JPH085147B2 - 合成皮革靴の製造方法 - Google Patents

合成皮革靴の製造方法

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JPH085147B2
JPH085147B2 JP61203050A JP20305086A JPH085147B2 JP H085147 B2 JPH085147 B2 JP H085147B2 JP 61203050 A JP61203050 A JP 61203050A JP 20305086 A JP20305086 A JP 20305086A JP H085147 B2 JPH085147 B2 JP H085147B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は合成皮革靴の製造方法に関する。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする問題点〕
合成皮革よりなる胛被の底部にポリ塩化ビニルを主成
分とする靴底材を射出成型して一体化された靴底を形成
し、合成皮革靴を製造するに際して、合成皮革製胛被と
して従来より、ポリイソシアネートとしてジフェニルメ
タンジイソシアネート(MDI)を用いた熱軟化点190〜20
0℃程度のポリウレタン表皮層を有する合成皮革よりな
るものが用いられているが、ポリ塩化ビニルを主成分と
する靴底材の射出温度が190〜200℃程度であるため射出
された靴底材が胛被の表皮層に接触した時には温度低下
によって胛被の表皮層を確実に溶融し得るだけの温度に
なく、靴底と胛被との接着が不充分となる。このため従
来は胛被と靴底との接合部(胛被下端部外周)に、靴底
との接着性向上のためのプライマーを予め塗布した後、
射出成型を行なっていた。しかしながら、このプライマ
ーの塗布は刷毛等による手作業で行なわれており、生産
能率が低く、品質の安定性にも欠けるとう問題があると
ともに、胛被と靴底とを確実に接着するために、胛被下
端部外周の実際に靴底と接合する部分より広い部分にプ
ライマー塗布を行っており、このため胛被表面にプライ
マーが現れて外観上好ましくないという問題があった。
本発明者は上記の点に鑑み鋭意研究した結果、表皮層
をポリカプロラクトングリコール及び/又はポリブチレ
ンアジペートをポリエステル成分とする無黄変型ポリウ
レタンエラストマーにより形成することにより、プライ
マーなしでも胛被と靴底とを充分接着することができる
ことを見出したが、上記無黄変型ポリウレタンエラスト
マーより表皮層を形成する場合、表皮層と合成皮革基材
とを接着する接着剤として従来より用いられているエチ
レングリコール及び/又はブタンジオールとアジピン酸
とのポリエステルと、トリレンジイソシアネート(TD
I)とからなるポリウレタン系2液型接着剤を用いると
表皮層の屈曲性が低下せしめられて柔軟性に乏しいもの
となり、しかもこの合成皮革より得た胛被を用いて靴底
材を射出成型すると、一担接着した表皮層が合成皮革基
材から剥離しやすくなるという欠点があった。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、プライマー
塗布を行なわずとも胛被と靴底とを確実に接合一体化で
き、しかも胛被の天然皮革様の柔軟性低下や、靴底材を
射出成型した後に胛被の表皮層と基材との剥離を生じる
ことなく、優れた合成皮革靴を効率よく製造し得る合成
皮革靴の製造方法を提供することを目的とする。
即ち本発明はポリエチレンアジペート、ポリエチレン
ブチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリブ
チレンヘキシレンアジペート、ポリカプロラクトングリ
コールの少なくとも1種と、低分子量グリコール及び芳
香族ジイソシアネートとを構成成分とするポリウレタン
エラストマーよりなる1液型接着剤により合成皮革基材
に接着された、ポリカプロラクトングリコール及び/又
はポリブチレンアジペートをポリエステル成分とする無
黄変型ポリウレタンエラストマーよりなる表皮層を有す
る合成皮革より胛被を形成し、次いで該胛被の底部に、
ポリ塩化ビニルを主成分とする靴底材を射出成型して一
体化された靴底を形成することを特徴とする合成皮革靴
の製造方法を要旨とするものである。
本発明において用いる胛被を形成する合成皮革の表皮
層はポリカプロラクトングリコール及び/又はポリブチ
レンアジペートをポリエステル成分とする無黄変型ポリ
ウレタンエラストマーよりなり、該無黄変型ポリウレタ
ンエラストマーは、イソシアネート成分としてイソホロ
ンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタン
ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等
の脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネー
トの単独又は2種以上の混合物が用いられる。また鎖伸
長剤としてはエチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、
ブタンジオール等のグリコール類;エチレンジアミン、
プロピレンジアミン、ジプロピレンジアミン、ブチレン
ジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミ
ン;イソホロンジアミン、4,4′−ジアミノジシクロヘ
キシルメタン等の脂環式ジアミン等が単独又は2種以上
混合して用いられる。上記無黄変型ポリウレタンエラス
トマーには射出成型時の熱による表皮層のブロッキング
防止のためにシリカを添加することが好ましく、ブロッ
キングが防止されることによってより射出成型後の靴の
取扱いが容易となる他、表面の粘着性が軽減され、汚れ
防止に好都合となる。シリカの添加量はポリウレタンエ
ラストマー100重量部当り1.5〜6.0重量部が好ましい。
合成皮革基材としては、ポリウレタンエラストマーを
含浸させた織布、不織布、編布等が挙げられ、具体的な
合成皮革基材の例としては、ポリエステル、レーヨン混
紡の片面又は両面起毛布上にポリウレタンエラストマー
のジメチルフォルムアミド溶液を塗布した後、水中に浸
漬してポリウレタンエラストマーを凝固させて得られた
ものが挙げられる。この合成皮革基材としてはポリウレ
タンエラストマーよりなる緻密な気泡構造のミクロポー
ラス層を有するものが好ましい。
上記合成皮革基材と表皮層とを接着する接着剤として
はポリエチレンアジペート、ポリエチレンブチレンアジ
ペート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンヘキシ
レンアジペート、ポリカプロラクトングリコールの少な
くとも1種と、低分子量グリコール及び芳香族ジイソシ
アネートとを構成成分とするポリウレタンエラストマー
よりなる1液型接着剤が用いられるが、このエラストマ
ーを構成する低分子量グリコールとしては例えばエチレ
ングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオ
ール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール
等が挙げられ、芳香族ジイソシアネートとしては例えば
4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリ
レンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネー
ト等が挙げられるが、接着性の上から特に4,4′−ジフ
ェニルメタンジイソシアネートが好ましく、これに一部
2,4−トリレンジイソシアネート及び/又は2,6−トリレ
ンジイソシアネートを併用してもよい。
合成皮革基材に上記接着剤を介して表皮層を形成する
方法としては、離型紙上に、必要により顔料を添加して
着色した表皮層形成用のポリウレタンエラストマーの有
機溶媒溶液を塗布して乾燥させ、次いでこの上に接着剤
用のポリウレタンエラストマーの有機溶媒溶液を塗布し
て乾燥させた後、合成皮革基材と重ね合わせて加熱圧着
し、離型紙を剥離して表皮層を合成皮革基材に転写する
方法が挙げられる。
本発明方法においては上記合成皮革よりなる胛被の底
部に、ポリ塩化ビニルを主成分とする靴底材を射出成型
して一体化された靴底を形成するが、胛被の表皮層がポ
リカプロラクトングリコール及び/又はポリブチレンア
ジペートをポリエステル成分とする無黄変型ポリウレタ
ンエラストマーよりなるために、靴底との接合部に予め
プライマー塗布を行なっておかずとも胛被と靴底とを確
実に接合することができる。靴底材の射出温度は通常18
5〜200℃程度である。
本発明方法では胛被表皮層を構成する無黄変型ポリウ
レタンエラストマーのポリエステル成分がポリカプロラ
クトングリコールのみからなる場合でも胛被と靴底との
接着性に優れた靴を提供できるが、ポリカプロラクトン
グリコールとポリブチレンアジペートとを併用した場
合、ポリカプロラクトングリコール単独の場合に比べて
より大きい接着強度が得られるとともに、ポリブチレン
アジペート単独の場合に比べて胛被の耐加水分解性が向
上し、雨水等にさらされても胛被が侵され難くなり耐久
性に優れた靴を提供できる。ポリカプロラクトングリコ
ールとポリブチレンアジペートとを併用する場合、両者
の混合比は、ポリカプロラクトングリコール80〜95重量
%、ポリブチレンアジペート5〜20重量%が好ましく、
特に前者のポリエステル85〜92重量%、後者のポリエス
テル8〜15重量%であることが好ましい。
〔実施例〕
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
尚、以下重量%を単に%で示す。
実施例1〜4 ポリエステル65%、レーヨン35%の混紡比よりなる厚
さ1.3mmの両面起毛布にポリウレタンエラストマー(熱
硬化点210℃、100%モジュラス60kg/cm2)のジメチルフ
ォルムアミド溶液(固型分9.5%)を含浸させ、次いで
共に駆動機構を供えた上下一対のロール間をクリアラン
ス1.0mmで通過させ、余剰液を絞液した後、25℃の水中
に浸漬してポリウレタンエラストマーを凝固させ、更に
この片面にポリウレタンエラストマー(熱硬化点195
℃、100%モジュラス42kg/cm2)のジメチルフォルムア
ミド溶液(固形分18%)を固形分の塗布量が150g/m2
なるように塗布した後、25℃の水中に浸漬し、緻密なミ
クロポーラス層を有する合成皮革基材を得た。
次いで天然皮革様の絞を有する離型紙上に、表皮層形
成用ポリウレタンエラストマーとして第1表に示すポリ
エステルと4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシア
ネート、1,3−ブタンジオール、4,4′−ジアミノジシク
ロヘキシルメタンよりなるポリウレタンエラストマー
(熱硬化点及び100%モジュラスの値を第1表に示
す。)を25%含む、ジメチルフォルムアミド、イソプロ
ピルアルコール、トルエン、シクロヘキサノン混合溶媒
溶液を100g/m2の目付量で塗布し、80℃にて乾燥した
後、この上に接着剤として第1表に示すポリエステルと
ジエチレングリコール及び4,4′−ジフェニルメタンジ
イソシアネートとからなるポリウレタエラストマー(熱
硬化点及び100%モジュラスの値を第1表に示す。)を2
0%、顔料3%を含有するジメチルフォルムアミド、メ
チルエチルケトン混合溶媒溶液を120g/m2の目付量で塗
布し、80℃で2分、120℃で2分乾燥した後、合成皮革
基材と重ね合わせて離型紙側より150℃の表面温度を有
する熱ロールで加熱加圧し、冷却後離型紙を剥離して転
写された表皮層を有する合成皮革を得た。
次にこの合成皮革を裁断、縫製して胛被を製造し、こ
の胛被を靴底射出成型用金型にセットしてポリ塩化ビニ
ル靴底材を194℃で射出して胛被と一体化された靴底を
形成した。この胛被と靴底との接着強度を、胛被と靴底
との接合部分を幅8mm、長さ100mmに切り取ったサンプル
を記録計付き引張り試験機で剥離速度50mm/minにて測定
した。結果を第1表に示す。
比較例1 ポリカプロラクトングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートよりな
る黄変型ポリウレタンエラストマー(熱硬化点160℃、1
00%モジュラス 45kg/cm2)を25%、カーボンブラック
(顔料)を3%含むジメチルフォルムアミド、メチルエ
チルケトン混合溶媒溶液を120g/m2の目付量で塗布して
表皮層を形成した以外は実施例1と同様にして靴を製造
した。この靴の胛被と靴底との接着強度は1.8kg/cmしか
なく靴底と胛被とが剥離しやすかった。
比較例2 胛被における接着剤としてトリレンジイソシアネート
をイソシアネート成分とするウレタン系2液型接着剤
(クリスボン4070:大日本インキ化学工業製)を用いた
他は実施例2と同様にして靴を製造した。この靴は胛被
が皮革様の柔軟性に欠けており、また胛被と靴底とはプ
ライマーなしに接着することができたが、靴底を射出成
型した後に、靴底との接合部付近において胛被の表皮層
が基材より剥離してしまった。
実施例5〜8 天然皮革様の絞を有する離型紙上に、表皮層形成用ポ
リウレタンエラストマーとして第2表に示すポリエステ
ルとヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレン
ジアミン、1,3−ブタンジオールとからなるポリウレタ
ンエラストマー(熱軟化点及び100%モジュラスの値を
第2表に示す。)を25%とシリカ1.2%を含むジメチル
フォルムアミド、イソプロピルアルコール、トルエン、
シクロヘキサノン混合溶媒溶液を100g/m2の目付量で塗
布し、80℃で乾燥した後、更にこの上に接着剤として第
2表に示すポリエステルと1,4−ブタンジオール及び4,
4′−ジフェニルメタンジイソシアネートとからなるポ
リウレタンエラストマー(熱軟化点及び100%モジュラ
スの値を第2表に示す。)を20%、顔料3%を含有する
ジメチルフォルムアミド、メチルエチルケトン混合溶媒
溶液を120g/m2の目的量で塗布し、80℃で2分、120℃で
2分乾燥した後、実施例1〜4と同様の合成皮革基材と
重ね合せて加熱加圧して表皮層を転写し、合成皮革とし
た。この合成皮革から作成した胛被を用いて実施例1〜
4と同様にして射出成形を行い、一体化された靴底を形
成した。
得られた靴は、胛被表面が滑性に富み、柔軟で汚れも
付着しにくく、きわめて屈曲性に優れた天然皮革様外
観、風合を有していた。この靴の胛被と靴底との接着強
度を第2表に示す。
〔発明の効果〕 以上説明したように本発明は表皮層がポリカプロラク
トングリコール及び/又はポリブチレンアジペートをポ
リエステル成分とする無黄変型ポリウレタンエラストマ
ーよりなる合成皮革胛被に、ポリ塩化ビニルを主成分と
する靴底材を射出成型して胛被と一体化された靴底を有
する合成皮革靴を得る方法を採用したことにより、従来
法のように予め胛被にプライマー塗布を行なわずとも胛
被と靴底とを確実に接着することができ、しかも胛被表
面にプライマーが現われて外観低下をきたす等の問題が
なく、外観の優れた合成皮革靴を安定して効率よく製造
することができる。また本発明において用いる胛被は上
記ポリウレタンエラストマーよりなる表皮層を特定のポ
リウレタンエラストマーよりなる1液型接着剤により接
着した構成を有するため、表皮層の屈曲性を低下せしめ
る慮れがなく、天然皮革様の柔軟な風合を有する靴が得
られるとともに、靴底材を射出した後に胛被の表皮層が
剥離する慮れがなく、外観、風合等に優れた合成皮革靴
を製造できる等の効果を有する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエチレンアジペート、ポリエチレンブ
    チレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリブチ
    レンヘキシレンアジペート、ポリカプロラクトングリコ
    ールの少なくとも1種と、低分子量グリコール及び芳香
    族ジイソシアネートとを構成成分とするポリウレタンエ
    ラストマーよりなる1液型接着剤により合成皮革基材に
    接着された、ポリカプロラクトングリコール及び/又は
    ポリブチレンアジペートをポリエステル成分とする無黄
    変型ポリウレタンエラストマーよりなる表皮層を有する
    合成皮革より胛被を形成し、次いで該胛被の底部に、ポ
    リ塩化ビニルを主成分とする靴底材を射出成型して一体
    化された靴底を形成することを特徴とする合成皮革靴の
    製造方法。
  2. 【請求項2】合成皮革基材がミクロポーラス層を有する
    特許請求の範囲第1項記載の合成皮革靴の製造方法。
  3. 【請求項3】合成皮革の表皮層が、離型紙上に表皮層を
    形成した後、該表皮層をミクロポーラス層を有する合成
    皮革基材に転写して形成されたものである特許請求の範
    囲第1項記載の合成皮革靴の製造方法。
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JPS6154929A (ja) * 1984-08-28 1986-03-19 株式会社クラレ エナメル調皮革様シ−ト物

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