JPH035642Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は伸縮式階段状観覧席の中間段ストツ
パー装置に関するものである。

〔従来の技術〕

近年体育館等においては内部を多目的に使用す
るために、壁面に近い床面の一部に伸縮移動式の
階段状観覧席を設置することが多くなつた。この
観覧席は、順に高さを増す複数段による移動床台
を相互に連結して、前後方向に伸縮による移動が
可能となるように形成されている。そしてこの観
覧席の使用時には最も低い最前段の移動床台から
順次に引き出して全体を雛壇状に伸長し、これに
よつて各移動床台の椅子に多数の観客が着座でき
る状態となる。また不使用時には、前記とは逆に
最前段の移動床台から順次に後段側の移動床台下
に戻すように後退移動させることにより、全体が
最高段の移動床台下に垂直棚状に縮減し、これに
よつて建物内の後部壁側に設けられた格納凹所内
へ収納保管することができるように構成されてい
る。この場合会場内の開催内容が小規模で観客数
が少ないときは、観覧席の全部を必要としないた
め、前半部の移動床台だけを引出して使用するこ
とも可能なように構成されていた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記の構成により、従来におけるこの種の観覧
席には次のような問題点があつた。

(1) 格納凹所の前方へ雛壇状に引出された前半部
の移動床台は、相互間の係留手段により確実に
緊結するが、格納凹所内に残置された後半部の
移動床台は、最高段にあたる移動床台下に上層
部だけの縮減態により残置するだけで特別な係
留手段を持たないため、地震等の天災を受けた
場合には後半部の移動床台が動揺し、これが前
半部側にも波及して確客が危険に見舞われた。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は、上記従来技術の問題点を解決する
ものであり、観客数の増減に合わせて移動床台の
引出し量を全部または前半部のいずれかに選択で
きるうえ、前半部側移動床台の引出し時には残置
した格納凹所内の後半部側移動床台が確実に緊結
されて観客の安全が容易に確保できる伸縮式階段
状観覧席の中間段ストツパー装置を提供すること
にある。この考案の特徴とするところは、順に高
さを増す複数段による移動床台を両側のガイド基
盤側に配列した支柱付基台の介在により相互に連
結して使用時には格納凹所の前方へ雛壇状に伸長
し使用後には格納凹所内へ垂直棚状の縮減態によ
り収納する観覧席において、上記支柱の背後位置
にあたる左右のガイド基盤間に横材を架設し、中
間段の基台上には軸受の支承により後端軸部が上
記横材の後方位置に至るストツパー軸を回動可能
に配置するとともに、このストツパー軸の上記後
端軸部には起立時に上記横材の高さ位置に至るス
トツパー片を装着したことにある。

〔作用〕

上記の構成により、会場内の開催内容が小規模
で観客数が少ない場合は、中間段の基台上に配置
したストツパー軸を、その後端軸部のストツパー
片が起立する方向へ回動したのちに、移動床台の
引出し操作を行うと、前半部の移動床台だけを会
場の床面上へ雛壇状に引出すことができる。その
際前半部の移動床台は、相互間の係留手段により
確実に緊結することができる。また格納凹所内に
残置された後半部側の移動床台は、中間段の基台
上に配置されたストツパー軸の後端軸部上に位置
するストツパー片が、移動床台の引出し以前にお
ける起立の設定により、その直前に架設されてい
る横材に当接して前進が阻まれているため、この
中間段以降の移動床台は一括状の垂直棚状に縮減
された原状のもとで安定的に緊結態様を堅持する
ことができる。なお会場内の開催内容が大規模で
観客数が多いときは、中間段の基台上に配置した
ストツパー軸を、その後端軸部のストツパー片が
起立しない原状のもとに置くと、各移動床台の引
出し時に、中間段のストツパー片が倒れていて、
円滑に横材の下を潜り抜けるため、この中間段を
含む後半部側の移動床台も前半部側の移動床台に
引き続いて引出され、これによつて全部の移動床
台を雛壇状に引出すことができる。このように観
覧席の収納時に、中間段の基台上に配置したスト
ツパー軸に対する回動有無の選択により、各移動
床台の引出し量を観客数に合わせて容易に増減で
きるものである。

〔実施例〕 以下、この考案の実施例を添付図面に基づいて
説明する。

第１図から第５図まではこの考案の第１実施例
を示すものである。すなわちこの実施例では、各
支柱３の上部側に取付けられて順に高さを増す複
数段による移動床台４を、相互に連結して前後方
向に伸縮により移動するために、格納凹所Ｂ内の
両側位置で固定の状態にあるガイド基盤６側に、
前後の底部にはローラ２を備え、後方の上部には
上記の支柱３を立設した各段の基台１（，，
，，，段の各基台１）が、その段毎にお
ける移動床台４の高さを増すのに比例して第３図
のように除除に外側方向に配置され、かつ各支柱
３も第２図のように順に高さを増すように形成さ
れて、使用時には人力の手押し操作により、基台
１の底部に配置した各ローラ２の転動をもつて最
前段の移動床台４から順次にその前方の床面Ｃ上
へ引出すことにより、全部の移動床台４が雛壇状
に伸長して、各段における移動床台４の図示しな
い椅子に多数の観客が着座でき、また不使用時に
は上記とは逆に最前段の移動床台４から最高段の
移動床台４下へ戻すようにして、全部の移動床台
４を垂直棚状による縮減態のもとに一括状にまと
め、この状態の観覧席Ａを、第１図および第２図
に一部をもつて示すように、後部壁５側の両側床
面Ｃ上に固設したガイド基盤６間にあたる格納凹
所Ｂ内へ収納保管が可能となる伸縮式階段状観覧
席において、上記した支柱３の背後位置にあたる
両側のガイド基盤６間と、この基盤６間の左右中
間段に位置する基台１上には次に示す中間段ス
トツパー装置が設置されている。

この中間段ストツパー装置は次のように構成さ
れている。すなわち第１図から第５図までに示す
ように、各段における基台１（，，，，
，段の各基台１）の後部側に立設された支柱
３の背後位置にあたる左右のガイド基盤６上に枠
止め材６ａを取付け、この枠止め材６ａを支体に
して、上記左右のガイド基盤６，６間には、各支
柱３の後面に接触しながら、その位置毎の基台１
（，，，，，段の各基台１）に対し
ては若干の高さを持つ一連の横材７が架設されて
いる。

次に上記基台１中の中間段にあたる基台１の
上部には、前後および中途位置における各軸受９
の支承により、この基台１とほぼ同じ長さのスト
ツパー軸８が、その後端軸部を前記した横材７の
後方に位置させるようにして、前後の長手方向に
平行する態様により回転自在に配置されている。
このストツパー軸８の前端軸部には、図示しない
ハンドル操作により前方Ｅの外部からストツパー
軸８を規定の方向に回動するためのガイド凸子８
ａが設けられている。なお上記中の後端側に配置
されている軸受９の一方側における上部面には、
後記するストツパー片８ｂの起立態様を支持する
棒状のリミツト凸部９ａが、ストツパー軸８と平
行するように突設されている。さらにこの後端側
軸受９の一方基部にはＬ字形のバネ受け板９ｂが
固設されていて、この面部には後記する引きバネ
１１の基端を係架するボルト形のバネ止め１０が
挿着されている。

上記した後部側軸受９の直前位置にあたるスト
ツパー軸８の後端軸部には、起立時に前記した横
材の高さ位置に至る短冊形のストツパー片８ｂが
溶接手段により装着されている。そしてこのスト
ツパー片８ｂの最上部面にストツパー軸８と平行
するように固設されたバネ受け棒８ｃと、前記に
より後部側軸受９に固設されたバネ受け板９ｂの
バネ止め１０間には、弾性的な牽引力を保有する
引きバネ１１が係架されている。この態様により
ストツパー軸８の後端軸部に装着されたストツパ
ー片８ｂは、次の操作が選択的に設定できるよう
に配置されている。

すなわち第５図に示すように、このストツパー
片８ｂには、引きバネ１１の弾性牽引力が付与さ
れているが、ストツパー軸８とバネ止め１０との
２点間を結ぶ直線の延長線上にデツドセンター位
置Ｄが存在するため、前端軸部側でガイド凸子８
ａに対する旋回操作を介してストツパー軸８を時
計方向Ｆへ回動したとき、ストツパー片８ｂは、
上昇方向への弾性牽引力を強く受けて容易確実に
起立する。従つていつたん起立したストツパー片
８ｂは横材７に阻止されて移動が不能となり、こ
れによつて中間段を含む以降の後半部側基台１
を固定化するように配置されている。

また前端軸部側でガイド凸子８ａを反時計方向
Ｇへ回動したとき、ストツパー片８ｂは、降下方
向への弾性牽引力を強く受けて容易確実に基台１
上へ倒れることになる。従つてこの倒れた位置は
横材７の高さに至らないので、横材７による移動
の阻止は無くなり、これによつて中間段を含む
以降の後半部側基台１も前半部側の基台１に引き
続いて引出しが行われるように配置され、全体と
して伸縮式階段状観覧席の中間段ストツパー装置
に構成されている。なお第１図と第２図に示す１
３は、各段の隣接基台１同士を結合するための係
留手段である。

上記の構成により、例えば会場内の開催内容が
小規模で観客数が少ない場合は、第２図に示すよ
うに、観覧席Ａの前半部（〜段まで）にあた
る移動床台４だけを前方の床面Ｃ上へ引出して使
用することになる。その際観覧席Ａの前半部と後
半部のほぼ中間段にあたる段目を含む以降の移
動床台４は使用しないことになるので、この考案
の第１実施例では、第４図および第５図に実線を
もつて示すように、中間段の基台１上に配置さ
れているストツパー軸８を、その前端軸部のガイ
ド凸子８ａに対する図示しないハンドルの操作に
より時計方向Ｆへ回動して、後端軸部のストツパ
ー片８ｂを起立させたのちに、人力により移動床
台４を格納凹所Ｂの前方Ｅにあたる床面Ｃ上へ引
出すと、上記により時計方向Ｆの回動で起立した
ストツパー片８ｂは、その直前の横材７に当接す
る高さ位置にあるため、この横材７に阻止されて
前進が不能となり、これによつて中間段を含む
以降の後半部（，，段）側の各基台１が固
定されて、前半部（，，段）の移動床台４
だけを会場の床面Ｃ上へ雛壇状に引出すことがで
きる。その際この前半部（，，段）の移動
床台４は、相互間の係留手段１３により確実に緊
結することができる。（第２図参照） また上記により格納凹所Ｂ内に残置された後半
部（，，）の移動床台４は、中間段の基
台１上に配置されたストツパー軸８の後端軸部上
に位置するストツパー片８ｂが、移動床台４の引
出し以前に上記した時計方向Ｆへの回動により起
立の状態に設定されていて、上記の横材７に移動
が阻まれているため、この中間段以降の移動床
台４（，，段の各移動床台４）は一括状の
垂直棚状に縮減された原状のもとで安定的に緊結
態様を堅持することができる。（第２図参照） 次に会場内の開催内容が大規模で観客数が多い
場合は、中間段の基台１上に配置したストツパ
ー軸８を、その後端軸部のストツパー片８ｂが起
立しているときは前端軸部側のガイド凸子８ａを
反時計方向Ｇに旋回して基台１の上面へ倒すか、
または上記のストツパー片８ｂが起立していない
ときはそのままの倒れた状態にして置くと、移動
床台４の引出し時に、中間段のストツパー片８
ｂが横材７の高さに至らない位置にあつて円滑に
横材７の下を潜り抜ける前進が可能となるため、
この中間段を含む後半部（，，段）側の
移動床台４も、前半部（，，段）側の移動
床台４に引き続いて引出され、これによつて全部
の移動床台４を雛壇状に引出すことができる。

このように観覧席Ａの引出し以前において、中
間段の基台１上に配置したストツパー軸８を回
動するかしないかの選択的な設定により、前半部
（，，段）の移動床台４に限定した引出し
量にしたり、またはこの前半部（，，段）
を含む後半部（，，段）の各移動床台４を
含めた引出し量にしたりする上記の引出し量を、
観客数に合わせて容易確実に増減できるものであ
る。

第６図はこの考案の第２実施例を示すものであ
る。この実施例では、観覧席Ａの使用時に、基台
１の一部に配置した図示しないモータ等による駆
動源の操作をもつて、最前段の移動床台４から順
次にその前方の床面上へ雛壇状に引出したり、ま
たは上記により引出した各移動床台４を、不使用
時には、同じく駆動源の操作をもつて、上記とは
逆に最前段の移動床台４から最高段の移動床台４
下へ各移動床台４を戻すようにして、全体を垂直
棚状による縮減態のもとに一括状にまとめ、この
状態の観覧席Ａを、第１図と同様に、後部壁５側
の格納凹所Ｂ内へ収納保管が可能となる伸縮式階
段状観覧席において、中間段を境にした前半部
（，，段）の移動床台４と、後半部（，
，段）の移動床台４との区分状による引出し
量を選択的に設定する中間段ストツパー装置は、
後記する一部を除いて前記の第１実施例と全く同
様に構成されている。従つてその同じ構成部分の
説明は省略し、第１実施例と異なる部分で第２実
施例だけが持つ特異な部分の構成を説明する。す
なわちその部分を第６図に示すように、前記した
第１実施例の中間段にあたる基台１の後端位置
には、ボツクスの一端側に上下操作が可能な操作
凸子１２ａを突設して、この操作凸子１２ａに対
する押し操作により、経時的に駆動源をOFF作
動する型式のリミツトスイツチ１２が、上記基台
１との一体移動が可能な状態により配置されてい
る。

このリミツトスイツチ１２は、各移動床台４の
前進後退操作を行う図示しないモータ等による駆
動源の制御回路に接続されていて、前記の実施例
と同様に、ストツパー軸８を反時計方向Ｇに回動
してストツパー片８ｂを倒した場合は、このスト
ツパー片８ｂのバネ受け棒８ｃが操作凸子１２ａ
を押下げて、図示しない制御回路の制動装置を経
時的に停止させ、これによつて前半部（，，
段）の移動床台４だけが前進を終了した時点で
駆動源の電路を遮断するような回路に構成されて
いる。

上記の構成により、この第２実施例では、前記
した第１実施例と同様の設定をした場合、電動操
作をもつて前半部（，，段）の移動床台４
を限定した引出し量にしたり、またはこの前半部
（，，段）を含む後半部（，，段）
の各移動床台４を含めた引出し量にしたりする上
記の各引出しの区分操作を、人力を要しないで自
動的に行えるものである。

〔考案の効果〕

この考案は、順に高さを増す複数段による移動
床台を両側のガイド基盤側に配列した支柱付基台
の介在により相互に連結して使用時には格納凹所
の前方へ雛壇状に伸長し使用後には格納凹所内へ
垂直棚状の縮減態により収納する観覧席におい
て、上記支柱の背後位置にあたる左右のガイド基
盤間に横材を架設し、中間段の基台上には軸受の
支承により後端軸部が上記横材の後方位置に至る
ストツパー軸を回動可能に配置するとともに、こ
のストツパー軸の上記後端軸部には起立時に前記
横材の高さ位置に至るストツパー片を装着したこ
とを特徴とするものである。従つて観客数の増減
に合わせて移動床台の引出し量を全部または前半
部のいずれかに選択できるうえ、前半部側移動床
台の引出し時には残置した格納凹所内の後半部側
移動床台が確実に緊結されて観客の安全が容易に
確保できる等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の第１実施例による中間段ス
トツパー装置を備えた観覧席の収納状態を示す縦
断側面図、第２図は後半部を原状位置に係留して
前半部を引出した観覧席の側面図、第３図は同装
置の要部を示す概要平面図、第４図は同斜視図、
第５図は同背面図、第６図は第２実施例による同
装置の要部を示す斜視図である。 １……基台、３……支柱、４……移動床台、６
……ガイド基盤、７……横材、８……ストツパー
軸、８ｂ……ストツパー片、９……軸受、Ａ……
観覧席、Ｂ……格納凹所。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 順に高さを増す複数段による移動床台を両側の
   ガイド基盤側に配列した支柱付基台の介在により
   相互に連結して使用時には格納凹所の前方へ雛壇
   状に伸長し使用後には格納凹所内へ垂直棚状の縮
   減態により収納する観覧席において、前記支柱の
   背後位置にあたる左右のガイド基盤間に横材を架
   設し、中間段の基台上には軸受の支承により後端
   軸部が前記横材の後方位置に至るストツパー軸を
   回動可能に配置するとともに、このストツパー軸
   の前記後端軸部には起立時に前記横材の高さ位置
   に至るストツパー片を装着したことを特徴とする
   伸縮式階段状観覧席の中間段ストツパー装置。