JPH029606Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、前後に車輪を軸架した走行車体の後
方に、４個の植付爪を並設した苗植付装置を昇降
自在に設けると共に、推進ラグを取付けた左右後
車輪を、正面視において、左右両横外側の２個の
植付爪の間に配置する状態で車軸に取付けた４条
植え乗用田植機に関する。

上記田植機において、推進ラグを後車輪に取付
けるのに、従来一般に、後車輪の左右両側に突出
する状態で取付けており、そして、そのラグによ
つて持上げられた泥土に起因する、既植苗の倒伏
や、新たな苗植付けへの悪影響を回避できるよう
に、左右両側２個夫々の植付爪による苗植付条列
の仮想延長線間の中央あるいはほぼ中央に後車輪
を配置している。ところが、左右後車輪の間隔が
狭くて、機体が左右方向に傾斜した場合に横転し
やすい欠点があつた。

そこで、耕盤の凹凸変化が激しく機体の横転を
招きやすいとか、耕盤が崩れやすくて十分な推進
力が得られないような場合、後車輪を取付けた車
軸に、後車輪よりも機体外方に位置させて補助車
輪を取付けていた。ところが、その補助車輪を設
けるに、その一方において、車輪による泥押しに
起因して隣接既植苗を倒すといつた欠点があつ
た。

本考案は、上記の点に鑑み、隣接既植苗やこれ
から植えようとする苗への悪影響を回避しながら
も左右後車輪を轍間距離大に車軸に取付けられる
ように、かつ、補助車輪取付けにおいて補助車輪
による隣接既植苗への泥押しを極力抑制する状態
で、かつ、後車輪によるこれから植えようとする
苗への悪影響を回避する状態で、後車輪及び補助
車輪を車軸に取付けられるようにすることを目的
とする。

本考案は、上記目的の達成のために、冒記した
４条植え乗用田植機において、前記推進ラグを前
記後車輪の機体内方側にのみ突出する状態で設
け、前記車軸に、前記後車輪を、正面視で左右に
隣り合う２個の前記植付爪の中央よりも外側の植
付爪に近づけて取付ける第１位置決め部と、左右
植付爪のほぼ中央に位置させて取付ける第２位置
決め部を、かつ、その第２位置決め部に前記後車
輪を取付けた状態で、正面視で両横外側の植付爪
に近い外側に配置して補助車輪を取付ける第３位
置決め部を夫々備えさせてある事を特徴とする。

つまり、後車輪夫々に機体内方にのみ突出する
状態で推進ラグを設け、それを第１位置決め部に
取付けた状態で、左右両外側に位置する植付爪に
よる苗植付条列の仮想延長線より内方で、かつ、
それに近い位置に設けるから、ラグによつて持上
げられた泥土を、既植苗上に落下させることはも
ちろんの事、苗植付条列の仮想延長線上に落下さ
せることも回避でき、しかも、左右後車輪の轍間
距離を大にでき、機体傾斜に伴う横転を防止して
安定した走行を行えるようになつた。更に、耕盤
の条件の悪い場合に補助車輪を取付けるにおい
て、それを第３位置決め部に取付けた状態で、機
体両外側に位置する苗植付条列の仮想延長線より
外方に位置させるものの、それに近い位置に配置
するから、車輪の泥押しによつて既植苗を倒すこ
とを極力抑制できるようになつた。その上、補助
車輪を取付けた状態では、後車輪を第２位置決め
部に取付け、機体両外側夫々の２個の植付爪によ
る苗植付条列の仮想延長線間のほぼ中央に後車輪
を設けるから、推進ラグによつて持上げられた泥
土が上述の仮想延長線上に落下し、苗植付けに支
障をきたすことを確実良好に回避できるようにな
つた。

以下、本考案の実施例を例示図に基いて詳述す
る。

前後に車輪１，２を軸架すると共に操縦部３を
配設した走行車体の後部に、リフトシリンダ４を
連動連結したリンク機構５を介して駆動昇降自在
に苗植付装置６を連動連結し、４条植乗用田植機
を構成してある。

前記苗植付装置６の下部において、左右両側に
１個の植付爪７に対する整地部８を備えたサイド
フロート９を設け、かつ、両サイドフロート９，
９間に２個の植付爪７，７に対する整地部１０，
１０を備えると共に苗植付装置６の植付泥面に対
するレベル変化を検出するセンサーに兼用構成し
た整地フロート１１を設けてある。

前記前車輪１，１夫々には、周方向に所定間隔
をへだてて径方向及び機体左右方向いずれにおい
ても突出量の小さい補助ラグ１２……を突設して
ある。

前記後車輪２，２夫々には、周方向に所定間隔
をへだてて、機体内方側にのみ突出する状態で推
進ラグ１３……を突設し、かつ、周方向に隣り合
う推進ラグ１３，１３……間夫々に、径方向及び
機体左右方向いずれにおいても突出量の小さい補
助ラグ１４……を突設してある。

前記後車輪２，２夫々は、そのリム部分２ａ
を、正面視で機体両横外方の植付爪７，７よりも
機体内方側で、かつ、それに近接する状態に設
け、推進ラグ１３……によつて持上げられた後に
落下される泥土が植付爪７，７による植付予定軌
跡上に落下することを回避するように構成してあ
る。

前記サイドフロート９，９夫々に、その機体内
方側に突出する状態で、前記後車輪２に対する跡
消し用の整地部材１５を取付けてある。

又、サイドフロート９，９夫々に、その機体外
方側に突出する状態で、跡消し用整地部材１６を
取付けてあり、後車輪２，２を取付けた車軸１
７，１７夫々に補助車輪１８，１８を取付けた場
合において、それら補助車輪１８，１８に対する
跡消しを良好に行えるように構成してある。

前記両整地部材１５，１６をサイドフロート９
に取付けるに、サイドフロート９をブロー成型す
る際の圧着フランジ部９ａ，９ａ夫々に着脱自在
に取付けてある。尚、前記整地部材１５，１６の
下端部は、サイドフロート９の整地面より下方に
約１cm突出させるものである。

前記車軸１７に、その軸芯方向に間隔をへだて
て３個のピン孔を穿設し、その中間のものを第１
位置決め部１９に、後車軸ケース２０側のものを
第２位置決め部２１に、かつ、外側端のものを第
３位置決め部２２に夫々構成してある。即ち、後
車輪２，２のみを取付ける通常の植付走行時は、
第３図に示すように、後車輪２，２をピン２３連
結によつて第１位置決め部１９に取付け、前述の
ように、正面視で、リム部分２ａを機体最外側の
植付爪７の内方に近接位置させ、かつ、ラグ１３
……を機体内方側に突出させる状態に後車輪２を
配置する。そして、耕盤の条件が悪い等、補助車
輪１８を取付ける場合には、第４図に示すよう
に、後車輪２，２を第２位置決め部２１にピン連
結によつて取付け、かつ、補助車輪１８を第３位
置決め部２２に取付け、後車輪２，２夫々を、正
面視で左右両横外側の２個の植付爪７，７のほぼ
中央に配置し、かつ、補助車輪１８，１８夫々
を、正面視で左右両横外側の２個の植付爪７，７
に近い外側に位置する。

次に、上述の後車輪２，２のみを取付ける場
合、及び、補助車輪１８をも取付ける場合夫々に
おける植付爪７……との相対間隔の具体数値例を
示しておく。

植付爪７……の隣り合うものどうしの間隔L₁
は300mm、推進ラグ１３の左右幅L₂、及び、補助
車輪１８において左右両側に突出する状態で突設
した推進ラグ１８ａ夫々の左右幅L₃はいずれも
100mmである。第１位置決め部１９に後車輪２を
取付けた状態では、そのリム部分２ａと最外側の
植付爪７との間隔L₄を50mmに、そして、第２位
置決め部２１に後車輪２を取付けた状態での、リ
ム部分２ａと最外側の植付爪７との間隔L₅を100
mmに、かつ、補助車輪１８を第３位置決め部２２
に取付けた状態での、その推進ラグ１８ａの機体
内方側端部と最外側の植付爪７との間隔L₆を50
mmにするのである。

前後車輪１，２を駆動するに、エンジンＥから
の動力を前部ミツシヨン２４に入力し、前部ミツ
シヨン２４から左右前車輪１，１に伝達し、他
方、前部ミツシヨン２４から伝動軸２５を介して
後車軸ケース２０への入力軸２６に伝達すると共
にその入力軸２６から左右後車輪２，２に動力を
伝達するように構成してある。又、前部ミツシヨ
ン２４からの出力軸２７と、苗植付装置６に対す
る動力取出軸２８とが連動連結されている。前記
伝動軸２５に対し、前部ミツシヨン２４から後方
に突設された出力軸２９、及び、後車軸ケース２
０への入力軸２６夫々を、それらに摺動のみ自在
に取付けると共に波け止めボルト３０によつて固
定自在な連結筒３１を介して一体回転自在に連結
してあり、又、前記出力軸２７と動力取出軸２８
とを、上述の場合と同様の連結筒３２を介して一
体回転自在に連結してあり、保守点検等に際して
の組付分解を容易に行えるように構成してある。

第７図及び第８図は別実施例を示し、前記第１
位置決め部１９を車軸１７の軸端に形成したピン
孔３２で構成し、そして、そのピン孔３２により
補助車輪１８を取付ける第３位置決め部２２に兼
用構成し、かつ、その補助車輪１８のボス部材３
３の端部３３ａと車軸１７に形成した段部３４に
より第２位置決め部２１を構成し、後車輪のボス
部材３５を接当位置規制して取付け、車軸１７に
１個のピン孔３２を備えさせるだけの簡単な構造
で、後車輪２の取付状態を二状態に変更すると共
に補助車輪１８をも取付けられるように構成して
ある。

尚、前記センサーに兼用構成されたフロート１
１と前記リフトシリンダ４に対するコントロール
バルブ（図示せず）とが連係されていて、機体の
沈み込み量変化にかかわらず、苗植付装置６の植
付泥面に対するレベルを設定範囲内に維持するよ
うにシリンダ４を自動的に作動し、苗植付装置６
を昇降制御するように構成されている。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る４条植え乗用田植機の実施
例を示し、第１図は全体側面図、第２図は要部の
一部切欠平面図、第３図は要部の一部切欠正面
図、第４図は補助車輪の取付状態を示す要部の一
部切欠正面図、第５図は第２図の−線断面
図、第６図は要部の一部切欠側面図、第７図は別
実施例の後車輪のみを取付けた状態の一部切欠正
面図、第８図は別実施例の後車輪及び補助車輪を
取付けた状態の一部切欠正面図である。 １……前車輪、２……後車輪、６……苗植付装
置、７……植付爪、１３……推進ラグ、１７……
車軸、１８……補助車輪、１９……第１位置決め
部、２１……第２位置決め部、２２……第３位置
決め部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 前後に車輪１，２を軸架した走行車体の後方
   に、４個の植付爪７……を並設した苗植付装置６
   を昇降自在に設けると共に、推進ラグ１３……を
   取付けた左右後車輪２，２を、正面視において、
   左右両横外側の２個の植付爪７，７の間に配置す
   る状態で車軸１７に取付けた４条植え乗用田植機
   であつて、前記推進ラグ１３……を前記後車輪
   ２，２の機体内方側にのみ突出する状態で設け、
   前記車軸１７に、前記後車輪２，２を、正面視で
   左右に隣り合う２個の前記植付爪７，７の中央よ
   りも外側の植付爪７に近づけて取付ける第１位置
   決め部１９と、左右植付爪７，７のほぼ中央に位
   置させて取付ける第２位置決め部２１を、かつ、
   その第２位置決め部２１に前記後車輪２を取付け
   た状態で、正面視で両横外側の植付爪７に近い外
   側に配置して補助車輪８を取付ける第３位置決め
   部２２を夫々備えさせてある事を特徴とする４条
   植え乗用田植機。