JPH0345829Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は熱変色性印刷物に関する。詳細には、
非変色性インキによる印刷像に重ねて抜き文字部
を設けた熱変色性インキの層を配設した熱変色性
印刷物に関し、所定の温度域では抜き文字が判読
され、前記温度域外の温度域では下層の印刷像が
視認できるよう構成した熱変色性印刷物に関す
る。

従来の技術 従来より、温度変化に感応して発色、消色又は
変色する熱変色性印刷物は、適温乃至警告表示、
装飾、玩具分野等にみられるが、印刷像同士を重
ね刷りして温度変化により選択的に何れかの像を
クローズアツプさせて視認させる有効な提案はみ
られず、相異なる印刷像にあつては重ね刷りによ
らず並列的な印刷を余儀なくされており、印刷ス
ペースの効率的な使用がなされていないし、変色
の妙味を必ずしも満足させていなかつた。

考案が解決しようとする問題点 本考案は非変色性インキの印刷像に熱変色性イ
ンキの印刷像を重ね刷りして、限られた印刷スペ
ースを高効率に使用して、所定の温度域で前記印
刷像を選択的に視認させ、変化の妙味、アピール
性等を向上させた印刷物を提供しようとするもの
である。

問題点を解決するための技術的手段 本考案の熱変色性印刷物を図面について説明す
る。（第１図〜第６図参照） 本考案の熱変色性印刷物は、支持体１面上に設
けられた非変色性インキによる印刷像２−１に重
ねて少なくとも一層の熱変色性インキの印刷像
（図示例では３−１，４−１）が設けられており、
該層のうち最上層４−１は抜き文字部５を設けた
熱変色性インキの層であつて所定の温度域では着
色状態であり、着色状態の最上層４−２は他の印
刷像より濃い視覚濃度に設定されていて前記抜き
文字５が判読され、前記温度域外の温度域では前
記最上層は実質上無色となつて下層の印刷像が視
認されるよう構成されてなることを要件とするも
のである。

前記において、支持体１は印刷適性を備えた基
材であれば有効であり、好適には白〜淡色のもの
が多様な着色像の視覚を容易とするので望まし
い。非変色性インキは、通常の印刷インキをさ
し、熱変色性インキは、温度に感応して可逆的に
発色、消色する従来公知のインキが適用される。
それらのうちの一例として特公昭52−7764号公報
「印刷インキ」が挙げられる。

前記印刷インキは、−100℃〜＋200℃の間にお
いて、赤、青、黄、緑、橙、紫色その他配合によ
り微妙な色まで、有色から無色に、無色から有色
へと変化させることができ、さらに色の変化も、
市販の染顔料を適宜添加することにより、有色
〔〕有色〔〕への変化も可能であるので好
適に用いられる。

前記の非変色性及び熱変色性インキの印刷像
は、従来公知のグラビア、スクリーン、オフセツ
ト等の印刷技法により、支持体に重ね刷りされ
る。熱変色性インキの着色像は、非変色性インキ
に比較して濃い視覚濃度であり、また、二層以上
の熱変色性インキの重ね刷りの系では、各層の着
色像が互いに異なる視覚濃度となるよう配設する
ことを要件とする。この際、各層の着色像は互い
に異なる色相であつても、同一系統の色相の濃淡
像が配設されたものでも、前記の視覚濃度の関係
が満たされるものであればよい。

また、図示例（第１図〜第３図）では文字像同
士の重ね刷りを例示したが、最上層の抜き文字部
を設けた層以外は図柄等の像の適用も可能であ
る。

実施例（第１図〜第６図参照） 支持体１の面上には、低温で顕色して濃色の視
覚濃度を与える可逆性の熱変色性インキの印刷像
３−１及び４−１が、非変色性インキの印刷像２
−１に順次重ね刷りされてラベルが構成されてい
る。

第１図はt₃の温度領域で第２の熱変色性インキ
の着色像４−２に設けられた抜き文字「Ｃ」が判
読され、第２図はt₂の温度領域で第１の熱変色性
インキの着色像３−２の「Ｂ」が、第３図はt₁の
温度領域で非変色性インキの印刷像「Ａ」が順
次、視認される状態を示す各平面図であり、第４
図、第５図、第６図は前記各状態における縦断面
図を示す。

次に前記実施例の作用効果を第７図について説
明する。

温度域t₁では非変色性インキの印刷像２−１に
比較して第１及び第２の熱変色性インキの印刷像
３−１，４−１の視覚濃度が低く（濃度差ａ）、
従つて印刷像２−１のみが判読される（第３図）。

温度域t₂では、印刷像２−１に比較して第１の
熱変色性インキの着色像３−２の視覚濃度が大と
なり（濃度差ｂ）、印刷像２−１の視覚濃度を越
えて着色像３−２が判読される（第２図）。

温度域t₃では、第２の熱変色性インキの着色像
４−２は、前記着色像３−２に比較して、さらに
高濃度となり（濃度差ｃ）、前記非変色性インキ
の印刷像２−１及び着色像３−２の視覚を越えて
判読される（第１図）。

従つて、温度域t₁を常温に設定すれば、常温で
は、「Ａ」のみが視認され、t₂，t₃の温度域に温
度を下げると順次「Ｂ」、抜き文字「Ｃ」が判読
されるようになる。

温度域t₂を常温域に設定すれば、常温では
「Ｂ」が視認され、t₁の温度域まで温度を上げる
と「Ａ」が視認され、t₃の温度域に温度を下げる
と抜き文字「Ｃ」が視認される。

同様にt₃の温度域を常温に設定すれば、常温で
は抜き文字「Ｃ」が視認され、t₂，t₁の温度域に
上昇させると「Ｂ」，「Ａ」が順次視認される。

このように変色温度の異なる熱変色性インキに
よる像を適宜組合せれば、温度変化により順次、
全く異なる像が顕出される。

前記実施例では低温域で顕色する熱変色性イン
キを用いたが、高温度で顕色する熱変色性インキ
や前記両者の併用系等においても前記に準じた作
用効果を与える。

考案の効果 本考案の熱変色性印刷物は、前記実施例に記載
した如く、非変色性インキによる印刷像に重ねて
抜き文字部を設けた熱変色性インキの層が配設さ
れており、所定の温度域では前記層が着色して抜
き文字が判読され、前記温度域外の温度では下層
の印刷像が視認でき、抜き文字に関連した図柄、
記号、文字等の印刷像を組み合わせて配設するこ
とにより、温度変化により重ね刷りの個所に順次
前記像を選択的にクローズアツプして視覚させ、
支持体表面の印刷スペースを高効率に使用できる
ことは勿論、変化の妙味、アピール性を向上させ
た印刷物として有効である。また、印刷のベース
である支持体は、シート材に限らず印刷適性を備
えた基材であれば有効なため、玩具、装飾、示温
効果等を与える多様な分野に適性を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は最上層が着色状態であり、抜き文字が
判読される状態の平面図、第２図は最上層が消色
して、次層の着色像が視認される状態の平面図、
第３図は最上層及び前記次層の着色像が消色して
非変色性インキによる印刷像が視認される状態の
平面図、第４図は第１図の、第５図は第２図の、
第６図は第３図の、それぞれの縦断面図である。
第７図は作用効果の説明図であり、Ｙ軸は視覚濃
度を、Ｘ軸は温度を示す。 １……支持体、２……非変色性インキの印刷像
の視覚濃度レベル、２−１……非変色性インキの
印刷像、３……第１の熱変色性インキの印刷像の
感温曲線、３−１……同上インキの印刷像、３−
２……同上インキの着色像、４……第２の熱変色
性インキの印刷像の感温曲線、４−１……同上イ
ンキの印刷像、４−２……同上インキの着色像、
５……抜き文字部、T₁……第１の熱変色性イン
キの印刷像の感温曲線と非変色性インキの印刷像
の視覚濃度レベルとの交点、T₂……第１の熱変
色性インキの印刷像の感温曲線と第２の熱変色性
インキの印刷像の感温曲線との交点、t₁，t₂，t₃
……温度域、ａ，ｂ，ｃ……濃度差。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 支持体面上に設けられた非変色性インキによる
   印刷像に重ねて少なくとも一層の熱変色性インキ
   の印刷像が設けられており、該層のうち最上層は
   抜き文字部を設けた熱変色性インキの層であつて
   所定の温度域では着色状態であり、着色状態の最
   上層は他の印刷像より濃い視覚濃度に設定されて
   いて前記抜き文字が判読され、前記温度域外の温
   度域では前記最上層は実質上無色となつて下層の
   印刷像が視認されるよう構成されてなる熱変色性
   印刷物。