JPH0784711B2 - 難燃性合成皮革 - Google Patents

難燃性合成皮革

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JPH0784711B2
JPH0784711B2 JP22421286A JP22421286A JPH0784711B2 JP H0784711 B2 JPH0784711 B2 JP H0784711B2 JP 22421286 A JP22421286 A JP 22421286A JP 22421286 A JP22421286 A JP 22421286A JP H0784711 B2 JPH0784711 B2 JP H0784711B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は難燃性を有する合成皮革、特に乗物用シート材
に好適な合成皮革に関する。
〔従来の技術〕
近年、合成皮革特に、乾式製法に係る合成皮革に難燃性
を付与する方法としては合成皮革を構成する各層中に各
種難燃剤を添加したものが知られている。
また、一般に合成皮革は難燃剤を添加することによりポ
リウレタン樹脂の脆化,劣化を生じさせる原因となり、
通常の使用条件下でも長期間の使用に耐えられない。
一方、湿式製法に係る合成皮革の難燃化処理は乾式合成
皮革以上の技術的困難性があり、これが未解決のため、
現在まで耐久性,難燃性を有する合成皮革は得られてい
ない。
湿式合成皮革の難燃化処理の技術的困難性の具体的内容
は以下のとおりである。すなわち、繊維基材に難燃剤溶
液で後処理を施しても湿式処理における微多孔性基体を
形成させる脱溶媒凝固時に難燃剤が水中に溶出されて効
果がなくなること、また、微多孔性層を形成するポリウ
レタン中に難燃剤を添加しても、脱溶媒凝固時に同じく
難燃剤が水中に溶出されその効果がなくなること、さら
に、難燃剤を添加することにより著しく湿式成膜性能を
低下させることの3点が挙げられる。
従来よりポリウレタン系合成皮革は風合,外観が共に優
れ、鞄,袋,靴,衣料,あるいはベルト等の材料として
広く利用されている。しかしながら、従来はその原料と
して殆んどの場合、炭素数が2〜4個のグリコールと、
アジピン酸などの二塩基酸とのポリエステルをポリオー
ル成分とするポリウレタンを使用していたために、耐加
水分解性に劣り、家具,車輌用シートなど長期間に亘る
使用が必要とされる製品については到底使用に耐えられ
るものではなかった。
勿論、成分中に加水分解防止剤、例えばポリカルボジイ
ミドを添加しても若干の改善は可能であるが、本質的な
改善を期待することは出来ない。特にインテリア材料を
中心にこれを衣料,家具,車輌用材料などに適用した場
合、火災時の人的被害が大きいために、法的規制が厳し
く、特別のものを除いて実質的に実用できない。法的規
制としては、例えば自動車用内装材について、米国燃焼
規格のFMVSS-302や我国のJIS・D-1201,また、壁装材に
ついてはJIS・A-1321などがあり、その規制に合格しな
ければならない。そればかりか自動車メーカーでは法規
制よりも厳しい規格を独自に定めている場合が多い。し
かも、繊維と合成樹脂とから成る複合材料としての合成
皮革に難燃性を付与するためには燃焼機構が異なる繊維
と合成樹脂との両方の難燃化処理を要すること、一般に
難燃化を満足させるためには多量の難燃剤を含有させる
必要があるが、その結果生ずる風合の硬化,耐久性の低
下,更にはベタツキ感を生ずること、難燃剤は移行しや
すくベタツキ感と併せて表面へのブリードまたはブルー
ム現象が発生し、表面品位を損うことといった問題をあ
わせて解消しなければならない。
本発明の目的は合成皮革の風合,感触等を何等損うこと
なく難燃性を付与することができると共に、耐加水分解
性、および耐光性に優れた難燃性合成皮革を提供するこ
とにある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明はポリウレタンの微多孔性組織を難燃性繊維より
なる基材に形成した微多孔性繊維基体上にポリウレタン
接着層を介して積層した少くとも一層以上のポリウレタ
ン皮膜層を有し、前記微多孔性組織は臭素含有変性ウレ
タン化合物を含む100%モジュラス20〜120Kg/cm2のポリ
カーボネート系ポリウレタンからなり、前記ポリウレタ
ン接着層は三酸化アンチモンおよび臭素含有変性ウレタ
ン化合物を含む厚さ10〜60μ、100%モジュラス20〜60K
g/cm2のポリカーボネート系ポリウレタンからなり、前
記ポリウレタン皮膜層の一層を中皮層又は最外層として
厚さ20〜80μ、100%モジュラスが40〜180Kg/cm2のポリ
カーボネート系ポリウレタンにて構成したことを特徴と
する難燃性合成皮革さらに難燃性繊維よりなる基材がポ
リエステルに難燃剤としてリン化合物、またはハロゲン
化合物を共重合、または混合紡糸して得られる難燃ポリ
エステル繊維で形成されていることを特徴とする難燃性
合成皮革である。すなわち、編布,織布,不織布などの
難燃性繊維よりなる基材に、臭素含有変性ウレタン化合
物を含むポリカーボネート系ポリウレタン溶剤溶液を塗
布,含浸等の手段を用いて付着させた後、湿式凝固処理
して該ポリカーボネート系ポリウレタンの微多孔化した
組織を難燃性繊維よりなる基材に形成し、次いで微多孔
性繊維基体の表面に三酸化アンチモンおよび臭素含有変
性ウレタン化合物を含む接着層と、少くとも一層以上の
ポリカーボネート系ポリウレタン皮膜層を順次積層する
ことを特徴とする難燃性合成皮革である。
本発明にいう微多孔性繊維基材とは、難燃性繊維よりな
る基材の表面が起毛されたものにポリカーボネート系ポ
リウレタンの溶剤溶液が含浸されおよび/または該起毛
面上に同じくポリカーボネート系ポリウレタンの溶剤溶
液を起毛面を覆う様に塗布した後、湿式凝固処理するこ
とにより該ポリカーボネート系ポリウレタンを微多孔質
体として積層形成したものである。
上記難燃性繊維によりなる基材はポリエステルに難燃剤
としてリン化合物、またはハロゲン化合物を共重合、ま
たは混合紡糸して得られる難燃性を有するポリエステル
の紡績糸またはフィラメントの単独、または混紡繊維よ
りなる編布,織布,不織布等である。
まず、難燃性繊維よりなる基材に用いた編布,織布,不
織布等にポリカーボネート系ポリウレタンを含浸させ
る。ポリウレタンの含浸量は対繊維重量当り100%範囲
内が好ましい。
微多孔性繊維基体は上記の含浸布でもよいが、さらに含
浸布上にポリカーボネート系ポリウレタンの微多孔質被
覆層を湿式処理により基材の表面に形成させることもで
きる。微多孔質被覆層に形成される湿式セルを微細孔と
するための凝固調整剤として、一般にノニオン系界面性
剤が最も効果があるものとして知られている。なお、こ
のポリカーボネート系ポリウレタンの湿式成膜性及び風
合改良などを目的としてセルロース微粉末,炭酸カルシ
ウム,着色剤,各種安定剤,などを添加することができ
るが、添加剤の種類及びその添加量は微多孔性繊維基体
の物性との関係で慎重に決定することが必要である。こ
れらの添加剤を添加したポリカーボネート系ポリウレタ
ンの溶剤溶液をポリカーボネート系ポリウレタンを含浸
した難燃性繊維よりなる基材上に塗布して、水中で凝
固,脱溶媒し、さらに温水中で洗浄を繰返し、脱水乾燥
して微細孔を有する微多孔性繊維基材を形成する。
勿論ポリカーボネート系ポリウレタンを含浸をしない編
布,織布,不織布上に前記と同じ要領でポリカーボネー
ト系ポリウレタンの微多孔質被覆層を形成して微多孔性
繊維基体を得ることが出来る。含浸および塗布に用いる
ポリカーボネート系ポリウレタンは100%モジュラスが2
0〜120Kg/cm2である。
100%モジュラスが20Kg/cm2以下では風合はソフトにな
るが、物性が弱くなり実用的でなく、また120Kg/cm2
上では物性は向上するが風合がハード化して好ましくな
い。
また微多孔質被覆層の密度は0.3〜0.7g/CCが好ましい。
密度が0.3g/CC以下になると物性が弱くなり実用的では
なく、0.7g/CC以上になると風合が硬くなり好ましくな
い。
また、微多孔質被覆層の厚みは100μ〜1000μが好まし
い。厚みが100μ以下では柔軟性に欠けると共にボリュ
ーム感が乏しくなって好ましくなく、1000μ以上になる
と厚ぼったくなり、又しわ入りが大きくなって好ましく
ない。
また、本発明に使用するポリカーボネート系ポリウレタ
ンはポリカーボネート系ポリオールとジイソシアネート
化合物と鎖伸長剤との重合体であって、ポリカーボネー
ト系ポリオールは、一般にポリアルキレンポリカーボネ
ート系ポリオールが好ましく、具体的には1,6−ヘキサ
ンポリカーボネート系ポリオールが好ましい。
また、前記ポリアルキレンポリカーボネート系ポリオー
ルの一部をポリオキシアルキレンポリオール、例えば、
ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレング
リコール等の変性ポリカーボネートで置換した共重合体
なども使用できる。また、このポリカーボネート系ポリ
オールに反応させるジイソシアネート化合物はトリレン
ジイソシアネート,ジフェニルメタンジイソシアネー
ト,キシリレンジイソシアネート,テトラメチレンジイ
ソシアネート,ヘキサメチレンジイソシアネート,イソ
ホロンジイソシアネート,水素添加ジフェニルメタンジ
イソシアネート等が使用できる。
また、鎖伸長剤としてはエチレングリコール,1,4−ブタ
ンジオール,1,6−ヘキサンジオール,ネオペンチルグリ
コール,などの低分子グリコール又は、ピペラジン,エ
チレンジアミン,ヘキサメチレンジアミン,プロピレン
−1,2−ジアミン,N−メチル−ビス−(3−アミノプロ
ピル)アミン,1,4−ジアミノシクロヘキサン,1−アミノ
−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチル・シクロヘキ
サン,などの第1級または第2級の脂肪族アミンが使用
できる。
含浸および塗布されるポリカーボネート系ポリウレタン
エラストマー溶剤溶液中に添加される難燃剤はウレタン
結合を分子中に有する臭素含有変性ウレタン化合物を使
用する。
その添加量は臭素含有率30〜40%の難燃剤をポリウレタ
ン固形分に対して10〜30重量%添加することが望まし
い。
その添加量が10重量%以下では難燃効果が期待出来ず、
また30重量%以上では湿式成膜性能が著しく低下する。
ポリウレタン接着層に添加する難燃剤として難燃性繊維
よりなる基材に含浸または塗布されるポリウレタンに添
加される難燃剤と同じ組成の臭素含有変性ウレタン化合
物を用いる。
その添加量は臭素含有率30〜40%の難燃剤をポリウレタ
ン固形分に対して10〜30重量%添加することが好まし
い。
また、三酸化アンチモンは、臭素含有変性ウレタン化合
物と併用することにより、燃焼時に臭素系難燃剤と結合
し、相乗効果により高い難燃性を発揮するために用い
る。
三酸化アンチモンは臭素含有変性ウレタン化合物に対し
30〜60%添加することが好ましい。
本発明の最外層を、100%モジュラスが40〜180Kg/cm2
ポリウレタン皮膜層としたときには、細かなしわを有す
る天然皮革の外観を付与させることにおいて若干の難点
があるが、これを中皮層に用い、さらにその表面に100
%モジュラスが200〜600Kg/cm2の降伏値を有するポリウ
レタン皮膜層を設け、この形成された最外層としてのポ
リウレタン皮膜層に揉加工を施すことにより、しわ残り
を多くしてより天然皮革に酷似した外観を構成し得る。
この場合、中皮層に用いた皮膜層は着色剤にて着色し、
最外層の皮膜層を着色せずに透明層とするのが好まし
い。その理由は最外層が上記しわ残りの付与のほかに、
その皮膜層を着色しないことにより光による着色剤の変
退色を著しく改良出来る長所を有するからである。
本発明による難燃性を有する合成皮革は、前記の如く難
燃化された微多孔性繊維基体上に、三酸化アンチモン,
臭素含有変性ウレタン化合物を含む100%モジュラス20
〜60Kg/cm2のポリカーボネート系ポリウレタンを、厚み
10〜60μで積層してポリカーボネート系ポリウレタン接
着層を形成するが、この場合、接着層に使用するポリカ
ーボネート系ポリウレタンは、構成成分中のポリカーボ
ネート系ポリオールの一部をポリエーテル系ポリオール
例えば、ポリテトラメチレングリコール,ポリプロピレ
ングリコール等で置換した共重合体であってもよい。
さらに、前記接着層の表面に皮膜層として100%モジュ
ラスが40〜180Kg/cm2のポリカーボネート系ポリウレタ
ンを厚み20〜80μで積層する。さらにこれを中皮層に用
いて最外層を別に設けるときには、ポリカーボネート系
ポリウレタン接着層およびポリカーボネート系ポリウレ
タン中皮層は前記ポリウレタン接着層,ポリウレタン皮
膜層と同じモジュラス及び厚みに構成し、さらに中皮層
表面に最外層として100%モジュラス200〜600Kg/cm2
降伏値を有するポリカーボネート系ポリウレタン皮膜層
を厚み5〜10μで積層形成する。
なお、前記中皮層,最外層に使用されるポリカーボネー
ト系ポリウレタンはポリカーボネート系ポリオールと反
応するジイソシアネートとして黄変タイプ,難黄変タイ
プ及び無黄変タイプのいずれも使用することかできる
が、皮膜層に要求される耐光性を考慮して無黄変タイプ
のジイソシアネートを使用することが好ましい。
中皮層としてのポリウレタン皮膜層を着色するとき、こ
の層中、また必要により接着層中には着色のために顔
料,染料などの着色剤,その他の各種安定剤,充填剤等
を添加することができる。
〔発明の効果〕
本発明によれば各構成体層の硬さを変化させることによ
り、天然皮革に酷似した風合,感触,しわ入りが可能で
あり、耐加水分解性,耐光性に優れた合成皮革を得るこ
とができる。
また自動車シートの表面材に用いて万一火災事故が発生
した場合は、繊維基材中よりハロゲンガスが発生し、ま
たポリウレタン中より臭素ガスが発生してポリウレタン
中の三酸化アンチモンと直ちに反応するため、著しい難
燃効果を発揮することができる。
さらに本発明によれば構成体の最外層に降伏値を有する
ポリカーボネート系ポリウレタンを積層形成すれば天然
皮革に酷似した風合,感触しわ入りの他に、しわ残り性
に優れ、かつ耐加水分解性,耐光性に優れた合成皮革が
得られる。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を掲げるが、本発明はこれらの実
施例に限定されるものではない。
(実施例1) 難燃性繊維基材として、ポリエステルにリン化合物を共
重合して得られた難燃性ポリエステル繊維からなる起毛
布上に100%モジュラス60Kg/cm2の1,6−ヘキサンジオー
ルポリカーボネート系ポリウレタン溶剤溶液(溶剤DM
F)からなる下記塗布液を調合し、これを1.0m/mの厚み
に塗布した。
〈塗布液配合〉 重量部 ○ポリウレタン溶剤溶液(固形分30%) 100 ○臭素含有変性ウレタン化合物(固形分70%)(DFR-10
02S臭素含有率31%:大日精化製) 12 ○着色剤 5 ○ノニオン系界面活性剤 1.5 ○DMF 100 起毛布上に上記塗布液を塗布した後、20℃の水中で凝
固,脱溶媒させ、脱水後、130℃の熱風下で乾燥して厚
み1.1m/mの極めて表面平滑性に優れる微多孔性繊維基体
を得た。
一方、絞付き離型紙上に、100%モジュラス90Kg/cm2
1,6−ヘキサンジオールポリカーボネート系ポリウレタ
ン溶液(着色剤15重量部含有)を乾燥厚味が40μになる
ようにナイフコーターにて塗布し、これを100℃で3分
間熱風乾燥させ、ポリカーボネート系ポリウレタン皮膜
層を形成した。
さらに、前記皮膜層表面に100%モジュラスが25Kg/cm2
の1,6−ヘキサンジオールポリカーボネート−ポリテト
ラメチレングリコール共重合体のポリウレタン接着剤
(ポリウレタン溶液固形分40%,100重量部)に対して
(三酸化アンチモン5重量部と臭素含有変性ウレタン化
合物15重量部含有)を乾燥厚味が25μになるようにナイ
フコーターにて塗布し、100℃で3分間熱風乾燥した
後、該ポリウレタン接着層の上面に前述の微多孔性繊維
基体の微多孔被覆層面を140℃で熱圧着して貼合せた
後、接着剤の硬化後離型紙を剥離して合成皮革を得た。
得られた合成皮革は米国燃焼規格FMVSS-302に合格し、
かつ、耐加水分解性,耐光性に優れ、風合,外観も天然
皮革に酷似し、車輌用シート材として好適なものであっ
た。
(実施例2) 難燃性繊維基材として、ポリエステルにハロゲン化合物
を混合紡糸して得られた難燃性ポリエステル繊維からな
る両面起毛布に、100%モジュラス50Kg/cm2の1,6−ヘキ
サンジオールポリカーボネート系がポリウレタン溶剤溶
液(溶剤DMF)を下記配合よりなる含浸液を調合して含
浸し、スクイズロールにより対繊維重量当りポリウレタ
ン固形分25%となるように絞り、次いでこれを20℃の水
中に浸漬し、凝固,脱溶媒して脱水後130℃の熱風下で
乾燥し含浸布を得た。
〈含浸液配合〉 重量部 ○ポリウレタン溶剤溶液(固形分30%) 100 ○臭素含有変性ウレタン化合物(固形分70%)(DFR-10
01S臭素含有率35%:大日精化製) 10 ○着色剤 5 ○ノニオン系界面活性剤 1.5 ○DMF 200 次いで微多孔質被覆層形成用塗布液として100モジュラ
ス40Kg/cm2の1,6−ヘキサンジオールポリカーボネート
系ポリウレタン溶剤溶液(溶剤DMF)からなる下記の配
合液を調合し、これを上記含浸布上に1.1m/mの厚みに塗
布した。
〈塗布液配合〉 重量部 ○ポリウレタン溶剤溶液(固形分30%) 100 ○臭素含有変性ウレタン化合物(固形分70%)(DFR-10
01S臭素含有率35%:大日精化製) 10 ○着色剤 5 ○ノニオン系界面活性剤 1.5 ○DMF 90 上記塗布液を含浸布上に塗布した後、20℃の水中で凝
固,脱溶媒させ、脱水後、130℃の熱風下で乾燥して厚
味1.2m/mの極めて表面平滑性に優れる微多孔性繊維基体
を得た。
一方、絞付き離型紙上に、降伏値を有する100モジュラ
ス250Kg/cm2の1,6−ヘキサンジオールポリカーボネート
系ポリウレタン溶液(着色剤を含有しない透明液)を乾
燥厚味が7μになるようにナイフコーターにて塗布し、
これを100℃で2分間熱風乾燥させ、ポリカーボネート
系ポリウレタン皮膜層を形成した。
次に前記皮膜層表面に100%モジュラスが60Kg/cm2の1,6
−ヘキサンジオールポリカーボネート系ポリウレタン溶
液(着色剤20重量部含有)を乾燥厚味が40μになるよう
にナイフコーターにて塗布し、これを100℃で3分間熱
風乾燥させ、ポリカーボネート系ポリウレタン中皮層を
形成した。
さらに、前記中皮層表面に100%モジュラスが20Kg/cm2
の1,6−ヘキサンジオールポリカーボネート−ポリテト
ラメチレングリコール共重合体のポリウレタン接着剤を
下記配合で乾燥厚味が30μになるようにナイフコーター
にて塗布した。
〈接着剤配合〉 重量部 ○ポリウレタン溶液(固形分40%) 100 ○三酸化アンチモン 6 ○臭素含有変性ウレタン化合物(固形分70%)(DFR-10
02S臭素含有率31%:大日精化製) 15 ○トルエン 10 これを100℃で3分間熱風乾燥した後、該ポリウレタン
接着層の上面に前述の微多孔性繊維基体の微多孔被覆層
面を140℃で熱圧着して貼合せた後、離型紙を剥離して
合成皮革を得た。
得られた合成皮革に揉機で揉皺を入れたところ揉皺の入
りが良好で、かつ揉皺を長期にわたり保持するばかりで
なく、風合,外観とも天然皮革に酷似しており、米国燃
焼規格FMVSS-302に合格し、かつ耐加水分解性,耐光性
に優れ、車輌用シート材として好適なものであった。
(比較例1) 実施例1において、塗布液配合の中に臭素含有変性ウレ
タン化合物を添加しない以外は実施例1と同様に加工し
て合成皮革を得た。
(比較例2) 実施例1において、難燃性繊維基材として、ポリエステ
ル繊維からなる起毛布に下記配合液からなる難燃剤を含
浸し、ウェットピックアップ率が80%になるように絞
り、130℃で3分乾燥後さらに150℃で2分熱処理してポ
リエステル繊維を難燃処理した。
〈難燃剤配合〉 重量部 ○含リン含窒素系化合物(フレームガードVF-74:大日本
インキ製) 15 ○メラミン樹脂 1.5 ○触 媒 0.1 ○水 85 上記の如く後処理による難燃ポリエステル繊維の機能布
を使用する以外は実施例1と同様に加工して合成皮革を
得た。
(比較例3) 実施例2において、ポリウレタン溶剤溶液からなる含浸
液および塗布液配合において、臭素含有変性ウレタン化
合物のかわりに含ハロゲン縮合有機リン酸エステル(商
品名CR-505:大八化学製)をポリウレタン溶剤溶液100重
量部に対し10重量部を添加し、実施例2と同様に凝固,
脱溶媒,脱水乾燥して微多孔性繊維基体を得た。
得られた該微多孔性繊維基体は1.04m/mの極めて表面平
滑性に劣るものであり、風合の硬いものであった。
該微多孔性繊維基体をさらに実施例2と以下同様に処理
して合成皮革を得た。
(比較例4) 実施例2において、接着層中に三酸化アンチモン,臭素
含有変性ウレタン化合物のかわりに難燃剤としてハロゲ
ン化リン酸エステル化合物(商品名ファイロールFR-2:
ストファ・ケミカル社製)をポリウレタン溶液100重量
部に対し、20重量部を添加する以外は、実施例2と同様
に加工して合成皮革を得た。
実施例1および2、並びに比較例1,2,3および4によっ
て得られた合成皮革につき、次の条件で米国燃焼規格FM
VSS-302による燃焼試験結果および耐加水分解性,耐光
性試験結果を第1表に示す。
○燃焼試験方法 米国燃焼規格FMVSS-302に準ずる燃焼速度(インチ/
分)を測定した。
○耐加水分解性の測定方法 合成皮革の試料片を相対湿度95%,温度70℃の条件下に
6週間放置し、その後試料片の樹脂層をテーバー型摩耗
試験機にて荷重1Kg,摩耗回数2000回にて表面状態を観察
した。
○耐光性の測定方法 合成皮革の試料片をブラックパネル温度83℃のフェード
メーターで300時間照射し、その後、試料片の樹脂層を
テーバー型摩耗試験機にて荷重1Kg,摩耗回数2000回にて
表面状態を観察した。
以上第1表に明らかなとおり、本発明により耐加水分解
性,耐光性にあわせて特に難燃性に優れた合成皮革を得
ることができた。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリウレタンの微多孔性組織を難燃性繊維
    よりなる基材に形成した微多孔性繊維基体上にポリウレ
    タン接着層を介して積層した少くとも一層以上のポリウ
    レタン皮膜層を有し、 前記微多孔性組織は臭素含有変性ウレタン化合物を含む
    100%モジュラス20〜120Kg/cm2のポリカーボネート系ポ
    リウレタンからなり、 前記ポリウレタン接着層は三酸化アンチモンおよび臭素
    含有変性ウレタン化合物を含む厚さ10〜60μ、100%モ
    ジュラス20〜60Kg/cm2のポリカーボネート系ポリウレタ
    ンからなり、 前記ポリウレタン皮膜層の一層を中皮層又は最外層とし
    て厚さ20〜80μ、100%モジュラスが40〜180Kg/cm2のポ
    リカーボネート系ポリウレタンにて構成したことを特徴
    とする難燃性合成皮革。
  2. 【請求項2】難燃性繊維よりなる基材がポリエステルに
    難燃剤としてリン化合物、または、ハロゲン化合物を共
    重合して得られる難燃ポリエステル繊維で形成されてい
    ることを特徴とする特許請求の範囲第一項記載の難燃性
    合成皮革。
  3. 【請求項3】難燃性繊維よりなる基材がポリエステルと
    難燃剤としてリン化合物、または、ハロゲン化合物を混
    合紡糸して得られる難燃ポリエステル繊維で形成されて
    いることを特徴とする特許請求の範囲第一項記載の難燃
    性合成皮革。
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