JPH0345448Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は、軽量気泡コンクリート板を装着した
壁パネルの枠組みを構成する為に使用する壁パネ
ルに関するものである。

〔考案の技術的背景〕

最近プレハブ住宅の一つとして、外壁材に軽量
気泡コンクリート板（以下ALC板とよぶ）を使
用したものが採用されている。ALC板は、断熱
性、耐火性、耐久性、防音性という利点はもとよ
り、パネル自体を工場で予め用意しておくことが
でき、現場での作業が少ない優れたプレハブ特性
を持つことから、今後のコンクリート系建築物の
主流となるものである。

さて、このALC板を用いた建築物のプレハブ
化を進める場合、外壁と組合せて使用する建物開
口部回りのプレハブ化も重要な課題である。即
ち、外壁自体は、建築物の柱や梁に対してALC
板を固定していくことで容易に構成できるが、
窓、テラス戸、或いは出入口等の様に壁面に形成
される開口部について従来と同様な現場取付けを
行つていると、プレハブ率が低下し、ALC工法
の利点が充分生かされないことになる。

この様なことから、本出願人は、所定の枠組み
に対して、必要とする窓枠、戸枠或いはその周囲
のALC板までも、予め工場で一体に取付けるこ
とにより、開口部回りのプレハブ化を達成した開
口用の壁パネルを提案した。

〔背景技術の問題点〕

ところで、この様な開口部用の壁パネルは、基
本的には、縦横のフレーム材を枠状（格子状）に
組上げて成るものであるが、この枠組みの強度が
低いと、工場から現場への輸送等の際に枠組みに
ねじれ等の変形が生じることになる。この場合、
枠組み自体は、スチール等の材料の持つ弾性によ
り元に復元するため大きな問題は生じないが、こ
れに固定したALC板は変形が不可能な為に、枠
組みとの取付け部分が欠けたり亀裂が入つたりす
る不都合が生じる。特に、このことは、縦横のフ
レーム材の結合部において顕著に現れ、外力が加
わると縦横のフレーム材にねじれが生じ、各フレ
ーム材の外面板が同一面とならず、フレーム材表
面に固定されているALC板の破損を招くことに
なる。

この様なことを解消するには、縦横のフレーム
材の結合部に強固な連結金具を使用するとか、結
合箇所を多くする等の手段が考えられる。しか
し、この様に結合部分の構造を複雑化すること
は、プレハブ化という点からは好ましいものでは
なく、輸送保管の為に工数を増やすならば、プレ
ハブ化に逆行することになる。

〔考案の目的〕

本考案は、上記の様な従来技術の問題点に鑑み
提案されたもので、その目的は、ボルト・ナツト
結合という簡単な手段で、しかも結合された縦横
のフレーム材のねじれを防止することにより、優
れた強度を有する壁パネルを提供することにあ
る。

〔考案の概要〕

本考案の壁パネルは、縦横２方向のフレーム材
によつて枠組みを構成し、このフレーム材にパネ
ル材を固定して成るものである。

特に、本考案の壁パネルにおいては、一方のフ
レーム材端部に係合突起が設けられ、他方のフレ
ーム材には、外面板、側板及び内面板から成る断
面コ字形のフレーム材本体と、このフレーム材本
体の外面板及び内面板の表面に沿つて側板表面か
ら突出した内外の係止板と、これら係止板の間の
部分に設けられ、前記のフレーム材に設けられた
係合突起の挿入部とが設けられている。

そして、前記縦横２方向のフレーム材が、一方
のフレーム材の係合突起を他方のフレーム材の挿
入部に挿入した状態で、他方のフレーム材の側板
を締付け面としたボルトまたはナツトとによつて
固定されている。

この様な構成により、内外の係止板の間に他の
フレーム材側の係合突起を嵌合した状態でボル
ト・ナツトを締付け固定した場合に、他のフレー
ム材との間にねじれ方向の力が加わつても、内外
の係止板と係合突起とが噛合つてフレーム材間の
位置ずれを阻止し、壁パネルの変形が防止され
る。

〔考案の実施例〕

以下、本考案の一実施例を第１図及び第２図に
従つて具体的に説明する。

第１図は本実施例の壁パネルを室内側から見た
正面図で、図中１は壁パネルの枠組みの左右の縦
枠で、本考案の請求の範囲で「他方のフレーム
材」と定義されているものである。２はこのフレ
ーム材に対して固定されている横枠で、本考案の
請求の範囲で「一方のフレーム材」として定義さ
れている。図の例では、上枠２ａ、下枠２ｂに加
え、壁パネル中段にはサツシ３の上下に沿つた横
枠２ｃ，２ｄが、前記縦枠１に固定されている。
また、各横枠２の端部には、溶接、リベツト止め
等の手段でALC板から成る壁パネル４の取付け
金具５が固定され、本実施例では、この取付け金
具５を介して縦枠１と各横枠２とがボルト・ナツ
トで締付け固定されている。

なお、図示の例では、第２図断面図に示す様
に、縦長の室外側と横長の内外２組の壁パネル４
が枠組みに固定されており、室内側の各壁パネル
の端部コーナー部の位置に合せて取付け金具５が
設けられている。従つて、横枠と縦枠１との結合
部分以外にもこの取付け金具５が設けられてい
る。

前記縦枠１の断面形状は、第２図に示す様に、
一枚のスチール板を外面板１１、側板１２及び内
面板１３から成る断面コ字形に屈曲したもので、
そのうち外面板１１の表面に緩衝材２０を介して
室外側の壁パネル４が固定されている。外面板１
１と内面板１３の端部は、その表面に沿つて折返
され、側板１２の端部から突出して内外の係止板
１４を構成している。この係止板１４は、一例と
して先端が対向する様に鍵型に屈曲したもので、
前後の係止板１４の間が他のフレーム材、この実
施例では横枠２に固定した取付け金具５の係合突
起２１の挿入部となつている。

即ち、取付け金具５は、一例として角筒状をし
た横枠２の前面に溶接等の手段で固定される壁パ
ネル取付け板２２と、横枠２の端部に当接する縦
枠取付け板２３とから成り、この縦枠取付け板２
３に前記係合突起２１が縦枠１側に向かつて帽子
状に突出している。そして、この係合突起２１の
背面の凹部内に、ナツト２４が溶接により固定さ
れている。このナツト２４には、前記縦枠の側板
１２側から挿入したボルト２５の先端がねじ込ま
れ、このボルト２５によつて縦枠１と横枠２と
が、取付け金具５を介して締付け固定されてい
る。

なお、本実施例では、前記取付け金具５の横枠
取付け板２２における横枠２の固定部以外の部分
に、室内側の壁パネル４がねじ止め等の手段で固
定されている。また、外面板１１の側板と反対側
の端部には、隣接する壁パネル３０との位置決め
用となる当接面３１が屈曲形成されている。

この様な構成を有する本実施例においては、取
付け金具５は一定の幅を有するものであるから、
その縦枠取付け板２３側に設けられた係合突起２
１も縦枠１の長さ方向に所定の長さを持つもので
ある。従つて、この係合突起２１を縦枠１の前後
の係止板の間に挿入した場合、取付け金具５が縦
枠１に対して回転方向にずれることはできない。
そのため、取付け金具５と縦枠１とをボルト・ナ
ツト２４，２５によつて固定すると、縦枠と横枠
に力が加わつてもねじれが発生することがなく、
ここに固定した各壁パネル４の破損が生じること
もない。

また、図示の例では、取付け金具５が室内側の
壁パネルの取付け手段も兼用しているので、少な
い部品で縦横の枠の結合と、壁パネルの支持がで
きる。更に、外面板１１の端部に隣接する壁パネ
ルの当接面３１を設けたので、他の壁パネルとの
位置決めも正確に実施できる。

なお、本考案の壁パネルは、上記実施例に限定
されるものではなく、取付け金具を第１図の様な
ピース状とする代わりに、縦枠に沿つてサツシ部
分を避けて上から下まで伸びる一体型とすること
もできる。また、使用するフレーム材の強度を向
上させる為に、適当なリブ等を設けることもで
き、その断面形状は図示のものに限定されない。
更に、一枚の鋼板を屈曲させる代りに、何本かの
型板を溶接等で組合わせても良い。

また、図示の例では、他のフレーム側の係合突
起を、他のフレーム材に固定した取付け金具に設
けたが、他のフレームの表面に直接係合突起を設
けても良い。また、他のフレームと固定する為の
ボルト・ナツトもこの係合突起とは別の箇所に設
けることもできる。

［考案の効果］ 以上の通り、本考案によれば、断面コ字形のフ
レーム材の側板部分に、他のフレーム材側の係合
突起を挿入する一対の係合板を設けるという簡単
な手段により、両フレーム材の結合強度が優れ、
しかも構造的にも簡略化された壁パネルを提供で
きる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の壁パネルの一実施例を室内側
から見た正面図、第２図は第１図Ａ−Ａ線の拡大
断面図である。 １……縦枠、２……横枠、３……サツシ、４…
…壁パネル、５……取付け金具、１１……外面
板、１２……側板、１３……内面板、１４……係
止板、２０……緩衝材、２１……係合突起、２２
……壁パネル取付け板、２３……縦枠取付け板、
２４……ナツト、２５……ボルト、３０……壁パ
ネル、３１……当接面。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 縦横２方向のフレーム材を枠状に組み立て
   て、これらのフレーム材にパネル材を固定して
   成る壁パネルにおいて、 一方のフレーム材端部には、係合突起が設け
   られ、 他方のフレーム材には、 外面板、側板及び内面板から成る断面コ字形
   のフレーム材本体と、 このフレーム材本体の外面板及び内面板の表
   面に沿つて側板表面から突出した内外の係止板
   と、 これら係止板の間の部分に設けられ、前記の
   フレーム材に設けられた係合突起の挿入部とが
   設けられ、 前記縦横２方向のフレーム材が、一方のフレ
   ーム材の係合突起を他方のフレーム材の挿入部
   に挿入した状態で、他方のフレーム材の側板を
   締付け面としたボルトまたはナツトとによつて
   固定されていることを特徴とする壁パネル。 (2) コ字形をしたフレーム材本体の側板が、他の
   フレーム材側の係合突起の内側に配設されたボ
   ルトまたはナツトとの締付け面となつている実
   用新案登録請求の範囲第１項記載の壁パネル。 (3) 外面板が、フレーム材が支持するパネル材の
   取付け面となつている実用新案登録請求の範囲
   第１項記載の壁パネル。 (4) 外面板が、その端部に側板と平行に形成され
   た隣接パネルへの当接面を有するものである実
   用新案登録請求の範囲第１項記載の壁パネル。