JPH0338693B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は消弧装置、詳しくはブレーカ等に用い
られ、かつブレーカ内の接点が開離する際に接点
間に生ずるアークを速やかに消弧させるための消
弧装置に関する。

アークを磁気駆動して消弧能力を高め、あるい
は接点の消耗を減少させたりする方法としては、
従来、例えば第１図に示すように、可動・固定両
接点板１′，３′の平行部を流れる逆方向電流の電
磁力を利用していた。しかしながらこの方法であ
ると、接点開離の際、接点間に発生するアークは
図示するように→へと移動するにつれて平行
部長が次第に長くなり、磁気駆動力が増すが、肝
心のアークが接点部に発弧しているの状態では
充分な磁気駆動力が得られないという欠点があつ
た。

本発明は上記の点に鑑み提案されたもので、固
定接点に近接して置かれたアーク走行平板部に、
可動接点板を流れる電流と同一方向の電流を流す
ことにより、アークが接点間に発弧している状態
での磁気駆動力を高めた消弧装置を提供すること
を目的とするものである。

以下、図面に沿つて本発明を説明する。

第２図イ，ロ，ハ，ニは本発明にかかる消弧装
置の第１実施例であり、図中１は先端部に可動接
点２を有し、かつ周知の如くリンク機構等（図示
せず）と連係された可動接点板、４は上記可動接
点２と離合する固定接点３を有する平板部で、第
１の側辺４ａ、外側平板部６、第２の側辺４ｂに
より閉路が形成されている。５はアーク走行平板
部で、この閉路の内側において、側辺４ｂより平
板部４方向に延び、かつ平板部４とは間隙を介し
てほぼ同一面上に配置されている。このアーク走
行平板部５の一端、すなわち平板部４に対向する
部分は、アーク走行平板部の下方に配置されてい
る電流通路部７の折曲げ部７ａに結合されてい
る。さらに電流通路部７の他端は外部端子８を形
成する。

この場合、図示の実施例ではアーク走行平板部
５を挟んでその両側にそれぞれ外側平板部６が配
設され全体としての電流通路部はロの字型をなし
ているが何れか一方のみに外側平板部６を設ける
構成でも良い。

９は可動接点２および固定接点３と対向・離間
して積層状に配設され、図示されていないが器壁
に固定されている消弧グリツド、１０，１０′は
消弧室を区画形成する器壁、１１は消弧グリツド
９の背面側に配設され、かつ消弧作用の際発生す
るガスを外部へ排気するための孔を有する排気板
である。

しかして動作にあたつては、ブレーカの外部に
突設されたハンドルを操作することにより周知の
リンク機構（何れも図示せず）が作動して可動接
点２が固定接点３に接触し接点が閉成する。この
状態で電路に過負荷電流または過大電流の如き異
常電流が流れると、周知の引き出し機構が動作し
て接点が開離するものであり、その際接点間に図
示の如くアークａ（第２図ロ）が生ずる。この場
合、可動接点板１、可動接点２、固定接点３、平
板部４、側辺４ａ、外側平板部６、側辺４ｂ、ア
ーク走行平板部５、折曲げ部７ａ，７ｂおよび電
流通路部７には矢印で示すように電流が流れるた
め、アーク走行平板部５を流れる電流によつてＦ
（第２図ロ）で示すような磁気駆動力が生じ、こ
の磁気駆動力Ｆがアークａに作用する。したがつ
て、アークａが接点間に発弧している時に強力な
磁気駆動力が得られるものである。

第３図イ〜ホは本発明の第２実施例を示すもの
で、この実施例ではＵ字型の磁気ヨーク１２を中
央部に配設されたアーク走行平板部５と、その左
右に配設された外側平板部６およびアーク走行平
板部５の下方に延びている電流通路部７とで形成
された空間部に設けた点に特徴を有している。す
なわち、Ｕ字型の磁気ヨーク１２の底部１２ａは
電流通路部７とこれと離れて対向するアーク走行
平板部５との間の空間部に配置され、かつ上方に
向かつて対向して延びる腕部１２ｂ，１２ｂはア
ーク走行平板部５とその両側の外側平板部６，６
との間の空間部に配置されている。そして腕部１
２ｂ，１２ｂの幅は固定接点３の側部からアーク
走行平板部５の基端側にわたつて延びるように構
成されている。この実施例では上述のように磁気
ヨーク１２が設けられているため、磁気ヨーク１
２の対向面間の磁束によりアーク走行平板部５を
流れる電流によるアークａの磁気駆動力Ｆを増大
させることができる利点がある。

なお、他の構成等は第１実施例と同様であるた
め、同一部材には同じ符号を付し説明は省略す
る。

第４図イ〜ニは本発明の第３実施例を示すもの
で、この実施例ではアーク走行平板部５の上部に
その長さ方向に伸び、かつ若干幅広の金属材料製
の誘弧板１３が離間・対向して絶縁配備され、か
つその誘弧板１３の先端部に、磁気ヨークの底部
１２ａに巻回された電磁コイル１４の一端が接続
され、かつ電磁コイル１４の他端は電流通路部７
の一端部に接続された点が第３図に示した実施例
と異なつている。しかして、図示されていない
が、器壁に固定され、かつ磁気ヨーク１２の両側
の腕部１２ｂ，１２ｂの間に互いに平行に配置さ
れている絶縁材料製の側板に、前記の誘弧板１３
が挟持されている。また図示されていないが、消
弧グリツドも前記の側板に挟持されているもので
ある。

動作にあたつては、接点２，３が開離し、で
示す位置にアークａがあるとき（第４図ロ）矢印
Ａで示す向きに流れる電流によつて生じる磁気駆
動力によりアークａは破線で示す如くの位置に
移行する。すると電流は矢印Ｂで示すように電磁
コイル１４に電流が流れ、これによつて磁気ヨー
ク１２の空隙に強力な磁界を生じアークａは矢印
Ｆ方向に強力に駆動され消弧能力が増大する利点
がある。なお、この実施例において電磁コイル１
４は通常電路と切り離されているため、温度上昇
の恐れなしに多数回巻くことができる。また、他
の構成は前述の実施例と同様である。

第５図イ〜ニは本発明の第４実施例を示すもの
で、この実施例では固定接点３側に位置するアー
ク走行平板部５の表面に僅かに突出するアークエ
ツジ５ａを設け、これによりアークａとアーク走
行平板部５との間の電界強度を高め、アークａが
固定接点３からアーク走行平板部５へ速やかに移
行しやすくした点に特徴を有している。他の構成
および作用は第２図に示した実施例と同様であ
る。

第６図イ〜ハは本発明の第５実施例を示すもの
で、この実施例ではアーク走行平板部５の左およ
びもしくは右に配される外側平板部６をハ図に示
すように垂直に折り曲げて形成した点に特徴を有
している。

したがつて、この実施例によれば器壁１０，１
０′間のスペースが有効利用できる。あるいは器
壁１０，１０′間の幅を小さくでき装置全体の小
型化を図り得る利点がある。

叙上のように本発明によれば、可動接点が設け
られた可動接点板と、前記可動接点と接離可能な
固定接点が設けられた平板部と、前記平板部と間
隙を介してほぼ同じ面上に対向して配置されてい
るアーク走行板とを備え、前記平板部に流れる電
流の方向と前記アーク走行板に流れる電流の方向
とを同じ方向にする電流回路が設けられているこ
とにより、接点開離の際、アーク走行平板部を流
れる電流によつて接点間に発弧したアークに強力
な磁気駆動力を作用させ、速やかに消弧しうる効
果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示す説明図、第２図イ〜ニは
本発明の第１実施例を示し、イ図はロ図中Ａ−Ａ
線に沿つた平面断面図、ハ，ニは一部の斜視図、
第３図イ〜ホは本発明の第２実施例を示し、イ図
はロ図中Ａ−Ａ線に沿つた平面断面図、ハ図は磁
気ヨークの配置状態、ニ、ホは一部の斜視図、第
４図イ〜ニは本発明の第３実施例、第５図イ〜ニ
は本発明の第４実施例、第６図イ〜ハは本発明の
第５実施例を示す。 １……可動接点板、２……可動接点、３……固
定接点、４……平板部、５……アーク走行平板
部、６……外側平板部、７……電流通路部、８…
…外部端子、９……消弧グリツド、１２……磁気
ヨーク、１３……誘弧板、１４……電磁コイル。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 可動接点を設けた可動接点板と、該可動接点
   に接離可能な位置に固定接点を設けた平板部と、
   該平板部の端部から連設される第１の側辺、該第
   １の側辺の側部から連設される外側平板部、及び
   前記第１の側辺が位置する側と反対側の前記外側
   平板部の側部から連設される第２の側辺が少なく
   ともコ字形に形成され、前記第２の側辺から前記
   平板部の方向に突出して連設されるアーク走行平
   板部とよりなり、少なくとも前記平板部と前記ア
   ーク走行平板部が略同一平面内に位置する固定接
   点板と、 前記アーク走行平板部の先端下方に一端が結合
   される折曲部と、該折曲部の他端から折り曲げら
   れて前記第２の側辺側に延長される電流流通部
   と、により略Ｕ状形に形成される電路連結部と、
   を備え、前記平板部と前記アーク走行平板部に流
   れる電流が同じ方向となる電流回路が形成されて
   いることを特徴とする消孤装置。