JPH0243967Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、伸縮式階段状観覧席の側部被覆体
に関するものである。

［従来の技術］ 近年体育館等においては内部に多目的に使用す
るために、壁面に近い床面の一部に伸縮移動式の
階段状観覧席を設置することが多くなつた。この
観覧席は、順に高さを増す観覧椅子付の複数段か
らなる移動床台を相互に連結して、前後方向に伸
縮しながら移動が可能となるように形成されてい
る。そしてこの観覧席の使用時には最も低い最前
段の移動床台から順次に引き出して全体を雛壇状
に伸長し、これによつて各移動床台の椅子に多数
の観客が着座できる状態となる。また不使用時に
は、前記とは逆に最前段の移動床台から順次に後
段側の移動床台下に戻すように後退移動させるこ
とにより、全体が最高段の移動床台下に垂直棚状
に縮小し、これによつて建物の壁側に設けられた
格納凹所内へ収納保管することができるように構
成されている。上記の観覧席は、その使用時に各
段の移動床台と床面間にあたる側方空域帯を原状
のまま放置すると、外観美が著しく損なううえ、
小児等が出入りして危険性が伴うため、上記の側
方空域帯にサイドパネルを通常のボルトとナツト
等により着脱自在に取付けていた。

［考案が解決しようとする問題点］ 上記の構成により、従来のこの種観覧席には次
のような問題点があつた。

サイドパネルは、各段毎における移動床台の高
さに合わせて個別に形成したので多数のサイドパ
ネルが必要となり、コスト高になつた。また観覧
席の使用の前後にはサイドパネルを通常のボルト
とナツト等の介在により着脱するので多くの時間
と手間が掛かるうえ、不使用時には長短混交の多
数のサイドパネルを収納するのに、大きな収納容
域を要する等から、この種観覧席を用いる会場の
採算性を悪くしていた。

［問題点を解決するための手段］ この考案は、上記従来技術の問題点を解決する
ものであり、観覧席の側方空域帯と合致する１枚
もので折りたたみ自在に形成することにより、コ
ストが大幅に低下し、使用時の着脱が省力化のも
とに簡単にできるうえ、不使用時の収納ペースも
節減されて採算性を良くすることができる伸縮式
階段状観覧席の側部被覆体を提供することにあ
る。この考案の特徴とするところは、順に高さを
増す複数段からなる移動床台を相互に連結して前
後方向の伸縮により移動が可能となる観覧席にお
いて、上記各段の移動床台側部の直下位置にあた
る側方空域帯に、この空域帯の外郭に合致して使
用時には当該空域帯を一様に覆いかつ不使用時に
は折りたたみ自在の被覆体を、被覆体に取付けた
取付環にひねりフツクを挿脱することにより着脱
可能に被着するようにしたことにある。

［実施例］ 以下、この考案の実施例を添付図面に基づいて
説明する。

まず構成を説明すると、第１図から第４図まで
に示すように、順に高さを増す複数段からなる各
移動床台４を、相互に連結して前後方向の伸縮に
より移動するために、底部にはローラ２を備え、
上部には支柱３を立設した各基台１が、その段毎
における各移動床台４の高さを増すのにしたがつ
て順次外側方向にずらして配置され、かつ各支柱
３も順に高さを増すように形成されて、使用時に
は基台１の一部に配置したモータ等による図示し
ない駆動源の操作をもつて最前段の移動床台４か
ら順次にその前方の床面Ｃ上へ引き出すことによ
り、全段が雛壇状に伸張して各移動床台４の椅子
となる座板６上に多数の観客が着座でき、た不使
用時には上記とは逆に最前段の移動床台４から最
高段の移動床台４下へ戻すようにして、全体を垂
直棚状に縮小一括体にまとめ、この状態の観覧席
Ａをその後方の格納凹所Ｂ内へ収納保管が可能と
なる伸縮式階段状観覧席において、観覧席Ａを雛
壇状に伸張した際に、各段の移動床台４側部の直
下位置に形出される一辺を垂線とする三角形状の
側方空域帯Ｄには被覆体８が着脱可能に被着され
る。

この被覆体８は、例えば帆布の素材を側方空域
帯Ｄの外郭（一辺が垂線の三角形域）に合致する
ように裁断して、その斜辺にあたる上部縁面と底
辺にあたる下部縁面には取付環９が、その側毎の
取付け間隔をもつてそれぞれ装着されている。こ
の取付環９は、金属板をハトメ状に成形してその
内径部が楕円孔９ａに形成されている。そしてこ
の取付環９はその側毎の被覆体８の縁面を貫通す
るようにして前後のフランジ面における挾着圧接
により間隔をおいて装着されている。

被覆体８の上部側を着脱自在に取付けるため
に、各段の移動床台４面上に突出状に設置されて
その段毎の椅子となる座板６の両側端部位置に
は、上記した取付環９の楕円孔９ａ内に挿入可能
な、円板形の首部を一体化した形状のひねりフツ
ク７が、遊嵌され、旋回自在でカシメにより抜け
ないように取付けられている。被覆体８の下部側
を着脱自在に取付けるために、観覧席Ａを雛壇状
に伸張した際における各段の移動床台４側部の垂
下線と合致する側方空域帯Ｄの底辺にあたる床面
Ｃ上には規定長さの角材等による縦棒１０を、相
互の端末部を密接するようにして長手方向に直線
状に配置したのち、この各縦棒１０の密接端末部
には、その位置毎の基台１の側部面に基端を当接
し、かつ各先端には下向きのＬ字形の連結金具１
２をネジ止め等の手段を介して装着した横棒１１
が、この横棒１１先端と連結金具１２の下向き片
とによる挾着をもつて着脱可能なＴ字形に連結さ
れている。各縦棒１０の外部側縦面にはひねりフ
ツク７が、規定間隔により旋回自在に取付けられ
ている。

座板６側に旋回自在に取付けた上部のひねりフ
ツク７と、各縦棒１０の側に同様に取付けた下部
のひねりフツク７との各規定間隔に合わせて被覆
体８の上部縁面と下部縁面とには取付環９がそれ
ぞれ装着されて、全体として１組の伸縮式階段状
観覧席の側部被覆体に構成されている。第１図に
示す５は、被覆体８を装着する各段の座板６端部
に着脱可能に取付けられた手すりである。

観覧席Ａの使用時には図示しない駆動源を操作
して、格納凹所Ｂ内の各移動床台４を最前段側か
らその前方の床面Ｃ上に第１図のように雛壇状に
引き出すと、観覧席Ａの側部には一辺が垂線の三
角形状による側方空域帯Ｄが形出されることにな
る。従つてこの空域帯Ｄに帆布による被覆体８を
被着する場合は、あらかじめこの側方空域帯Ｄの
容域に合わせて形成した折りたたみ自在の被覆体
８を、空域帯Ｄの位置に搬入したのち、その上下
縁部に装着されている取付環９の楕円孔９ａに対
して移動床台４の座板６と、基台１側方の縦棒１
０から突設されているその位置毎のひねりフツク
７を挿入し、それぞれ90度の角度宛旋回すること
により、このフツク７の円板面が楕円孔９ａの長
尺側から短尺側へ回動移行するため、フツク７の
円板面は楕円孔９ａからの逸脱が阻止されて確実
な拘束状態が得られ、これによつてその側毎の空
域帯Ｄをそれぞれ１枚宛の被覆体８により容易迅
速にかつ一様に覆うことができるものである。

次に使用後の観覧席Ａを格納する場合は、前記
とは逆の動作を行うことになる。すなわち使用時
にその側の空域帯Ｄに装着した被覆体８を、その
位置毎の取付環９内に挿通されているひねりフツ
ク７の円板面を、取付環９の楕円孔９ａから90度
の旋回操作をもつて逸脱させると、取付環９に対
するひねりフツク７の拘束態様が円滑に解除され
るため、観覧席Ａの側方空域帯Ｄから被覆体８を
簡単に取り外すことができる。そして取り外した
この被覆体８を折りたたむことにより、図示しな
い最少限度の容域帯に上記の被覆体８を容易確実
に収納保管することができる。

［考案の効果］ この考案は、順に高さを増す複数段からなる移
動床台を相互に連結して前後方向の伸縮により移
動が可能となる観覧席において、各段の移動床台
側部の直下位置にあたる側方空域帯に、この空域
帯の外郭に合致して使用時には当該空域帯を一様
に覆いかつ不使用時には折りたたみ自在の被覆体
を、取付環に対するひねりフツクの挿脱をもつて
着脱可能に被着するようにしたことを特徴とする
ものである。従つて被覆体は、観覧席の側方空域
帯と合致する１枚もので被着されるため、観覧席
の外観美を一層高め、かつ使用時の着脱が省力化
のもとに簡単にできる。また側方空域帯を完全に
被覆して小児等の出入りが防止され、これによつ
てこの種観覧席の安全性を保証することができ
る。さらにこの被覆体は折りたたみ自在に形成さ
れているため、不使用時の収納スペースも節減さ
れてこの種観覧席を使用する会場の採算性を良く
することができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案による被覆体を側方空域帯の
位置に着脱自在に装着した観覧席の使用状態を示
す側面図、第２図は同位置での下部側被覆体に対
する装着母体を示す平面図、第３図は被覆体の装
着部材を示す一部分解斜視図、第４図は第３図の
下部側装着部材の組立態様を分解して示す分解斜
視図である。 ４……移動床台、６……座板、７……ひねりフ
ツク、８……被覆体、９……取付環、９ａ……楕
円孔、Ａ……観覧席、Ｄ……側方空域帯。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 順に高さを増す複数段からなる移動床台を相互
   に連結して前後方向の伸縮により移動が可能とな
   る観覧席において、前記各段の移動床台側部に、
   折りたたみ自在の被覆体を、被覆体に取付けた取
   付環に、座板及び縦棒に取付けたひねりフツクを
   挿脱することにより、着脱可能に被着することが
   できるようにしたことを特徴とする伸縮式階段状
   観覧席の側部被覆体。