでいるカツプリングスリーブのスプライン
がシフト側のスプラインに合うと、圧縮されたス
プリング５の力でカラー２０を介してシフトフオ
ーク２を左方向に押圧していることから、スプリ
ング５の力によりシフトフオーク２が左方向に移
動して、例えば2WDから4WDにシフトするよう
になる。この待ち状態からのシフトフオーク２の
移動に於いても、シフトロツド１のシフト移動の
ときと同様、カラー１８，２０の摺接部分はカラ
ー１８に於ける大径部位１８ｂ側のＡ部、及びカ
ラー２０に於ける小径部位２０ａ側のＢ及びＣ部
の３箇所であり、同様に環状溝２５を形成した分
だけ摺接面積が少ないことから、圧縮されたスプ
リング５の力によるシフトフオーク２のシフト移
動を滑らかに行なうことができる。

このようにカラー１８，２０の小径部位側１８
ａ，２０ａ側の内周面に環状溝２４，２５を形成
したことによる摺動抵抗低減の効果は、例えば第
３，４図に示した従来構造に対し、スプリング５
の力をシフトフオーク２に伝達できる効率を数％
〜10％程度改善できることが実験的に確認されて
いる。

第２図は本考案の他の実施例を示した断面説明
図であり、この実施例にあつては第１図の実施例
と同様カラー１８，２０の小径部位１８ａ，２０
ａ側の内周面に環状溝２４，２５を形成してシフ
トロツド１との摺接面積を低減すると共に、シフ
トフオーク２の軸装着穴４に摺接する外周部位１
８ｂ，２０ｂについても、その軸方向の長さを略
線接触となる程度に定めて摺動抵抗を低減するよ
うにしたことを特徴とする。

このようにシフトロツド１との摺接面積を環状
溝２４，２５の形成で低減すると共に軸装着穴４
との摺接面積を外周部位１８ｂ，２０ｂを狭める
ことで低減したことによるシフトフオーク２に対
するスプリング５の力の伝達効率の改善度は、第
３，４図の従来例に対し、20数％〜30％程度と大
幅に改善できることが実験的に確認されている。

尚、上記の実施例は段部を有するカラー１８，
２０を例にとるものであつたが、段部をもたない
円筒状カラーであつても良い。

（考案の効果） 以上説明してきたように本考案によれば、スプ
リングを間に介装した一対の段付カラーを介して
シフトフオークの軸装着穴をシフトロツドに嵌め
入れ、ストツパリングによりカラーをシフトロツ
ド及びシフトフオークの軸装着穴のそれぞれに位
置規制してなるシフトフオークの待ち機構に於い
て、カラーの内周側となるシフトロツドとの摺接
面に環状溝を形成して軸方向の２箇所で摺接させ
るようにしたため、カラーのシフトロツドに対す
る摺接面積が大幅に低減されることでシフト時の
カラーの摺動抵抗を低減し、シフトロツドの動き
でまずスプリングを圧縮し、その後に圧縮したス
プリングの力でシフトフオークをシフト位置に移
動させるときのシフトロツドとスプリング並びに
スプリングとシフトフオークの相互間に於ける力
の伝達効率をカラーの摺動抵抗の低減で改善し、
滑らかな待ち機構によるシフト操作を行なうこと
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示した断面説明
図、第２図は本考案の他の実施例を示した断面説
明図、第３図は従来例を示した断面説明図、第４
図は従来例における段付カラーの傾き状態を拡大
して示した断面説明図である。 １：シフトロツド、２：シフトフオーク、３：
フオーク爪、４：軸装着穴、５：スプリング、
８，９，１１，１２：ストツパリング、１８，２
０：カラー、１８ａ，２０ａ：小径部位、１８
ｂ，２０ｂ：大径部位、２４，２５：環状溝。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 シフトフオークの軸装着穴に一対のカラーを間
   にスプリングを介装して摺動自在に組入れた状態
   でシフトロツドに軸挿し、前記シフトロツドの移
   動で前記スプリングを圧縮しその後に圧縮状態に
   あるスプリングの力で前記シフトフオークをシフ
   ト方向へ移動させるように前記シフトロツド及び
   シフトフオーク軸装着穴に対する複数のストツパ
   リングの嵌着で前記カラーを位置規制してなるシ
   フトフオークの待ち機構に於いて、 前記カラーの内周側となる前記シフトロツドと
   の摺接面に環状溝を形成して軸方向の２箇所で摺
   接させたことを特徴とするシフトフオークの待ち
   機構。