JPH027835B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は物品の曲面への絵付方法に関するもの
であり、その目的は物品の曲面に繊細な多色図柄
を容易に効率よく絵付することである。

従来より曲面体を呈する物品に大量に絵付する
方法としてはスライド転写方法、パツドによ
る転写方法があつた。スライド転写方法は、水
貼り転写方法とも呼ばれるが、転写材を水に膨潤
させて図柄をスライドせしめ手貼り等の手段によ
り物品表面に貼着する方法である。この方法は転
写材を用いるから多色図柄の絵付は可能であるが
多くは手作業に依るものであり且つ水槽等の大が
かりな装置を使用するので手間のかかるものであ
る上、物品表面が水分を吸収し易い状態である場
合は特に表面に吸水防止のための樹脂コートを施
す必要があり、工程の複雑なものであつた。

又、パツドによる転写方法は、弾性体よりな
る転写用パツドをインキの転移媒体とした間接印
刷方法であり、転写材を用いてその図柄層を転写
する方法が考えられ本出願人により出願されてい
る（特開昭56−27350号参照）。この方法はワツク
ス層を構成した転写材を用い転写用パツドにて図
柄層を転写する方法であり、手作業によることな
く繊細な多色図柄を絵付できるものである。しか
しながらこの方法では転写材及び被転写物を一定
の温度に加熱しておく必要があつた。従つてその
工程において手間のかかるものであり、又被転写
物が耐熱性のものに限られるという欠点があつ
た。

本発明は、本発明者が以上のような従来方法の
諸欠点に鑑みて種々研究考察した結果、完成され
るに至つたものである。即ち本発明は基体シート
１上に、常温では粘着性を帯びることなく加熱に
よつて一定時間その粘着性を持続し、その後固着
するような熱可塑性物質層２を形成し、その上に
部分的に図柄層３を形成した転写材４を用い、少
なくとも表面が70℃〜250℃の温度に加熱された
転写用パツド５を前記転写材４の図柄層３面及び
熱可塑性物質層２面に圧接せしめることにより図
柄層３及び熱可塑性物質層２を転写用パツド５表
面に転移せしめ、しかる後転写用パツド５を物品
６の曲面に圧接せしめ、物品６表面に図柄層３及
び熱可塑性物質層２を転移せしめることを特徴と
する物品６の曲面への絵付方法である。

以下本発明について更に詳しく説明する。

本発明において使用する転写材４は基体シート
１、熱可塑性物質層２及び図柄層３から構成され
る（第１図参照）。

基体シート１は通常の転写材に供されるもので
よく、上質紙、コート紙、クラフト紙等の紙類或
いはポリエチレンテレフタレート等のフイルム類
を用いる。

熱可塑性物質層２は常温では粘着性を有するこ
となく、加熱により粘着性を帯び、一定時間その
粘着性を持続しその後固着するものである。この
ような性質の熱可塑性物質層２は例えば合成合金
ワツクス、酸化変成ワツクス、パラフイン系ワツ
クス、動植物ろう、ミネラル油、動植物油、熱可
塑性炭化水素樹脂、エチレン共重合物等の主にろ
う状の混合物により形成されるか、或いは熱可塑
性ラテツクス類、スチレンブタジエンラテツク
ス、ニトリルブタジエンゴムラテツクス、アルキ
ツドエマルジヨン、アクリルエステル共重合体エ
マルジヨン、エチレン酢酸ビニル共重合エマルジ
ヨン、アクリルエマルジヨン、塩化ビニル共重合
エマルジヨン、その他の熱可塑性樹脂の共重合エ
マルジヨン、炭化水素樹脂及びロジンエマルジヨ
ン等を単独で又は混合して用いて形成される。以
上のような物質を通常の方法で基体シート１上に
塗布することにより熱可塑性物質層２は形成され
るが、前記の物質群から適宜選択して、複数の層
よりなる構成にしてもよい。この場合、軟化点、
融点が各層で異なるように設けると、後述する転
写時の熱可塑性物質層２の剥離、粘着工程が比較
的スムースに行われる。

図柄層３は通常の顔料、染料インキよりなるも
ので、オフセツト印刷、スクリーン印刷、グラビ
ア印刷又はそれらの組合せの印刷手段によつて部
分的に形成される。

図柄層３の上に必要に応じて透明樹脂層を設け
てもよい。この透明樹脂層は図柄層の保護及転写
性を補助する目的で設けるものであり、図柄層全
体を被うように透明樹脂を用いて印刷手段にて設
ける。

本発明においては以上述べたような転写材４を
使用するから後述する加熱された転写用パツド５
を用いることによつて即座に図柄層３及び熱可塑
性物質層２が転写されるのである。

次に本発明における絵付工程について説明す
る。

まず転写用パツド５を加熱する。転写用パツド
５は例えばシリコンゴムのような弾性体よりな
る。加熱は転写用パツド５の外部から施してもよ
く、内部から施してもよい。外部から加熱する方
法としては赤外線ヒーターを用いて照射加熱する
方法やパツドを加熱板上に圧接する方法等があ
る。内部から加熱する方法としてはパツド内部に
電熱ヒーターを設置する方法やパツドを袋状形態
にして内部に液体の加熱媒体を充填する方法等が
ある。加熱は少なくとも転写用パツド５表面が70
℃〜250℃の温度になるように施す。この温度範
囲であれば後述する転写材４との圧接により図柄
層３及び熱可塑性物質層２が容易に素速く転写用
パツド５表面に転移する。

転写用パツド５表面を加熱した後、或いは加熱
した状態で、該転写用パツド５と前記転写材４の
図柄層３及び熱可塑性物質層２とを圧接せしめる
（第２図参照）。この圧接により図柄層３の全部及
び熱可塑性物質層２のほとんどは転写用パツド５
表面に転移する（第３図参照）。加熱した転写用
パツド５を用いることによつて図柄層３が圧接時
に素速く加熱せしめられ効率のよい転写が行われ
る。尚、転写材４は必要に応じて加熱してもよ
い。

しかる後該転写用パツド５と物品６表面とを圧
接せしめる。この圧接により、加熱されたパツド
表面上で付与された粘着を帯びている熱可塑性物
質層２は物品６表面と密着し、図柄層３と共に物
品６表面に転移する（第４図参照）。物品６は図
柄層３との密着性を良くするために、転写前に予
熱をしておいてもよい。

以上のようにして曲面体を呈する物品６表面に
絵付が施される。物品６が例えば陶磁器のような
耐熱性基材よりなる場合は、上記の工程を経て絵
付された後に物品６を焼成し、図柄層３を物品６
表面に固着せしめてもよい。この場合熱可塑性物
質層２を形成するものとしては焼成によつて熱分
解するものが好ましい。

本発明は以上のような絵付方法であるから物品
の曲面に対して、手作業に依らず比較的簡単な装
置で効率よく繊細な多色図柄を絵付することがで
きる。又、その工程に複雑な熱管理を要しないか
ら大量生産に適したものであり、陶磁器、金属、
ガラス等の耐熱性基材やプラスチツク等の非耐熱
性基材よりなる物品の曲面に対して繊細な多色図
柄を絵付するのに極めて優れた方法であり、産業
界で幅広い利用が期待されるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明にかかる絵付方法において使用
する転写材の部分拡大断面図を、第２図、第３図
及び第４図は本発明にかかる絵付方法の各工程の
拡大断面図をそれぞれ示す。 図中、１……基体シート、２……熱可塑性物質
層、３……図柄層、４……転写材、５……転写用
パツド、６……物品。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 基体シート上に、常温では粘着性を帯びるこ
   となく加熱により粘着性を帯び一定時間その粘着
   性を持続しその後固着するような熱可塑性物質層
   を形成し、その上に部分的に図柄層を形成した転
   写材を用い、少なくとも表面が70℃〜250℃の温
   度に加熱された転写用パツドを前記転写材の図柄
   層面及び熱可塑性物質層面に圧接せしめることに
   より図柄層及び熱可塑性物質層を転写用パツド表
   面に転移せしめ、しかる後転写用パツドを物品の
   曲面に圧接せしめ、物品表面に図柄層及び熱可塑
   性物質層を転移せしめることを特徴とする物品の
   曲面への絵付方法。 ２ 転写材が熱可塑性物質層、図柄層及び透明樹
   脂層より構成されたものであることを特徴とする
   特許請求の範囲第１項記載の物品の曲面への絵付
   方法。