JPH0236089B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、熱湯をコーヒー粉上に吐出させてコ
ーヒー液の抽出を行なう構成のコーヒー沸し器に
関するものである。

従来例の構成とその問題点 従来のコーヒー沸し器は、第４図に示すよう
に、水タンク６１内の水を加熱体６２により加熱
し、そして加熱した水を切換弁６３を介して水タ
ンク６１側とコーヒーバスケツト６４側に吐出す
るものが知られている。しかしながら、この構成
における切換弁６３は手動切換えであるため、使
用操作性が悪く、またコーヒー抽出に関する水タ
ンク６１内の水温上昇に関しても何ら考慮されて
いないもので、したがつてコーヒー抽出における
高温度抽出や短時間抽出が保証されず、前記切換
弁６３の操作のタイミングによつては、加熱体６
２より上方のパイプ内の冷水がそのままコーヒー
粉上に吐出されて、コーヒー粉の膨潤を悪くし
て、不味いコーヒー液となつたり、コーヒーバス
ケツト６４側へ切換える時間的タイミングも加熱
体６２に流入する水温がバラツキや電圧変化等を
受けて加熱体６２からの供給熱量が多くなりすぎ
て加熱パイプ内で沸騰過多となり、その結果、蒸
気の噴出が多くなつて効率的な温水の熱湯化が行
なえないばかりか、コーヒー粉に注がれる湯の吐
出時間を効果的に設定できるものではなかつた。

発明の目的 本発明はこのような従来の問題を解消するもの
で、蒸気発生の少ない効率的な加熱が行なえ、か
つ吐出初期より高温の熱湯を高速（３〜４分）で
吐出させて美味しいコーヒー液抽出の必須条件で
ある高温、短時間抽出を可能としたコーヒー沸し
器を提供することを目的とするものである。

発明の構成 上記目的を達成するために本発明のコーヒー沸
し器は、水タンクと、この水タンク内の水を加熱
する加熱体と、この加熱体により加熱された湯が
導かれる水路に設けた流路切換装置と、この流路
切換装置からの湯を前記水タンク側に戻す循環水
路と、コーヒーバスケツト側に湯を導く吐出水路
と、前記水タンク内の水温上昇を感知して作動す
る形状記憶合金等よりなる水温感知部材とを備
え、前記流路切換装置は、前記水温感知部材の動
作に連動してその流路を常時開放される循環水路
より吐出水路側に切換えられる構成としたもの
で、この構成により、コーヒーバスケツト内のコ
ーヒー粉への熱湯供給は、吐出初期より高温度の
熱湯となり、かつその熱湯供給時間は短時間に行
なえるようになり、味の良いコーヒー液抽出がで
きるものである。またコーヒー粉への高温度給湯
は水タンク内の水温上昇を感知して作動する形状
記憶合金等よりなる水温感知機能と動作力を利用
して切換わる切換弁の構成としてしているので、
電磁弁等の電気部品構成は不必要となり、したが
つてその構成が非常に簡素化でき、またその切換
え動作は時間で制御するものではなく、水温感知
により行なうので、加熱体からの熱湯供給を合理
的に設定し得て、バスケツト側への蒸気噴出を効
果的に少なくすることができる等、品質的価値を
も大幅に向上し得たものである。

実施例の説明 以下、添付図面にもとづいて本発明の一実施例
について説明する。

第１図および第２図において、１は器体２に着
脱自在に装着された水タンク、３は器体２を構成
する基台で、この基台３は左側上部に水タンク収
納部４を有し、一方、反対側に開口５を有するカ
ツプ載置部６を有し、かつ基台３の略中央部には
上方に突設した支柱枠７と前記カツプ載置部６の
上方に延出するひさし部８で形成される容器部９
を立脚している。そして基台３および容器部９に
より器体２を構成する。１０は基台３、支柱枠
７、ひさし部９により囲まれて形成される収納部
で、この収納部１０には、下面をカツプ載置部６
に装着するカツプ１２が位置する。またこのカツ
プ１２の上面にはフイルター１３を内蔵し、かつ
下面に注出口１４を有するコーヒーバスケツト１
５が載置されている。１６はコーヒーバスケツト
１５の上面に被着される拡散体１７を有するコー
ヒーバスケツト蓋、１８はカツプ１２の把手であ
る。

１９は基台３カツプ載置部６の下方に配設した
加熱体で、この加熱体１９はアルミニウム製の熱
良導体で形成され、かつシーズヒーター２０およ
び加熱パイプ２１が内包されている。

前記加熱パイプ２１の一端は、水タンク収納部
４に位置した逆止弁２２と上部開口の受口２３と
を有する注出口２４に接続され、かつ他端は、支
柱枠７の上方に位置する流路切換装置２５に接続
されている。この流路切換装置２５は詳しくは第
２図に示すように、ばね２６で付勢されて、コー
ヒーバスケツト１５側の開口２７を常時閉止状態
にする吐出弁２８と、水タンク１側の開口２９に
位置してこれを常時開口状態にする循環弁３０
と、この両弁２８，３０を支持するとともに、循
環弁３０より左側に球面状をなして突設した当て
部材３１を支持してなる弁棒３２と、一対の支持
片３３により回動自在な弁レバー３４とより成
る。そして弁レバー３４は一片を前記当て部材３
１の球面に接する受面３５と、他片を水タンク１
の上方で開口する注湯口３６より突出して位置す
る摺動面３７とを有している。また流路切換装置
２５は、略Ｔ字形本体ケース３８と、注湯口３６
を有して本体ケース３８の左側開口面を水密に覆
うカバー３９とで構成され、前記流路切換装置２
５の部材を内蔵して設置される。

４０は前記弁レバー３４の摺動面３７に上面を
当てるように水タンク１保護カバー４１内に配置
した摺動棒で、下端部の水タンク１下方には形状
記憶合金で形成されるコイルばね形状の水温感知
部材４２が水タンク１の底面との間に配置され
る。４３は保護カバー４１内と水タンク１側を連
通させる通水孔、４４は一端が吐出弁２８の開口
２７に接続され、かつ他端開口の注湯口４５をコ
ーヒーバスケツト蓋１６の拡散体１７の上方に配
置してなる吐出パイプである。

上記構成とすることにより、流路切換装置２５
を介して開口２９、カバー３９、注湯口３６は、
水タンク１、加熱パイプ２とともに水タンク１へ
の循環水路４６を、また吐出弁２８側の開口２７
は、吐出パイプ４４を有した吐出水路４７を形成
し、前記流路切換装置２５は常時ばね２６で付勢
されて吐出水路４７を閉止し、逆に循環水路４６
は開口している。そして形状記憶合金はTi−Ni
合金やCu−Zn等の合金でで構成処理された合金
で、通常は容易に変形自在なものがある設定され
た温度になると、記憶処理した元の伸長した状態
に大きな発生力を有して復元する特性を有してお
り、例えばその温度50℃もしくは60℃に設定して
おけば、この湯温で元の記憶した形に伸長し、摺
動棒４０を上方に押し上げるので、弁レバー３４
は回動して弁棒３２をばね２６の力に抗して左側
に移動させる。この移動により循環弁３０は、循
環水路４６を閉じ、逆に吐出弁２９は開口２７の
閉止を開放して吐出水路４７を開口するため、コ
ーヒーバスケツト１５への給湯が行なわれる。

４８は、水タンク１の収納部４の注入口２４に
対向して水タンク１の底部に設けた注水口で、こ
の注水口４８には、止水弁４９と、この止水弁４
９上部に位置し、かつ注出口４８を覆うステンレ
ス製の金網等で形成されるメツシユカバー５０が
組込まれ、かつ前記止水弁４９は常時は注水口４
８を閉成し、水タンク１の収納部４の所定位置に
セツトされると、受口２３の突出片５１により注
水口４８を開口し、水タンク１と加熱パイプ２１
とをはじめて連通させるものである。５２および
５３は器体２の上部に被着した着脱自在な水タン
ク蓋と固定化された容器蓋である。

次に第３図の電気回路について説明する。５
４，５５は例えば100Vの電源に接続される電源
端子、５６は器体操作部に配置した電源スイツチ
で、この電源スイツチ５６を介して加熱体１９に
内包されるシーズヒータ２０と、加熱体１９の温
度を制御するサーモスタツト５７および温度過昇
防止用の温度ヒユーズ５８が直列接続されてい
る。

上記構成において本実施例の作用について説明
する。まずコーヒーバスケツト１５紙フイルター
１３とコーヒー粉を入れてカツプ１２に載置し、
かつこのカツプ１２を器体２のカツプ載置部６に
セツトする。水は器体２より離脱した水タンク１
に注入した後、水タンク蓋５２を被着し、そして
水タンク収納部４に装着する。これにより、水タ
ンク１の注水口４８は、突出片５１が止水弁４９
を上方に押し上げるため、注入口２４と接続さ
れ、一部の水が器体２内に流入する。また水タン
ク１の上部の保護カバー４１内に若干突設する寸
法の弁レバー３４の突設摺動面３７は、流路切換
装置２５のばね２６の力により水タンク１の底部
の形状記憶合金よりなる変形自在な水温感知部材
４２を容易に圧縮変形して摺動棒４０を押し下げ
た第２図の形で組み込まれている。この場合、弁
レバー３４の突出摺動面３７は水タンク１内に突
設しており、下方の基台２，水タンク収納部４、
延出外周壁とで水タンクを確実に固定化できる機
能をも果たす。この状態では、ばね２６の力によ
り流路切換装置２５の吐出開口２７は閉止され、
かつ水タンク１側の開口２９も開放され、水タン
ク１への循環水路４６が構成されている。

電源スイツチ５６を閉成すると、シーズヒータ
ー２０に通電され、加熱体１９を介して加熱パイ
プ２１内の水が加熱される。そして次に温度上昇
する加熱パイプ２１内の水は、次いで発生する蒸
気圧により、逆支弁２２を介して水タンク１側へ
の動きを阻止されているので、流路切換装置２５
側へ吐出上昇する。すると、流路切換装置２５に
より循環水路４６が形成されているので、水タン
ク１へ逆流する。この循環逆流動作は、加熱パイ
プ２１内で繰り返される蒸気発生と、一方向規制
の逆止弁２２の効果により、水タンク１内の水が
加熱パイプ２１で加熱されて吐出し、流路切換装
置２５を経て再び上方より水タンク１内に戻る動
作を繰り返すことにより、水タンク内の水温を次
第に温めていく。

ここで水タンク１内の水は、上方より流入する
温度の高い水温が上方にあり、かつそれより低い
水温の水は下方にあり、そしてより低い水温の水
が加熱体１９へ流入していくので、より効果的に
水タンク１内の水温を温めていく。そして、水タ
ンク１内の水温が設定された温度に達すると、そ
の温度を感知して水温感知部材４２よりなる形状
記憶合金のコイルばねが伸長し、摺動棒４０を上
方に押し上げる。この動きは、弁レバー３４を回
動し、さらに流路切換装置２５内の弁棒３２をば
ね２６の力に抗して左側に移動させるので、循環
弁３０が開口２９を閉じるとともに、吐出弁２８
が開口２７を開放し、かつ循環水路４６が閉成
し、吐出水路４７が形成される。これによつて、
吐出パイプ４４を介してコーヒーバスケツト１５
内に初めて給湯されるが、この熱湯は拡散体１７
によりコーヒー粉に均一に注湯され、コーヒー成
分を抽出してフイルター１３で濾過され、コーヒ
ーバスケツト１５下部の注出口１４よりカツプ１
２内に収まる。このカツプ１２内のコーヒー液
は、加熱体１９とコーヒー抽出後、機能するサー
モスタツト５７の温度制御により、カツプ１２内
の液温を飲みごろの温度に保温する。

また形状記憶合金４２の伸長は、水タンク１内
の水がコーヒーバスケツト１５側に吐出されて水
タンク内の温度が下り、雰囲気温度に戻るまでの
間に行なわれ、そして設定した温度以下になると
復元力を失ない、ばね２６により初期の圧縮され
た第２図の状態となる。また再注水してコーヒー
を抽出する場合でも、冷水により冷やされて圧縮
され第２図の吐出水路４７に閉止され、かつ循環
水路４６が開放された状態からコーヒー液抽出動
作が行なわれる。ここで形状記憶合金４２は、水
タンク１の下方の最小抽出カツプの水面以下に設
置され、どの注出カツプでも機能するように設定
されている。

このように本実施例においては、常時閉止状態
にされる吐出水路４７と逆に開放され水タンク１
への循環水路４７とを加熱体１９を介した流路切
換装置２５を有して構成し、かつこの流路切換装
置２５の動作を水タンク１内に設けた形状記憶合
金よりなる水温感知部材４２で行なわせてコーヒ
ー粉に注ぐ給湯温度を初期より高温度で行なわせ
るので、従来のように加熱体１９の上方の加熱パ
イプ２１内の冷水がそのまま、コーヒー粉に注が
れることはなく、必ず加熱体１９により加熱さ
れ、しかも循環加熱後の温水を再加熱して吐出さ
れるので、コーヒー粉に注がれる湯温が高温にな
る。従つて高温度給湯によりコーヒー粉が十分に
膨潤し、コーヒー粉成分を容易に効率よく抽出で
きるのでコクのある美味なコーヒー液を抽出する
ことができる。

またコーヒー粉に注がれる給湯時間も、一度、
水タンク１を経た循環水路４６で予備加熱されて
いるので、加熱パイプ２１内での蒸気発生時間が
半減され、その結果、従来５人分（水650c.c.）を
650Wの消費電力で７分要していたものが、３〜
４分で吐出して短時間抽出が可能となる。従つて
ヒーター構成を含む大電流容量の器体構成を必要
とすることなく、一般家庭でも比較的小容量で短
時間でのコーヒー抽出が可能となり、美味なコー
ヒー抽出条件と言われる時間経過とともに析出し
てくる不良成分を少なくし、短時間で析出する良
質の可溶成分を効果的に抽出できる。３〜４分の
短時間抽出が実現できるので、苦みや渋みを少な
くした香り豊かなコーヒー液となる。

また流路切換装置２５の構成として、水タンク
１内に設けたコイルばねの形状記憶合金よりなる
水温感知部材４２を採用しているので、従来のよ
うに水温検知用のサーモスタツトや弁切換用の電
磁弁等を必要とすることなく、構成が小形で簡素
化され、かつ水温感知も直接水温に接して動作す
るので、時間切換制御や水タンク１外からの温度
感知等に比較しても、注水温度や電圧バラツキ等
に伴う感知バラツキが少なく、その分コーヒー抽
出条件が安定している。それに一定水温で流入し
てくる加熱パイプ２１内の水温を加熱沸騰させて
吐出させるので、熱湯とともに噴出する蒸気吐出
を少なくして吐出させる加熱部構成が比較的容易
に設定できるので、コーヒー粉に注がれる時の蒸
気発生を押さえて熱湯を効率よくコーヒー液抽出
に供給できる。それに水タンク１が器体２に着脱
自在に構成されているため、器体２を動かすこと
なく、水タンク１のみを器体２より取外して水タ
ンク１への注水や使用後の手入れを簡単に行なう
ことができる。

なお、形状記憶合金の回復温度50℃〜60℃の設
定は、本実施例による３〜４分の吐出時間との兼
ねあいで設定されているもので、この構成の異な
る滴下式等においては設定温度が変更されて採用
されるのは当然である。また本実施例において
は、水温感知部材４３として形状記憶合金を採用
したものについて説明したが、これに限定される
ものではなく、例えば感温フエライト部材の磁性
効果を利用して構成しても、本実施例と同様の作
用効果を奏するものである。また本実施例のコー
ヒー沸し器は、水タンク１を器体２に着脱自在に
するドリツプ式コーヒー沸し器で説明したが、こ
れに限らず、例えばポツト式やサイフオン式のコ
ーヒー抽出器にも採用できることは勿論のこと、
コーヒー以外の紅茶や緑茶等の抽出としても要旨
を逸脱しない範囲で採用できることは勿論であ
る。

発明の効果 以上のように本発明によれば、水タンクと、こ
の水タンクの水を加熱する加熱体と、この加熱体
により加熱された湯が導かれる水路に設けた流路
切換装置と、この流路切換装置からの湯を前記水
タンク側に戻す循環水路と、コーヒーバスケツト
側に湯を導く吐出水路と、前記水タンク内の水温
上昇を感知して作動する形状記憶合金等よりなる
水温感知部材とを備え、前記流路切換装置は、前
記水温感知部材の動作に連動してその流路を常時
開放される循環水路により吐出水路側に切換えら
れるように構成しているため、コーヒー粉への熱
湯供給は、吐出初期より高温度の熱湯を供給する
ことができ、かつその給湯時間も大電流の加熱体
構成を要することなく、容易に達成でき、その結
果、美味なコーヒー抽出条件とされる高温度、短
時間抽出が可能で、苦みや渋みの少ないコクと香
り豊かな美味なコーヒー液を飲用できる。

また、前記流路切換装置の動作は、水タンク内
の水温を形状記憶合金等よりなる水温感知部材で
感知し、かつ発生する動作力をもつて行なわせて
いるので、器体構成が小形簡素化され、かつ感知
バラツキも少なくなる等の実用的価値を高めてい
る。さらに流路切換装置の操作が自動的に行なわ
れて使い勝手も良いものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示すコーヒー沸し
器の縦断面図、第２図はその要部断面図、第３図
はその回路図、第４図は従来例を示すコーヒー沸
し器の縦断面図である。 １……水タンク、２……器体、３……基台、１
９……加熱体、２５……流路切換装置、４２……
水温感知部材、４６……循環水路、４７……吐出
水路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 水タンクと、この水タンク内の水を加熱する
   加熱体と、この加熱体により加熱された湯が導か
   れる水路に設けた流路切換装置と、この流路切換
   装置からの湯を前記水タンク側に戻す循環水路
   と、コーヒーバスケツト側に湯を導く吐出水路
   と、前記水タンク内の水温上昇を感知して作動す
   る形状記憶合金等よりなる水温感知部材とを備
   え、前記流路切換装置は、前記水温感知部材の動
   作に連動してその流路を常時開放される循環水路
   により吐出水路側に切換えられる構成としたこと
   を特徴とするコーヒー沸し器。 ２ 水タンクは器体を構成する基台に着脱自在に
   装着してなる特許請求の範囲第１項記載のコーヒ
   ー沸し器。