JPH0516597Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は温度変化により互変性の２種の表示が
現出され、任意の一方の表示を常温域で保持でき
る二面性表示体に関するものであり、絵柄や表示
情報の二面性を利用するシール類、カード類、絵
本、図柄デザインに価値の重点がおかれる衣服、
かばん、袋物、ハンカチ、手拭い等のフアツシヨ
ン関連物品、玩具及びカツプ類、内容物の温度履
歴を記憶する容器または包装体等の分野に広く応
用されるものである。

従来の技術 従来より温度変化により可逆的に変化する表示
を施した物品は数多くみられるが、それらの表示
は周囲の温度で決まつてしまい、任意の一方を常
温域で保持できるものではなかつた。また温度変
化により不可逆に変色する熱変色材料を利用した
温度履歴インジケータもあるが、それらは反復し
て使用することはできないものである。

考案が解決しようとする問題点 本考案は温度変化により、２種の表示像の一方
が視覚される状態となり、該像は常温域で維持さ
れ、更に温度変化により前記像と異なる表示像に
変化させて、それを常温域で維持させることもで
き、これらの変化を繰り返し再現できる表示体を
提供しようとするものである。

問題点を解決するための手段 本考案は支持体表面に設けられる非変色像から
なる第１層に重ねて、準可逆熱変色材料を含む、
温度変化により準可逆的に変色する熱変色像から
なる第２層を設けることにより、二面性を有し、
且つ任意の一方の表示を選択して常温域で保持で
きる表示体を構成するものである。

ここで用いられる準可逆熱変色性材料は常温域
を挟む２種の完全変色温度を有し、前記２種の完
全変色温度のうち低い方の温度（以後、変色点
と略記する）以下の温度で呈する色と高い方の
温度（以後、変色点と略記する）以上の温度で
呈する色が相異なり、その間の温度域は色と
色のいずれもが存在しうる温度域であるが、準
可逆熱変色性材料は色が無色であるものが多
く、少なくとも色は色より濃色である。

この種の準可逆熱変色性材料としては先に本出
願人が提案した組成物（特開昭60−264285号）が
好適に用いられる。

前記第１層の非変色像は絵柄、文字、記号また
はそれらの組合せ等、所望のデザインが適用され
るが、第２層は第１層の非変色像の絵柄、文字、
記号等と部分的に重なる前記とは別の絵柄、文
字、記号等の形態である。

また前記第２層の色が第１層の非変色像の色
より濃色である組合せは文字や記号同士の重ね表
示に有効である。

以上の表示を施す支持体は紙、プラスチツクフ
イルム、布、皮革のようなシート状のものは勿
論、陶磁器、ガラス、プラスチツク成形体、木
材、金属等通常のスクリーン印刷、フレキソ、グ
ラビア、オフセツト、タンポ、バーコート印刷な
どの印刷法またはスプレー、刷毛塗り、筆描き、
デイツピング、静電塗装等の塗装が適用される材
料があげられる。

作 用 前記表示体は一旦変色点以下の温度にさらさ
れると第２層の像が色を呈し、人の目に視認さ
れるのは色の像と非変色像が重なつて形成され
る表示像であり、この表示は常温域に戻しても
変わらずに維持される。しかし、変色点以上の
温度にさらされると第２層の像は色に変化し、
人の目に視認されるのは色の像と非変色像の重
なりにより形成される表示像であり、色が無
色である場合は表示像は非変色像そのものであ
る。そして表示像は常温域に戻してもそのまま
維持される。

以上の変化は繰り返し再現される。

実施例 実施例 １ 支持体表面に淡青色の文字を印刷し、前記文字
に重ねて変色点が５℃、変色点が40℃であ
り、色が濃青色、色が無色である準可逆熱変
色性材料を含む熱変色インクにて前記文字とは別
の文字を印刷して二面性表示体を得た。

第１図にこの表示体の拡大縦断面図を示す。図
中、１は支持体、２は非変色像、３は準可逆熱変
色像をそれぞれ表す。以下の図面についても同じ
符号を用いる。

この表示体を５℃以下の温度にさらすと、第２
層の濃青色（色）の文字のみが視認され、常温
域（８℃〜35℃）に戻しても前記文字は変わらず
に維持され、これを40℃以上の温度にさらすと濃
青色は消え、第１層の淡青色の文字が視認され、
この文字は常温域に戻しても維持された。

以上の変化は繰り返し再現された。

この態様は繰り返し使用できる温度履歴インジ
ケータとして以下の使用例があげられる。

非変色像を「適温です」、第２層の像を「冷え
過ぎました」という文字にすれば、表示体が一旦
変色点以下の温度にさらされたことを指示する
低温側インジケータとして使用できる。

また非変色像を「高くなりすぎました」、第２
層の像を「適温です」とすれば、表示体が一旦変
色点以上の高温にさらされたことを指示する高
温側インジケータとして使用できる。

このような表示体は内容物が温度変化の影響を
受けやすい物の容器または包装材またはそれらに
貼付するシールとして利用される。

実施例 ２ 第２図に第２実施例における互変性の表示像
（ペンギンの絵）と表示像（たぬきの絵）を示
す。

支持体表面に黒色の非変色像（たぬき）を印刷
し、その印刷面上に変色点が15℃、変色点が
35℃であり、色が黒色、色が無色の特性を有
する準可逆熱変色インクで前記非変色像と部分的
に重なる所定のパターンを印刷して二面性表示体
を得た。

第３図にこの表示体の拡大縦断面図を示す。

この表示体を15℃以下の温度にさらすと前記非
変色像と色のパターンとで合成される表示像
（ペンギン）が視認され、これは常温域（15℃を
越え、35℃未満の温度域）に戻しても維持され、
35℃以上の温度にさらされると色のパターンが
消え、非変色像そのものである表示像（たぬ
き）が視認され、常温域に戻しても維持された。
この変化は繰り返し再現された。

この態様は絵本、カード、シール、カツプ類、
衣類、玩具等への変身像の付与に利用される。

勿論、図柄で表示される温度履歴インジケータ
としても利用できる。

実施例 ３ 支持体表面に多色のインクからなる文字及び絵
を印刷し、その印刷面上に変色点が12℃、変色
点が33℃であり、色が赤色、色が無色の準
可逆熱変色性インク及び変色点は前記と同じで色
が緑色、色が無色である準可逆熱変色性イン
クの２種のインクを用いて、前記非変色像に部分
的に重なつて、色が現出している時、全体とし
て迷彩柄となる印刷を施して二面性表示体を得
た。

第４図に前記表示体の拡大縦断面図を示す。

この表示体は12℃以下の温度にさらされると迷
彩色の模様が視認され、常温域（12℃を越え、33
℃未満の温度域）に戻しても維持された。これを
33℃以上の温度にさらすと、第２層の色（赤色
と緑色）が消え、第１層のカラフルな文字及び絵
が視認され、常温域に戻しても前記文字及び絵は
維持された。この変化は繰り返し再現された。

この態様はカード、シール、絵葉書、衣服及び
玩具等の使用例があげられる。

考案の効果 前記のとおり、本考案の二面性表示体は２種の
表示像及び表示像が温度変化により互変性を
示し、現出した表示像は常温域で維持されるの
で、可逆熱変色表示体と不可逆熱変色表示体の機
能を兼備し、且つそれら二者の組合せによつても
出せない温度履歴の記憶と繰り返し再現の二機能
を両立させる作用効果を発揮し、主に変化と記憶
の作用を利用して面白さや楽しさを倍加するシー
ル、カード類、絵本、カツプ類、玩具、衣類など
への応用から温度履歴インジケータとしての産業
資材まで多くの用途に利用できるものである。

【図面の簡単な説明】

図面の第１，３及び４図はそれぞれ本考案の各
実施例の拡大縦断面図であり、第２図は第２実施
例の表示像及び表示像を示す。 １……支持体、２，２′，２″……非変色像、
３，３′……準可逆熱変色像。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 支持体上に相異なる像が２層に重ねて設けら
   れてなり、第１層は非変色像の層であり、第２
   層は常温域を挟む２種の完全変色温度をもつ準
   可逆熱変色像の層であり、前記２種の完全変色
   温度のうち低い方の温度以下の温度で現出する
   第２層の色と高い方の温度以上の温度で現出
   する第２層の色は相異なり、前記色と非変
   色像の重なり及び色と非変色像の重なりはそ
   れぞれ相異なつて視認される互変性の表示像
   及び表示像である、任意の一方の表示を常温
   域で保持できる二面性表示体。 ２ 前記第２層の像が第１層の非変色像を部分的
   に被覆している請求項第１項記載の二面性表示
   体。 ３ 前記第２層の色が第１層の非変色像の色よ
   り濃色である請求項第１項または第２項記載の
   二面性表示体。 ４ 前記第２層は複数の像からなり、該像の各々
   は互いに実質的に同じ完全変色温度を示すが、
   相異なる色を呈する像である請求項第１項ま
   たは第２項記載の二面性表示体。