JPH0323660B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、エアジエツトルームまたはウオータ
ージエツトルーム等のような流体噴射式織機にお
ける緯糸吸引装置に関する。

〔従来の技術〕

製織作業の高速化のために、上下経糸間に形成
された杼口にジエツトノズルにより緯糸を緯入れ
する流体噴射式織機が広く使用されている。流体
噴射式織機においては、従来の有杼織機と異な
り、杼を用いることなく緯糸を空気または水のよ
うな流体によつて杼口を飛走させているので有杼
織機に比べ緯入れミスが生じ易い。すなわち、ジ
エツトノズルから緯糸が供給されない、所謂、緯
糸供給ミスを生じたり、ジエツトノズルから供給
はされたがジエツトノズルの反対側の耳糸まで緯
糸が到達しない、所謂、搬送ミスを生じることが
ある。

また、高速度で作動している流体噴射式織機に
おいては、緯射れミスを発見した直後に織機の駆
動を停止しとしても、織機の各部が過大な減速度
により破壊することを防止するために、緯入れミ
ス検出後、約１サイクル程度慣性作動した後に機
台が停止するようにタイミング選定されている。
そのため、従来緯入れミス信号により流体噴射式
織機が停止した場合には、停台する前にその次の
緯入れサイクルが遂行されてしまう。

同様に、織成作業中に経糸（耳糸を含む）が切
断したり、人為操作によつて織機のスイツチが切
られたりすると、前述した理由と同様な理由によ
り織機は慣性で１サイクル程度作動した後に停止
する。

特開昭58−197339号公報には、緯入れミス時、
経糸切れ時、人為操作による停台時等の流体噴射
式織機の修復を容易に、且つ、熟練を要すること
なく行える流体噴射式織機の緯糸（すなわち、緯
入れミスされた緯糸、糸切れした経糸等）の処理
方法として、測長した緯糸をジエツトノズルによ
り、上下経糸間に形成された杼口に緯入れする流
体噴射式織機において、織機の停止信号を検出す
ると、機台が停止するまでの間の緯入れを阻止し
つつ機台を制動し、次いで杼口への緯糸の供給を
行うことなく、前記停止信号を発信させた緯糸の
処理が可能な状態まで、機台を逆転する流体噴射
式織機における緯糸処理方法が開示されている。

上記緯糸処理方法を実施するのに最適な装置と
して、特開昭58−214556号公報には、上下経糸間
に形成された杼口に、ジエツトノズルから噴射さ
れる圧力流体により、緯糸を挿入する流体噴射式
織機の緯入れ装置において、吸引口先端がジエツ
トノズルとジエツトノズル側耳糸との間の緯糸経
路の近傍に位置するようにサクシヨンパイプを設
置することが開示されている。更に、この公報に
は、緯糸経路を飛走している緯糸をサクシヨンパ
イプへ誘導する手段として遮断体を揺動可能に設
けることが開示されている。誘導手段の他の態様
として、圧縮空気噴射ノズルをサクシヨンパイプ
に対向配置することも、この公報に開示されてい
る。

〔発明が解決しようとする問題点〕

上述した特開昭58−197339号公報、特開昭58−
214556号公報においては、サクシヨンパイプによ
り緯糸を確実に吸収するべく、サクシヨンパイプ
を緯糸経路に対して進退可能として、緯糸吸引時
にサクシヨンパイプの先端が充分に緯糸に接近す
るようにしている。しかしながら、サクシヨンパ
イプをこのように移動可能に設置することは、設
備が大型化し、配置スペース等から実際上、困難
なことがある。

一方、サクシヨンパイプを固定設置した場合に
は、設置場所の制約等から緯糸吸引時にサクシヨ
ンパイプの先端が充分に緯糸に接近できない。

すなわち、メインジエツトノズルがスレー上に
設置されている場合には、スレーとともにメイン
ジエツトノズルが揺動運動し、緯糸吸引時にメイ
ンジエツトノズルがサクシヨンパイプから遠ざか
る方向に動くためサクシヨンパイプとの距離が開
いてしまい、しかも緯糸をサクシヨンパイプに吸
引すべきクランク角度（約180度）はメインジエ
ツトノズルの噴射タイミング（約90〜230度）中
にあるため、サクシヨンパイプの吸引力がメイン
ジエツトノズルの噴射に負けてしまい、緯糸の吸
引を確実に行うことができないことがある。

また、メインジエツトノズルが機台に固定設置
されている場合にも、緯入れ時の邪魔になるため
にサクシヨンパイプをメインジエツトノズルの出
口の直前に充分に接近して設置することができ
ず、緯糸吸引時にサクシヨンパイプの先端が充分
に緯糸に接近できず、サクシヨンパイプの吸引力
に限界があり、緯糸の吸引を確実に行うことがで
きないことがある。

本発明は上述のような問題点に鑑み、緯糸吸引
装置を小形化することができ、サクシヨンパイプ
の先端をメインジエツトノズルからある程度離す
ことを可能とし、緯糸吸引装置の設置場所に余裕
を持たすことができ、しかも緯糸の吸引動作を確
実に行うことができる流体噴射式織機における緯
糸吸引装置を提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は、メインノズル前方の緯糸経路に交差
する遮断位置と前記緯糸経路から離れた退避位置
との間を移動可能に遮断体が設けられており、該
遮断体の近傍のメインノズル側には該遮断体によ
り受け止められた緯糸の吸引導入用の吸引源に連
結するサクシヨンパイプおよび圧縮空気を噴射し
て該サクシヨンパイプに向けて前記緯糸を吹付け
るエアブローパイプが前記緯糸経路を挟んで対向
配置されている流体噴射式織機における緯糸吸引
装置により上記の目的を達成する。

〔作用〕

本発明においては、緯糸吸引時に遮断体を緯糸
経路に交差する遮断位置としてメインノズルから
の緯糸を受け止め、エアーブローパイプから該緯
糸に向けて圧縮空気を吹き付け、遮断体とエアブ
ローパイプとサクシヨンパイプとの協働作用によ
り緯糸を確実にサクシヨンパイプに吸引すること
ができる。

本発明の遮断体は、メインノズルからの噴射流
体を緯入れ方向に透過させる流体透過部を有して
おり、遮断体上で緯糸がメインノズルからの噴射
流体により乱されないようにすることが好まし
い。この場合、流体透過部は、金属、繊維からな
り適度の目開きの綱状体、金属、繊維からなる織
布もしくは不織布、または薄い金属板からなる多
孔板、または綱状体、織布、不織布もしくは多孔
板の積層体として構成し、メインノズルから噴射
された緯入れ流体を透過可能とする。

〔実施例〕

以下添付図面を参照して、本発明を詳細に説明
する。第１図は本発明に係るエアジエツトルーム
の駆動系の概要を示す平面図であり、チーズ１か
らテンサー（図示せず）を経てフイードローラ
２，３により緯糸Ｙを解舒し、エアノズル４によ
りプールパイプ６に貯留する。

フイードローラ２，３は、例えば特開昭58−
197339号公報に開示されているような構造をして
おり、機台のクランクシヤフトに連動し、クラン
クシヤフトの回転に応じて所定長の緯糸Ｙをフイ
ードローラ２，３により測長し、エアノズル４に
供給する。なお、例えば、特開昭59−125943号公
報に開示された測長ドラムの周面に緯糸を巻付
け、該測長ドラムからの解舒を制御するようにし
た測長貯留機構等、種々の緯糸測長貯留機構を用
いてもよい。

ウールパイプ６は、その一側に軸方向のスリツ
ト６ａを有しており、プールパイプ６内に貯留し
た緯糸Ｙをそのスリツト６ａから取出し可能であ
る。

プールパイプ６およびメインエアジエツトノズ
ル９間にグリツパ５を設け、プールパイプ６から
メインエアジエツトノズル９への緯糸Ｙの供給を
制御している。

本実施例のメインエアジエツトノズル９は、ス
レー８に設けており、クランクシヤフトの回転に
周期してスレー８とともに揺動し且つ圧縮空気を
噴射し、上下経糸Ｗ間に形成された杼口へ緯糸Ｙ
を緯入する。

メインエアジエツトノズル９の反対側の耳糸の
近傍に、緯糸Ｙが確実に緯入されたか否かを検出
する光電式、機械式または流体式等の適宜な形式
の検出器（図示せず）を設け、メインエアジエツ
トノズル９による緯糸Ｙの緯入れミスを検出す
る。

メインエアジエツトノズル９とグリツパ５の間
に光電式、機械式または流体式のフイーラ（図示
せず）を設けており、緯糸の供給ミスを検知する
ようにしている。

次に本発明に係る緯糸吸引装置１３を説明す
る。

メインエアジエツトノズル９と耳糸との間の位
置に、圧縮空気の作用により吸引力を生じる公知
のエゼクタタイプのサクシヨンパイプ１７を機台
に固定して設けている。なお、サクシヨンパイプ
は圧縮空気のエゼクタ作用により吸引力を生じる
ものに限られず、例えば、吸引源に連結し吸引力
を生じるようにしたサクシヨンパイプを採用して
もよい。

第２図および第３図に示すように、サクシヨン
パイプ１７の先端部を上縁に支持ブラケツト１９
に固着し、該支持ブラケツト１９の下面に合成樹
脂製の適度の弾性および耐摩耗性を有する切断盤
２０をボルトにより取外し可能に取着している。
なお、支持ブラケツト１９はサクシヨンパイプ１
７に固着する代りに直接機台に取り付けてもよ
い。

サクシヨンパイプ１７の軸線上に該サクシヨン
パイプ１７と整合し且つ緯糸経路を挟んで該サク
シヨンパイプ１７と対向してエアブローパイプ１
６を機台に固定配置している。切換え弁（図示せ
ず）によりエアブローパイプ１６から圧縮空気を
噴射されると、サクシヨンパイプ１７とエアブロ
ーパイプ１６との間の緯糸はエアブローパイプ１
６と対向したサクシヨンパイプ１７に押し込ま
れ、該サクシヨンパイプ１７に吸引される。

機台に支軸１４の回動可能に支持し、該支軸１
４の後端にはエアシリンダ、電磁ソレノイド等の
回動部材（図示せず）を連結しており、先端には
遮断体１５を取着しており、サクシヨンパイプ１
７の近傍でメインエアジエツトノズル９と反対側
の位置において、遮断体１５お上下に回動させ
る。該遮断体１５は上下の回動とともに、緯糸の
経路から外れた退避位置、および緯糸経路に交差
する遮断位置を取るようになつている。なお、前
記遮断体１５は上下方向に回動するものに限られ
ず、例えば織機の前後方向に運動する形式であつ
てもよい。

遮断体１５は第３図に示すように扇形をしてお
り、その壁面には金網製の網からなり、メインエ
アジエツトノズル９からの噴射流体を緯入れ方向
に透過させる流体透過部１５ｃを形成して、噴射
流体が遮断体に衝突して攪乱されないようにし、
緯糸を散乱させることを防止している。

第２図、第３図に示すように、遮断体１５の下
部から取り付けアーム１５ａに折曲げて突出さ
せ、該取り付けアーム１５ａに薄板金属製の切断
刃物１８のボルト等により取外し可能に取着して
いる。遮断体１５とともに切断刃物１８が回動し
て、該切断刃物１８の上端が合成樹脂製の切断盤
２０に押付けられるとメインエアジエツトノズル
９からサクシヨンパイプ１７に繋がる緯糸を切断
することができる。

また、遮断体１５の上部には、折曲げ成形した
鍔１５ｂを設け、前記流体透過部１５ｃで塞き止
めた緯糸が上方へ飛び出すことを防止するととも
にサクシヨンパイプ１７による吸引空気流を案内
するようにしている。

次に第４図、第５図を参照して、緯入れミス時
の本発明の装置の作用を説明する。

綜絖枠を開口運動させて、上下緯糸Ｗ間に形成
された杼口に緯糸Ｙを緯入れする。すなわち、第
１図において、チーズ１からテンサーを経て解舒
された緯糸Ｙを、クランクシヤフトの回転に応じ
て回転するフイードローラ２，３により測長した
後、エアノズル４によりプープパイプ６内に貯留
する。パールパイプ６とメインエアジエツトノズ
ル９との間に設けたグリツパ５およびメインエア
ジエツトノズル９をクランクシヤフトの回転に同
期して作動制御して、メインエアジエツトノズル
９から噴射される圧縮空気により、前記パールパ
イプ６内に貯留された緯糸Ｙを、上下経糸Ｗ間に
形成された杼口に緯入れする。

メインエアジエツトノズル９と反対側の耳糸近
傍に配置された検出器は、緯糸Ｗのほぼ閉口時
（クランク角度250〜300度）に緯入れ状態をチエ
ツクする。

何らかの原因により杼口に緯入れさた緯糸がメ
インエアジエツトノズル９の反対側に耳糸まで到
達しない、緯入れミスが生じると、検出器が緯入
れミス信号を発する（時間Ａ）。この緯入ミス信
号により機台を駆動するモータの運動を停止させ
て、慣性運転に入る。また、緯入れミス信号が発
信されると、回動部材により支軸１４を回動さ
せ、該支軸１４に取着した遮断体１５を緯糸の経
路に交差させるとともに、サクシヨンパイプ１７
の吸引およびエアブローパイプ１６からの圧縮空
気の吹き付けを開始する。

このようにして、緯入れミス後の次のサイクル
に時間Ｂ〜Ｃにメインエアジエツトノズル９から
射出される緯糸および噴射流体のうち、緯糸は遮
断体１５に塞き止められ、噴射流体は流体透過部
１５ｃを透過して緯入れ方向に進む。従つて、噴
射流体が遮断体に衝突して攪乱されることがな
く、攪乱流体により緯糸が散乱させることがな
い。遮断体１５に塞き止められた緯糸はエアブロ
ーパイプ１６から噴射された圧縮空気流により対
向したサクシヨンパイプ１７に押し込まれ、該サ
クシヨンパイプ１７に吸引される。以上のように
して、緯糸が杼口に緯入れされることが阻止され
る。

慣性運転していた機台は約１サイクル動いた
後、経糸Ｗがほぼ閉口した状態（クランク角度で
約300度）で停止する（時間Ｄ）。

以下、特開昭58−197339号公報に開示されてい
る手順と同様な手順に従い経糸Ｗが開口した状態
まで機台を逆転し、緯入れミスした緯糸を除去す
る。

次いで、遮断体１５を退避位置へ戻し、切断刃
物１８を回動して合成樹脂製の切断盤２０の押付
けることによりメインエアジエツトノズル９から
サクシヨンパイプ１７に繋がる緯糸を切断する。
従つて、メインエアノズル９の先端から所定長さ
より短い緯糸端が臨むことになる。

この状態で機台を起動位置まで逆転し、起動す
る。

〔変態様〕

以上の説明においては、緯入れミスした緯糸の
修復の例につき説明したが、本発明は経糸切れ、
耳糸切れまたは人為操作による流体噴射式織機の
停台時にも適用可能である。

また、以上の説明においては、流体噴射式織機
において機台運転中に緯糸の緯入れミス、緯糸の
供給ミスまたは緯糸もしくは耳糸切れ等のミスが
発生した場合に、ミス糸の次に緯入れされる緯糸
を、本発明の装置によ阻止して吸引していた。し
かし、ミス糸を検出した際にミス糸の次の緯糸を
メインノズルの上流側においてグリツパ等で把持
しておき、停台時に把持していた緯糸を本発明の
装置を用いて吸引処理してもよい。

更に、上述の実施例においては、メインノズル
をクランク軸に周期して揺動するスレー上に設
け、遮断体、サクシヨンパイプおよびエアブロー
パイプを機台に設けていた。しかし、本発明は
種々の変形が可能である。例えば、メインノズル
も機台に固定設置してもよい。また、エアブロー
パイプを機台に固定して設け、遮断体、サクシヨ
ンパイプをスレー上に設けてももい。更にまた、
遮断体、サクシヨンパイプおよびエアブローパイ
プをスレーに設けてもよい。

〔発明の効果〕

本発明において、緯糸吸引時に遮断体を緯糸経
路に交差する遮断位置としてメインノズルからの
緯糸を受け止め、エアーブローパイプから該緯糸
に向けて圧縮空気を吹き付け、遮断体とエアブロ
ーパイプとサクシヨンパイプとの協働作用により
緯糸を確実にサクシヨンパイプに吸引することが
できる。

従つて、本発明により、緯糸吸引装置を小形化
することができ、サクシヨンパイプの先端をメイ
ンジエツトノズルからある程度離すことを可能と
し、緯糸吸引装置の設置場所に余裕を持たすこと
ができ、しかも緯糸の吸引動作を確実に行うこと
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るエアジエツトルームの駆
動系の概要を示す概略平面図、第２図は第１図の
緯糸吸引装置の平面図、第３図は第２図の側面
図、第４図は本発明緯糸吸引装置の位置作動の一
実施例を示す側面図、第５図は第４図に示す装置
の作動ダイアグラムである。 ９……メインノズル、１５……遮断体、１５ｃ
……流体透過部、１６……エアブローパイプ、１
７……サクシヨンパイプ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ メインノズル前方の緯糸経路に交差する遮断
   位置と前記緯糸経路から離れた退避位置との間を
   移動可能に遮断体が設けられており、該遮断体の
   近傍のメインノズル側には該遮断体により受け止
   められた緯糸の吸引導入用の吸引源に連結するサ
   クシヨンパイプおよび圧縮空気を吹付けるエアブ
   ローパイプが前記緯糸経路を挟んで対向配置され
   ていることを特徴とする流体噴射式織機における
   緯糸吸引装置。 ２ 前記遮断体は噴射流体を緯入れ方向に透過さ
   せる流体透過部を有している特許請求の範囲第１
   項記載の流体噴射式織機における緯糸吸引装置。