JPH0325863Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は切削用工具に関し、一層詳細には、カ
ツターボデイの内周部または外周部に所定形状の
溝部を形成し、前記溝部に複数個の刃部を押圧す
るようにして等間隔で且つ強固に装着すると共
に、前記刃部を前記カツターボデイの軸線方向に
整列可能に構成した切削用工具に関する。

一般に、クランク軸を構成するピン、ジヤーナ
ル等の外周部を加工する場合、回転駆動源の作用
下に円形状の切削用工具を回転させると共に、前
記クランク軸あるいは工具を所定方向に相対的に
変位させて前記工具によりピン、ジヤーナル等の
ワークを切削加工している。

従来、このような切削用工具としては、カツタ
ーボデイに対して複数の刃部が一体的に形成され
ている工具と、前記刃部がカツターボデイに着脱
自在に装着されている工具とが使用されている。
然しながら、前者の一体型の工具では切削される
べきワークの数が多いと刃先の損耗を招来し、そ
の刃先だけの交換の必要性がある場合であつても
工具全体を取り代えなければならない欠点があ
る。また、ワークの種類が相違すれば、そのワー
クに対応して工具自体の交換が要求されることは
勿論であり、そのためには前記ワークの種類に応
じて多種類の工具を用意しなければならず、実際
上、経済的でないという不都合が指摘されてい
る。

一方、刃部がカツターボデイと分離構成されて
いる工具には切削用チツプを直接前記カツターボ
デイに装着するものと、この切削用チツプを固着
した刃部をカツターボデイに配設するものとがあ
る。従つて、高精度な切削加工が望まれる場合に
は、多数のチツプあるいは刃部をカツターボデイ
に設けると共に、このカツターボデイ並びにチツ
プあるいは刃部を精度よく形成しなければならな
い。特に、クランクピン等を加工する際には、そ
の外周部を良好な精度で加工すると共に、前記ク
ランクピンの軸線方向に対しても所望の寸法精度
で極めて正確に加工する必要がある。

このため、この種のカツターボデイでは、チツ
プあるいは刃部を固着するための取付部位を高精
度に形成し、さらに、前記チツプあるいは刃部自
体、前記カツターボデイの幅方向、すなわち、軸
線方向に対しての寸法を高精度に確保しなければ
ならない。

結局、カツターボデイ、チツプあるいは刃部の
いずれの製造作業も精密に行わなければならず極
めて煩雑なものとなると共に、その作業に多大な
時間を要し、工具としてはかなり高価なものとな
る欠点が生ずる。

この場合、カツターボデイにチツプあるいは刃
部を固着した状態で、その切刃部を一体的に研削
して前記切刃部におけるカツターボデイの幅方向
の寸法を揃えるこも可能であるが、多数の切刃部
を均一に揃えることは極めて難しく、従つて、熟
練した技術が必要となるため量産出来ないという
不都合が露呈する。

本考案は前記の不都合を克服するためになされ
たものであつて、円形状のカツターボデイの外周
部または内周部に所定形状の段部を形成して前記
段部に切削用チツプを設けた複数個の刃部を押圧
連設し、さらにこれらの刃部をテーパ部を設けた
調整ねじを介して前記カツターボデイの軸線方向
に位置調整可能に構成することにより、前記刃部
をカツターボデイに強固に装着すると共にワーク
に対し精度の高い加工作業を施すことが可能な切
削用工具を提供することを目的とする。

前記の目的を達成するために、本考案は円盤状
のカツターボデイに前記カツターボデイの略回転
方向に指向する第１の面部とカツターボデイの略
半径方向に指向し且つ前記第１面部に対し直角よ
り小さな角度で傾斜する第２の面部と前記第１面
部にカツターボデイ本体の内部に至る刃部固定用
の第１のねじを螺入するための第１の螺孔と刃部
位置調整用で一端部が円筒状であり他端部に螺溝
が刻設され前記円筒部から螺溝側に対して縮径す
るテーパ部を有する第２のねじを螺入するための
半円柱状のガイド溝に連通する第２の螺孔とを有
する取付部を該カツターボデイの一方の面側と他
方の面側に等間隔で且つ交互に設け、前記等間隔
に設けた前記取付部の間に切削屑の逃げ溝を設
け、一方、前記取付部に対応する形状を有し且つ
切削用チツプを固着した刃部を該取付部に嵌合
し、前記刃部に穿設された孔部から前記第１螺孔
に第１のねじを螺入して前記刃部をカツターボデ
イに装着すると共に、第２ねじをその円筒部を前
記ガイド溝に嵌合しながら第２螺孔に螺入して前
記第２ねじのテーパ部で刃部の傾斜面を押圧する
ことにより前記刃部のカツターボデイの軸線方向
の位置を調整することを特徴とする。

次に、本考案に係る切削用工具について好適な
実施例を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳
細に説明する。

第１図乃至第３図において、参照符号１０は本
考案に係る切削用工具を構成するカツターボデイ
を示す。前記カツターボデイ１０の中央部分には
大径な開口部１２が形成され、また、その外周端
縁部には段部を介して薄肉状のフランジ部１４が
形成される。前記フランジ１４には等間隔に離間
してボルト挿通用孔部１６ａ乃至１６ｆが穿設さ
れる。そして、このカツターボデイ１０の開口部
１２を画成する内周面部に等間隔離間して複数の
刃部用取付部１８ａ，１８ｂを交互に形成する。

前記取付部１８ａ，１８ｂは略角柱状を呈して
おり、実質的には、四つの面部２０ａ，２０ｂと
２２ａ，２２ｂと２４ａ，２４ｂおよび２６ａ，
２６ｂを含む（第２図参照）。この場合、前記面
部２０ａ，２０ｂはカツターボデイ１０の回転方
向に指向しており、これらの面部２０ａ，２０ｂ
と一側面部である面部２４ａ，２４ｂとは直交し
ている。一方、他側面部である面部２２ａ，２２
ｂは前記カツターボデイ１０の半径方向に指向し
て傾斜し、面部２０ａ，２０ｂに対し直角より小
さな角度θ°だけ傾斜している。また、面部２０
ａ，２０ｂには面部２２ａ，２２ｂと平行するよ
うにして螺孔２８ａ，２８ｂが穿設される。面部
２６ａ，２６ｂにはカツターボデイ１０の半径方
向に指向して半円柱状のガイド溝３０ａ，３０ｂ
を形成し、面部２０ａ，２０ｂにおいて前記ガイ
ド溝３０ａ，３０ｂの中心に対応する部位に螺孔
３２ａ，３２ｂを穿設する。この場合、前記螺孔
３２ａ，３２ｂと螺孔２８ａ，２８ｂとはカツタ
ーボデイ１０の軸線方向に指向して略平行に設け
られている。

なお、第２図に示すように、カツターボデイ１
０の内周面部には夫々の取付部１８ａ，１８ａの
間並びに取付部１８ｂ，１８ｂの間に切削屑を外
部に導出するための湾曲する逃げ溝３３ａ，３３
ｂを形成しておくと好適である。

そこで、夫々の取付部１８ａ，１８ｂに略柱体
状を呈する刃部３４ａ，３４ｂを装着する。前記
刃部３４ａには取付部１８ａの面部２０ａ，２２
ａに対応する取付面３６ａ，３８ａを形成し、前
記取付面３６ａと３８ａとによつて画成される隅
角部は前記取付部１８ａと同様に角度θ°だけ傾斜
している。また、前記取付面３８ａに対応する面
部にはチツプ取付用溝部４０ａを形成する。刃部
３４ａを構成する面部４２ａは取付面３８ａから
離間する方向に指向して外方に傾斜し、一方、こ
の面部４２ａに対応する面部４４ａは取付面３６
ａから離間する方向に指向して内方に傾斜してい
る。

この場合、取付面３６ａに対応する面部には湾
曲する逃げ面４６ａを形成すると共に、取付部１
８ａの面部２０ａの螺孔２８ａに対応するボルト
挿通用孔部４８ａを穿設する。そして、溝部４０
ａに切削用チツプ５０ａを、例えば、ろう付けに
より固着する。前記チツプ５０ａには直交する方
向に夫々切刃部５２ａ，５４ａを設けており、刃
部３４ａに固着した際に前記切刃部５２ａ，５４
ａは前記刃部３４ａから所定の距離だけ外方に突
出している。なお、前記チツプ５０ａの切刃部５
２ａには切刃部５４ａに近接する部位に段部を設
けており、このため、刃部３４ａの面部４２ａに
逃げ溝５５ａを形成しておくと好適である。

刃部３４ｂは前述した刃部３４ａと略同様に構
成されており、同一の構成要素には同一の参照符
号にｂを付してその説明は省略する。

このように構成される刃部３４ａ，３４ｂを
夫々取付部１８ａ，１８ｂに嵌合し、孔部４８
ａ，４８ｂにボルト５６ａ，５６ｂを挿通して
後、その先端部を面部２０ａ，２０ｂの螺孔２８
ａ，２８ｂに螺入して前記刃部３４ａ，３４ｂを
前記取付部１８ａ，１８ｂに装着する。さらにま
た、ガイド溝３０ａ，３０ｂに調整ねじ５８ａ，
５８ｂを嵌合し、その先端部を螺孔３２ａ，３２
ｂに螺入する。この場合、前記調整ねじ５８ａ，
５８ｂには刃部３４ａ，３４ｂの面部４４ａ，４
４ｂの傾斜面には一方の端部が円筒状で次いで
徐々に縮径するテーパ部６０ａ，６０ｂ形成して
おり、このため、前記調整ねじ５８ａ，５８ｂを
螺孔３２ａ，３２ｂに螺入することにより、夫々
の刃部３４ａ，３４ｂがカツターボデイ１０の軸
線方向に変位することが可能である。

本考案に係る切削用工具は基本的には以上のよ
うに構成されるものであり、次にその作用並びに
効果について説明する。

そこで、先ず、夫々の刃部３４ａ，３４ｂの位
置をワーク、例えば、クランクピン６２に対応し
て調整する。すなわち、ボルト５６ａ，５６ｂを
螺孔２８ａ，２８ｂに僅かに螺入させて前記刃部
３４ａ，３４ｂを仮り止めし、調整ねじ５８ａを
螺孔３２ａに螺入し、そのテーパ部６０ａを介し
て刃部３４ａを、第５図中、矢印Ａ方向に押圧す
ることにより前記刃部３４ａに固着したチツプ５
０ａの位置を設定する。次いで、ボルト５６ａを
螺回して前記刃部３４ａを取付部１８ａに装着す
る。一方、調整ねじ５８ｂを螺孔３２ｂに螺入
し、そのテーパ部６０ｂを介して刃部３４ｂを、
図中、矢印Ｂ方向に押圧し、チツプ５０ｂを前記
チツプ５０ａから所定間隔離間させる（第４図お
よび第５図参照）。そして、ボルト５６ｂを螺回
して前記刃部３４ｂを取付部１８ｂに装着する。
このようにして、夫々のチツプ５０ａ，５０ｂの
切刃部５２ａ，５２ｂの間隔Ｈをクランクピン６
２に軸線方向の長さに対応して調整する。

次いで、カツターボデイ１０に設けられたボル
ト挿通用孔部１６ａ乃至１６ｆを介して前記カツ
ターボデイ１０を装着した回転駆動機構に直結す
る回転駆動軸６４を回転すれば、前記カツターボ
デイ１０は、第３図中、矢印に示す方向に回転す
るに至る。そして、この回転するカツターボデイ
１０をクランクピン６２側に近接変位させれば、
夫々の取付部１８ａ，１８ｂに装着されている複
数のチツプ５０ａ，５０ｂの切刃部５４ａ，５４
ｂが前記クランクピン６２の所定の部位を切削加
工し、一方、切刃部５２ａ，５２ｂがこのクラン
クピン６２の軸線方向に対し極めて寸法精度の高
い切削加工を施す。さらに、このカツターボデイ
１０を所定方向に、すなわち、夫々のチツプ５０
ａ，５０ｂが前記クランクピン６２の外周部全周
に接触するようにして変位させれば、このクラン
クピン６２の外周部は複数のチツプ５０ａ，５０
ｂにより好適に切削加工される。この場合、前記
チツプ５０ａ，５０ｂによりクランクピン６２か
ら削り取られた切削屑はカツターボデイ１０の逃
げ溝３３ａ，３３ｂを介して円滑に外部に導出さ
れる。また、カツターボデイ１０を回転させた状
態でクランク軸を変位させ、当該クランクピン６
２の全周を夫々のチツプ５０ａ，５０ｂにより切
削することも可能である。

ところで、クランクピン６２の軸線方向の長さ
が異なる場合には、以下に示す手順により容易に
対応することが出来る。すなわち、刃部３４ａ，
３４ｂを固着しているボルト５６ａ，５６ｂを一
旦弛緩して後、調整ねじ５８ａ，５８ｂを所定方
向に螺回してそのテーパ部６０ａ，６０ｂに接触
する刃部３４ａ，３４のチツプ５０ａ，５０ｂの
間隔、正確には、切刃部５２ａと５２ｂとの離間
距離Ｈを新たなクランクピン６２の長さに対応し
て調整する。そして、ボルト５６ａ，５６ｂを螺
孔２８ａ，２８ｂに螺入して刃部３４ａ，３４ｂ
を取付部１８ａ，１８ｂにしつかりと固着して
後、新たなクランクピン６２に前述したように切
削加工を行う。

この場合、取付部１８ａ，１８ｂにおいて、面
部２０ａ，２０ｂに対し面部２２ａ，２２ｂが直
角より小さな角度θ°傾斜すると共に、前記面部２
０ａ，２０ｂの螺孔２８ａ，２８ｂが面部２２
ａ，２２ｂと平行して穿設されており、さらに、
刃部３４ａ，３４ｂの取付面３６ａ，３６ｂと３
８ａ，３８ｂとの間に角度θ°の傾斜が設けられて
いる。このため、ボルト５６ａ，５６ｂを螺孔２
８ａ，２８ｂに螺合するに従い、刃部３４ａ，３
４ｂの取付面３６ａ，３６ｂ並びに３８ａ，３８
ｂが取付部１８ａ，１８ｂの面部２０ａ，２０ｂ
並びに２２ａ，２２ｂ側に押圧され、最終的に前
記刃部３４ａ，３４ｂは夫々の取付部１８ａ，１
８ｂにしつかりと固着される。さらにまた、調整
ねじ５８ａ，５８ｂをガイド溝３０ａ，３０ｂを
介して好適に案内すると共に、前記調整ねじ５８
ａ，５８ｂをボルト５６ａ，５６ｂと同一方向
（カツターボデイ１０の半径方向外方）に螺着す
るよう構成している。従つて、前述したチツプ５
０ａ，５０ｂの位置調整作業がより一層簡易化
し、且つ前記チツプ５０ａ，５０ｂの位置調整が
正確に行われることは容易に諒解されよう。

本実施例では、内周部に複数のチツプを有する
カツターボデイについて説明しているが、例え
ば、カツターボデイの外周部に同様にして取付部
を形成し、これに切削用チツプを固着した刃部を
係着すれば、同様な効果を得ることが出来る。

以上のように本考案によれば、円形状のカツタ
ーボデイの外周部または内周部に所定形状の取付
部を形成し、一方、これらの取付部に対応する形
状を有し且つ切削用チツプを固着した刃部を前記
取付部に圧接するようにして装着すると共に、前
記刃部をテーパ部を有する調整ねじでカツターボ
デイの軸線方向に微調整可能に構成している。従
つて、単一のカツターボデイに多数の刃部を強固
に装着することが出来ると共に、軸線方向に対す
るチツプの間隔を極めて簡単且つ精度よく調整す
ることが可能となる。結局、より一層仕上げ精度
の優れた切削加工を行うことが出来、しかも寸法
が異なる種々のワークにも容易に対応し得る利点
がある。

以上、本考案について好適な実施例を挙げて説
明したが、本考案はこの実施例に限定されるもの
ではなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲におい
て種々の改良並びに設計の変更が可能なことは勿
論である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る切削用工具の一部省略斜
視図。第２図は本考案工具の一部概略説明図。第
３図は本考案工具の一部平面図。第４図は第３図
の−線断面図。第５図は当該工具を構成する
刃部の取付状態を示す説明図である。 １０……カツターボデイ、１２……開口部、１
８ａ，１８ｂ……取付部、３０ａ，３０ｂ……ガ
イド溝、３４ａ，３４ｂ……刃部、３６ａ，３６
ｂ，３８ａ，３８ｂ……取付面、４４ａ，４４ｂ
……面部、５０ａ，５０ｂ……チツプ、５２ａ，
５２ｂ，５４ａ，５４ｂ……切刃部、５８ａ，５
８ｂ……調整ねじ、６０ａ，６０ｂ……テーパ
部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 円盤状のカツターボデイに前記カツターボデイ
   の略回転方向に指向する第１の面部とカツターボ
   デイの略半径方向に指向し且つ前記第１面部に対
   し直角より小さな角度で傾斜する第２の面部と前
   記第１面部にカツターボデイ本体の内部に至る刃
   部固定用の第１のねじを螺入するための第１の螺
   孔と刃部位置調整用で一端部が円筒状であり他端
   部に螺溝が刻設され前記円筒部から螺溝側に対し
   て縮径するテーパ部を有する第２のねじを螺入す
   るための半円柱状のガイド溝に連通する第２の螺
   孔とを有する取付部を該カツターボデイの一方の
   面側と他方の面側に等間隔で且つ交互に設け、前
   記等間隔に設けた前記取付部の間に切削屑の逃げ
   溝を設け、一方、前記取付部に対応する形状を有
   し且つ切削用チツプを固着した刃部を該取付部に
   嵌合し、前記刃部に穿設された孔部から前記第１
   螺孔に第１のねじを螺入して前記刃部をカツター
   ボデイに装着すると共に、第２ねじをその円筒部
   を前記ガイド溝に嵌合しながら第２螺孔に螺入し
   て前記第２ねじのテーパ部で刃部の傾斜面を押圧
   することにより前記刃部のカツターボデイの軸線
   方向の位置を調整することを特徴とする切削用工
   具。