JPH0258956B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （発明の分野） この発明は椅子、車両等の座席クツシヨン体の
一体成形法に関し、特にはカバー材とクツシヨン
材を一体に接合すると同時にカバー材に模様を付
与する座席クツシヨン体の一体成形法に関する。

（従来技術の説明） 従来のこの種の座席クツシヨン体の一体成形法
は、第１図に示す如く所定形状に成形されたポリ
ウレタン樹脂発泡体等のクツシヨン材１と、所定
形状の縫製加工、ウエルダー加工またはキルテイ
ング加工された模様を有するカバー材（表皮材）
２と、クツシヨン材１を支持するフレーム材（図
示せず）とを吊り込み部材３によつて吊り込み張
設するのが通常であつた。しかし、この吊り込み
構造による従来方法にあつては、カバー材２への
模様の付与は縫製加工、ウエルダー加工等によつ
てなされねばならないために、深い凹凸模様及び
複雑な模様を形成することは困難であつた。更
に、カバー材２とクツシヨン材１との一体化は、
吊り込みによる部分的な固定によつてなされるた
めに、クツシヨン材１をなだらかな凹形状とする
と、カバー材２がクツシヨン材１より部分的に浮
き上がり、外観が好ましくない問題を有すると共
に、吊り込み作業及び模様付与作業に手間取る等
の欠点を有していた。

（発明の目的） この発明は座席クツシヨン体の一体化に際して
生じる前記のような問題を解決するために提案さ
れたものであつて、極めて簡単な工程によつて座
席クツシヨン体の一体化を行なうとともに、複雑
且つ高低差の大きい凹凸模様又はなだらかな凹面
形状を容易に得ることができる成形法を提供しよ
うとするものである。

（発明の構成） この発明の要旨とするところは、表面に凹凸模
様を有し、所定の座席形状に成形したクツシヨン
材と、可撓性のカバー材とを熱硬化性の接着材を
介して積層し、前記クツシヨン材に付与した凹溝
に嵌入する刃形状の突起を有し、座席表面形状に
沿う形状としたプレス型によりこれらを熱プレス
し、接着材を硬化させ、カバー材にクツシヨン材
の凹凸模様を形成するとともにカバー材とクツシ
ヨン材とを接合することにある。以下添付図面に
従つて実施例を説明する。

第２図はこの発明方法によつて得られた車両用
座席クツシヨン体４を断面とともに示した斜視図
であつて、該座席クツシヨン体４は座席両側４
ａ，４ａが盛り上つた膨出形状を呈し、かつ座部
中央部４ｂはなだらかな凹形状の面に凹溝４Ｃに
よつて形成される凹凸模様を有するものである。
この座席クツシヨン体４は、所定の座席形状とさ
れ、表面に凹溝５ａによる凹凸模様が賦与された
軟質合成樹脂発泡体よりなるクツシヨン材５が可
撓性のカバー材６により被覆された構造よりな
り、クツシヨン材５およびカバー材６は熱硬化性
の接着剤７により一体に接合賦形されている。

次に、この発明方法に使用される部材について
記す。

クツシヨン材は軟質ポリウレタンフオーム等の
軟質合成樹脂発泡体よりなり、所定の座席形状、
たとえば車両の座席クツシヨン体にあつては、乗
員の座姿勢をしつかりとホールドするために両側
部が盛り上つた膨出形状及び座面中央部が凹面形
状とされ、表面部には凹溝による所定の凹凸模様
が形成される。

カバー材は、可撓性のクツシヨンート材、たと
えばフアブリツク、ビニールレザー、あるいはこ
れらに薄い合成樹脂発泡体が裏打ちされたもの
等、座席クツシヨン体の表皮材として通常使用さ
れるものが用いられるが、特に、座席表面に美麗
かつ複雑な凹凸模様を形成するには伸縮性の大き
いフアブリツクが好ましく、クツシヨン材を被覆
可能とする袋形状とされ、カバー材の端部には必
要に応じてこのカバー材を座席フレーム等に止め
る止め具が設けられる。尚、カバー材表面には座
席の装飾性をさらに高めるために玉縁等が形成さ
れることもある。

熱硬化性の接着材は硬化後も柔軟性を有するも
のが使用され、ポリウレタン系弾性接着剤、特に
硬化剤および発泡剤とポリウレタンプレポリマー
との反応によるものが好ましい。この接着剤は座
席クツシヨン体の成形に先立ち、あらかじめクツ
シヨン材とカバー材の積層面の片面または両面に
塗布されるか、あるいはクツシヨン材表面に含浸
される。

第３図はこの発明に係る成形法の実施例を示す
断面図であり、この図を用いてこの発明を成形段
階に従い説明する。

この発明に係る成形法は、 (1) クツシヨン材５の表面に形成された凹凸模様
を構成する凹溝５ａに嵌入する刃形状の突起８
ａを有し、クツシヨン材５の表面形状、すなわ
ち座席表面形状に沿う形状としたプレス型８上
に、袋形状とされたカバー材６を表面側をプレ
ス型８側にして載置し、 (2) 凹凸模様を構成する凹溝５ａが形成されたク
ツシヨン材５を、プレス型８の刃形状の突起８
ａと凹溝５ａとが合致するように位置を合わせ
て、熱硬化性の接着剤７を介してカバー材６上
に積層し、 (3) クツシヨン材５の裏面に沿う形状とした押し
型９とプレス型８によりクツシヨン材５及びカ
バー材６を第４図の如くプレスし、クツシヨン
材５の表面にカバー材６の裏面を密着させると
ともに加熱し、接着剤７を硬化させ、 クツシヨン材５とカバー材６とを一体に接合す
ると同時に、クツシヨン材５の凹凸模様をカバー
材６に賦形するものである。

尚、加熱条件は用いる接着剤の種類、クツシヨ
ン材及びカバー材の材質、更には成形サイクル等
によつて最適のものが選定される。又、加熱方法
は、プレス型内に電熱ヒーターあるいはスチーム
流通管を配設し、電熱又はスチームによつてなさ
れるのが一般的である。

カバー材６の端部６ａはプレス解除後反転さ
れ、クツシヨン材５の側部が覆われる。６ｂは必
要に応じて設けられる止め具であり、座席フレー
ム（図示せず）にカバー材６の端部６ａを固定す
るものである。

（発明の効果） この発明は前記の如く、表面に凹溝による凹凸
模様を有し、所定の座席形状に成形したクツシヨ
ン材と、可撓性のカバー材とを熱硬化性の接着剤
を介して積層し、クツシヨン材に付与した凹溝に
嵌入する刃形状の突起を有し、座席表面形状に沿
う形状としたプレス型によりこれらを熱プレス
し、接着剤を硬化させ、カバー材とクツシヨン材
とを一体に接合すると同時にカバー材にクツシヨ
ン材の凹凸模様を付与するものである。

したがつて、この発明によれば、従来の成形方
法において必要とされた複雑かつ手間のかかる吊
り込み作業を用いることなく。作業の簡単な熱プ
レスによつて容易にクツシヨン材とカバー材とを
一体にすることができる。更に、一体成形時に同
時にカバー材に模様を付与することができる為
に、前もつて縫製加工あるいはウエルダー加工等
によつてカバー材に模様を付与する必要がなく成
形が簡略化される。又、クツシヨン材には凹溝に
よる凹凸模様があらかじめ形成されている為に、
熱プレス時に、カバー材がその凹凸模様に正確に
対応してクツシヨン材と密着することとなり、高
低差の大きい且つ複雑な凹凸模様も明瞭にかつ美
麗にカバー材に付形される。その上、座席クツシ
ヨン体の座席形状をなだらかな凹面形状とした場
合にも、クツシヨン材とカバー材とが接着されて
いる為に、従来の吊り込みによる部分的な一体化
と異なり、カバー材がクツシヨン材より部分的に
浮き上がることがない。

以上の如くこの発明は、吊り込み作業による従
来成形法が有していた種々の問題を解決したもの
で、産業上大変有用である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の成形法を説明する断面図、第２
図はこの発明方法によつて得られた車両用座席ク
ツシヨン体を断面とともに示した斜視図、第３図
及び第４図はこの発明を説明する断面図である。 ４……座席クツシヨン体、５……クツシヨン
材、５ａ……凹溝、６……カバー材、７……接着
剤、８……プレス型、８ａ……刃形状の突起、９
……押し型。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 凹溝による凹凸模様を表面に有し、所定の座
   席形状に成形したクツシヨン材と、可撓性のカバ
   ー材とを熱硬化性の接着剤を介して積層し、クツ
   シヨン材に付与した前記凹溝に嵌入する刃形状の
   突起を有し、座席表面形状に沿う形状としたプレ
   ス型によりこれらを熱プレスし、接着剤を硬化さ
   せ、クツシヨン材とカバー材とを一体に接合する
   と同時にカバー材に凹凸模様を付与することを特
   徴とする、座席クツシヨン体の一体成形法。