JPS6364553B2 - - Google Patents

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JPS6364553B2
JPS6364553B2 JP9727582A JP9727582A JPS6364553B2 JP S6364553 B2 JPS6364553 B2 JP S6364553B2 JP 9727582 A JP9727582 A JP 9727582A JP 9727582 A JP9727582 A JP 9727582A JP S6364553 B2 JPS6364553 B2 JP S6364553B2
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leather
dyes
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  • Laminated Bodies (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
本発明は耐光性及び耐加水分解性に優れ、かつ
鮮明な色調を有する高耐久性の皮革様シート物に
関するものであり、特に自動車座席シートや応接
椅子等の長期間使用される用途に好適でかつ高級
感のある色調を有する皮革様シート物を提供する
ものである。 従来よりポリウレタン系の皮革様シート物は塩
ビレザーに比べ風合、感触、外観が良好なため、
靴、鞄、袋物、衣料、手袋、ベルト、家具等の材
料として多量に使用されてきた。しかしながら応
接椅子や事務用の椅子等の家具や自動車座席シー
ト等の様に5年から10年といつた長期にわたつて
使用されるものにおいては、従来のポリウレタン
樹脂により製造された皮革様シート物ではポリウ
レタンの耐光性、耐加水分解性が劣悪なため到来
長期の使用に耐え得ないものであつた。 ポリウレタンは、ポリエステル系やポリエーテ
ル系等の高分子ジオールを有機ジイソシアネート
および鎖伸長剤である活性水素化合物と反応させ
ることにより得られるものであるが、例えば有機
ジイソシアネートとして芳香族有機ジイソシアネ
ートを用いると得られるポリウレタンは耐光劣化
性に劣り、具体的には光照射による黄変、強伸度
低下、架橋硬化をきたすことが知られている。ま
た高分子ジオールとしてポリエステル系のものを
使用した場合には、エステル結合が加水分解を受
けて劣化し、皮革様シート物の表面が短期間に粘
着性を帯びたり、著しいものにあつては表面全体
に無数の亀裂が入つたり、基体に積層されたポリ
ウレタン樹脂層が基体より剥離する等の現象が発
生するため、ポリエステル系ポリウレタンは耐久
性を必要とする皮革様シート物には本質的に適し
ていない。またポリエーテル系のポリウレタンは
加水分解性に優れているものの酸化劣化が大き
く、紫外線や熱により容易に劣化する。それゆえ
高耐久性を要する分野へのポリウレタン系皮革様
シート物の進出は極めて困難であつた。 また、従来ポリウレタン系皮革様シート物の着
色は顔料または染料あるいはこれらを主成分とす
る着色剤が使用されている。染料による着色は、
顔料による着色に比べ色相が鮮明なこと、透明性
があることなどより深みのある色調が得られ、ま
た色の種類も多い等の利点もあり、したがつて染
料により着色された皮革様シート物は高級感のあ
るものとなる。しかしながらその反面、染料によ
り着色された皮革様シート物は、色移行、色落
ち、褪色、にじみ等の問題を有しており、これら
を防ぐためにポリウレタン樹脂の選択や皮革様シ
ート物の製造時におけるポリウレタン樹脂の積層
加工法が極めて重要となる。一般にポリウレタン
はある種の染料を比較的吸収、捕促するが、その
程度は十分でなく、たとえばドライクリーニング
や洗濯によつて容易に染料を離脱したり、染料が
ポリウレタン層から他のポリウレタン層や他のポ
リマー層へ移行して染料褪色を生じたり、さらに
は日光の暴露や加熱により著しい褪色を生じるな
どの致命的欠陥を有している。 本発明者らは、前述した耐久性、染色堅牢性に
優れ、かつ染料移行防止性に優れた高級感を有す
る皮革様シート物について検討した結果、特定の
ポリウレタンを使用し、これらのポリウレタンを
特定の順序で積層することにより、上記の要求性
能の全てを高度に併せ有する高耐久性皮革様シー
ト物を完成した。 すなわち本発明の高耐久性皮革様シート物は、
繊維質基体(I)およびポリウレタン被覆層
()からなり、かつポリウレタン被覆層()
が少なくとも下記の(―a)層及び(―b)
層から構成され、さらに(―a)層が(I)層
と(―b)層の間に存在している皮革様シート
物において、 該(―a)層は (1) ポリカーボネート連鎖を主体とするジオール
とエチレンオキサイド構造単位(―CH2CH2O―)
を含んでいるジオールを主体とする混合ジオ
ールであるか、あるいは同一分子中にポリカー
ボネート連鎖とエチレンオキサイド構造単位を
主成分として有しているブロツク共重合体ジオ
ールであるかのいずれかの高分子ジオールであ
り、かつこの高分子ジオール中における(―
CH2CH2O―)o単位の割合は全高分子ジオール
に対して5重量%をこえて、50重量%までの量
であり、さらに上記nの値が平均で12〜100の
範囲であつて、高分子ジオールの平均分子量が
600〜5000の範囲の高分子ジオール (2) 脂肪族または脂環族有機ジイソシアネート (3) 脂肪族または脂環族有機ジアミン、及び必要
により (4) ヒドラジンまたはジヒドラジド から実質的に合成され、かつ上記(3)の化合物に対
する上記(4)の化合物の割合がモル比で4.0以下で
あることを満たすポリウレタン、ならびに含金属
錯塩染料、酸性染料、建染染料、硫化染料からな
る群から選ばれた少なくとも一種の染料から形成
された層であり、 該(―b)層は (5) 平均分子量が600〜5000の範囲のポリカーボ
ネートジオール (6) 脂肪族または脂環族有機ジイソシアネート (7) 脂肪族または脂環族有機ジアミン、及び必要
により (8) ヒドラジンまたはジヒドラジド から実質的に合成され、かつ上記(7)の化合物に対
する上記(8)の化合物の割合がモル比で2.0以下で
あることを満たすポリウレタンから形成された層
であることを特徴とするものである。 以下に本発明の個々の構成要件について具体的
に説明する。 まず本発明を構成している繊維質基体(I)
は、例えば絡合不織布、積層不織布、織布、編布
などの繊維集合体、あるいはこれらの繊維集合体
に弾性重合体を主体とする重合体の溶液または分
散液を含浸し、多孔質または非多孔質に凝結せし
めたものである。繊維集合体を構成する繊維とし
ては普通の繊維、異形断面繊維、高収縮繊維、海
島状断面構造繊維、バイメタル型断面構造繊維、
ミクロフイブリル集束体繊維、れんこん状繊維な
どおよびこれらの混合繊維が用いられる。ミクロ
フイブリル集束体繊維およびれんこん状繊維は、
溶剤に対する溶解性の異なる2種以上の高分子物
質から紡糸された海島状断面構造を有する特殊繊
維から一成分を溶剤で溶解除去することにより得
られる。すなわち該特殊繊維から海成分を溶解除
去すればミクロフイブリル集束体繊維が得られ、
特殊繊維から島成分を溶解除去すればれんこん状
繊維が得られる。皮革様シート物用基体において
は、繊維と凝結重合体とは完全に密着していない
方が望ましい。繊維集合体に含ませる重合体とし
ては、ポリウレタンエラストマー、ポリ塩化ビニ
ル、ポリアミドなどがある。 次にポリウレタン被覆層(―a)は前述した
ようなポリウレタンおよび染料から形成成された
ものであるが、該ポリウレタンを合成するために
用いられる高分子ジオールは、ポリカーボネート
連鎖を主体とするジオールとエチレンオキサイド
構造単位(―CH2CH2O―)oを含んでいるジオール
を主体とする混合ジオールか、あるいは同一分子
中にポリカーボネート連鎖とエチレンオキサイド
構造単位を主成分として有しているブロツク共重
合体ジオールのいずれかであるが、性能および原
料の入手のしやすさの点で前者の方が好ましい。
なおポリカーボネート連鎖とは
【式】で表わされる基である(但 しRは2価の有機基を表わし、pは重合度を表わ
す)が、Rがヘキサメチレン基である場合が最も
好ましい。高分子ジオール中のポリカーボネート
連鎖は耐加水分解性および耐酸化劣化性(耐光
性、耐熱劣化性)に格段に優れているため、これ
を有しているポリウレタンも同様の性質を有する
こととなる。また被覆層(―a)を構成してい
るポリウレタンの合成に用いられる全高分子ジオ
ール中に占めるエチレンオキサイド構造単位の割
合は5〜50重量%の範囲内でなければならない。
5重量%未満の時は、得られるポリウレタンは染
料分子との親和性が低く、したがつて濃色に着色
する場合には染色堅牢性、染色移行防止性、染料
発色性に関して本発明が目的とする効果が十分に
得られず、逆に50重量%を越える場合には得られ
るポリウレタンが水に膨潤しやすくなり、湿潤時
の強度が大きく低下する以外にポリウレタンが酸
化劣化を受けやすくなつたり、強伸度等の機械的
性質も不良となつたり、皮革様シート物の表面物
性が低下したり、さらには湿潤時の染色堅牢性が
低下する。また高分子ジオール中に含まれている
エチレンオキサイド鎖(―CH2CH2O―)oの重合度
nの数も極めて重要であり、nの数が平均値で12
未満である場合は得られるポリウレタンの染料分
子との親和性は非常に小さく、この様なポリウレ
タンに染料を配合しても時間の経過とともに、あ
るいは温度の上昇により容易に染料分子が(―
a)層外に移行して皮革様シート物の染料褪色は
大きくなり製品の品質を大きく損うこととなる。
またnの数が平均値で100を越える場合は得られ
る皮革様シート物の表面物性、耐水性が不良とな
るとともに耐光性等の点においても好ましくな
い。nの平均値を特に15〜80の範囲内にした場合
により一層本発明の目的が達成される。さらに高
分子ジオールの平均分子量は600〜5000の範囲内
にある必要があり、600未満の場合には得られる
ポリウレタン樹脂は柔軟性を有さず、その結果皮
革様シート物の風合、屈曲性や表面物性が不良と
なり、また5000より高い場合には反対に軟らかく
なりすぎて弾性が失われポリウレタン樹脂の強伸
度が低下し皮革様シート物にした場合表面物性が
極端に低下したものとなる。 また該(―a)層を構成しているポリウレタ
ンの合成に用いられる有機ジイソシアネートは脂
肪族系または脂環族系のものである必要があり、
これら以外の例えば芳香族有機ジイソシアネート
を用いると得られるポリウレタンは耐光劣化性に
劣り、具体的には皮革様シート物の光黄変、ポリ
ウレタンの劣化にもとづく表面物性の低下を招
き、さらには耐光染色堅牢性も不良となる。 鎖伸長剤についても、脂肪族または脂環族有機
ジアミンを使用することが必要であり、芳香族有
機ジアミンでは上記芳香族有機ジイソシアネート
の場合と同様に耐光劣化性等が不良となる。本発
明のポリウレタン被覆層(―a)ではポリエチ
レンオキサイドを含有する高分子ジオールが使用
されるため耐酸化劣化性が多少低下することとな
るが、この耐酸化劣化性の低下を押さえるため
に、鎖伸長剤の一成分としてヒドラジンまたはジ
ヒドラジドを該ジアミンに対してモル比で4.0以
下である様に用いるのが好ましい。ヒドラジンま
たはジヒドラジドを使用することにより、ポリウ
レタンの耐光性の他に耐熱性が良好となり、さら
には染料配合物の耐光性および耐熱堅牢性も向上
する。ヒドラジンまたはジヒドラジドの使用量が
前記4.0を越える場合は、皮革様シート物の耐酸
化劣化性は向上するものの耐加水分解性、耐ブロ
ツキング性が大きく低下する。 本発明のポリウレタン被覆層(―a)は上述
のような原料より得られたポリウレタンに染料を
配合したものであるが、配合される染料は含金属
錯塩染料、酸性染料、建染染料、硫化染料が耐光
性の向上、染料保持性(染料移行防止性、洗濯堅
牢性、ドライクリーニング堅牢性)の点で好まし
い。これら染料のなかでも含金属錯塩染料が特に
好ましい。含金属錯塩染料とは金属原子と染料分
子とが1:1の比率または1:2の比率で錯塩を
形成している染料のことであり、通常は分子内に
スルホンアミド基やアルキルスルホン基などを有
しており、全体として負の荷電を有している。錯
塩を形成している金属はクロムが最も一般的でそ
の他コバルト、銅等が使用される。1:2型含金
属錯塩染料が最も好ましい。 ポリウレタン被覆層(―a)は、通常前述の
染料の中より選ばれた少なくとも一種の染料をポ
リウレタン溶液に添加したのちポリウレタン溶液
より溶媒を除去する方法により形成されるが、配
合される染料の量はポリウレタンに対して2〜70
重量%であり、好ましくは3〜30重量%の範囲で
ある。また(―a)層の厚さとしては1〜
500μの範囲が好ましい。 本発明の皮革様シート物ではポリウレタン被覆
層(―a)の上にポリウレタン被覆層(―
b)が形成されている。この(―b)層により
(―a)層内の染料が層外に移行することを防
ぐことが可能となると共に、皮革様シート物の表
面物性が向上し、溶剤や薬品による染料褪色も無
くなり、さらには耐加水分解性が向上する等の大
きな利点が生じる。 このポリウレタン被覆層(―b)に使用され
るポリウレタン樹脂は前述したような原料より得
られるが、より詳しく説明するとまず高分子ジオ
ールとして耐加水分解性、耐酸化劣化性に優れ、
染料親和性の小さい平均分子量600〜5000の範囲
のポリカーボネートジオール、好ましくは1,6
―ヘキサンジオールポリカーボネートグリコール
が用いられる。 ポリカーボネート連鎖を有するポリオールをソ
フトセグメントとするポリウレタンは他のポリエ
ステルポリオールやポリエーテルポリオールをソ
フトセグメントにするポリウレタンや他のポリマ
ー、たとえばアクリル系、セルロース系、アミド
系のポリマーに比べて染料親和性が極めて小さく
染料移行防止能が極めて大きい。例えば耐加水分
解性の良好なポリテトラメチレングリコールやポ
リプロピレングリコールを使用し有機ジイソシア
ネートとしてイソホロンジイソシアネートを使用
しかつ鎖伸長剤としてイソホロンジアミンおよび
酸化劣化防止剤としての作用を有するヒドラジン
を使用して合成されたポリウレタンは耐光性およ
び耐加水分解性が良好であるが、これらのポリウ
レタンや耐加水分解性の割合良好なポリエステル
であるポリカプロラクトンポリオールやエステル
基濃度の小さいポリエステルを使用したポリウレ
タンが染料保持性の良好なポリウレタン被覆層
(―a)の上に積層されていても意外なことに
染料移行防止性がむしろ不良となり逆効果となる
が、本発明のごとくポリカーボネートポリオール
をソフトセグメントとするポリウレタンが(―
a)層上に積層された場合には(―a)層の染
料保持性が非常に向上する。 またこの(―b)層に用いられるポリウレタ
ンは染料移行防止能を有していることが必須であ
るため、その高分子ジオールは染料親和性基、た
とえばエチレンオキシド構造単位(―CH2CH2O―)
を実質的に有していないことが重要である(但
しnは平均で12以上)。 (―b)層用のポリウレタンを合成するため
に用いられる有機ジイソシアネートは脂肪族系ま
たは脂環族系のジイソシアネートであり、また鎖
伸長剤は脂肪族系または脂環族系のジアミンであ
る。必要によりヒドラジンまたはジヒドラジドが
鎖伸長剤の一部として併用されるが、そのときの
有機ジアミンに対するヒドラジンまたはジヒドラ
ジドの割合はモル比で2.0以下であることが重要
である。2.0を越えると耐酸化劣化性は向上する
が、染料移行防止能、耐加水分解性および耐ブロ
ツキング性が大きく低下する。ジイソシアネート
およびジアミン成分として脂肪族または脂環族以
外のものを用いた場合には、耐光劣化性が著しく
低下すると共に(―a)層の褪色を生じる。す
なわち芳香族系のジイソシアネートまたはジアミ
ンを用いてポリウレタンは光により分解を受け、
この分解により生じたラジカルが(―a)層に
存在している染料分子を攻撃し、その結果染料分
子が分解、変性されて褪色することとなる。 ポリウレタン被覆層(―a)および(―
b)に使用される脂肪族または脂環族有機ジイソ
シアネートの代表例としては、ヘキサメチレンジ
イソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシ
アネート(水素添加TDI)、4,4′―ジシクロヘ
キシルメタンジイソシアネート(水素添加
MDI)、イソプロピリデンビス(4―シクロヘキ
シルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネ
ート、リジンジイソシアネート、水素添加キシリ
レンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシ
アネート等があげられる。また脂肪族または脂環
族有機ジアミンの代表例としては、エチレンジア
ミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジア
ミン、4,4′―ジアミノジシクロヘキシルメタ
ン、ピペラジン、シクロヘキシレンジアミン等が
あげられる。またヒドラジンあるいはジヒドラジ
ド類としては、ヒドラジン、ヒドラジン水和物、
N,N′―ジメチルヒドラジン、アジピン酸ジヒ
ドラジド、セバジン酸ジヒドラジド、グルタル酸
ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、β―
セミカルバジドプロピオン酸ヒドラジド等があげ
られる。 ポリウレタン被覆層(―b)は、通常ポリウ
レタン溶液より溶媒を除去する方法により形成さ
れ、(―b)層の厚さとしては1〜100μの範囲
が好ましい。 本発明の皮革様シート物は、必須成分として繊
維質基体(I)、ポリウレタン被覆層(―a)
および(―b)を有しているが、これら以外
に、たとえば(―a)層と基体(I)との間
に、高分子ジオール成分が実質的にポリカーボネ
ートポリオールでありジイソシアネート成分が脂
肪族あるいは脂環族有機ポリイソシアネートであ
るポリウレタン被覆層(―c)を設けてもよ
く、これにより(―a)層中の染料が基体
(I)へ移行するのを防ぎ、その結果染料保持性
の極めて良好な皮革様シート物が得られる。すな
わち染料親和性のきいポリウレタンで形成されて
いる(―a)層の上面および下面をそれぞれ染
料親和性および染料通過性の小さい(―b)層
および(―c)層で覆うことにより、物理的な
染料移行に基づく染料褪色のない染料保持性の良
好な皮革様シート物が得られることとなる。さら
にこれらの積層されたポリウレタン樹脂は全て耐
光性、耐熱性等が良好であるため光、熱によつて
も染料褪色が全く起こらず、さらには溶剤薬品に
対しても染料保持性が良好となるため染料変褪色
の点では従来の皮革様シート物に比べて画期的な
向上を見ることができる。 ポリウレタン被覆層(―c)に使用されるポ
リウレタンは次の様な方法で合成されるもので代
表される。すなわち二液型ポリウレタンの場合
は、ポリイソシアネート成分としてヘキサメチレ
ンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネー
ト、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、
4,4′―ジシクロヘキシルメタンジイソシアネー
ト、水素添化キシリレンジイソシアネート、シク
ロヘキサンジイソシアネート等のイソシアネート
あるいはこれらのジイソシアネートとグリセリ
ン、トリメチロールプロパン、トリメチルロール
エタン、ペンタエリスリトール等の多価アルコー
ルを反応させて得られるイソシアネート末端の三
官能以上のポリイソシアネートを使用し、これと
ポリカーボネートポリオールより合成されるもの
であり、また一液型ポリウレタンの場合は、ポリ
カーボネートジオールと脂肪族あるいは脂環族有
機ジイソシアネートより末端イソシアネート基を
有するプレポリマーを合成し、つづいて脂肪族あ
るいは脂環族ジアミンにより鎖伸長して得られる
ものである。この場合のポリウレタンも同様に必
要により鎖伸長剤としてヒドラジンあるいはジヒ
ドラジドを併用してもよい。なお(―c)層の
厚さは通常1〜500μの範囲である。 なおポリウレタン被覆層(―c)および(
―a)層については乾式皮膜の形体でも発泡構造
になつていてもよいが、風合、外観、ポリユーム
感、耐屈曲性、折れシワ等の面より発泡構造にな
つているものの方が高級感があり好ましい。また
これら(―a)層、(―b)層、(―c)層
には(―a)層に含まれている染料を損わない
安定剤や添加剤さらには重合体などを有していて
もよい。 発泡層を形成するためには、ポリウレタン樹脂
に各種発泡剤を混合し加熱して発泡剤を分解させ
る方法や水混和性溶剤に溶解させたポリウレタン
樹脂を離型性支持体上に塗布してから水中に浸漬
して凝固させてスポンジシートを得る方法、高濃
度のポリウレタンエマルジヨンを発泡機を用いて
泡立たせてから離型性支持体上に塗布し泡をつぶ
さないように乾燥して得る方法、あるいはワンシ
ヨツト法によるウレタンフオーム製造技術を利用
する方法、さらにはポリオール、有機ポリイソシ
アネート、発泡剤、有機溶剤からなる配合液を加
熱し、溶剤の揮散と発泡剤の分解による気泡の生
成により発泡層を形成する方法やその他多くの方
法が知られているがいずれの方法によつて製造さ
れていてもよい。 本発明の皮革様シート物を得る方法として、基
体(I)の上に(―a)層を形成した後、染色
し、次いで(―b)層を形成される方法、ある
いは離型性の支持体の上に(―b)層を形成
し、次いで(―a)層を形成させた後、染料液
中に浸漬して(―a)層を染色し、そして(
―a)層上に基体(I)をはり合わせる方法等を
用いてもよい。特に染料として建染染料または硫
化染料を用いる場合には一般にこの方法を用いる
のが好ましい。 さらに本発明の皮革様シート物において、繊維
質基体(I)とポリウレタン被覆層()の間に
該基体(I)の有している色斑や凹凸斑を隠蔽す
るための重合体層または顔料や酸化チタンなどを
含む重合体層、またポリウレタン被覆層()の
上に表面強度を高めたり色艶を調整するための重
合体層、さらには各ポリウレタン被覆層間に(
―a)層に含まれている染料の分解・変性をもた
らさない重合体層等を挿入・積層してもよい。 次に本発明の皮革様シート物の典型的な断面の
積層構造を添付の図面により説明する。第1図お
よび第2図において、1は繊維質基体(I)、2,
3および4はポリウレタン被覆層()を表わし
ている。第1図においてポリウレタン被覆層は
染料を含むポリオキシエチレン―ポリカーボネー
ト系ポリウレタン層(―a):2および染料を
含まないポリカーボネート系ポリウレタン層(
―b):3からなつており、第2図においてポリ
ウレタン被覆層はさらに染料を含まないポリカ
ーボネート系ポリウレタン層(―c):4を有
している。 以下実施例により本発明を具体的に説明する。
なお実施例中耐加水分解性とは、得られた皮革様
シート物を相対湿度95%温度70℃の雰囲気中(ジ
ヤングルテスト条件)で10週間放置した結果生じ
る表面のベタツキ、表面亀裂、被覆層の剥離、染
料褪色(湿潤時の染料移行性の有無)等を調べた
ものである。また耐光性はフエードメーターで63
℃雰囲気で1000時間カーボンアーク燈で露光した
場合の染料褪色を見たものである。また耐熱性は
120℃のオーブン中で500時間処理した後の染料褪
色を調べたものである。耐薬品性とはエタノール
中に室温で1時間浸漬したあとの染料褪色を見た
ものであり、これらの堅牢度は変褪色用グレース
ケール及び汚染用グレースケールを用いて判定し
た。堅牢度が5級のものは全く褪色が無く4級3
級2級と下るに従つて堅牢度が低下し1級は堅牢
度が著しく不良の場合である。また染料移行性は
5cm×5cmの大きさの試験片と同じ大きさの白色
ポリウレタンシートを用意し試験片上に該白色ポ
リウレタンシートを重ね合わせ、ガラス板(大き
さ10cm×10cm、厚さ3mm)ではさみ、7Kgの荷重
をかけて70℃のオーブン中で24時間圧着し、その
結果白色ポリウレタンシートへの試験片からの染
料の移行の程度を判定したものである。判定には
汚染用グレースケールを用い1〜5級のどの級に
あたるかを判定した。表面物性は、テーパー型摩
耗試験機で荷重1Kg、摩擦回数1000回、さらに折
目摩耗試験機(カストム式)にて荷重2Kg、摩擦
回数3000回処理した場合の表面摩耗程度の観察し
た結果である。耐屈曲性はストローク幅(最長時
3cm、最短時1cm)で屈曲回数8600回/時間の屈
曲試験機を用いて常温で行なつた場合の結果であ
り、10万回以上で変化ない場合には〇、少々傷が
つく場合には△、基体が見える程傷がついた場合
には×をもつて示した。耐ブロツキング性の評価
は6cm×6cmの大きさの試験片を2枚準備し各々
を水で濡らし相接する様に重ね合せ、これに3Kg
の荷重をかけて、70℃で24時間放置したのち、こ
れを剥すときに粘着性を生じるか否かを判定した
ものである。 また実施例において、使用したポリウレタンの
原料となつた高分子ジオール、ジイソシアネート
化合物および鎖伸長剤については略号を用いて示
したが、略号と化合物の関係は以下の通りであ
る。
【表】
【表】 実施例1〜16、比較例1〜21 離型紙上に順次ポリウレタン被覆層(―b)、
(―a)層、場合により(―c)層をそれぞ
れ乾燥厚み15μ、40μ(発泡層のときは200μ)、30μ
(発泡層のときは200μ)となるようにポリウレタ
ン溶液をナイフコーターにて塗布し、末だ粘着性
を有するうちに基体(I)(綿起毛布)の上に貼
り合せて、加熱乾燥したのち、離型紙を剥離して
染料仕上皮革様シート物を得た。(―b)層、
(―a)層および(―c)層に用いたそれぞ
れのポリウレタンの原料は第1表に示す通りであ
る。また発泡剤としては炭酸アンモニウムを用い
た。なおポリウレタン被覆層(―a)には1:
2型含金属鎖塩染料のIr.Brown BLを(―a)
層のポリウレタン量に対して10重量%添加されて
いる。また実施例15においてはIr.Brown BLに
代えて酸性染料のSolar Red Sを用いた。 得られる皮革様シート物の耐久性、染色堅牢
性、染料移行性、表面物性、その他の物性の比較
を行ない、その結果を第2〜4表に示した。表よ
り明らかな如く本発明の皮革様シート物は際立つ
た耐久性と染料保持性、染料堅牢性を有してい
る。
【表】
【表】 *1 各層に用いたポリウレタンは第1表に記載のポ
リウレタンNo.を以つて示した。
*2 発泡層を表わす。
【表】
【表】
【表】 【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は本発明の皮革様シート物
の断面図であり、そのうち第1図はポリウレタン
被覆層が二層よりなる場合の図であり、第2図は
ポリウレタン被覆層が三層よりなる場合の図であ
る。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 繊維質基体(I)及びポリウレタン被覆層
    ()からなり、かつポリウレタン被覆層()
    が少なくとも下記の(―a)層及び(―b)
    層から構成され、さらに(―a)層が(I)層
    と(―b)層の間に存在している皮革様シート
    物において、該(―a)層は (1) ポリカーボネート連鎖を主体とするジオール
    とエチレンオキサイド構造単位(―CH2CH2O―)
    を含んでいるジオールを主体とする混合ジオ
    ールであるか、あるいは同一分子中にポリカー
    ボネート連鎖とエチレンオキサイド構造単位を
    主成分として有しているブロツク共重合体ジオ
    ールであるかのいずれかの高分子ジオールであ
    り、かつこの高分子ジオール中における(―
    CH2CH2O―)o単位の割合は全高分子ジオール
    に対して5重量%をこえて、50重量%までの量
    であり、さらに上記nの値が平均で12〜100の
    範囲であつて、高分子ジオールの平均分子量が
    600〜5000の範囲である高分子ジオール、 (2) 脂肪族または脂環族有機ジイソシアネート (3) 脂肪族または脂環族有機ジアミン、及び必要
    により (4) ヒドラジンまたはジヒドラジド から実質的に合成され、かつ上記(3)の化合物に対
    する上記(4)の化合物の割合がモル比で4.0以下で
    あることを満たすポリウレタン、ならびに含金属
    錯塩染料、酸性染料、建染染料、硫化染料からな
    る群から選ばれた少なくとも一種の染料から形成
    された層であり、 該(―b)層は (5) 平均分子量が600〜5000の範囲のポリカーボ
    ネートジオール (6) 脂肪族または脂環族有機ジイソシアネート (7) 脂肪族または脂環族有機ジアミン、及び必要
    により (8) ヒドラジンまたはジヒドラジド から実質的に合成され、かつ上記(7)の化合物に対
    する上記(8)の化合物の割合がモル比で2.0以下で
    あることを満たすポリウレタンから形成された層
    であることを特徴とする耐久性に優れた皮革様シ
    ート物。
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