JPH07301255A - 変速機の同期装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 変速機の同期装置に関し、簡単な連結部材を
追加することによって、アウターリングの形状を鍛造成
型がやりやすく、また連結部材のための所要スペースが
少なく、さらに連結部材が外れずセット状態での荷姿保
持を容易とすることを目的とする。 【構成】 軸１０に固定されたハブ２０と、ハブ２０と
軸上に回転可能に支承された歯車１４との間にあって歯
車１４に軸方向に摺動可能に支持されたコーンリング４
０と、コーンリング４０の円錐外面と接するアウターリ
ング５０と、コーンリング４０の円錐内面と接するイン
ナーリング６０とを備え、第１の爪８２がアウターリン
グ５０の円錐内面５２に形成された所定の係合部を有す
る溝５４に係合し、第２の爪８４がインナーリング６０
の円錐外面６２に形成された溝６４に嵌合する断面が略
Ｕ字型の複数の連結部材８０を備えるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車用変速機に用い
られる同期装置（シンクロメッシュ）であって、複数の
円錐摩擦面を有する、いわゆるダブルコーン型およびト
リプルコーン型と称する同期装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】変速機に用いられる同期装置のうち、複
数の円錐摩擦面を有して同期性能が高い、いわゆるダブ
ルコーン型またはトリプルコーン型と称する同期装置と
しては、例えば、実開平４−４５３５号公報や、特開平
４−２９０６１５号公報に記載されたようなものがあ
る。

【０００３】実開平４−４５３５号公報に記載された同
期装置は、メインシャフトに固定されたシンクロナイザ
ハブと、シンクロナイザハブの外周にスプライン嵌合さ
れるスリーブと、シンクロナイザハブの外周部位に形成
されたキー溝内に配設されるキーと、キーに外周方向の
付勢力を与える付勢手段と、同期されるギアと一体的に
回転移動するように設けられた中間リングと、中間リン
グの外周面に対して当接するアウターコーンと、中間リ
ングの内周面に対して当接するインナーコーンとを具備
し、アウターコーンとインナーコーンはフランジ部で連
結されている。

【０００４】また、特開平４−２９０６１５号公報に記
載された同期装置は、複数個のリングを同一の回転軸上
に重ね合わせることで構成され、かつ外側のアウターリ
ングと内側のインナーリングとが相互の接触部を通じて
一体関係で回転するようになっている。すなわち、この
ような同期装置は、一般にアウターリングとコーンリン
グおよびインナーリングがセットになって構成され、少
なくともアウターリングとコーンリングとの間と、コー
ンリングとインナーリングとの間の２カ所に摩擦面を持
ち、高い同期性能を得るように構成され、アウターリン
グの張り出し部がインナーリングの切り込み部に嵌合し
たり、また、アウターリングの張り出し部に形成された
切り込み部にインナーリングの係止爪が嵌合して両者を
連結する構造になっている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来同期装置にあっては、アウターリングとインナ
ーリングとを連結するためにアウターリングに張り出し
部を形成する必要があるため、鍛造成型において材料歩
留まりが悪く、材料費が高くつく上、鍛造後の加工コス
トも高いという問題がある。

【０００６】このような問題を解消する同期装置とし
て、例えば実開平４−１１６０２６号公報で提案された
ようなものがある。この同期装置は、クラッチギア側セ
ンタコーンとインナーリングとアウターリングとを備
え、インナーリングおよびアウターリングのそれぞれに
爪係合部が形成されて、インナーリングおよびアウター
リングの対応する爪係合部に係合することによりインナ
ーリングおよびアウターリングを一体に連結する板金製
の爪プレートを設けている。

【０００７】板金製爪プレートには、インナーリングお
よびアウターリングのそれぞれの爪係合部に係合する爪
部が周方向に４個形成されている。したがって、この同
期装置は、アウターリングとインナーリングとの間に板
金製爪プレートを介在させて、両リングを連結してい
る。しかしながら、このような形状の板金製爪プレート
を用いるには、爪プレートの剛性を確保するために板厚
を厚くする必要があり、所要スペースが大きい上、アウ
ターリングとコーンリングとインナーリングおよび爪プ
レートをセットにした状態で爪プレートが簡単に外れて
しまい、セット状態での荷姿保持がわずらわしいという
問題がある。

【０００８】本発明は、このような従来の問題点に鑑み
てなされたものであって、簡単な連結部材を追加するこ
とによって、アウターリングの形状を鍛造成型がやりや
すく、また連結部材のための所要スペースが少なく、さ
らに連結部材が外れずセット状態での荷姿保持が容易な
同期装置を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は、軸に固定されたハブと、該ハブと軸上に
回転可能に支承された歯車との間にあって歯車に軸方向
に摺動可能に支持されたコーンリングと、該コーンリン
グの円錐外面と接するアウターリングと、コーンリング
の円錐内面と接するインナーリングとを備えた同期装置
において、第１の爪が前記アウターリングの円錐内面に
形成された所定の係合部を有する溝に係合し、第２の爪
が前記インナーリングの円錐外面に形成された溝に嵌合
する断面が略Ｕ字型の複数の連結部材を備えたことを特
徴とする。

【００１０】また、本発明は、前記連結部材に第３の爪
を設け、第３の爪を前記アウターリングの肩部に係合さ
せたことを特徴とする。また、本発明は、前記連結部材
の断面形状を略Ｌ字型とし、前記インナーリングの円錐
外面に形成した溝に代えて前記インナーリングの円錐外
面の端部側に溝を形成し、該溝に連結部材の端部を嵌合
することを特徴とする。

【００１１】また、本発明は、前記アウターリングの円
錐内面に形成した溝に代えてアウターリングの外周側に
溝を形成したことを特徴とする。また、本発明は、前記
インナーリングの円錐外面の溝に斜面を形成し、該斜面
に相対する斜面を前記連結部材の第２の爪に形成し、斜
面間に弾性部材を介装したことを特徴とする。

【００１２】また、本発明は、前記連結部材の一部を前
記ハブの切り欠きに収納することを特徴とする。

【００１３】

【作用】このような構成を備えた本発明の変速機の同期
装置によれば、連結部材の第１の爪をアウターリングの
円錐内面に形成した所定の係合部を有する溝に係合し、
連結部材の第２の爪をインナーリングの円錐外面に形成
した溝に嵌合するとともに、連結部材の第３の爪をアウ
ターリングの肩部に係合させるようにしたため、アウタ
ーリングが鍛造成型しやすい形状となり、歩留まりを向
上させることができるとともに、アウターリングにセッ
トした状態で連結部材が軸方向に外れるのを防止するこ
とができる。

【００１４】また、連結部材の一部をハブの切り欠きに
収納するようにしたため、所要スペースを小さくするこ
とができる。また、連結部材の断面形状を略Ｌ字型と
し、インナーリングの円錐外面に形成した溝に代えてイ
ンナーリングの円錐外面の端部側に溝を形成し、この溝
に略Ｌ字型の連結部材の端部を嵌合するようにしたた
め、連結部材の形状を簡単化することができ、製造コス
トを低減することができ、また、インナーリングの円錐
外面の端部側に形成した溝に連結部材の端部を嵌合する
ので、インナーリング側においても連結部材をセットし
た状態において軸方向に外れるのを防止することができ
る。

【００１５】また、アウターリングの円錐内面に形成し
た溝に代えて、アウターリングの外周側に溝を形成する
ようにしたため、この溝がコーンリングに接することが
なく、溝の摩耗を防止することができる。また、インナ
ーリングの円錐外面の溝に斜面を形成し、この斜面に相
対する斜面を連結部材の第２の爪に形成し、これらの斜
面間に弾性部材を介装するようにしたため、斜面間に発
生したスラスト力がコーンリングにインナーリングおよ
びアウターリングを押しつける方向に係合し、コーンリ
ングとインナーリングおよびアウターリングとの間の摩
擦トルクを大きくするので、同期能力を増大することが
できる。

【００１６】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図１〜図５は本発明の一実施例を示す図であり、
図１は本発明の第１実施例の主要部の横断面図、図２は
縦断面図、図３はアウターリングと連結部材とを組み合
わせた状態を示す部分上面図、図４はインナーリングと
連結部材を組み合わせた状態を示す部分断面図、図５は
図３の断面図である。

【００１７】図１におよび図２において、１０は軸であ
り、軸１０にはスプライン結合によりハブ２０が固定さ
れている。ハブ２０には円周上３カ所に切り欠き２２が
形成されるとともに、外周にはスプライン２４が刻設さ
れ、スプライン２４にはスリーブ３０のスプライン３２
が軸方向に摺動可能に噛合している。スリーブ３０の外
周には環状溝３４が形成され、図示しないシフトフォー
クが係合している。

【００１８】運転者が変速操作を行うことにより、シフ
トフォークを介してスリーブ３０が右または左にシフト
され、左にシフトされる場合はスプライン３２が後述す
る歯車１４のスプライン１６と噛み合う。軸１０にはベ
アリング１２を介して歯車１４が回転可能に支持されて
いる。歯車１４は図示しない相手歯車が噛み合ってい
る。歯車１４にはスプライン１６が刻設されるとともに
穴１８が形成されている。

【００１９】４０はコーンリングであり、コーンリング
４０は円錐外面４２、円錐内面４４および突起４６とを
有している。コーンリング４０の突起４６は歯車１４の
穴１８に嵌合している。すなわち、コーンリング４０は
ハブ２０と歯車１４との間にあって歯車１４に軸方向に
摺動可能に連結されている。このため、コーンリング４
０と歯車１４は一体で回転する。

【００２０】５０はアウターリングであり、アウターリ
ング５０はコーンリング４０とハブ２０の間にあってそ
の円錐内面５２はコーンリング４０の円錐外面４２に接
しており、突起７８はハブ２０の切り欠き２２に一定の
ガタをもって係合している。アウターリング５０の外周
にはスプライン５８が形成され、円錐内面５２には円周
上３カ所に溝５４が形成されている。

【００２１】６０はインナーリングであり、インナーリ
ング６０はコーンリング４０の内側にあってその円錐外
面６２はコーンリング４０の円錐内面４４に接してい
る。円錐外面６２には円周上３カ所に溝６４が形成され
ている。８０は連結部材としてのコネクターであり、コ
ネクター８０の断面は略Ｕ字型に形成される。コネクタ
ー８０は３カ所においてアウターリング５０とインナー
リング６０とを回転方向に連結している。すなわち、コ
ネクター８０は３個用いられ、コネクター８０の第１の
爪８２はアウターリング５０の溝５４に、第２の爪８４
はインナーリング６０の溝６４にそれぞれ嵌合してい
る。

【００２２】アウターリング８０に形成した溝５４は、
図３および図５に示すように、係合部としての段差７６
を有しており、コネクター８０の第１の爪８０もこの段
差７６に係合する段差９２を有している。この実施例に
おいては、アウターリング５０の溝５４とコネクター８
０の第１の爪８２にそれぞれ段差７６，９２を形成する
ようにしたが、これらに限定されるものではなく、斜面
などを形成するようにしても良い。

【００２３】また、コネクター８０には一対の第３の爪
８６が形成され、これらの第３の爪８６はアウターリン
グ５０の肩部５０Ｄに係合している。したがって、コネ
クター８０を溝５４に係合した状態においては、段差７
６と段差９２が互いに係合し、コネクター８０はアウタ
ーリング５０に対して軸方向に固定されるようになって
いる。このため、コネクター８０をアウターリング５
０、コーンリング４０およびインナーリング６０にセッ
トした状態でコネクター８０が軸方向に外れる恐れがな
い。

【００２４】図４に示すように、インナーリング６０の
円錐外面６２に形成した溝６４にはコネクター８０の第
２の爪８４が嵌合し、第２の爪８４と第１の爪８２とを
連結する連結部８０Ｃは、図１に示すように、ハブ２０
の切り欠き２２に収納される。したがって、コネクター
８０のための所要スペースが少なくてすむ。なお、アウ
ターリング５０には張り出し部や切り込み部が形成され
ないので、鍛造成型しやすい形状になっている。

【００２５】次に、動作を説明する。変速操作によりス
リーブ３０が左にシフトしようとした時、スリーブ３０
と歯車１４との間に回転差があると、スリーブ３０のス
プライン３２がアウターリング５０のスプライン５８を
押し、アウターリング５０の円錐内面５２がコーンリン
グ４０の円錐外面４２に押し付けられる。そのため、コ
ーンリング４０は左に動こうとし、コーンリング４０の
円錐内面４４がインナーリング６０の円錐外面６２に押
し付けられ、インナーリング６０の端面が歯車１４に突
き当たる。すなわち、アウターリング５０とインナーリ
ング６０とはコネクター８０によって回転方向に連結さ
れているので、コーンリング４０はアウターリング５０
とインナーリング６０に挟まれる形で円錐内外面で摩擦
が起き、前記回転差を縮める作用を行う。この作用が同
期作用である。

【００２６】同期作用が完了すると前記回転差がなくな
り、スリーブ３０は左へ移動し歯車１４のスプライン１
６と噛み合い、変速操作が完了する。前述のように、ア
ウターリング５０とインナーリング６０とはコネクター
８０により回転方向に連結されているので、従来例のよ
うにアウターリング５０側に張り出し部などを形成する
必要がないため、鍛造成型において材料歩留まりが高く
でき、材料費が安くて済む上、鍛造後の加工コストも低
いという効果がある。

【００２７】また、コネクター８０は一部をハブ２０の
切り欠き２２に納めることができるので、連結するため
の所要スペースが少なくて済む。また、アウターリング
５０の溝５４に段差７６を形成し、この段差７６に係合
する段差９２をコネクター８０の第１の爪８２に形成す
るとともに、コネクター８０に第３の爪８６を形成し、
第３の爪８６をアウターリング５０の肩部５０Ｄに係合
するようにしたため、コネクター８０をアウターリング
５０、コーンリング４０およびインナーリング６０とセ
ットにした状態では、コネクター８０は抜け落ちないの
で、セット状態での運搬や荷姿保持が容易となる。

【００２８】次に、図６は本発明の第２実施例を示す要
部断面図である。この第２実施例は、第１実施例とは、
インナーリング６０に形成された溝６４Ａの形状が異な
り、また、コネクター８０Ａの断面形状が異なる。図６
において、５０は前記アウターリングであり、アウター
リング５０の円錐内面５２には溝５４が形成されてい
る。

【００２９】溝５４には、図示しないが、図３および図
５に示すような段差７６が形成されている。また、アウ
ターリング５０は、図３に示すような突起７８と肩部５
０Ｄを有する。８０Ａは連結部材としてのコネクターで
あり、コネクター８０Ａは断面が略Ｌ字型に形成され、
アウターリング５０とインナーリング６０を３カ所にお
いて連結する。

【００３０】コネクター８０Ａは、図３に示すようにア
ウターリング５０の溝５４に嵌合する第１の爪８２と、
段差７６に係合する段差９２を有するとともに、肩部５
０Ｄに係合する第３の爪８６を有する。コネクター８０
Ａの第１の爪８２と反対側には第４の爪８０Ｂが形成さ
れて、第４の爪８０Ｂはインナーリング６０の円錐外面
６２の端部に形成した溝６４Ａに嵌合する。

【００３１】なお、コーンリング４０は、アウターリン
グ５０の円錐内面５２とインナーリング６０の円錐外面
６２の間に摺動自在に介装される。本実施例において
は、コネクター８０Ａの断面形状が略Ｌ字型となるの
で、構造が簡単になり、コネクター８０Ａの製造コスト
を低減することができる。また、コネクター８０Ａの第
４の爪８０Ｂがインナーリング６０の円錐外面６２の端
部に形成した溝６４Ａに嵌合するため、アウターリング
５０側だけでなく、インナーリング６０側においても、
コネクター８０Ａは軸方向に固定されるので、コネクタ
ー８０Ａは外れる恐れがない。なお、実施例において
も、前記実施例と同様な効果を得ることができる。

【００３２】次に、図７は本発明の第３実施例を示す要
部断面図である。この実施例においては、アウターリン
グ５０の溝５４Ａを円錐内面５２でなく、外周側に設け
た。図７において、６０は前記インナーリングであり、
インナーリング６０の円錐外面６２には溝６４が形成さ
れ、溝６４には連結部材としてのコネクター８０の第２
の爪８４が嵌合している。

【００３３】インナーリング６０の円錐外面６２とアウ
ターリング５０の円錐内面５２との間にはコーンリング
４０が軸方向に摺動自在に装着されている。アウターリ
ング５０の円錐内面５２にコネクター８０の第１の爪８
２が噛合する溝は形成されず、アウターリング５０の外
周側に溝５４Ａが形成されている。溝５４Ａは、図３に
示すように、段差７６を有し、この段差７６に係合する
段差９２がコネクター８０の第１の爪８２に形成されて
いる。また、アウターリング５０には、図３に示すよう
に突起７８と肩部５０Ｄを有し、コネクター８０は肩部
５０Ｄに係合する第３の爪８６を有する。

【００３４】アウターリング５０の外周側に形成された
溝５４Ａにはコーンリング４０が接することがないの
で、溝５４Ａの摩耗を防止することができる。すなわ
ち、アウターリング５０の円錐内面５２でなく、外周側
に溝５４Ａを形成したため、溝５４Ａの摩耗を防止する
ことができる。なお、その他の効果は、第１実施例と同
様である。

【００３５】次に、図８および図９は本発明の第４実施
例を示す図であり、図８は要部断面図、図９はインナー
リング６０とコネクター８０との間にスプリング９６を
装着した状態を示す部分断面図である。図８および図９
において、５０は前記アウターリングであり、アウター
リング５０の溝５４にはコネクター８０の第１の爪８２
が嵌合している。嵌合部分は第１実施例と同じである。

【００３６】インナーリング６０の溝６４には、一対の
斜面６６Ａ，６６Ｂが形成されており、これらの一対の
斜面６６Ａ，６６Ｂに相対する一対の斜面９０Ａ，９０
Ｂがコネクター８０の第２の爪８４に形成されている。
インナーリング６０の溝６４の斜面６６Ａ，６６Ｂとコ
ネクター８０の第２の爪８４の斜面９０Ａ，９０Ｂの間
には、弾性部材としてのスプリング９６が装着され、イ
ンナーリング６０とコネクター８０との間で力の伝達が
ない場合は前記斜面６６Ａ，６６Ｂと斜面９０Ａ，９０
Ｂとが接しないようになっている。

【００３７】同期作用が始まり、インナーリング６０か
らコネクター８０へ摩擦トルクが伝達されると、斜面６
６Ａ，６６Ｂと斜面９０Ａ，９０Ｂとがスプリング９６
を介して接し、両斜面間にスラスト力が発生するように
なっている。次に、動作を説明する。第１実施例と同様
に、アウターリング５０のスプライン５８が図示してい
ないスリーブから押され、コーンリング４０はアウター
リング５０とのインナーリング６０に挟まれる形で円錐
内外面で摩擦が起きる。

【００３８】その際に、インナーリング６０とコーンリ
ング４０との間の摩擦トルクはコネクター８０を介して
アウターリング５０に伝達されるので、前述のように斜
面６６Ａ，６６Ｂと斜面９０Ａ，９０Ｂとの間にスラス
ト力が発生する。また、コネクター８０はアウターリン
グ５０に軸方向に固定されているので、この斜面６６
Ａ，６６Ｂと斜面９０Ａ，９０Ｂとの間に発生したスラ
スト力が、コーンリング４０にインナーリング６０およ
びアウターリング５０を押し付ける方向に作用し、コー
ンリング４０とインナーリング６０およびアウターリン
グ５０との間の摩擦トルクをより大きくする。

【００３９】すなわち、運転者の操作力によりアウター
リング５０がコーンリング４０に押し付けられ、その力
がさらにコーンリング４０がインナーリング６０に押し
付けられて行われる同期作用に、斜面６６Ａ，６６Ｂと
斜面９０Ａ，９０Ｂとの間に発生したスラスト力が加わ
ることになり、同期能力の増大を期待することができ
る。

【００４０】なお、本実施例においても、第１実施例と
同様な効果を期待することができる。その他、特に例示
はしないが、本発明は当業者の一般的な知識に基づい
て、スリーブ３０とアウターリング５０との間に初期摩
擦トルクを発生させるスプリングを設けたり、コーンリ
ング４０およびアウターリング５０の材料の選択や、摩
擦トルクをより大きくするためコーンリング４０の円錐
内面４２にネジを切ったり油溝を設けるなど、種々の変
更、改良を加えた態様で実施することができる。

【００４１】

【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、アウターリングの円錐内面に斜面または段差などの
係合部を持った溝を形成し、インナーリングに形成され
た溝との間に連結部材を装着するようにしたため、アウ
ターリングが鍛造成型しやすい形状となり、材料歩留ま
りが向上するため製造コストの低減が可能になるととも
に、連結部材のための所要スペースが少なくて済み、さ
らに、アウターリングにコーンリングおよび連結部材を
セットした状態で、連結部材が外れることも防止するこ
とができ、組付性を向上させることができる。また、他
の実施例においては、斜面間にスラスト力を発生させる
ことで、同期能力の増大を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例に係る主要部の横断面図

【図２】縦断面図

【図３】アウターリングと連結部材とを組み合わせた状
態を示す部分上面図

【図４】インナーリングと連結部材とを組み合わせた状
態を示す部分断面図

【図５】図３の断面図

【図６】本発明の第２実施例を示す要部断面図

【図７】本発明の第３実施例を示す要部断面図

【図８】本発明の第４実施例を示す要部断面図

【図９】インナーリングとコネクターの間にスプリング
を装着した状態を示す部分断面図

【符号の説明】

１０：軸 １２：ベアリング １４：歯車 １６：スプライン １８：穴 ２０：ハブ ２２：切り欠き ２４：スプライン ３０：スリーブ ３２：スプライン ３４：環状溝 ４０：コーンリング ４２：円錐外面 ４４：円錐内面 ４６：突起 ５０：アウターリング ５０Ｄ：肩部 ５２：円錐内面 ５４，５４Ａ：溝 ５８：スプライン ６０：インナーリング ６２：円錐外面 ６４，６４Ａ：溝 ６６Ａ，６６Ｂ：斜面 ７６：段差 ７８：突起 ８０，８０Ａ：コネクター（連結部材） ８０Ｂ：第４の爪 ８０Ｃ：連結部 ８２：第１の爪 ８４：第２の爪 ８６：第３の爪 ９０Ａ，９０Ｂ：斜面 ９２：段差 ９６：スプリング（弾性部材）

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】軸に固定されたハブと、該ハブと軸上に回
   転可能に支承された歯車との間にあって歯車に軸方向に
   摺動可能に支持されたコーンリングと、該コーンリング
   の円錐外面と接するアウターリングと、コーンリングの
   円錐内面と接するインナーリングとを備えた同期装置に
   おいて、 第１の爪が前記アウターリングの円錐内面に形成された
   所定の係合部を有する溝に係合し、第２の爪が前記イン
   ナーリングの円錐外面に形成された溝に嵌合する断面が
   略Ｕ字型の複数の連結部材を備えたことを特徴とする変
   速機の同期装置。
2. 【請求項２】前記連結部材に第３の爪を設け、第３の爪
   を前記アウターリングの肩部に係合させたことを特徴と
   する請求項１記載の変速機の同期装置。
3. 【請求項３】前記連結部材の断面形状を略Ｌ字型とし、
   前記インナーリングの円錐外面に形成した溝に代えて前
   記インナーリングの円錐外面の端部側に溝を形成し、該
   溝に連結部材の端部を嵌合することを特徴とする請求項
   １記載の変速機の同期装置。
4. 【請求項４】前記アウターリングの円錐内面に形成した
   溝に代えてアウターリングの外周側に溝を形成したこと
   を特徴とする請求項１記載の変速機の同期装置。
5. 【請求項５】前記インナーリングの円錐外面の溝に斜面
   を形成し、該斜面に相対する斜面を前記連結部材の第２
   の爪に形成し、斜面間に弾性部材を介装したことを特徴
   とする請求項１記載の変速機の同期装置。
6. 【請求項６】前記連結部材の一部を前記ハブの切り欠き
   に収納することを特徴とする請求項１〜５記載の変速機
   の同期装置。