JPH0325553B2 - - Google Patents

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JPH0325553B2
JPH0325553B2 JP17953784A JP17953784A JPH0325553B2 JP H0325553 B2 JPH0325553 B2 JP H0325553B2 JP 17953784 A JP17953784 A JP 17953784A JP 17953784 A JP17953784 A JP 17953784A JP H0325553 B2 JPH0325553 B2 JP H0325553B2
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JP
Japan
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layer
glycol
polymer
leather
polyurethane elastomer
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JP17953784A
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JPS6154929A (ja
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Takeo Nishimura
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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  • Synthetic Leather, Interior Materials Or Flexible Sheet Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、エンボス模様がシヤープに付与され
ており、かつ表面光沢に優れたいわゆるエナメル
調の皮革様シート物に関するものである。
従来より、不織布、織布、編布等の繊維質基材
の上にポリウレタンエラストマーを主体とする重
合体からなる多孔質被覆層を形成させたシート物
は外観や物性が天然皮革に類似しているため皮革
様シート物として今日大量に製造されている。そ
してこの皮革様シート物の外観をより一層天然皮
革に類似させるために、その表面に天然皮革様の
表面シワを形押しにより付与する方法が一般に採
用されている。この際に、多孔質被覆層の表面を
直接型押しすると、多孔質被覆層中の気泡が溶融
破壊されて表面が不自然な凹凸となり、天然皮革
様の表面シワが得られない。このような事態が生
じることを防ぐために、一般に、多孔質被覆層の
表面にポリウレタンエラストマーを主体とする重
合体からなる非多孔質層を付与し、その表面を型
押しする方法が用いられている。しかしながら、
この非多孔質層を形成しているポリウレタンエラ
ストマーが芳香族系、すなわちポリウレタンエラ
ストマーを合成するのに用いた有機ジイソシアネ
ート化合物あるいは鎖伸長剤が芳香族系のもので
ある場合には、おおまかなエンボスパターンしか
再現できず、微細なエンボスパターンが得られ
ず、高級感のある表面模様が得られないという欠
点を有している。また芳香族系のものに代えて脂
肪族系あるいは脂環族系のものを用いた場合に
は、型押しの際にポリウレタンエラストマーがエ
ンボスロールに付着し皮革様シート物から剥れ易
く、良好なエンボスパターンの再現や表面状態が
得られないという欠点を有している。
また従来より、エンボス模様を付与した皮革様
シート物の表面に光沢に優れた透明層を付与した
ものはエナメル調皮革様シートと称されている
が、皮革様シートの表面にエンボス模様の凹凸が
極めてシヤープに再現されている場合には、その
表面に透明層用樹脂液を塗布しても凹部の隅々ま
で樹脂液が浸透せず界面に気孔が生じることとな
り、エナメル感が著しく損われることとなる。さ
らに透明層が剥離しやすいという欠点も生じる。
本発明者等は、微細なエンボス模様であつても
極めてシヤープに再現されており、かつその表面
に透明層が付与されており、そして透明層はその
下部のエンボス模様の隅々にまで浸入しており、
さらに透明層が剥離することのない、いわゆるエ
ナメル感に優れた皮革様シート物を提供すべく研
究を行なつた結果、繊維質基材の上にポリウレタ
ンエラストマーを主体とする重合体からなる多孔
質被覆層が形成された皮革様シート物の表面に、
下記(a)層、(b)層および(c)層 (a) ポリマーグリコール、脂肪族または脂環族ジ
イソシアネートおよび有機ジアミンあるいは有
機酸ジヒドラジドより合成されたポリウレタン
エラストマーを主体とする重合体からなる非多
孔質層、 (b) ポリマーグリコール、ジフエニルメタン−
4,4′−ジイソシアネートおよび炭素数2〜6
の低級アルキレングリコールより合成されたポ
リウレタンエラストマーを主体とする重合体か
らなる非多孔質層、 (c) ポリマーグリコール、脂肪族または脂環族ジ
イソシアネートおよび有機ジアミンあるいは有
機酸ジヒドラジドより合成されたポリウレタン
エラストマーを主体とする重合体からなる非多
孔質層、 が順次積層されており、かつ該非多孔質層(c)の厚
みは、該非多孔質層(b)の表面凹凸模様に従つて凹
部が厚くて凸部が薄くなつていることを特徴とす
るエナメル調皮革様シート物が上記目的を満足し
ていることを見出した。
本発明において、(a)層および(c)層を構成してい
るポリウレタン樹脂と(b)層を構成しているポリウ
レタン樹脂は著しく異なるものであり、従来の常
識からするならば(b)層を構成する樹脂と(c)層を構
成する樹脂はなじみが少なく、したがつて(b)層上
に(c)層を付与しても(b)層の表面の凹部の隅々まで
(c)層を構成する樹脂が浸入しにくく、さらに(b)層
と(c)層との間の剥離強度が低いものと予測される
が、実際にはこのような予測とは全く異なつた結
果が得られる。このように(b)層を構成する樹脂と
(c)層を構成する樹脂は大きく異なるものであるに
もかかわらず、(b)層の表面の凹部の々まで(c)層を
構成する樹脂が浸入し、さらに(b)層と(c)層との間
の剥離強度が高いという事実が得られる原因は不
明であるが、いずれにしてもこのような従来の予
測を全く覆すようなすばらしい結果が得られるこ
とは、正に驚くべきことと言える。
次に本発明の皮革様シート物の個々の構成につ
いて詳しく説明する。
まず本発明の皮革様シート物を構成している繊
維質基材は、繊維集合体、あるいは繊維集合体と
その内部に含浸された弾性重合体とからなる。繊
維集合体とは、繊維を不織布、織布、編布などの
形状にしたものである。特にニードルパンチング
法や高圧水流等により繊維ウエブを絡合させて得
られる不織布が天然皮革様の風合が得られる点で
好ましい。この繊維集合体に用いられる繊維とし
ては、通常の繊維、たとえば木綿、麻、羊毛等の
天然繊維、レーヨン、アセテート等の再生または
半合成繊維、あるいはナイロン、ポリエステル、
ポリアクリロニトリル、ビニロン、ポリオレフイ
ン等の合成繊維が挙げられる。合成繊維の場合に
は、単独紡糸繊維はもちろんのこと、混合紡糸繊
維(複合紡糸繊維を含む)でもよい。混合紡糸繊
維が用いられる場合には、該繊維を構成している
複数のポリマーのうちから少くとも一つのポリマ
ーを皮革様シート物を製造する任意の段階で抽出
除去する方法か、あるいは繊維を構成している各
成分に分割処理する方法を採用して、繊維を極細
繊維の集速体あるいは内部に多数の中空部を有す
る多孔配列体繊維に変えるのが好ましい。抽出除
去あるいは分割処理することにより、繊維質基材
がしなやかになり、そのような基材を有する皮革
様シート物もしなやかな高級感を有するものとな
る。具体的には、たとえばナイロンとポリスチレ
ンまたはポリプロピレンとポリスチレンより得ら
れた混合紡糸繊維よりポリスチレンをトルエンに
より抽出除去する方法、ポリエチレンテレフタレ
ートとポリエチレンまたはナイロンとポリエチレ
ンより得られた混合紡糸繊維よりポリエチレンを
トルエンにより抽出除去する方法、ポリエチレン
テレフタレートとナイロンより得られた混合紡糸
繊維よりナイロンをベンジルアルコールまたは塩
化カルシウム含有メタノールにより抽出除去する
方法等がある。繊維質基材を構成している繊維の
太さは、0.0005〜10デニールが適しており、特に
0.001〜2.0デニールが最適である。また繊維は全
て均一の太さを有している必要はなく、異なる太
さの繊維が混じり合つていてもよい。
繊維集合体の内部には弾性重合体が含浸されて
いてもよいが、内部に含浸させる弾性重合体とし
ては、一般の合成皮革や人工皮革等に用いられて
いるものならば全て使用可能であり、たとえば天
然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリ
ロニトリリル−ブタジエン共重合体、メチルメタ
アクリレート−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビ
ニル、ポリウレタン、その他の合成ゴム、あるい
はこれらの混合物などが挙げられる。これら弾性
重合体が繊維集合体に含浸される際の形態はエマ
ルジヨンの状態であつても、あるいは溶液の状態
であつてもよい。また皮革様シート物の反撥弾性
を適度に低下させて皮革様シート物に天然皮革に
類似した風合を付与するためには、繊維集合体に
含有されている弾性重合体は多孔質状態であるの
が好ましい。弾性重合体を多孔質状態にするため
の方法としては、たとえば繊維集合体に弾性重合
体の溶液を含浸し、然る後に該重合体を湿式凝
固、すなわち溶媒とは親和性を有するが重合体と
は親和性を有しない液中に該集合体を浸漬させて
重合体を凝固させる方法が代表として挙げられ
る。
含浸されている弾性重合体の量は、通常、繊維
集合体に対して250重量%以下の範囲内が好まし
い。また基材の厚さは0.3〜5mmの範囲内が好ま
しく、その密度は0.2〜0.8g/cm3の範囲が好まし
い。
本発明において、繊維質基材の片面には、ポリ
ウレタンエラストマーを主体とする重合体からな
る被覆層が形成されている。この被覆層は天然皮
革の銀面に相当するものであり、風合、折り曲げ
しわ、物性等の点から、ポリウレタンエラストマ
ーを主体とする重合体からなる多孔質層が好まし
い。
被覆層を構成しているポリウレタンエラストマ
ーを主体とする重合体とは、ポリウレタンエラス
トマー自体、またはこれと他の重合体の混合物の
ことである。ここで用いられるポリウレタンエラ
ストマーの好ましい代表例としては、ポリエステ
ルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステ
ル・エーテルジオール等の高分子ジオールの1種
または2種以上と、有機ポリイソシアネート、好
ましくは芳香族系あるいは脂環族系の有機ジイソ
シアネートの1種または2種以上と、低分子ジオ
ール、低分子ジアミン、ヒドラジン等の活性水素
原子を2個有する鎖伸長剤から主として重合し
た、いわゆるsegmented polyurethane、すなわ
ち屈曲性セグメントと剛直性セグメントからなる
ブロツク共重合体が挙げられる。中でも、ポリウ
レタンエラストマー全重量に対する、該ポリウレ
タンエラストマーを合成するのに用いた有機ポリ
イソシアネート中のイソシアネート基を構成して
いた窒素原子の重量百分率(以N%と称す)が3
〜7%であるようなポリウレタンエラストマーま
たはこのポリウレタンエラストマーを主体とする
ポリマー混合物が好ましい。N%が3%未満の場
合には、得られる被覆層は耐摩耗性や耐引掻き強
さにおいて劣ることとなり、またN%が7%を越
える場合には、得られる多孔質層は折り曲げしわ
が粗くなり、得られる皮革様シート物が安つぽい
ものとなると同時に、耐屈曲疲労性においても劣
つたものとなる。
これらポリウレタンエラストマーと併用できる
重合体としては、ポリ塩ビニル、天然または合成
ゴム、ポリ酢酸ビニル、セルロース誘導体、ポリ
アクリロニトリルなどが挙げられる。またこれら
表面層には、必要に応じて、充填剤、柔軟剤、安
定剤、着色剤、発泡剤、帯電防止剤、凝固調節剤
等が添加されていてもよい。特に基材は繊維にも
とづく凹凸斑や色斑を有しているので、この斑を
隠蔽するために、該被覆層には顔料や染料等の着
色剤が混合されているのが好ましい。
本発明において多孔質被覆層の厚さは10〜
1000μの範囲内が好ましい。多孔質の厚みがこの
範囲を越える場合には、得られる皮革様シート物
は風合がゴム様となり、また逆にこの範囲に達し
ない場合には、繊維質基材が有している凹凸斑や
色斑を隠蔽することが不十分となり、得られる皮
革様シート物は安つぽい模造品という印象を与え
るものとなる。
多孔質被覆層は、基材上に直接にポリウレタン
エラストマーを主体とする重合体の溶液またはエ
マルジヨンを塗布し湿式凝固することにより、あ
るいは別の高分子分質のシートや金属ベルトある
いはガラス板表面にポリウレタンエラストマーを
主体とする重合体の溶液またはエマルジヨンを塗
布し、湿式凝固してフイルムを作製し、これを基
材に貼り合わせることにより得られる。
本発明の皮革様シート物は、型押し性を向上さ
せるために、その表面には、前述したように、ま
ず(a),(b)の二層が順次積層されている。
まず(a)層は、両末端にヒドロキシル基を有する
分子量500〜5000のポリマーグリコールと脂肪族
または脂環族ジイソシアネートおよび有機ジアミ
ンあるいは有機酸ジヒドラジドよりなるポリウレ
タンエラストマーを主体とする重合体からなる。
ポリマーグリコールとしては、ポリエチレンアジ
ペートグリコール、ポリブチレンアジペートグリ
コール、ポリヘキサメチレンアジペートグリコー
ル、ポリカプロラクトングリコール、ポリカーボ
ネートグリコール等のポリエステルグリコールや
ポリエチレンエーテルグリコール、ポリプロピレ
ンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエー
テルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグ
リコール等のポリエーテルグリコールおよびこれ
らの混合物が使用されるが、特にポリエステルグ
リコールあるいはポリエステルグリコールとポリ
エーテルグリコールの混合グリコールが本発明の
目的を達成する上で最良である。また該(a)層が染
料を含む場合には、染料に対して発色性良好なポ
リエチレンエーテルグリコールを含むポリマーグ
リコールを使用するのが好ましい。しかし該(a)層
に顔料、特に白色ないし淡色の顔料が添加されて
いる場合には汚れを防止するためにポリエチレン
エーテルグリコールを含むポリマーグリコールの
使用は避けるのが望ましい。脂肪族ジイソシアネ
ートとしては、テトラメチレンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが、ま
た脂環族ジイソシアネートとしては、シクロヘキ
サンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネ
ート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソ
シアネートなどが挙げられる。この中でも脂環族
ジイソシアネートが型押性の点で特に好ましい。
有機ジアミンとしては、p−フエニレンジアミン
としては、p−フエニレンジアミン、メタフエニ
レンジアミン、4,4′−ジアミノジフエニルメタ
ン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、イ
ソホロンジアミン、4,4′−ジアミノジシクロヘ
キシルメタンなどがあげられ、有機酸ジヒドラジ
ドとしてはアジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸
ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、イソ
フタル酸ジヒドラジドなどが挙げられる。この中
でも形押し性の点で特に脂環族ジアミンあるいは
芳香族ジカルボン酸ジヒドラジドが好ましい。(a)
層に用いるポリウレタンエラストマーとしては、
ジイソシアネートに基づくN%が2〜5%である
ようなものが型押し性の点で好ましい。該(a)層に
は、必要に応じ他の種類のポリウレタンエラスト
マー、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビ
ニルホルマール、メタアクリル酸樹脂等の重合体
を少量、さらには安定剤、着色剤、黄変防止剤、
艶調整剤などを含有していてもよい。(a)層の厚さ
は0.5〜10μが微細なエンボスパターンが再生でき
る点で適当である。(a)層は非多孔質層であること
が必須であるが、このような非多孔質層は、ポリ
ウレタンエラストマーを主体とする重合体の溶液
または分散液を前述した多孔質被覆層の上に塗布
し、溶媒または分散媒を蒸発させて除去すること
により形成される。むろん、この方法以外の方法
を用いてもよい。
さらに(a)層の上には(b)層が形成されている。(b)
層は、両末端にヒドロキシル基を有する分子量
500〜5000のポリマーグリコールとジフエニルメ
タン−4,4′−ジイソシアネートおよび炭素数2
〜6の低級アルキレングリコールから合成された
ポリウレタンエラストマーを主体とする重合体か
ら形成されたものである。ポリマーグリコールと
しては(a)層に使用し得るものと同じものが使用さ
れるが、なかでもポリエステルグリコールが型押
し性の点で好ましい。一方、炭素数2〜6の低級
アルキレングリコールの代表例としては、エチレ
ングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオー
ルなどがあり、なかでもエチレングリコールが良
好な型押し性が得られる点で特に好ましい。また
(b)層に用いられるポリウレタンエラストマーとし
ては、N%が3.5〜6.5%のものが型押し性の点で
好ましい。(b)層の厚さは0.5〜3μが適当で、0.5μ
未満では型押し性が不良となり、逆に3μ以上で
は耐光性が低下するので好ましくない。(b)層に
も、必要に応じ他の種類のポリウレタンエラスト
マー、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビ
ニルホルマール、メタアクリル酸樹脂等の重合体
や安定剤、着色剤、黄変防止剤、艶調整剤などを
含有していてもよい。(b)層も(a)層と同様に非多孔
質層であることが必須であるが、このような非多
孔質層は、ポリウレタンエラストマーを主体とす
る重合体の溶液または分散液を(a)層の上に塗布
し、溶媒または分散媒を蒸発除去することにより
形成される。
該(b)層の目的は、(a)層の耐熱性をカバーし型押
し性を改良する以外に、型押し後のシボの谷へ(c)
層の溶液が完全に浸入し均一によく密着すること
を助けるものであり、この働きは今まで予測すら
できなかつた驚くべき発見である。もし(b)層が存
在しない場合にはシヤープなシボが得られない上
にフラツト性が不良で、かつ虫喰い状の外観しか
得られず商品価値が低下する。
(b)層の上には型押しが行なわれる。本発明の構
造を有する皮革様シート物は何らトラブルなく任
意の形押しができ、しかも微細なエンボスパター
ンであつても極めて忠実に再現できる。エンボス
処理は通常のエンボスロールやエンボスプレート
を用いて行なわれ、エンボス条件としては、通常
皮革様シート物に採用されている周知の条件が採
用できる。
最後にこの上に(c)層が形成される。(c)層は、(a)
層と同じように、両末端にヒドロキシル基を有す
る分子量500〜5000のポリマーグリコールと脂肪
族または脂環族ジイソシアネートおよび有機ジア
ミンあるいは有機酸ジヒドラジドよりなるポリウ
レタンエラストマーを主体とする重合体からな
る。ポリマーグリコール、ジイソシアネートおよ
び鎖伸長剤の具体例としては(a)層で挙げたもの全
てが使用可能である。この(c)層用のポリウレタン
エラストマーとしては、ジイソシアネートに基ず
くN%が2〜5%であるものが耐熱性、表面強
度、耐屈曲性等の点で好ましく、必要に応じて他
の種類のポリウレタンエラストマー、ポリ塩化ビ
ニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルホホルマー
ル、メタアクリル酸樹脂等の重合体の他、安定
剤、黄変防止剤、着色剤等を少量混入し使用して
もよい。(c)層の主たる目的は艶調整にある。艶出
しする場合にはクリア(着色剤がほとんど添加さ
れていない透明層)か或は若干の着色剤を入れた
ポリウレタンエラストマーを付与するが、艶消し
剤を入れたポリウレタンエラストマーを付与して
もよい。この場合にはエナメル調というよりもむ
しろマツト調に近いものが得られ、本発明にはこ
のようなマツト調のものも含まれる。また(c)層で
は若干の色修正をすることもできる。(c)層の厚さ
は0.5〜50μが適当で、0.5μ以下では艶調整効果、
すなわちエナメル効果が不十分となり、逆に50μ
以上では折シボ、風合、耐屈曲性等が不良とな
る。なお(c)層は上記したようなポリウレタンエラ
ストマーを主体とする重合体および必要により上
記したような添加剤を含む溶液をエンボス処理さ
れた(b)層上に塗布し乾燥することにより得られ
る。
以上詳述したように本発明の皮革様シート物
は、繊維質基材層、多孔質被覆層、(a)層、(b)層お
よび(c)層よりなるものであるが、繊維質基材層や
多孔質被覆層の上や下に、さらには(c)層の上部に
さらに他の層を挿入あるいは乗せてもよい。
以下実施例により本発明を説明する。なお実施
例中、%はすべて重量に基づく値である。
実施例 1 ポリエチレンフイルムの上にポリエチレンアジ
ペートグリコール、ジフエニルメタン−4,4′−
ジイソシアネート及びエチレングリコールよりな
るN含有量が4.2%のポリウレタンエラストマー
12.0%、酸化チタン0.3%、ステアリルアルコー
ル0.3%およびジメチルホルムアミド87.4%から
なる溶液を固形分で80g/m2塗布し、ジメチルホ
ルムアミドを30%含む30℃の水溶液に30分間浸漬
してから、メタノール洗浄と水洗を十分したの
ち、ポリエチレンフイルムより剥離して乾燥し、
厚さ約360μの多孔質フイルムを得た。ついで、
この多孔質フイルムを該ポリエチレンフイルムと
接していた側を表にしてポリエステル織布に二液
性の架橋形ポリウレタン溶液を接着剤として用い
て接着した〔基体〕。
この上に、平均分子量2000のポリエチレンアジ
ペートグリコール、ジシクロヘキシルメタン−
4,4′−ジイソシアネートおよびイソホロンジア
ミン(モル比1:4:3)からなるポリウレタン
エラストマー8%、酸化チタン12%、ジメチルホ
ルムアミド40%、メタノール14%、トルエン9
%、アセトン8%およびシクロヘキサノン9%か
らなる溶液を塗布し〔(a)層〕、さらに前記の多孔
質フイルムと同じポリウレタンエラストマー7.0
%、ヒンダードアミン系黄変防止剤0.4%、ジメ
チルホルムアミド27.0%、アセトン36.0%および
シクロヘキサノン29.6%からなる溶液を塗布して
からよく乾燥し〔(b)層〕、粗地生模様のエンボシ
ングを行なつた。このものは何らトラブルもなく
エンボシングができ、フラツト性も良く、美しい
粗地生のシボが型付けされていた。
最後に、この上に、ポリエチレンアジペートグ
リコール(分子量2000)、イソホロンジイソシア
ネートおよびイソホロンジアミン(モル比1:
3.2:2.2)からなるポリウレタンエラストマー20
%、TiO24%、テトラヒドロフラン50%、イソプ
ロピルアルコール15%およびメタノール11%の溶
液を塗布し、乾燥して〔(c)層〕、皮革様シート物
〔〕を製造した。このものの(a)層の厚さは4μ、
(b)層の厚さは0.7μ、(c)層の厚さは20μであつた。
このものは(c)層がシボの谷まで完全に入つて、シ
ボがはつきりと見え、かつ光沢の大きい外観のす
ぐれたものであつた。このもので婦人靴をつく
り、3ケ月着用したところ、ほとんど色変化がな
く、極めて商品価値の高いエナメル調のものであ
つた。また(b)層と(c)層間の剥離も全くなかつた。
一方、比較のために前記と同じ基体〔〕に、
前記と同じ(a)層を付与してから、(a)層と同じポリ
ウレタンエラストマー7%、ジメチルホルムアミ
ド40%、メタノール14%、トルエン9%、アセト
ン15%およびシクロヘキサノン15%の溶液を乾燥
後の厚みが0.7μとなるように塗布してから、前記
と同様に乾燥、エンボツシングをしたが、エンボ
スロールに(a)層および(b)層の樹脂が激しくひつつ
いて粗地生模様の形付けができなかつた。さらに
前記と同じ(c)層を付与したが、(c)層がシボの谷ま
で完全に入らず浮き上がつた状態となつており、
非常に外観が悪く、商品価値が低かつた(皮革様
シート物〔〕)。
また、前記と同じ基体〔〕に、多孔質フイル
ムと同じポリウレタンエラストマー8%、酸化チ
タン12%、ジメチルホルムアミド28%、アセトン
27%およびシクロヘキサノン25%からなる溶液を
乾燥後の厚みが4μとなるように塗布してから、
皮革様シート物〔〕と同じ(b)層を塗布し、前記
と同じようにエンボツシングしたところ、粗地生
模様の型付けは一応できたがエンボスパターンの
細部はほとんど再現しなかつた。さにこの上に皮
革様シート物〔〕と同じ(c)層を付与したが(皮
革様シート物〔〕)、シボがほとんど見えず、フ
ラツト性も余り良くなかつたので外観が安つぽい
模造品という印象が強かつた。このもので、皮革
様シート物〔〕の場合と同じように婦人靴をつ
くり着用したが、1ケ月以内で著しく黄変した。
実施例 2 ナイロン繊維からなる不織布に、実施例1の多
孔質フイルムに用いたのと同じポリウレタンエラ
ストマー18.0%、酸化チタン0.4%、ステアリル
アルコール0.7%、ジメチルホルムアミド80.9%
の溶液を含浸し、この上に同じ溶液を固形分で
100g/m2塗布し、ジメチルホルムアミドを40%
含む40℃の水溶液で30分間浸漬してから、メタノ
ール洗浄と水洗を十分に行ない乾燥した(基体
〔〕)。この基体は、繊維質基材の上に厚さ約
310μの多孔質被覆層を有していた。この上に、
平均分子量1500のポリカプロラクトングリコー
ル、平均分子量1500のポリエチレンエーテルグリ
コール、イソホロンジイソシアネートおよびイソ
フタル酸ジヒドラジド(モル比0.6:0.4:3.5:
2.5)からなるポリウレタンエラストマー7%、
茶色の含金属錯塩染料3%、ジメチルホルムアミ
ド51%、トルエン4%、メタノール4%、アセト
ン17%およびシクロヘキサノン14%からなる溶液
を固形分で2μ塗布し〔(a)層〕、さらにポリカプロ
ラクトングリコール、ジフエニルメタン4,4′−
ジイソシアネートおよび1,4−ブタンジオール
からなるN%が4.5%のポリウレタンエラストマ
ー7%、ポリ塩化ビニル1%、ジメチルホルムア
ミド24%、アセトン38%およびシクロヘキサノン
30%の溶液を固形分で1.5μ塗布してから〔(b)層〕、
よく乾燥し、ヤンピー模様のエンボツシングを行
なつたところ、何らトラブルを生じることなく美
しい型付けができ、かつフラツト性も良好であつ
た。最後に実施例1の(a)層と同じポリウレタンエ
ラストマー20%、テトラヒドロフラン51%、イソ
プロピルアルコール16%、トルエン13%の溶液を
固形分で20μ塗布し、乾燥して皮革様シート物
〔〕を得た。このものは透明性が良くて鮮明色
を有するため非常に高級感のあるエナメル品であ
つた。このもので紳士靴をつくり着用したとこ
ろ、6ケ月後も色の変化がほとんどなく、その他
においても問題点なく極めて商品価値が高かつ
た。
一方、対照品として、前記と同じ基体〔〕の
上に前記と同じ(a)層を付与し、(b)層を付与するこ
となく前記と同じエンボシングをしたが、エンボ
スロールへ激しくひつつき、面荒れ生じた。この
上に前記と同じ(c)層を付与したが、シボの谷まで
ポリウレタンエラストマー溶液が入らず、シボの
谷部では(c)層が(a)層と接着することなく浮き上つ
ていて、外観が非常に悪く商品価値は全くなかつ
た(皮革様シート物〔〕)。
実施例 3 実施例2と同じ基体〔〕の上に、実施例2の
(a)層に使用したのと同じポリウレタンエラストマ
ー7%、ジメチルホルムアミド51%、トルエン4
%、メタノール4%、アセトン18%およびシクロ
ヘキサノン16%からなる溶液を固形分で2μ塗布
し〔(a)層〕、さらに実施例2に使用したのと同じ
(b)層を塗布して、実施例2と同じようにエンボツ
シングを行なつた。このものも皮革様シート物
〔〕と同じように、エンボツシングの際に何ら
トラブルが生じず、鮮明なシボが得られた。次に
この上に、実施例2の(c)層と同じポリウレタンエ
ラストマー9%、SiO21%、テトラヒドロフラン
26%、イソプロピルアルコール42%およびメタノ
ール22%の溶液を固形分で0.9μ塗布し、乾燥後、
タイコ形の染色機を使用して茶色の含金属錯塩染
料1%owf、浴比1:60、温度60℃で20分間染色
してから、ソーピング、水洗および乾燥したとこ
ろ、外観の極めて良好な皮革様シート物〔が得
られた。このもので紳士靴を造着用したが、皮革
様シート物〔〕と同様に色の変化、その他の問
題点もなく、非常に商品価値が高かつた。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 繊維質基材の上にポリウレタンエラストマー
    を主体とする重合体からなる多孔質被覆層が形成
    された皮革様シート物の表面に、下記(a)層、(b)層
    および(c)層 (a) ポリマーグリコール、脂肪族または脂環族ジ
    イソシアネートおよび有機ジアミンあるいは有
    機酸ジヒドラジドより合成されたポリウレタン
    エラストマーを主体とする重合体からなる非多
    孔質層、 (b) ポリマーグリコール、ジフエニルメタン−
    4,4′−ジイソシアネートおよび炭素数2〜6
    の低級アルキレングリコールより合成されたポ
    リウレタンエラストマーを主体とする重合体か
    らなる非多孔質層、 (c) ポリマーグリコール、脂肪族または脂環族ジ
    イソシアネートおよび有機ジアミンあるいは有
    機酸ジヒドラジドより合成されたポリウレタン
    エラストマーを主体とする重合体からなる非多
    孔質層、 が順次積層されており、かつ該非多孔質層(c)の厚
    みは、該非多孔質層(b)の表面凹凸模様に従つて凹
    部が厚くて凸部が薄くなつていることを特徴とす
    るエナメル調皮革様シート物。 2 (a)層が着色剤を含有しており、かつ0.5〜10μ
    の厚さを有しており、(b)層が0.5〜3μの厚さを有
    している特許請求の範囲第1項記載の皮革様シー
    ト物。 3 (a)層のポリマーグリコールがポリエステルグ
    リコールまたはポリエステルグリコールとポリエ
    ーテルグリコールの混合グリコールであり、(b)層
    のポリマーグリコールがポリエステルグリコール
    である特許請求の範囲第1項または第2項記載の
    皮革様シート物。
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