JPH029039B2 - - Google Patents

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JPH029039B2
JPH029039B2 JP60142331A JP14233185A JPH029039B2 JP H029039 B2 JPH029039 B2 JP H029039B2 JP 60142331 A JP60142331 A JP 60142331A JP 14233185 A JP14233185 A JP 14233185A JP H029039 B2 JPH029039 B2 JP H029039B2
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JP
Japan
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fatty acid
sucrose
ester
soap
reaction
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Application number
JP60142331A
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English (en)
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JPS624298A (ja
Inventor
Toshiaki Yamamoto
Kenichi Kinami
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DKS Co Ltd
Original Assignee
Dai Ichi Kogyo Seiyaku Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPS624298A publication Critical patent/JPS624298A/ja
Publication of JPH029039B2 publication Critical patent/JPH029039B2/ja
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

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  • Saccharide Compounds (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
本発明は高置換度シヨ糖脂肪酸エステルの製造
法に関する。 シヨ糖脂肪酸エステルは、シヨ糖と脂肪酸、一
般には、炭素数6以上の長鎖脂肪酸がエステル結
合して生成する化合物である。 シヨ糖は多価アルコール化合物であり、1分子
中にヒドロキシル基を8個持つている。したがつ
て、結合し得る脂肪酸の数は〔これを置換度
(Degree of Substitution)という。〕1から8ま
でである。 置換度が3以下のシヨ糖エステルは、界面活性
をもつているから界面活性剤として工業的に生産
され使用されている。 これに対して置換度が4以上、好ましくは6以
上の高置換度シヨ糖脂肪酸エステルは、特異的な
性質、例えばコレステロールの吸収抑制作用をも
つことが知られている。 本発明は、この高置換度シヨ糖脂肪酸エステル
を有利に製造する方法を提供するものである。シ
ヨ糖脂肪酸エステル(以下SEという)の製造法
については、数多くの提案がなされており、一部
は工業化されている。それらはシヨ糖と脂肪酸の
低級アルカノールエステル又はグリセリド類(以
下脂肪酸エステル類と略称する)とのエステル交
換反応によるもので、以下の3種類に大別され
る。 第1は、溶媒法と呼ばれるもので、シヨ糖と脂
肪酸エステル類のいずれをも溶解させる溶媒、例
えばジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ドなどを用いて、均一溶液中で反応させる方法で
あり、通常90℃程度の低温で反応が進め得る点は
好ましいが、溶媒が毒性を有するので、これを製
品から完全に除去しておかなければならないた
め、極めて面倒な工程を必要とする点が工業上不
利となつている。 第2は、ミクロエマルジヨン法と一般に称され
ているもので、シヨ糖とプロピレングリコール又
は水などの溶媒に溶解した溶液と脂肪酸エステル
類とを乳化剤、例えば、脂肪酸石鹸を使用して非
常に微細な分散状態、すなわちミクロエマルジヨ
ンとした後、溶媒を留去して反応せしめる方法で
ある。 この方法は、溶媒法のように有害な溶媒を使用
しない点は特に食品用には適している。 第3は、溶媒を全く使用せずに反応せしめる方
法で、直接法と呼ばれる。 直接法のポイントは、シヨ糖と脂肪酸エステル
類という互いに親和性を全く持たない原料をどの
ようにして混合し、反応可能な状態にするかにあ
り、現在までに提案された方法の大部分は脂肪酸
石鹸を添加するか、あるいは反応系内で脂肪酸石
鹸が生成する条件を採用している。 上述のようにシヨ糖脂肪酸エステルの反応にお
いては多くの場合、脂肪酸石鹸を第3成分として
使用するこの脂肪酸石鹸は、それ自身は反応成分
ではないから、反応生成物中にはそのまま残存す
る。 また、エステル交換反応の触媒として、アルカ
リ化合物、一般にはナトリウム、カリウムの水酸
化物、炭素塩が使用されるが、このアルカリ化合
物の1部は脂肪酸エステル類との反応により脂肪
酸石鹸を副生する。したがつて、溶媒法において
も、その反応生成物にはこの副生石鹸は用途によ
つては、例えば、洗剤にような場合には特に除去
することなく、そのまま製品化しても差し支えな
いと考えられるが、他の用途、例えば、医薬・食
品用にはこの石鹸を除去することが必要である。 SEの製造法の中で、特に高置換度SEの反応に
は、ミクロエマルジヨン法又は無溶媒法が適して
いる。 高置換度シヨ糖脂肪酸エステルの製造法として
は、米国特許第3963699号があるが、この特許は、
アルカリ石鹸を原料の一部として使用し、触媒と
しては、アルカリ金属水素化合物を使用し、脂肪
酸エステルを二段階に分割添加して反応させるこ
とを特徴としている。 この製造法では、まず触媒の取り扱いが危険で
あり、また脂肪酸エステルを二段階に分割して添
加していることから、操作が複雑化し、反応に長
時間を費やすことから工業的製法としては、好ま
しくない。即ち、この方法では、シヨ糖の変性あ
るいは分解等による着色あるいは均一な組成とし
てのエステルを得難く、安定した高置換度シヨ糖
脂肪酸エステルを高収率で得ることは困難であ
る。 一般に、平均置換度(以下D.Sという)3以上
のシヨ糖脂肪酸エステルを製造するには、原料で
あるシヨ糖と脂肪酸エステルの添加モル比率(以
下S/Fという)を調整して製造する。例えば、
S/F比が1/3では、D.S=3.1/5ではD.S=
5の高置換度シヨ糖脂肪酸エステルが得られる。 しかし、D.Sが5以上の高置換度シヨ糖脂肪酸
エステルを得ようとする場合、さらに過剰の脂肪
酸エステルが必要となる。例えば、S/F比が
1/6ではD.S=5.5、1/8ではD.S=6とな
り、D.Sが7以上では、S/F比が1/10以上と
なる。このため、D.S5以上の高置換度シヨ糖脂
肪酸エステルを製造するには、脂肪酸エステルを
いかに少なく有効的に利用し、かつ、D.Sの高い
高置換度シヨ糖脂肪酸エステルを製造できるか
が、工業化における重要なポイントとなる。 この場合、脂肪酸エステルの添加量が多いた
め、反応系は低粘性を有し、また反応により副生
する低沸点物、例えば、メタノールが反応初期に
多量発生するため、著しく泡立ちが発生すること
などが、高置換度シヨ糖脂肪酸エステルの製造過
程における大きな特性であり、そして解決しがた
い問題点でもある。 即ち、低粘性であることから、シヨ糖と脂肪酸
エステルのような、お互いに親和性のない物質の
反応においては、特に反応系の分離が起りやす
い。また多量のメタノール発生に伴なう泡立ちに
より安定した製造はでき難く、収率の著しい低下
が起る。 米国特許第3963699号などでは、脂肪酸エステ
ルを二段階に分割添加することにより、まず、シ
ヨ糖と一段階の脂肪酸エステルとの反応により、
比較的D.Sの低いシヨ糖脂肪酸エステルが得ら
れ、このシヨ糖脂肪酸エステルは、先に添加して
あるアルカリ石鹸と同じく、二段階の脂肪酸エス
テルの添加による反応系の分離を防ぐ乳化剤とし
ての効果を発揮する。また、泡立ちは、反応を二
回に分けているため反応速度は遅く、メタノール
の発生も緩やかになり反応に影響する事態は発生
しない。 しかし、反応時間が長いことから、前記した通
り、数多くの問題点を解消するまでには至つてい
ない。 本発明製造法により、反応系の分離及び著しい
泡立ち等の発生を防止し、比較的短時間の反応
で、しかも安定した収率の高い高置換度シヨ糖脂
肪酸エステルを得ることができる。 本発明は、まず第1に、 シヨ糖と脂肪酸低級アルコールエステルとを、
アルカリ触媒の存在下に反応させて平均置換度4
以上の高置換度シヨ糖脂肪酸エステルを合成する
際に、 a 第三成分として脂肪酸のアルカリ塩である石
鹸及び/又はシヨ糖脂肪酸エステルを加えるこ
と b 脂肪酸低級アルコールエステルを一段階で添
加すること c 反応器の撹拌速度が、線速度として1.0〜50
m/秒、好ましくは2.0〜20m/秒の範囲にお
いて撹拌すること により反応せしめて、粗エステルを合成するもの
である。 本発明における高置換度シヨ糖脂肪酸エステル
とは、平均置換度(以下D.Sという)が、少なく
とも4以上から8までのものを意味する。また、
線速度とは、時間当りの撹拌回転数と攪拌羽根の
直径と円周率の積により、得られる値である。す
なわち、撹拌効果を示す値として、時間当りの撹
拌羽根の先端における移動距離に換算したもので
あり、次式により求めることができる。 R・2πL [Rは撹拌回転数/秒、Lは撹拌羽根の半径
(m)] 本発明製造法の反応条件の一条件として、撹拌
速度が線速度として1.0〜50m/秒、好ましくは
2.0〜20m/秒の範囲で撹拌して反応させる。こ
の線速度の範囲においては、比較的撹拌速度が速
いため遠心力の効果から反応系の分離が起こりに
くく、また泡立ちの発生を防止する消泡効果を発
揮する。なお、撹拌羽根の形態としては、前記線
速度が得られる範囲であれば、プロペラ型、ター
ビン型、スクリユー型、デイスパーサー、ホモジ
ナイザー等のいかなる形態でも良く、又それらを
組合せてもよい。また、さらに撹拌効果を高める
ためには、邪魔板等を取り付けることにより反応
系の分散あるいは細分化を促進させることができ
る。 また、反応条件として、真空度は10mmHg以下
で行なう。10mmHgを越えると、反応の際に、副
生するメタノールを効率良く除去することができ
にくく、特に高置換度シヨ糖脂肪酸エステルの反
応では、シヨ糖の反応性の乏しい二級水酸基を効
率良く反応させるためにも、反応条件として必要
である。 10mmHg以下の高真空度では、エステル化反応
以外の反応、例えば、脂肪酸エステルとエステル
化触媒のアルカリ化合物との石鹸化反応、あるい
は可逆反応を防止することができる。反応温度は
120〜180℃、好ましくは140〜160℃の範囲で行な
う。例えば、120℃以下の場合、高置換度シヨ糖
脂肪酸エステルの収率は低下し、また180℃を越
えると、収率は向上するものの、製品の着色等の
問題を生じる。本発明において、脂肪酸エステル
の添加は、分割することなく、一段階の添加で行
なうことができる。 本発明において使用するシヨ糖は、その品質形
態において、ほとんど制限する必要はない。 即ち、市販のグラニユー糖、上白糖などの固形
のシヨ糖は、いずれも使用することができる。脂
肪酸エステルは、一般にシヨ糖脂肪酸エステルの
製造に使用される炭素数6〜22の高級脂肪酸と炭
素数4以下の低級一価アルコールとのエステルで
ある。 脂肪酸分は、不飽和結合および/または分枝鎖
を有していても良く、脂肪酸の混合物でも良い。
次ぎに、シヨ糖と脂肪酸エステルとのエステル化
触媒としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、
水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機アル
カリ化合物、ナトリウムエチラート、カリウムメ
チラート等の有機アルカリ化合物が使用できる
が、無機アルカリ化合物を用いる方が、高置換度
シヨ糖脂肪酸エステルの収率が高くなり、より好
ましい。 触媒の使用量は脂肪酸低級アルコールエステル
に対して1〜10重量%、好ましくは3〜8重量%
である。第三成分として用いるアルカリ石鹸とし
ては、炭素数6〜22の高級脂肪酸の金属塩、例え
ば、ナトリウム、カリウム、リチウム塩を使用す
る。 アルカリ石鹸の使用量は、原料として用いる全
固形分量に対して、3〜15重量%、好ましくは5
〜10重量%である。 さらに、第三成分として用いるSEは、D.Sが1
〜8までの広範囲にわたるSEを使用することが
できる。 SEの使用量は、原料シヨ糖及び脂肪酸エステ
ルの合計量に対し、3〜30重量%、好ましくは5
〜15重量%である。 上述の原料は、シヨ糖と脂肪酸エステルとのエ
ステル化反応前、いずれの時期においても、又い
ずれの方法によつても添加してかまわないが、予
め、アルカリ石鹸及び/又はSEを70℃以上、好
ましくは90〜110℃に加熱溶融し、その中に、シ
ヨ糖、脂肪酸エステルおよびアルカリ触媒を添加
するのが好ましい。 上述の反応原料を均一に混合して、120〜180℃
に加熱し、10mmHg以下の減圧下において、1〜
3時間、線速度1.0〜50m/秒にて撹拌し反応す
ると、目的とする高置換度を有するシヨ糖脂肪酸
エステルの粗成物が、高収率で得られる。 第三成分としてSEを添加して反応させて得た
粗SEは、第三成分として石鹸を添加して反応さ
せて得た粗SEに比べ、粗SE中の石鹸含有量が比
較的少量であることから、粗SEの状態でそのま
まその一部をリサイクルして使用することができ
る。 反応で得られた粗エステルは、目的のシヨ糖脂
肪酸エステルの他に相当、多くの過剰の原料メチ
ルエステル他、長鎖脂肪酸のアルカリ金属塩、す
なわち石鹸を含むものであるから、純度の高いシ
ヨ糖エステルを得るためには、これらの夾雑物を
除去する操作が必要である。 過剰の原料メチルエステルは、水によつて抽出
されないので除くことが難しい。これまでに知ら
れている方法としては、シヨ糖エステルを比較的
溶解せず、しかも原料メチルエステルを良く溶か
す溶剤、例えばメタノールを用いて抽出する方法
がある。しかし、この方法の欠点は極めて多量の
溶剤を必要とすることであり、USP第3963699号
明細書によれば、製品に対して約40倍のメタノー
ルを使用している。 このことは、特に工業的見地からみれば、数々
の不利益をもたらす。 即ち、第一に火災に対する危険性の高い易燃物
である溶剤を多量に取扱うために、いろいろの配
慮が払わねばならない。例えば、建物や設備、電
気機器などは、防災、防爆の対策が必要となる。 第二に使用する溶剤は、回収しなければならな
い。このため、回収のための設備、装置を備えな
ければならないうえに、人手がかかる。 第三に溶剤は少なくともいくらかのロスを生ず
る。これらのコストがかかる。 第四にこれらの溶剤はシヨ糖エステルは、比較
的溶解し難いとは言つても、ある程度溶解するこ
とは避け得ず、シヨ糖エステルの損失を招く結果
をもたらす。 本発明者らは、これらの問題点を解消すべく鋭
意研究の結果、本発明に到達したものである。即
ち、本発明は、 シヨ糖と脂肪酸低級アルコールエステルとを、
アルカリ触媒の存在下に反応させて高置換度シヨ
糖脂肪酸エステルを合成する際に、 a 第三成分として脂肪酸のアルカリ塩である石
鹸及び/又はシヨ糖脂肪酸エステルを加えるこ
と b 脂肪酸低級アルコールエステルを一段階で添
加すること c 反応器の撹拌速度が、線速度として1.0〜50
m/秒、好ましくは2.0〜20m/秒の範囲にお
いて撹拌すること により反応せしめ、得られた粗エステルを d 分子蒸留を行うことにより、未反応の脂肪酸
低級アルコールエステルを除去する ことを特徴とする高置換度シヨ糖脂肪酸エステル
の製造法、及び 前記分子蒸留に先立ち、酸を加えてPHを6以下
に下げ、共存する石鹸を脂肪酸に転換させること
により、石鹸を除去することからなる高置換度シ
ヨ糖脂肪酸エステルの製造法を提供するものであ
る。 石鹸の除去手段に関するものとしては、次のよ
うな方法が提示されている。 その第一は、特公昭48−28890号公報にみられ
るように、シヨ糖脂肪酸エステルのみを溶解し
て、石鹸を溶解しない溶媒として、アセトンを用
いる方法である。 すなわち、反応生成物を粉砕し、アセトンを加
えて40〜100℃で抽出操作を加えてシヨ糖脂肪酸
エステルを含むアセトン溶液を分離し、そこから
アセトンを蒸発によつて除くことによつてSEを
得ることができる。 第二の方法は、特公昭50−37168号公報で提案
された方法であつて、反応生成物を水又は有機溶
媒あるいは両者の混合系に懸濁又は溶解させたの
ち、二価以上の金属塩を加えて石鹸を複分解反応
によつて不溶性の金属石鹸をに変換させて分離す
る方法である。 これらの二つの方法は、置換度の比較的低い
SE(置換度3以下)を主成分とする粗エステルに
対しては評価されるべき点があるが、本発明対象
のような高置換度SEの場合には適当ではない。
何故ならば、第一のアセトンを用いる方法は、石
鹸のみならず、SEもあまり溶けないからSEをア
セトン溶液として得ることができない。 第二の方法は、生成した金属石鹸がかなりの
量、高置換度SEに溶けて混入してくることが認
められた。 本発明者らは、反応生成物を水に少量、例えば
20%の低級アルコールを加えた混合溶剤を用いて
水洗することによつて、石鹸を除き得ることを確
認している。 この方法は、石鹸の除去法として有効ではある
が、少量ではあつても、有機溶剤を使用すること
に伴う不利益を避けることができない。 純粋な水のみによる水洗を行うと、乳化現象が
生じて分離しないことも認めている。 これらの難点を根本的に改良する手段として、
本発明者らは粗エステルを予め酸で処理して含ま
れている石鹸を脂肪酸に変換したのち、分子蒸留
によつて除く方法を見い出した。 具体的には、かかる反応生成物に酸、例えば塩
酸を加えて脂肪酸石鹸を脂肪酸に転化せしめ、得
られた脂肪酸とシヨ糖脂肪酸エステルの混合物を
分子蒸留装置に通して脂肪酸を蒸留せしめて除去
する方法である。 目的物ではない成分が沸点の低い場合、例え
ば、低級アルコールのような溶剤成分の場合は単
なる通常の蒸留によつて除くことは極めてしばし
ば採られる方法である。 しかし、本発明の対象物のSE反応生成物の場
合には、除くべき成分の沸点はいずれも極めて高
い。 例えば、脂肪酸としては、カプリル酸でも240
℃、ステアリン酸では常圧下では、分解を生じて
蒸留が不可能であり、一般には通常の減圧蒸留で
行われ、例えば真空度5mmHgで210℃程度で行わ
れる。また脂肪酸の低級アルコールエステルも脂
肪酸に近似した沸点をもつており、ステアリン酸
メチルエステルの場合は10mmHgでは205℃程度の
蒸留温度が必要である。 一方、シヨ糖脂肪酸エステルは一般に高温には
不安定で、耐熱温度は好ましくは160℃以下、少
なくとも170℃程度であつて、それ以上の高温で
は分解反応が急激に生ずる。 本発明らは、分子蒸留という通常の減圧蒸留と
は全く原理も設備も異なる特殊な方法を用いるこ
とによつて、このような本来高い沸点をもつ脂肪
酸あるいは脂肪酸の低級アルコールエステルが
160℃以下、好ましくは120℃以下で蒸留除去され
る事実を見い出したのである。 分子蒸留という手段は、蒸留原料を薄膜状態に
して、かつ高真空下で蒸留する方法で1930年代に
初めて発明された技術であるが、その後長い間蒸
留技術に関する文献は、ほとんど発表されないで
秘密のベールに包まれていたことや、設備の充実
があまり進歩しなかつたことなどが重なつて、現
在でも特殊な分野に限つて採用されている蒸留技
術である。 分子蒸留の手法は、熱に弱い化合物の蒸留に適
する方法として知られており、例えば、ビタミン
Eのようなビタミン類やモノグリセライドの蒸留
法として知られている。これら従来の分子蒸留は
目的物を低い温度で留去させることに専ら使われ
てきている。 しかし、本発明のように、目的物ではなく、む
しろ夾雑物として混入している成分を分子蒸留に
よつて除くことにより、目的物を残留物として得
ることは、今までに例をみない。 分子蒸留機としては、ポツト式、流下膜式、遠
心式の3種類があるが、液膜の厚さの点で、遠心
式が最も好ましい。流下膜式は膜厚が1mm以下の
条件において最も好ましくは使用できる。分子蒸
留の条件としては、通常の蒸留における圧力及び
温度の他に、膜厚も蒸留結果に重大な影響を与え
る。 本発明において、分子蒸留のよう好ましい条件
としては、真空度1mmHg以下、最も好ましくは
10-1〜10-3mmHgであり、温度は60〜150℃、最も
好ましくは130℃以下である。又液膜の厚さは1
mm以下、最も好ましくは10-1〜10-2mmである。 真空度が1mmHg以上に高い場合は、留出効率
が劣り特に脂肪酸、それも長鎖脂肪酸の除去率が
低下する。 また、温度は高すぎると、SEの分解により着
色が生じたり、不快な臭いを生じたりするので、
低い方が好ましいが、余りにも低すぎると留出効
率が下がるので、130℃以下、更にくわしくは80
〜120℃が適当である。 さらに、膜厚の影響が極めて重要であり、例え
ばポツト式分子蒸留機の10mm程度とか、1部の流
下式膜式分子蒸留装置の場合のように2〜3mm程
度の膜厚のものは留出効率が極めて悪く、脂肪
酸、脂肪酸低級アルコールエステルを十分除き得
ない。 真空度が1mmHg以上に高い場合は、留出効率
が極端に劣り、特に脂肪酸それも長鎖脂肪酸の除
去率が低下する。また温度は高過ぎるとSEの分
解により着色が生じたり、不快な臭いを生じたり
するので低い方が好ましいが、余りにも低過ぎる
と留出効率が下る、130℃以下更にくわしくは80
〜120℃が適当である。 さらに、膜厚の影響が重要である。例えば、ポ
ツト式分子蒸留機の10mm程度とか1部の流下膜式
分子蒸留装置の場合のように2〜3mm程度の膜厚
のものは留出効率が極めて悪く、脂肪酸、脂肪酸
低級アルコールエステルを十分除き得ない。膜厚
としては、1mm以下が必要であり、より好ましく
は10-1〜10-2mmである。 以下に分子蒸留による方法の効果を列挙する。 (1) 低温で処理するため、シヨ糖脂肪酸エステル
の分解が起らない。着色も発生しない。 (2) 脂肪酸、及びまたは脂肪酸低級アルコールエ
ステルの除去率が高い。残存量1%以下 (3) シヨ糖脂肪酸エステルの損失が殆んどないた
め収率が良い。 (4) 溶媒法に比較して、コストが安い。(溶媒費
用およびユーテイリテイー) (5) 溶媒法に比較して、残存溶媒が全くない。従
つて、臭いがしない。 (6) 本発明製造法により得られた脂肪酸及び又は
脂肪酸低級アルコールエステルは、そのまま再
使用することができる。 脂肪酸石鹸を脂肪酸に転化せしめるために酸又
は酸性塩で処理する。 この際使用する酸又は酸性塩としては、次のよ
うなものが挙げられる。塩酸、硫酸酸、リン酸な
どの鉱酸、ギ酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸、コハク
酸などの有機酸、酸性硫酸塩、残性リン酸塩など
の酸性塩である。 酸又は酸性塩の使用量はあらかじめ脂肪酸石鹸
の量を測定して、その当量又はわずかに過剰量加
える方法もあるが、系のPHを測定し、PH6.0以下、
好ましくはPH5.0以下になるまで酸を加える方法
が好適である。 このようにして脂肪酸石鹸を脂肪酸に転化せし
めて得たシヨ糖脂肪酸エステルと、少なくともか
かる転化脂肪酸を含む混合物を、次に分子蒸留機
に通して、脂肪酸を留出せしめると、高純度のシ
ヨ糖脂肪酸エステルが残留物として得られる。か
くして得られたシヨ糖脂肪酸エステルは必要に応
じて少量含まれる水溶性の夾雑物、例えば、塩化
ナトリウム、硫酸カリウムのような塩を水洗によ
つて除去することにより、さらに純度を向上せし
めることができる。これらの塩は脂肪酸石鹸を脂
肪酸に転化させた際に副生したものである。この
水洗は、またエステル交換反応に際して副生した
着色成分も除く効果があることが認められた。 次に本発明を実施例により具体的に説明する。 参考例 1 温度計、減圧装置、プロペラ型撹拌羽根(半径
4.3cm)を備えた1フラスコに、ステアリン酸
ナトリウム石鹸を35.5g入れ、90〜110℃に加熱
し、溶融させた。 次いで、シヨ糖53.9g(0.158モル)、ステアリ
ン酸メチル563.6g(1.891モル)、炭酸カリウム
17.5gを添加し、160℃、5mmHg、線速度11.2
m/秒で3時間撹拌して反応させた。 この場合、エステル化反応中泡立ちは、全く起
こらなかつた。得られた褐色の粗製物を分析した
結果、シヨ糖ステアリン酸エステルの含有率は
66.9%、未反応ステアリン酸メチル21.2%、石鹸
9.8%であつた。 また、ヒドロキシル価より求めたD.Sは7.8であ
り、高速液体クロマトグラフイを使用してエステ
ル分布を調べた結果、ヘプタエステルが29.8%、
オクタエステルが70.2%であつた。 参考例 2 温度計、減圧装置、タービン型撹拌羽根(半径
6cm)を備えた3フラスコに、シヨ糖221.3g
(0.647モル)、シヨ糖オレイン酸エステル(D.S
1.5)200.0g、オレイン酸メチルエステル1501.0
g(5.176モル)、炭酸カリウム77.7gを入れ、撹
拌しながら90〜110℃に加熱し溶融させた。これ
を150℃、3mmHg、線速度3m/秒で1.5間撹拌
して反応させた。この場合もエステル化反応中、
泡立ちは全く起こらなかつた。得られた褐色の粗
製物を分析した結果、シヨ糖オレイン酸エステル
の含有率は87.4%、未反応オレイン酸メチル7.4
%、石鹸5.2%であつた。 また、ヒドロキシル価より求めたD.Sは6.5であ
り、参考例1と同じ分析装置を使用して、エステ
ル分布を調べた結果、ペンタエステルが5.6%、
ヘキサエステルが34.5%、ヘプタエステルが38.9
%、オクタエステルが21.0%であつた。 参考例 3 参考例2で用いた同じ反応器にシヨ糖150.8g
(0.44モル)、水80g、オレイン酸メチルエステル
1914g(6.60モル)、オレイン酸カリウム220gを
入れ、撹拌しながら加熱して溶融させる。減圧で
水を留去しながら温度を125℃まで上げる。水酸
化ナトリウム水溶液(40%濃度)150gをゆつく
り加えたのち、150℃、5mmHgで、線速度5.2
m/秒で2.5時間撹拌して反応させた。得られた
黄褐色の粗エステルは平均置換度7.4のシヨ糖オ
レイン酸エステル43.5%を含むほか、未反応のオ
レイン酸メチル35.3%、オレイン酸石鹸18.4%を
含んでいた。 実施例 1 参考例1で得られた粗エステル200gにリン酸
を加えてPH4.5に調節する。遠心式分子蒸留機を
用い真空度1.5×10-1mmHg、温度115〜117℃、膜
厚0.1mm以下で分子蒸留を行い淡黄色のシヨ糖脂
肪酸エステル136.4gを残留物として得た。 このものは0.2%の石鹸、0.7%のステアリン酸
0.4%のステアリン酸メチルエステルの他、リン
酸塩2.6%を含むが、SE純度96.1%であり、SEの
収率は97.7%である。 実施例 2 参考例2で得られた粗エステル450gに塩酸を
加えてPH3.8として遠心式分子蒸留器を用いて真
空度6×10-2mmHg、温度107〜108℃、膜厚0.1mm
以下で分子蒸留を行い、得られた残留物を水200
mlで1回水洗して塩化カリウムを除く。得られた
389.7gの黄色油状物はオレイン酸0.5%、オレイ
ン酸メチルエステル0.3%を含むのみで、シヨ糖
エステルの純度は99.2%と極めて高純度であり、
SE収率も98.3%である。 実施例 3 参考例3で得た粗エステルを原料にして精製し
た実施例を表1に示す。
【表】
【表】

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 シヨ糖と脂肪酸低級アルコールエステルと
    を、アルカリ触媒の存在下に反応させて平均置換
    度4以上の高置換度シヨ糖脂肪酸エステルを合成
    する際に、 第三成分として脂肪酸のアルカリ塩である石
    鹸及び/又はシヨ糖脂肪酸エステルを加えるこ
    と 脂肪酸低級アルコールエステルを一段階で添
    加すること 反応器の攪拌速度が、線速度として1.0〜50
    m/秒の範囲において攪拌することにより反応
    せしめ、得られた粗エステルを 分子蒸留を行なうことにより、未反応の脂肪
    酸低級アルコールエステルを除去すること を特徴とする高置換度シヨ糖脂肪酸エステルの製
    造法。 2 前記分子蒸留に先立ち、酸を加えてPHを6以
    下に下げ、共存する石鹸を脂肪酸に転換させるこ
    とにより、石鹸を除去することからなる特許請求
    の範囲第1項記載の高置換度シヨ糖脂肪酸エステ
    ルの製造法。
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