JPH0125161Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、伸縮式階段状観覧席の中間段スト
ツパー装置に関するものである。

近年体育館等においては内部を多目的に使用す
るために、壁面に近い床面の一部に伸縮移動式の
階段状観覧席を設置することが多くなつた。この
観覧席は、順に高さを増す観覧椅子付の複数段に
よる移動床台を相互に連結して、前後方向に伸縮
による移動が可能となるように形成されている。
そしてこの観覧席の使用時には最も低い最前段の
移動床台から順次に引き出して全体を雛壇状に伸
長し、これによつて各移動床台の椅子に多数の観
客が着座できる状態となる。また不使用時には、
前記とは逆に最前段の移動床台から順次に後段側
の移動床台下に戻すように後退移動させることに
より、全体が最上段の移動床台下に垂直棚状に縮
減し、これによつて建物の壁側に設けられた格納
凹所内へ収納保管することができるように構成さ
れている。

前記による観覧席は、会場内の開催内容が小規
模で観客数が少ない場合には全部の観覧椅子が必
要でないため、前半部の移動床台だけを引出して
使用することが多い。その際引出された前半部は
相互の係留が確実に行われるので、動揺すること
がなく安定した固定連繋態様を堅持することがで
きる。しかし原状位置に残置された後半部の移動
床台は、最上段にあたる移動床台下に上層部だけ
で垂直棚状に縮減した状態時には特別な係留手段
を有しないため、この状態時に地震等の天災を受
けた場合は、この後半部の移動床台が個別に動揺
することになる。従つてこの動揺が前半部の使用
側移動床台にも波及して観客が危険に見舞われる
という問題点があつた。

この考案は上記の問題点を解決するためになさ
れたものであり、その目的とするところは、中間
段にあたる移動床台の骨格部と格納凹所側間に係
留手段を講ずることにより、半量引出しの使用中
に地震等の天災を受けても全体が動揺することな
く、全量使用と同様の安定性が堅持されて、観客
に対する危険が末然に防止できる伸縮式階段状観
覧席の中間段ストツパー装置を提供することにあ
る。

以下、この考案の実施例を添付図面に基づいて
説明する。

まず構成を説明すると、第１図に示すように、
使用時には観覧席Ａの全体またはその一部を前方
の床面Ｅ上に移動して、椅子５付の複数段による
移動床台２を、相互に連結した状態のもとでロー
ラ３の転動によるその段毎の基台１とともに最前
端側から順次に引出すことにより、全体が雛段状
に伸長し、また不使用時には前記とは逆に最前段
側から順次に最上段の下側へ戻すようにして、垂
直棚状による縮減態のもとに全体を一括状にまと
め、この状態の移動床台２をその後方の壁面Ｃ側
に設けた格納凹所Ｄ内へ収納保管が可能となる伸
縮式階段状観覧席において、上記観覧席Ａのほぼ
中間段にあたる移動床台２の後部両側位置に立設
された支柱４の上部間に架設されている移動床枠
組体８の後部中央位置には第２図および第３図に
示すように、棒状による複数の支持杆９が後方向
けに突設されて、この支持杆９の先端部には方形
の枠体によるストツパー金物１０が水平態に固着
されている。

次に観覧席Ａの全体を縮減状態のもとで収納保
管する格納凹所Ｄ内の奥部壁面Ｃの全面部中央位
置には第１図および第２図に示すように、上部に
壁面取付金物６を水平態に固着し、この全面部に
はＬ字形に枠組されたストツパー枠体７が、その
上位の後部端を前記壁面取付金物６に固着すると
ともに、その下端部はこの位置の床面Ｅに固着す
るようにして、前面部が垂直面となる態様により
設置されている。

上記によるストツパー枠体７の上部前面位置に
は次に示す中間段ストツパー体Ｂが取付けられて
いる。この中間段ストツパー体Ｂは次のように形
成されている。すなわち第２図、第４図および第
５図に示すように、縦形長方面部による基板１１
の表面上部位置には前記したストツパー金物１０
の収嵌が可能となるコ字形板によるストツパー受
け１２がボルト止めにより固着されている。この
場合ストツパー受け１２の上下面部には後記する
直下位置のロツクピン１５が上昇時に貫通可能と
なるガイドブツシユ１３が垂直状の同心体により
嵌着されている。また基板１１の前面中途部には
コ字形板状の台板１４が対向面部を両側位置に配
置する態様により固着されている。そしてこの台
板１４の一方側水平面部位置には縦状の丸棒体で
その中途部から下端に至る周面の一端にはラツク
１６を形成したロツクピン１５が、上記ラツク１
６をこの台板１４の一方内側位置に他方側のモー
タ１８と直結した状態により収納されているギヤ
ヘツド１９内の図示しないピニオンに噛み合い、
これによつてモータ１８の正転および逆転の駆動
時に連動して上下動が可能となるように挿通配置
されている。なおこのロツクピン１５の下端部に
は後記するリミツトスイツチ２０および２１に当
接してロツクピン１５の上昇動および降下動を制
御するドツグ１７が嵌着されている。さらに前記
したモータ１８の直下位置にあたる基板１１の前
面部には公知による押し形のリミツトスイツチ２
０，２１が横型による上下の配置により間隔的に
取付けられている。この場合両リミツトスイツチ
２０，２１間には前記によるロツクピン１５の下
端部に取付けられたドツグ１７が配置されてい
て、このドツグ１７が、モータ１８の駆動時にロ
ツクピン１５と一体的に上昇して上部のリミツト
スイツチ２０に当接した際、この上部リミツトス
イツチ２０がOFFの操作をしてモータ１８の正
転駆動を停止させ、これによつてロツクピン１５
がストツパー受け１２の両ガイドブツシユ１３に
貫挿した状態で停止し、また上記のドツグ１７が
モータ１８の逆転駆動時にロツクピン１５と一体
的に降下して下部のリミツトスイツチ２１に当接
した際、このリミツトスイツチ２１がOFFの操
作をしてモータ１８の逆転駆動を停止させ、これ
によつてそれまでストツパー受け１２のガイドブ
ツシユ１３に挿通していたロツクピン１５がスト
ツパー受け１２の位置から完全に降下するような
操作が可能となるように構成されている。

次に作用を説明する。

上記の構成により、例えば会場内の開催内容が
小規模で観客数が少ない場合は、第１図に示すよ
うに、観覧席Ａの前端部にあたる移動床台だけを
前方に引き出して使用することになる。その際観
覧席Ａの前半部と後半部のほぼ中途部位置にあた
る支柱４間の移動床枠組体８にはストツパー金物
１０が後方向けに突設されているため、このスト
ツパー金物１０を、格納凹所Ｄの壁面Ｃ側に設置
したストツパー枠体７の前面上部に配備してある
中間段ストツパー体Ｂのストツパー受け１２内に
嵌入したのち、この時点で上記中間段ストツパー
体Ｂのモータ８を正転方向に駆動すると、このモ
ータ１８と連繋しているギヤヘツド１９の図示し
ないピニオンが回転し、このピニオンと噛み合つ
ているラツク１６を介してロツクピン１５が上昇
動することになる。そしてこのロツクピン１５が
上昇するストツパー受け１２内には前記したスト
ツパー金物１０が収納されているため、ロツクピ
ン１５がストツパー受け１２の上下ガイドブツシ
ユ１３内に貫通した時点で上記ストツパー金物１
０は完全にロツクされることになる。従つて観覧
席Ａの前半部を、格納凹所Ｄの前方床面Ｅ上に最
前段の移動床台２から順次に引出して雛段状に伸
長した場合、後半部の各移動床台２は、最上段の
移動床台２の直下位置に垂直棚状に縮減した状態
をもつて収納されているが、その最下部位置にあ
たる支柱４間の移動床枠組体８と後方の壁面Ｃ間
には前記の中間段ストツパー装置が配置されてい
るため、例えば地震等の天災を受けても安定的に
上記の係留態様を堅持することができる。

なお前記によりストツパー受け内にロツクピン
１５をモータ１８の正転駆動により上昇させたと
き、上記ロツクピン１５がストツパー受け１２の
上下面に装着されているガイドブツシユ１３内に
収嵌した時点で、このロツクピン１５の下端に取
付けられているドツグ１７が上部リミツトスイツ
チ２０に当接するため、この当接と同時にリミツ
トスイツチ２０がOFF操作をしてモータ１８の
駆動を停止させることになる。従つて上記による
ロツクピン１５の上昇動は自動的に停止すること
ができる。

また前記により前半部を前方側に引出した観覧
席Ａの使用が終了した場合は、前記とは逆に最前
段の移動床台２から順次に後段側の移動床台２の
下に戻すように後退移動させると、この前半部に
あたる観覧席Ａはそれまで収納の状態にあつた後
半部の移動床台２の直下位置に垂直棚状に縮減す
るため、この時点であらかじめ設置されている図
示しない係留装置等をもつて全体の一括係留を行
うことにより、従来と同様に格納凹所Ｄ内にある
縮減状態の観覧席Ａ全体を安定的に保持すること
ができる。なおその際前記によりストツパー枠体
７のストツパー受け１２内に収嵌して、この位置
のロツクピン１５により係留していたストツパー
金物１０は、そのまま前記の係留態様を継続した
場合は、さらに観覧席Ａの全体の安定保持を一層
強力にすることができる。

さらに前記によるストツパー枠体７とストツパ
ー金物１０との係留態様を解除する場合は、中間
段ストツパー体Ｂのモータ１８を前述とは逆方向
に駆動すると、ラツク１６を介してロツクピン１
５が降下動を開始する。従つてそれまでストツパ
ー受け１２内に収嵌していて、上記のロツクピン
１５によりロツクされていたストツパー金物１０
は、ロツクピン１５の降下動によりストツパー枠
体７側との係留が解除されるため、この以後は観
覧席Ａの全量に対する引出操作を円滑に行うこと
ができる。

なお上記によりモータ１８の逆転駆動力をもつ
てロツクピン１５を降下動させた場合、上記ロツ
クピン１５の上端部がストツパー受け１２の内部
から降下してその下端面と同一高さになつた時点
で、上記ロツクピン１５の下端に取付けられてい
るドツグ１７が下部リミツトスイツチ２１に当接
するため、この当接によりリミツトスイツチ２１
がOFF操作をし、これによつてモータ１８が停
止するため、上記ロツクピン１５の降下動を自動
的に停止させることができる。

以上に説明したようにこの考案は、中間段にあ
たる移動床台２の背後に組込まれている支柱４間
の移動床枠組体８にストツパー金物１０を後方向
けに突設し、格納凹所Ｄの後部壁面Ｃにはストツ
パー枠体７を設置するとともに、この枠体７の前
面部にコの字形のストツパー受け１２を固着して
この下方位置にはモータ１８の駆動によつて上下
動するロツクピン１５を配置することにより、観
覧席Ａをその前半部の引出しをもつて使用中に、
地震等の天災を受けても、上記観覧席Ａの前半部
を含む全体が動揺することなく、全量使用時と同
様の安定性が堅持されるため、観客に対する危険
が末然に防止できる等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の中間段ストツパー装置を後
部位置に装備した前半部引出しによる観覧席の側
面図、第２図は同装置の側面図、第３図は同装置
のストツパー金物を示す斜視図、第４図は同装置
の中間段ストツパー体を示す正面図、第５図は第
４図の縦断側面図である。 ２……移動床台、４……支柱、６……壁面取付
金物、７……ストツパー枠体、８……移動床枠組
体、９……支持杆、１０……ストツパー金物、１
２……ストツパー受け、１５……ロツクピン、１
８……モータ、Ａ……観覧席、Ｂ……中間段スト
ツパー体、Ｃ……壁面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 順に高さを増す観覧椅子付の複数段による移動
   床台を相互に連結して前後方向に伸縮により移動
   が可能となる観覧席において、前記観覧席の中間
   段にあたる支柱間の移動床枠組体にストツパー金
   物を後方向けに突設し、上記観覧席の収納時にお
   ける後部壁面にはストツパー枠体を設置するとと
   もに、該枠体の前面部にストツパー受けを固着
   し、かつ上記ストツパー受けの直下位置にはモー
   タの駆動によつて上下動するロツクピンを配置し
   てなることを特徴とする伸縮式階段状観覧席の中
   間段ストツパー装置。