JPH0140414Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は後部中央が後端から凹状に切欠かれ、
該凹状部内の苗の植付位置が設定された田植機に
おけるフロートの改良に関するものである。

ところで、５条植え等の奇数条植え田植機であ
つて、植付部に左右及び中央のフロートを有する
田植機においては、中央の条の苗植付位置に中央
フロートが位置することになるため、該フロート
の後部中央を凹状に切欠き、該凹状部内に苗の植
付位置を設定することが行われる。然るにこのよ
うな構成においては、当該苗植付位置の前方及び
左右両側方がフロートによつて囲まれた状態とな
るため、フロートの前部底面で植付泥面を整地し
た後における左右両側方から植付位置への泥の流
入が妨げられることになり、そのため植付面が他
の条の植付面より低くなつて苗の植付深さが浅く
なり、浮き苗等の問題を生じるのである。

本考案はこのような問題に対処するもので、後
部中央に凹状部が設けられ、該凹状部内に苗の植
付位置が設定されたフロートにおいて、該凹状部
両側の側部における枢支部材の固設位置より後方
部の底面を前方部の底面より高くすることによ
り、該後方部底面が植付泥面上に露出し或は極く
小さな接地圧で接地するようになし、これにより
該後方部底面の下方を通過して、当該フロートの
左右両側方から凹状部内における苗植付位置に泥
が流入し易くし、植付面が他の条より低くなるこ
とを防止すると共に、該フロートが枢支部を中心
として前上りに揺動し易くして、該フロート前端
部による所謂泥押し現象を防止するようにしたも
のである。

以下これを図に示す実施例により説明すると、
第１図において１は乗用田植機の走行機体で、該
機体は走行装置として左右一対の前輪２，２及び
後輪３，３を有すると共に、該後輪の上方に座席
４、その前方に操向ハンドル５を始めとする各種
の操作部材が配備され、且つ機体前部のボンネツ
ト６内にエンジンが搭載されている。７は該機体
１の後方にリンク機構８を介して、昇降及び機体
に対するローリングを可能として連結された植付
作業機で、該作業機は苗のせ台９、植付爪１０及
び機体側から導入される動力によつてこれらを作
動させる駆動装置１１等から構成され、且つ該作
業機を植付泥面上に保持する左右及び中央のフロ
ート１２，１２，１３が配備されている。然して
該作業機７は５条植えとして構成され、これに伴
つて中央の植付爪１０′が中央フロート１３の上
方に位置することにより、該フロートは第２図に
示すように後部中央が後端から凹状に切欠かれ、
その凹状部１３ａ内に中央の条の植付位置Ａが設
定されていると共に、該凹状部両側の側部１３
ｂ，１３ｂの上面及び前部上面に夫々枢支部材１
４，１４及び１５が固設され、第３図に示すよう
にリンク機構１６，１７を介して駆動装置１１に
支持されており、且つ該フロートの側部１３ｂに
おける枢支部材１４より後方部の底面１３ｃが該
枢支部材より前方部の底面１３ｄより高くされて
いる。ここで、図示の実施例においては上記リン
ク機構１７及びこれに連結されたワイヤ類１８が
フロート１３に作用する荷重を検出して植付深さ
制御装置に伝達するセンサーを構成するようにな
されている。

上記の構成によれば、中央フロート１３におけ
る凹状部１３ａ内に設定された中央の条の苗植付
位置Ａは、上方から見て該フロートの前部及び凹
状部両側の側部１３ｂ，１３ｂに前方及び左右両
側方を囲まれた状態となつているが、上記側部１
３ｂ，１３ｂにおける枢支部材１４，１４より後
方部の底面１３ｃが前方部の底面１３ｄより高く
されていることにより、該フロートは主として前
方部底面１３ｄにおいて接地して、後方部底面１
３ｃは植付泥面上に露出し或は極く小さな接地圧
で接地することになり、そのため上記植付位置Ａ
には前方部底面１３ｄによつて整地された後、第
２図に矢印で示すように後方部底面１３ｃの下方
を通過してフロート両側方から泥が流入して来る
のであり、これにより該植付位置Ａにおける植付
面が左右のフロート１２，１２の両側における一
側方が開放された他の条の植付位置と略同じ高さ
とされ、各条についての苗の植付深さが略一定に
揃えられることになるのである。また、枢支部材
１４より後方部の底面１３ｃが高くされているこ
とに伴つて、当該中央フロート１３は前上りに揺
動し易くなり、これにより該フロートの前端部が
泥の抵抗に対抗して泥面内に沈降した状態で走行
することによる泥押し現象、これに伴う隣接条の
植付位置への泥の押し込み等の弊害が防止される
のである。

以上のように本考案は、左右及び中央にフロー
トを有する５条植え等の奇数条植え田植機におけ
る、後部中央に凹状部が設けられ且つ該凹状部内
に苗の植付位置が設定されたフロートにおいて、
該フロートの凹状部両側の側部における枢支部材
の固設位置より後方部の底面を前方部の底面より
高くする構成としたから、該後方部底面の下方を
通過してフロート両側方から上記凹状部内に設定
された植付位置に泥が流入することになり、これ
により該植付位置の植付面が他の条と略同じ高さ
とされ、従来、該植付位置の植付面が低くなるた
め苗の植付深さが浅くなつていた問題が解消され
ると共に、当該フロートが前上りに揺動し易くな
ることにより、該フロート前端部による泥押し現
象が防止される等の効果を奏するのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す田植機全体の平
面図、第２，３図は該実施例の要部を示す拡大平
面図及び側面図である。 １３……フロート、１３ａ……凹状部、１３ｂ
……側部、１３ｃ……後方部底面、１３ｄ……前
方部底面、１４……枢支部材、Ａ……苗植付位
置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 後部中央が後端から凹状に切欠かれ、該凹状部
   内に苗の植付位置が設定されていると共に、該凹
   状部両側の側部上面に枢支部材が備えられたフロ
   ートであつて、上記側部における枢支部材より後
   方部の底面が前方部の底面より高くされているこ
   とを特徴とする田植機のフロート。