JPH0221854Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は田植機、詳しくは機体の後方に複数
の植付爪をもつた植付部を設け、前方に前記各植
付爪による植付箇所を整地する整地体を設けた田
植機に関する。

一般に田植機は、機体の下方にフロートを兼用
する整地体を設けると共に、該整地体の後方に複
数の植付爪をもつ植付部を設けて、前記機体の進
行に伴ない前記整地体により土壌面を均平に整地
し、この整地体による整地跡に前記植付部の各植
付爪により、苗を植付けるごとくしている。

ところで従来の整地体は、前記各植付爪による
苗の植付条間より広幅とした舟形の中空体から成
り、該中空体の前後部厚さをほぼ均等となして整
地作業時に前記中空体の上方一部が全体的に土壌
水面から浮上がるごとく形成しており、従つて次
のごとき問題があつたのである。

即ち、前記機体に伴なう前記整地体の進行によ
り、前記各植付爪による植付箇所の前方を整地す
るのであるが、この整地作業時に整地体の進行に
伴ない、該整地体前方の水が側方に押分けられこ
の押分けられた水が整地体の両側面に沿つて移流
され、整地体の後端部において、前記水が両側面
から内方側に流込んで渦流が生じるのであり、こ
の渦流が前記植付爪で植付けられた苗を押倒した
りして、植付苗に悪影響を与えていたのである。

そこで従来、特公昭54−153113号公報におい
て、整地体本体を前記各植付爪による苗の植付条
間より細幅となし、該本体の前記各植付爪と対応
する両側部に、薄肉の小さい整地部を取付けて、
該各整地部で前記各植付爪による植付箇所前方を
均平に整地するごとくした整地装置が提案された
のであるが、斯くのごとき整地装置にあつても、
前記本体の後方に渦流が生じ、該渦流が植付苗に
悪影響を与える虞れがあり、しかも前記整地部で
は整地効果が悪く、特に圃場の土壌面に足跡など
がある場合には、均平に整地することができず、
確実な苗の植付作業ができなかつたのである。

本考案は以上のごとき問題に鑑みて考案したも
ので、その目的は、前記整地体による整地作業時
に、渦流の発生を確実に抑制することができ、植
付苗に悪影響を与えたりすることなく、しかも充
分な整地効果を発揮させて、確実な苗の植付作業
を行なわんとするものである。

しかして本考案の構成は、前記整地体を、前記
植付爪に対応して複数の細幅整地体により構成
し、これら各細幅整地体間に、前記機体を配置す
るごとくしたことを特徴とするもので、整地作業
時に前記各整地体の前方に位置する水を、該各整
地体のそれぞれ両側方へと分流させることにより
渦流の発生を抑制するごとくしたのである。

以下本考案にかかる田植機を図面の実施例によ
つて説明する。

図面は２条植形式の田植機を示し、機体１の前
方上部にエンジン２及びトランスミツシヨン２０
を搭載し、かつ機体１の幅方向両側に、それぞれ
スイングケース３を介して走行車輪４を上下揺動
可能に支持して、前記エンジン２の回転動力を前
記ケース３を介して走行車輪４に伝達することに
より、前記機体１を走行させるごとくしている。

また前記機体１の後方に、植付ケース５と、該
ケース５の幅方向両側に設けた２本の植付爪６
と、この植付爪６の幅方向外側位置に設けた２個
のフロート７及び苗載台８から成る植付部９を取
付けると共にこの植付部９の前方で前記機体１の
中央下方位置には、前記植付部９の各植付爪６に
よる苗の植付条間より広幅とした中空体から成る
フロート兼用の整地体１０を設け、該整地体１０
により前記各植付爪６による苗の植付箇所前方を
均平に整地して、この整地された土壌面に前記各
植付爪６で苗を植付けるごとくしている。

しかして前記整地体１０を、前記各植付爪６，
６に対応して複数の細幅整地体１０ａ，１０ｂに
より構成し、これら各細幅整地体１０ａ，１０ｂ
間に、前記機体１を配置するのである。

第１，２図に示したものは、細幅の２つの整地
体１０ａ，１０ｂを前記各植付爪６，６と対応す
る前方位置に前後方向に向けて配置し、これら各
整地体１０ａ，１０ｂにより前記各植付爪６，６
による植付箇所前方を充分に整地させるごとくな
すと共に、前記各整地体１０ａ，１０ｂによる整
地作業時に、前方に位置する水を各整地体１０
ａ，１０ｂのそれぞれ両側方へと分流させて渦流
の発生を抑制させるごとく成す一方、前記整地体
１０ａ，１０ｂ間に機体１を配置し、かつ、前記
各整地体１０ａ，１０ｂの前方上部を、前記機体
１に取付軸１１を介してそれぞれ、独立的に上下
揺動可能に支持したものである。

また、前記各整地体１０ａ，，１０ｂの後方上
部は、それぞれセンサーロツド１２を介して機体
上方に設けたセンサー１３に連結すると共に、前
記機体１の上方に前記センサー１３によつて作動
され、かつ前記各走行車輪４のスイングケース３
を揺動操作する昇降装置１４を設けて、整地作業
時に前記各整地体１０ａ，１０ｂの上下揺動に伴
なう、前記センサー１３の作動により、前記昇降
装置１４を介して前記各ース３、つまり各走行車
輪４を個別に上下方向にスイングさせて、前記機
体１を常に水平に保持し各植付爪６による苗の植
付深さを一定となるごとく構成するのである。

また第１，２図の実施例では、前記各整地体１
０ａ，１０ｂの長さ方向後部高さを前部に対し低
位となし、整地作業時に各整地体１０ａ，１０ｂ
の後部を圃場水面位置より下方に没入させること
により、各整地体１０ａ，１０ｂの後方で生じる
渦流を最小限に抑えしかもこの僅かな渦流を各植
付爪６，６による植付箇所から遠く離れた前方位
置で発生させて、植付苗に悪影響を与えないよう
にしておりまた、機体１の後部上方に支持アーム
１５を突設し、該アーム１５の上端に前記植付部
９の後方に延びる操作ハンドル１６をねじ体１７
を介して回動固定可能に支持させ前記植付部９の
苗載台８に苗継ぎを行なうとき、前記ハンドル１
６を回動操作することにより、苗継作業を行ない
易いようにしている。

本考案にかかる田植機は以上のごとく構成した
もので、機体１の進行に伴ない整地体１０により
土壌面が均平に整地され、この整地された土壌面
に、前記整地体１０に後続する植付部９の各植付
爪６，６により苗が植付けられるのである。

しかして前記整地体１０は、２つの細幅の整地
体１０ａ，１０ｂから成り、この各整地体１０
ａ，１０ｂが前記各植付爪６，６と対応する前方
位置に前後方向に向けて配置されるのであり、従
つて整地作業時には、各整地体１０ａ，１０ｂに
より各植付爪６，６による植付箇所前方が均平に
整地されるのである。

また前記整地作業時には、各整地体１０ａ，１
０ｂの前方に位置する水が、該各整地体１０ａ，
１０ｂによりそれぞれ両側方へと分流されて、渦
流の発生が抑制され、前記各植付爪６，６による
植付苗に悪影響を与えることがないのである。

以上説明した実施例は、前記整地体１０ａ，１
０ｂを各別に形成して、これら整地体１０ａ，１
０ｂを機体１に対し、それぞれ独立的に揺動可能
に支持したが、第３図のごとく前記整地体１０
ａ，１０ｂに、連結部１０ｃを設けて平面視Ｕ字
形としてもよい。

この場合、前記した実施例と同様、前記整地体
１０ａ，１０ｂの中心線上に機体１を配置してエ
ンジン２、トランスミツシヨン２０を前記整地体
１０ａ，１０ｂの中心部に配設するのである。

斯くすることにより前記機体１を第４図のごと
く田面近くまで下げられるため重心を低くするこ
とができ、田植作業時のローリングを抑制でき、
それだけ植付深さのバラツキを減少できるのであ
る。

また、前記機体１の位置を田面近くまで下げら
れることから、この機体１に取付けるトランスミ
ツシヨン２０も、第４図のごとく田面近くに位置
させられるから、前記トランスミツシヨン２０に
支持するスイングケース３，３の回動支点も田面
近くまで下げられるので、前記スイングケース
３，３のスイング量、換言すると車輪４，４の出
量によるバランスの変化を少なくできるのであ
る。

また、前記整地体１０ａ，１０ｂを一体形とす
る場合、前記連結部１０ｃにトンネルを設けるの
が好ましい。また、一体に形成する他第５図のご
とく前記連結部１０ｃを別部材として、二つの整
地体１０ａ，１０ｂを連結するごとく成してもよ
い。

以上説明したごとく本考案の田植機では、植付
部９の各植付爪６，６と対応する複数の細幅整地
体１０ａ，１０ｂを用いこの各整地体１０ａ，１
０ｂを前記各植付爪６，６による植付箇所前方に
配置すると共に、前記各整地体１０ａ，１０ｂ間
にエンジン２を配置したから、前記各整地体によ
る整地作業時に、渦流が発生するのを抑制でき、
従つて渦流により各植付爪で植付けられた苗を押
倒したりして、該苗に悪影響を与えたりすること
がなく、しかも前記各整地体１０ａ，１０ｂで各
植付爪による植付箇所前方を充分に整地できて、
確実に苗の植付作業ができるのであり、しかも前
記整地体１０ａ，１０ｂ間に機体１を配置したか
ら、重心を低くできると共に、重量バランスがと
り易くなり、前記各植付爪６，６による苗の植付
作業を良好に行なうことが可能となるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案田植機の一実施例を示す側面
図、第２図はその一部省略平面図、第３図は別の
実施例を示す一部省略平面図、第４図はその側面
図、第５図は整地体のみの他の実施例を示す平面
図である。 １……機体、６……植付爪、９……植付部、１
０ａ，１０ｂ……整地体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 機体１の後方に複数の植付爪６，６をもつた植
   付部９を設け、前方に、前記植付爪６，６による
   植付箇所を整地する整地体を設けた田植機におい
   て、前記整地体を、前記植付爪６，６に対応して
   複数の細幅整地体１０ａ，１０ｂにより構成し、
   これら各細幅整地体１０ａ，１０ｂ間に、前記機
   体１を配置するごとくしたことを特徴とする田植
   機。