JPH0243155Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、伸縮式階段状観覧席の駆動ガイド
装置に関するものである。

〔従来の技術〕

近年体育館等においては内部を多目的に使用す
るために、壁面に近い床面の一部に伸縮移動式の
階段状観覧席を設置することが多くなつた。この
観覧席は、順に高さを増す複数の移動床台を基台
を介して相互に連結して、前後方向に伸縮による
移動が可能となるように形成されている。そして
この観覧席の使用時には最も低い最前段の移動床
台から順次に引き出して全体を雛壇状に伸長し、
これによつて各移動床台上に設置されている多数
の椅子に観客が着座できる状態となる。また不使
用時には、前記とは逆に最前段の移動床台から順
次に後段側の移動床台下に戻すように後退移動さ
せることにより、全体が最上段の移動床台下に垂
直棚状に縮減し、これによつて建物の後方壁側に
設けられた格納凹所内へ収納保管することができ
るように構成されている。この場合上記の観覧席
は、各段毎における移動床台の下端に配置された
ローラ付による基台同士が段の高まるのに比例し
て順次に拡幅する状態のもとに前進後退動が可能
となるように連結されており、かつ最前段の基台
に対しては最後段側の駆動源と動力伝達が可能な
ように連結することで全体が連携的に前進後退動
を行うように構成されていた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記の構成による従来の伸縮式階段状観覧席に
は次のような問題点があつた。

(1) 観覧席が前進後退動を行う際に、各段毎の下
端側に配置されている基台の各ローラは、必ず
しも左右が均等の転動率により走行してはいな
いので、この左右転動率の相違により、観覧席
がいずれかの側に偏位する傾向があつた。

(2) 上記によるローラの転動偏位を是正するため
に、このローラの走行床面にレールを設置する
ことも計画されたが、上記レールは会場の使用
時において障害になり、実施は不可能であつ
た。

〔問題点を解決するための手段〕 この考案は、上記従来技術の問題点を解決する
ものであり、各段毎の基台における左右のローラ
に転動率の相違があつても、また使用する会場の
床面には全く支障を与えることなく、偏位のない
正常な前進後退動ができる伸縮式階段状観覧席の
駆動ガイド装置を提供することにある。この考案
の特徴とするところは、順に高さを増す複数の移
動床台を基台を介して相互に連結し、その使用時
には格納凹所の前方に雛段状に伸長され、その不
使用時には高さの低い移動床台が隣接する高い移
動床台の下方に垂直棚状に縮減し格納凹所へ収納
される伸縮式階段状観覧席において、人の通行に
支障のない高さ位置にある観覧席本体の両側から
ガイド板を両側壁面に向けてそれぞれ突設し、該
各ガイド板の先端に各側壁面に接触転動するガイ
ドローラを設けたことにある。

〔作用〕

上記の構成による駆動ガイド装置を備えた観覧
席は、各移動床台を雛壇状に伸長したり、または
これを最高段の移動床台下へ垂直棚状のもとに縮
減したりする際の前進後退動時に、人の通行に支
障のない適宜な高さ位置に設置された駆動ガイド
装置のガイドローラが、その側毎のガイド板に支
持された状態のもとで摺接しているため、仮に各
段毎の基台における左右のローラに転動率の相違
があつても、左右いずれの側にも偏位しないで正
常に前進後退動することができる。また上記のガ
イドローラはいずれも側壁面に沿つて転動してい
るため、使用する会場の床面には全く支障を与え
ることはない。そのうえ上記装置のガイド板の下
は、会場の内外に連通する通路として活用するこ
とができる。

〔実施例〕

以下、この考案の実施例を添付図面に基づいて
説明する。

第１−４図において、Ｃは種々の用途に用いる
ことを目的とする多目的ホールの床面、Ｂはその
側壁面である。多目的ホールの床面Ｃの一部に、
順に高さを増す複数の移動床台５を、相互に連結
して前後方向に伸縮により移動するために、底部
にはローラ２を備え、上部には支柱３を立設した
各段毎の左右位置に配置されている基台１が、そ
の段毎における移動床台５の高さを増すのに比例
して順次外側に配置され、かつ各支柱３も順に高
さを増すように形成されて、使用時には最後段Ｎ
にあたる移動床台５の基台１間に配置されている
駆動源６と動力伝達が可能なように連結された最
前段Ｉの移動床台５から順次に前方Ｄへ引き出す
ことにより、全体が雛段状に伸長し、また不使用
時には上記とは逆に最前段Ｉの移動床台５から最
後段Ｎの移動床台５下へ戻すようにして、全体を
垂直棚状縮減し、この状態の観覧席Ａを後方Ｅ側
の図示しない格納凹所内へ収納保管が可能となる
伸縮式階段状観覧席において、上記した移動床台
５中の一部段で、人の通行に支障のない高さ位置
にあたる観覧席本体４の両側部には、当該段の移
動床台５よりも若干宛奥行寸法を小に形成したガ
イド板７が、その側毎の側壁面Ｂに向けて水平状
により突設されている。そしてこの各ガイド板７
の先端には、隣接するその側毎の上記した側壁面
Ｂに転動をもつて摺接するガイドローラ８が縦軸
配置により設けられている。なお各図に示す９
は、各移動床台５の両側端部に折りたたみ自在に
立設された一連状の手摺である。

上記の構成による駆動ガイド装置を備えた観覧
席Ａを使用する場合は、最後段Ｎにあたる移動床
台５の基台１間に配置されている駆動源６を稼働
することにより、この駆動源６と図示しない動力
伝達機構により連動可能の状態にある最前段Ｉの
移動床台５から順次に前進動が開始されて、全段
Ｉ〜Ｎの各移動床台５が当初位置から前方Ｄへ引
き出されることになる。その際、仮に各段毎の基
台１に配置されている左右のローラ２に転動率の
相違があつても、上記した移動床台５中の一部段
で、人の通行に支障のない高さ位置にあたる観覧
席本体４の両側にはガイド板７に支持された各ガ
イドローラ８が、その側毎の側壁面Ｂに摺接した
状態で転動するため、観覧席Ａ全体は左右いずれ
の側にも偏位することなく、所定の位置まで正常
に前進動することができる。

また上記により雛壇状に引き出された観覧席Ａ
を後方Ｅの原状位置に戻す場合も、各ガイドロー
ラ８が前記したと同じその側毎の側壁面Ｂに摺接
しながら転動することになる。従つて上記の観覧
席Ａは、前進時と同様に、両側のガイドローラ８
による走路の規制を受けながら後退動するため、
左右いずれの側にも偏位することなく、後方Ｅの
原状位置へ正常に後退して全体が最後段Ｎの移動
床台５下へ垂直棚状に縮減し、これによつて建物
の後方壁側に設けられている図示しない格納凹所
内へ容易正確に収納保管することができる。

上記によるガイドローラ８は、いずれも側壁面
Ｂに沿つて転動しているため、観覧席Ａの走路と
なる床面Ｃには全く支障を与えることはない。ま
た上記観覧席Ａの走路で転動する各基台１のロー
ラ２は、あらかじめ上記床面Ｃに支障を与えない
素材と形態により構成されているので、観覧席Ａ
の走行時におけるこの床面Ｃの安全を保証するこ
とができる。そのうえ装置の要部となるガイド板
７の下は、会場の内外に連通する通路として有効
に活用することができる。

あお上記の実施例では両側ガイド板７の各先端
に設けたガイドローラ８を、その側毎の側壁面Ｂ
に直に摺接させて転動したが、この考案は上記の
実施例に限定することなく、例えばガイドローラ
８の転動路にレール等を設置して、このレール面
をガイドローラ８の転動路としても、上記の実施
例と同様の作用効果が得られるものである。

〔考案の効果〕

この考案は、順に高さを増す複数の移動床台を
基台を介して相互に連結して前後方向に伸縮によ
り移動が可能となる観覧席において、上記移動床
台の一部段で、人の通行に支障のない高さ位置に
あたる観覧席本体の両側にガイド板を側壁面に向
けて突出し、この各ガイド板の先端にはその側毎
の側壁面に摺接するガイドローラを設けたことを
特徴とするものである。従つて各段毎の基台にお
ける左右のローラに転動率の相違があつても、ま
た使用する会場の床面には全く支障を与えること
なく、上記の観覧席は、偏位のない正常な前進後
退動が容易確実に行えるため、この種観覧席の機
能とと精度を高め得る等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案による駆動ガイド装置を備え
た伸縮式階段状観覧席を示す概要側面図、第２図
は上記装置を設置した観覧席本体の要部を示す部
分正面図、第３図は第２図の平面図、第４図は同
側面図である。 １……基台、２……ローラ、３……支柱、４…
…観覧席本体、５……移動床台、７……ガイド
板、８……ガイドローラ、Ａ……観覧席、Ｂ……
側壁面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 順に高さを増す複数の移動床台を基台を介して
   相互に連結し、その使用時には格納凹所の前方に
   雛段状に伸長され、その不使用時には高さの低い
   移動床台が隣接する高い移動床台の下方に垂直棚
   状に縮減し、格納凹所内へ収納される伸縮式階段
   状観覧席において、人の通行に支障のない高さ位
   置にある観覧席本体の両側からガイド板を両側壁
   面に向けてそれぞれ突設し、該各ガイド板の先端
   に各側壁面に接触転動するガイドローラを設けた
   ことを特徴とする伸縮式階段状観覧席の駆動ガイ
   ド装置。