JPH0323338B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は住宅などの壁、天井、床などに施工し
て用いる化粧板で、化粧板の長手方向に平行な複
数本の溝と、それらの間を最短距離で継なぐ複数
本の溝を有する化粧板の細溝形成方法に関する。

〔従来技術〕

従来、化粧板の表面に細溝を形成する方法とし
ては化粧紙、合成樹脂フイルム、突板などの化粧
シートを常用の接着剤を介して合板やパーテイク
ルボードなどの木質基板やケイ酸カルシウム板、
石綿板などの無機質基板の上面に貼着して化粧板
とした後、該化粧板の表面からカツターや鋸を用
いて長側辺に平行に複数本の細溝を切削後、該細
溝内を所望の色に塗装するか、短繊維を植毛した
り、さらには細い紙テープを貼着するなどの方法
が取られていた。

そのため化粧板の長側辺に平行する方向に設け
られる細溝は比較的簡単な機械装置を用いて連続
的な作業により形成することは出来るが、該細溝
間を最短距離で継なぐ細溝、すなわち化粧板の長
側辺に直交する方向に設ける細溝は非常に高価で
特殊な切削加工機を用いるか、化粧板を細溝間隔
に切断して幅峡の化粧板とした後、該化粧板の長
側辺に直交する方向に切削加工をしなければなら
ず、非常に手間を要する作業であつた。

また細溝加工は前記の様に基板まで切削するか
ら少なくとも３mm以上、望ましくは４mm以上の厚
さを有する比較的厚手の基板を用いなければ均一
な深さや幅で、かつ化粧板の見掛けに立体感を付
与することは出来ない。

さらに合板やパーテイクルボードを基板とした
化粧板の場合、合板を構成する表単板やパーテイ
クルボードを構成する表面のチツプ層の厚さはわ
ずか0.5〜1.0mm程度と非常に薄いから、溝を形成
するために切削加工を行なうと単板の繊維方向が
化粧板の長手方向と直交する芯板単板や非常に粗
大な芯層チツプが表面に露出する。木材はその繊
維方向と直交する方向に切削された場合はその切
り口が毛羽立つて美しい切削面とはならない。そ
のため合板の芯板やパーテイクルボードの芯層チ
ツプはカツターや鋸で切削されると、その部分が
毛羽立ち、化粧板の細溝内に非常に見苦しい仕上
りとならざるを得ない。加えるに合板の芯板単板
は表単板よりも低品質の単板が用いられるから色
調や肌目の粗な単板などが継ぎ合されて用いられ
る事が多く、そんな場合は溝内の色調を統一する
必要上、濃色の塗料を溝内へ多量に塗布したり、
細い紙テープを貼着するなど、非常に手間のかか
る作業が必要であるなどの問題点があつた。

〔発明の目的〕

本発明は上記の様な従来の化粧板の溝加工に関
する問題点を解決し、化粧板の表面に美しい化粧
板の長側辺方向の細溝と、それに直交する方向の
細溝を容易に形成する方法を提供することを目的
としている。

〔発明の構成〕

本発明は上記の目的を達成するために以下の構
成を有している。すなわち本発明は、基板上面に
接着剤を介して化粧シートが貼着された化粧板の
表面に、該化粧板の長側辺に平行する方向に複数
本の細溝凹部と該細溝凹部間を最短距離で継なぐ
複数本の細溝凹部を形押し成形することを特徴と
した化粧板の溝加工方法に係わり、その最も特徴
とする点は化粧板の長側辺方向に平行する細溝と
長側辺方向に直交する細溝を化粧シートの上面よ
り形押し成形することにある。

以下、本発明を図面とともに詳述する。第１図
は本発明の方法を実施するための工程を示す実施
例的な側面略図である。

１は化粧板を示し、該化粧板１は基板３上に化
粧シート２としての突板単板がレンガ積み模様状
に接着剤を介して貼着されている。なお化粧シー
ト２としては重さが17〜50ｇ／m²程度の範囲にあ
る印刷用の薄紙や55〜100ｇ／m²程度のチタン紙、
厚さ0.07〜0.1mm程度の合成樹脂フイルムなどで、
その表面に各種の木目模様や抽象模様が印刷さ
れ、場合によつてはその全面に透明な塗料５が上
塗りされているものや、厚さが0.2〜1.0mm程度の
天然や人工の突板を使用することも出来る。

基板３は厚さが2.0〜12mm程度の合板、パーテ
イクルボード、ハードボード、MDFなどの木質
基板やケイ酸カルシウム板、石膏ボード、石膏ス
ラグ板、炭酸カルシウム板、石綿繊維板、ガラス
繊維板などの無機質基板などをさす。

化粧シート２を基板３に貼着するための接着剤
としては常用の酢酸ビニール樹脂系エマルジヨン
タイプの接着剤やEVA系樹脂接着剤さらには尿
素樹脂系、メラミン樹脂系、フエノール樹脂系、
ゴム系などの接着剤である。

前記の化粧板１は第３図に示す様に金属性ロー
ルの表周に平行する複数の突状部４と、該突状部
４間を部分的に連結する突状部５から構成された
型押しロール６により、化粧板１の表面を押圧し
て化粧板の長側辺に平行な複数本の凹部７とそれ
ら凹部７を部分的に連結する凹部８を形成する。
なお化粧板の長側辺に平行な凹部７とそれら凹部
７を部分的に連結する凹部８はそれぞれ別個の型
押しロールを用い、同調させる様に押圧形成して
も良い。

押圧力としては化粧板１の厚さの約70％の間隔
にセツトした型押しロール６と送りロール９間を
通過させると良い。なお型押しロール６の形状と
しては第３図の様に、ロール６先端部がテーパー
状に面取りされたものを使用すると化粧シート２
が破れず、かつ化粧表面の立体感が強調されて好
ましい。

また型押しロール６の先端部に種々のメツシユ
加工を施しておくと、成型された凹部７や８内に
微小な凹凸が形成され、該凹凸が光を乱反射して
凹部７や８内を艶消し状態にし、細溝の深さが一
層強調される。

以上の工程を経て製造された化粧板は第４図や
第５図の様な見掛けを有し、そのＡ−A′断面は
第６図の様な形状となる。

〔実施例〕

次に本発明の実施例を記す。

◎ 実施例(1) 厚さ12mm、幅30.3cm、長さ180cmの合板表面に
厚さ0.3mmの突板単板がレンガ積み模様状に貼着
された化粧板の表面を第３図に示す様な金属性の
ロールで、その表周に化粧板表面に貼着された突
板単板の接合部分と同調する位置に突状部を有す
る型押しロールにより押圧して幅１mmの細溝凹部
を突板単板の接合部分に形成し、第４図の様な化
粧板を得た。なお、型押しロールと送りロール間
隔は8.5mmにセツトし、化粧板の表面に形成され
た細溝の深さは約1.0mmであつた。

ついでその化粧板全面に透明な艶消しのサンデ
イングシーラーを塗布後、乾燥し、平坦な表面部
分を研磨後、艶有りの透明塗料を平坦部分に塗布
して、細溝部と表面部の艶が異なつた立体感にと
む細溝入り突板化粧板を得た。

◎ 実施例(2) 厚さ2.5mm、幅91cm、長さ180cmの合板表面に木
目模様が印刷され、さらにその上面に透明な上塗
り塗装が施された重さ23ｇ／m²の化粧紙が貼着さ
れた化粧合板を実施例(1)と同様の型押しロールに
より押圧し、その表面に幅１mmの細溝凹部を形成
して、第５図に示す様な、化粧単板がレンガ模様
状に貼着され、かつ、その接合部分に細溝加工が
施された様に見える化粧板を得た。

〔発明の効果〕

本発明の化粧板の溝加工方法は以上の様な方法
であるため、 従来は非常に手間を要したり、高価な設備を
必要とした化粧板の長側辺に平行する細溝間を
最短距離でむすぶ細溝も容易に形成することが
出来る。

合板やパーテイクルボードの様に芯板や芯層
の材質が粗であつたり、色の異なる基板を用い
た化粧板の表面にも化粧シートで被覆したまま
基板内へ押込む様に凹部を形成するから、芯板
や芯層チツプを表面に露出させることなく、毛
羽立ちや色違いのない、美しい細溝を形成する
ことが出来る。

厚さが３mm未満の薄い化粧板で、従来は細溝
加工を施すことが出来なかつた化粧板にも、本
発明の方法を用いると細溝の形成が可能とな
る。

従来の化粧板の溝形成方法に比べ、本発明の
方法は溝塗料を塗布したり、紙テープを貼るな
どの作業を必要としないため、生産効率が大幅
に向上する。

細溝内の艶も型押しロールの先端部のメツシ
ユの大きさを変えることにより調整出来る。

などの効果を有している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の方法を実施するための工程を
示す実施的な側面略図である。第２図は本発明で
使用する化粧板を示す拡大断面図。第３図は型押
しロールにより凹部を形成する状態を示す拡大断
面図。第４図、第５図は細溝が形成された化粧板
の正面図で、第６図はＡ−A′拡大断面図。 １：化粧板、２：化粧シート、３：基板、４，
５：型押しロール表周に設けた突状部、６：型押
しロール、７：化粧板の長側辺に平行な細溝、
８：化粧板の短側辺に平行な細溝。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 基板上面に接着剤を介して化粧シートが貼着
   された化粧板の表面に、該化粧板の長側辺に平行
   する方向に複数本の細溝凹部と該細溝凹部間を最
   短距離で継なぐ複数本の細溝凹部を形押し成形す
   ることを特徴とした化粧板の溝加工方法。