JPH0216571Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、田植機におけるフロート装置に関す
るものである。

一般に、田植機には、苗植付条間に位置して苗
植付爪による苗植付位置の前後方向に長い田面滑
走用のフロートが設けられているが、この種フロ
ートは苗植付位置よりも前位側を広幅にして、フ
ロートの田面均平化作用によつて苗植付位置を整
地するようにしている。しかしながら、従来、フ
ロートａは、第６図に示す如く、広幅部ｂを含め
て底面ｃ全体が平坦状になつていたため、田面内
に沈下した状態で滑走するフロートａによつて押
出される泥土ｄがフロート広幅部ｂの側壁に沿つ
て盛上がり、この盛り上つた泥土ｄが植付後泥水
の流れなどによつて低い植付条側に流動し、結果
として深植えとなり苗の生育に支障をきたし減収
の要因となつていた。そこで、この泥土ｄの崩れ
を見越してあらかじめ浅植にすることも提案され
るが、この場合には浮苗、ばらけ苗やころび苗が
発生する欠点がある。

本考案は、上記の如き実状に鑑みこれらの欠点
を一掃すべく創案されたものであつて、その目的
とするところは、フロートの苗植付位置よりも前
位側に植付条位置を均平化する植付泥面整地部を
側方に向けて突出させ、その底面をフロートの中
央部側底面よりも上位に位置させて、略水平状に
形成すると共に、前記フロートの中央部側底面
を、植付位置よりも前方は前側ほど漸次迫り上り
状の傾斜面となるように形成し、フロート前端部
で中央部側底面と植付泥面整地部底面とを均平状
に構成したことにより、田面を滑走するフロート
の受圧面積のバランスを中央部側底面の迫り上り
状傾斜面によつて保持させ、かつ、その滑走によ
つて植付位置側に押出される泥土を植付泥面整地
部の底面により、フロートの横外側方へ、押出す
ことなく均平化して、植付条位置に苗を植付ける
ことができると共に、フロートの滑走により押し
動かされてフロートの横外側方に流れる泥水量を
少なくし、もつて植付後においても、植付時の植
付深さを維持できるようにして苗の生育を良好に
することができる田植機におけるフロート装置を
提供するにある。

本考案の構成を、図面に示された一実施例に基
づいて説明すると、１は歩行型田植機の機体であ
つて、該機体１にはエンジン２、機体推進車輪
３、苗植付爪４、苗載台５、運転操作ハンドル６
等が装備されていることは従来どおりである。

上記機体１の下部には、本考案を実施したセン
ターフロート７及びサイドフロート８が装備され
ているが、センターフロート７を例にして以下詳
しく説明すると、センターフロート７は、機体中
央側に設けられた左右一対の苗植付爪４による植
付条の条間に位置して、植付位置Ａの前後方向に
亘つて長く形成されている。そして、植付位置Ａ
よりも後位側のブラケツト９を介して機体側に枢
支されると共に、植付位置Ａよりも前位側のブラ
ケツト９ａが弾機を内装した支持部材１０に連結
されることによつて、センターフロート７は機体
１に上下揺動自在に装着されている。センターフ
ロート７における植付位置Ａよりも前位側両側部
にはそれぞれ左右両側方に広く突出して、両側の
植付条位置に対応する植付泥面整地部１１が設け
られている。さらに、センターフロート７の前端
側は上記植付泥面整地部１１よりもさらに広幅な
前端部１２が設けられている。センターフロート
７の中央部側底面７ａは、第３図に示す如く、植
付位置Ａ近傍よりも前方は前側ほど漸次迫り上り
状の傾斜面になつているが前端部１２近傍からは
上方に向けて湾曲状になつている。一方、植付泥
面整地部１１側の底面１１ａは、第３図に示す如
く略水平状になつていて、前端部１２の基部近傍
位置では迫り上つた中央部側底面７ａと均平状に
なつているが、中央部側底面７ａの迫り上り下端
位置近傍では、第４図に示すごとく、中央部側底
面７ａに対し、田面滑走時にセンターフロート７
が田面に沈下する沈下量が略匹敵する高さＢだけ
上位に位置させて形成されている。

次に、叙述の如く構成した本考案の作用につい
て説明する。苗植付作業において、センターフロ
ート７は、中央部側底面７ａの迫り上り状傾斜面
によつて受圧面積のバランスが取られた状態で、
田面に対し略深さＢだけ沈下しながら水平状に滑
走していくことになるが、中央部側底面７ａの迫
り上り状傾斜面の滑走によつて泥土は順次側方の
植付泥面整地部１１側に押出される。ところが、
植付泥面整地部１１の底面１１ａは中央部側底面
７ａよりも上位に位置して略水平状に形成されて
いるので、植付泥面整地部１１側すなわち、植付
位置側に押出された泥土は植付泥面整地部１１の
底面１１ａにより田面と略面一状に押圧均平化さ
れることになり、泥土がセンターフロート７の側
壁に沿つて盛り上ることがないうえ、フロート７
の滑走により押し動かされてフロート７の横外側
方に流れる泥水量も少なくなる。このため、苗植
付爪４による植付作業は、植付泥面整地部１１の
底面１１ａによつて均平化された植付条位置で行
なわれることになり、植付後の泥水の流れ等によ
つても植付条に泥土が崩れ入ることはなく、植付
時の植付深さがそのまま維持される。従つて、植
付深さを苗の生育に最適なものに設定して植付作
業を行なえば、植付後に泥土が植付条に流れ込ん
で深植状態になることもなく、植付苗は最適な植
付深さで生育することになつて、増収を図ること
ができる。

尚、上記実施例ではセンターフロート７におけ
る場合について説明したがこれに限定されるもの
ではなく、サイドフロート８にも同様の構成とす
ることができることは詳説するまでもない。

これを要するに、本考案は、走行機体に、苗植
付条間に位置して苗植付爪による植付位置の前後
に亘る田面滑走用のフロートを設けた田植機にお
いて、前記フロートの植付位置よりも前位側には
植付条位置を均平化する植付泥面整地部を側方に
向けて突設させ、その底面をフロートの中央部側
底面よりも上位に位置させて、略水平状に形成す
ると共に、前記フロートの中央部側底面を、植付
位置よりも前方は前側ほど漸次迫り上り状の傾斜
面となるように形成し、フロート前端部で中央部
側底面と植付泥面整地部底面とが均平状に構成さ
れているものであるから、フロートの受圧面積の
バランスを中央部側底面の迫り上り状の傾斜面に
よつて保持させて、フロートを水平状に滑走させ
ることができ、かつ、その滑走によつて植付位置
側に押出される泥土を植付泥面整地部の底面によ
りフロートの横外側へ押出すことなく均平化し
て、植付条位置に苗を植付けることができると共
に、フロートの滑走により押し動かされてフロー
トの横外側方に流れる泥水量をも少なくすること
ができ、従つて、植付後における泥水に流れ等に
よつて植付条に泥土が流れ込むことはなく、植付
時の植付深さを維持できて、苗の生育を良好にし
増収を図ることができるものである。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案に係る田植機におけるフロート
装置の一実施例を示すものであつて、第１図は田
植機の全体側面図、第２図はセンターフロートの
平面図、第３図は同上側面図、第４図は第２図の
Ｘ−Ｘ断面図、第５図は作用説明図、第６図は従
来例の作用説明図である。 図中、１は歩行型田植機の機体、４は苗植付
爪、７はセンターフロート、７ａは中央部側底
面、１１は植付泥面整地部、１１ａは植付泥面整
地部底面である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 走行機体に、苗植付条間に位置して苗植付爪に
   よる植付位置の前後に亘る田面滑走用のフロート
   を設けた田植機において、前記フロートの植付位
   置よりも前位側には植付条位置を均平化する植付
   泥面整地部を側方に向けて突設させ、その底面を
   フロート中央部側底面よりも上位に位置させて、
   略水平状に形成すると共に、前記フロートの中央
   部側底面を、植付位置よりも前方は前側ほど漸次
   迫り上り状の傾斜面となるように形成し、フロー
   ト前端部で中央部側底面と植付泥面整地部底面と
   が均平状に構成されていることを特徴とする田植
   機におけるフロート装置。