JPH0255210B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、プラスチツクから成る、薄板および
この薄板と摺動可能に結合する縁枠を有する文字
又は記号の型板を射出成形によつて製造する方法
に関する。この型板は、所謂“ステンシル”であ
り、製図分野、印刷等で使用されている。

文字又は記号の型板の薄板及び縁枠を一体に射
出成形法で製造することは、すでに公知である
（西ドイツ国実用新案登録第7630452号）。しかし、
この場合には、本質的に、製造すべき型板全体の
材料の厚さが極めて異なることに基づく著しい困
難を生じる。そのために、大きい材料厚さを形成
する縁枠は、射出成形後に、小さい材料厚さを示
す薄板の場合よりも極めてゆつくり冷却し、それ
によつて、型板に応力の上昇および成形欠陥を生
ずる。更に、この応力により、縁枠の外縁の後加
工による調節を必要とする型板の変形がもたらさ
れる。この種の後加工は、殊に全型板を射出成形
すると同時に薄板の記号の孔を得る場合に必要で
ある。それというのも、この場合この後加工によ
る以外型板に必要な裏返し精度すなわち記号の孔
の基準線から縁枠外縁への正確な距離を達成する
ことができないからである。

更に、普通の金属製縁枠の代わりにプラスチツ
クから成る縁枠を予め製造した薄板へ嵌め、次に
これを例えば薄板に存在するくぼみもしくは突出
部によつて固定するか、又は接着によつて固定す
ることは、すでに公知である（西ドイツ国実用新
案登録第7630452号）。この方法の場合、所望の裏
返し精度を得るには、射出成形法で予め製造した
プラスチツク製縁枠を後加工する必要があり、場
合によつては薄板も付加的に加工しなければなら
ない。

他の公知方法（西ドイツ国特許公告公報第
1237927号）の場合、金属製縁枠を射出成形用金
型に挿入し、次にプラスチツクから成る薄板を射
出成形し、プラスチツクを金属製縁枠の空所に満
たして薄板と縁枠との結合を得る。この公知方法
の場合には、異なる冷却速度のためにすでに前記
した困難を生じることは無視しても、こうして製
造した型板は、薄板のプラスチツクと薄板に堅く
結合した縁枠の金属との熱膨張温度係数が著しく
異なり、その結果実地において温度変化が起こる
場合に応力を生じ、そのため型板にも変形を生ず
るという欠点を有する。更に、この種の金属製縁
枠の製造は比較的高価である。

これとは異なり、本発明の目的は、異なる冷却
経過による内部応力又は変形を示さず、必要な裏
返し精度を得るのに後加工を必要としない型板を
製造することができる、簡単かつ安価に実施され
る文字又は記号の型板の製造法を得ることであ
る。

この課題を解決するために前記した種類の方法
は、予め製造した、縁枠と結合すべき縁範囲内に
薄型板に対して摺動方向の溝（薄型板に対してそ
の長手方向の溝）を有する薄型板に、縁範囲内へ
の離型剤の塗布後に、縁枠を射出成形するように
形成される。従つて、記号の孔が機械加工により
設けられうるか、又は射出成形法での製造の際に
成形されうる薄板は、それに設けられた位置ぎめ
孔または位置ぎめ突出部によつて、縁枠を射出成
形する金型の正確に一定の位置に配置される。

すなわち、本発明方法の場合には、プラスチツ
クから成る予め製造した薄板にプラスチツクから
成る縁枠を射出成形し、縁枠の射出成形後にその
縦の全長にわたつて本質的に均一な断面を有する
この縁枠だけを冷却することができるので、製造
すべき型板の材料に異なる冷却速度が生ぜず、そ
れゆえ型板の内部応力及び／又は変形は阻止さ
れ、この場合には、普通に薄板の製造及び縁枠の
製造に同一のプラスチツクが使用され、その結果
薄板及び縁枠は同じ熱膨張温度係数を有し、この
ため温度が変化する場合にほとんど変形は起こら
ない。

この薄板は、位置ぎめ孔または突出部を用いて
極めて正確に射出成形用金型に位置ぎめされ、薄
板に対してその長手方向の端縁が位置ぎめ孔また
は突出部から所定の距離によりある程度ずれてい
る場合でさえも、射出成形用金型内で縁枠を射出
成形することによつて大きな裏返し精度を有する
型板を製造することができ、前記した距離の場合
による不正確さは縁枠を射出成形することによつ
て補償される。

本発明による文字及び記号の型板は、普通は同
じプラスチツクから成り、このため同じ温度係数
を有する薄板及び縁枠を有するけれども、環境温
度が変化する場合には、短時間で型板の変形が起
こりうる。それというのも、縁枠よりも材料の厚
さが著しく薄い薄板は、縁枠よりも著しく迅速に
温度が変化するからである。

この短時間での変形をも確実に阻止するため
に、本発明による方法で縁枠と結合すべき薄型板
の縁範囲内を通る、薄型板に対して摺動方向の溝
（薄型板に対してその長手方向の溝）を有する、
例えば縁枠を薄型板へ嵌める文字型板によつて公
知のような薄板を使用することができる。この種
の薄板を使用する場合には、場合によつて縁枠の
射出成形前にこの型板の縁範囲を離型剤、例えば
シリコーン油で被覆することができ、その結果薄
型板と射出成形した縁枠との間の接着−又は付着
結合は確実に阻止され、縁枠はその長手方向に薄
型板に対して摺動可能であり、薄型板に対して摺
動方向の通じている溝は、摩擦ストリツプのその
長手方向に対して垂直方向の引抜けを阻止する。
薄板から縁枠の摺動方向の引抜けを阻止しなけれ
ばならない場合、縁枠と薄板との堅い結合はある
１個所にまたは極めて狭い範囲内に設けることが
できる。

薄型板と縁枠とを分離するか、または極めて狭
い範囲内でのみ固定することによつて、この部材
は温度の変化の際互いに無関係に膨張することが
でき、その結果場合により生じうる温度変化によ
る短時間の変形は、本発明方法によつて製造した
文字及び記号の型板の場合には確実に阻止され
る。

本発明による文字又は記号の型板の操作及び取
扱いを改良するために、縁枠の支持面に及び／又
は支持面よりさらに内側の範囲内に確実な指の接
触を達成しうるくぼみを成形してもよい。

更に、縁枠のくぼみの１つにスプルーを設ける
ことができるので、スプルーは多数の他の型板の
場合にように完成した型板にそれほど明らかに突
出してはいない。

本発明を次に実施例を示す図面によつて詳説す
る。

図示した文字の型板は、普通の記号の孔を有す
る薄型板１、２つの位置ぎめ孔３及び縁範囲内に
設けられた、薄型板に対して摺動方向の溝４を有
する。

図示した文字の型板を製造するには、薄型板１
の縁範囲に場合によつては離型剤を塗布し、次に
薄型板を射出成形用金型に挿入し、該金型中でこ
の型板を２つの位置ぎめ孔３によつて正確に固定
する。

次に、射出成形用金型を密閉した後に縁枠２を
射出成形し、この場合同時にくぼみ５を形成す
る。この成形の際に縁枠の材料は、薄型板に対し
て摺動方向の溝４も充填し、その結果縁枠２は冷
却後にその長手方向に対して垂直方向に薄板から
もはや引抜くことはできないが、薄型板１との堅
い結合が離型剤によつて阻止されるために１個所
または狭い範囲内での図示されてない固定個所が
存在しない場合、薄型板に対して長手方向に摺動
可能である。

位置ぎめ孔３と縁枠２の外縁との間の距離は射
出成形用金型によつてのみ決定されるので、この
距離及びそれに伴う型板の裏返し精度は型板の後
加工を必要とすることなく極めて小さい許容差内
に保つことができる。

更に、図示した実施例でスプルー６は縁枠２の
くぼみ５に存在し、このため完成した型板では殆
んど目に付かないことが指摘される。

既述したように、薄型板１及び縁枠２は有利に
同一のプラスチツクから製造され、プラスチツク
としては例えばセルロースアセトブチレート、セ
ルロースプロピオネート又は殊にポリカーボネー
トが好適である。更に、縁枠を視覚的に薄型板と
対照させるために縁枠に使用されるプラスチツク
を着色することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明方法によつて製造した文字の型
板の平面図を示し、第２図は第１図の一点鎖線
−に沿つた断面図を示す。 １…薄型板、２…縁枠、３…位置ぎめ孔、４…
薄型板に対して摺動方向の溝、５…くぼみ、６…
スプルー。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ プラスチツクから成る、薄型板およびこの薄
   型板と摺動可能に結合する縁枠を有する文字又は
   記号の型板を射出成形によつて製造する方法にお
   いて、予め製造した、縁枠と結合すべき縁範囲内
   に薄型板に対して摺動方向の溝を有する薄型板
   に、縁範囲内への離型剤の塗布後に、縁枠を射出
   成形することを特徴とする、文字又は記号の型板
   の製造法。 ２ 薄型板に設けられた位置ぎめ孔または位置ぎ
   め突出部を用いて縁枠を射出成形する金型の正確
   な定位置に薄型板を配置する特許請求の範囲第１
   項記載の方法。 ３ 離型剤としてシリコーン油を使用する、特許
   請求の範囲第１項記載の方法。 ４ 縁枠の支持面に及び／または支持面よりさら
   に内側の範囲内にくぼみを成形する、特許請求の
   範囲第１項から第３項までのいずれか１項に記載
   の方法。 ５ くぼみの１つにスプルーを設ける、特許請求
   の範囲第４項記載の方法。