JPH0347975Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はキヤブオーバ型車の車体構造、特に車
体前面を形成するフロントパネル周辺の補強構造
の改良に関する。

（従来技術） キヤブオーバ型車の車体前面を形成するフロン
トパネルは、比較的平面的で且つ面積が広いため
変形しやすく、従つて補強部材を配設して強度や
剛性を高める必要があるが、このような補強例と
して、例えば実公昭59−21100号公報によれば、
フロントパネルの内面に、幅方向全域に渡つて横
方向に延びる補強部材を配設した構造が示されて
いる。

ところで、この種のキヤブオーバ型車において
は、外観におけるデザイン上の要請のため、或は
キヤビン前方における足元のスペースを拡大して
居住性を向上させる等のため、フロントパネルの
下部を前方に膨出させる場合がある。その場合、
該パネルは、車体前部の剛性を確保するためにフ
ロントパネル下方に設けられたクロスメンバーか
らオーバーハングすることになるが、これに伴つ
て大きなオーバーハング荷重が該フロントパネル
に作用することになる。そのため、上記公報に示
されているように横方向の補強部材を設けるだけ
では、フロントパネルの強度や剛性がオーバーハ
ング荷重を支持するには不十分となり、該パネル
の変形を招くといつた問題が生じる。

（考案の目的） 本考案はキヤブオーバ型車の車体構造における
上記のような問題に対処するもので、特にフロン
トパネルが前方に膨出されているキヤブオーバ型
車の車体前部において、上記フロントパネルの補
強構造を改良することにより、該フロントパネル
ならびに該パネル周辺の強度や剛性を向上させ、
もつて該フロントパネルの変形を防止することを
目的とする。

（考案の構成） 本考案に係るキヤブオーバ型車の車体構造は上
記目的達成のため、次のように構成したことを特
徴とする。

即ち、キヤブオーバ型車におけるキヤビン前方
の車体構造において、車体前面を形成するフロン
トパネルの内面に、該パネルの幅方向の略全域に
渡つて横方向に延びる第１補強部材と、該パネル
の幅方向中央部において上下方向に延び且つ上端
がフロントウインドの開口部下縁に、下端が車体
下方の左右両側に配設されたランプハウジング間
を連結するクロスメンバーに夫々接合された第２
補強部材とが配設する。
（考案の効果） 上記の構成によれば、フロントパネルの内面に
横方向の第１補強部材と上下方向の第２補強部材
とが配設され、特にこの第２補強部材の下端が左
右両側のランプハウジング間を連結するクロスメ
ンバーに接合されるので、該パネルは横方向の荷
重に対する剛性が向上すると共に、上下方向の荷
重が第２補強部材を介して剛性の高いクロスメン
バーないし両側のランプハウジングに支持される
ことになり、従つて、上下方向の荷重に対しても
強度や剛性が著しく向上することになる。これに
より該フロントパネルが前方に膨出され、これに
伴つて該パネルに大きなオーバーハング荷重が作
用しても、該パネルの変形が防止されることにな
る。また、上記第１、第２補強部材によりフロン
トパネルの全体の強度や剛性が向上されるため、
捩り力等の外力に対しても強靱となり、且つ耐久
性が向上することになる。

（実施例） 以下、本考案の実施例について説明する。

第１図に示すように、キヤブオーバ型車におけ
る車体１の前面はフロントパネル２により形成さ
れ、該パネル２の上方にはフロントガラス３が、
下方にはバンパー４が夫々配設されていると共
に、下部両側方にはヘツドランプ５が配設されて
いる。

一方、第２、３図に示すように、上記車体１の
前部内側にはキヤビンの底面を形成するフロント
フロアパネル６が配設されていると共に、該フロ
ントフロアパネル６の前端部下面には車幅方向に
延びて車体１の前部下方の剛性を確保する第１ク
ロスメンバー７が配設されている。尚、図示しな
いが、上記フロントフロアパネル６の下面には上
記第１クロスメンバー７の後方に夫々車幅方向に
延びる第２、第３のクロスメンバーが配設されて
いる。また、車体１の前部上方の剛性を確保する
ためのものとしては上記フロントパネル２の上部
内面にも車幅方向に延びるフロントクロスメンバ
ー８が配設され、該メンバー８の上端に形成され
たフランジ部８ａと上記フロントパネル２の上端
に形成されたフランジ部２ａとが接合されている
と共に、この接合部によりフロントガラス３の下
縁部が支持されるようになつている。

ところで、上記フロントパネル２は下部が前方
に大きく膨出され、車体前部下方の剛性部材であ
る上記第１クロスメンバー７から該パネル２の前
端までのオーバーハング量Ｈが大きく設定されて
いる。そして、これに伴つて該フロントパネル２
の下端と上記第１クロスメンバー７ないしフロン
トフロアパネル６との間にロアフロントパネル９
が配設されていると共に、該ロアフロントパネル
９の上面にロアフロントクロスメンバー１０が閉
断面ａを形成した状態で配設されている。尚、上
記フロントパネル２の下部両側方の車内側には上
記ヘツドランプ５を収納するためのランプハウジ
ング１１が配設され、該ハウジング１１の内側面
に上記ロアフロントクロスメンバー１０の左右両
端部が接合されている。また、上記フロントパネ
ル２の側端部は車体側方に配設されたフロントサ
イドパネル１２に接合されている。

以上の構成に加えて、上記フロントパネル２の
内面には、上下方向の略中央において幅方向略全
域に渡つて横方向に延びる第１補強部材１３と、
幅方向の略中央において上下方向に延びる第２補
強部材１４が配設されている。上記第１補強部材
１３は断面略コ字状とされていると共に、周囲に
フランジ部１３ａが形成され、第２、３図及び第
４図に示すように、このフランジ部１３ａにより
フロントパネル２の内面に接合されていると共
に、両端部は上記フロントサイドパネル１２に接
合されている。また、第２補強部材１４も断面略
コ字状とされていると共に、両側部にフランジ部
１４ａが形成され、該フランジ部１４ａによりフ
ロントパネル２の内面に接合されている。そし
て、この第２補強部材１４の下端は、上記ロアフ
ロントクロスメンバー１０に設けられた切欠部１
０ａから、該クロスメンバー１０とロアフロント
パネル９とで形成された閉断面ａ内へ突入され、
該ロアフロントパネル９の上面にフランジ部１４
ａにより接合されていると共に、上記ロアフロン
トクロスメンバー１０の切欠部１０ａに設けられ
たフランジ部１０ｂが該第２補強部材１４の上面
に接合されている。また、第３、５図に示すよう
にこの第２補強部材１４の上端にはワイパーフオ
ースメント１５が接合され、該フオースメント１
５が上記フロントパネル２の上端のフランジ部２
ａとフロントクロスメンバ８の上端のフランジ部
８ａとの接合部間に挾着されている。

尚、上記第１補強部材１３と該第２補強部材１
４との交差部ｂにおいては、第１補強部材１３が
凸状に屈曲されて第２補強部材１４の上をまたい
でいる。

上記の構成によれば、フロントパネル２の内面
には、横方向に延びる第１補強部材１３と、上下
方向に延びる第２補強部材１４とが十文字に配設
されているので、該パネル２の全体としての強度
や剛性が向上するとになる。そして、特に第２補
強部材１４の下端は、左右両側のランプハウジン
グ１１，１１間を連結するロアフロントクロスメ
ンバー１０及び該メンバー１０と共に閉断面ａを
形成するロアフロントパネル９に接合されるの
で、フロントパネル２の上下方向の荷重がこれら
の剛性の高い部位に支持されることになる。従つ
て、該パネル２が前方に大きくオーバーハング
し、これに伴つて大きなオーバーハング荷重が該
パネル２に作用するにも拘らず、該オーバーハン
グ荷重に十分に対抗し得る剛性が確保されて、該
フロントパネル２の変形が防止されることにな
る。また、フロントパネル２の全体の強度や剛性
が向上するため、該パネル２は捩り等の外力に対
しても強靱となり、車体前部の耐久性も向上する
ことになる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
該実施例が適用されたキヤブオーバ型車の前部斜
視図、第２図は車体前部を車内側から見た斜視
図、第３図は第２図−線で切断した要部縦断
拡大側面図、第４図は第３図−線で切断した
要部横断平面図、第５図は第３図−矢視によ
る要部拡大背面図である。 ２……フロントパネル、３……フロントウイン
ド（フロントガラス）、７，９、１０……剛性部
材（第１クロスメンバ、ロアフロントパネル、ロ
アフロントクロスメンバー）、１１……ランプハ
ウジング、１３……第１補強部材、１４……第２
補強部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. キヤブオーバ型車におけるキヤビン前方の車体
   構造であつて、車体前面を形成するフロントパネ
   ルの内面に、該パネルの幅方向の略全域に渡つて
   横方向に延びる第１補強部材と、該パネルの幅方
   向中央部において上下方向に延び且つ上端がフロ
   ントウインド開口部下縁に、下端が車体下方の左
   右両側に配設されたランプハウジング間を連結す
   るクロスメンバーに夫々接合された第２補強部材
   とが配設されていることを特徴とするキヤブオー
   バ型車の車体構造。