JPH0333896Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、伸縮式階段状観覧席における耐震
型の床支持装置に関するものである。

〔従来の技術〕

近年体育館等においては内部を多目的に使用す
るために、壁面に近い床面の一部に伸縮移動式の
階段状観覧席を設置することが多くなつた。この
観覧席は、順に高さを増す観覧椅子付の複数段に
よる移動床台を相互に連結して、前後方向に伸縮
による移動が可能となるように形成されている。
そしてこの観覧席の使用時には最も低い最前段の
移動床台から順次に引き出して全体を雛壇状に伸
長し、これによつて各移動床台の観覧椅子に多数
の観客が着座できる状態となる。また不使用時に
は、前記とは逆に最前段の移動床台から順次に後
段側の移動床台下に戻すように後退移動させるこ
とにより、全体が最高段の移動床台下に垂直棚状
に縮減し、これによつて建物の壁側に設けられた
格納凹所内へ収納保管することができるように構
成された観覧席において、従来におけるこの種観
覧席の床支持装置は、第８図および第９図に示す
ように、最高段を除く以外の各支柱３の頂部には
前後の方向に平行するローラ溝３ａが形成され、
この溝３ａ内にはアーム支持ローラ１０がピン１
１の遊挿により回転自在に収納されたのち、この
ローラ１０に対応する移動床台４の裏面側にあた
る各床板５の底面には、底部を水平面に形成した
樋形のアーム８が前後の方向に平行するように取
付けられていた。そしてこの各アーム８はその位
置毎のローラ１０上に載置されているため、この
アーム８をガイドにして各ローラ１０が転動し、
これによつて各段の移動床台４は前後の方向に移
動が容易になるように構成されていた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記の構成により、従来における観覧席の床支
持装置には次のような問題点があつた。

(1) 観覧席の使用時に地震等が発生した場合、移
動床台４がその振動を受けて床板５の長手方向
に横揺れすると、この床板５の底面に固着され
ているアーム８が、直下位置のアーム支持ロー
ラ１０上から側方へ脱落して水平度を失い、こ
れによつて観覧椅子に着座している多くの観客
が怪我をする等の危険性があつた。

(2) また各移動床台４の前進後退動時に、この各
移動床台４は必ずしも正確な直行動が保証され
ていない。従つて別途に各移動床台４の直行動
を保証する例えば整列ワイヤー装置等の付属設
備をしない限り、移動時にアーム支持ローラ１
０がアーム８から外れて、観覧席の円滑な伸長
縮減操作を阻害した。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は、上記した従来技術の問題点を解決
するものである。すなわち支柱の頂部に凸条部の
あるアーム支持材を固設し、この支持材と床板底
面のアームとを双方の凹凸部分をもつて嵌合する
ことにより、観覧席の使用時に地震等が発生して
も、支柱頂部からアームが脱落するのを確実に防
止して観客の安全性が容易に保証でき、かつ観覧
席の伸長縮減操作が他の部材や装置を要しないで
精度良く円滑に行える伸縮式階段状観覧席の床支
持装置を提供することにある。この考案の特徴と
するところは、走行ローラを備えた基台上に支柱
を立設して順に高さを増すように組着した複数段
による移動床台を相互に連結して前後方向に伸縮
により移動が可能となる観覧席において、最高段
を除く上記支柱の頂部に少なくても単一の凸条部
を設けたアーム支持材を載置状に固設し、上記移
動床台の床板底面には上記アーム支持材の少なく
ても２本１組による複数の凸条部に側方への離脱
不能に嵌合するアームを固着したことにある。

〔作用〕

上記の構成により、観覧席の使用時には、それ
まで最高段の移動床台下へ各段の移動床台が垂直
棚状に縮減していた状態の観覧席を、最も低い最
前段の移動床台から順次に引き出して全体を雛壇
状に伸長するが、その際支柱頂部のアーム支持材
はその直上部に位置するアームに嵌合しているた
め、双方の凹凸嵌合により、支柱頂部はアームか
ら外れることなく正常に直進することができる。
また上記により全部の移動床台を雛壇状に伸長し
たのち、各段の観覧椅子に観客が着座した状態時
において、例えば地震等が発生しても、各段の移
動床台は、直下位置における支柱頂部のアーム支
持材と床板底面のアームとは、双方の凹凸部分を
もつて嵌合しているため、床板の横振れでアーム
が支柱頂部から脱落するのを確実に防止して観客
の安全性を容易に保証することができる。さらに
観覧席の使用が終了して後方位置へ収納するため
に、各移動床台を後退移動させるときも、各段に
おける支柱頂部のアーム支持材と床板底面のアー
ムとは、双方の凹凸嵌合で離脱不能の状態にある
ため、全段の移動床台を他の部材や整列ワイヤー
装置等の付属設備を要しないで精度良く縮減する
ことができる。〔実施例〕 以下、この考案の実施例を添付図面に基づいて
説明する。

第１図、第２図および第７図はこの考案の第１
実施例を示すものである。まずその構成を説明す
ると、順に高さを増す複数段による各移動床台４
を、相互に連結して前後方向に伸縮により移動す
るために、底部には走行ローラ２を備え、上部に
は支柱３を立設した各基台１が、その段毎におけ
る各移動床台４の高さを増す事に比例して徐徐に
外側方向に配置され、かつ各支柱３も順に高さを
増すように形成されて、使用時には上記基台１の
一部に配置したモータ等による図示しない駆動源
の操作をもつて最前段の移動床台４から順次にそ
の前方の床面Ｂ上へ引き出すことにより、全段が
雛壇状に伸長して各移動床台４の観覧椅子６に多
数の観客が着座でき、また不使用時には上記とは
逆に最前段の移動床台４から最高段の移動床台４
下へ戻すようにして、全体を垂直棚状による縮減
体のもとに一括状にまとめ、この状態の観覧席Ａ
をその後方の図示しない格納凹所内へ収納保管が
可能となる伸縮式階段状観覧席において、最高段
を除く上記支柱３の頂部には、次に示すアーム支
持材７が載置状に固定されている。

上記のアーム支持材７は次のように形成されて
いる。すなわち第２図に示すように、このアーム
支持材７は、例えばナイロン等の摩擦係数の低い
合成樹脂等により、下半身は上記支柱３の頂部開
口位置に収嵌が可能となる角形にし、上半身は支
柱３の頂部開口縁に全周的に載置可能な太い角形
にするとともに、この上半身の中央帯には観覧席
Ａの前進後退の方向に平行する所定幅および高さ
の凸条部７ａを形出するようにして一括体に成形
されている。この態様によるアーム支持材７は、
内部中空の角鋼管等により形成された支柱３の頂
部開口位置に、下半身の挿入をもつて収嵌載置し
たのち、支柱３の側部からアーム支持材７を貫通
したボルト９に対するナツト締めにより固設され
ている。

また上記によるアーム支持材７上に載置遊嵌す
るアーム８は次のように形成されている。すなわ
ち第２図に示すように、このアーム８は、例えば
移動床台４の長手方向に直交する前後の長さと同
じ長さの帯状金属板を、あらかじめＵ字形に屈曲
したのち、その両側の上部には水平方向に平面状
の幅を持つ左右対称のフランジ８ａを形成し、か
つＵ字形の底部には、前記したアーム支持材７の
凸条部７ａに遊嵌が可能となる凹部８ｂを形出す
るようにして一括体に成形されている。そしてこ
の態様によるアーム８は、下段側の移動床台４に
所属する支柱３のアーム支持材７に合わせた位置
にあたる当該段の移動床台４を構成する床板５の
底面位置に、左右フランジ８ａの接面と、このフ
ランジ８ａから床板５に対する図示しないボルト
の挿入とその締付けにより、観覧席Ａの移動方向
に平行するようにして固着され、全体として観覧
席Ａにおける床支持装置に構成されている。

上記の構成により、最高段を除く支柱３の頂部
およびこの支柱３頂部に対応する床板５の底面に
配置されるアーム支持材７と、アーム８とによる
床支持装置を備えた観覧席Ａを使用する場合は、
まずモータ等の図示しない駆動源の操作により、
それまで第７図のように最高段の移動床台４下へ
各段の移動床台４が垂直棚状に縮減していた状態
の観覧席Ａを、最も低い最前段の移動床台４から
順次にその前方の床面Ｂ上へ引き出して、第１図
のように全体を雛壇状に伸長するが、その際各支
柱３の頂部には、上部中央帯に凸条部７ａを設け
たアーム支持材７が固設されていて、この支持材
７の各凸条部７ａは、その直上部に位置する上段
側の床板５の底面に固着されたアーム８の凹部８
ｂ内へ遊嵌しているため、この凹部８ｂと凸条部
７ａとの嵌合により、各支柱３の頂部はアーム８
から側方へ外れることなく、このアーム８をガイ
ドにして正常に直進することができる。

また上記により全部の移動床台４を第１図のよ
うに雛壇状に伸長したのち、各段に設置されてい
る観覧椅子６に観客が着座した状態の観覧席Ａの
使用時において、地震等が発生した場合、各段の
移動床台４はその振動を受けるが、各移動床台４
の基方を支持する基台１が、移動以前および移動
後に、隣接同士を別途の部材により結合している
ため、前後の方向に結合度を超えた危険な揺れを
防止することができる。さらに各段における床板
５底面のアーム８は、その直下位置にあたる支柱
３の頂部に固設されたアーム支持材７の凸条部７
ａに凹部８ｂを介して嵌合しているため、床板５
の横揺れでアーム８が支柱３の頂部から脱落する
のを確実に防止され、これによつて観客の安全性
を容易に保証することができる。

さらに観覧席Ａの使用が終了して、この観覧席
Ａを後方の図示しない格納凹所内へ収納するため
に、各段の移動床台４を後退移動させるときに
も、各支柱３の頂部に固設されているアーム支持
材７と、床板５底面のアーム８とは、双方の凸条
部７ａと凹部８ｂとの凹凸嵌合により、側方へは
離脱不能の状態にあるため、全段の移動床台４を
他の部材や整列ワイヤー装置等の付属設備を要し
ないで、精度良く直行状に後退移動させて円滑容
易に縮減することができる。

第３図はこの考案の第２実施例を示すものであ
る。この第２実施例における床支持装置は、支柱
３の頂部に載置固設するアーム支持材７の凸条部
７ａが、前記した第１実施例の凸条部７ａよりも
幅広に形成されている。従つてこの凸条部７ａに
嵌合するアーム８は、底部を解放した逆Ｕ字形に
形成されるため、この解放底部側をもつてアーム
８全体をアーム支持材７の凸条部７ａに遊嵌する
ように構成されている。

上記の構成より、この第２実施例では前記の実
施例と同様に、観覧席Ａの使用時に地震等の振動
で床板５が横揺れしても、アーム８全体がアーム
支持材７に嵌合しているため、このアーム８が支
柱３の頂部から側方へ脱落するのを確実に防止さ
れ、これによつて観客の安全性を容易に保証する
ことができる。また観覧席Ａの移動時にもアーム
支持材７とアーム８との遊嵌状態が深いため、正
常な直行のガイドを確実にすることができる。

第４図はこの考案の第３実施例を示すものであ
る。この第３実施例における床支持装置は、支柱
３の頂部に載置固設するアーム支持材７の凸条部
７ａが、上面の両側に形成されて、この両凸条部
７ａ間に所定深さの溝部７ｂが形出されている。
従つてこの溝部７ｂに嵌合するアーム８は、底部
を平面状にしたＵ字形に形成して、この底部側を
上記の溝部７ｂ内へ収嵌するように構成されてい
る。

上記の構成より、この第３実施例では前記の各
実施例と同様に、観覧席Ａの使用時に地震等の振
動で床板５が横揺れしても、アーム８の底部側が
その両側の凸条部７ａ，７ａにより保持されてい
るため、このアーム８が支柱３の頂部から側方へ
脱落するのを確実に防止され、これによつて観客
の安全性を容易に保証することができる。また観
覧席Ａの移動時にも、上記による両側からの保持
を受けて正常な直行を確実にすることができる。

第５図はこの考案の第４実施例を示すものであ
る。この第４実施例における床支持装置は、支柱
３の頂部に載置固設するアーム支持材７の凸条部
７ａが、上面の外方側に形成されている。従つて
この実施例では上記のアーム支持材７を、２体１
組にした状態で左右の各支柱３頂部に固設するよ
うに構成されている。この場合アーム支持材７，
７を２体１組にして固設するため、各凸条部７ａ
に隣接する内側の平面は、２体１組で前記の第３
実施例に示した溝部７ｂと同様の役割を果たすよ
うに構成されている。このためアーム支持材７に
嵌合するアーム８は、前記の第３実施例で示した
と同様に、底部を平面状にしたＵ字形に形成し、
このアーム８を２体１組の状態で床板５の底面側
に固着することにより、この２体１組による広域
の底部側を、２体１組の凸条部７ａ，７ａ内にあ
たる溝部７ｂと同様の凹所内へ収嵌するように構
成されている。

上記の構成により、この第４実施例では前記の
各実施例と同様に、観覧席Ａの使用時に地震等の
振動で床板５が横揺れしても、アーム８の底部側
が２体１組による両側の凸条部７ａ，７ａにより
保持されているため、両アーム８がその位置毎の
支柱３の頂部から側方へ脱落するのを確実に防止
され、これによつて観客の安全性を容易に保証す
ることができる。また観覧席Ａの移動時にも、上
記による両側からの保持を受けて正常な直行を確
実にすることができる。

第６図はこの考案の第５実施例を示すものであ
る。この第５実施例における床支持装置は、支柱
３の頂部に載置固設するアーム支持材７の凸条部
７ａが、上面の内方側に形成されている。従つて
この実施例では上記のアーム支持材７を、２体１
組にした状態で左右の各支柱３頂部に固設するよ
うに構成されている。この実施例でもアーム支持
材７，７を２体１組にして固設するため、この各
凸条部７ａ，７ａは、第１実施例の凸条部７ａを
左右に分割し、左部、右部１対の要素で直行ガイ
ドの役割を果たすように構成されている。このた
めアーム支持材７に嵌合するアーム８は、前記の
第４実施例で示したと同様に、底部を平面状にし
たＵ字形に形成し、このアーム８を２体１組の状
態で床板５の底面側に固着することにより、両ア
ーム８の各内壁面が第１実施例の凹部８ｂと同じ
役割を果たすように構成されている。

上記の構成により、この第５実施例では前記の
各実施例と同様に、観覧席Ａの使用時に地震等の
振動で床板５が横揺れしても、アーム８の各内壁
面が２体１組による左右に要素が分割された凹部
８ｂと同じ役割を果たし、これが各内側の凸条部
７ａ，７ａに嵌合するため、両アーム８がその位
置毎の支柱３の頂部から側方へ脱落するのを確実
に防止され、これによつて観客の安全性を容易に
保証することができる。また観覧席Ａの移動時に
も、上記による両側からの保持を受けて正常な直
行を確実にすることができる。

〔考案の効果〕

この考案は、走行ローラを備えた基台上に支柱
を立設して順に高さを増すように組着した複数段
による移動床台を相互に連結して前後方向に伸縮
により移動が可能となる観覧席において、最高段
を除く上記支柱の頂部に少なくても単一の凸条部
を設けたアーム支持材を載置状に固設し、上記移
動床台の床板底面には上記アーム支持材の少なく
ても２体１組による複数の凸条部に側方への離脱
不能に嵌合するアームを固着したことを特徴とす
るものである。従つて各段のアームはその直下位
置毎のアーム支持材と、双方の凹凸部分をもつて
嵌合することにより、観覧席の使用時に地震等が
発生しても、支柱頂部からアームが脱落するのを
確実に防止して観客の安全性が容易に保証される
ため、この種観覧席の安全性をさらに高めること
ができる。そのうえ上記した床支持装置により、
観覧席の伸長縮減操作が他の部材や装置を要しな
いで精度良く円滑に行えるため、他の部材や装置
を付属する費用が節減されて、観覧席の大幅なコ
スト低下を図ることができる等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の第１実施例による床支持装
置を備えた観覧席の伸長側面図、第２図ａは第１
図のＣ部詳細図、第２図ｂは同縦断正面図、第３
図は同第２実施例による同装置の片側だけを示す
縦断正面図、第４図は同第３実施例による同装置
の片側だけを示す縦断正面図、第５図ａは第１図
のＣ部相当位置での第４実施例による同装置の側
面図、第５図ｂは同縦断正面図、第６図ａは第１
図のＣ部相当位置での第５実施例による同装置の
側面図、第６図ｂは同縦断正面図、第７図は同第
１実施例による床支持装置を備えた観覧席の縮減
側面図、第８図は従来例の床支持装置を示す正面
図、第９図は同側面図である。 １……基台、２……走行ローラ、３……支柱、
４……移動床台、５……床板、７……アーム支持
材、７ａ……凸条部、８……アーム、Ａ……観覧
席。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 走行ローラを備えた基台上に支柱を立設して順
   に高さを増すように組着した複数段による移動床
   台を相互に連結して前後方向に伸縮により移動が
   可能となる観覧席において、最高段を除く前記支
   柱の頂部に少なくとも単一の凸条部を設けたアー
   ム支持材を載置状に固設し、前記移動床台の床板
   底面には前記アーム支持材の少なくとも２本１組
   による複数の凸条部にコの字形のように両側から
   挟みこむように嵌合するとか、Ｌ字形に片側から
   押さえるように嵌合するアームを固着したことを
   特徴とする伸縮式階段状観覧席の床支持装置。