JPH0336555Y2 - - Google Patents

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JPH0336555Y2
JPH0336555Y2 JP1989075611U JP7561189U JPH0336555Y2 JP H0336555 Y2 JPH0336555 Y2 JP H0336555Y2 JP 1989075611 U JP1989075611 U JP 1989075611U JP 7561189 U JP7561189 U JP 7561189U JP H0336555 Y2 JPH0336555 Y2 JP H0336555Y2
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sheet
yarns
base fabric
weft
coating layer
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Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は通風性シートに関するものである。更
に詳しく述べるならば、本考案は取扱いの容易な
農林土木建築用通風性シートに関するものであ
る。この通風性シートは、必要に応じて熱しめ
た。その結果、シートに対し100重量%の重合体
組成物が付着したものが得られた。
上記のように基布シートに重合体組成物処理液
による被覆操作を行うときに、乾燥工程において
基布両側縁部に比して、基布中央部が遅れて進行
するようにして基布の緯糸を弧形に湾曲させた。
得られたシートにおいて、その巾は2mであり、
弧の頂点と、その底辺との距離は約5cmであつ
た。
上記シートが40℃以上の温度を保有している間
に、これを絹目シボを有する1対の加圧ロールを
有するカレンダーで10Kg/cmの圧力で押圧した。
得られた通風性シートは、絹様光沢を有し、しか
も屈曲性の良好なものであつた。このシートの被
覆された糸条の比l1:l2は経:約2.5:1、緯:約
2.0:1であつた。
上記のようにして得られた2枚のシートの端末
を第6図、又は第7図のように重ね合わせ、この
接合面にライスター熱縫合機の熱風ノズルから
400℃の熱風を吹き当て、直ちにプレスロールで
プレスして熱縫製操作を施した。縫製部分の剪断
接着強度は62.2Kg/3cm(第6図の場合)および
60.0Kg/3cm(第7図の場合)であつた。
実施例 2 実施例1と同様にして得られた2枚のシートを
第10図、第11図、第12図、および第13図
に図示されている方法により重ね合わせて、実施
例1と同様にして熱接合した。その剪断接着強度
に下記の通りであつた。
第10図の場合 46.2Kg/3cm 第11図の場合 56.0Kg/3cm 第12図の場合 57.0Kg/3cm 第13図の場合 62.9Kg/3cm 実施例 3 撚り数80/mのポリエステルマルチフイラメン
トヤーン(1000デニール)と撚り数80/mのポリ
エステルマルチフイラメントヤーン(500デニー
ル)の引揃え双糸を用いて、もじり織物を作成し
た。この織物縫合が可能なものである。
〔従来の技術〕
通風性のある農林土木建築用シートとしては、
防風ネツト、養生ネツトなどが実用されている。
従来の通風性シートとしては、ポリ塩化ビニル樹
脂、ポリオレフイン樹脂、又はポリ塩化ビニリデ
ン樹脂からなる繊維糸条、特にモノフイラメント
糸条、によつて構成された粗目織物又は編物、或
いは、前記樹脂により被覆された糸条を用いて粗
目に製編又は製織された編物又は織物が用いられ
ていた。
ポリ塩化ビニル又はポリ塩化ビニリデン繊維糸
条からなる編織物の場合、これらを相互に熱縫合
すると、繊維糸条の熱縫合部分において、繊維が
溶融し、互に他と接着するが、しかしこの接合部
分の強度が低下するという欠点があつた。また、
樹脂被覆糸条を用いて編織物を製造する場合、糸
条表面摩擦抵抗が大きいために製編織工程が困難
で製造効率が低く、又糸条交叉部が盛り上がっ
て、使用上、外観上好ましくなかつた。又両者共
に、製品中の糸条間のスリツプが著るしく、粗剛
で、しかも嵩高であるため、取扱いが難かしいな
どの致命的な欠点があつた。
〔考案が解決しようとする課題〕
本考案の目的は、柔軟で屈曲性に富み、取扱い
の容易な通風性シートを提供することである。
本考案の他の目的は、糸条間のスリツプやホツ
レがなく、実用性十分な強度と耐久性を有する通
風性シートを提供することである。
本考案の更に他の目的は、必要に応じて熱縫合
が可能であり、かつ熱縫合部分が実用上十分に高
い強度を有することのできる、通風性シートを提
供することである。
〔課題を解決するための手段・作用〕
本考案の通風性シートは、少なくともそれぞれ
互に糸間間〓をおいて平行に配置されたマルチフ
イラメント糸条からなる経糸と、および、緯糸と
を含む糸条によつて構成された粗目織物状基布
と、前記糸条の融点又は熱分解温度よりも少なく
とも5℃低い融点を有し、かつ前記糸条を被覆し
ている熱可塑性重合体被覆層とを含むシートであ
つて、前記重合体被覆層は、前記糸条の交差点を
包み込んで前記糸条を互に固定しており、前記重
合体被覆層によつて被覆された糸条の断面形状
が、このシートの平面に平行に偏平化されてい
て、この断面形状のシート平面に平行な方向にお
ける長さl1と、シート平面に直角な方向における
長さl2との比が、1.3:1〜5:1の範囲にあり、
かつ前記重合体被覆層の表面に微細な凹凸模様が
形成されていることを特徴とするものである。
本考案の通風性シートに用いられる粗目織物状
基布を構成している糸条の種類には、それがマル
チフイラメント糸条である限り格別の限定はない
が、例えば融点を示さないセルロース繊維、例え
ば、レーヨン、およびキユプラ、高融点の無機繊
維、例えば、ガラス繊維、および金属繊維、比較
的高い融点を有する合成繊維、例えばポリエステ
ル繊維、芳香族ポリエステル繊維、芳香族ポリア
ミド繊維など或いは、融点を示さない合成繊維、
例えばビニロン(水不溶性化されたポリビニルア
ルコール)繊維など、或いはこれらの2種類以上
の混用物からなるものなどが用いられる。糸条の
形状は、甘撚り又は無撚りのマルチフイラメント
ヤーンであることが好ましい。
これらの糸条のなかに、本考案に有用な基布の
経糸および緯糸としては、100〜50000デニールの
ポリエチレンテレフタレートマルチフイラメント
ヤーン(融点=約260℃)およびビニロンマルチ
フイラメントヤーン(約220〜230℃で熱分解)が
すぐれた強度を有していて最も好ましい。
被覆された糸条に、所望の偏平化された断面形
状を与えるためには糸条は、押圧処理により変形
して偏平化されやすいものであることが好まし
く、このために糸条はマルチフイラメントからな
る無撚り糸、又は、甘撚り糸が用いられることが
好ましい。甘撚り糸とは、一般に150t/m以下の
撚り数を有するもので、例えば撚り数120t/m以
下のものが好ましく、撚り数100t/m以下のも
の、例えば50〜100t/mのものがより好ましい。
また糸条はもともと偏平な断面形状を有していて
もよく、例えば引揃え糸、又は甘撚り双糸などで
あつてもよい。
一般に本考案の通風性シートにおいて、重合体
被覆層によつて被覆された糸条を更に偏平化する
ために、加熱プレスが施されることがあるが、こ
の高温におけるプレス処理によつて糸条の強度が
劣化しないことが望ましい。
本考案の通風性シートの基布に用いられる織物
状布帛の組織にも、格別の限定はないけれども、
例えば、第1A図に示されているような経糸1と
経糸2とからなる平織、第2図に示されているよ
うな経糸3を二本の経糸4aおよび4bでからみ
ながら連結している、もじり織、或は、第3図に
示されているように、互に平行な緯糸5からなる
層の上に互に平行な経糸6の層が、経糸の方向と
緯糸の方向とが直行するように重ね合わされてお
りこれら経糸6と緯糸5とがからみ糸7により結
びつけられている、からみ織などが好ましい。
本考案に用いられる基布は粗目のものであつ
て、経糸および緯糸は、それぞれ平行に隣り合つ
ている糸条との間に、約0.5〜約15mmの間〓を形
成していることが好ましく、この糸条間間〓は
1.0〜10mmであることが更に好ましい。
すなわち、経糸および緯糸の間に形成される間
〓空間の面積は約0.25〜225mm2であることが好ま
しく、1〜100mm2であることが更に好ましい。
一般に、本考案に用いられる基布は40〜
500g/m2の目付を有することが好ましい。
本考案に用いられる基布を構成する糸条は、こ
の糸条の融点又は熱分解温度よりも、少なくとも
5℃、好ましくは10ないし20℃、低い融点を有す
る重合体被覆層により被覆され、かつこれら糸条
は、それらの交差点において前記重合体被覆層に
よつて互に包み込まれて一体的に接着されてい
る。重合体被覆層の融点と、糸条の融点又は熱分
解温度との差が5℃よりも小さいときは加熱押圧
工程、高周波又は熱縫合などの際に糸条の収縮、
熔融、劣化等を惹起することがある。
上記被覆用重合体としては一般に100〜250℃の
融点を有する熱可塑性重合体、例えばポリ塩化ビ
ニル、ポリウレタン又はエチレン−酢酸ビニル共
重合体などが用いられる。
本考案に用いられる重合体被覆層は発泡重合体
よりなる多孔質層であつてもよい。その場合、気
泡は互に連通していてもよく、或は独立でもよ
く、或は、両者の混合であつてもよい。このよう
な多孔質重合体被覆層は通風性シートを軽量化
し、柔軟屈曲性を高め、重厚感を与えることがで
きるだけでなく、押圧処理による糸条の偏平化も
容易になる。従つて同一重量の重合体を糸条に被
覆した場合、被覆された糸条の見掛け太さは著し
く大きくなる。
重合体被覆層の重量は、それが熱縫合又は高周
波縫合に十分な量である限り格別の限定はないが
一般に基布重量に対し20%以上であることが好ま
しく、70〜200%であることが更に好ましい。本
考案の通風性シートが、発泡重合体被覆層を含
み、かつ加熱又は高周波縫合を適用することのな
い場合、重合体被覆層の重量は、基布重量に対し
て20〜30%程度であつてもよい。
上述のような重合体被覆層を形成するには、基
布を、重合体を含有する溶液又はエマルジヨン中
に浸漬し、これを所望の程度に絞り、乾燥し、必
要に応じ、熱処理すればよい。重合体溶液又はエ
マルジヨンを基布に含浸させるには、上記の他
に、スプレー法、コーテイング法、或は、ブラシ
ング法などを用いてもよい。また、上記重合体溶
液又はエマルジヨンは、当該重合体以外に、難燃
化剤(例えば三酸化アンチモニー)、着色顔料、
酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、その他の添
加剤を含んでいてもよい。上記絞り工程により、
基布中の重合体溶液を含浸している糸条は押圧処
理を受けることができる。
上記のように、被覆処理および押圧処理を受け
た本考案の通風性シートにおいて、第1B図およ
び第1C図に示されているように、互に交差する
被覆された糸条1Aおよび2Bは、それぞれ重合
体被覆層1aを有し、かつシート平面に平行な方
向に偏平化された断面形状を有し、かつその表面
に微細な凹凸模様を有している。このように重合
体被覆層により被覆された糸条を偏平化し、微細
凹凸模様を付与するには、前記の工程により重合
体被覆層を糸条上に形成した後、得られた重合体
被覆シートにプレスエンボス押圧処理を施せばよ
い。前記押圧処理は、エンボス板プレス機又はエ
ンボスプレスロールを用いて行うことができる。
押圧処理とともにシートに加熱を施してもよい。
このような加熱のために、プレス機又はプレスロ
ールの前に加熱装置を配置するか、或はプレス
板、又はプレスロールに加熱装置を組み込んでも
よい。このとき、加熱温度およびプレス圧力は、
被覆に用いられる重合体、および糸条を構成する
物質の種類および所望の偏平化の程度などによつ
て異るが、プレスロールを用いる場合、一般に20
〜150℃、好ましくは50〜130℃の温度および0.1
〜50Kg/cm、好ましくは1.0〜20Kg/cmの範囲に
あることが好ましい。勿論、加熱を伴わない常温
押圧もしばしば実用されている。
複合糸条の偏平化の程度は、偏平度を表す比
l1/l2が1.3:1〜5:1の範囲内にあるように所
望に応じ適宜に設定することができる。すなわ
ち、第1D図に示された被覆された糸条2Aの偏
平断面形状において、そのシート平面に平行な方
向における長さl1と、シート平面に直角な方向に
おける長さl2との比は1.3:1〜5:1の範囲内に
規制され、この範囲内でl1:l2≧2:1以上とす
ることが更に好ましい。
比l1:l2が1.3:1より小さいときは、交差する
糸条の接着面積が小さく、従って接着強度が不十
分となり、また通風性シートの柔軟性が不十分と
なり、嵩高となる。またl1:l2の比が5:1より
大きくなると、シートの強度が低下する傾向があ
り柔軟性も却つて低下する。
上記のように、重合体被覆層により被覆された
糸条が所定の偏平断面形状を有しているので、本
考案方法により得られた通風性シートは、適度の
柔軟性と屈曲性、および増大した被覆性と減少し
た嵩高性とを有し、かつ、糸条の交差点における
接着強度が高く、従つて取扱いが容易であり、し
かも糸条相互のスリツプがなく、実用上十分な強
度と耐久性を有している。
上述のように、偏平断面形状を有する被覆され
た糸条を得るためには、基布の糸条がその断面形
状を容易に変形して偏平化しやすいものであるこ
とが必要である。従って、糸条としては比較的撚
り数の小さな所謂甘撚糸が用いられる。無撚フイ
ラメント糸も、本考案に使用される。
いずれにせよ、本考案において熱可塑性重合体
の被覆層とともに糸条を偏平に変形された状態に
固定化することが重要である。
重合体被覆されたシートに押圧処理を施すと
き、プレス押圧面又はカレンダーロール周面は、
所望の規則的又は不規則な微細な凹凸を有するも
のである。このようにして被覆された糸条の重合
体被覆層の表面に、所望形状、模様の微細凹凸が
形成される。通風性シートの片面のみが平滑で他
面に微細凹凸が形成されていてもよいし、両面に
形成された微細凹凸の形状、模様が互に異なつて
いてもよい。上記の微細凹凸を糸条に付与するこ
とによつて単に美観や光沢を強度に調節するのみ
ならず、通風性シートの屈曲を容易にし、通風性
シートの柔軟性および取扱い性を助長することが
できる。上記のような目的による微細凹凸付与
は、通風性シートの分野では全く新規なことであ
る。
本考案の通風性シートは、適当な通風性と隠蔽
性とを有し、構成糸条のほつれや目寄りがなく、
柔軟屈曲性が適度で嵩高性が低いため取扱いが容
易である。
本考案の通風性シートは、その重合体被覆層を
利用して、このシートの所望部分を、基布の融点
又は熱分解温度より低く、重合体被覆層の融点よ
り高い温度に加熱しながらプレスすることによ
り、熱縫合が可能である。この熱縫合のための加
熱には、高周波加熱、熱風加熱、発熱体接触加熱
又はその他既知加熱方法のいずれも適用できる
が、一般には熱風加熱を用いるライスター熱縫合
又は、高周波加熱が用いられる。
例えば第4A図に例示されているように縫合す
べき2枚のシート8および9の端末を重ね合わ
せ、或いは第4B図に示されているように、縫合
すべきシート8および9の端末を折り返えして四
重に重ね合わせ、この重ね合せ部分を適宜な加熱
方法により所定温度にしながらプレスし、次にこ
れを放冷すれば、シート8とシート9は確実に接
合される。このとき、基布内糸条の強力には、変
化がないから縫合されたシートは、実用上十分な
強力を保持することができる。
本考案の通風性シートにおいて、基布中の経糸
および緯糸は、それぞれ互に平行に直線上に伸び
ているものであつてもよいが、基布中の緯糸が、
互に平行に弧状をなして伸びているものであつて
もよい。
第5図において、経糸10は、互に平行に直線
状に伸びているが緯糸11は、互に平行な弧状を
なしてのびている。このとき、緯糸11の両端1
1aおよび11bを結ぶ直線12と、弧の頂点1
3との間の距離Aは、前記直線12の長さBの1
〜5%であることが好ましい。すなわち、直線1
2の長さBが2mならば、距離Aは2〜10cmであ
ることが好ましい。
上記のような弧状に伸びた緯糸を有するシート
を縫合すると、例えば第6図に示されているよう
に共に下向きの弧状をなして伸びている緯糸を有
するシート14および15の各端末を重ね合わせ
ると、この重ね合せ部16においてシート14の
緯糸と、シート15の緯糸とは、互に斜めに交差
するから、これらを加熱加圧して接着すると、強
固な結合部を形成することができる。
また、例えば、第7図に示されているように、
上向きの弧状をなして伸びている緯糸を有するシ
ート17の端末と、下向きの弧状をなして伸びて
いる緯糸を有するシート18の端末とを重ね合わ
せると、この重ね合せ部分19においてシート1
7とシート18の緯糸は互に斜行し、前述と同様
の熱縫合によつて、強固な接合部を形成すること
ができる。
本考案の通風性シートにおいて基布内の経糸お
よび緯糸は、それぞれ、一定の密度で配置されて
いてもよいが、シートの縫合予定部分において、
基布内の経糸、および/又は緯糸の密度をその他
の部分における密度よりも大きくしてもよい。
例えば、第8図において、基布内の経糸は、シ
ートの縫合予定部分20および21において、そ
の密度を、他の部分における密度よりも大きくし
ている。また、基布内の緯糸は、シートの縫合予
定部分22および23において、その密度を、他
の部分における密度よりも大きくしている。この
密度の大きい部分は1個所又はそれ以上形成され
ていてもよい。上記のようにすることにより、ミ
シン縫合および熱縫合のいづれの場合でも、縫合
部の強度を増大させることができる。
基布内の緯糸が湾曲している場合でも、基布内
の経糸の密度を、その縫合予定部分、例えば、第
9図に例示されているように、基布の側縁部(み
み部)24および25において、他の部分の密度
より大きくしてもよい。
本考案の通風性シートを熱縫合する際の重ね合
せ方法にも格別の限定はない。例えば、第10図
に例示されているように、シート31とシート3
2を熱縫合するために、それらの端末を重ね合せ
る際に、各シートの端末部分の経糸とをそれぞれ
平行に重ねてもよい。この場合、重ね合わされた
糸条と糸条は、線接触することになるが、糸条の
交差点において4本の糸条が重なり合うことにな
り重ね合せ部分の厚さは著るしく大きくなり、こ
のような状態を正確に維持したまま、これに加熱
と、プレスとの両操作を施すことにはやや困難が
ある。
上記のような困難を解消するためには、各シー
トの重ね合わされるべき端末部分の経糸、又は緯
糸の少くとも1方が、他と交差するように重ね合
わせることが有効である。
第11図においては、対向するシート33とシ
ート34とにおいて各々の緯糸はそれぞれ対向す
るシートの緯糸と平行に重なり合つているが、
各々の経糸は重なり合うことなく、各々対向する
シートの緯糸と交差している。
また、第12図においては、対向するシート3
3とシート34において各々の経糸は、それぞれ
対向するシートの経糸と平行に重なり合つている
が、各々の緯糸は重なり合うことなく、各々対向
するシートの経糸と交差するようになつている。
更に、第13図においては、対向しているシー
ト33とシート34との経糸および緯糸は、それ
ぞれ他シートの経糸および緯糸と平行に重なり合
うことがなく、それぞれ他と交差している。この
ような重ね合わせ方法では、糸条の交差点におい
て、2本の糸条のみが重なり合つており、従って
重ね合わせ部分の厚さが小さく、熱縫合操作も容
易になり、しかも接合強度が高いという利点があ
る。
本考案の通風性シートを熱縫合する際、各シー
トがそれぞれ他に直接接触するように重ね合わせ
てもよいが、それらの間に、各シートの重合体被
覆層と、接着性がよく、重合体被覆層とほぼ同じ
温度で溶融し接着性を発揮するような重合体フイ
ルムを挿入し、或いは、2枚のシートの重ね合わ
せ部分、又は2枚のシートのつき合わせ部分の片
面又は両面に、上記重合体フイルムを重ね合せ、
これに熱縫合操作を施してもよい。
上記の重合体フイルムは、各シートの重合体被
覆層と同種の重合体で形成されていることが望ま
しいが、重合体被覆層と良好な接着性を有し、か
つ重合体被覆層とほぼ同一の温度で溶融するもの
であれば、必ずしも同種でなくてもよい。すなわ
ち、重合体フイルムとしては、ポリ塩化ビニー
ル、ポリウレタン、又は、エチレン−酢酸ビニル
共重合体からなるものが望ましく、その厚さは
0.05〜2.0mm程度のものが好ましい。また重合体
フイルムは合成繊維又は天然繊維、無機繊維、半
合成繊維からなる編織物不織物布等の基布上に被
覆されたものであると更に好ましい。
本考案の通風性シートに鳩目等を取りつける場
合、シートの所望部分を折り返えして2重に重ね
合わせ、この重ね合せ部分に熱縫合処置を施して
接合すると、容易に補強された端縁部を形成する
ことができる。このとき、第14図および第15
図に示されているように、シートの折り返えし部
分の密度が、他の部分より大であれば、極めて丈
夫な補強部分を得ることができる。第14図およ
び第15図において、シート40の耳部41は、
他の部分42よりも経糸の密度が大きなども所望
に応じて、強化することが可能である。従つて、
本考案の通風性シートは農林、土木、建築用は勿
論、プール覆い、テニスコート遮光シート、キヤ
ンプテント、内装用シート、などのスポーツ用、
軒出しテント用、塗装施工の際の塗料飛散防止
用、造船用などの広汎な用途に使用されるもので
ある。
以下、本考案を実施例により更に詳しく説明す
る。
実施例 1 撚り数80/mのポリエステルマルチフイラメン
トヤーン(1000デニール)を緯に、また、撚り数
80/mのポリエステルマルチフイラメントヤーン
(500デニール)の引揃え双糸を経に使用して、第
2図に示す如き組織のもじり織を作成した。その
組織は下記の通りであり、糸条間間〓の大きさは
平均3.5mm×3.5mmであつた。
500デニール2×1000デニール/2/7×7(本/2
5.4mm)2 この基布シートを、下記組成: PVC 100重量部 DOP(可塑剤) 80 〃 安定剤 1 〃 酸化アンチモン(防炎剤) 30 〃 顔料(グリーン) 2 〃 トリクレン 25 〃 の重合体組成物処理液に浸漬し、絞り、180℃で
乾燥してゲル化させ、十分に重合体をシートに付
着せの密度は下記の通りであつた。
耳部1000デニール/1×1000デニール/1/15本/25
.4mm×7本/25.4mm その他の部分 500デニール2×1000デニール/1/7本/25.4mm
×7本/25.4mm 耳部の巾は、各々10cmであつた。
このもじり織物を、下記組成の重合体溶液: PVC 100重量部 DOP 80 〃 安定剤 1 〃 三酸化アンチモン 30 〃 グリーン顔料 2 〃 トリクレン 25 〃 に浸漬し、絞り、180℃で乾燥して、溶液をゲル
化し、布帛中の糸条を重合体層で被覆した。重合
体組成物の付着量は100重量%であつた。これに
実施例1と同様の押圧処理を施した。得られたシ
ートの被覆された糸条において、比l1:l2は耳部、
経緯ともに約2.5:1であり、その他の部分にお
いて経:約2.5:1、緯:約2.0:1であつた。ま
た、得られたシートは絹様光沢を有しその屈曲性
は良好であつた。
この布帛の各耳部に折り返えして二重に重ね合
わせ、その縁端部にロープをはさみ込み、この端
縁部を除く部分(巾約3.6cm)を、第4B図に示す
ようにしてライスター熱縫合機の熱風ノズルから
400℃の熱風を吹き当てて、熱縫合処理を施した。
この熱縫合された部分に円孔金具を所定間隔で打
ち込み鳩目を形成した。また、端縁部には、ロー
プが変位自在に通されていた。
実施例 4 実施例1と同一の操作を行つた。但し、重合体
処理液の組成は下記の通りであつた。
PVCペースト 100重量部 DOP 80 〃 安定剤 1 〃 三酸化アンチモン 30 〃 グリーン顔料 2 〃 アゾービスホルムアミド(発泡剤) 8 〃 トリクレン 25 〃 重合体被覆シート中の重合体重量は基布重量に
対し50%であつたが、発泡倍率は2倍であり、こ
のため重合体被覆シートの見掛け外観は、実施例
1のものと同等であつた。また、実施例1と同様
の絹目ロールを用いて押圧処理(但し、押圧圧力
は5Kg/cmとした)後、得られた通風性シート中
の被覆された糸条の比l1:l2の経:約2.2:1、
緯:約2.5:1であつた。押圧後の重合体被覆層
は、多数の気孔を有し、このため、得られたシー
トには弾力があり、肉厚感もすぐれていて、しか
も屈曲性にすぐれ、取扱いの容易なものであつ
た。
【図面の簡単な説明】
第1A図は、本考案において基布として用いら
れる平織の組織を示す説明図、第1B図は、第1
A図に示された平織基布を用いて得られる本考案
の通風性シートの断面説明図、第1C図は、第1
B図に示された通風性シートの平面図、第1D図
は、第1B図に示された通風性シートの被覆され
た糸条の線D−Dに沿つた断面図、第2図は、本
考案シートの基布に用いられるもじり織の組織を
示す説明図、第3図は、本考案シートにおいて基
布として用いられるからみ織の組織を示す説明
図、第4A図は、シートの熱縫製の際の重ね合わ
せの1方法を示す説明図、第4B図は、シートの
熱縫製の際の重ね合わせの他の方法を示す説明
図、第5図は、緯糸が弧状をなしている本考案シ
ートの一例を示す説明図、第6図は、第5図に示
されているシートの、熱縫製の際の重ね合わせの
一方法を示す説明図、第7図は、第5図に示され
ているシートの、熱縫製の際の重ね合わせの他の
方法を示す説明図、第8図は、本考案シートに用
いられる基布において、その縫合予定部分の経糸
および緯糸の密度を大きくした場合を示す説明
図、第9図は、第5図に示されたシートにおい
て、基布の側縁部の経糸密度を大きくした場合の
説明図、第10,11,12、および13図は、
それぞれ本考案の通風性シートを熱縫合する場
合、各糸条の接合方法の一例を示す説明図、第1
4図は、本考案の通風性シートの一部分を折り返
し熱縫合した場合の一例を示す断面説明図、並び
に、第15図は、第14図の熱縫合されたシート
の平面説明図である。 1,4a,4b,6,10……経糸、1a……
重合体被覆層、2,3,5,11……緯糸、1A
……被覆された経糸条、2A……被覆された緯糸
条、7……からみ糸、8,9,14,15,1
7,18……シート、16,19……重ね合わせ
部分、24,25……基布の側縁部、31,3
2,33,34……シート、40……シート、4
1……耳部、44……ロープ、45……熱縫合部
分、46……鳩目。

Claims (1)

  1. 【実用新案登録請求の範囲】 1 少なくともそれぞれ互に糸間間隙をおいて平
    行に配置されたマルチフイラメント糸条からな
    る経糸と、および、緯糸とを含む糸条によつて
    構成された粗目織物状基布と、前記糸条の融
    点、又は熱分解温度よりも、少なくとも5℃低
    い融点を有し、かつ前記糸条を被覆している熱
    可塑性重合体被覆層とを含むシートであつて、
    前記重合体被覆層は、前記糸条の交差点を包み
    込んで前記糸条を互に固定しており、前記重合
    体被覆層によつて被覆された糸条の断面形状
    が、このシートの平面に平行に偏平化されてい
    て、この断面形状のシート平面に平行な方向に
    おける長さl1と、シート平面に直角な方向にお
    ける長さl2との比が、1.3:1〜5:1の範囲内
    にあり、そして前記重合体被覆層の表面に微細
    な凹凸模様が形成されていることを特徴とす
    る、通風性シート。 2 前記比l1:l2が2:1以上である実用新案登
    録請求の範囲第1項記載のシート。 3 前記経糸および緯糸が、ポリエステル繊維お
    よび/又はビニロン繊維からなる、実用新案登
    録請求の範囲第1項記載のシート。 4 前記重合体がポリ塩化ビニル、ポリウレタ
    ン、又はエチレンい。この耳部41を折り返え
    して2重に重ね、この耳部41の端縁部43に
    ロープ44をはさみ、この端縁部43を除く残
    部45のみを熱縫合する。すると、補強された
    耳部45が形成される。この部分43に円孔金
    具を打ち込めば、鳩目46を形成することがで
    きる。また端縁部43には、ロープ44を収容
    した空間が形成されている。この場合、熱縫合
    にミシン縫合を併用してもよく、ミシン縫合の
    みであつてもよい。 本考案の通風性シートは前述のように取扱い
    および縫合加工が容易で通風性、隠蔽性、およ
    び被覆性が適度であり、防炎性、耐候性および
    強度−酢酸ビニル共重合体である、実用新案登
    録請求の範囲第1項記載のシート。 5 前記重合体被覆層が発泡重合体よりなる多孔
    質層である、実用新案登録請求の範囲第1項記
    載のシート。 6 前記基布が、平織、もじり織、又はからみ織
    布帛である、実用新案登録請求の範囲第1項記
    載のシート。 7 前記基布の緯糸が、互に平行に弧状をなして
    伸びている、実用新案登録請求の範囲第1項記
    載のシート。 8 前記基布の緯糸の両端を結ぶ直線と、前記弧
    の頂点との間の距離が、前記直線の長さに対し
    1〜5%の範囲にある、実用新案登録請求の範
    囲第7項記載のシート。 9 前記基布内の経糸および緯糸の夫々の糸間間
    隙距離が0.5〜15mmである、実用新案登録請求
    の範囲第1項記載のシート。 10 前記シートの縫合予定部分における前記基布
    内の経糸および/又は緯糸の密度が、他の部分
    よりも大きい、実用新案登録請求の範囲第1項
    記載のシート。
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