JPH0238999Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、伸縮式階段状観覧席の各中間段ス
トツパー装置に関するものである。

〔従来の技術〕

近年体育館等においては内部を多目的に使用す
るために、壁面に近い床面の一部に伸縮式の階段
状観覧席を設置することが多くなつた。この観覧
席は、順に高さを増す複数段による移動床台を相
互に連結して、前後方向に伸縮による移動が可能
となるように形成されている。そしてこの観覧席
の使用時には最も低い最前段の移動床台から順次
に引き出して全体を雛壇状に伸長し、これによつ
て各移動床台の椅子に多数の観客が着座できる状
態となる。また不使用時には、前記とは逆に最前
段の移動床台から順次に後段側の移動床台下に戻
すように後退移動させることにより、全体が最高
段の移動床台下に垂直棚状に縮減し、これによつ
て建物内の後部壁側に設けられた格納凹所内へ収
納保管することができるように構成されている。
この場合会場内の開催内容が小規模で観客数が少
ないときは観覧席の全部を必要としないため、前
半部の移動床台だけを引き出して使用することも
可能なように構成されていた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記の構成により、従来におけるこの種の観覧
席には、次のような問題点があつた。

(1) 格納凹所の前方へ雛壇状に引き出された前半
部の移動床台は、相互間の係留手段により確実
に緊結されるが、格納凹所内に残置された後半
部の移動床台は、一番高い移動床台の下に単に
収納状態のままで残つているだけで特別な係留
手段を有しないめ、地震等の天災を受けた場合
には後半部の移動床台が動揺し、これが前半部
側にも波及して観客が危険に見舞われた。

(2) 上記型を改良して中間段の移動床台を後部壁
面側に係留する手段を講じたものもあるが、こ
れは特定の中間段に限定した係留手段であるた
め、引き出される前半部の移動床台数が常に一
定になることから、観客の増減に合わせて移動
床台の引き出し量を任意に選択できなかつた。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は、上記従来技術の問題点を解決する
ものであり、観客数に合わせて移動床台の引き出
し量が任意に選択できるうえ、残置した格納凹所
内の移動床台は、その残存数に関係なく確実に緊
結されて観客の安全性が容易に確保できる伸縮式
階段状観覧席の各中間段ストツパー装置を提供す
ることにある。この考案の特徴とするところは、
順に高さを増す複数段による移動床台を基台の介
在により相互に連結して使用時には格納凹所の前
方へ雛壇状に伸長し使用後は格納凹所内へ垂直棚
状の縮減により収納する観覧席において、上記格
納凹所の後部壁面に左右一対のストツパー枠を取
付け、移動床台の格納時に各ストツパー枠の直下
に並列位置する前記各基台の後端部にそれぞれ各
ストツパー枠の各上下ピン孔に連通するピン孔を
設け、所望の連通ピン孔に対する選択ピンの挿通
によりその段を含む以降の移動床台を上記格納凹
所内に一括状に残置させるようにしたことにあ
る。

〔作用〕

上記の構成により、会場内の開催内容が小規模
で観客数が少ない場合は、ストツパー枠のピン孔
から使用しない後段側に属して最内側方向に位置
する基台のピン孔へ選択ピンを挿通して、移動床
台の引き出し操作を行うと、上記の選択ピンが挿
通されない側にあたる前半部の移動床台だけを会
場の床面上へ雛壇状に引き出すことができる。そ
の際引き出された前半部の移動床台は、相互間の
係留手段により確実に緊結することができる。ま
た格納凹所内に残置された後半側の移動床台は、
後部壁面に固着されたストツパー枠に選択ピンが
挿通されているため、この選択ピンが挿通された
段を含む以降の段が一括体による垂直棚状に縮減
された原状のもとで安定的に緊結態様を堅持する
ことができる。このように上記のストツパー枠に
は移動床台の全数に見合うピン孔が配列されてい
るうえ、その直下位置に収納配置される全部の基
台上面にもピン孔がそれぞれ連通状に設けられて
いるため、移動床台の引き出し量を観客数に合わ
せて任意に選択できるものである。

〔実施例〕

以下、この考案の実施例を添付図面に基づいて
説明する。

まず構成を説明すると、第１図から第４図まで
に示すように、順に高さを増す複数段による移動
床台４を、後記する基台１の介在により相互に連
結して前後方向に伸縮により移動するために、底
部にはローラ２を備え、上部には支柱３を立設し
た上記の各基台１が、高い移動床台４を支持する
ものほど外側方に位置するように順に配置され、
かつ各支柱３も順に高さを増すように形成され
て、使用時には基台１の一部に配置した図示しな
いモータ等による駆動源の操作をもつて最前段の
移動床台４から順次にその前方の床面Ｃ上へ引き
出すことにより、全段が雛壇状に伸長して各移動
床台４の各椅子（図示せず）に多数の観客が着座
でき、また不使用時には上記とは逆に最前段の移
動床台４から最高段の移動床台４下へ戻すように
して、全体を垂直棚状による縮減体のもとに一括
状にまとめ、この状態の観覧席Ａをその後方の格
納凹所Ｂ内へ収納保管が可能となる伸縮式階段状
観覧席において、上記格納凹所Ｂの後部壁面５と
観覧席Ａの各基台１とには次に示す各中間段スト
ツパー装置が設置されている。

上記の各中間段ストツパー装置は次のように構
成されている。すなわち第１図から第３図までに
示すように、観覧席Ａの全体を収納することにな
る格納凹所Ｂの後部壁面５には、その左右位置に
後方外部Ｅに連通する左右一対の開口部５ａが、
規定の間隔位置（観覧席Ａにおける各段の両側に
配置される一対の基台１が収納時に集結する左右
位置）に設けられている。この開口部５ａには観
音開き型による左右一対の扉６が後方外部Ｅ側へ
開扉するように装着されている。そして上記開口
部５ａの格納凹所Ｂ側にあたる後部壁面５には、
金属板等の成形により縦断面がロの字形で、その
上下面には後記する選択ピン８の垂直方向への挿
通が可能となるピン孔７ａ，７ｂを、各段の基台
１と合致する間隔により貫設した左右一対のスト
ツパー枠７が、それぞれ、収納時における左右の
各基台１の後端部のすぐ上に位置するように水平
に取付けられている。各基台１の後端部には、そ
れぞれ、その格納位置においてストツパー枠の各
上下ピン孔７ａ，７ｂと連通するピン孔１ａが設
けられている。また、左右の各ストツパー枠７に
は、それぞれ任意の上下ピン孔７ａ，７ｂから基
台１のピン孔１ａに選択ピン８が着脱自在に付設
されて、全体として伸縮式階段状観覧席の各中間
段ストツパー装置に構成されている。なお第４図
に示す９は、各段の隣接基台１同士を結合するた
めの係留手段である。

上記の構成により、例えば会場内の開催内容が
小規模で観客数が少ない場合は、第４図に示すよ
うに、観覧席Ａの前半部（〜段まで）にあた
る移動床台４だけを前方の床面Ｃ上へ引き出して
使用することになる。その際観覧席Ａの前半部と
後半部のほぼ中間段にあたる段目を含む以降の
移動床台４は使用しないことになるので、第３図
に示すように、この段目にあたる基台１のピン
孔１ａへ、その直上位置のストツパー枠７に設け
られている当該ピン孔７ａ，７ｂから選択ピン８
を挿通すると、このストツパー枠７と、選択ピン
８が挿通された中間段の基台１とは選択ピン８を
介して完全に結合されることになる。従つて図示
しない駆動源を操作して移動床台４の引き出し操
作を行つた場合、上記選択ピン８が挿通された基
台１の以前にあたる前半部の移動床台４だへを会
場側へ雛壇状に引き出すことができる。その際引
き出された前半部の移動床台４（から段まで
の移動床台４）同士は、相互間の係留手段９によ
り確実に緊結することができる。

また上記により選択ピン８が挿通された段目
の基台１は選択ピン８を介してストツパー枠７に
移動不能の状態に係留されているため、この段
目の前進不能により、この段以降の移動床台４も
連携的に前進が不能となる。従つてこの段目を
含む以降の各移動床台４は、格納凹所Ｂ内に位置
する最高段の移動床台４の直下位置に垂直棚状に
縮減された原状のもとで安定的に緊結態様を堅持
することができる。このように上記のストツパー
枠７の上下面には移動床台４の全数に見含うピン
孔７ａ，７ｂが配列されているうえ、その直下位
置に収納配置される全部の基台１上面にも同径の
ピン孔１ａがそれぞれ連通状に設けられているた
め、移動床台４の引き出し量を観客数に合わせて
任意に選択できるものである。

〔考案の効果〕

この考案は、順に高さを増す複数段による移動
床台を基台の介在により相互に連結して使用時に
は格納凹所の前方へ雛壇状に伸長し使用後は格納
凹所内へ垂直棚状の縮減により収納する観覧席に
おいて、上記格納凹所の後部壁面に左右一対のス
トツパー枠を取付け、移動床台の格納時に各スト
ツパー枠の直下に並列位置する各基台の後端部に
それぞれ各ストツパー枠の各上下ピン孔に連通す
るピン孔を設け、所望の連通ピン孔に対する選択
ピンの挿通によりその段を含む以降の移動床台を
上記格納凹所内に一括状に残置させるようにした
ことを特徴とするものである。従つて観客数に合
わせて移動床台の引き出し量が任意に選択できる
うえ、残置した格納凹所内の移動床台は、その残
存数に関係なく確実に緊結され、これによつて観
客の安全性を容易に確保できる等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案による各中間段ストツパー装
置を備えた観覧席の収納状態を示す一部縦断側面
図、第２図は第１図の一部横断平面図、第３図は
第２図のＤ−Ｄ線における各中間段ストツパー装
置の詳細図、第４図は後半部を原状位置に係留し
て前半部を引き出した観覧席の側面図である。 １……基台、１ａ，７ａ，７ｂ……ピン孔、４
……移動床台、５……後部壁面、７……ストツパ
ー枠、Ａ……観覧席、Ｂ……格納凹所。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 順に高さを増す複数段による移動床台を基台の
   介在により相互に連結して使用時には格納凹所の
   前方へ雛壇状に伸長し使用後は格納凹所内へ垂直
   棚状の縮減により収納する観覧席において、前記
   格納凹所の後部壁面に左右一対のストツパー枠を
   取付け、移動床台の格納時に各ストツパー枠の直
   下に並列位置する前記各基台の後端部にそれぞれ
   各ストツパー枠の各上下ピン孔に連通するピン孔
   を設け、所望の連通ピン孔に対する選択ピンの挿
   通により当該段を含む以降の移動床台を前記格納
   凹所内に一括状に残置させるようにしたことを特
   徴とする伸縮式階段状観覧席の各中間段ストツパ
   ー装置。